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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G03B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G03B
管理番号 1308842
審判番号 不服2014-21532  
総通号数 194 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-10-24 
確定日 2015-12-10 
事件の表示 特願2009-247236「画像投射装置」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 5月12日出願公開、特開2011- 95352〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成21年10月28日の出願であって、平成25年9月19日付けで拒絶理由が通知され、同年11月25日付けで、意見書及び手続補正書が提出され、平成26年2月18日付けで最後の拒絶理由が通知され、同年4月25日付けで、意見書及び手続補正書が提出され、同年8月12日付けで、平成26年4月25日付けの手続補正書でした補正が、決定をもって却下されるとともに、同日付けで拒絶査定がされ、これに対し、同年10月24日付けで拒絶査定不服審判の請求がされるとともに、同時に手続補正がされたものである。

第2 平成26年10月24日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成26年10月24日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1.本件補正について
本件補正は、本件補正により補正される前の特許請求の範囲について、下記アを、下記イと補正するものを含む。
ア 本件補正前(平成25年11月25日付け手続補正書)の特許請求の範囲
「【請求項1】
光源からの光を変調する光変調素子と、
前記光源からの光を前記光変調素子に導くとともに、前記光変調素子からの画像光を投射レンズに、前記光変調素子からの非画像光を前記投射レンズとは異なる方向に導く光学ユニットと、
前記光学ユニットと前記投射レンズとの間に配置され、閉じることにより前記光学ユニットから前記投射レンズに入射する前記画像光を遮ることが可能なシャッタ機構と、
前記シャッタ機構が閉じた状態において、前記光変調素子を、前記光学ユニットから前記シャッタ機構に照射される光量が全白表示時よりも少なくなる動作状態に設定するコントローラと、を有することを特徴とする画像投射装置。
【請求項2】
前記投射レンズは、前記光学ユニットに対して交換可能な投射レンズであり、
該画像投射装置が前記投射レンズの交換が可能な状態にあることを検出することに応じて、前記シャッタ機構を閉じさせるコントローラを有することを特徴とする請求項1に記載の画像投射装置。
【請求項3】
該画像投射装置が、前記光変調素子の駆動電圧を調整するモードにあるときに、前記シャッタ機構を閉じさせるコントローラを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像投射装置。」

イ 本件補正後の特許請求の範囲
「【請求項1】
光源からの光を変調する光変調素子と、
前記光源からの光を前記光変調素子に導くとともに、前記光変調素子からの光を投射レンズに導く光学ユニットと、
前記光学ユニットと前記投射レンズとの間に配置され、閉じることにより前記光学ユニットから前記投射レンズに入射する光を遮ることが可能なシャッタ機構と、
前記シャッタ機構が閉じた状態において、前記光変調素子を、前記光学ユニットから前記シャッタ機構に照射される光量が全白表示時よりも少なくなる動作状態に設定するコントローラと、を有し、
前記シャッタ機構は、シャッタ板と、シャッタベース板を備え、前記シャッタ機構が閉じた状態において、前記シャッタ板は、前記シャッタベース板に押しつけられていることを特徴とする画像投射装置。
【請求項2】
前記投射レンズは、前記光学ユニットに対して交換可能な投射レンズであり、
該画像投射装置が前記投射レンズの交換が可能な状態にあることを検出することに応じて、前記シャッタ機構を閉じさせるコントローラを有することを特徴とする請求項1に記載の画像投射装置。
【請求項3】
該画像投射装置が、前記光変調素子の駆動電圧を調整するモードにあるときに、前記シャッタ機構を閉じさせるコントローラを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像投射装置。」

2.新規事項の有無及び補正の目的要件
本件補正後の請求項1に係る補正は、本件補正前の請求項1に係る発明の「シャッタ機構」について、「シャッタ板と、シャッタベース板を備え、前記シャッタ機構が閉じた状態において、前記シャッタ板は、前記シャッタベース板に押しつけられている」点を限定するものであるところ、本願の願書に最初に添付した明細書の【0012】に、「シャッタ板73は、カバー板76側から板バネによってシャッタベース板75側に押しつけられて光軸方向での位置が決められている。」という記載があることから、上記補正は、当初明細書に記載した事項の範囲内においてするものと認められる。
そして、本件補正前の該請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であって、本件補正のうち、補正後の請求項1に係る補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的としたものに該当する。

