• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1309417
審判番号 不服2014-20878  
総通号数 194 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-10-15 
確定日 2016-01-07 
事件の表示 特願2010-168564「触感呈示装置及び触感呈示装置の制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 2月 9日出願公開、特開2012- 27855〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成22年7月27日の出願であって、平成26年7月10日付けで拒絶査定がなされ、平成26年10月15日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正がなされ、当審において、平成27年8月3日付けで拒絶理由を通知したものである。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」と呼ぶ。)は、平成26年10月15日付けの手続補正書の【請求項1】の欄に記載された次のとおりのものである。

「 【請求項1】
タッチセンサと、
該タッチセンサに対する押下荷重を検出する荷重検出部と、
前記タッチセンサのタッチ面を振動させる触感呈示部と、
該触感呈示部の駆動を制御する触感呈示制御部を構成する第1プロセッサと、
前記タッチセンサの出力に基づいて前記触感呈示制御部の動作を制御する主制御部を構成する第2プロセッサと、を備え、
前記第2プロセッサで構成される主制御部は、前記タッチセンサの出力に基づいて前記タッチ面の所定領域へのタッチの有無を判定し、前記所定領域がタッチされている場合、前記第1プロセッサで構成される触感呈示制御部に触感呈示用のパラメータを示す情報が含まれる触感制御指示を送信し、
前記第1プロセッサで構成される触感呈示制御部は、前記第2プロセッサで構成される主制御部から前記触感呈示用のパラメータを示す情報が含まれる触感制御指示を受信すると、前記触感呈示用のパラメータを示す情報が含まれる触感制御指示と、前記押下荷重とに基づいて、前記触感呈示部の駆動を制御することを特徴とする触感呈示装置。」

3.引用発明
平成27年8月3日付けの拒絶理由通知で引用した特開2008-123453号公報(以下、引用例という。)には次の記載がある(下線は、着目箇所を示すために当審で付した。)。

