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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G09B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G09B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09B
管理番号 1309367
審判番号 不服2015-7213  
総通号数 194 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-04-16 
確定日 2016-01-04 
事件の表示 特願2011-104574「地図出力装置、地図出力方法、およびプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成24年11月29日出願公開、特開2012-234133〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成23年5月9日の出願であって、平成26年10月31日付けで手続補正書が提出され、平成27年1月15日付けで拒絶の査定がなされ、これに対し、平成27年4月16日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされると同時に手続補正書が提出されて特許請求の範囲を補正する手続補正がなされたものである。


第2 平成27年4月16日付け手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容

本件補正は、特許請求の範囲について、下記(1)に示す本件補正前の(すなわち、平成26年10月31日付けで提出された手続補正書により補正された)特許請求の範囲を、下記(2)に示す特許請求の範囲へと補正することを含むものである。

(1)本件補正前の特許請求の範囲
「【請求項1】
地図に関する情報であり、地図上の地点を示す1以上の地点情報を有する情報である地図情報が格納される地図情報格納部と、
地点情報に対応する情報であり、当該地点情報が示す地点の知名度を示す情報である1以上の知名度情報が格納される知名度管理情報格納部と、
地図情報を出力する指示である地図出力指示を受け付ける受付部と、
位置を示す情報である位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記地図出力指示の受け付けに応じて、前記地図情報格納部から、当該地図出力指示に対応する地図情報を取得する、または、前記位置情報の取得に応じて、前記地図情報格納部から、当該位置情報に対応する地図情報を取得する地図情報取得部と、
前記地図情報の取得後に、前記知名度管理情報格納部から、前記地図情報取得部が取得した地図情報が有する1以上の各地点情報に対応する知名度情報を取得する知名度情報取得部と、
前記地図情報取得部が取得した地図情報が有する地点情報と、前記知名度情報取得部が取得した知名度情報とを対応付け、当該地図情報と知名度情報とを出力する出力部とを備える地図出力装置。
【請求項2】
前記知名度情報は、Web上の1以上のサーバ装置から取得することが可能な情報である請求項1記載の地図出力装置。
【請求項3】
地点情報に対応する情報であり、前記知名度情報の元となる情報である知名度元情報を、Web上の1以上のサーバ装置から受信する知名度元情報受信部と、
前記知名度元情報受信部が受信した知名度元情報を、知名度元情報から知名度情報への変換方法を示す情報である知名度変換情報を用いて、知名度情報に変換し、当該知名度情報を前記地点情報に対応付けて前記知名度管理情報格納部に蓄積する知名度管理情報蓄積部とをさらに備える請求項1または請求項2記載の地図出力装置。
【請求項4】
前記知名度情報取得部による知名度情報の取得の際には、1以上の知名度情報が前記知名度管理情報格納部に予め格納されている請求項1から請求項3いずれか一項に記載の地図出力装置。
【請求項5】
前記知名度情報取得部は、
予め決められた閾値以上の知名度情報を取得する請求項1から請求項4いずれか一項に記載の地図出力装置。
【請求項6】
地図に関する情報であり、地図上の地点を示す1以上の地点情報を有する情報である地図情報が格納される地図情報格納部と、
地点情報に対応する情であり、当該地点情報が示す地点の知名度を示す情報である1以上の知名度情報が格納される知名度管理情報格納部と、
受付部と、位置情報取得部と、地図情報取得部と、知名度情報取得部と、出力部とを用いて行われる地図出力方法であって、
前記受付部が、
地図情報を出力する指示である地図出力指示を受け付ける受付ステップと、
前記位置情報取得部が、
位置を示す情報である位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記地図情報取得部が、
前記地図出力指示の受け付けに応じて、前記地図情報格納部から、当該地図出力指示に対応する地図情報を取得する、または、前記位置情報の取得に応じて、前記地図情報格納部から、当該位置情報に対応する地図情報を取得する地図情報取得ステップと、
前記知名度情報取得部が、
前記地図情報の取得後に、前記知名度管理情報格納部から、前記地図情報取得部が取得した地図情報が有する1以上の各地点情報に対応する知名度情報を取得する知名度情報取得ステップと、
前記出力部が、
前記地図情報取得部が取得した地図情報が有する地点情報と、前記知名度情報取得部が取得した知名度情報とを対応付け、当該地図情報と知名度情報とを出力する出力ステップとを備える地図出力方法。
【請求項7】
地図に関する情報であり、地図上の地点を示す1以上の地点情報を有する情報である地図情報が格納される地図情報格納部と、
地点情報に対応する情報であり、当該地点情報が示す地点の知名度を示す情報である1以上の知名度情報が格納される知名度管理情報格納部とにアクセス可能なコンピュータを、地図情報を出力する指示である地図出力指示を受け付ける受付部、
位置を示す情報である位置情報を取得する位置情報取得部、
前記地図出力指示の受け付けに応じて、前記地図情報格納部から、当該地図出力指示に対応する地図情報を取得する、または、前記位置情報の取得に応じて、前記地図情報格納部から、当該位置情報に対応する地図情報を取得する地図情報取得部、
前記地図情報の取得後に、前記知名度管理情報格納部から、前記地図情報取得部が取得した地図情報が有する1以上の各地点情報に対応する知名度情報を取得する知名度情報取得部、
前記地図情報取得部が取得した地図情報が有する地点情報と、前記知名度情報取得部が取得した知名度情報とを対応付け、当該地図情報と知名度情報とを出力する出力部として機能させるためのプログラム。」