そこで、本件補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)を、進歩性(特許法第29条第2項)について検討する。

3.本件補正発明の進歩性について
(1)本件補正発明
本件補正発明は、上記「1.イ」の請求項1に記載されたとおりのものと認める。
(2)引用文献1?4の記載
ア 引用文献1について
原査定の拒絶理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2001-174910号公報(以下、「引用文献1」という。)には、「液晶プロジェクタ装置」(発明の名称)について、次の記載がある(下線は当審が付与した。以下、同じ。)。
(引1ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は液晶プロジェクタ装置に係り、遮光板を用いて映像のミュートを行うものに関する。」
(引1イ)「【0009】
【発明の実施の形態】発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。図1は本発明による液晶プロジェクタ装置の一実施例の要部構成図である。図において、1は光源、2および3はインテグレータレンズ、4、8、12、14および16はレンズ、5、7、13および15はミラー、6は赤光線を透過し緑および青光線を反射するダイクロイックミラー、9は赤用の液晶パネル、10は緑光線を反射し青光線を透過するダイクロイックミラー、11は緑用の液晶パネル、17は青用の液晶パネル、18はダイクロイックプリズム、19は投写レンズ、20は多羽根絞りシャッター式の遮光板、21および22はスライド式または多羽根絞りシャッター式の遮光板である。遮光板は、不燃性で耐熱性を有する材料、例えば、金属で構成し、スライド式は金属板を光路の左右方向または上下方向にスライドさせる構造とし、多羽根絞りシャッター式は、例えば、図2に示すように、円環内に複数の金属の羽根を設け、カメラのレンズシャッターの如く羽根の回転で絞る構造とする。いずれも、手動、ゼンマイ駆動またはモータ駆動で動作させるようにする。
【0010】光源1からの白色光線はインテグレータレンズ2および3で集光され、レンズ4を経てミラー5で反射され、赤光線はダイクロイックミラー6を透過し、ミラー7で反射され、レンズ8を介し赤色用の液晶パネル9に入射する。ダイクロイックミラー6で反射された緑光線および青光線のうち緑光線はダイクロイックミラー10で反射され、緑色用の液晶パネル11に入射し、ダイクロイックミラー10を透過した青光線はレンズ12で集光され、ミラー13で反射され、レンズ14を経てミラー15で反射され、レンズ16を介し青色用液晶パネル17に入射する。三枚の液晶パネル9、11および17で光変調された光線はダイクロイックプリズム18で合成され、投写レンズ19でスクリーンに拡大投写される。
【0011】インテグレータレンズ3の出射側の直後のレンズ4の後に遮光板20を設けるか、ミラー5の後に遮光板21を設けるか、または、投写レンズ19の前段(入射側)に遮光板22を設ける。遮光板20の場合は多羽根絞りシャッター式とし、遮光板21または遮光板22の場合はスライド式(通常時は図の実線の位置とし、映像をミュートするとき点線の位置に移動する)か、または多羽根絞りシャッター式(図の点線の位置に固定設置)とする。遮光板20の場合、絞りを加減することにより投写画像の輝度を調節することができる。これは、インテグレータレンズ3の複数のレンズ素子からの光線が一点に集光した後、3枚の液晶パネルに入射するので、遮光板20の絞りに応じて周辺部のレンズ素子からの光線がカットされるからである。遮光板21の位置に設ける場合も多羽根絞りシャッター式を用いることによりこれと同様の作用が得られる。また、投写レンズ19の入射側の直前の遮光板22の位置に設けてもよく、この場合、光束が絞られているので遮光板20や21の位置に比べて小面積(小型)の遮光板で映像をミュートすることができる。」
(引1ウ)図1



