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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H05K
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05K
管理番号 1309430
審判番号 不服2015-9316  
総通号数 194 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-05-20 
確定日 2016-01-07 
事件の表示 特願2011- 66208「半導体装置の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成24年10月22日出願公開、特開2012-204495〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年3月24日の出願であって、平成26年10月20日付けの拒絶理由通知に対して、平成27年1月5日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年2月19日付け(発送日:同年2月24日)で拒絶査定がされ、これに対して、同年5月20日に拒絶査定不服審判の請求がされるとともに、その審判の請求と同時に手続補正がされたものである。

第2 平成27年5月20日付けの手続補正についての補正の却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成27年5月20日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 補正後の本願発明
平成27年5月20日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された
「【請求項1】
電子素子が形成され、上面に電極パッドを有する基板の上に、下部バリア膜を形成する工程と、
前記下部バリア膜の上にシード膜を形成する工程と、
前記シード膜の一部の領域上に、導電部材を形成する工程と、
前記導電部材をエッチングマスクとして、前記シード膜をエッチングし、前記導電部材の形成されていない領域において、前記下部バリア膜を露出させる工程と、
前記導電部材の側面及び上面にパラジウム触媒を用いた活性化処理を施す工程と、
前記下部バリア膜の表面には堆積しない条件で、前記導電部材の表面に選択的に上部バリア膜を成長させる工程と、
前記上部バリア膜をエッチングマスクとして、前記下部バリア膜を反応性イオンエッチングする工程と、
前記基板及び上部バリア層の上に絶縁性樹脂の絶縁膜を形成する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。」を、

補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された
「【請求項1】
電子素子が形成され、上面に電極パッドを有する基板の上に、Tiからなる下部バリア膜を形成する工程と、
前記下部バリア膜の上にシード膜を形成する工程と、
前記シード膜の一部の領域上に、導電部材を形成する工程と、
前記導電部材をエッチングマスクとして、前記シード膜をエッチングし、前記導電部材の形成されていない領域において、前記下部バリア膜を露出させる工程と、
前記導電部材の側面及び上面にパラジウム触媒を用いた活性化処理を施す工程と、
前記下部バリア膜の表面には堆積しない条件で、前記導電部材の表面に選択的にCoWPを用いた上部バリア膜を成長させる工程と、
前記上部バリア膜をエッチングマスクとして、前記下部バリア膜を反応性イオンエッチングする工程と、
前記基板及び上部バリア層の上に絶縁性樹脂の絶縁膜を形成する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。」
と補正するものである。
なお、下線は補正箇所であり、請求人が付したとおりである。

本件補正は、発明を特定するために必要な事項である「下部バリア膜」及び「上部バリア膜」につき、それぞれ「Tiからなる下部バリア膜」及び「CoWPを用いた上部バリア膜」と限定するものであり、かつ、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

2 引用刊行物とその記載事項(下線は当審で付与したものである。)
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に日本国内において頒布された特開2004-304167号公報(以下、「刊行物」という。)には、「配線、表示装置及び、これらの形成方法」に関し、図面(特に、【図2】及び【図3】参照)とともに、次の事項が記載されている。

