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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1310373
審判番号 不服2013-24700  
総通号数 195 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-03-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2013-12-16 
確定日 2016-01-25 
事件の表示 特願2012-119816号「パチンコ機」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 8月16日出願公開、特開2012-152654号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成13年5月14日に出願した特願2001-143056号の一部を平成23年2月2日に新たな特許出願である特願2011-20916号とし、さらにこの特願2011-20916号の一部を平成24年5月25日に新たな特許出願としたものであって、平成25年6月21日付で拒絶の理由が通知され、平成25年8月28日付けで意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成25年9月30日付け(発送日:平成25年10月9日)で拒絶査定がなされ、これに対して、同年12月16日に拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、手続補正がなされたものである。
一方、当審において平成26月12月25日付けで拒絶の理由を通知し、これに対して、平成27年2月18日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年6月23日付けで最後の拒絶の理由を通知し、これに対して、同年7月31日付けで意見書及び手続補正書が提出されたところである。

第2 平成27年7月31日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成27年7月31日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正は、平成27年2月18日付けの手続補正の特許請求の範囲の請求項1の記載を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「【請求項1】
遊技盤に設けられた普通図柄作動ゲートが遊技球を検出すると、前記遊技盤に設けられた普通図柄表示装置において、普通図柄が所定時間変動し、前記普通図柄が当たりの場合には、普通電動役物が開放可能な特別図柄始動口と、
前記特別図柄始動口への入賞に基づいて図柄が所定時間変動する図柄表示装置と、
前記図柄表示装置の下方に傾斜状に配列された遊技釘群とが設けられたパチンコ機において、
前記傾斜状に配列された遊技釘群は、
前記遊技盤の中央にかけて下り傾斜状に、かつ、前記普通電動役物が開放可能な前記特別図柄始動口に遊技球を誘導する方向に配列され、その途中に遊技球を落下させる複数の隙間が設けられた第1の遊技釘群と、
前記第1の遊技釘群の上方にあって、前記遊技盤の中央にかけて下り傾斜状に、かつ、前記普通電動役物が開放可能な前記特別図柄始動口に遊技球を誘導する方向に配列され、その途中に遊技球を落下させる複数の隙間が設けられた第2の遊技釘群とからなり、
前記第2の遊技釘群の上部には、遊技球が流下する第2流路が形成され、
前記第1の遊技釘群と前記第2の遊技釘群との間には、遊技球が流下する第1流路が形成され、
前記図柄表示装置の側部には、遊技釘と風車とからなる遊技球振り分け部材が設けられ、
前記遊技球振り分け部材によって振り分けられた遊技球の一部は、前記第1流路又は前記第2流路に振り分けられ、
前記第2流路を流下する遊技球の一部は、前記特別図柄始動口へ誘導され、前記特別図柄始動口に入賞しなかった前記遊技球の一部は、前記第1の遊技釘群と前記遊技盤に取り付けられた遊技部品である大入賞口との間の領域へ誘導されることを特徴とするパチンコ機。」
から、
平成27年7月31日付けの手続補正の特許請求の範囲の請求項1の
「【請求項1】
遊技盤に設けられた普通図柄作動ゲートが遊技球を検出すると、前記遊技盤に設けられた普通図柄表示装置において、普通図柄が所定時間変動し、前記普通図柄が当たりの場合には、普通電動役物が開放可能な特別図柄始動口と、
前記特別図柄始動口への入賞に基づいて図柄が所定時間変動する図柄表示装置と、
前記図柄表示装置の下方に傾斜状に配列された遊技釘群とが設けられたパチンコ機において、
前記傾斜状に配列された遊技釘群は、
前記遊技盤の中央にかけて下り傾斜状に、かつ、前記普通電動役物が開放可能な前記特別図柄始動口に遊技球を誘導する方向に配列され、その途中に遊技球を落下させる複数の隙間が設けられた第1の遊技釘群と、
前記第1の遊技釘群の上方にあって、前記遊技盤の中央にかけて下り傾斜状に、かつ、前記普通電動役物が開放可能な前記特別図柄始動口に遊技球を誘導する方向に配列され、その途中に遊技球を落下させる複数の隙間が設けられた第2の遊技釘群とからなり、
前記第2の遊技釘群の上部には、遊技球が流下する第2流路が形成され、
前記第1の遊技釘群と前記第2の遊技釘群との間には、遊技球が流下する第1流路が形成され、
前記図柄表示装置の側部には、第3流路に落下した遊技球が第4流路又は第5流路のいずれかに振り分けられる位置に設けられた遊技釘である第1の遊技球振り分け部材と、前記第1の遊技球振り分け部材の下方に設けられ、かつ、第6流路に落下した遊技球が第7流路又は第8流路のいずれかに振り分けられる位置に設けられた遊技釘である第2の遊技球振り分け部材と、前記第2の遊技球振り分け部材の下方に設けられ、かつ、第9流路に落下した遊技球が第10流路又は第11流路のいずれかに振り分けられる位置に設けられた風車である第3の遊技球振り分け部材と、が設けられ、
各遊技球振り分け部材によって振り分けられた遊技球の一部は、前記第1流路又は前記第2流路に振り分けられ、
前記第2流路を流下する遊技球の一部は、前記特別図柄始動口へ誘導され、前記特別図柄始動口に入賞しなかった前記遊技球の一部は、前記第1の遊技釘群と前記遊技盤に取り付けられた遊技部品である大入賞口との間の領域へ誘導されることを特徴とするパチンコ機。」
に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審で付した。)。

