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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F16L |
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管理番号 | 1309420 |
審判番号 | 不服2014-22557 |
総通号数 | 194 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-02-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-11-05 |
確定日 | 2016-01-07 |
事件の表示 | 特願2010-110132号「配管内の液溜り防止方法及び防止構造」拒絶査定不服審判事件〔平成23年11月24日出願公開、特開2011-236995号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成22年5月12日に出願されたものであって、平成26年1月23日付けで拒絶理由が通知され、同年3月28日に意見書及び手続補正書が提出され、同年8月21日付けで拒絶査定がされ、同年11月5日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正書が提出され、平成27年8月20日付けで当審において拒絶理由が通知され、同年10月16日に意見書が提出されたものである。 第2 当審の判断 1 本願発明 本願の請求項1-4に係る発明は、平成26年11月5日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-4に記載された事項によって特定されるとおりのものであると認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。 「少なくとも液体状の重合性単量体及び/又は結晶を析出し易い溶液を流体とする配管において、流体進行方向に上方に向けて直交する方向に対して、ダイヤフラムの開閉方向が前記配管の周方向に45?90°の範囲で傾くようにダイヤフラムバルブを設置し、前記配管内の流体進行方向が斜め下方に向き、かつ、該流体進行方向と地表面のなす角度が0°よりも大きく30°以下の範囲となるように前記配管を設置することを特徴とする配管内の液溜り防止方法。」 2 刊行物1の記載事項及び刊行物1に記載された発明 (1)刊行物1の記載事項 当審の拒絶の理由において「刊行物1」として示され、本願の出願前に頒布された実願昭60-106310号(実開昭62-15659号)のマイクロフィルムには、以下の事項が記載されている。 「従来、第5図及び第6図に示すように、この種のダイヤフラム弁の弁体1は、ダイヤフラムの開口部2に臨む弁座3の中心Oと流路4、4の中心とが一致して形成される。この開口部3の口径Dが流路4の内径dより大きい場合には、第7図に示すように予め弁体1のA部にいわゆる「トップマーク」を付しておき、ダイヤフラム弁5を水平に布設した配管に取付けるときに、A部のトップマークを真上に向けて、弁軸aを所定の角度αだけ傾斜させることにより、配管内及び弁体内に流体が残らずに自己排液できるようにしている。」(明細書第1ページ第19行-第2ページ第9行) (2)刊行物1に記載された発明 上記(1)と第5-7図の記載からみて、刊行物1には、次の発明(以下、引用発明という。)が記載されているものと認める。 「配管において、流体進行方向に上方に向けて直交する方向に対して、ダイヤフラムの開閉方向が前記配管の周方向に傾くようにダイヤフラム弁5を設置し、前記配管内の流体進行方向が水平を向くように前記配管を設置する配管内の液溜り防止方法。」 3 対比 本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「配管」は本願発明における「配管」に相当し、同様に、「ダイヤフラム弁5」は「ダイヤフラムバルブ」に相当する。 そうすると、両者は次の点で一致する。 「配管において、流体進行方向に上方に向けて直交する方向に対して、ダイヤフラムの開閉方向が前記配管の周方向に傾くようにダイヤフラムバルブを設置した配管内の液溜り防止方法。」 そして、両者は以下の点で相違する。 [相違点1] 本願発明が、「少なくとも液体状の重合性単量体及び/又は結晶を析出し易い溶液を流体とする」ものであるのに対し、引用発明においては、流体の具体的な種類については特定がない点。 [相違点2] 本願発明が、「前記配管内の流体進行方向が斜め下方に向き、かつ、該流体進行方向と地表面のなす角度が0°よりも大きく30°以下の範囲となるように前記配管を設置する」のに対し、引用発明においては、「配管内の流体進行方向が水平を向くように前記配管を設置する」点。 [相違点3] 本願発明が、ダイヤフラムの開閉方向の傾きについて、「45?90°の範囲」であるのに対し、引用発明においては、具体的な角度については特定がない点。 4 判断 [相違点1]について (1)例えば化学工場の製造プラント等において、「少なくとも液体状の重合性単量体及び/又は結晶を析出し易い溶液」を配管内に通すことは、通常行われることであり、引用発明においても、このような流体を通す配管用とすることは、当業者であれば所望により適宜なし得たことである。 (2)したがって、引用発明において、本願発明の相違点1に係る事項を有するものとすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。 [相違点2]について (1)当審の拒絶の理由において「刊行物2」として示され、本願の出願前に頒布された特開平8-75062号公報の段落【0005】には、「食品や医薬品の製造プロセスラインでは、管内に液だまりができないよう流れ勾配をつけている。・・・」と記載されている。 このことから、刊行物2には、「配管内の液溜りを防止するために、配管内の流体進行方向が斜め下方に向くように配管を設置する」発明が、記載されているものと認める。 (2)そして、引用発明も刊行物2に記載された発明も、いずれも配管内の液溜り防止を目的としたものであり、性能向上を図って目的を同じくする発明の組み合わせを試みることは、当業者の通常の創作能力の発揮にすぎず、引用発明に刊行物2に記載された発明を組み合わせることを不可とする特段の事情も認められないことから、引用発明においても、一層の液溜り防止を図るべく、配管の設置において、刊行物2に記載された発明を採用することは、当業者であれば容易に想到し得たことである。 また、その採用に際し、具体的な角度は、配管内の流体の種類等の条件に応じて、液溜まりが少なくなるような適切な値を決定すべきことであり、本願発明の相違点2に係る角度範囲とすることは、当業者であれば適宜なし得たことである。 (3)ところで、請求人は、平成27年10月16日に提出の意見書において、「引用発明及び刊行物2に記載された発明のいずれにも、ダイヤフラムバルブ本体と配管本体を同時に傾ける技術的思想はありません」として、本願発明と引用発明及び刊行物2に記載された発明とは、配管内の液溜まりの量に差が生じることを主張している。 しかしながら、引用発明も刊行物2に記載された発明も、いずれも配管内の液溜り防止を目的としたものであり、それらを組み合わせることは当業者にとって容易に想到し得たことであるのは、上記(2)で述べたとおりである。そして、引用発明の配管の配置に刊行物2に記載された発明を採用したのであれば、液溜まり防止効果は、引用発明や刊行物2に記載された発明個々のものよりさらに向上するのは自明のことであって、主張の効果は当業者が予測し得る範囲内のものといえるので、上記主張は採用できない。 (4)したがって、引用発明において、本願発明の相違点2に係る事項を有するものとすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。 [相違点3]について (1)ダイヤフラムバルブを設置する際の角度については、ダイヤフラムバルブの内部構造や接続する配管等の条件に応じて、液溜まりが少なくなるような適切な値を設定すべきことであり、相違点3に係る角度範囲とすることは、当業者であれば適宜なし得たことである。 (2)したがって、引用発明において、相違点3に係る事項を有するものとすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。 そして、本願発明が奏する作用効果についても、引用発明及び刊行物2に記載された発明から予測し得る範囲内のものであって、格別でない。 5 むすび したがって、本願発明は、引用発明及び刊行物2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2015-11-09 |
結審通知日 | 2015-11-10 |
審決日 | 2015-11-26 |
出願番号 | 特願2010-110132(P2010-110132) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(F16L)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山城 正機、黒石 孝志 |
特許庁審判長 |
和田 雄二 |
特許庁審判官 |
氏原 康宏 一ノ瀬 覚 |
発明の名称 | 配管内の液溜り防止方法及び防止構造 |
代理人 | 鈴木 三義 |
代理人 | 志賀 正武 |
代理人 | 高橋 詔男 |