「【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力項目選択用の表示画面の中からアイコン等を選択して情報を入力すると、操作体に触覚を返す情報処理装置や、携帯電話機、情報携帯端末装置等に適用して好適な基板支持振動構造、触覚機能付きの入力装置及び電子機器に関する。
・・・(中略)・・・
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
続いて、この発明に係る基板支持振動構造、触覚機能付きの入力装置及び電子機器の一実施例について、図面を参照しながら説明をする。
・・・(中略)・・・
【実施例4】
・・・(中略)・・・
【0119】
図12は、触覚機能付きの入力装置90の構造例を示す斜視図である。図12に示す入力装置90は、入力項目選択用の表示画面に表示された複数のアイコンの1つに接触して当該表示画面上で入力操作される装置であって、このような情報入力操作時に操作者の指(操作体)に触覚を提示するものである。
【0120】
入力装置90は、上部筐体20、力検出手段55a?55d、本体基板69及びタッチパネル支持振動体300を備えている。この例では、本体基板69に力検出手段55a?55d及びタッチパネル支持振動体300が配置され、上部筐体20を覆うようにして組立てられる。タッチパネル支持振動体300のタッチパネル24と本体基板69上の力検出手段55a?55dとで入力検出手段45を構成する。
【0121】
入力装置90は、入力検出手段45の入力操作に基づいてタッチパネル支持振動体300内の圧電アクチュエータ25a,25bにより操作者の指に触覚を提示するようになされる。この例では、入力検出手段45の入力検出面の一方をX方向とし、当該X方向と直交する他方をY方向とし、X及びY方向と直交する方向をZ方向とする。
【0122】
タッチパネル24はボタンアイコンの選択位置を検出するようになされる。タッチパネル24から得られる入力情報には位置検出情報が含まれる。位置検出情報はボタンアイコン押下時の位置検出信号S1により得られ、制御系に出力される。タッチパネル24には静電容量方式の入力デバイスが使用され、図示しない蓄積電極(透明電極)がマトリクス状に配置されている。
・・・(中略)・・・
【0126】
振動制御信号Sa及びSbは、制御系から圧電アクチュエータ25a、25bに供給される。振動制御信号Sa及びSbは、複数の振動パターンを発生するための信号であって、例えば、表示手段29に表示されたアイコンの1つに操作者が接触(タッチ)すると、圧電アクチュエータ25a及び25bに供給される。
【0127】
また、本体基板69の四隅には、例えば、正方形状の力検出手段55a?55dが設けられ、タッチパネル24に対する操作者の指の押圧力(加圧力)を検出して力検出情報を出力すると共に、当該押下位置に表示された入力情報を確定する。力検出手段55aは、右下隅の入力量(Z方向の押圧力)として、例えば、当該アイコン選択時の力検出信号Sfaを検出する。
【0128】
同様にして、力検出手段55bは、右上隅の入力量(力)として、当該アイコン選択時の力検出信号Sfbを検出し、力検出手段55cは、左上隅の入力量(力)として、当該アイコン選択時の力検出信号Sfcを検出し、力検出手段55dは、左下隅の入力量(力)として、当該アイコン選択時の力検出信号Sfdを各々検出する。これら4個の力検出手段55a?55dは、並列に接続され、これら4つの力検出信号Sfa+Sfb+Sfc+Sfdを制御系に出力する。以下、この合算した信号を入力検出信号S2とする。入力検出信号S2は制御系に出力される。
・・・(中略)・・・
【0130】
次に、触覚入力機能付きの携帯電話機400の制御系の構成例及び感触フィードバック入力方法について説明をする。図13は、触覚入力機能付き携帯電話機400の制御系の構成例を示すブロック図である。
【0131】
図13に示す携帯電話機400は、下部筐体10の回路基板17に各機能のブロックを実装して構成される。なお、図10?図12に示した各部及び手段と対応する部分は、同一符号で示している。携帯電話機400は、制御手段15、操作パネル18、受信部21、送信部22、アンテナ共用器23、入力検出手段45、表示手段29、電源ユニット33、カメラ34、記憶手段35、圧電アクチュエータ25a及び25bを有している。
【0132】
図13に示す入力検出手段45は、図12では静電容量方式の入力デバイスを説明したが、カーソリングと選択の機能を区別できるものであれば何でも良く、例えば、抵抗膜方式、表面波弾性方式(SAW)、光方式、複数段方式タクトスイッチ等の入力デバイスであっても良く、好ましくは位置検出情報と力検出情報を制御手段15に与えられる構成の入力デバイスであれば良い。上述の入力検出手段45は操作者30の指30aを介して少なくとも位置検出信号S1および入力量(押圧力;加圧力F)となる入力検出信号S2が入力される。
【0133】
制御手段15は制御系を構成し、画像処理部26、A/Dドライバ31、CPU32及びアクチュエータ駆動回路37を有している。A/Dドライバ31には、入力検出手段45からの位置検出信号S1および入力検出信号S2が供給される。A/Dドライバ31ではカーソリングとアイコン選択の機能を区別するために位置検出信号S1および入力検出信号S2よりなるアナログ信号をデジタルデータに変換する。この他にA/Dドライバ31は、このデジタルデータを演算処理して、カーソリング入力かアイコン選択情報かを検出し、カーソリング入力かアイコン選択かを区別するフラグデータD3あるいは位置検出情報D1または入力検出情報D2をCPU32に供給するようになされる。これらの演算はCPU32内で実行してもよい。
【0134】
A/Dドライバ31にはCPU32が接続される。CPU32はシステムプログラムに基づいて当該電話機全体を制御するようになされる。記憶手段35には当該電話器全体を制御するためのシステムプログラムデータが格納される。図示しないRAMはワークメモリとして使用される。CPU32は電源オンと共に、記憶手段35からシステムプログラムデータを読み出してRAMに展開し、当該システムを立ち上げて携帯電話機全体を制御するようになされる。例えば、CPU32は、A/Dドライバ31からの位置検出情報D1、入力検出情報D2及びフラグデータD3(以下単に入力データともいう)を受けて所定の指令データDを電源ユニット33や、カメラ34、記憶手段35、アクチュエータ駆動部37、映像&音声処理部44等のデバイスに供給したり、受信部21からの受信データを取り込んだり、送信部2へ送信データを転送するように制御する。
【0135】
この例で、CPU32は、入力検出手段45から得られる入力検出情報D2と予め設定された押下判定閾値Fthとを比較し、当該比較結果に基づいて圧電アクチュエータ25a及び25b等を振動制御するようにアクチュエータ駆動部37を制御する。例えば、入力検出手段45の押下位置における入力検出面から伝播される触覚を”A”及び”B”とすると、触覚”A”は、その押下位置における操作者の指30aの加圧力Fに応じた入力検出面を低周波数かつ小振幅の振動パターンから、高周波数かつ大振幅の振動パターンに変化させることによって得られる。また、触覚”B”は、その押下位置における操作者の指30aの加圧力Fに応じた入力検出面を高周波数かつ大振幅の振動パターンから、低周波数かつ小振幅の振動パターンに変化させることよって得られる。
【0136】
上述のCPU32には記憶手段35が接続され、入力項目選択用の表示画面を、例えば、3次元的に表示するための表示情報D4や、当該表示情報D4に対応したアイコンの選択位置及び振動モードに関する制御情報Dc等が表示画面毎に記憶される。制御情報Dcには、表示手段29におけるアプリケーション(3次元的な表示や、各種表示内容)に同期した複数の異なった触覚を発生でき、その触覚を発生せしめる複数の具体的な振動波形、及び、アプリケーション毎の具体的な触覚発生モードを設定するアルゴリズムが含まれる。記憶手段35には、EEPROMや、ROM、RAM等が使用される。
【0137】
この例でCPU32は、A/Dドライバ31から出力される位置検出情報D1、入力検出情報D2及びフラグデータD3に基づいて表示手段29の表示制御及び圧電アクチュエータ25a及び25bの出力制御をする。例えば、制御手段15は、タッチパネル24から得られる位置検出信号S1及び力検出手段55a?55dから得られる入力検出信号S2に基づいて記憶手段35から制御情報Dcを読み出して圧電アクチュエータ25a及び25bに振動制御信号Sa,Sbを供給する。
【0138】
CPU32は、例えば、入力検出手段45が押下判定閾値Fthを越える入力検出情報D2を検出したとき、触覚”A”を起動し、その後、押下判定閾値Fthを下回る入力検出情報D2を検出したとき、触覚”B”を起動するようにアクチュエータ駆動回路37を制御する。このようにすると、操作者の指30a等の”加圧力”に合わせた異なる振動パターンを発生させることができる。
【0139】
CPU32には、アクチュエータ駆動部37が接続され、CPU32からの制御情報Dcに基づいて振動制御信号Sa,Sbを発生する。振動制御信号Sa,Sbは、正弦波形からなる出力波形を有している。アクチュエータ駆動部37には2個の圧電アクチュエータ25a、25bが接続され、各々の振動制御信号Sa,Sbに基づいて振動するようになされる。
【0140】
この例で、アクチュエータ駆動部37は、各アプリケーションに対応する押下判定閾値Fthを記憶する。例えば、押下判定閾値Fthはトリガーパラメータとしてアクチュエータ駆動回路37に設けられたROM等に予め格納される。アクチュエータ駆動回路37は、CPU32の制御を受けて、入力検出情報D2を入力し、予め設定された押下判定閾値Fthと、入力検出情報D2から得られる加圧力Fとを比較し、Fth>Fの判定処理や、Fth≦F等の判定処理を実行する。」