2 補正の適否
(1)本件補正
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1の記載について、以下の補正事項を含むものである。

ア 補正前の請求項1における「前記図柄表示装置の側部には、遊技釘と風車とからなる遊技球振り分け部材が設けられ」という記載を、
「前記図柄表示装置の側部には、第3流路に落下した遊技球が第4流路又は第5流路のいずれかに振り分けられる位置に設けられた遊技釘である第1の遊技球振り分け部材と、前記第1の遊技球振り分け部材の下方に設けられ、かつ、第6流路に落下した遊技球が第7流路又は第8流路のいずれかに振り分けられる位置に設けられた遊技釘である第2の遊技球振り分け部材と、前記第2の遊技球振り分け部材の下方に設けられ、かつ、第9流路に落下した遊技球が第10流路又は第11流路のいずれかに振り分けられる位置に設けられた風車である第3の遊技球振り分け部材と、が設けられ」とする補正。

イ 補正前の請求項1における「前記遊技球振り分け部材」という記載を、
「各遊技球振り分け部材」とする補正。

(2)補正の目的要件違反等についての検討
・補正事項ア、イについて
補正事項アは、「遊技釘と風車とからなる遊技球振り分け部材」という記載を、「第3流路に落下した遊技球が第4流路又は第5流路のいずれかに振り分けられる位置に設けられた遊技釘である第1の遊技球振り分け部材と、前記第1の遊技球振り分け部材の下方に設けられ、かつ、第6流路に落下した遊技球が第7流路又は第8流路のいずれかに振り分けられる位置に設けられた遊技釘である第2の遊技球振り分け部材と、前記第2の遊技球振り分け部材の下方に設けられ、かつ、第9流路に落下した遊技球が第10流路又は第11流路のいずれかに振り分けられる位置に設けられた風車である第3の遊技球振り分け部材」という記載にする補正であり、「遊技釘」である「遊技球振り分け部材」について、「第3流路に落下した遊技球が第4流路又は第5流路のいずれかに振り分けられる位置に設けられた」という限定及び「前記第1の遊技球振り分け部材の下方に設けられ、かつ、第6流路に落下した遊技球が第7流路又は第8流路のいずれかに振り分けられる位置に設けられた」という限定をするものであり、「風車」である「遊技球振り分け部材」について、「第9流路に落下した遊技球が第10流路又は第11流路のいずれかに振り分けられる位置に設けられた」という限定をするものである。
また、補正事項イは、当該補正事項アによる「遊技球振り分け部材」を「第1の遊技球振り分け部材」、「第2の遊技球振り分け部材」及び「第3の遊技球振り分け部材」という複数の「遊技球振り分け部材」に限定することに伴ってなされた表現上の変更にすぎない。
また、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する限定的減縮を目的とするものに該当する。