(1)「【0015】
・・・勿論、これらの配線や電極は、基板上に既に回路素子や回路素子の一部が形成されており、更にその上に形成することもできる。
(省略)
【0018】
まず、図2(a)に示すように、厚さ例えば0.7mmのガラスからなる基板2の全面上に、CVD法例えば、PE(Plasma-Enhanced)-CVD法を用いて、窒化シリコン層(SiN層)からなる下地絶縁層3を厚さ例えば400nm堆積させた後、さらに上層に第1の銅拡散防止層4をスパッタリング法により厚さ例えば50nm成膜する。勿論、これらの成膜方法は限定されるものではなく、蒸着方法などこれら以外の成膜方法を用いてもよい。
【0019】
また、第1の銅拡散防止層4としては、Ta層、TaN層、TiN層、TaSiN層、WSiN層、Mo層、Co合金層(例えば、Co-B又はCo-W-B)、Ni合金(例えば、Ni-B)、Mo合金層等を用いることができる。また単層膜ではなく、Ta/TaN/Ta、TiN/Ti、Co-B/Co又は、Ni-B/Niのように下地絶縁層との高密着性、低抵抗化、高拡散阻止能を図った多層膜であってもよい。尚、以降の各実施形態においても、銅拡散防止層として多層膜を用いてもよい。また、基板2は、通常のガラスだけではなく、石英ガラス、セラミックス、樹脂部材が適用できる。勿論、半導体ウエハに適用することも可能である。
【0020】
次に図2(b)に示すように、第1の銅拡散防止層4上に銅からなるシード層5を成膜、例えばスパッタリング法で厚さ例えば50nm形成する。銅シード層5は、銅配線層6をメッキ法により形成するためのものである。その後、銅シード層5上に、PEPを利用して、図2(c)に示すようなフォトレジスト層(感光性樹脂層)11を形成する。この
フォトレジスト層11には、順テーパー形状の銅配線層を形成するために、開口側よりボトム側の方が広くなる逆テーパー形状の溝12を形成する。
【0021】
つまり、後の工程で形成される銅配線層の断面形状は、矩形でもよいが、配線形成後に積層する層間絶縁層のカバレッジや上層に設けられる配線とのショート不良低減の観点から順テーパ形状にすることが望ましい。このため、溝12は逆テーパー形状に形成することが望ましい。この形状は、レジスト材料、露光条件及び現像条件を適宜調整することにより実現する。
【0022】
次に図2(d)に示すように、無電解メッキ法を用いて、フォトレジスト層11の溝12(銅シード層上)を埋めるように銅配線層6を形成する。尚、無電解メッキ法に代わって、電解メッキ法を用いても同様に銅配線層6を形成することができる。この場合の無電解メッキ法は、銅シード層5の上に堆積するために触媒処理が不要であると共に、大面積基板に適用した際に問題となる膜厚分布の不均一性も抑制することができる。
【0023】
次に図3(a)に示すように、剥離液等を用いてフォトレジスト層11を除去する。この除去に際しては、ドライプロセスであるアッシング処理を併用してもよい。尚、このアッシング処理を行った際に、銅配線層6や銅シード層5の露出表面が酸化される可能性があり、直後の工程で除去する工程を入れることが望ましい。
【0024】
次に、図3(b)に示すように、第1の銅拡散防止層3上に形成された銅層(銅シード層5及び銅配線層6)をエッチングして、少なくとも銅シード層5をエッチング除去する。エッチング方法としては、ウェットエッチング若しくは電解エッチング等を用いることが望ましい。
(省略)
【0027】
ウェットエッチング法だけではなく電解エッチング法を用いる場合は、第1の銅拡散防止膜をアノードとし、陰極板(カソード)との間に所定の電圧を印加して、第1の銅拡散防止層3上に形成された銅層(銅シード層5及び銅配線層6)をエッチングする。銅拡散防止層3と銅シード層5、銅配線層6との選択性の制御が容易であり、比較的エッチング速度が速いという特徴がある。この時、印加する電圧は、銅層の電解エッチングは生じるが、第1の銅拡散防止層3は電解エッチングされない電圧値例えば10V程度に設定することが望ましい。エッチングのベース浴としては、硫酸、リン酸、塩酸などの酸を用いれ
ばよいがこれらに限定されるものではなく、もちろん銅シード層5と銅配線層6のエッチング速度比や銅配線層6のテーパー形状を制御するための添加剤を用いたり、液温度や印加電流波形を制御してもよい。
【0028】
次に図3(c)に示すように、銅配線層6及び銅シード層5の露出する全表面(第1の銅拡散防止層4との接合面以外の全周囲)を覆うように、例えばCo-W-Bからなる第2の銅拡散防止層層7を例えば、無電解メッキ法を用いて厚さ例えば50nm形成する。第2の銅拡散防止層7は、銅配線層6上にメッキ法により形成するためメッキに適した材料が選ばれる。例えば、ジメチルアミンボランを還元剤に用いることでPd触媒処理が不要なCo-W-Bのような第2の銅拡散防止層7を無電解メッキ法で形成することが望ましいが、銅層表面のみに選択的に無電解メッキが可能なCo-B、Co-P、Co-W-B、Ni-B、Ni-P、Ni-W-Pのような銅拡散防止層でもよい。
【0029】
次に、図3(d)に示すように第2の銅拡散防止層7により覆われた銅配線層部分を自己整合的なマスクとして機能させてエッチング処理を行い、銅配線下部以外の第1の銅拡散防止層4を除去して、配線1を形成する。」

