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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1309109
審判番号 不服2014-18833  
総通号数 194 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-09-19 
確定日 2015-12-22 
事件の表示 特願2012-526989「自動車用のジェスチャーに基づいた情報およびコマンドの入力」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 3月 3日国際公開、WO2011/025884、平成25年 1月31日国内公表、特表2013-503396〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2010年(平成22年)8月26日(パリ条約による優先権主張2009年(平成21年)8月28日、アメリカ合衆国)を国際出願日とする出願であって、平成25年12月20日付けの拒絶の理由の通知に対し、平成26年4月23日付けで手続補正がなされたが、平成26年5月15日付けで拒絶査定がなされたものである。これを不服として平成26年9月19日に本件審判請求がなされ、同時に手続補正がなされた。

第2 平成26年9月19日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成26年9月19日付けの手続補正を却下する。
[理由]
1.手続補正の内容
平成26年9月19日付けの手続補正(以下、「本件補正」という)は、特許請求の範囲を対象とするもので、補正前の請求項1を補正後の請求項1とする補正を含んでおり、それらの記載は次のとおりである(下線は補正により変更された部分を示す)。

[補正前の請求項1]
ユーザーからの入力を受け取る方法であって、
前記方法は、
ユーザーの手の届く範囲の表面を提供する工程と、
ユーザーが触れる表面上の複数の位置を検知する工程と、
表面上の複数の触れられた位置にもっとも類似した形状を有する英数字を決定する工程と、
英数字および/または英数字が含まれる単語をユーザーに知らせる工程と、
英数字および/または単語が、決定する工程で決定されることをユーザーが望む英数字および/または単語であるかどうかに関して、ユーザーからフィードバックを受け取る工程を含み、
前記英数字または単語が正しいというユーザーからのフィードバックを受け取ったことに応答して、電子システムに入力を送信する工程をさらに備え、入力は英数字または単語に依存している
ことを特徴とする方法。

[補正後の請求項1]
ユーザーからの入力を受け取る方法であって、
前記方法は、
ユーザーの手の届く範囲の表面を提供する工程と、
ユーザーが触れる表面上の複数の位置を、カメラを用いて検知する工程と、
表面上の複数の触れられた位置にもっとも類似した形状を有する英数字を決定する工程と、
英数字および/または英数字が含まれる単語をユーザーに知らせる工程と、
英数字および/または単語が、決定する工程で決定されることをユーザーが望む英数字および/または単語であるかどうかに関して、ユーザーからフィードバックを受け取る工程を含み、
前記英数字または単語が正しいというユーザーからのフィードバックを受け取ったことに応答して、電子システムに入力を送信する工程をさらに備え、入力は英数字または単語に依存している
ことを特徴とする方法。

2.補正の適否
(1)特許請求の範囲の減縮
この補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「ユーザーが触れる表面上の複数の位置を検知する工程」を「ユーザーが触れる表面上の複数の位置を、カメラを用いて検知する工程」と限定するものであって、その補正前後の請求項1に記載の発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定された特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そこで、補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定された特許出願の際独立して特許を受けられるものであるか否かについて以下検討する。

(2)独立特許要件
ア.本願補正発明
本願補正発明は、上記[補正後の請求項1]の記載により特定される次のとおりのものである。

[本願補正発明]
ユーザーからの入力を受け取る方法であって、
前記方法は、
ユーザーの手の届く範囲の表面を提供する工程と、
ユーザーが触れる表面上の複数の位置を、カメラを用いて検知する工程と、
表面上の複数の触れられた位置にもっとも類似した形状を有する英数字を決定する工程と、
英数字および/または英数字が含まれる単語をユーザーに知らせる工程と、
英数字および/または単語が、決定する工程で決定されることをユーザーが望む英数字および/または単語であるかどうかに関して、ユーザーからフィードバックを受け取る工程を含み、
前記英数字または単語が正しいというユーザーからのフィードバックを受け取ったことに応答して、電子システムに入力を送信する工程をさらに備え、入力は英数字または単語に依存している
ことを特徴とする方法。

イ.刊行物1発明
原査定の拒絶の理由で引用された本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特表2002-513969号公報(以下、「刊行物1」という)には、図面とともに次の事項が記載されている(なお、刊行物1に記載された発明を認定するのに主に関連する箇所に当審で下線を付与した)。

「【請求項20】 車両内の機器を制御する方法であって、
タッチパッドと、該タッチパッドに動作可能に接続された手書き認識装置とを含み、コマンド・データ・セットを有するコマンド認識モジュールを提供するステップと、
手書き信号を受け取るステップと、
前記少なくとも1つの機器を制御するために前記手書き信号を前記コマンド・データ・セットの少なくとも1つのコマンドと関連付けるステップと、
前記コマンドと関連付けられたコマンド信号を前記機器へ通信するステップと
を備える方法。」