(2)本件補正後の特許請求の範囲
「【請求項1】
地図に関する情報であり、地図上の地点を示す1以上の地点情報を有する情報である地図情報が格納される地図情報格納部と、
地点情報に対応する情報であり、当該地点情報が示す地点の知名度を示す情報である1以上の知名度情報が格納される知名度管理情報格納部と、
地図情報を出力する指示である地図出力指示を受け付ける受付部と、
現在位置を示す現在位置情報または地図情報の表示領域を特定する表示位置情報である位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記地図出力指示の受け付けに応じて、前記地図情報格納部から、当該地図出力指示に対応する地図情報を取得する、または、前記位置情報の取得に応じて、前記地図情報格納部から、当該位置情報に対応する地図情報を取得する地図情報取得部と、
前記地図情報の取得後に、前記知名度管理情報格納部から、前記地図情報取得部が取得した地図情報が有する1以上の各地点情報に対応する知名度情報を取得する知名度情報取得部と、
前記地図情報取得部が取得した地図情報が有する地点情報と、前記知名度情報取得部が取得した知名度情報とを対応付け、当該地図情報と知名度情報とを出力する出力部とを備える地図出力装置。
【請求項2】
前記知名度情報は、Web上の1以上のサーバ装置から取得することが可能な情報である請求項1記載の地図出力装置。
【請求項3】
地点情報に対応する情報であり、前記知名度情報の元となる情報である知名度元情報を、
Web上の1以上のサーバ装置から受信する知名度元情報受信部と、
前記知名度元情報受信部が受信した知名度元情報を、知名度元情報から知名度情報への変換方法を示す情報である知名度変換情報を用いて、知名度情報に変換し、当該知名度情報を前記地点情報に対応付けて前記知名度管理情報格納部に蓄積する知名度管理情報蓄積部とをさらに備える請求項1または請求項2記載の地図出力装置。
【請求項4】
前記知名度情報取得部による知名度情報の取得の際には、1以上の知名度情報が前記知名度管理情報格納部に予め格納されている請求項1から請求項3いずれか一項に記載の地図出力装置。
【請求項5】
前記知名度情報取得部は、
予め決められた閾値以上の知名度情報を取得する請求項1から請求項4いずれか一項に記載の地図出力装置。
【請求項6】
地図に関する情報であり、地図上の地点を示す1以上の地点情報を有する情報である地図情報が格納される地図情報格納部と、
地点情報に対応する情報であり、当該地点情報が示す地点の知名度を示す情報である1以上の知名度情報が格納される知名度管理情報格納部と、
受付部と、位置情報取得部と、地図情報取得部と、知名度情報取得部と、出力部とを用いて行われる地図出力方法であって、
前記受付部が、
地図情報を出力する指示である地図出力指示を受け付ける受付ステップと、
前記位置情報取得部が、
現在位置を示す現在位置情報または地図情報の表示領域を特定する表示位置情報である位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記地図情報取得部が、
前記地図出力指示の受け付けに応じて、前記地図情報格納部から、当該地図出力指示に対応する地図情報を取得する、または、前記位置情報の取得に応じて、前記地図情報格納部から、当該位置情報に対応する地図情報を取得する地図情報取得ステップと、
前記知名度情報取得部が、
前記地図情報の取得後に、前記知名度管理情報格納部から、前記地図情報取得部が取得した地図情報が有する1以上の各地点情報に対応する知名度情報を取得する知名度情報取得ステップと、
前記出力部が、
前記地図情報取得部が取得した地図情報が有する地点情報と、前記知名度情報取得部が取得した知名度情報とを対応付け、当該地図情報と知名度情報とを出力する出力ステップとを備える地図出力方法。
【請求項7】
地図に関する情報であり、地図上の地点を示す1以上の地点情報を有する情報である地図情報が格納される地図情報格納部と、
地点情報に対応する情報であり、当該地点情報が示す地点の知名度を示す情報である1以上の知名度情報が格納される知名度管理情報格納部とにアクセス可能なコンピュータを、地図情報を出力する指示である地図出力指示を受け付ける受付部、
現在位置を示す現在位置情報または地図情報の表示領域を特定する表示位置情報である位置情報を取得する位置情報取得部、
前記地図出力指示の受け付けに応じて、前記地図情報格納部から、当該地図出力指示に対応する地図情報を取得する、または、前記位置情報の取得に応じて、前記地図情報格納部から、当該位置情報に対応する地図情報を取得する地図情報取得部、
前記地図情報の取得後に、前記知名度管理情報格納部から、前記地図情報取得部が取得した地図情報が有する1以上の各地点情報に対応する知名度情報を取得する知名度情報取得部、
前記地図情報取得部が取得した地図情報が有する地点情報と、前記知名度情報取得部が取得した知名度情報とを対応付け、当該地図情報と知名度情報とを出力する出力部として機能させるためのプログラム。」(下線は審決で付した。以下同じ。)

