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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H05B
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H05B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05B
管理番号 1310283
審判番号 不服2014-24732  
総通号数 195 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-03-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-12-04 
確定日 2016-01-22 
事件の表示 特願2012-504106号「変調された光による状態指示情報を有する照明装置」拒絶査定不服審判事件〔平成22年10月14日国際公開、WO2010/116289号、平成24年10月4日国内公表、特表2012-523659号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2010年3月30日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2009年4月8日、(EP)欧州特許庁)を国際出願日とする出願であって、平成25年11月22日付けで拒絶理由が通知され、平成26年2月28日に意見書及び手続補正書が提出され、同年7月30日付けで拒絶査定がされ、同年12月4日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正書が提出されたものである。

第2 平成26年12月4日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成26年12月4日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.補正の内容
平成26年12月4日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲について補正をするものであって、請求項1について補正前後の記載を補正箇所に下線を付して示すと以下のとおりである。
(補正前の請求項1)
「照明装置であって、
少なくとも1つの光源と、
前記照明装置の状態を確立する回路と、
前記少なくとも1つの光源の光出力を前記状態に基づいて制御し、これにより前記照明装置から発する光に前記状態に関する光品質データを埋め込むコントローラと、
を有する照明装置。」

(補正後の請求項1)
「照明装置であって、
少なくとも1つの光源と、
前記照明装置の状態を確立する回路と、
前記少なくとも1つの光源の光出力を前記状態に基づいて制御し、これにより前記照明装置から発する光に前記照明装置の稼働寿命の終わりに関する前記照明装置の前記状態に関する光品質データを埋め込むコントローラと、
を有する照明装置。」

また、請求項7についての補正前後の記載を補正箇所に下線を付して示すと以下のとおりである。
(補正前の請求項7)
「少なくとも1つの照明装置に対して外部に位置し、該少なくとも1つの照明装置の状態を決定する監視装置であって、
前記少なくとも1つの照明装置からの入射光を検出するセンサと、
前記状態を、前記入射光に埋め込まれた光品質データに基づいて決定するプロセッサと、
を有する監視装置。」

(補正後の請求項7)
「少なくとも1つの照明装置に対して外部に位置し、該少なくとも1つの照明装置の状態を決定する監視装置であって、
前記少なくとも1つの照明装置からの入射光を検出するセンサと、
前記状態を、前記入射光に埋め込まれた前記照明装置の稼働寿命の終わりに関する光品質データに基づいて決定するプロセッサと、
を有する監視装置。」

2.請求項1についての補正の適否
(1)新規事項の追加の有無及び補正の目的の適否について
上記補正は、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である、「コントローラ」が「照明装置から発する光に」「埋め込む」「光品質データ」の構成について、本願明細書の段落【0014】の記載を根拠に、「前記照明装置の稼動寿命の終わりに関する前記照明装置の」状態に関するとの限定をするものであるから、発明特定事項を限定するものであって新規事項を追加するものではない。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に適合するものであり、また、その補正前の請求項1に記載された発明とその補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(2)独立特許要件
上記のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するから、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下「本願補正発明1」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下検討する。
ア.刊行物1の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用文献1として示された、本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開2009-48988号公報(以下「刊行物1」という。)には、以下の事項が記載されている。
(1a)「【請求項1】
照明制御信号および特定の制御信号を伝送線に出力する主操作盤装置と;
照明用ランプが配設される器具本体と、前記照明用ランプを点灯する点灯回路部と、複数の可視光通信用データおよびこの可視光通信用データに対応する特定の制御信号を記憶している記憶部と、主操作盤装置から伝送線を介して照明制御信号および特定の制御信号が入力され、前記記憶部から特定の制御信号に対応した可視光通信用データを読み出し可視光通信用データに応じた通信信号を生成するとともに照明制御信号に応じた調光信号を生成する主制御部と、前記照明用ランプが前記調光信号および前記通信信号に応じた調光点灯をするように点灯回路部を制御する点灯制御部とを有する照明器具と;
照明用ランプから放射された可視光より可視光通信用データを受信する受信装置と;
を具備していることを特徴とする照明制御システム。」
(1b)「【0001】
本発明は、照明用ランプから放射される可視光により各種データの通信が行える照明制御システムに関する。」
(1c)「【0010】
複数の可視光通信用データは、例えば照明器具のアドレス、名称やグルーピングの割付、照明用ランプの累積点灯時間、照明器具の累積駆動時間、設置位置などの他、ニュースなどの各種情報であってもよい。・・・」
(1d)「【0043】
記憶部17は、複数の可視光通信用データおよび各可視光通信用データに対応する特定の制御信号を記憶している。可視光通信用データは、例えば、制御端末装置3を配設している照明器具5のアドレス、名称、グループの割付データや照明用ランプ8の累積点灯時間のデータなどである。」
(1e)「【0047】
図3において、計時部21は、照明用ランプ8を交換したときからの累積点灯時間を計時する。主制御部18は、当該累積点灯時間を可視光通信用データとして記憶部17に記憶させる。・・・」

