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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61B
管理番号 1309025
審判番号 不服2014-12030  
総通号数 194 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-06-25 
確定日 2015-12-16 
事件の表示 特願2010-513284「触覚フィードバックを用いた健康状態の監視」拒絶査定不服審判事件〔平成20年12月31日国際公開、WO2009/002577、平成22年 9月 9日国内公表、特表2010-530281〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成20年3月17日(パリ条約による優先権主張2007年6月21日,米国(US))を国際出願日とする出願であって,平成25年3月6日付けで拒絶理由が通知され,同年6月12日に手続補正がなされ,平成26年2月19日付けで拒絶査定がなされ,同年6月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされ,同時に手続補正(以下,「本件補正」という。)がなされたものである。

第2 本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 補正後の本願発明(下線は補正箇所を示す。)
本件補正により,補正前の特許請求の範囲の請求項1は,
「 【請求項1】
健康状態を監視する方法であって,
健康状態パラメータ監視装置を着用しているユーザーの第1の健康状態パラメータを検出するステップと,
前記第1の健康状態パラメータを第1の所定のレベルと比較するステップと,
前記比較に基づいて,発生させる第1の形式の触覚フィードバックを決定するステップと,
前記決定された第1の形式の触覚フィードバックを発生させるステップと,
前記健康状態パラメータ監視装置を着用している前記ユーザーの第2の健康状態パラメータを検出するステップと,
前記第2の健康状態パラメータを第2の所定のレベルと比較するステップと,
前記第2の比較に基づいて,発生させる第2の形式の触覚フィードバックを決定するステップと,
前記決定された第2の形式の触覚フィードバックを発生させるステップと,
を含むことを特徴とする健康状態を監視する方法。」
と補正された。

本件補正は,補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「第1の健康状態パラメータを検出するステップ」を「健康状態パラメータ監視装置を着用しているユーザーの第1の健康状態パラメータを検出するステップ」と第1の健康状態パラメータを検出するステップを限定し,同様に「第2の健康状態パラメータを検出するステップ」を「前記健康状態パラメータ監視装置を着用している前記ユーザーの第2の健康状態パラメータを検出するステップ」と第2の健康状態パラメータを検出するステップを限定した補正を含むものである。
したがって,本件補正は,特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものを含む。
そこで,本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2 引用刊行物およびその記載事項(下線は当審で付与した。)
(1)本願の出願前に頒布され,原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特表2007-506166号公報(以下,「刊行物1」という。)には,「自動車用の情報システム」について,図面とともに次の事項が記載されている。

(1-ア)
「【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者の状態に基づき自動車の情報を提供するためのシステムにおいて,
a)客観的な負荷要因,特に,前記自動車の状態,及び/又は前記運転者に影響を与える前記自動車の環境に関する条件を感知するための装置(2,3,4)と,
b)運転者動作を感知するための装置(7)と,
c)前記自動車の運転に影響を与える前記運転者の特定の運転者特性を感知するための装置(9,10,11)と,
d)前記運転者に影響を与える前記負荷要因と,前記運転者動作と,前記自動車の運転に影響を与える前記特定の運転者特性とに基づき,情報プロファイルを生成するための情報処理装置(1)と,
e)前記情報プロファイルによって決定される前記情報を出力するための出力装置(13,14,15,16)と,
を特徴とするシステム。
・・・
【請求項5】
前記自動車の運転に影響を与える前記運転者の特定の運転者特性を感知するための装置(11)が,短期間の運転者特性,特に,疲労度,ストレス度,注意散漫度,感情状態,及び/又は,アルコール又は薬物の影響を受けた状態を感知することを特徴とする請求項の1?4のいずれか1項に記載の情報を提供するためのシステム。
・・・
【請求項10】
前記情報処理装置(1)が,視覚的及び/又は音響的及び/又は触覚的なデータとして前記情報を出力することを特徴とする請求項1?9のいずれか1項に記載の情報を提供す
るためのシステム。」

(1-イ)
「【0044】
以下の本文において,図面に関連して,本発明についてより詳細に説明して示す。この図面は,例示的な実施形態としての本発明によるシステムのブロック回路図を示している。
【0045】
ブロック回路図は,例えばマイクロプロセッサμPとして動作し,かつ一連のデータ及び情報項目から運転者の作業負荷を決定するために一連のデータ及び情報項目が送られる中央情報処理装置1を有する情報及びオペレータ制御システムを示している。
【0046】
このために,最初に,車両の周囲状況に関するデータを装置3で,また車両状態データを装置4で検出することによって,運転者に影響を与える客観的な負荷要因が,装置2によって感知される。」