そして、上記記載事項を、下線部の記載に着目しつつ引用例の関連図面と技術常識に照らせば、次のことがいえる。
ア.図13において「アクチュエータ駆動部37」が、「指令データDと入力検出情報D2をCPU32から受信し、振動制御信号Sa、Sbを圧電アクチュエータ25a、25bに供給するもの」として記載されていることや、それと整合する段落【0139】、【0140】の記載を踏まえると、段落【0135】の「CPU32は、入力検出手段45から得られる入力検出情報D2と予め設定された押下判定閾値Fthとを比較し、当該比較結果に基づいて圧電アクチュエータ25a及び25b等を振動制御するようにアクチュエータ駆動部37を制御する。」という記載は、「CPU32は、(アクチュエータ駆動部37が)入力検出手段45から得られる入力検出情報D2と予め設定された押下判定閾値Fthとを比較し、当該比較結果に基づいて圧電アクチュエータ25a及び25b等を振動制御するようにアクチュエータ駆動部37を制御する。」といった意味であり、その括弧で示す「アクチュエータ駆動部37が」という主語が省略された記載であると解される。
同様に、段落【0137】の「CPU32は、A/Dドライバ31から出力される位置検出情報D1、入力検出情報D2及びフラグデータD3に基づいて表示手段29の表示制御及び圧電アクチュエータ25a及び25bの出力制御をする。」という記載は、「CPU32は、A/Dドライバ31から出力される位置検出情報D1、入力検出情報D2及びフラグデータD3に基づいて(映像&音声処理部44を用いて)表示手段29の表示制御をし、(アクチュエータ駆動部37を用いて)圧電アクチュエータ25a及び25bの出力制御をする。」といった意味に解され、段落【0138】の「CPU32は、例えば、入力検出手段45が押下判定閾値Fthを越える入力検出情報D2を検出したとき、触覚”A”を起動し、その後、押下判定閾値Fthを下回る入力検出情報D2を検出したとき、触覚”B”を起動するようにアクチュエータ駆動回路37を制御する。」という記載は、「CPU32は、例えば、入力検出手段45が押下判定閾値Fthを越える入力検出情報D2を検出した(とアクチュエータ駆動回路37において判断される)とき、触覚”A”を起動し、その後、押下判定閾値Fthを下回る入力検出情報D2を検出した(とアクチュエータ駆動回路37において判断される)とき、触覚”B”を起動するようにアクチュエータ駆動回路37を制御する。」といった意味に解される。