イ.刊行物1に記載された発明
(ア)刊行物1には、「照明用ランプから放射される可視光により各種データの通信が行える照明制御システム」(摘示(1b))について開示されるところ、その特許請求の範囲の請求項1には、
「照明制御信号および特定の制御信号を伝送線に出力する主操作盤装置と;
照明用ランプが配設される器具本体と、前記照明用ランプを点灯する点灯回路部と、複数の可視光通信用データおよびこの可視光通信用データに対応する特定の制御信号を記憶している記憶部と、主操作盤装置から伝送線を介して照明制御信号および特定の制御信号が入力され、前記記憶部から特定の制御信号に対応した可視光通信用データを読み出し可視光通信用データに応じた通信信号を生成するとともに照明制御信号に応じた調光信号を生成する主制御部と、前記照明用ランプが前記調光信号および前記通信信号に応じた調光点灯をするように点灯回路部を制御する点灯制御部とを有する照明器具と;
照明用ランプから放射された可視光より可視光通信用データを受信する受信装置と;
を具備していることを特徴とする照明制御システム。」(摘示(1a))と記載されている。
(イ)刊行物1には、上記照明制御システムの実施の形態として、記憶部17は、照明用ランプ8を交換したときからの累積点灯時間を含む複数の可視光通信用データおよび各可視光通信用データに対応する特定の制御信号を記憶すること(摘示(1d)(1e))、が記載されている。

以上によれば、刊行物1には、次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものといえる。
「照明制御信号および特定の制御信号を伝送線に出力する主操作盤装置と;
照明用ランプが配設される器具本体と、前記照明用ランプを点灯する点灯回路部と、複数の可視光通信用データおよびこの可視光通信用データに対応する特定の制御信号を記憶している記憶部と、主操作盤装置から伝送線を介して照明制御信号および特定の制御信号が入力され、前記記憶部から特定の制御信号に対応した可視光通信用データを読み出し可視光通信用データに応じた通信信号を生成するとともに照明制御信号に応じた調光信号を生成する主制御部と、前記照明用ランプが前記調光信号および前記通信信号に応じた調光点灯をするように点灯回路部を制御する点灯制御部とを有する照明器具と;
照明用ランプから放射された可視光より可視光通信用データを受信する受信装置と;
を具備している、照明制御システムであって、
記憶部は、照明用ランプを交換したときからの累積点灯時間を含む複数の可視光通信用データおよび各可視光通信用データに対応する特定の制御信号を記憶する、照明制御システム。」

ウ.対比・判断
本願補正発明1と引用発明1とを対比する。
(ア)引用発明1における「照明器具」、「照明用ランプ」は、その技術的意義において、本願補正発明1における「照明装置」、「少なくとも1つの光源」に、それぞれ相当する。

(イ)本願補正発明1における「前記照明装置の状態を確立する回路」は、その構成が必ずしも明確ではないが、本願明細書の段落【0043】,【0044】,【0049】,【0050】等の記載を参酌すると、クロック7により計数された光源4の現在までの使用時間数を記憶するメモリ5’を有する回路であることを含むと解される。
上記(ア)で述べたとおり引用発明1の「照明用ランプ」は本願補正発明1の「少なくとも1つの光源」に相当し、引用発明1における「照明用ランプを交換したときからの累積点灯時間」は、本願補正発明1における「少なくとも1つの光源」の現在までの使用時間数に相当するといえる。
よって、引用発明1において「前記照明用ランプを交換したときからの累積点灯時間を含む複数の前記可視光通信用データおよび各前記可視光通信用データに対応する前記特定の制御信号を記憶する」「記憶部」は、本願補正発明1における「前記照明装置の状態を確立する回路」に相当するといえる。