「【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は一般に手書きおよび音声認識システムに関し、特に、車両において使用する手書きおよび音声認識システムに関する。
【0002】
発明の背景
音声認識システムは、電子装置にコマンド(コマンド)を与えるために多様なアプリケーションにおいて利用されてきた。最近、そのような音声認識システムを採用して、運転手が車両搭載型のセル式電話や電動ウィンドウなどの自動車の機器を制御することを可能にすることが試みられている。このようなアプリケーションにより、運転手が運転中に、機器ではなく道路に目を向け続けることを可能とし、運転手がより安全に運転できるようにする。しかし、かかるシステムは、特に、高速運転中に窓が開いているときに、車両内部などの環境に存在する環境ノイズによって悪影響を受ける。したがって、車両環境ノイズによって影響を受けず、運転手が道路に目を向け続けることを可能にする車両機器制御が必要とされている。
【0003】
発明の概要
本発明の目的は、運転手が運転中に自動車機器を安全に操作できるようにすることである。運転手が自動車機器を操作しているときに、運転手が道路から目を離す必要をなくし、運転手がハンドルやシフトレバーから手を離す必要をなくすシステムを提供する。
【0004】
本発明の更なる目的は、改良されたコマンド認識システムを使用して、車両機器の操作を単純化することである。
本発明の更に別の目的は、ノイズ環境において使用できるコマンド認識システムを提供することである。
【0005】
本発明の別の目的は、異なったユーザによって使用されるときに、コマンド認識システムを単純化することである。
本発明の利点は、手書きの認識と音声の認識とを組み合わせて、ノイズ環境において実施することが現在では困難である、スピーカから独立した音声認識技術に対する必要性を排除することである。
【0006】
本発明の更なる利点は、コマンドを供給する手書き認識が自動車のノイズ環境によって影響されないことである。
本発明の更に別の利点は、車両内の他者によって発せられるノイズから独立したコマンド認識動作を提供することである。
【0007】
本発明の特徴は、装置が、音声コマンドおよび手書きコマンドの両方によって動作させることができ、短いテキスト・メッセージを送信するときに、パーソナル・コンピュータやセル式電話などの精巧な機器に対して使用可能なコマンド・セットを増加することである。
【0008】
本発明の更なる特徴は、手書き認識とスピーカ依存認識との組み合わせを提供して、車両環境における作業に望ましい、高い認識信頼性を達成することである。
【0009】
本発明の更なる特徴は、ユーザの声紋(voice print)の特徴および署名(サイン)の特徴の両方を使用して、ユーザのアイデンティティを二重に確認することである。
【0010】
本発明は、改良されたユーザ・インターフェース装置において実施され、コマンド・データ・セットを有するコマンド認識モジュールを含む車両内の少なくとも1つの機器を制御する。コマンド認識モジュールは、手書き信号および音声信号を受け取り、その手書き信号および音声信号をコマンド・データ・セットと関連付けて、少なくとも1つのコマンドが前記の少なくとも1つの機器によって使用されるようにする。コマンド認識モジュールは、更に、手書き信号および/または音声信号の少なくとも1つを、少なくとも1つのコマンドと関連付けると、コマンド信号シーケンスを生成するようにされている。主モジュールは、コマンド認識モジュールと動作可能に接続し、コマンド信号を少なくとも1つの機器へ中継するように動作する。機器インターフェースは、少なくとも1つの機器と主モジュールとの間に接続し、コマンド信号を機器へ中継するように適合されている。
【0011】
コマンド認識モジュールは更に、マイクロフォンと、マイクロフォンに動作可能に接続される音声認識装置とを含み、音声信号を受け取り、音声信号の少なくとも1つを少なくとも1つのコマンドと関連付けるとコマンド信号を生成する。更に、タッチパッドと該タッチパッドに動作可能に接続された手書き認識装置とを含み、手書き信号を受け取り、手書き信号の少なくとも1つを少なくとも1つのコマンドと関連付けるとコマンド信号を生成する。手書き信号は、手書き文字、単語、数字、走り書き、または、三次元的ジェスチャを含むユーザが手や指で行うことができるあらゆるジェスチャを含んでもよく、それに応じて、タッチパッドを、ジョイスティック、三次元マウスなどのような、任意の種類の手または指に応答する入力装置、あるいは頭の動きなどのような人間の意思伝達方法に適合可能な、他の任意の既知の身体部分応答型の入力装置に置き換えることができる。スピーカは、運転手にフィードバックを与えるために、コマンド認識または主モジュールの何れかに接続される。フィードバックは、実行前の認識されたコマンドの再生、および/または録音音声または既知のテキスト音声(TTS)技術などの合成音声を使用した会話メニューの形式であってもよい。視覚的フィードバックを生成するために、フロントガラス上に設けた透明ディスプレイを使用してもよい。代替的に、文字や数字を入力した後、および/または入力シーケンスが完了した後に(たとえば、単語、電話番号)、その入力を再生したり表示したりしてもよい。本発明の他の特徴および利点は、図面および発明の詳細な説明を検討すれば明らかになるであろう。
【0012】
本発明は、付属の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むことにより、更に完全に理解および評価されるであろう。
本発明の詳細な説明
