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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G02B
管理番号 1309477
審判番号 不服2015-10504  
総通号数 194 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-06-03 
確定日 2016-01-06 
事件の表示 特願2012-520036「凹凸付き透明板及びそのような板の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 1月20日国際公開,WO2011/006957,平成24年12月20日国内公表,特表2012-533096〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 事案の概要
1 手続の経緯
本件出願は,特許法184条の3第1項の規定により,2010年7月15日(優先権 平成21年7月16日 フランス)にされたとみなされる特許出願であって,その後の手続の概要は,以下のとおりである。
平成26年 2月 4日:拒絶理由通知(同年同月18日発送)
平成26年 8月18日:意見書
平成27年 1月30日:拒絶査定(同年2月3日送達)
平成27年 6月 3日:審判請求
平成27年 7月 2日:手続補正(審判請求書の補正)

2 本願発明
本件出願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は,特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりの,以下のものである(以下「本願発明」という。)。
「 一体構造の透明板(1;101;201)であって,
少なくともその一方の面(3;103;203)上に,前記面(3;103;203)の一般平面(π)に対して浮き彫り状態にある幾何学的な複数の形体(5;105;205)によって凹凸が付けられた少なくとも1つの部分を備え,
各形体は,前記一般平面(π)に平行な断面を有し,
前記断面が,前記形体のベースから頂点に向けて,前記面(3;103;203)からの距離に伴って徐々に減少していく,
一体構造の透明板において,
前記一般平面(π)に対する傾斜角(α_(8);α_(108);α_(208))が30度よりも小さい凹凸部の領域(8;108;208)の面積(S_(8);S_(108);S_(208))が,前記凹凸部の全面積(S_(1);S_(101);S_(201))の35%よりも小さく,
‐(i) 前記板(1;101)の厚さ(e_(1);e_(101))に対する各形体(5;105)の厚さ(e_(5);e_(105))の割合ρが0.2以上の所定値を有し,かつ前記板(1;101)の厚さ(e_(1);e_(101))が4.5mmから8mmまでの範囲内にある,又は,
‐(ii) 前記板(201)の厚さ(e_(201))が3mmから8mmまでの範囲内にある所定値であり,かつ前記板(201)の厚さ(e_(201))に対する各形体(205)の厚さ(e_(205))の割合ρが0.3以上である,
一体構造の透明板。」

3 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は,概略,この出願の請求項1に係る発明は,その出願前に日本国内又は外国において,頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない,というものである。
引用例1:特表2005-510751号公報
引用例2:特開2008-241889号公報

第2 当審判体の判断
1 引用例1の記載及び引用発明
(1) 引用例1の記載
引用例1には,以下の事項が記載されている。なお,下線は当審判体が付したものである。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は,光を捕捉することの出来る透明な反射防止パネルの分野に関するものである。本発明による透明パネルは,その表面の少なくとも1面に,模様(texturing),すなわち起伏状の複数の幾何学的な特徴であって,そのパネルの模様付き表面の一般面に対する凹状または凸状であるものを含む。パネルの両面が,そのような特徴を有していても良い。その模様のため,パネルは改良された光透過特性を有する。本発明の脈絡内において,「反射防止」(antireflection)の語は,反射の減少(必ずしも反射を完全に無くすることではない)を表現するために用いられる。本発明によるパネルは,入射光の配向にかかわらず良好な光透過率を提供する。
【0002】
本発明によるパネルは,集光または発光可能な素子の付近(一般には素子から50cm未満)に配置される場合に有用である。特に,本発明によるパネルが光電池の表面(例えばシリコン製)の上に配置される場合に,本発明によるパネルは,前記電池で受け取る光の量を増加させる。効率向上のために光電池のシリコン表面に模様を付けることは思いつくことができるものではあるが,特に前記表面が多結晶質である場合,そのような表面をどのように模様付けすべきか,いまだ知られていない。本発明は,電池の表面上に配置される透明パネルの少なくとも一表面を模様付けすることを提案し,結果として,後者の表面が多結晶質,特に多結晶質シリコンで出来ている場合の電池上に透過される光束を増加させるための唯一の解を提供する。」