イ 引用文献2について
原査定の拒絶理由に引用され、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2008-193251号公報(以下、「引用文献2」という。)には、「投射型表示装置、プログラム及び情報記憶媒体」(発明の名称)について、次の記載がある。
(引2ア)「【0001】
本発明は、投射型表示装置、プログラム及び情報記憶媒体に関する。」
「【課題を解決するための手段】
(引2イ)【0007】
(1)本発明は、光源からの光で画像を投射表示する投射型表示装置であって、投射対象となるコンテンツデータの供給媒体の設定や変更や切り替えに関連する所定の光量調整イベントの発生の有無を検出する光量調整イベント検出手段と、光量調整イベントが発生した場合に、光源を消灯することなしに外部に出力される光源光量を落とすための制御を行う光量制御手段と、を含む事を特徴とする。」
(引2ウ)「【0032】
(6)本発明の投射型表示装置は、前記光量制御手段は、光量調整イベントが検出された場合に、前記表示デバイス制御部に所定のミュート画像を表示させるための制御を行うことを特徴とする。
【0033】
例えば所与の画像を投射表示するために表示デバイスを制御する表示デバイス制御部と、光量調整イベントが検出された場合に、前記表示デバイス制御部に所定のミュート画像を表示させるための処理を行うミュート画像表示制御処理部とを含むように構成してもよい。
【0034】
所定のミュート画像とは、出力光量が所定量より小さくなるような画像であり、例えば黒が書き込まれた画像等である。表示デバイスとは例えば液晶パネルであり、表示デバイス制御部とは液晶パネル制御部(所与の画像が表示されるように液晶パネルの各画素の透過率を制御するLCDコントローラ等)である。ミュート画像を投射表示する場合には液晶パネルの透過率はさがるので、液晶パネルを通過して外部に出力される光源光量は低下する。」

ウ 引用文献3について
本願の出願前に頒布された刊行物である特開2009-217020号公報には、「プロジェクタ」(発明の名称)について、次の記載がある。
(引3ア)「【0001】
本発明は、動画像や静止画像を投射するプロジェクタに関し、特に、天井照射が行えるものに関する。」
(引3イ)「【0024】
前述したように、本実施形態には、スライドシャッタ3の開閉を検出する開閉センサ18と、スライドカバー8の開閉を検出する開閉センサ19が設けられる。スライドシャッタ3が開かれているときには、図2(A)に示すように、投射レンズ10の前面パネル1aがレンズ開口2によりオープンになる。このため、投射レンズ10から出射された光学像は、前面のスクリーン51に投射される。 スライドシャッタ3を閉じられているときには、図2(B)に示すように、投射レンズ10の前面がスライドシャッタ3により遮断される。ここで、スライドカバー8が閉じられているときには、映像ミュートとなる。
【0025】
一方、スライドシャッタ3を閉じ、スライドカバー8を開けて、天井投射モードとすると、図2(B)に示すように、投射レンズ10の前面に、スライドシャッタ3の内側のミラー5が位置し、投射レンズ10から出射された光学像は、ミラー5で反射され、投射開口7を介して、プロジェクタ1の上面の天井に向かって投射され、天井のスクリーン52に投影される。なお、天井投射を行うときには、光学像を左右反転させる必要がある。このときには、前述したように、イメージプロセッサ45において、フレームメモリ46の書き込み方向と読み出し方向とを制御することで、左右反転が行われる。
【0026】
図4は、上述の処理を行うためのフローチャートである。図4において、システムコントローラ11は、開閉センサ18の検出出力から、スライドシャッタ3が開状態か閉状態かを判断する(ステップS1)。スライドシャッタ3が開状態なら、通常投射モードに設定される(ステップS2)。ステップS1で、スライドシャッタ3が閉状態であると判断されると、システムコントローラ11は、開閉センサ19の検出出力から、スライドカバー8が開状態か閉状態かを判断する(ステップS3)。スライドカバー8が閉状態なら、映像ミュートに設定する(ステップS4)。映像ミュートでは、ランプの輝度が下げられ、映像信号が止められ、黒画面となる。ステップS3で、スライドカバー8が開状態なら、天井投射モードとなる(ステップS5)。天井投射モードでは、画面の左右反転が行われる。」
(引3ウ)図2