例示を目的とした図面を参照すると、本発明はコマンド認識装置20(図1)において実施され、当該技術分野において知られている手書き認識技術の使用を通じての手書きコマンドを使用することにより、概念的にハンドル18によって表した車両などにおける電子機器の操作を可能にする。既知の音声認識技術を更に手書き認識技術と組み合わせて、かかる電子機器、システムまたは装置と対話する信頼性があり確固とした方法を提供することができる。電子機器22は、セル式電話24、グローバル・ポジショニング・システム(GPS)・ナビゲーション・システム26、パーソナル・コンピュータ(PC)28、ラジオ30、警報(アラーム)システム32、電動ウィンドウ(図示せず)、サンルーフ(図示せず)などを含むが、これらに限定されない。
【0013】
図2を参照すると、機器22は機器インターフェース34を介して装置20に接続している。機器インターフェース34は、1または複数の機器あるいは1種類または複数種類の機器と共に使用するように適合されるのが好ましく、機器のハードウエア基準および/またはその遠隔操作用のソフトウエア・プロトコルと一致するように適合されてもよい。ハードウエアおよび/またはソフトウエアにおいて実施されるインターフェース・モジュール34は、機器が電気コネクタ36を介して接続する物理的モジュールである。インターフェース34は、各機器へ送られるコマンドを選択する主プログラム・モジュール35によって制御される。インターフェース・モジュール34は、機器と通信するために必要とされる適正な電圧および電流も生成する。例えば、ユーザがRS232プロトコルを介してPCと通信することを望めば、主プログラム・モジュール35によって生成されたデジタル・コマンドの、実際の+/-12ボルトのパルスへの変換(RS232プロトコルによって要求される)が、インターフェース・モジュール34によって行われる。機器のそれぞれに対応するコマンド・セットは、主プログラム・モジュール35によって維持される。かかるインターフェースの適合性の例は、娯楽システムと共に使用する従来の汎用遠隔制御装置において見いだされ、そこでは、遠隔制御装置は、機器と協働するようにユーザによって調整されることがあり、かつ/または既知の機器とかかる機器に対応する特定のコマンドのライブラリを含む。後者の場合、ユーザは、機器に対応するコマンドのライブラリを選択する。機器とインターフェースとの間の接続リード線36は様々であり、ワイヤ接続、赤外線接続、シリアル接続、またはバス接続を含むが、これらに限定されるものではない。代替的な実施形態においては、機器はインターフェース・モジュール34を備えて組み立てられ、任意の数の従来のインターフェース構成を含むことができる。
【0014】
装置20は、好適には、マイクロフォン42に接続された音声認識装置38と、ライティング・パッド46に接続された手書き認識装置44とを含む。ここで使用されているコマンド認識とは、手書き認識装置エンジンまたは音声認識装置エンジンによって認識され、次に、コマンド信号と関連付けられたコマンド・データ・セットに含まれる予めプログラムされたコマンドと突き合わせされる、手書きまたは口頭(話された)でのコマンド信号を意味する。
【0015】
音声認識装置38は、マイクロフォン42を介して音声コマンドを受け取り、装置20が接続されている機器に合わせて作成された既知の音声コマンド・リスト内の一致する音声コマンドを捜す。マイクロフォンは、車両のコンソール、サンバイザー、または運転手または他の乗客からの音声コマンドを好適に受け取るのに適した任意の場所に配置することができる。音声コマンドは、セル式電話を介するなどのように、外部マイクロフォンを介して入力されてもよく、あるいは、そうでなければ、この譲受人の同時係属中の米国特許出願第/002,616号に記載されたような音声認識装置に入力されてもよい。この同時係属中の米国特許出願をここに参照として援用する。かかる音声コマンドは、ユーザによって調整され、かつ/または機器の種類に特定のコマンドの予め調整したライブラリに設けてもよいことが、理解されるであろう。
【0016】
手書き認識装置44は、手書き(ハンドライティング)パッド46を介してユーザによって供給された記号を受け取る。手書きパッド46は、ハンドル上またはシフトレバー上などのような、運転手に便利な位置に設けることが好ましい。代替的に、手書きコマンドは、装置20に接続されたラップトップのタッチパッドなどのような、外部タッチパッドを介して入力されてもよい。この目的に適した種類の手書き認識装置は、米国特許第5,659,633号および第5,774,582号、ならびに米国特許出願第08/528293号、第08/418530号、第08/282187号および第08/878741号に開示されており、これらを参照としてここに援用する。機器コマンドに対応する手書きの記号はユーザによって調整され、かつ/または予め調整されたアプリケーション特定的コマンド・ライブラリにおいて提供されてもよいことが、理解されるであろう。
【0017】
当業者には、コマンド認識モジュール用のコマンドライブラリが、音声ダイアル、番号ダイアル、eメール受領、警報(アラーム)システム操作などに関連するコマンドなどのような、セル式電話またはパーソナル・コンピュータなどのような装置と共に使用するように適合されたコマンドの標準的セットを含んでもよいことが、理解されるであろう。
【0018】
主プログラム・モジュール35は、機器インターフェース34と認識モジュール38および44との間におけるコマンドの転送と分配とを制御するインターフェースを提供する。装置20は、ライター差込口に接続されるか又は自動車バッテリに直接接続されるかの、直接接続を介して自動車の電圧50から電力を引き込むことが好ましい。代替的に、装置20はDCバッテリで独立して動作してもよい。
【0019】