(ウ)本願補正発明1における「前記少なくとも1つの光源の光出力を前記状態に基づいて制御し、これにより前記照明装置から発する光に前記照明装置の稼働寿命の終わりに関する前記照明装置の前記状態に関する光品質データを埋め込むコントローラ」は、その構成が必ずしも明確ではないが、本願明細書の段落【0043】?【0050】及び図2,3等の記載を参酌すると、「前記少なくとも1つの光源の光出力を、前記光源の現在までの使用時間数を記述した光品質データに基づいて制御し、これにより前記照明装置から発する光に前記照明装置の稼動寿命の終わりに関する前記光品質データを埋め込むコントローラ」であることを含むと解される。
上記(ア)で述べたとおり、引用発明1の「照明用ランプ」は本願補正発明1の「少なくとも1つの光源」に相当し、引用発明1における「前記照明用ランプを交換したときからの累積点灯時間を含む」「可視光通信用データ」は、本願補正発明1における「前記光源の現在までの使用時間数を記述した光品質データ」に相当するといえ、「前記照明装置の稼動寿命の終わりに関する光品質データ」に相当するといえる。
また、引用発明1において、「通信信号」は「可視光通信用データに応じ」て「生成」されるものであり、「点灯制御部」は「前記照明用ランプが前記調光信号および前記通信信号に応じた調光点灯をするように点灯回路部を制御する」ものであるから、前記「点灯制御部」は「点灯回路部を制御」して「照明器具」が有する「照明用ランプ」が発する光に「可視光通信用データ」を埋め込むものといえる。
よって、引用発明1における「前記照明用ランプを点灯する点灯回路部」及び「前記照明用ランプが前記調光信号および前記通信信号に応じた調光点灯をするように点灯回路部を制御する点灯制御部」は、本願補正発明1における「前記少なくとも1つの光源の光出力を前記状態に基づいて制御し、これにより前記照明装置から発する光に前記照明装置の稼働寿命の終わりに関する前記照明装置の前記状態に関する光品質データを埋め込むコントローラ」に相当するといえる。

以上によれば、本願補正発明1と引用発明1とは、
「照明装置であって、
少なくとも1つの光源と、
前記照明装置の状態を確立する回路と、
前記少なくとも1つの光源の光出力を前記状態に基づいて制御し、これにより前記照明装置から発する光に前記照明装置の稼動寿命の終わりに関する前記照明装置の前記状態に関する光品質データを埋め込むコントローラと、
を有する照明装置。」の点で一致し、相違点は存在しない。

(エ)ところで審判請求人は、平成26年2月28日付け意見書において、「引用文献1(刊行物1)には、『計時部21は、照明用ランプ8を交換したときからの累積点灯時間を計時する。主制御部18は、当該累積点灯時間を可視光通信用データとして記憶部17に記憶させる。』とあり、光源についての累積点灯時間を可視光通信用データとすることが記載されているに過ぎず、照明用ランプ8以外の照明器具5についての状態を考慮するものではありません。」(〔B〕)と主張する。
しかし、刊行物1には、可視光通信用データに、照明器具の累積駆動時間を含ませてもよいことが記載ないし示唆されている(摘示(1c))。照明器具の累積駆動時間が、「照明装置」の現在までの使用時間数に相当するものであることは明らかであるから、引用発明1における「光品質データ(可視光通信データ)」は、「照明装置の現在までの使用時間数」を含み得るものである。

(3)まとめ
したがって、本願補正発明1は、刊行物1に記載された発明(引用発明1)であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができず、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

3.請求項7についての補正の適否
(1)新規事項の追加の有無及び補正の目的の適否について
上記補正は、補正前の請求項7に記載された発明を特定するために必要な事項である、「前記入射光に埋め込まれた」「光品質データ」の構成について、本願明細書の段落【0014】の記載を根拠に、「前記照明装置の稼動寿命の終わりに関する」との限定をするものであるから、発明特定事項を限定するものであって新規事項を追加するものではない。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に適合するものであり、また、その補正前の請求項7に記載された発明とその補正後の請求項7に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

(2)独立特許要件
上記のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げられた特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するから、本件補正後の請求項7に記載されている事項により特定される発明(以下「本願補正発明2」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下検討する。
ア.刊行物1の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用文献1として示された、本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開2009-48988号公報(以下「刊行物1」という。)には、以下の事項が記載されている。
(1a)?(1e)
上記「2.(2)ア.」に記載したとおりである。
(1f)「【0057】
受信装置6は、可視光の照射範囲内で、受光部24によって可視光を受信し、フィルター回路部25で可視光から通信信号を取得する。そして、制御部28は、取得した通信信号から可視光通信用データを特定し、特定した可視光通信用データの内容を表示部26に表示させる。これにより、表示部26を視認するだけで、器具情報である可視光通信用データ例えば累積点灯時間が容易に確認される。」
(1g)図1には、以下の図が示されている。