イ 「【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による透明パネルは,その表面の少なくとも1面において,起伏状の多数の幾何学的な特徴(feature)を含み,これらの特徴部は,パネルの模様付き面の一般面に関して凹状および/または凸状である。パネルの両側が,そのような特徴部を有しても良い。
【0014】
本発明による模様付き透明パネルが透過率を増加させるのに,二つの原理がある。第1に,その模様付き面上における反射の減少が,その表面上においてパネルに入るより多くの機会を光に提供する多重反射によって得られる。更に,その光は,平坦な表面では高い入射角を有していた光線についてその特徴部の表面上ではより小さい入射角を有する。例えば,頂点での半角が45度の角錐の場合に,0?90度の間で変化する入射角で平坦な表面に当たる光線が,-45?+45度の間の入射角で模様付き面にぶつかる。高い角度の範囲(90度に近い)が反射を助けるため,0?90度の範囲が-45?+45度の範囲に変わると,反射に相当な低下を伴う。第2に,パネルに入った後に反射された光は,その特徴部の表面で反射することによって捕捉されて,その光の大部分がパネルを透過する。従って,反射での損失がずっと小さい。
【0015】
前記特徴部の表面は,次のような点を少なくとも2点有している。すなわち,パネルの模様付き面の一般面に対して垂直である二つの平面の各々が,前記の表面に対して垂直であって,前記二つの点の内1点を通過する2本の直線の内1本を含み,そしてその二つの平面が,平行ではなくすなわち交差するように,特徴部の表面がそれらの点を有する。これら二つの平面は,例えば,互いに垂直であっても良い。好ましくは,これら二つの点が両方とも,特徴部の表面の平面領域にあっても良い。図1は,パネルの模様付き面の一般面2から突き出した正方形の基底部を有する正四角錐の形状をした特徴部1を示している。
【図1】

本出願の文脈内において,「正角錐」(regular pyramid)とは,その全ての面が平坦でそれぞれが同一である角錐を言う。その角錐は,そのパネルの模様付き面の一般面2に対して垂直であって,それぞれが点3,4でその特徴部の表面に垂直な直線7,8を含む平面5,6が平行でないように,少なくとも二つの点3,4を有することが明確に見えて良い。そのような正四角錐の場合には,これらの二つの平面5,6は互いに垂直である。」

ウ 「【0020】
特徴部は,基底部を介して,パネルの模様付き面の一般面と一緒になる。その基底部について,一般に10mm未満,または7mm未満の直径の円に内接されることが可能である。好ましくは,前記特徴部の一つの基底部を含み得る最小の円が,最大で5mmの直径を有し,特に0.001?5mmの範囲,例えば1?5mmの範囲にある直径を有する。
【0021】
パネルの模様付き面の一般面は,特徴部の部分を形成しない模様付き面上のこれらの点(特徴部の間にある点)または特徴部のふち(特に接触する特徴部が一緒になる点)の上にある模様付き面上のこれらの点を含む平面である。
【0022】
一般に,パネルの模様付き面の一般面から最も遠く離れた特徴部の点は,前記一般面から0.1D?2Dの範囲の距離だけ離されている。ここで,Dは,パネルの模様付き面の一般面に含まれ,前記特徴の基底部を含み得る,最小の円の直径を表す。
【0023】
例えば,特徴部が,円錐,または三角形,正方形,長方形,六角形または八角形の基底部のような多角形の基底部を有する角錐の形状を有する。尚,その特徴部は,凸状,すなわちパネルの模様付き面の一般面から突き出した形状,または凹状,すなわちパネルの厚さにおいてくぼみを形成した形状であり得る。
【0024】
特徴部が円錐または角錐の形状を有する場合,前記円錐または前記角錐の頂点での半角が,70度未満であることが好ましく,そして好ましくは60度未満,例えば25?50度の範囲にある。特に模様付き表面が空気と接触する時に,この値が「反射防止」(antireflection)および「光捕捉」(light trapping)の二つの特性の良好な組合せを提供するので,45度が特に妥当な値である。
【0025】
円錐の場合,ゼロではない頂点半角は,一方側の円錐の頂点を通過するパネルに垂直な直線と,他方側の円錐の錐面の,双方の間の角度である。角錐の場合,ゼロでない頂点半角は,一方側の角錐の頂点を通過するパネルに垂直な直線と,他方側の前記角錐の一つの面における頂点での角の二等分線の,双方の間の角度である。頂点半角αが,特徴部が円錐形,または基底部が三角形または正方形の角錐形の場合について,図2に示される。」
【図2】


エ 「【0026】
好ましくは,特徴部が,互いに可能な限り接近しており,例えば,それらの基底部を1mm未満,好ましくは0.5mm未満で離される。
【0027】
また,好ましくは,特徴部どうしは接触している。特徴部は,それらが少なくともそれらの表面の部分で互いに接触している場合に,接触していると言われる。それらの基底部を構成する円が互いに接触している場合に,円錐が接触しているとして良い。パネルの表面がさらに模様付けされて,光透過率がさらに改善されるので,その特徴部が接触していることが好ましい。ある特徴部は,特徴部間での完全な接合を許さない。これは,特に特徴部が円錐の場合であって,例えその円錐の基底部が互いに接触したとしても,その円の間に特徴部の部分を形成しないある領域が残るためである。「完全な接合」(complete join)の語は,一つの特徴部の基底部の輪郭が,隣の特徴部の輪郭のそっくり全部をも形成すると言う実態を意味すると理解される。パネルの全体の表面が少なくとも一つの特徴部の一部を形成するように,ある特徴部が完全に接触しても良い。特に,正方形,長方形または六角形の基底部を持つ角錐は,それらが全く同一であれば,完全に接触し得る。基底部が正方形(図3を参照)または長方形の場合,その特徴部が完全に接触するようにその基底部が配列されることが推奨される。六角形の基底部の場合,その基底部がハニカムを形成することが推奨される。」