スイッチ52は、動作モードとセットアップ/調整モード(training mode)との間での装置の切り替えを可能にするために含まれている。主プログラム・モジュール35の機能は、選択された機器に対しての適切なコマンドを生成するために、認識モジュール38および44を組み合わせて調整することである。認識または動作モードに入った後の最初のコマンドは、ユーザが制御を望む機器を識別することに関連すべきである。代替的に、デフォールトの機器、またはシステムのシャットダウンの前に最後に使用した機器を使用するようにしてもよい。機器の選択に続いて、主プログラム・モジュール35は、選択された機器に切り替え、音声認識装置38および/または手書き認識装置44によって認識されたコマンドを、その特定の機器へ送る。主プログラム・モジュール35の役割は、ユーザによって与えられた認識されたコマンドと、選択された機器に対する適切な機器コマンドとを関連付けることである。
【0020】
音声認識装置38および手書き認識装置44は、コマンドのライブラリ内で一致する音声コマンドまたは手書きコマンドを捜す。それぞれの機器に対して個別のライブラリがあることが好ましい。機器が一旦選択されると、主プログラム・モジュール35は、通常は音声に対して1つと手書きに対して1つの、適切なコマンドライブラリをロードするように認識装置に命令する。代替的には、幾つかのライブラリがロードされて、認識装置は、一致するコマンドの検索のときにどのライブラリを使用すべきかを通知される。それに続いて、入力信号を受け取ると、認識装置は、認識された機器コマンドの識別子を主プログラム・モジュール35へ送る。この識別子と選択された機器とが与えられると、主モジュールはコマンドを解釈して、それを機器インターフェース34を介して選択された機器へ送る。セル式電話をピックアップするなどのようなグローバル・コマンドを可能にするために、現在どのような機器が選択されていようとも認識可能な、音声/手書き信号もある。これらの信号表現が、認識装置により使用される各ライブラリ又はグローバル・ライブラリにロードされ、他のどの機器によっても使用されない独自の識別子を有し、主プログラム・モジュール35が常にそれらを解釈できるようにされる。更に、「二重確認モード」を提供し、このモードでは、主プログラム・モジュール35が、両方の認識装置が同じコマンドに対応する識別子を返したことを確認し、返していなければコマンドを拒否する。ノイズの存在下でシステムの有効性を増すために、許容範囲レベルを設定してもよい。例えば、音声認識装置38は、1つだけの識別子ではなく、幾つかの最もよく一致する識別子を送り返すようにすることができる。これらの識別子の1つが手書き認識装置44から返された識別子に対応すれば、これは受入可能な確認とみなすことができる。また、2つのコマンドが同時に入力されることを可能にするために「適合モード」も設ける。例えば、ユーザが「ラジオ」と言って「5」を書くと、装置は直ちにラジオのスイッチを入れて放送局5を選択する。更に、ユーザの音声の特徴および手書きの特徴のそれぞれに基づいて動作する既知のユーザ確認モードではなく、これらの特徴の組み合わせに基づく「ユーザ確認/認証モード」を設ける。ユーザは、認識されたコマンドが受け取られて機器に送られたことを示すフィードバックを、ラウドスピーカ40を介して装置20から受け取ることができる。
【0021】
同じ手書きジェスチャや口頭によるコマンドが、選択される装置に応じて、主プログラム・モジュール35によって解釈されるときに異なった意味を持つ場合があることが理解されるであろう。例えば、口頭で言われた単語「アップ(up)」は、「電動ウインドウ」が選択されていれば「窓を閉める」を意味するが、ラジオをつけているときには「ボリュームを上げる」を意味するというようにできることが理解される。更に、手書きジェスチャまたは口頭によるコマンドが、一度に1つより多くの機器を動作させるようにもでき、それによって、1つの口頭/手書きジェスチャが一連のコマンドと関連付けられている「マクロ」能力を提供できることが理解される。例えば、ユーザが「ジルの設定」と言えば、それに応じて装置20は、座席、ミラーおよびハンドルを調節し、ラジオのスイッチを入れ、ジルの好みの放送局をにチューンする。
【0022】
機器インターフェース34、コマンド認識モジュール38および44、および主プログラム・モジュール35は、リアルタイムに認識機能を遂行するのに適し且つコマンドライブラリを記憶することができるCPUとメモリとを有する何れの従来のハードウエア・プラットフォーム上でも動作することができる。プログラミング・ロジックは、任意の種類の不揮発性メモリ、例えば、フラッシュ・メモリやEPROMなどのようなメモリ・チップに記憶することができる。オプションで、取り外し可能なメモリ・モジュール(図示せず)にコマンド・ライブラリを含めるようにして、ユーザが従来のPC上で調整を行うことを可能にしたり、特定化されたニーズに合わされた機器に特定的なライブラリを提供するようにしてもよい。これらのライブラリは、RS232などの通信プロトコルを使用してPCから装置20へロードされてもよい。この目的のための形式のCPUおよびメモリの構成は、日立(Hitachi)から購入可能なH8/3040マイクロコントローラ、およびアドバンスト・マイクロ・デバイセス(Advanced Micro Devices)から購入可能なAMD29F800フラッシュ・メモリを含む。
【0023】
好適な実施形態においては、装置20は2つの主要な動作モード、即ち、認識モードと調整モードとを有する。動作モードと調整(training、訓練)モードとの間の切り換えは、スイッチ52によって制御される。スイッチを使用したモード間の切り換え方法は様々であってよい。例えば、ユーザが認識モードに入りたい場合に、スイッチを1回押して動作モードに入り、装置20が口頭によるコマンドまたは書かれたコマンドを受け付け可能とするようにできる。ユーザが新たなコマンドのために装置20を調整(train、訓練)したいのであれば、スイッチを素速く2回押して、主プログラムが調整モードへ切り替えるようにする。他のグローバル・コマンドは、セル式電話を介しての会話を終了させたり、あるいはコンピュータ上のアプリケーション・ウインドウを閉じるなどのために、スイッチと関連付けることができる。動作モード。