(引3エ)図4


エ 引用文献4について
本願の出願前に頒布された刊行物である特開2008-216757号公報には、「プロジェクタ」(発明の名称)について、次の記載がある。
(引4ア)「【0001】
本発明は、プロジェクタに関する。」
(引4イ)「【0008】
本発明では、外装筐体には、光束通過用開口部と、露出用開口部とが形成されている。すなわち、従来の構成とは異なり、光束通過用開口部とは別に、露出用開口部が形成されている。このことにより、従来の構成と比較して、光束通過用開口部を小さく構成することができ、プロジェクタの外観デザインが光束通過用開口部により制約されず、外装筐体の設計の自由度が低減することがない。
また、プロジェクタは、光束通過用開口部および露出用開口部の双方を閉塞可能とする遮蔽部材を備える。このことにより、プロジェクタを使用しない場合に、遮蔽部材にて光束通過用開口部を閉塞することで、投射光学装置の光路後段側を遮蔽部材にて覆い、投射光学装置を保護できる。
したがって、外装筐体の設計の自由度が低減することなく、投射光学装置を保護でき、本発明の目的を達成できる。」
(引4ウ)「【0022】
〔内部構成〕
図3は、プロジェクタ1の内部構成を模式的に示す図である。
外装筺体2の内部には、図3に示すように、プロジェクタ1の装置本体が収容されており、この装置本体は、投射光学装置としての投射レンズ3と、光学ユニット4と、遮蔽部材としてのシャッタ5等を備える。
なお、図3において、具体的な図示は省略したが、装置本体は、投射レンズ3、光学ユニット4、およびシャッタ5の他、プロジェクタ1内部の各構成部材に電力を供給する電源ユニット、プロジェクタ1内部の各構成部材を冷却する冷却ファン等を備えた冷却ユニット、およびプロジェクタ1内部の各構成部材を制御する制御装置等を備えているものとする。」
(引4エ)「【0035】
〔シャッタの構成〕
図4ないし図7は、シャッタ5の構成を示す図である。具体的に、図4は、アッパーケース21、シャッタ5、フレーム6、付勢部材7、および位置検出部8を分解した分解斜視図である。図5は、アッパーケース21、シャッタ5、フレーム6、および付勢部材7が組み合わされた状態の断面図である。図6は、アッパーケース21およびシャッタ5が組み合わされた状態をプロジェクタ1の内部側(-Y軸方向側)から見た図であり、シャッタ5が閉位置に位置付けられた状態を示している。図7は、アッパーケース21およびシャッタ5が組み合わされた状態をプロジェクタ1の内部側(-Y軸方向側)から見た図であり、シャッタ5が開位置に位置付けられた状態を示している。なお、図6および図7では、説明の便宜上、フレーム6に設けられる付勢部材7を残して、フレーム6を省略している。
シャッタ5は、図4ないし図7に示すように、アッパーケース21およびフレーム6の間において、アッパーケース21に形成された光束通過用開口部211および露出用開口部212を開放する開位置と、光束通過用開口部211および露出用開口部212を閉塞する閉位置との間を移動可能に設けられる。そして、シャッタ5は、利用者による操作により、プロジェクタ1を使用する際に開位置に位置付けられ(図2)、プロジェクタ1を使用しない場合に閉位置に位置付けられる(図1)。このシャッタ5は、図4ないし図7に示すように、垂直延出部51と、水平延出部52とが一体的に形成されたものであり、側面視(X軸方向から見た場合)略L字形状を有する。」
(引4オ)「【0040】
移動案内部材としてのフレーム6は、アッパーケース21の内側に設けられ、アッパーケース21との間でシャッタ5を支持しつつシャッタ5の移動を案内する部材である。このフレーム6は、図4または図5に示すように、垂直支持部61と、水平支持部62とが一体的に形成されたものであり、側面視(X軸方向から見た場合)略L字形状を有する。
垂直支持部61は、図4または図5に示すように、XY平面に略平行に延出する平面視略矩形状の板体で構成され、アッパーケース21の前面部分の内側に対向するように取り付けられる。
【0041】
この垂直支持部61において、アッパーケース21にフレーム6を取り付けた状態で、光束通過用開口部211に対向する部分には、図4に示すように、表裏を貫通し、投射レンズ3から拡大投射された光束を通過させるための平面視矩形状の第2の光束通過用開口部611が形成されている。
また、この垂直支持部61において、-Y軸方向端縁には、図4または図5に示すように、+Z軸方向に突出し-Y軸方向端縁に沿って延出する支持案内部612が形成されている。アッパーケース21、シャッタ5、およびフレーム6を組み立てた状態では、図5に示すように、シャッタ5における垂直延出部51の-Y軸方向端縁が支持案内部612に当接する。」
(引4カ)「【0046】
凸部としての付勢部材7は、外装筐体2(フレーム6)に設けられ、シャッタ5の移動時にシャッタ5に摺接する。より具体的に、付勢部材7は、図4ないし図7に示すように、フレーム6の付勢部材設置用凹部623に設置され、アッパーケース21、シャッタ5、フレーム6、および付勢部材7を組み立てた状態で、フレーム6の案内溝部622に位置するシャッタ5の摺接部521の+Z軸方向端面に当接し、常時、-Z軸方向に付勢する。この付勢部材7は、図4ないし図7に示すように、コイルばね71と、スチールボール72とを備える。
【0047】
そして、付勢部材7は、利用者の操作用突起部523の操作によるシャッタ5の移動時において、以下に示すように作用する。
すなわち、付勢部材7を構成するスチールボール72は、コイルばね71により常時、-Z軸方向に付勢されているため、シャッタ5が閉位置及び開位置の間に位置付けられた状態から利用者の操作用突起部523の操作により+X軸方向に移動されると、摺接部521の+Z軸方向端面上を摺接する。そして、利用者の操作用突起部523の操作によりシャッタ5がさらに+X軸方向に移動され閉位置に位置付けられた場合には、図6に示すように、スチールボール72がコイルばね71により-Z軸方向に押され、摺接部521に形成された凹部521Aに係合する。また、利用者の操作用突起部523の操作によりシャッタ5が-X軸方向に移動されると、コイルばね71が縮み、スチールボール72および凹部521Aの係合が解除される。」
(引4カ)図3