オ 「【0030】
例えば,パネルは全体的にガラス製であっても良い。また,それは,ポリウレタン,ポリカーボネートまたはポリメチルメタクリレートのような熱可塑性ポリマーであっても良い。また,それは,例えば,両面が平坦で平行なガラスパネルを,起伏状の特徴部を有しそして前記ガラスパネルに固定されるポリマーシートまたはフィルムと組合せることによって,二つの材料で出来たものであっても良い。この種のガラス/ポリマーの組合せの場合,そのポリマーは,好ましくはガラスの屈折率およびポリマーの屈折率に近い屈折率を持った接着剤で,ガラスに接着結合されても良い。尚,その屈折率は,特に1.5?1.54の間にあっても良い。
【0031】
好ましくは,パネルの質量の大部分(すなわち重量で少なくとも98%の場合)が,または全質量が,最良の可能な透明性を有し,応用に有用なスペクトル部分,一般には380?1200nmの範囲のスペクトルにおいて,好ましくは0.01mm^(-1)の線吸収を有する材料から成る。これは,特に,もし必要であれば,ある波長で拡散型または遮断型の1層以上の薄層,または防汚性または導電性の薄層を備えたような材料で,パネルが出来ている場合である。これらについては,以下に更に詳細に記載される。好ましくは,可能な最高の光透過率を維持するために,この線吸収が低いほど材料の厚みが大きい。」

カ 「【0033】
本発明によるパネルは,0.5?10mmの範囲の全体厚みを有していても良い。これが光電池のための保護パネルとして使用されるとき,そのパネルは,好ましくは2?6mmの範囲の全体厚みを有する。それが光拡散体として使用されるとき,そのパネルは,好ましくは1.5?4.5mmの範囲の全体厚みを有する。」

キ 「【0041】
模様を付与することは,圧延(または流延)熱成形,またはエッチング,特にポリマー材料の場合にレーザーエッチングによって実施されても良い。ガラス表面を模様付きにする場合,ロール塗プロセスが特に適する。このプロセスでは,その表面に形成されるべき模様の逆の形状を有する金属ロールのような固体物体を使用して,その表面を変形させることが可能な温度に過熱されたガラスの平坦な表面に,模様付けが適用される。
【0042】
意図される模様付けの形状によって,このプロセスは,必ずしも完全な幾何学的形状にしなくても良い。特に角錐の場合に,角錐の頂点および角が丸くても良い。」

ク 「【実施例】
【0046】
本発明によるパネルは,380?1200nmの範囲の波長スペクトルに渡って8×10^(-3)mm^(-1)未満の線吸収および4mmの厚みを有する,サン-ゴバン グラス(Saint-Gobain Glass)社によって販売された商標名DIAMANTの特別に透明な平板ガラスから,この平板上に,その変形温度での圧延によって,基底部の各辺が0.5mm,頂点での半角が45度,模様付与後のパネルの全体厚みが4mmである,正方形の基底部を有した接触する角錐のアセンブリーからなる凹状の模様を形成することによって製造されてもよい。このパネルは,樹脂を用いて,75nmの厚みの窒化珪素層でコートされた,光電池の多結晶質シリコン表面に固定されても良い。AM1.5スペクトルを使用してASTM規格892/87の条件下で,入射角を変えて,その模様付き表面を照らすことによって,光透過率を測定することが可能である。以下の表は,特に,同じタイプで模様を形成せず(両面が平坦),そして模様を形成したパネルの全厚みに等しい全厚みを有するパネルと比較して,計算によって得られた結果を与える。入射角0度は,パネルの模様付き面の一般面に垂直な光の方向に対応している。」