(2)「【0047】
図7(d)の工程では、無電解メッキ法を用いて、フォトレジスト層31の溝32の底部に銅配線層25を形成する。この無電解メッキ法による第1の銅拡散防止層24上へ直接メッキ成膜する場合、通常、Pd触媒処理を行っている。
(省略)」

(3)上記記載事項(ア)及び【図2】(a)から、絶縁基板10が回路素子や回路素子の一部を有すること、すなわち電子素子が形成され、上面に電極パッドを有する絶縁基板10が理解できる。

(4)上記記載事項(ア)、(イ)並びに【図2】及び【図3】から、絶縁基板10の上層に第1の銅拡散防止層4を成膜する工程と、第1の銅拡散防止層4上に銅シード層5を成膜する工程と、銅シード層5の一部の領域上に銅配線層6を形成する工程と、第1の銅拡散防止層4上に形成された銅シード層5をエッチング除去し、銅配線層6の形成されていない領域において、第1の銅拡散防止層4を露出させる工程を有する半導体装置に用いられる配線の形成方法が看取できる。

(5)上記記載事項(ア)、(イ)並びに【図2】及び【図3】から、銅配線層6及び銅シード層5の露出する全表面(第1の銅拡散防止層4との接合面以外の全周囲)を覆うように、例えばCo-W-Bからなる第2の銅拡散防止層層7を形成する工程と、第2の銅拡散防止層7により覆われた銅配線層部分を自己整合的なマスクとして機能させてエッチング処理を行い、銅配線下部以外の第1の銅拡散防止層4を除去する工程を有する半導体装置に用いられる配線の形成方法が看取できる。

上記記載事項及び上記認定事項並びに【図2】及び【図3】を総合して、本願補正発明に則って整理すると、刊行物には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「回路素子や回路素子の一部を有する絶縁基板10の上層に第1の銅拡散防止層4を成膜する工程と、
第1の銅拡散防止層4上に銅シード層5を成膜する工程と、
銅シード層5の一部の領域上に銅配線層6を形成する工程と、
第1の銅拡散防止層4上に形成された銅シード層5をエッチング除去し、銅配線層6の形成されていない領域において、第1の銅拡散防止層4を露出させる工程
銅配線層6及び銅シード層5の露出する全表面(第1の銅拡散防止層4との接合面以外の全周囲)を覆うように、例えばCo-W-Bからなる第2の銅拡散防止層層7を形成する工程と、
第2の銅拡散防止層7により覆われた銅配線層部分を自己整合的なマスクとして機能させてエッチング処理を行い、銅配線下部以外の第1の銅拡散防止層4を除去する工程と、
を有する半導体装置に用いられる配線の形成方法。」