(1-ウ)
「【0054】
感知装置2,7及び9に供給されるデータは,基準値と比較するために,感知装置で調整されて標準値に変換される。このために,これらの標準値は,データメモリ21に記憶される「作業負荷分類」特性線図によって,運転者に対する現在の作業負荷レベル及び/又は作業負荷の種類を決定する情報処理装置1に供給される。このために,データメモリ21に記憶された特性線図は行列構造を有するので,作業負荷カテゴリ,すなわち作業負荷レベルは,負荷要因と,運転者動作と,必要に応じて,ある種類の作業負荷,すなわち,視覚的,音響的又は触覚的な種類の内のいずれかの作業負荷も含むデータ記録に割り当てることができる。最も簡単な例では,例えば,「軽い作業負荷」,「中程度の作業負荷」及び「重い作業負荷」のような3つのカテゴリに分類を行うことが可能である。当然,所望に応じて,このカテゴリ数を増加させ,このようにして,特に,運転者に提供すべき情報のこの分類に基づき行われる選択を考慮して,より細い等級分けを行うことができる。さらに,例えば,作業負荷レベルが,運転者に影響を与える客観的な負荷要因の重みによって,又は個々の運転者特性によってのみ,例えば運転者の極度の不安感によって決定されるか否かにかかわらず,例えば作業負荷の種類又は作業負荷の原因に関する別の要因によって,カテゴリを規定することもできる。
【0055】
このようにして決定された作業負荷カテゴリにより,コンテキストに適応できる情報プロファイルが記憶されるデータメモリ22にアクセスすることによって,関連する情報が,中央情報処理装置1によって決定されて,出力装置13を介して出力される。この出力装置13は,触覚情報を出力するための出力手段14と,オーディオ情報を出力するための出力手段15と,イメージ情報を出力するための出力手段16とを含む。
【0056】
データメモリ22に記憶されるコンテキストに適応できる情報プロファイルは,例えば,運転者が運転している間にのみ運転者に関連する主題を含む基本メニューから構成され,ある種類の情報,したがって,オペレータ制御情報,警告メッセージ,情報メッセージ又は娯楽情報,あるいは出力を必要とする電話のような通信システムの情報は,負荷要因,運転者動作及び運転者特性に基づき,すなわちコンテキストに適応できるように決定され,短文は,イメージ出力手段16によって,又は危険な運転状態においては,出力手段15による音声によってのみ出力され,このような場合には,必要に応じて,運転者の音声指示「一時停止」又は「停止」によって遮断又は終了できる。車両の周囲状況に関するデータ,又はそれほど重要でない車両状態データの場合,省略文を段階的に取り消すか,又は別の主題でメニューを補足することが可能である。2つの増分の最小の形態,具体的には,「走行」車両状態及び「停止」車両状態において,このコンテキストに提供された増分数が関係することができる。さらに,車両の周囲状況,すなわち道路事象に関する及び運転動作に関する感知された状態の「重み」に基づいても等級付けを行うことができるようにすることによって,より細かい等級付けを行うことができる。音響出力の場合には,例えば,単語及び短文又は長い詳細な説明のみを音声出力システムで出力することによって,情報量を制御することもできる。」

(1-エ)
「【0058】
最後に,作業負荷カテゴリに関する上述の変数に基づき,コミュニケーション手段,すなわち,情報を出力するための媒体を制御でき,この結果,視覚的,音響的及び/又は触覚的な出力が,出力装置13によって可能である。個々のこれらのコミュニケーション手段を用いて,例えば,異なる長さの文,自明の記号,画像又は映像を出力することにより,出力形式を制御することもできる。オーディオ出力は音声,音楽として又は警告信号として提供することが可能である。触覚情報は,ハンドルの振動,又は例えば運転者のシートのような車両の他の部分の振動の形態で出力できる。さらに,操作要素において,触覚フィードバックを実行することもできる。独国特許発明第10211946C1号明細書では,例えば,圧力,張力,電圧によって又はアクチュエータ表面の化学的性質を変化させることによって運転者の手の触覚が刺激されるセンサ及びアクチュエータ要素をハンドルに設けることが提案されている。」