(2) 引用発明
これら記載内容からみて,引用例1には,「光電池の表面(例えばシリコン製)の上に配置される」(段落【0002】)パネルとして,「パネルの模様付き面の一般面2から突き出した正方形の基底部を有する正四角錐の形状をした特徴部1」(段落【0015】及び図1)を具備する,以下の発明が記載されている(以下「引用発明」という。)。なお,引用発明の認定に際して参考にした引用例1の記載箇所を,段落番号で付記する。
「 【0013】透明パネルは,その表面の少なくとも1面において,起伏状の多数の幾何学的な特徴部を含み,
【0015】特徴部は,パネルの模様付き面の一般面から突き出した正方形の基底部を有する正四角錐の形状であり,【0020】基底部を介して,パネルの模様付き面の一般面と一緒になり,
【0020】基底部は,一般に10mm未満,または7mm未満の直径の円に内接されることが可能であり,好ましくは,前記特徴部の一つの基底部を含み得る最小の円が,最大で5mmの直径を有し,
【0021】パネルの模様付き面の一般面は,特徴部のふち(接触する特徴部が一緒になる点)を含む平面であり,
【0024】角錐の頂点での半角は,45度が妥当な値であり,【0025】角錐の場合,頂点半角は,角錐の頂点を通過するパネルに垂直な直線と,前記角錐の一つの面における頂点での角の二等分線の,双方の間の角度であり,
【0027】特徴部どうしは接触しており,
【0030】パネルは全体的にガラス製であっても良く,また,ポリウレタン,ポリカーボネートまたはポリメチルメタクリレートのような熱可塑性ポリマーであっても良く,
【0031】パネルの全質量が,最良の可能な透明性を有し,
【0033】パネルは,0.5?10mmの範囲の全体厚みを有していても良く,光電池のための保護パネルとして使用されるとき,好ましくは2?6mmの範囲の全体厚みを有し,
【0002】電池の表面上に配置される透明パネルの少なくとも一表面を模様付けした結果として,表面が多結晶質,特に多結晶質シリコンで出来ている場合の電池上に透過される光束を増加させる,
光電池の表面の上に配置される【0013】透明パネル。」

2 引用例2
引用例2には,以下の事項が記載されている。
(1) 「【技術分野】
【0001】
本発明は,例えば液晶表示装置のバックライトに用いられるプリズムシート,より詳細には,横断面が略三角形状の複数のレンズ単位が並設された構造を有するプリズムシート及び該プリズムシートを有する光学シートに関する。」

(2) 「【0006】
一般に,プリズムシートのレンズ単位としては,横断面形状が二等辺三角形であり,かつその頂角,即ち,斜辺同士で形成される角度を90°としたものが,輝度を高める上で最適であると考えられていた。なお,レンズ単位の頂部の曲率半径は0であること,すなわち頂部は先鋭な形状とされていることが望ましいと考えられていた。」

3 対比及び判断
(1) 対比
本願発明と引用発明を対比すると,以下のとおりとなる。
ア 1つの部分
引用発明の「透明パネルは,その表面の少なくとも1面において,起伏状の多数の幾何学的な特徴部」を具備するところ,「特徴部は,パネルの模様付き面の一般面から突き出した正方形の基底部を有する正四角錐の形状であり,基底部を介して,パネルの模様付き面の一般面と一緒」になる。ここで,「パネルの模様付き面の一般面は,特徴部のふち(接触する特徴部が一緒になる点)を含む平面」である。
そうしてみると,引用発明の「1面」,「一般面」及び「特徴部」は,それぞれ,本願発明の「一方の面」,「一般平面」及び「形体」に相当する。また,引用発明の「模様付き面」(起伏状の多数の幾何学的な特徴部がある領域)は,本願発明の「1つの部分」に相当する。さらに,引用発明の「特徴部」は,「起伏状の多数の幾何学的な特徴部」であるから,「浮き彫り状態にある幾何学的な複数の形体」の要件を満たすとともに,引用発明の「模様付き面」は,本願発明の「凹凸が付けられた少なくとも1つの部分」の要件を満たす。
したがって,引用発明の「模様付き面」(起伏状の多数の幾何学的な特徴部がある領域)は,本願発明の「少なくともその一方の面(3;103;203)上に,前記面(3;103;203)の一般平面(π)に対して浮き彫り状態にある幾何学的な複数の形体(5;105;205)によって凹凸が付けられた少なくとも1つの部分」の要件を満たす。

イ 断面
引用発明の「特徴部は,パネルの模様付き面の一般面から突き出した正方形の基底部を有する正四角錐の形状であり,基底部を介して,パネルの模様付き面の一般面と一緒」になる。
そうしてみると,引用発明の「基底部」は,本願発明の「ベース」に相当する。
また,幾何学的にみて,引用発明の各「特徴部」は,本願発明の「各形体は,前記一般平面(π)に平行な断面を有し」の要件,及び,「前記断面が,前記形体のベースから頂点に向けて,前記面(3;103;203)からの距離に伴って徐々に減少していく」の要件を満たす。

ウ 透明板
前記ア及びイを勘案すると,引用発明の「透明パネル」は,本願発明の「透明板」に相当する。また,引用発明の「透明パネル」は,前記アの「1つの部分」を備えるとともに,前記イの「断面」の要件を満たすから,本願発明の「一体構造の透明板」の要件を満たす。

(2) 一致点及び相違点
ア 本願発明と引用発明は,以下の構成において一致する。
「 一体構造の透明板(1;101;201)であって,
少なくともその一方の面(3;103;203)上に,前記面(3;103;203)の一般平面(π)に対して浮き彫り状態にある幾何学的な複数の形体(5;105;205)によって凹凸が付けられた少なくとも1つの部分を備え,
各形体は,前記一般平面(π)に平行な断面を有し,
前記断面が,前記形体のベースから頂点に向けて,前記面(3;103;203)からの距離に伴って徐々に減少していく,
一体構造の透明板。」