イ.図13に示される制御情報Dcは、段落【0136】に記載されるように、表示情報D4に対応したアイコンの選択位置及び振動モードに関する情報であって、同図13及び段落【0134】、【0139】の記載から明らかなように、CPU32からアクチュエータ駆動部37に送信される所定の指令データDに含まれる情報である。
そして、上記ア.の解釈と、段落【0122】の「タッチパネル24はボタンアイコンの選択位置を検出するようになされる。」という記載、段落【0126】の「振動制御信号Sa及びSbは、・・・例えば、表示手段29に表示されたアイコンの1つに操作者が接触(タッチ)すると、圧電アクチュエータ25a及び25bに供給される。」という記載、上記制御情報Dcが「表示情報D4に対応したアイコンの選択位置及び振動モードに関する情報」とされていること、等を考慮すると、上記CPU32は、「タッチパネル24の出力に基づいて同タッチパネル24のタッチ面の所定領域へのタッチの有無を判定し、前記所定領域がタッチされている場合、前記アクチュエータ駆動回路37に振動モードに関する制御情報Dcが含まれる所定の指令データDを送信する」ように動作するものと認められる。

ウ.上記ア.、イ.を踏まえると、図13に示される「アクチュエータ駆動部37」は、「CPU32から振動モードに関する制御情報Dcが含まれる所定の指令データDを受信すると、前記振動モードに関する制御情報Dcが含まれる所定の指令データDと、操作者の指の押圧力(加圧力)を表す入力検出信号D2とに基づいて、前記圧電アクチュエータ25a、25bの駆動を制御する」ように動作するものと認められる。

以上を踏まえると、引用例には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。
(引用発明)
「タッチパネル24と、
該タッチパネル24に対する操作者の指の押圧力(加圧力)を検出する力検出手段55a?55dと、
前記タッチパネル24のタッチ面を振動させる圧電アクチュエータ25a、25bと、
該圧電アクチュエータ25a、25bの駆動を制御するアクチュエータ駆動回路37と、
前記タッチパネル24の出力に基づいて前記アクチュエータ駆動回路37の動作を制御するCPU32と、を備え、
前記CPU32は、前記タッチパネル24の出力に基づいて前記タッチ面の所定領域へのタッチの有無を判定し、前記所定領域がタッチされている場合、前記アクチュエータ駆動回路37に振動モードに関する制御情報Dcが含まれる所定の指令データDを送信し、
前記アクチュエータ駆動回路37は、前記CPU32から前記振動モードに関する制御情報Dcが含まれる所定の指令データDを受信すると、前記振動モードに関する制御情報Dcが含まれる所定の指令データDと、前記操作者の指の押圧力(加圧力)を表す入力検出信号D2とに基づいて、前記圧電アクチュエータ25a、25bの駆動を制御する携帯電話機400。」