そして、本件補正は新規事項を追加するものではない。

3 独立特許要件
平成27年6月23日付け最後の拒絶理由通知は、平成26年12月25日付け最初の拒絶理由通知に対する応答時の補正によって通知することが必要になった拒絶の理由のみを通知する拒絶理由通知であるから、最後の拒絶理由通知とすることは妥当であった。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)刊行物1に記載された発明
当審の拒絶の理由(平成27年6月23日付け最後の拒絶理由通知)に引用された本願の出願日前に頒布された特開2000-317080号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。)。

(1-a)「【0013】
【実施例】図1に示すように、弾球遊技機としてのパチンコ機10は、ヒンジ12a、12bを介して外枠14に開閉可能に支持された前面枠16を備えている。なお、外枠14には、前面枠16の開放を検出するための前面枠スイッチ14a(図8参照)が装着されている。」

(1-b)「【0017】図2に示すように、遊技盤37には外レール40と内レール41とが取付けられ、これらに囲まれた略円形の遊技領域42が形成されている。この遊技領域42のほぼ中央には特別図柄表示装置43が配され、その周囲はワープ樋やステージ等を備える枠体44が囲っている。
【0018】この特別図柄表示装置43を取り囲むようにして、ランプ風車45、ゲート46、風車47等が配され、特別図柄表示装置43の直下にはチューリップ式の入賞装置であり、特別図柄始動口となる普通電動役物48が設置されている。また、普通電動役物48の下方には、大入賞口50、一対の普通入賞口51及び2つの7セグメントLEDからなる普通図柄表示装置53を備える大入賞装置52が設置されている。さらに、大入賞装置52の斜め上方には普通入賞口54が配され、下方にはアウト穴55が設けられている。なお、ランプ風車45には風車ランプ45aが、普通入賞口54には入賞口ランプ54aが、大入賞口50内部には大入賞口ランプ50aがそれぞれ設置され、ゲート46には普図センサ46aが装備されている。
【0019】このパチンコ機10では、ゲート46の普図センサ46aが遊技球の通過を検出すると、普通図柄表示装置53において2桁の数字(00?99)が変動後に停止表示され、その停止した数字(普通図柄)が当たりの表示になると普通電動役物48が開放される。この際の数字の変動は図2(b)に示すような変動形態であり、数字が昇降変化しているように見える(例示するのは7の昇降変化である。)。」

(1-c)「【0021】図2には一部のみ示すが、遊技盤37には多数の障害釘58が打ち付けられている。このパチンコ機10に搭載されている特別図柄表示装置43の液晶表示盤43aのサイズは6インチであるので、特別図柄表示装置43の周囲を囲む枠体44の寸法もそれに応じて大型となっている。
【0022】遊技領域42に撃ち込まれた遊技球の多くは(枠体44のワープ樋を通る以外は)枠体44の左右の通過領域59a、59bを通って落下する。ところが、枠体44が大型化した分だけ通過領域59a、59bが侵食されたわけで、遊技球は、遊技盤37の左右寄りを通ることになる。すなわち、遊技盤37の中央部に設置されている普通電動役物48から遠い場所を落下することになる。このため、通過領域59a、59bを通った遊技球を何らかの手だてで普通電動役物48側に誘導してやる必要がある。そのために、パチンコ機10では図3に示す釘配置を採用している。」