イ 本願発明と引用発明は,以下の点において,(一応,)相違する。
(相違点1)
本願発明は,「前記一般平面(π)に対する傾斜角(α_(8);α_(108);α_(208))が30度よりも小さい凹凸部の領域(8;108;208)の面積(S_(8);S_(108);S_(208))が,前記凹凸部の全面積(S_(1);S_(101);S_(201))の35%よりも小さく」という構成を具備するのに対して,引用発明は,これが明らかではない点。

(相違点2)
本願発明は,「(i) 前記板(1;101)の厚さ(e_(1);e_(101))に対する各形体(5;105)の厚さ(e_(5);e_(105))の割合ρが0.2以上の所定値を有し,かつ前記板(1;101)の厚さ(e_(1);e_(101))が4.5mmから8mmまでの範囲内にある」という構成,又は,「(ii) 前記板(201)の厚さ(e_(201))が3mmから8mmまでの範囲内にある所定値であり,かつ前記板(201)の厚さ(e_(201))に対する各形体(205)の厚さ(e_(205))の割合ρが0.3以上である」という構成を具備するのに対して,引用発明は,これが明らかではない点。

(3) 判断
相違点1及び2についての判断は,以下のとおりである。
ア 相違点1について
引用例1の段落【0042】に「意図される模様付けの形状によって,このプロセスは,必ずしも完全な幾何学的形状にしなくても良い。特に角錐の場合に,角錐の頂点および角が丸くても良い。」と記載があるとおり,引用発明の特徴部の頂点や角は,幾何学的に完全な頂点や角である必要はなく,丸くても良いものである。しかしながら,引用例2の段落【0006】に記載されているように,プリズムシートのレンズ単位の頂部の曲率半径は0であること,すなわち,頂部は先鋭な形状とされていることが望ましいことは,当業者において自明な事項である。そして,引用例1の段落【0014】及び【0024】に,それぞれ,「模様付き面上における反射の減少が,その表面上においてパネルに入るより多くの機会を光に提供する多重反射によって得られる。更に,その光は,平坦な表面では高い入射角を有していた光線についてその特徴部の表面上ではより小さい入射角を有する。例えば,頂点での半角が45度の角錐の場合に,0?90度の間で変化する入射角で平坦な表面に当たる光線が,-45?+45度の間の入射角で模様付き面にぶつかる。高い角度の範囲(90度に近い)が反射を助けるため,0?90度の範囲が-45?+45度の範囲に変わると,反射に相当な低下を伴う。」及び「特に模様付き表面が空気と接触する時に,この値が「反射防止」(antireflection)および「光捕捉」(light trapping)の二つの特性の良好な組合せを提供するので,45度が特に妥当な値である。」と記載されていることからみて,引用発明の特徴部の形状は,幾何学的により精確である方が,光学的により良い性能を発揮することは明らかである。
そうしてみると,反射防止及び光補足の効果が最大限得られるように,引用発明の正四角錐を,精確な正四角錐とすること,すなわち,正四角錐の各面の頂点から底辺までを精確に45度の面とすることは,引用発明それ自体が予定している事項である。また,請求項1には「前記一般平面(π)に対する傾斜角(α_(8);α_(108);α_(208))が30度よりも小さい凹凸部の領域(8;108;208)の面積(S_(8);S_(108);S_(208))が,前記凹凸部の全面積(S_(1);S_(101);S_(201))の35%よりも小さく」と記載されているから,本願発明の要旨には,「前記一般平面(π)に対する傾斜角(α_(8);α_(108);α_(208))が30度よりも小さい凹凸部の領域(8;108;208)の面積(S_(8);S_(108);S_(208))がほぼ0%である」構成が含まれる。
したがって,引用発明において,相違点1に係る本願発明の構成である「前記一般平面(π)に対する傾斜角(α_(8);α_(108);α_(208))が30度よりも小さい凹凸部の領域(8;108;208)の面積(S_(8);S_(108);S_(208))が,前記凹凸部の全面積(S_(1);S_(101);S_(201))の35%よりも小さく」という構成を採用することは,当業者が容易にできた事項である。