イ.刊行物1に記載された発明
(ア)刊行物1には、「照明用ランプから放射される可視光により各種データの通信が行える照明制御システム」(摘示(1b))について開示されるところ、その特許請求の範囲の請求項1には、
「照明制御信号および特定の制御信号を伝送線に出力する主操作盤装置と;
照明用ランプが配設される器具本体と、前記照明用ランプを点灯する点灯回路部と、複数の可視光通信用データおよびこの可視光通信用データに対応する特定の制御信号を記憶している記憶部と、主操作盤装置から伝送線を介して照明制御信号および特定の制御信号が入力され、前記記憶部から特定の制御信号に対応した可視光通信用データを読み出し可視光通信用データに応じた通信信号を生成するとともに照明制御信号に応じた調光信号を生成する主制御部と、前記照明用ランプが前記調光信号および前記通信信号に応じた調光点灯をするように点灯回路部を制御する点灯制御部とを有する照明器具と;
照明用ランプから放射された可視光より可視光通信用データを受信する受信装置と;
を具備していることを特徴とする照明制御システム。」(摘示(1a))と記載されている。
(イ)刊行物1には、上記照明制御システムの実施の形態として、
記憶部17は、照明用ランプ8を交換したときからの累積点灯時間を含む複数の可視光通信用データおよび各可視光通信用データに対応する特定の制御信号を記憶すること(摘示(1d)(1e))、
受信装置6は、受光部24によって可視光を受信し、フィルター回路部25で可視光から通信信号を取得し、制御部28が、取得した通信信号から可視光通信用データを特定し、特定した可視光通信用データの内容を表示部26に表示させるものであること(摘示(1f))、が記載されている。
(ウ)刊行物1の図1から、受信装置6は、少なくとも1つの照明器具5に対して外部に位置することが看取される(摘示(1g))。

以上によれば、刊行物1には、次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものといえる。
「照明制御信号および特定の制御信号を伝送線に出力する主操作盤装置と;
照明用ランプが配設される器具本体と、前記照明用ランプを点灯する点灯回路部と、複数の可視光通信用データおよびこの可視光通信用データに対応する特定の制御信号を記憶している記憶部と、主操作盤装置から伝送線を介して照明制御信号および特定の制御信号が入力され、前記記憶部から特定の制御信号に対応した可視光通信用データを読み出し可視光通信用データに応じた通信信号を生成するとともに照明制御信号に応じた調光信号を生成する主制御部と、前記照明用ランプが前記調光信号および前記通信信号に応じた調光点灯をするように点灯回路部を制御する点灯制御部とを有する照明器具と;
照明用ランプから放射された可視光より可視光通信用データを受信する受信装置と;
を具備している、照明制御システムであって、
記憶部は、照明用ランプを交換したときからの累積点灯時間を含む複数の可視光通信用データおよび各可視光通信用データに対応する特定の制御信号を記憶し、
受信装置は、受光部によって可視光を受信し、フィルター回路部で可視光から通信信号を取得し、制御部が、取得した通信信号から可視光通信用データを特定し、特定した可視光通信用データの内容を表示部に表示させるものであり、少なくとも1つの照明器具に対して外部に位置するものである、照明制御システム。」

ウ.対比・判断
本願補正発明2と引用発明2とを対比する。
(ア)引用発明2における「照明器具」は、その技術的意義において、本願補正発明2における「照明装置」に相当する。

(イ)引用発明2における「照明用ランプから放射された可視光より可視光通信用データを受信する受信装置」であって「受光部によって可視光を受信し、フィルター回路部で可視光から通信信号を取得し、制御部が、取得した通信信号から可視光通信用データを特定し、特定した可視光通信用データの内容を表示部に表示させるものであり、少なくとも1つの照明器具に対して外部に位置するものである」「受信装置」は、「少なくとも1つの照明器具に対して外部に位置」し、「可視光通信用データに応じた通信信号」を「取得」して「可視光通信用データを特定」するものである。前記「可視光通信用データ」は、「照明用ランプを交換したときからの累積点灯時間を含む」ものであるから、「照明用ランプ」を含む「照明器具」の状態を示すデータであるといえる。
よって、引用発明2における「受信装置」が、本願補正発明2における「少なくとも1つの照明装置に対して外部に位置し、該少なくとも1つの照明装置の状態を決定する監視装置」に相当するといえる。