(1-d)「【0024】枠体44の下方には、普通電動役物48の左右斜め方向に、3本釘70aと4本釘70bとからなる上案内釘列70が設けられ、4本釘70bと普通電動役物48の間には2本の補助釘71が打ち付けられている。なお、3本釘70aと4本釘70bとの間及び4本釘70bと補助釘71との間には遊技球が通過可能な隙間が設けられている。3本釘70aを構成する各釘間の距離及び4本釘70bを構成する各釘間の距離は5.4mm、上案内釘列70の各釘の中心を結ぶ線(並び方向)は水平方向に対して26度の角度に設定されている。また、補助釘71の並び方向も上案内釘列70の並び方向に沿っている。
【0025】このように上案内釘列70が設けられているので、3本釘70a上に乗った遊技球は、4本釘70b→補助釘71→普通電動役物48と誘導される可能性が高い。さらに、上案内釘列70の下方には、並び方向が水平方向に対して23度で、各釘間の距離が5.3mmに設定された、下案内釘列72が配されている。
【0026】この下案内釘列72上に乗った遊技球は、普通電動役物48の開閉羽根48aが倒された際に(開放状態になった際に)、その倒れた開閉羽根48a上に誘導される可能性が高い。図3に示される構成では、ワープ入口64から流入した遊技球は、ワープ樋65にて導かれてステージ66上に至り、ここから落下するので普通電動役物48に入賞する可能性が十分ある。
【0027】一方、ワープ入口64に入らずに通過領域59a、59bを通った遊技球は、例えば風車47やその付近の障害釘58によって誘導されて、上案内釘列70上に乗れば、普通電動役物48に向けて誘導されるので、普通電動役物48に入賞する可能性が高まる。
【0028】また、普通電動役物48が開放状態になった際には、下案内釘列72上に乗った遊技球が、倒れた開閉羽根48a上に誘導される可能性が高い(普通電動役物48に入賞しやすい)。上案内釘列70の並び方向を水平方向に対して26度の角度として3本釘70a及び4本釘70bを構成する各釘間の距離を5.4mmに設定し、下案内釘列72の並び方向を水平方向に対して23度として、各釘間の距離を5.3mmに設定しているのは、次のような理由による。」

(1-e)「【0057】まず、特別図柄の変動表示のきっかけとなる普通電動役物48への始動入賞を受け付けるための始動記憶処理は、図9に示すとおりである。この処理では、遊技制御装置107は、普通電動役物48に入球(始動入賞)したか否かを始動口センサ134の検出信号に基づいて判断し(S101)、普通電動役物48に入球した遊技球(始動入賞)が検出されていれば判定用乱数カウンタの判定値を読み取る(S102)。そして、保留記憶個数が上限に達している(保留満杯)か否かを判断する(S103)。本実施例の場合、保留記憶個数の上限は4個であるから、ここではすでに4個の保留記憶があるか否かを判断する。」

(1-f)「【0060】続いて、特図保留LED61を1個消灯させて(S205)、当たり外れの判定を行う(S206)。この判定は公知のパチンコ機と同様であり、判定値があらかじめ決められている当たり値のいずれかと一致すれば当たりで、一致しなければ外れである。遊技制御装置107は、この当たり外れを実行する点で判定手段に該当する。
【0061】次に、遊技制御装置107は、判定結果を表示するための図柄を決め(S207)、特別図柄表示装置43に図柄変動開始のコマンドを送信する(S208)。本実施例の場合、特別図柄表示装置43における特別図柄の表示は、図11、12に示すように、正三角形状に配置された6箇所の図柄枠A?Fのそれぞれにおいて図柄が変動表示され静止表示される。本実施例の場合、表示される図柄の種類は、図13に示す足、トリ、ウサギ、ヒト、サンカク、7及びスフィンクスの7種類である。」