【0024】
動作モードにある装置20は、マイクロフォン42を介して音声コマンドを受け取る。マイクロフォン42は、人間の声を受け取って、それを電気信号に変換する。この信号は、次に、音声認識装置38によって増幅されてデジタル化される。デジタル化の後に、音声認識装置38は処理ソフトウエアを利用して、音声信号を処理し、メモリに常駐するライブラリ内の一致する音声コマンドを探すことにより認識を行う。音声信号とライブラリからのコマンドとの関連付けに続いて、音声認識装置38は、コマンド識別子を主プログラム・ソフトウエア・モジュール35へ送り、主プログラム・ソフトウエア・モジュール35は、それを、装置20の現在の入力状態(例えば、機器が選択されており、機器コマンドの入力を待っている)に従って解釈し、コマンド・シーケンスを適切な機器へ送る。認識モジュール38および44、または主プログラム・モジュール35がスピーカ40を使用して、オプションとして、コマンド信号をコンピュータ生成の音声信号または他の再生信号に変換し、ユーザに、音声信号が受け取られて適切に理解された旨の指示としてのフィードバックを提供することができる。
【0025】
手書きコマンドはタッチパッドなどのライティング・パッド46を介して受け取られて、特定の点が接触されると、その接触された点のXおよびY座標を送信する。タッチパッドの場合には、入力は指で行うことができる。手書き認識装置44は、タッチパッド上に書かれた文字、ジェスチャまたは単語を受け取り、予め調整した文字、ジェスチャおよび単語のライブラリから手書きコマンドと一致するものを探す。手書き認識装置44は、一致するものを一旦発見すると、主プログラム・モジュール35に信号を送る。手書き認識ライブラリは、予め調整した英数字、ジェスチャおよび記号を含むようにし、ユーザがそれらを認識するように認識装置を調整しないでもよいようにすることが好ましい。しかし、ユーザは、ユーザに便利な記号を生成するオプションを有するようにし、それを機器コマンドとの関連付けるようにしてもよい。
【0026】
調整モード
それぞれの認識装置38および44を調整(訓練)することは、口頭でのコマンドまたは書かれた記号、ジェスチャ、単語、文字を、コマンドまたはコマンドシーケンスと関連付けることを意味し、これは、かかる関係を装置20にプログラムすることにより、機器の少なくとも1つによって理解される。例えば、「上矢印」のジェスチャは「窓を閉める」を意味することができ、また、名前を口に出して言うことにより、セル式電話を作動させてその人の電話番号をダイヤルさせることができるであろう。本発明に使用する機器の通信プロトコルは、通常、装置20で予めプログラムされる。パーソナル・コンピュータまたは他の容易に適合可能な計算装置を使用する場合には、本発明のものと通信するために、PC内のソフトウエアが提供されることができる。このような場合には、可能なコマンドの数は、ユーザによって使用されるソフトウエアと操作の型に左右される。コマンドを操作と関連付けるために、ユーザは調整工程の一部としてコマンドをプログラムすることができるであろう。警報器や窓などの機器を操作する場合には、装置20はこれらの機器を動作させる実際の信号を有していなければならない。機器の例。
【0027】
本発明の動作の典型的な例はラジオに関して見いだされ、その場合、ラジオ用のコマンド・セット・ライブラリが装置20に合わせて予め調整されているか、又は調整モードの間にユーザによって入力される。認識モードを選択した後に、ユーザが「ラジオ」という単語を言う。すると主プログラム・モジュール35は、全ての認識されたコマンドをラジオへ送る。次に、ユーザは数字「5」と書くか又は声に出して言う。次に、主プログラムは認識した「5」を、ラジオによって「放送局番号5へジャンプする」と理解されるデジタルコマンドに変換し、それをインターフェース34を介してラジオへ送る。ユーザが行った各操作についてフィードバックが提供されてもよい。例えば、ユーザが「ラジオ」と言うと、TTS技術を使用してラウドスピーカが「ラジオが作動」と言う。ユーザが「5」と書くと、ラウドスピーカは「放送局5を選択」と言い、可能であればオプションで放送局の名称を伝える。
【0028】
車両アラーム・システムを作動または作動停止するには、図3を更に参照すると分かるように、ユーザは装置20を調整して、話されたおよび手書きされた両方のパスワード、署名、および他のユーザ特定的信号特徴を学習させる。両方のパスワードを認識した後にのみ、主プログラム・モジュール35はコマンドを送ってアラーム・システムを作動または作動停止する。別の関連するアプリケーションは、個人化されたコマンドおよび設定ライブラリを使用して、シートやミラーなどの機器をユーザIDに応じて調整する機器を提供し、それによって、同じ自動車の数人の運転手の誰にでも適応するようにする。
【0029】
カー・ナビゲーション・システムを操作するときに、ユーザは音声によってシステムのメニューを操作して、道路の名前をタッチパッド上に書くことにより入力することができる。
【0030】
本発明を数個の特定の実施形態を参照して説明してきたが、この説明は発明を全体的に例示することを意図したものであり、本発明をここで示した実施形態に限定するものとは解釈すべきではない。ここには特に示していないが、本発明の真の精神および範囲内において、当業者は多様な変更を想起する場合があるものと理解される。」