4.対比、判断
本願発明と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
(1)引用発明の「タッチパネル24」は、本願発明の「タッチセンサ」に相当する。
(2)引用発明の「力検出手段55a?55d」は、本願発明の「荷重検出部」に相当する。
(3)引用発明の「圧電アクチュエータ25a、25b」は、本願発明の「触感呈示部」に相当する。
(4)引用例の段落【0140】に記載されるように、引用発明の「アクチュエータ駆動回路37」は自身が有するROM等に格納されるパラメータを用いて所要の判断をするものであるから、プロセッサの一種であり、その果たす役割からみて本願発明の「触感呈示制御部を構成する第1プロセッサ」に相当する。
(5)引用発明の「CPU32」は、その果たす役割からみて、本願発明の「主制御部を構成する第2プロセッサ」に相当する。
(6)引用発明の「CPU32」が、「前記タッチパネル24の出力に基づいて前記タッチ面の所定領域へのタッチの有無を判定し、前記所定領域がタッチされている場合、前記アクチュエータ駆動回路37に振動モードに関する制御情報Dcが含まれる所定の指令データDを送信」することは、本願発明の「第2プロセッサで構成される主制御部」が、「前記タッチセンサの出力に基づいて前記タッチ面の所定領域へのタッチの有無を判定し、前記所定領域がタッチされている場合、前記第1プロセッサで構成される触感呈示制御部に触感呈示用のパラメータを示す情報が含まれる触感制御指示を送信」することに相当する。
(7)引用発明の「アクチュエータ駆動回路37」が、「前記CPU32から前記振動モードに関する制御情報Dcが含まれる所定の指令データDを受信すると、前記振動モードに関する制御情報Dcが含まれる所定の指令データDと、前記操作者の指の押圧力(加圧力)を表す入力検出信号D2とに基づいて、前記圧電アクチュエータ25a、25bの駆動を制御する」ことは、本願発明の「第1プロセッサで構成される触感呈示制御部」が、「前記第2プロセッサで構成される主制御部から前記触感呈示用のパラメータを示す情報が含まれる触感制御指示を受信すると、前記触感呈示用のパラメータを示す情報が含まれる触感制御指示と、前記押下荷重とに基づいて、前記触感呈示部の駆動を制御する」ことに相当する。
(8)引用発明の「携帯電話機400」は、タッチ面を振動させる圧電アクチュエータ25a、25bによって操作者の指に触感を呈示することができるものであり、その触感呈示機能に着目すれば、「触感呈示装置」ともいい得る。

以上を踏まえると、引用発明と本願発明は、
「タッチセンサと、
該タッチセンサに対する押下荷重を検出する荷重検出部と、
前記タッチセンサのタッチ面を振動させる触感呈示部と、
該触感呈示部の駆動を制御する触感呈示制御部を構成する第1プロセッサと、
前記タッチセンサの出力に基づいて前記触感呈示制御部の動作を制御する主制御部を構成する第2プロセッサと、を備え、
前記第2プロセッサで構成される主制御部は、前記タッチセンサの出力に基づいて前記タッチ面の所定領域へのタッチの有無を判定し、前記所定領域がタッチされている場合、前記第1プロセッサで構成される触感呈示制御部に触感呈示用のパラメータを示す情報が含まれる触感制御指示を送信し、
前記第1プロセッサで構成される触感呈示制御部は、前記第2プロセッサで構成される主制御部から前記触感呈示用のパラメータを示す情報が含まれる触感制御指示を受信すると、前記触感呈示用のパラメータを示す情報が含まれる触感制御指示と、前記押下荷重とに基づいて、前記触感呈示部の駆動を制御する触感呈示装置。」
である点で一致し、両者の間に相違点はないといえる。

審判請求人は平成27年10月5日付け意見書において、「引用発明は、CPU32が入力検出情報D2(押圧力;加圧力F)に基づいてアクチュエータ駆動回路37を制御するものであって、アクチュエータ駆動回路37が入力検出情報D2(押圧力;加圧力F)に基づいて圧電アクチュエータ25a及び25bを制御するものではない」旨主張するが、以下の理由で採用できない。
ア.本願発明は、主制御部が押圧荷重にも基づいて触感呈示制御部を制御するものを排除していないので、引用発明が「CPU32が入力検出情報D2(押圧力;加圧力F)にも基づいてアクチュエータ駆動回路37を制御するもの」であることは、本願発明と引用発明とが相違することを意味しない。
イ.引用例の図13と段落【0140】の記載を参酌すれば、「アクチュエータ駆動回路37が入力検出情報D2(押圧力;加圧力F)に基づいて圧電アクチュエータ25a及び25bを制御する」ものといえる、上で認定したとおりの引用発明を当業者が認識できることは明らかである。

4.まとめ
以上のとおりであるから、本願発明は、引用例に記載された発明である。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-11-02 
結審通知日 2015-11-10 
審決日 2015-11-25 
出願番号 特願2010-168564(P2010-168564)
審決分類 P 1 8・ 113- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 森田 充功▲高▼瀬 健太郎  
特許庁審判長 和田 志郎
特許庁審判官 小曳 満昭
山田 正文
発明の名称 触感呈示装置及び触感呈示装置の制御方法  
代理人 杉村 憲司  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