(1-g)前記(1-b)の段落【0017】?【0019】より、遊技盤37に形成された遊技領域42のほぼ中央に配された特別図柄表示装置43を取り囲むようにして、ランプ風車45、ゲート46、風車47等が配され、当該ゲート46には普図センサ46aが装備されている。そして、当該ゲート46の普図センサ46aが遊技球の通過を検出すると、普通図柄表示装置53において2桁の数字(00?99)が変動後に停止表示され、その停止した数字(普通図柄)が当たりの表示になると普通電動役物48が開放される。また、遊技盤37に形成された遊技領域42のほぼ中央に配された特別図柄表示装置43の直下に設置された普通電動役物48の下方には普通図柄表示装置53が設置されている。
さらに、前記(1-b)の段落【0018】より、特別図柄始動口は普通電動役物48からなるものである。
以上のことから、刊行物1には、「遊技盤37に形成された遊技領域42のほぼ中央に配された特別図柄表示装置43を取り囲むようにランプ風車45、ゲート46、風車47等が配され、当該ゲート46に装備された普図センサ46aが遊技球の通過を検出すると、遊技盤37に形成された遊技領域42のほぼ中央に配された特別図柄表示装置43の直下に設置された普通電動役物48の下方に設置されている普通図柄表示装置53において2桁の数字(00?99)が変動後に停止表示され、その停止した数字(普通図柄)が当たりの表示になると開放される普通電動役物48からなる特別図柄始動口」が記載されている。

(1-h)前記(1-e)の記載及び【図9】より、特別図柄の変動表示は普通電動役物48への始動入賞をきっかけとして行われ、この始動入賞を受け付けるための始動記憶処理において、遊技制御装置107は、普通電動役物48に入球(始動入賞)したか否かを始動口センサ134の検出信号に基づいて判断し(S101)、普通電動役物48に入球した遊技球(始動入賞)が検出されていれば判定用乱数カウンタの判定値を読み取り(S102)、さらに前記(1-f)の記載及び【図10】より、判定値があらかじめ決められている当たり値のいずれかと一致すれば当たりで、一致しなければ外れである当たり外れの判定を行い(S206)、判定結果を表示するための図柄を決め(S207)、特別図柄表示装置43に図柄変動開始のコマンドを送信する(S208)ものである。そして、特別図柄表示装置43がこの図柄変動開始のコマンドに基づいて特別図柄の変動表示を行うことは、明らかである。
以上のことから、刊行物1には、「遊技制御装置107が、特別図柄始動口に入球(始動入賞)したか否かを始動口センサ134の検出信号に基づいて判断し(S101)、特別図柄始動口に入球した遊技球(始動入賞)が検出されていれば判定用乱数カウンタの判定値を読み取り(S102)、判定値による当たり外れの判定を行い(S206)、判定結果を表示するための図柄を決め(S207)、特別図柄表示装置43に図柄変動開始のコマンドを送信し(S208)、この図柄変動開始のコマンドに基づいて特別図柄の変動表示を行う特別図柄表示装置43」が記載されている。
さらに、前記(1-c)に、当該特別図柄表示装置43は、大型の枠体44に周囲を囲まれていることが記載されている。

(1-i)前記(1-c)、(1-d)の記載及び【図3】より、枠体44の下方には、普通電動役物48の左右斜め方向に、各釘の中心を結ぶ線(並び方向)が水平方向に対して26度の角度に設定されている3本釘70aと4本釘70bとからなる上案内釘列70と、上案内釘列70の並び方向に沿っている2本の補助釘71が設けられ、上案内釘列70の下方には、並び方向が水平方向に対して23度に設定された下案内釘列72(前記(1-c)の段落【0022】より、これらの釘は、枠体44が大型化した分だけ通過領域59a、59bが侵食されたために、遊技盤37の中央部に設置されている普通電動役物48から遠い場所を落下することになる遊技球を、普通電動役物48側に誘導してやるために配置された釘であり、以下、これら「3本釘70aと4本釘70bとからなる上案内釘列70」と「2本の補助釘71」と「下案内釘列72」とを、まとめて「釘列群」という。)が配されていることが示されているものと認められる。