3 対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「銅シード層5」は、その機能、構造からみて、本願補正発明の「シード膜」に相当し、同様に、引用発明の「銅配線層6」、「銅配線層6及び銅シード層5の露出する全表面(第1の銅拡散防止層4との接合面以外の全周囲)を覆うように」「第2の銅拡散防止層7を形成する」こと、「半導体装置に用いられる配線の形成方法」は、本願補正発明の「導電部材」、「下部バリア膜の表面には堆積しない条件で」「上部バリア膜を成長させる」こと、「半導体装置の製造方法」に、それぞれ相当する。
また、引用発明の「回路素子や回路素子の一部を有する絶縁基板10」は、回路素子の電極が基板上の通電パッドを介して他の回路素子に導通することは通常であるから、本願補正発明の「電子素子が形成され、上面に電極パッドを有する基板」に相当する。
また、引用発明の「第1の銅拡散防止層4」と本願補正発明の「Tiからなる下部バリア膜」は、「下部バリア膜」という限りおいて共通する。
また、引用発明の「Co-W-Bからなる第2の銅拡散防止層7」と本願補正発明の「CoWPを用いた上部バリア膜」は、「上部バリア膜」という限りおいて共通する。
また、引用発明の「絶縁基板10」が第1の銅拡散防止層4上に形成された銅シード層5をエッチング除去する際、銅配線層6がエッチングマスクとして機能することは明らかである。
さらに、引用発明の「エッチング処理を行」うことと本願補正発明の「反応性イオンエッチングする」ことは、「エッチングする」という限りおいて共通する。
以上の点からみて、本願補正発明と引用発明とは、

[一致点]
「電子素子が形成され、上面に電極パッドを有する基板の上に、下部バリア膜を形成する工程と、
下部バリア膜の上にシード膜を形成する工程と、
シード膜の一部の領域上に、導電部材を形成する工程と、
導電部材をエッチングマスクとして、シード膜をエッチングし、導電部材の形成されていない領域において、下部バリア膜を露出させる工程と、
下部バリア膜の表面には堆積しない条件で、導電部材の表面に上部バリア膜を成長させる工程と、
上部バリア膜をエッチングマスクとして、下部バリア膜をエッチングする工程と、
を有する半導体装置の製造方法。」
である点で一致し、

次の点で相違する。
[相違点]
相違点1
下部バリア膜に関して、本願補正発明では、「Tiからなる」のに対して、引用発明では、成分が明らかでない点。

相違点2
本願補正発明では、「導電部材の側面及び上面にパラジウム触媒を用いた活性化処理を施す工程」を有しているのに対して、引用発明では、この工程を有するか明らかでない点。

相違点3
上部バリア膜に関して、本願補正発明では、「CoWPを用い」ているのに対して、引用発明では、「例えばCo-W-Bからなる」としている点。

相違点4
エッチングに関して、本願補正発明では、「反応性イオンエッチング」であるのに対して、引用発明では、単に「エッチング」である点。

相違点5
本願補正発明では、「基板及び上部バリア層の上に絶縁性樹脂の絶縁膜を形成する工程」を有しているのに対して、引用発明では、この工程を有するか明らかでない点。

4 判断
(1)相違点について
相違点1について
下部バリア膜として、Tiからなる下部バリア膜とすることは、周知であるから(特開2005-197637号公報の段落【0023】、特開平7-230991号公報の【請求項5】及び【請求項14】、以下、「周知技術1」という。)、引用発明において、第1の銅拡散防止層4として、Tiからなるものとすることは、当業者が適宜なし得ることである。
したがって、上記相違点1に係る発明特定事項とすることは、当業者が引用発明及び周知技術1に基いて容易になし得たことである。

相違点2について
刊行物の「第1の銅拡散防止層24上へ直接メッキ成膜する場合、通常、Pd触媒処理を行っている」(段落【0047】)との記載に照らせば、引用発明において、第1の銅拡散防止層4カバー材の側面及び上面にパラジウム触媒を用いた活性化処理を施すことは、当業者の通常の創作能力の発揮にすぎない。
したがって、上記相違点2に係る発明特定事項とすることは、当業者が引用発明に基いて容易になし得たことである。