(引4キ)図4

(引4ク)図5


(3)引用文献に記載された事項
ア 引用文献1について
(ア)【0010】から、光源1からの白色光線のうち、赤光線は赤色用の液晶パネル9で光変調され、緑光線は緑色用の液晶パネル11で光変調され、青光線は、青色用の液晶パネル17で光変調されるから、引用文献1の「三枚の液晶パネル9、11、17」は、光源1からの白色光線を変調する光変調素子であるということができる。

(イ)【0010】から、引用例1に記載された液晶プロジェクタ装置は、光源1からの白色光線を、「インテグレータレンズ2、3」、「レンズ4」、「ミラー5」、「ダイクロイックミラー6」、「ミラー7」、「レンズ8」、「ダイクロイックミラー10」、「レンズ12」、「ミラー13」、「レンズ14」、「ミラー15」及び「レンズ16」によって、「三枚の液晶パネル9、11、17」に入射させていて、「三枚の液晶パネル9、11、17」で光変調された光線は、「ダイクロイックプリズム18」で合成され、「投写レンズ19」でスクリーンに拡大投写されているから、引用文献1の「インテグレータレンズ2、3」、「レンズ4」、「ミラー5」、「ダイクロイックミラー6」、「ミラー7」、「レンズ8」、「ダイクロイックミラー10」、「レンズ12」、「ミラー13」、「レンズ14」、「ミラー15」、「レンズ16」及び「ダイクロイックプリズム18」からなる光学系は、光源1からの白色光線を、「三枚の液晶パネル9、11、17」に導き、「三枚の液晶パネル9、11、17」で光変調された光線を「投写レンズ」に導く光学系であるということができる。