2 補正目的について
本件補正により、本件補正前の請求項1、6、及び7の「位置を示す位置情報」を、「現在位置を示す現在位置情報または地図情報の表示領域を特定する表示位置情報である位置情報」と補正する事項(以下「補正事項」という。)が追加されたものである。
上記補正事項は、本件補正前の請求項1の「地図出力装置」における「位置を示す位置情報」を「現在位置を示す現在位置情報または地図情報の表示領域を特定する表示位置情報である位置情報」と具体的に特定したものであるから、上記補正事項は、特許法第17条の2第5項第2号に係る「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
また、上記補正事項は、特許法第17条の2第3項及び第4項に違反するところはない。

3 独立特許要件について
そこで,本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明は、平成27年4月16日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、上記「1 (2)本件補正後の特許請求の範囲」の【請求項1】に記載したとおりのものと認める。

(2)引用刊行物
本願の出願前に頒布された特開2006-139412号公報(以下「刊行物」という。)には、以下の記載がある。
ア 「【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部と通信を行うための通信手段と、
あらかじめ所定の記憶領域に格納された地点名又は外部から読み込んだ地点名に基づいて、地点に関する地点情報を前記通信手段を介してWebサーバから収集する収集手段と、
収集された前記地点情報に含まれる住所情報を抽出し、抽出された前記住所情報に基づいて前記地点の位置情報を算出する位置算出手段と、
前記位置情報が算出された前記地点情報の件数を集計する解析手段と、
あらかじめ所定の記憶領域に格納された地図情報又は外部から読み込んだ地図情報のうち、前記位置算出手段によって算出された前記地点の位置情報に基づいて、前記地点の所定の周辺領域の地図を表示手段に表示させるとともに、前記解析手段によって集計された前記地点情報の件数の関数に相当する面積からなる領域を有する、前記表示手段に表示させる際の表示形体を生成し、生成された前記表示形体を前記地図上に前記地点の位置情報に基づいて表示させる表示制御手段とを、
有する情報閲覧装置。」
イ 「【背景技術】
【0002】
従来から、収集した目的地に関するWeb情報を目的地の位置情報に関連付けて地図上に表示し、表示されたWeb情報を閲覧させる装置が下記の特許文献1及び2に開示されている。特許文献1及び2に開示されているような装置によれば、目的地に関するWeb情報を容易に得ることが可能となる。
【特許文献1】特開平10-103977号公報(段落0006、図1)
【特許文献2】特開平10-300490号公報(段落0006、0007、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1及び2に記載の発明では、Web情報の分布を直感的に把握できる視覚的な表示手法については開示されておらず、収集された目的地における各地点の情報量や特性を概観して比較などをすることができないという問題がある。」
ウ 「【0019】
まず、本発明の実施の形態に係る情報閲覧装置の構成について図1を用いて説明する。図1に示すように、情報閲覧装置100は、通信インタフェース101、検索エンジン部102、アドレスマッチング部103、Web情報解析部104、表示デバイス105、地図表示部106、Web情報表示部107、地点情報格納部108、地図情報格納部109、選択受付部110から構成されている。通信インタフェース101は上述の通信手段に、検索エンジン部102は上述の収集手段に、アドレスマッチング部103は上述の位置算出手段に、Web情報解析部104は上述の解析手段に、表示デバイス105は上述の表示手段に、地図表示部106は上述の表示制御手段に、Web情報表示部107は上述の表示制御手段に、地点情報格納部108は上述の地点情報格納手段に、選択受付部110は上述の選択受付手段にそれぞれ相当する。