相違点3について
引用発明では、第2の銅拡散防止層7として「例えばCo-W-Bからなる」と例示しつつ、他の選択成分として「Co-B、Co-P、Co-W-B、Ni-B、Ni-P、Ni-W-P」(記載事項(ア)の段落【0028】)も選択し得るところ、CoとNiは同族元素であって、CoとNiの置換は当業者が容易に想起し得るから、「Ni-W-P」と同等の成分である「Co-W-P」も他の選択成分として当業者に理解され得る。
そうすると、「例えばCo-W-Bからなる・・・Ni-W-P」との記載から、第2の銅拡散防止層7としてCo-W-Pを選択することは、当業者が適宜なし得ることである。
したがって、上記相違点3に係る発明特定事項とすることは、当業者が引用発明に基いて容易になし得たことである。

相違点4について
エッチングとして、反応性イオンエッチングとすることは、周知であるから(特開2005-197637号公報の段落【0023】及び段落【0025】、特開平7-230991号公報の【0023】、特開2004-134771号公報の段落【0035】及び【図4】(F)、以下、「周知技術2」という。)、引用発明のエッチングとして、反応性イオンエッチングを採用することは、当業者が適宜なし得ることである。
したがって、上記相違点4に係る発明特定事項とすることは、当業者が引用発明及び周知技術2に基いて容易になし得たことである。

相違点5について
本願補正発明の「基板及び上部バリア層の上に絶縁性樹脂の絶縁膜」とは、いわゆる層間絶縁層であるところ、層間絶縁層を形成する工程は、当業者の常套手段である(刊行物の【図11】参照。)。
したがって、上記相違点5に係る発明特定事項とすることは、当業者が引用発明に基いて容易になし得たことである。

(2)作用効果について
そして、本願補正発明による効果も、引用発明及び周知技術1、2の記載事項から当業者が予測し得た程度のものにすぎない。

(3)まとめ
したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術1、2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5 むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成27年1月5日付けの手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のもの(以下、「本願発明」という。)である。

「【請求項1】
電子素子が形成され、上面に電極パッドを有する基板の上に、下部バリア膜を形成する工程と、
前記下部バリア膜の上にシード膜を形成する工程と、
前記シード膜の一部の領域上に、導電部材を形成する工程と、
前記導電部材をエッチングマスクとして、前記シード膜をエッチングし、前記導電部材の形成されていない領域において、前記下部バリア膜を露出させる工程と、
前記導電部材の側面及び上面にパラジウム触媒を用いた活性化処理を施す工程と、
前記下部バリア膜の表面には堆積しない条件で、前記導電部材の表面に選択的に上部バリア膜を成長させる工程と、
前記上部バリア膜をエッチングマスクとして、前記下部バリア膜を反応性イオンエッチングする工程と、
前記基板及び上部バリア層の上に絶縁性樹脂の絶縁膜を形成する工程と、
を有する半導体装置の製造方法。」

2 引用刊行物とその記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に日本国内において頒布された刊行物の記載事項及び引用発明は、上記「第2」の「2」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、本願補正発明に係る「下部バリア膜」及び「上部バリア膜」の成分について限定する発明特定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含む本願補正発明が、上記「第2」の「3」及び「4」に記載したとおり、引用発明及び周知技術1、2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、実質的に同様の理由により、引用発明及び周知技術1、2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 まとめ
したがって、本願発明は、引用発明及び周知技術1、2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-11-02 
結審通知日 2015-11-10 
審決日 2015-11-25 
出願番号 特願2011-66208(P2011-66208)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H05K)
P 1 8・ 121- Z (H05K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井上 信  
特許庁審判長 森川 元嗣
特許庁審判官 内田 博之
小柳 健悟
発明の名称 半導体装置の製造方法  
代理人 高橋 敬四郎  

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