(1-オ)
「【0007】
特許文献5は,車両の運転者に警告するための方法を開示しており,この方法において,警告が出力される前に,車両の運転者の注意力が決定され,この場合,決定された注意力の程度に基づいて危険な状態の警告が出力され,すなわち,例えば,高レベルの注意力が決定された場合,この出力さえも抑制される。この関連において,運転者の注意力は,視野方向,瞬目周波数及び/又は頭の位置を検出することによって決定される。注意力の決定は,例えば,オーディオ機器,ナビゲーションシステム又は携帯無線装置を操作及び使用する運転者の運転タスクに加えて,運転者によって行われる副次的な動作も含む。最後に,疲労状態は,運転者の体温及び/又は脈拍数を測定することによって決定されて,そこから,運転者の注意力が決定される。この既知の方法では,警告は,単に,決定される運転者の注意力の程度に基づくだけでなく,車両状態に基づいても出力され,この結果,駐車支援装置,車間距離制御システム(ACC)及び道路肩検出装置のような支援システムによって,車両状態の危険な状況が検出されて,運転者の検出された注意力の程度に基づき,早い時点又は遅い時点において,警告メッセージが生成される。この既知の方法では,脈拍数及び体温のような運転者の生理学的データも,ハンドルに取付けられるセンサによって収集される。」

(1-カ)「【0028】
このシステムと運転者との高い許容レベルは,現在の運転状態において,運転者の客観的な負荷要因だけでなく,車両の運転に関連する運転者の運転者特性,例えば,疲労,緊張状態及び運転者固有の特性,具体的には,運転者の健康状態,加速,かじ取り又は制動に関する運転スタイル,運転者の神経質,運転能力,又は負荷に耐える一般的能力のような運転者特性も感知されることによって特に達成される。」

上記請求項1,5及び10記載の発明(1-ア)を中心に,(1-イ)?(1-エ)の事項を加味し,方法の発明として整理すると,上記刊行物1には,次の発明が記載されていると認められる。

「運転者の状態に基づき自動車の情報を提供するためのシステムの作動方法であって,
a)客観的な負荷要因,特に,前記自動車の状態,及び/又は前記運転者に影響を与える前記自動車の環境に関する条件を感知するための装置(2,3,4)の,客観的な負荷要因,特に,前記自動車の状態,及び/又は前記運転者に影響を与える前記自動車の環境に関する条件を感知する工程と,
b)運転者動作を感知するための装置(7)の,運転者動作を感知する工程と,
c)前記自動車の運転に影響を与える前記運転者の特定の運転者特性を感知するための装置(9,10,11)の,前記自動車の運転に影響を与える前記運転者の特定の運転者特性を感知するための工程であって,短期間の運転者特性,特に,疲労度,ストレス度,注意散漫度,感情状態,及び/又は,アルコール又は薬物の影響を受けた状態を感知する工程と,
d)前記運転者に影響を与える前記負荷要因と,前記運転者動作と,前記自動車の運転に影響を与える前記特定の運転者特性とに基づき,情報プロファイルを生成するための情報処理装置(1)の,前記自動車の運転に影響を与える前記特定の運転者特性に基づき,情報プロファイルを生成する工程であって,感知するための装置(2,7,9)に供給されるデータが,基準値と比較するために感知するための装置で調整されて標準値に変換され,
これらの標準値は,データメモリ21に記憶される「作業負荷分類」特性線図によって,運転者に対する現在の作業負荷レベル及び/又は作業負荷の種類を決定する情報処理装置(1)に供給され,
このようにして決定された作業負荷カテゴリにより,コンテキストに適応できる情報プロファイルが記憶されるデータメモリ(22)にアクセスすることによって,関連する情報が,情報処理装置(1)によって決定される工程と,
前記情報プロファイルによって決定される前記情報を触覚的なデータとして出力する工程と,
e)前記情報プロファイルによって決定される前記情報を出力するための出力装置(13,14,15,16)の,前記情報プロファイルによって決定される前記情報をハンドルの振動,又は例えば運転者のシートのような車両の他の部分の振動の形態で出力する工程と,
からなるシステムの作動方法。」(以下,「引用発明」という。)

3 対比・判断
補正発明と引用発明とを対比する。
ア 補正発明の「健康状態の監視」には,「血中アルコール」(本願明細書【0008】)も包含される。
他方,引用発明の「疲労度」には,「疲労状態は,運転者の体温及び/又は脈拍数を測定することによって決定されて,そこから,運転者の注意力が決定される。」(1-オ)とあり,体温や脈拍数のような健康状態も測定されている。さらに,引用発明の「前記自動車の運転に影響を与える前記運転者の特定の運転者特性」には,「健康状態」(1-カ)も包含されている。
加えて,引用発明は「短期間の運転者特性,特に,疲労度,ストレス度,注意散漫度,感情状態」「を感知する」から,短期間の運転者特性の中から,疲労度を含めて,ストレス度,注意散漫度,感情状態が全て選ばれているものと解される。
そうすると,引用発明の「短期間の運転者特性,特に,疲労度,ストレス度,注意散漫度,感情状態,及び,アルコール又は薬物の影響を受けた状態を感知する」方法は,補正発明の「健康状態を監視する」方法に一致する。