【0020】
検索エンジン部102は、あらかじめ不図示の所定の記憶領域に格納された地点名又は外部から読み込んだ地点名に基づいて、検索エンジンを用いてWWW(World Wide Web)サーバ111(以下、単にWebサーバとも言う)から地点に関する地点情報を通信インタフェース101を介して収集する。ここでの地点名は、例えば「○○ランド」などの名称であるが、「○○県○○市」などといった市区町村名であってもよい。市区町村名の場合、その市区町村にある観光スポットなどの場所(例えば、××博物館)とその住所とをペアにして収集するようにしてもよい。この地点名の情報は、情報閲覧装置100の所定の記憶領域にあらかじめ格納されたものでもよく、また外部(地点名が蓄積されたCD-ROMなどの記録媒体)から読み込むものであってもよい。また、地点情報とは、ある地点名によって検索エンジンでヒットしたURL(Uniform Resource Locator)に対応するページに記載された情報を言う。また、通信インタフェース101は、例えばFTTH(Fiber To The Home)、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)、無線LAN、Ethernet(登録商標)(100Base-Tなど)などである。
【0021】
アドレスマッチング部103は、収集された情報(以下、地点情報とも言う)、例えば「○○ランド」に関する情報のそれぞれに対して、HTML(Hyper Text Markup Language)構造の解析をして住所情報を抽出し、抽出された住所情報に基づいて地点の位置情報を算出する。ここで、住所情報とは、所在を示す情報であって、例えば「○○県○○市○○1-2-3」などという情報を言う。また、位置情報とは、抽出された住所情報から求められる地点の地理的位置であって、例えば緯度及び経度の情報を言う。具体的には、アドレスマッチング部103は、例えば、図2に示すような住所文字列と座標情報(緯度及び経度など)とが関連付けられたテーブルに基づいて、抽出された住所情報から地点の位置情報を算出している。このテーブルは不図示の所定の記憶領域に格納されている。そして、アドレスマッチング部103は、位置情報が算出された地点情報を地点情報格納部108に格納する。なお、アドレスマッチング部103は、住所情報を抽出できない、又は位置情報を算出できない地点情報に関しては、破棄するようにしてもよい。
【0022】
Web情報解析部104は、地点情報格納部108に格納された地点情報の件数を集計する。例えば、「○○ランド:100件」といったように件数を集計する。また、Web情報解析部104は、地点情報格納部108に格納された地点情報の文字列に対して、例えば自然言語処理技術などを用いた言語解析を行い、地点情報が評判に関する情報か否かを解析し、評判に関する情報とそれ以外に関する情報とに分類する。ここで、自然言語処理技術とは、人間が日常的に使っている自然言語をコンピュータに理解及び処理させる一連の技術を言う。自然言語処理技術の具体的技術には、形態素解析、構文解析などがある。形態素解析とは、自然言語で書かれた文章を形態素(単語)の列に分割し、品詞を見分けるものを言う。構文解析とは、ある文章の文法的な関係を解析することを言う。
【0023】
表示デバイス105は、あらかじめ地図情報格納部109に格納された地図情報又は外部から読み込まれた地図情報や、Web情報表示部107によって後述する表示形体などを表示するものであり、例えば液晶ディスプレイなどである。地図表示部106は、地図情報格納部109に格納された地図情報又は外部から読み込まれた地図情報を表示デバイス105に表示させる。具体的には、地図表示部106は、アドレスマッチング部103によって算出された「○○ランド」の位置情報に基づいて、「○○ランド」の所定の周辺領域の地図を表示デバイス105に表示させる。所定の周辺領域とは、例えば位置情報を中心とした半径5km以内の領域を言う。ただし、所定の周辺領域は、これに限られるものではない。また、外部から読み込まれた地図情報とは、例えば地図情報が格納されたCD-ROMなどの記録媒体から情報閲覧装置100によって読み込まれた地図情報を言う。
【0024】