(ウ)引用発明2における「照明用ランプから放射された可視光」を「受信」する「受光部」は、その技術的意義において、本願補正発明2における「前記少なくとも1つの照明装置からの入射光を検出するセンサ」に相当するといえる。

(エ)引用発明2における「照明器具」は「照明用ランプ」を含むものであり、「前記照明用ランプを交換したときからの累積点灯時間」が「照明器具」の稼動寿命の終わりに関するデータであることは明らかであるから、引用発明2における「前記照明用ランプを交換したときからの累積点灯時間を含む」「可視光通信用データ」は、本願補正発明2における「前記照明装置の稼動寿命の終わりに関する光品質データ」に相当するといえる。
よって、引用発明2において「受光部」で受信した「可視光」から「可視光通信用データを特定し、特定した可視光通信用データの内容を表示部に表示させる」「制御部」は、本願補正発明2において「前記状態を、前記入射光に埋め込まれた前記照明装置の稼働寿命の終わりに関する光品質データに基づいて決定するプロセッサ」に相当するといえる。

以上によれば、本願補正発明2と引用発明2とは、
「少なくとも1つの照明装置に対して外部に位置し、該少なくとも1つの照明装置の状態を決定する監視装置であって、
前記少なくとも1つの照明装置からの入射光を検出するセンサと、
前記状態を、前記入射光に埋め込まれた前記照明装置の稼働寿命の終わりに関する光品質データに基づいて決定するプロセッサと、
を有する監視装置。」の点で一致し、相違点は存在しない。

(3)まとめ
したがって、本願補正発明2は、刊行物1に記載された発明(引用発明2)であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができず、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4.本件補正についてのむすび
以上のとおりであるから、上記「2.」「3.」のいずれにしても、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?20に係る発明は、平成26年2月28日付けの手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1?20に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、本願の請求項1及び7に係る発明(以下「本願発明1」及び「本願発明2」という。)は、上記「第2 1.(補正前の請求項1)及び(補正前の請求項7)」に記載されたとおりのものである。

第4 刊行物とその記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1及びその記載事項は、上記「第2 2.(2)ア.及び第2 3.(2)ア.」に記載したとおりであり、刊行物1に記載された発明(引用発明1及び2)は、上記「第2 2.(2)イ.及び第2 3.(2)イ.」に記載したとおりである。

第5 当審の判断
本願発明1は、上記「第2」で検討した本願補正発明1から、「コントローラ」が「照明装置から発する光に」「埋め込む」「光品質データ」の構成について、「前記照明装置の稼動寿命の終わりに関する前記照明装置の」状態に関する、という限定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明1の発明特定事項を含み、さらに他の限定を付加したものに相当する本願補正発明1が、上記「第2 2.(2)ウ.」で述べたとおり、刊行物1に記載された発明(引用発明1)であるから、本願発明1も同様の理由により、刊行物1に記載された発明(引用発明1)であるといえる。
また、本願発明2は、上記「第2」で検討した本願補正発明2から、「前記入射光に埋め込まれた」「光品質データ」の構成について、「前記照明装置の稼動寿命の終わりに関する」との限定事項を省いたものである。
そうすると、本願発明2の発明特定事項を含み、さらに他の限定を付加したものに相当する本願補正発明2が、上記「第2 3.(2)ウ.」で述べたとおり、刊行物1に記載された発明(引用発明2)であるから、本願発明2も同様の理由により、刊行物1に記載された発明(引用発明2)であるといえる。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明1及び2は、刊行物1に記載された発明(引用発明1及び2)であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-08-21 
結審通知日 2015-08-25 
審決日 2015-09-08 
出願番号 特願2012-504106(P2012-504106)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (H05B)
P 1 8・ 121- Z (H05B)
P 1 8・ 113- Z (H05B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲桑▼原 恭雄  
特許庁審判長 和田 雄二
特許庁審判官 櫻田 正紀
出口 昌哉
発明の名称 変調された光による状態指示情報を有する照明装置  
代理人 笛田 秀仙  
代理人 浅村 敬一  
代理人 津軽 進  

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