イ 相違点2について
引用発明の「基底部は,一般に10mm未満,または7mm未満の直径の円に内接されることが可能であり,好ましくは,前記特徴部の一つの基底部を含み得る最小の円が,最大で5mmの直径」を有するから,引用発明に接した当業者ならば,引用発明の具体的実施態様として,少なくとも,明示された具体的数値に対応する,(A)10mmの直径の円に内接する基底部を具備する,光電池の表面の上に配置される透明パネル,(B)7mmの直径の円に内接する基底部を具備する,光電池の表面の上に配置される透明パネル,(C)5mmの直径の円に内接する基底部を具備する,光電池の表面の上に配置される透明パネルを把握し,また,この中では,(C)5mmの直径の円に内接する基底部を具備する,光電池の表面の上に配置される透明パネルが好ましいことを把握する。
そこで,(C)5mmの直径の円に内接する基底部を具備する,光電池の表面の上に配置される透明パネルの場合について検討すると,各特徴部の厚さは,1.77mmとなる(特徴部の基底部(正方形)が5mmの直径の円に内接する場合,基底部の対角は5mm,基底部の一辺は5/√2mm,特徴部の高さ(厚さ)は5/√2/2=約1.77mmとなる。)。また,引用発明の「パネルは,0.5?10mmの範囲の全体厚みを有していても良く,光電池のための保護パネルとして使用されるとき,好ましくは2?6mmの範囲の全体厚み」を有するところ,引用発明の透明パネルを光電池のための保護パネルとして使用する場合には,相応の強度を具備することが望ましいといえる。なお,屋外で空に向けて配置されるからには,むしろ,必須と考えられる。
そうしてみると,(a)強度を重視する当業者において,引用発明の透明パネルの全体厚みを,例えば,「好ましくは」とされる値の上限値である6mmとすることは,引用発明の光電池の表面の上に配置される透明パネルを具体化するに際し,当業者が採用するに相応しい事項にすぎない。加えて,(b)引用発明の透明パネルはガラス製であって良いところ,引用例1の段落【0046】には,特徴部の厚みを除いた厚みが3.75mm(=パネルの全体厚み(4mm)-特徴部の厚さ(0.5/2=0.25mm))となるガラス製の透明パネルが例示されているから,これを目安とした当業者において,引用発明の透明パネルをガラス製とし,その全体厚みを,約5.5mmとすることも,引用発明の光電池の表面の上に配置される透明パネルを具体化するに際し,当業者が採用するに相応しい事項にすぎない。さらにまた,(c)引用発明の透明パネルはポリメチルメタクリレート製,すなわち,極めて透明度が高いものであって良いところ,透明度と強度の両立を目指す当業者において,引用発明の透明パネルをポリメチルメタクリレート製とし,その全体厚みを「好ましくは」とされる値の上限値である6mmとすることも,引用発明の光電池の表面の上に配置される透明パネルを具体化するに際し,当業者が採用するに相応しい事項にすぎず,引用例1の段落【0031】には,「好ましくは,可能な最高の光透過率を維持するために,この線吸収が低いほど材料の厚みが大きい。」との事項も記載されている。
加えて,引用発明の「パネルは,0.5?10mmの範囲の全体厚みを有していても良く,光電池のための保護パネルとして使用されるとき,好ましくは2?6mmの範囲の全体厚み」を有するものであるところ,(C)5mmの直径の円に内接する基底部を具備する,光電池の表面の上に配置される透明パネルに好ましいものとして把握できる保護パネルの全体厚みの具体値は,1.77mmの特徴部の厚さに対し保護パネルの全体厚みが2mmでは明らかに薄すぎることを考慮すると,6mmしかない。そうしてみると,引用発明に接した当業者において,5mmの直径の円に内接する基底部を具備し,全体厚みが6mmである,光電池の表面の上に配置される透明パネルは,引用発明の具体的実施態様として,引用例1に記載されているに等しいものである。また,特徴部の厚さが1.77mmの場合は,保護パネルの全体厚みが約8.84mm未満であればρ>0.2を満たし,保護パネルの全体厚みが約5.89mm未満であればρ>0.3を満たす。
そうしてみると,引用発明において,「(i) 前記板(1;101)の厚さ(e_(1);e_(101))に対する各形体(5;105)の厚さ(e_(5);e_(105))の割合ρが0.2以上の所定値を有し,かつ前記板(1;101)の厚さ(e_(1);e_(101))が4.5mmから8mmまでの範囲内にある」という構成,又は,「(ii) 前記板(201)の厚さ(e_(201))が3mmから8mmまでの範囲内にある所定値であり,かつ前記板(201)の厚さ(e_(201))に対する各形体(205)の厚さ(e_(205))の割合ρが0.3以上である」という構成を採用することは,当業者が容易にできた事項であり,あるいは,相違点2は,実質的な相違点とはいえないものである。