Web情報表示部107は、Web情報解析部104によって集計された地点情報の件数の関数に相当する面積からなる領域を有する表示形体を生成し、生成された表示形体を地図上に地点の位置情報に基づいて表示させる。ここでの関数とは、地点情報の件数が増加するにつれて、表示される面積の領域が大きくなるような関数を言い、例えば比例的な関数や対数的な関数を言う。なお、件数の関数に相当する面積とあるが、3次元表示の場合には、この面積は体積などに相当する。また、表示形体とは、表示デバイス105に表示させる際の表示の態様を言い、例えば円形状、円筒形状などである。
【0025】
具体的には、Web情報表示部107は、Web情報解析部104によって地点情報が集計され、「○○ランド」に関する地点情報が100件あった場合に、100件に相当する、例えば円形状を生成し、生成した円形状を「○○ランド」の位置情報、例えば緯度x度、経度y度に基づいて、表示デバイス105に表示されている地図上の相当する位置に表示させる。また、Web情報表示部107は、Web情報解析部104によって分類された評判に関する情報とそれ以外に関する情報との件数の割合を、表示形体と共に表示デバイス105に表示させる。また、Web情報表示部107は、Web情報解析部104によって分類された評判に関する情報とそれ以外に関する情報との件数の割合を表示させる場合に、表示デバイス105に表示されている表示形体の表示領域を、分類された評判に関する情報とそれ以外に関する情報との件数の割合に基づいて区分けして表示させることも可能である。
【0026】
ここで、Web情報表示部107は、1つの地点、例えば「○○ランド」のみの表示形体を表示デバイス105に表示させるだけでなく、複数の地点、例えば後述する図3に示す「○○ランド」、「××博物館」、「▲▲観音」、「○○○ワールド」、「道の駅○○○」、「◇◇◇王国」のそれぞれの表示形体を表示デバイス105に表示させることも可能である。それぞれの地点に関して、上述したような処理を行い、それぞれの情報を所定の記憶領域に格納しておくことにより、複数の表示形体の表示も可能となる。また、Web情報表示部107は、例えば件数(ヒット件数)の多い10の地点についてのみ表示させるようにすることも可能である。このように、Web情報表示部107は、フィルタリングを行うことにより、所望の情報内容を閲覧させることができる。なお、上述した地図表示部106の処理とWeb情報表示部107の処理とを1つの制御部が行うようにしてもよい。
【0027】
ここで、表示デバイス105に表示された表示例について図3及び図4を用いて説明する。図3は表示形体が円形状の3D表示の表示例である。なお、3D表示させるだけでなく2次元表示させることも可能であるが、後述する図3?図6では3D表示の場合について説明する。図3に示すように、表示デバイス105の表示画面300には、地図301と複数の円形状の表示形体が表示されている。図3から、「○○ランド」が100件で最も件数が多く、「××博物館」が70件で2番目に件数が多いことがわかる。ここで、表示デバイス105に表示された表示形体にユーザが触れたりすることによって選択することにより、選択受付部110は、選択された表示形体がどれかを識別し、選択された表示形体がどれかをWeb情報表示部107に通知し、Web情報表示部107は、選択された表示形体の地点情報の一覧などを表示デバイス105に表示させる。そして、表示された一覧の中からユーザが所望の地点情報を閲覧するために、表示デバイス105上を触れたりすることで、Web情報表示部107はユーザが所望する地点情報の内容を表示させることも可能である。後述する図4から図6においても同様に考えられる。このように、Web上に存在するその地点に関する情報を視覚的に判断できるため容易に閲覧することができる。なお、図3の表示画面300の右下隅には距離の目安となるバーが表示されているが、このバーは表示しないように設定することも可能である。後述する図4から図6においても同様である。
【0028】