ここで、上記記載事項を刊行物1の関連図面を含むその他の箇所の記載と技術常識に照らすと次のことがいえる。

刊行物1には、コマンド認識装置20(請求項20や【0010】、【0011】では、「コマンド認識モジュール」と記載されている)が記載されており、該コマンド認識装置20(「コマンド認識モジュール」)は、ユーザからタッチパッドなどの入力装置を用いて手書き信号を受け取り(請求項20でいう「手書き信号を受け取るステップを備え」)、コマンドを認識するものであるから、この動作をコマンド認識装置20を用いて行われる方法として捉えると、刊行物1には、「コマンド認識装置20においてユーザーからの入力を受け取る方法」が記載されているといえる。

刊行物1に記載されたコマンド認識装置20は、【図2】およびその説明(【0012】-【0016】、【0020】)によると、「手書き認識装置44、音声認識装置38、主プログラムモジュール35、インターフェースモジュール34からなるものであって、マイクロフォン20、タッチパッド46、スピーカ40、電子機器22が接続されて」いる。

刊行物1に記載されたコマンド認識装置20が備える手書き認識装置44は、【0016】、【0025】の記載によれば、「ハンドル上またはシフトレバー上などのような運転手に便利な位置に設けたタッチパッド46にユーザーの指が接触したXY座標により、タッチパッド上に書かれた英数字を含む文字、ジェスチャまたは単語を受け取り、予め調整した英数字を含む文字、ジェスチャまたは単語のライブラリから手書きコマンドと一致するものを探し、一致するものを発見すると主プログラムモジュール35に信号を送」るものである。

刊行物1に記載されたコマンド認識装置20が備える主プログラムモジュール35は、【0019】の記載によれば、「手書き認識装置44によって認識されたコマンドを特定の機器へ送」るものである。

刊行物1の【0011】には、「スピーカは、運転手にフィードバックを与えるために、コマンド認識または主モジュールの何れかに接続される。フィードバックは、実行前の認識されたコマンドの再生・・・であってもよい。」と記載されている。
この記載から、「前記スピーカ40は、運転手に、実行前の認識されたコマンドを再生するフィードバックを与えるために接続されている」ものであるといえる。

以上をまとめると、刊行物1には、次の発明(以下、「刊行物1発明」という)が記載されていると認められる。

[刊行物1発明]
コマンド認識装置20においてユーザーからの入力を受け取る方法であって、
前記コマンド認識装置20は、手書き認識装置44、音声認識装置38、主プログラムモジュール35、インターフェースモジュール34からなるものであって、マイクロフォン20、タッチパッド46、スピーカ40、電子機器22が接続されており、
手書き認識装置44は、ハンドル上またはシフトレバー上などのような運転手に便利な位置に設けたタッチパッド46にユーザーの指が接触したXY座標により、タッチパッド上に書かれた英数字を含む文字、ジェスチャまたは単語を受け取り、予め調整した英数字を含む文字、ジェスチャまたは単語のライブラリから手書きコマンドと一致するものを探し、一致するものを発見すると主プログラムモジュール35に信号を送り、
主プログラムモジュール35は、手書き認識装置44によって認識されたコマンドを特定の機器へ送り、
前記スピーカ40は、運転手に、実行前の認識されたコマンドを再生するフィードバックを与えるために接続されている、
方法。