本願発明の効果は,引用発明が奏する効果であるか,引用発明から予測可能な範囲内のものであり,少なくとも,顕著なものとはいえない。

4 請求人の主張に対して
請求人は,(補正後の)請求書の「3.本願発明と引用文献記載の発明との対比」(3?4頁)において,以下のとおり主張している。
「 本願発明は,エネルギー変換装置,特に光電池モジュールのエネルギー変換効率を高めることを目的とし,エネルギー変換素子に対向する模様付きの面を有する基板としての透明板であって,二つのパラメータの値,すなわち,a)透明板の厚みと,b)透明板の厚みに対する幾何学的模様形体の厚みの割合ρとによって模様形体の幾何学的形状が具体的に特定され,幾何学的模様形体の入射光が透過する有効表面積を相対的に大きくすることにより入射光の透過率を向上させた透明板を提供するものであります。
本願発明の上記特徴は,請求項1において,「(i)前記板(1;101)の厚さ(e_(1);e_(101))に対する各形体(5;105)の厚さ(e_(5);e_(105))の割合ρが0.2以上の所定値を有し,かつ前記板(1;101)の厚さ(e_(1);e_(101))が4.5mmから8mmまでの範囲内にある,又は(ii)前記板(201)の厚さ(e_(201))が3mmから8mmまでの範囲内にある所定値であり,かつ前記板(201)の厚さ(e_(201))に対する各形体(205)の厚さ(e_(205))の割合ρが0.3以上である」との構成として規定されています。
また,本願の請求項1に係る発明では,「前記一般平面(π)に対する傾斜角(α_(8);α_(108);α_(208))が30度よりも小さい凹凸部の領域(8;108;208)の面積(S_(8);S_(108);S_(208))が,前記凹凸部の全面積(S_(1);S_(101);S_(201))の35%よりも小さい」との構成が規定されております。
請求項1に係る発明の上記構成は,透明板を圧延や成形で製造した場合に,幾何学的模様形体の頂点及び谷の曲率半径が模様形体の厚みや透明板の厚みに関わらず変化しないことの発見に基づくものであり,模様形体の頂角を大きくすることなく,模様形体の厚みや透明板の厚みを増して,模様形体の凹凸部の領域の面積(S_(8);S_(108);S_(208)),すなわち頂点近傍領域の面積を小さくすることにより,模様形体の有効表面積を相対的に大きくし,入射光の透過率を向上させたものであります。
これに対して,従来は,幾何学的模様形体の頂点及び谷の曲率半径が模様形体の厚みや透明板の厚みに比例して増加すると考えられており,模様形体の厚みや透明板の厚みを増した場合には,模様形体の頂点及び谷の曲率半径が増加し,それによって模様形体の凹凸部の領域の面積(S_(8);S_(108);S_(208))も大きくなるとされていたため,本願発明の上記構成のように,模様形体の厚みや透明板の厚みを増すことにより,模様形体の有効表面積を相対的に大きくすることを発想することはできないものでありました。
本願発明の上記構成の具体例は,第1?第3実施形態のピラミッド型形体5,105,205として本願明細書に記載され,本願図面の図2?図4に示されています。本願発明の上記構成の効果は,本願明細書の段落0034において,本願発明の透明板1,101,201をそれぞれ備えた太陽光電池モジュール10,110,210と従来のピラミッド型形体305(本願図面の図5参照)を有する透明板301を備えた太陽光電池モジュール310のエネルギー変換効率が幾何学的模様を有しない標準的な太陽光電池モジュールの効率と比較してそれぞれ増加することが説明されており,また,表1において,本願発明の太陽光電池モジュール10,110,210では入射光の入射角が0°のときのエネルギー変換効率の増加率が従来の太陽光電池モジュール310と比較して同等以上であること,また,従来の太陽光電池モジュール310の年間全エネルギー変換効率の増加率は3.5%であるのに対し,本願発明の太陽光電池モジュール10,110,210の年間全エネルギー変換効率の増加率はいずれも4.5%であり,本願発明では従来の太陽光電池モジュール310と比較して一年間のエネルギー変換効率の増加率が1%高いことが示されております。本願発明の技術分野において,一年間のエネルギー変換効率の増加率を1%高めることは容易なことではありません。
従って,本願発明の上記構成によれば,透明板の厚みの値と,透明板の厚みに対する幾何学的模様形体の厚みの割合ρの値とを具体的に特定して,入射光の有効表面積を相対的に大きくした幾何学的模様を透明板に形成することで,透明板を通過する光の透過率を高めることができ,エネルギー変換装置としての太陽光電池モジュールのエネルギー変換効率を向上させることが可能となります。
本願の請求項1に係る発明の上記構成の具体的及び選択的に特定された透明板の厚み数値及び透明板の厚さに対する模様形体の厚さの割合ρの数値は,引用文献1に開示された板の厚みの数値範囲及び板の厚みに対する円錐形又は角錐形の形体の厚みの比の数値範囲に含まれておりますが,引用文献1は本願発明が具体的及び選択的に上記数値を特定することによって得られる有利な効果,すなわち,引用文献1は,模様形体の凹凸部の領域(頂点近傍領域)の面積を小さくし,これにより模様形体の有効表面積を相対的に大きくして,入射光の透過率を向上させ,エネルギー変換効率を高めることを開示しておりません(本願明細書の段落0034及び表1参照)。
したがって,引用文献1は,本願の請求項1に係る発明の上記構成を開示したものではなく,本願発明の上記作用効果を奏するものではありません。」