(ウ)【0011】の「投写レンズ19の前段(入射側)に遮光板22を設け」たものでは、図1からも看取されるように、「遮光板22」は、「投写レンズ19」と「ダイクロイックプリズム18」との間に設けられており、「遮光板22」は、「通常時は図の実線の位置とし、映像をミュートするとき点線の位置に移動する」ものであるから、図1から看取されるように、映像をミュートするときに、「投写レンズ19」と「ダイクロイックプリズム18」との間で、「ダイクロイックプリズム18」で合成された光の光路で閉じることにより、「ダイクロイックプリズム18」からの光を遮るようになっていると認められる。

(エ)そうすると、引用文献1には、「投写レンズ19の前段(入射側)に遮光板22を設け」た液晶プロジェクタ装置として、
「光源1と、
光源1からの白色光線を光変調素子である三枚の液晶パネル9、11、17に導くとともに、該三枚の液晶パネル9、11、17で光変調された光線を投写レンズ19に導く、インテグレータレンズ2、3、レンズ4、ミラー5、ダイクロイックミラー6、ミラー7、レンズ8、ダイクロイックミラー10、レンズ12、ミラー13、レンズ14、ミラー15、レンズ16及びダイクロイックプリズム18からなる光学系と、
投写レンズ19とダイクロイックプリズム18との間に設けられ、ダイクロイックプリズム18で合成された光の光路を閉じることで、ダイクロイックプリズム18からの光を遮るようになっているスライド式の遮光板22とを有し、遮光板22を用いて映像のミュートを行う液晶プロジェクタ装置」(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

イ 引用文献2について
引用文献2には、投射型表示装置において、光量調整イベントが発生した場合に、表示デバイス制御部に、所定の出力光量が所定量より小さくなる黒が書き込まれたミュート画像を表示させるための制御を行う光量制御手段を備えることが記載されていると認められる。

ウ 引用文献3について
引用文献3には、動画像や静止画像を投射するプロジェクタにおいて、投射レンズ10の前面がスライドシャッタ3により遮断されていて、しかも、開状態で天井投射モードとなるスライドカバー8が閉じられているときには、ランプの輝度が下げられ、しかも、映像信号を止めた黒画面となる映像ミュートとするシステムコントローラ11を備えることが記載されていると認められる。

エ 引用文献4について
(ア)引用文献4の「凸部としての付勢部材7」は、「アッパーケース21、シャッタ5、フレーム6、および付勢部材7を組み立てた状態で、フレーム6の案内溝部622に位置するシャッタ5の摺接部521の+Z軸方向端面に当接」していて、「付勢部材7を構成するスチールボール72は、コイルばね71により常時、-Z軸方向に付勢されてい」ることから、「シャッタ5の摺接部521の+Z軸方向端面」は、スチールボール72によって、常時、-Z軸方向に付勢されていているということが理解できる。
(イ)図5から看取されるように、「シャッタ5」が-Z軸方向に付勢されると、シャッタ5における垂直延出部51は、フレーム6の垂直支持部61に押し付けられると認められる。
(ウ)そうすると、引用文献4には、プロジェクタの光束通過用開口部211および露出用開口部212の双方を閉塞可能とする垂直延出部51と、水平延出部52とが一体的に形成されたシャッタ5において、
該垂直延出部51を、コイルばね71により常時、付勢されたスチールボール72によって、垂直支持部61と、水平支持部62とが一体的に形成されたフレーム6の垂直支持部61に、常時、押し付けるようにしたプロジェクタが記載されていると認められる。