図4は表示形体が円筒形状の3D表示の表示例である。図4に示すように、地図400上に複数の円筒形状の表示形体が表示されている。図4からも、図3と同様に「○○ランド」が100件で最も件数が多く、「××博物館」が70件で2番目に件数が多いことがわかる。ここで、図3及び図4のように件数が表示形体で表されるだけでなく、上述したように、収集した情報を口コミ情報や個人の感想情報などの評判情報とそれ以外の情報とに分類して、例えば色分けして表示するようにすることも可能である。評判情報とそれ以外の情報との分類は、上述したようにWeb情報解析部104によって自然言語処理技術を用いてなされる。そして、Web情報表示部107によって表示デバイス105に表示される。
【0029】
ここで、評判情報とそれ以外の情報とに分類した表示例を図5を用いて説明する。図5は図4の円筒形状を用いた表示例である。なお、図3の円形状を用いても表示することは可能である。図5に示すように、例えば「○○ランド」に関しては、円筒形状の表示領域は、ある色で表示された表示領域500と他の色で表示された表示領域501とに色分けされている。この場合、例えば、表示領域500が評判情報を示し、表示領域501がそれ以外の情報を示している。他の地点「××博物館」などに関しても同様に考えられる。なお、上述のように表示領域を色分けせずに、評判情報とそれ以外の情報との件数を表示する、又は割合を表示するようにしてもよい。このようにすることにより、個人の感想などの生の声の情報がWeb上にどれくらい存在するのか視覚的に概観・比較することができる。
【0030】
また、娯楽・観光(遊園地、テーマパークなど)、宿泊施設(ホテル、旅館など)、飲食施設(レストラン、中華料理店、蕎麦屋など)などのカテゴリに分けて、カテゴリごとに色分けをして表示させるようにしてもよい。この場合の表示例を図6を用いて説明する。図6は図4の円筒形状を用いた表示例である。なお、図3の円形状を用いても表示することは可能である。図6に示すように、例えば、「○○ランド」は娯楽・観光のカテゴリに属することから、娯楽・観光のカテゴリの所定の色(例えば、赤色)で円筒形状の表示領域600が表示され、「■■ホテル」は宿泊施設のカテゴリに属することから、宿泊施設のカテゴリの所定の色(例えば、青色)で円筒形状の表示領域601が表示され、「□□レストラン」は飲食施設のカテゴリに属することから、飲食施設のカテゴリの所定の色(例えば、黄色)で円筒形状の表示領域602が表示される。
【0031】
次に、本発明の実施の形態に係る情報閲覧装置における情報の表示処理フローについて図7を用いて説明する。図7に示すように、検索エンジン部102は、あらかじめ所定の記憶領域に格納された地点名又は外部から読み込んだ地点名に基づいて、検索エンジンを用いてWebサーバ111から地点に関する地点情報を通信インタフェース101を介して収集しておく(ステップS701)。アドレスマッチング部103は、収集された地点情報、例えば「○○ランド」に関する情報のそれぞれに対して、HTML構造の解析をして住所情報を抽出し、抽出された住所情報に基づいて地点の位置情報を算出する(ステップS702)。Web情報解析部104は、アドレスマッチング部103によって地点情報格納部108に格納された地点情報の件数を集計する(ステップS703)。
【0032】
地図表示部106は、地図情報格納部109に格納された地図情報を表示デバイス105に表示させる(ステップS704)。Web情報表示部107は、Web情報解析部104によって集計された地点情報の件数を反映させた表示形体を生成し、生成された表示形体を地図上に地点の位置情報に基づいて表示させる(ステップS705)。なお、Web情報表示部107は、Web情報解析部104による評判情報とそれ以外の情報との分類に基づいて、図5のように表示デバイス105に表示させることも可能である。また、図6のようにカテゴリ別に色分けして表示デバイス105に表示させることも可能である。
【0033】
以上のように、本発明の実施の形態に係る情報閲覧装置によれば、旅行時に特定の地域周辺の観光スポットなどを探索する場合に、Web上でどれくらいの情報が存在するのかを視覚的に比較しながら探索することが可能となる。さらに、地図上に表示された表示形体(地点)を選択することでWeb上に存在するその地点に関する公式情報や評判情報を容易に閲覧することが可能となり、面倒なキーワード検索などを行うことなく、旅行のプランニングをすることが可能となる。」