ウ.本願補正発明と刊行物1発明との対比
本願補正発明と刊行物1発明とは、「ユーザーからの入力を受け取る方法」である点で一致する。

刊行物1発明は、「ハンドル上またはシフトレバー上などのような運転手に便利な位置に設けたタッチパッド46」をユーザが使用する方法であり、このタッチパッドをユーザが使用できるようにすることは、「ユーザーの手の届く範囲の表面を提供する」ことといえるから、本願補正発明と刊行物1発明とは、「ユーザーの手の届く範囲の表面を提供する工程」を含む点で一致する。

刊行物1発明における手書き認識装置44は、「ユーザーの指が接触したXY座標により、タッチパッド上に書かれた英数字を含む文字、ジェスチャまたは単語を受け取」るものであるから、刊行物1発明は、「ユーザーが触れる表面上の複数の位置を検知する」ものであるといえる。
したがって、本願補正発明と刊行物1発明とは、「ユーザーが触れる表面上の複数の位置を検知する工程」を含む点では共通するものである。

刊行物1発明では、手書き認識装置44は、「タッチパッド上に書かれた英数字を含む文字、ジェスチャまたは単語を受け取り、予め調整した英数字を含む文字、ジェスチャまたは単語のライブラリから手書きコマンドと一致するものを探」している。
タッチパッド上に書かれた手書きの文字などは、人が手書きしたものであるから、ある程度のあいまいさのあるものであり、そのような手書きの文字などの認識は、基準となる複数の文字などの画像とのマッチング等をすることにより、最も類似度の高いものを選択するものであると当業者には当然に理解できる。すなわち、刊行物1発明における「ライブラリから手書きコマンドと一致するものを探し」た結果は、「表面上の複数の触れられた位置にもっとも類似した形状を有する英数字」といえる。
したがって、本願補正発明と刊行物1発明とは、「表面上の複数の触れられた位置にもっとも類似した形状を有する英数字を決定する工程」を含む点で一致する。

刊行物1発明では、「前記スピーカ40は、運転手に、実行前の認識されたコマンドを再生するフィードバックを与えるために接続されている」ものである。すなわち、刊行物1発明でいう「フィードバック」とは、認識された手書きコマンドの音声による再生を含み、該認識された手書きコマンドは「英数字を含む」から、刊行物1発明は、「英数字をユーザーに知らせる工程」を含むといえる。
したがって、本願補正発明と刊行物1発明とは、「英数字および/または英数字が含まれる単語をユーザーに知らせる工程」を含む点で一致する。

刊行物1発明の「主プログラムモジュール35」は、「手書き認識装置44によって認識されたコマンドを特定の機器へ送」るものであり、この「機器」は、制御の対象となる電子機器22のうちの特定の機器であるから、本願補正発明の制御対象である「電子システム」に相当する。
また、刊行物1発明における手書きコマンドの認識は、タッチパッド上に書かれた英数字を含む文字を認識し、認識されたコマンドを電子機器に入力しているから、「入力は英数字に依存している」といえる。
したがって、本願補正発明と刊行物1発明とは、「電子システムに入力を送信する工程をさらに備え、入力は英数字または単語に依存している」点では共通するものである。

したがって、本願補正発明と刊行物1発明の一致点及び相違点は次のとおりである。

[一致点]
ユーザーからの入力を受け取る方法であって、
前記方法は、
ユーザーの手の届く範囲の表面を提供する工程と、
ユーザーが触れる表面上の複数の位置を検知する工程と、
表面上の複数の触れられた位置にもっとも類似した形状を有する英数字を決定する工程と、
英数字および/または英数字が含まれる単語をユーザーに知らせる工程と、
を含み、
電子システムに入力を送信する工程をさらに備え、入力は英数字または単語に依存している
ことを特徴とする方法。

[相違点]
相違点1
ユーザーが触れる表面上の複数の位置を検知する工程が、本願補正発明では、「カメラを用いて検知する」ものであるに対し、刊行物1発明では、「カメラを用いて検知する」ものではない点。

相違点2
本願補正発明は、「英数字および/または単語が、決定する工程で決定されることをユーザーが望む英数字および/または単語であるかどうかに関して、ユーザーからフィードバックを受け取る工程を含み、
前記英数字または単語が正しいというユーザーからのフィードバックを受け取ったことに応答して、電子システムに入力を送信する」のに対し、刊行物1発明は、そのような工程を備えていない点。