(1-j)前記(1-d)の段落【0025】より、「3本釘70aと4本釘70bとからなる上案内釘列70」と「補助釘71」とは、3本釘70a上に乗った遊技球を、4本釘70b→補助釘71→普通電動役物48と誘導するための「上案内釘列群」を構成することが示されているものと認められる。

(1-k)前記(1-b)の段落【0018】より、特別図柄表示装置43を取り囲むようにして、ランプ風車45、風車47等が配されているから、風車47の付近の障害釘58も、ランプ風車45、風車47等とともに特別図柄表示装置43を取り囲むようにして配されていることは明らかである。
また、前記(1-d)の段落【0027】に、「遊技球は、例えば風車47やその付近の障害釘58によって誘導されて、上案内釘列70上に乗れば、普通電動役物48に向けて誘導されるので、普通電動役物48に入賞する可能性が高まる」と記載されているから、刊行物1には、「特別図柄表示装置43を取り囲むようにして、風車47とその付近の障害釘58とが配され、遊技球は、この風車47やその付近の障害釘58によって誘導されて、上案内釘列70上に乗れば、普通電動役物48に向けて誘導され、普通電動役物48に入賞する可能性が高まること」が示されているものと認められる。

上記の記載事項(1-a)?(1-f)及び認定事項(1-g)?(1-k)を総合すると、刊行物1には、次の発明が記載されていると認められる(以下「引用発明1」という。)。
「遊技盤37に形成された遊技領域42のほぼ中央に配された特別図柄表示装置43を取り囲むようにランプ風車45、ゲート46、風車47等が配され、当該ゲート46に装備された普図センサ46aが遊技球の通過を検出すると、遊技盤37に形成された遊技領域42のほぼ中央に配された特別図柄表示装置43の直下に設置された普通電動役物48の下方に設置されている普通図柄表示装置53において2桁の数字(00?99)が変動後に停止表示され、その停止した数字(普通図柄)が当たりの表示になると開放される普通電動役物48からなる特別図柄始動口と、
遊技制御装置107が、特別図柄始動口に入球(始動入賞)したか否かを始動口センサ134の検出信号に基づいて判断し(S101)、特別図柄始動口に入球した遊技球(始動入賞)が検出されていれば判定用乱数カウンタの判定値を読み取り(S102)、判定値による当たり外れの判定を行い(S206)、判定結果を表示するための図柄を決め(S207)、特別図柄表示装置43に図柄変動開始のコマンドを送信し(S208)、この図柄変動開始のコマンドに基づいて特別図柄の変動表示を行うとともに、大型の枠体44に周囲を囲まれている特別図柄表示装置43と、
枠体44の下方には、普通電動役物48の左右斜め方向に、各釘の中心を結ぶ線(並び方向)が水平方向に対して26度の角度に設定されている3本釘70aと4本釘70bとからなる上案内釘列70と2本の補助釘71が設けられ、上案内釘列70の下方には、並び方向が水平方向に対して23度に設定された下案内釘列72(以下、これら「3本釘70aと4本釘70bとからなる上案内釘列70」と「2本の補助釘71」と「下案内釘列72」を、まとめて「釘列群」という。)が配されているパチンコ機において、
前記釘列群について、
下案内釘列72上に乗った遊技球は、普通電動役物48の開閉羽根48aが倒された際に(開放状態になった際に)、その倒れた開閉羽根48a上に誘導される可能性が高く、
3本釘70a上に乗った遊技球は、4本釘70b→補助釘71→普通電動役物48と誘導される可能性が高く、
3本釘70aと4本釘70bとの間及び4本釘70bと補助釘71との間には遊技球が通過可能な隙間が設けられ、
3本釘70aと4本釘70bとからなる上案内釘列70と補助釘71とは、上案内釘列群を構成しており、
特別図柄表示装置43を取り囲むようにして、風車47とその付近の障害釘58とが配され、遊技球は、この風車47やその付近の障害釘58によって誘導されて、上案内釘列70上に乗れば、普通電動役物48に向けて誘導され、普通電動役物48に入賞する可能性が高まり、
前記普通電動役物48の下方に、大入賞口50が設置されているパチンコ機。」