オ 【図3】より、表示デバイスの表示画面に表示された地図301に、解析手段によって集計された地点情報の件数の関数に相当する面積からなる領域を有する表示形体が、地点名と共に、表示されていることが看取できる。



キ 【図7】より、情報閲覧装置における情報の表示処理フローが、「開始」後、検索エンジン部は、Webサーバから地点情報を収集するステップ、アドレスマッチング部は、地点の位置情報を算出するステップ、Web情報解析部は、地点情報の件数を集計するステップ、地図表示部は、地図情報を表示デバイスに表示させるステップ、Web情報表示部は、地点情報の件数を反映させた表示形体を生成し、地図上に地点の位置情報に基づいて表示させるステップ、からなることが看取できる。

そうすると、上記ア乃至キの記載事項から、刊行物には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「外部と通信を行うための通信手段と、
例えば「○○ランド」などの名称、「○○県○○市」などといった市区町村名、市区町村名の場合、その市区町村にある観光スポットなどの場所(例えば、××博物館)とその住所とのペアであって、あらかじめ所定の記憶領域に格納された地点名又は外部から読み込んだ地点名に基づいて、検索エンジンでヒットしたURL(Uniform Resource Locator)に対応するページに記載された情報である地点情報を前記通信手段を介してWebサーバから収集する収集手段と、
収集された前記地点情報に含まれる住所情報を抽出し、抽出された前記住所情報に基づいて前記地点の位置情報を算出する位置算出手段と、
前記位置情報が算出された前記地点情報の件数を集計する解析手段と、
あらかじめ地図情報格納部に格納された地図情報又は外部から読み込んだ地図情報のうち、前記位置算出手段によって算出された前記地点の位置情報に基づいて、前記地点の所定の周辺領域の地図を表示手段に表示させるとともに、前記解析手段によって集計された前記地点情報の件数の関数に相当する面積からなる領域を有する、前記表示手段に表示させる際の表示形体を生成し、生成された前記表示形体を前記地図上に前記地点の位置情報に基づいて地点名と共に、表示させる表示制御手段とを有し、
情報の表示処理フローが、「開始」後、検索エンジン部は、Webサーバから地点情報を収集するステップ、アドレスマッチング部は、地点の位置情報を算出するステップ、Web情報解析部は、地点情報の件数を集計するステップ、地図表示部は、地図情報を表示デバイスに表示させるステップ、Web情報表示部は、地点情報の件数を反映させた表示形体を生成し、地図上に地点の位置情報に基づいて表示させるステップ、からなる、情報閲覧装置。」

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用発明とを対比すると、
ア 後者の「地図」、「地点」、「地点名」、「地図情報」及び「地図情報格納部」は、それぞれ、前者の「地図」、「地点」、「地点情報」、「地図情報」及び「地図情報格納部」、に相当する。
イ 本願明細書の【0026】には、「知名度情報は、例えば、対応する地点名称をWeb上の検索エンジンで検索した際の検索件数(ヒット件数)」と記載されており、引用発明の「地点情報」は、あらかじめ所定の記憶領域に格納された地点名又は外部から読み込んだ地点名に基づいて、検索エンジンでヒットしたURL(Uniform Resource Locator)に対応するページに記載された情報であるから、引用発明の「地点情報の件数」本願補正発明の「知名度」に相当する。
そうすると、引用発明の「解析手段」が、「地点情報の件数」を集計するものであること、及び、引用発明の「表示制御手段」が、解析手段によって集計された「地点情報の件数」の関数に相当する面積からなる領域を有する、表示手段に表示させる際の表示形体を生成していることから、引用発明の「情報閲覧装置」が、集計した「地点情報の件数」を格納していることは明らかである。そして、引用発明の「情報閲覧装置」は、地点情報に対応する情報であり、地点情報が示す地点の知名度を示す情報である1以上の知名度情報が格納される知名度管理情報格納部を有するものであることは明らかである。
したがって、引用発明は、地点情報に対応する情報であり、当該地点情報が示す地点の知名度を示す情報である1以上の知名度情報が格納される知名度管理情報格納部を有するといえる。
ウ 一般に、情報処理装置における処理フローは、何らかの指示・命令により開始されるものであって、情報処理装置が、該指示・命令を受け付ける手段を有することは明らかな事項である。
そうすると、引用発明は、地図、表示形体及び地点名を表示させるものであるから、地図情報を出力する指示である地図出力指示を受け付ける受付部を有することは明らかである。
エ 後者の「地点の位置情報」は、それに基づいて、地点の所定の周辺領域の地図を表示手段に表示させるものであるから、前者の「地図情報の表示領域を特定する表示位置情報である位置情報」に相当する。
オ 後者の「位置算出手段」は、地点情報に含まれる住所情報に基づいて位置情報を算出するものであるから、前者の「位置情報取得部」に相当する。
カ 引用発明における表示処理フローは、「地図表示部は、地図情報を表示デバイスに表示させるステップ、Web情報表示部は、地点情報の件数を反映させた表示形体を生成し、地図上に地点の位置情報に基づいて表示させるステップ」というように、地図情報を表示デバイスに表示させた後に、地点情報の件数を反映させた表示形体を生成するものである。
すなわち、引用発明は、地点の地点情報の件数を反映させた表示形体を生成する前に、地図上の地点の位置情報に基づいて地図情報を地図情報格納部から取得しているものであるから、地図情報の取得後に、知名度管理情報格納部から、地図情報取得部が取得した地図情報が有する1以上の各地点情報に対応する知名度情報を取得する知名度情報取得部を有するといえる。
キ 後者の「表示制御手段」は、地点の位置情報に基づいて、地点の所定の周辺領域の地図を地点名と共に、表示手段に表示させるものであるから、地図情報取得部が取得した地図情報が有する地点情報と、当該地図情報とを出力する出力部を備えるといえる。
ク 引用発明の「表示制御手段」は、地点情報の件数を反映させた表示形体を地図上に地点の位置情報に基づいて地点名と共に、表示させるものであるから、引用発明は、地図情報取得部が取得した地図情報が有する地点情報と、知名度情報取得部が取得した知名度情報とを対応付け、地図情報と知名度情報とを出力する出力部を有するといえる。
ケ 後者の「情報閲覧装置」は、表示デバイスに、地図情報と、地点情報の件数を反映させた表示形体を、地図上の地点の位置情報に基づいて表示させるものであるから、「地図出力装置」との概念で共通する。