請求人は,本願発明の特徴として,ρによって模様形体の幾何学的形状が具体的に特定されていると主張する。
しかしながら,前記(3)イで述べたとおり,請求人が主張する本願発明の構成は,引用発明の光電池の表面の上に配置される透明パネルを具体化するに際し,当業者が採用するに相応しい構成にすぎず,あるいは,引用例1に記載されているに等しい構成にすぎない。

請求人は,頂点近傍領域の面積を小さくすることにより,模様形体の有効表面積を相対的に大きくし,入射光の透過率を向上させたと主張する。
しかしながら,前記(3)アで述べたとおり,反射防止及び光補足の効果が最大限得られるように,引用発明の正四角錐を,精確な正四角錐とすることは,引用発明それ自体が予定している事項である。請求人は,透明板を圧延や成形で製造した場合に,幾何学的模様形体の頂点及び谷の曲率半径が模様形体の厚みや透明板の厚みに関わらず変化しないことの発見に基づくと主張するが,例えば,素材を熱可塑性ポリマーとする場合において,その形状の精度が成形型の精度によって決まり,模様形体の厚みや透明板の厚みに関わらず変化しないことは,例示するまでもない技術常識であり,他の素材でも同様である。

請求人は,本願図面の図5の従来技術と比較して,本願発明のエネルギー変換効率の改善効果を主張するが,図5の従来技術の形体は,傾斜角が30度以下となる接続域の面積が約36%ときわめて大きく,明らかに不適切な幾何学的形状のものであるから,そのようなものとの比較においてエネルギー変換効率が改善しているとしても,引用発明の光電池の表面の上に配置される透明パネルを具体化するに際し,当業者が採用するに相応しい構成,あるいは,引用例1に記載されているに等しい構成との関係においては,顕著な効果であるとはいえない。

請求人は,引用例1は本願発明が具体的及び選択的に上記数値を特定することによって得られる有利な効果を開示していないと主張するが,引用例1は,引用発明の光電池の表面の上に配置される透明パネルを具体化するに際し,当業者が採用するに相応しい構成,あるいは,引用例1に記載されているに等しい構成として,本願発明が具体的及び選択的に特定する数値が開示されているのであるから,請求人が主張する有利な効果は,引用発明との関係において,際だって優れた効果であるとはいえないし,また,当業者が予測できた範囲内のものにすぎない。

なお,請求人は,意見書において,「引用文献1には,段落0046において,透明パネルが4mmの厚みを有すること,角錐形模様の基底部の各辺が0.5mmであること,頂点の半角が45°であること,幾何学的な模様付与後のパネルの全体厚みが4mmであることが記載されていますように,角錐形模様の厚さは0.25mm(0.5/(2tan(45°)))であり,模様を有しない透明パネルの厚さに対する角錐形模様部分の厚さの割合ρは0.0625(0.25mm/4mm)となっております。したがって,引用文献1に記載された発明は,本願発明の上記構成,すなわち,「(i)前記板(1;101)の厚さ(e_(1);e_(101))に対する各形体(5;105)の厚さ(e_(5);e_(105))の割合ρが0.2以上の所定値を有し,かつ前記板(1;101)の厚さ(e_(1);e_(101))が4.5mmから8mmまでの範囲内にある,又は(ii)前記板(201)の厚さ(e_(201))が3mmから8mmまでの範囲内にある所定値であり,かつ前記板(201)の厚さ(e_(201))に対する各形体(205)の厚さ(e_(205))の割合ρが0.3以上である」との構成を開示しておりません。」と主張している。
確かに,引用例1に具体的に開示された実施例は,本願発明と比較して,角錐形模様が小さいものであり,また,少なくとも本件出願の優先日時点において一般的な透明板は,表示装置用の透明板であり,非常に小さい模様を具備するものである。
しかしながら,前記(3)イで述べたとおり,引用例1には,請求人が主張する発明以外の発明(本願発明の数値範囲内の発明)も開示されている。また,光電池の表面の上に配置される透明パネルとしては,特開2004-335563号公報の図4及び段落【0028】に開示されるように,底面5mm,高さ3mmの正四角錐の角錐形模様も知られているから,引用例1に開示された数値範囲が非現実的なものである,あるいは,形式的には開示されているとしても実質的には開示されていない,とすることもできない。

第3 まとめ
本願発明は,その優先権主張の日前に日本国内又は外国において,頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。
したがって,他の請求項に係る発明について審理するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-07-31 
結審通知日 2015-08-04 
審決日 2015-08-21 
出願番号 特願2012-520036(P2012-520036)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 早川 貴之渡▲辺▼ 純也  
特許庁審判長 藤原 敬士
特許庁審判官 鉄 豊郎
樋口 信宏
発明の名称 凹凸付き透明板及びそのような板の製造方法  
代理人 三橋 真二  
代理人 大橋 康史  
代理人 伊藤 健太郎  
代理人 島田 哲郎  
代理人 前島 一夫  
代理人 青木 篤  
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