エ.判断
相違点1について
刊行物1発明における「タッチパッド」は、ユーザの指の位置を検出するためのものであり、その目的を達成する限りにおいては、どのような原理に基づく入力装置を採用するかは必要に応じて任意に選択し得るものであると当業者には理解できる。
一方、そのようなユーザの指の位置を検出するための入力装置として、抵抗膜式、静電容量式のタッチパッドなどとともに、カメラを用いた撮影画像の認識に基づく入力装置は当業者によく知られた周知のもの(*)であり、刊行物1発明における、ユーザの指の位置の検出にカメラを用いた入力装置を採用できない理由もない。
したがって、刊行物1発明において、ユーザによる手書き入力を「カメラを用いて検知する」ものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

(*)例えば、特開2005-108211号公報(【0023】、【0024】、【図1】、【図2】)、国際公開第2007/088942号([0045]-[0051]、[図1])を参照されたい。

相違点2について
刊行物1発明では、「前記スピーカ40は、運転手に、実行前の認識されたコマンドを再生するフィードバックを与えるために接続されている」。すなわち、スピーカからの運転手へのフィードバックは、実行前の認識されたコマンドを再生するものである。
このフィードバックは、認識されたコマンドが何であるかを運転手が確認するために行われるものであり、その場合に、手書き認識されたコマンドが、運転手が意図したものとは異なることがあり得るのは想定できることである。
一方、コンピュータにより人の行為を認識する場合に、認識結果がユーザが望むものであるかどうかに関してユーザからフィードバックを受け、ユーザが望むものであるときに認識結果に基づいた処理を行うことは、手書き認識に限らず、音声認識やジェスチャの認識などの、認識された結果が、ユーザの意図したものとは異なることがあり得るような認識処理においては普通に行われていること(**)である。
したがって、刊行物1発明において、手書き認識された結果がユーザが望むものであるかどうかに関してユーザからフィードバックを受け、ユーザが望むものであるときに認識結果に基づいた処理を行うことは、当業者が容易に想到し得ることである。
そして、そのようにすることは、刊行物1発明において、「英数字および/または単語が、決定する工程で決定されることをユーザーが望む英数字および/または単語であるかどうかに関して、ユーザーからフィードバックを受け取る工程を含み、
前記英数字または単語が正しいというユーザーからのフィードバックを受け取ったことに応答して、電子システムに入力を送信する」ことを意味している。

(**)例えば、特開2008-39401号公報(【0019】、【0020】、【図4】、【図5】)、特開平9-50363号公報(【0063】、【0064】、【図5】)、特開2004-303251号公報(【0032】、【0033】)を参照されたい。

また、本願補正発明の構成によってもたらされる効果は、刊行物1発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得た構成のものが奏するであろうと当業者が予測し得る範囲を超えるものではなく、本願発明の進歩性を肯定する根拠となり得るものではない。

よって、本願補正発明は、刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(3)補正却下のまとめ
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
上述のとおり、平成26年9月19日付けの手続補正は却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成26年4月23日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-6の記載により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、上記「第2 1.[補正前の請求項1]」の記載により特定される次のとおりのものである。

[本願発明]
ユーザーからの入力を受け取る方法であって、
前記方法は、
ユーザーの手の届く範囲の表面を提供する工程と、
ユーザーが触れる表面上の複数の位置を検知する工程と、
表面上の複数の触れられた位置にもっとも類似した形状を有する英数字を決定する工程と、
英数字および/または英数字が含まれる単語をユーザーに知らせる工程と、
英数字および/または単語が、決定する工程で決定されることをユーザーが望む英数字および/または単語であるかどうかに関して、ユーザーからフィードバックを受け取る工程を含み、
前記英数字または単語が正しいというユーザーからのフィードバックを受け取ったことに応答して、電子システムに入力を送信する工程をさらに備え、入力は英数字または単語に依存している
ことを特徴とする方法。

2.刊行物に記載された発明
刊行物1の記載事項及び刊行物1発明は、上記「第2 2.(2)イ 刊行物に記載された発明」に記載したとおりである。

3.本願発明と刊行物1発明との対比・判断
本願発明は、上述した本願補正発明の補正により限定した「カメラを用いて」との構成を省いたものであるから、本願発明と刊行物1発明との対比は、上記の省いた構成を除いて上記「第2 2.(2)ウ.本願補正発明と刊行物1発明との対比」と同様にでき、また、上記の省いた構成は、本願補正発明と刊行物1発明との相違点1に係る構成である。
よって、本願発明と刊行物1発明との一致点は、本願補正発明と刊行物1発明との上記一致点と同じものであり、本願発明と刊行物1発明との相違点は上記相違点2と同じもののみであって、それに対する判断は、上記「第2 2.(2)エ.判断 相違点2について」で述べたとおりである。
したがって、本願発明は、刊行物1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-07-22 
結審通知日 2015-07-27 
審決日 2015-08-10 
出願番号 特願2012-526989(P2012-526989)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩崎 志保  
特許庁審判長 和田 志郎
特許庁審判官 千葉 輝久
桜井 茂行
発明の名称 自動車用のジェスチャーに基づいた情報およびコマンドの入力  
代理人 清原 義博  
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