イ 引用発明の「運転者」は,補正発明の「ユーザー」に相当する。
そして,引用発明の「短期間の運転者特性,特に,疲労度,ストレス度,注意散漫度,感情状態,及び,アルコール又は薬物の影響を受けた状態を感知する」ことは,上記アで述べたように健康状態である「疲労度」である「短期間の運転者特性」と同じく,健康状態である「アルコール又は薬物の影響を受けた状態」が「及び」で接続されているから,両者を共に感知しているものと理解される。引用発明の「疲労度」である「短期間の運転者特性」を第1の健康状態とし,「アルコール又は薬物の影響を受けた状態」を第2の健康状態とすれば,引用発明の「短期間の運転者特性,特に,疲労度,ストレス度,注意散漫度,感情状態,及び,アルコール又は薬物の影響を受けた状態を感知する工程」は,補正発明の「ユーザーの第1の健康状態パラメータを検出するステップ」および,「ユーザーの第2の健康状態パラメータを検出するステップ」と一致する。

ウ 引用発明は「感知するための装置(2,7,9)に供給されるデータは,基準値と比較する」のであるから,引用発明の「前記自動車の運転に影響を与える前記運転者の特定の運転者特性を感知するための装置(9,10,11)」で得られたデータは,基準値と比較される。
そして,引用発明の「前記情報プロファイルによって決定される前記情報をハンドルの振動,又は例えば運転者のシートのような車両の他の部分の振動の形態で出力する工程」は,複数の形式の触覚情報を出力するか不明である。
そうすると引用発明の「前記自動車の運転に影響を与える前記特定の運転者特性に基づき,情報プロファイルを生成する工程」と,「前記情報プロファイルによって決定される前記情報を触覚的なデータとして出力する工程」と,
補正発明の「前記第1の健康状態パラメータを第1の所定のレベルと比較するステップと,
前記比較に基づいて,発生させる第1の形式の触覚フィードバックを決定するステップ」,および,「前記第2の健康状態パラメータを第2の所定のレベルと比較するステップと,
前記第2の比較に基づいて,発生させる第2の形式の触覚フィードバックを決定するステップ」とは,
「前記第1の健康状態パラメータを第1の所定のレベルと比較するステップと,
前記比較に基づいて,発生させる触覚フィードバックを決定するステップ」,および,「前記第2の健康状態パラメータを第2の所定のレベルと比較するステップと,
前記第2の比較に基づいて,発生させる触覚フィードバックを決定するステップ」で共通する。

エ 引用発明の「前記情報プロファイルによって決定される前記情報をハンドルの振動,又は例えば運転者のシートのような車両の他の部分の振動の形態で出力する工程」は,上記ウより,複数の形式の触覚情報を出力するか不明であるので,
引用発明の「前記情報プロファイルによって決定される前記情報をハンドルの振動,又は例えば運転者のシートのような車両の他の部分の振動の形態で出力する工程」と,
補正発明の「前記決定された第1の形式の触覚フィードバックを発生させるステップ」および「前記決定された第2の形式の触覚フィードバックを発生させるステップ」とは,
「前記決定された触覚フィードバックを発生させるステップ」および「前記決定された触覚フィードバックを発生させるステップ」で共通する。

オ 引用発明の「短期間の運転者特性,特に,疲労度,ストレス度,注意散漫度,感情状態,及び,アルコール又は薬物の影響を受けた状態を感知する工程」,「ハンドルの振動,又は例えば運転者のシートのような車両の他の部分の振動の形態で出力する工程」「と,からなるシステムの作動方法」は,疲労度,及び,アルコール又は薬物の影響を受けた状態などの健康状態を監視するものともいえるから,補正発明の「健康状態を監視する方法」に一致する。

そうすると,両者は,
(一致点)
「健康状態を監視する方法であって,
ユーザーの第1の健康状態パラメータを検出するステップと,
前記第1の健康状態パラメータを第1の所定のレベルと比較するステップと,
前記比較に基づいて,発生させる触覚フィードバックを決定するステップと,
前記決定された触覚フィードバックを発生させるステップと,
前記ユーザーの第2の健康状態パラメータを検出するステップと,
前記第2の健康状態パラメータを第2の所定のレベルと比較するステップと,
前記第2の比較に基づいて,発生させる触覚フィードバックを決定するステップと,
前記決定された触覚フィードバックを発生させるステップと,
を含み,健康状態を監視する方法。」である点で一致し,以下の点で相違するといえる。