(4)対比・判断
本件補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「液晶プロジェクタ装置」、「光源1」、「光変調する三枚の液晶パネル9、11、17」、「インテグレータレンズ2、3、レンズ4、ミラー5、ダイクロイックミラー6、ミラー7、レンズ8、ダイクロイックミラー10、レンズ12、ミラー13、レンズ14、ミラー15、レンズ16及びダイクロイックプリズム18からなる光学系」及び「投写レンズ19とダイクロイックプリズム18との間に設けられ、ダイクロイックプリズム18で合成された光の光路で閉じることで、ダイクロイックプリズム18からの光を遮るようになっているスライド式の遮光板22」は、本件補正発明の「画像投射装置」、「光源」、「光を変調する光変調素子」、「前記光源からの光を前記光変調素子に導くとともに、前記光変調素子からの光を投射レンズに導く光学ユニット」及び「前記光学ユニットと前記投射レンズとの間に配置され、閉じることにより前記光学ユニットから前記投射レンズに入射する光を遮ることが可能なシャッタ機構」にそれぞれ相当する。

そうすると、本件補正発明と引用発明とは、「光源からの光を変調する光変調素子と、
前記光源からの光を前記光変調素子に導くとともに、前記光変調素子からの光を投射レンズに導く光学ユニットと、
前記光学ユニットと前記投射レンズとの間に配置され、閉じることにより前記光学ユニットから前記投射レンズに入射する光を遮ることが可能なシャッタ機構とを有する画像投射装置。」である点で一致し、次の点で相違する。

(相違点1)
本件補正発明は、「前記シャッタ機構が閉じた状態において、前記光変調素子を、前記光学ユニットから前記シャッタ機構に照射される光量が全白表示時よりも少なくなる動作状態に設定するコントローラ」を有しているのに対し、引用発明の「スライド式の遮光板22」が閉じ、映像をミュートした際に、液晶パネル9、11、17を全白表示時よりも少なくなる動作状態に設定するようなコントローラは備えていない点。
(相違点2)
本件補正発明では、「前記シャッタ機構は、シャッタ板と、シャッタベース板を備え、前記シャッタ機構が閉じた状態において、前記シャッタ板は、前記シャッタベース板に押しつけられている」のに対し、引用発明の「スライド式の遮光板22」の構造は不明な点。

ここで、相違点について検討する。
(相違点1について)
映像のミュートの際に、液晶パネルといった光変調素子を全白表示時より暗くすることは、引用文献2、3に開示されるように、普通に採用される周知の事項であって、引用発明に上記の周知の事項を適用して、本件補正発明の上記相違点1に係る発明特定事項を得ることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(相違点2について)
引用発明の「スライド式の遮光板22」の構造において、「遮光板22」を他の部材に押し付けないようにして構成することは困難であり、しかも、フレームといったシャッタベース板に押し付けることは、引用文献4に開示されるように、周知の事項であって、引用発明に上記の周知の事項を適用して、本件補正発明の上記相違点2に係る発明特定事項を得ることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正発明は、引用発明及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない。

4.本件補正発明についてのむすび
以上のとおり、本件補正は、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
平成26年10月24日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成25年11月25日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、上記「第2 1.ア」の請求項1に記載されたとおりのものと認める。

2.引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1、2及びその記載事項は、前記「第2.3.(2)ア、イ、(3)ア、イ」に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は前記「第2」で検討した本件補正発明から、「シャッタ機構」について、「シャッタ板と、シャッタベース板を備え、前記シャッタ機構が閉じた状態において、前記シャッタ板は、前記シャッタベース板に押しつけられている」点を省いたものである。
したがって、本願発明と引用発明とは、前記「第2 3.(4)」に記載した一致点で一致し、相違点2はなく、相違点1のみで相違すると認められる。

そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに他の発明特定事項を付加したものに相当する本件補正発明が、前記「第2 3.(4)」に記載したとおり、引用発明及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、引用発明と相違点1のみで相違する本願発明は、その進歩性について改めて検討する必要はなく、引用発明及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、その余の請求項について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-10-09 
結審通知日 2015-10-13 
審決日 2015-10-27 
出願番号 特願2009-247236(P2009-247236)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G03B)
P 1 8・ 121- Z (G03B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小野 博之  
特許庁審判長 森林 克郎
特許庁審判官 川端 修
井口 猶二
発明の名称 画像投射装置  
代理人 藤元 亮輔  
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