してみると、両者に実質的な差異はなく、本願補正発明の発明特定事項は、すべて引用発明が備えているから、本願補正発明は、引用発明と同一である。

したがって,本願補正発明は,引用発明であるから,特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

(5)むすび
以上のとおりであって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成26年10月31日付けの特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。
「地図に関する情報であり、地図上の地点を示す1以上の地点情報を有する情報である地図情報が格納される地図情報格納部と、
地点情報に対応する情報であり、当該地点情報が示す地点の知名度を示す情報である1以上の知名度情報が格納される知名度管理情報格納部と、
地図情報を出力する指示である地図出力指示を受け付ける受付部と、
位置を示す情報である位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記地図出力指示の受け付けに応じて、前記地図情報格納部から、当該地図出力指示に対応する地図情報を取得する、または、前記位置情報の取得に応じて、前記地図情報格納部から、当該位置情報に対応する地図情報を取得する地図情報取得部と、
前記地図情報の取得後に、前記知名度管理情報格納部から、前記地図情報取得部が取得した地図情報が有する1以上の各地点情報に対応する知名度情報を取得する知名度情報取得部と、
前記地図情報取得部が取得した地図情報が有する地点情報と、前記知名度情報取得部が取得した知名度情報とを対応付け、当該地図情報と知名度情報とを出力する出力部とを備える地図出力装置。」(以下「本願発明」という。)

2 引用刊行物
平成26年9月12日付けの拒絶の理由に引用された刊行物、及び、その記載内容は上記「第2 3 (2)引用刊行物」に記載したとおりである。

3 対比
本願発明は、上記「第2 3 (1)本願補正発明」で検討した本願補正発明の「現在位置を示す現在位置情報または地図情報の表示領域を特定する表示位置情報である位置情報」に関して、「現在」及び「現在位置情報または地図情報の表示領域を特定する表示位置情報である位置」との限定を省くものである。
そうすると、本願発明と引用発明とを対比した場合の相違点は、実質的に、上記「第2 3 (3)対比」で挙げた相違点1乃至相違点5の点となる。
そして、上記「第2 3 (4)判断」における検討内容を踏まえれば、上記相違点1乃至相違点5は、実質的な相違点ではないから、本願発明は、引用発明とを対比した場合の相違点は、実質的にないこととなる。
したがって、本願発明の発明特定事項は、すべて引用発明が備えているから、本願発明は、引用発明と同一である。
したがって,本願発明は,引用発明であるから,特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明に記載されたものであるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。


よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-11-05 
結審通知日 2015-11-06 
審決日 2015-11-18 
出願番号 特願2011-104574(P2011-104574)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G09B)
P 1 8・ 113- Z (G09B)
P 1 8・ 575- Z (G09B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 柴田 和雄  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 藤本 義仁
吉村 尚
発明の名称 地図出力装置、地図出力方法、およびプログラム  
代理人 谷川 英和  

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