(相違点1)
第1の健康状態パラメータを検出するステップと第2の健康状態パラメータを検出するステップについて,補正発明では,ユーザーが「健康状態パラメータ監視装置を着用している」のに対して,引用発明では,そのように特定されていない点。

(相違点2)
ユーザーの第1の健康状態パラメータに基づいて発生させる触覚ヒードバックと,前記ユーザーの第2の健康状態パラメータに基づいて発生させる触覚ヒードバックについて,補正発明では,それぞれ,「第1の形式の」ものと,「第2の形式の」ものであるのに対して,引用発明では,ハンドルの振動や運転者のシートの振動等の触覚情報であり,そのように特定されていない点。

(1)相違点1についての検討
健康情報を取得するために,ユーザが健康情報を取得するための装置を着用することは周知技術(例えば,特開平10-295652号公報(【請求項1】等),特表2008-532587号公報(【請求項1】,【請求項3】,【請求項9】等)参照)である。
してみると,引用発明に上記周知技術を適用して相違点1に記載の補正発明の構成とすることは,当業者が容易に想到するものといえる。

(2)相違点2についての検討
複数の種類や段階の出力を,一つの出力手段で行うことは,例えば携帯電話の複数の振動パターンで異なる情報を伝えることが普通に行われているように,周知技術である。
また,複数の種類や段階の出力を,複数の種類の出力手段で行うことも,例えば遊園地等のアトラクションで,空気流,水流,振動等,複数種類の触覚刺激手段で各種情報を伝えることが普通に行われているように,周知技術である。
さらに,触覚情報として温感,冷感も周知技術である(例えば,特開2003-135655号(特に【0028】)参照)。
してみると,引用発明においては,上記イで述べたように「疲労度」を含む「短期間の運転者特性」と「アルコール又は薬物の影響を受けた状態」の2つの異なる情報を伝えることが求められるから,引用発明に,パターンや種類の違いで,複数の種類や段階を出力をする上記周知技術を採用して,相違点2に記載の補正発明の構成とすることは,当業者が容易に想到するものといえる。

(3)そして,補正発明の作用効果は,当業者が予測し得る範囲内のものにすぎず,格別顕著なものともいえない。

(4)したがって,補正発明は,引用発明,および周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるというべきであり,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

4 まとめ
以上のとおりであるから,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により,却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は,上記のとおり却下されたので,本願の請求項1?18に係る発明は,平成25年6月12日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?18に記載された事項により特定されたものであって,その請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,次のとおりであると認める。
「 【請求項1】
健康状態を監視する方法であって,
第1の健康状態パラメータを検出するステップと,
前記第1の健康状態パラメータを第1の所定のレベルと比較するステップと,
前記比較に基づいて,発生させる第1の形式の触覚フィードバックを決定するステップと,
前記決定された第1の形式の触覚フィードバックを発生させるステップと,
第2の健康状態パラメータを検出するステップと,
前記第2の健康状態パラメータを第2の所定のレベルと比較するステップと,
前記第2の比較に基づいて,発生させる第2の形式の触覚フィードバックを決定するステップと,
前記決定された第2の形式の触覚フィードバックを発生させるステップと,
を含むことを特徴とする健康状態を監視する方法。」

2 引用刊行物およびその記載事項
本願出願前に頒布された刊行物1およびその記載事項は,上記「第2 2」に記載したとおりである。

3 当審の判断
本願発明は,補正発明の「健康状態パラメータ監視装置を着用しているユーザーの第1の健康状態パラメータを検出するステップ」について,「第1の健康状態パラメータを検出するステップ」と,第1の健康状態パラメータを検出するステップを限定する補正を省き,同様に「前記健康状態パラメータ監視装置を着用している前記ユーザーの第2の健康状態パラメータを検出するステップ」について,「第2の健康状態パラメータを検出するステップ」と,第2の健康状態パラメータを検出するステップを限定する補正を省いたものに相当する。
そうすると,本願発明の構成要件を全て含む補正発明が,上記「第2 3」において検討したとおり,引用発明,および周知技術に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本願発明も,同様の理由により,引用発明および周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるというべきである。

第4 まとめ
以上のとおり,本願発明は,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから,その他の請求項について言及するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-07-17 
結審通知日 2015-07-21 
審決日 2015-08-06 
出願番号 特願2010-513284(P2010-513284)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 遠藤 孝徳  
特許庁審判長 郡山 順
特許庁審判官 松本 隆彦
信田 昌男
発明の名称 触覚フィードバックを用いた健康状態の監視  
代理人 川内 英主  
代理人 越智 隆夫  
代理人 岡部 讓  
代理人 松井 孝夫  
代理人 内田 浩輔  
代理人 高橋 誠一郎  
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