(2)刊行物2に記載された発明
当審の拒絶の理由(平成27年6月23日付け最後の拒絶理由通知)に引用された本願の出願日前に頒布された特開平09-182834号公報(以下「刊行物2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同じ。)。

(2-a)「【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、遊技盤の遊技領域のほぼ中央に可変表示装置が配置されると共に、該可変表示装置の中央下方にその表示結果を導出することが可能な始動入賞口が配置され、さらに該始動入賞口の下方に可変入賞球装置が配置された弾球遊技機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、図9に示すように、遊技盤1の外レール3と内レール4とに囲まれた遊技領域2のほぼ中央に可変表示装置5を配置し、その可変表示装置5の中央下方に可変表示装置5の可変表示動作を開始させその後表示結果を導出させるための始動入賞口12を配置し、さらにその下方に可変表示装置5の表示結果が予め定めた特定表示結果となって特定遊技状態(大当り遊技状態とも言う)となったときに開放する可変入賞球装置15を配置した弾球遊技機は、良く知られていた。このような弾球遊技機においては、可変表示装置5が遊技領域2の中央の比較的大きな面積範囲を占めているので、可変表示装置5の下部両側方から始動入賞口12及び可変入賞球装置15に向けて打玉を誘導する1本の誘導釘群43が傾斜状に植設され、可変表示装置5の両サイドを自然流下する打玉のうち比較的多くの打玉を始動入賞口12方向へ誘導するようにしていた。」

(2-b)「【0017】遊技領域2に配置される遊技装置の主だったものは、上記のとおりであるが、上記以外に、入賞領域2の中程左右端にサイドランプ22が配置され、可変表示装置5の上部左右側方にランプ付風車23が配置され、可変表示装置5の中程左右側方に上部入賞口装置24が配置され、可変入賞球装置15の左右端上部に下部入賞口装置25が配置されている。また、遊技領域2の最下方には、いずれの入賞口や入賞球装置にも入賞しなかった打玉を取り込むアウト口21が形成されている。更に、遊技領域2には、多数の釘が植設されており、その釘のうち、可変表示装置5の下部側方と始動入賞口12との間に本実施形態の要部を構成する上段誘導部材としての上段誘導釘群26が植設されており、該上段誘導釘群26の下方であって可変表示装置5の下部側方と可変入賞球装置15との間に本実施形態の要部を構成する下段誘導部材としての下段誘導釘群27が植設されている。また、始動入賞口12への最終的な入賞率を調整する障害釘28,29(図2参照)も始動入賞口12の上部に植設されており、可変入賞球装置15の開閉板16への最終的な入賞率を調整する障害釘42(図2参照)も開閉板16の両端部上方に植設されている。」

(2-c)「【0027】更に、上段誘導部材としての上段誘導釘群26の上方に、自然落下する打玉の落下方向を変換し得る落下方向変換部材としての風車40を配置することにより、図6に示すように、上方から自然落下する打玉Pが風車40(落下方向変換部材)に絡むと該打玉Pは、風車40によってスムーズに流下方向を変化せしめられるので、打玉Pの上段誘導釘群26及び下段誘導釘群27へのスムーズな移行が行われ、誘導釘群26,27に直接衝突することにより飛び跳ねながら誘導される場合に比べて、始動入賞口12や可変入賞球装置15への誘導率、ひいては始動入賞口12や可変入賞球装置15への入賞率を安定させることができる。このことは、風車40の位置(遊技盤面に対する傾斜角度等)を調節することにより、誘導釘群26,27側への回転頻度を調節することができるので、結果的に始動入賞口12や可変入賞球装置15への誘導率、ひいては始動入賞口12や可変入賞球装置15への入賞率の調整が行い易いということである。なお、打玉の通るルートは、図2に示す場合と同じである。」

(2-d)前記(2-b)の記載、【図1】及び【図6】より、ランプ付風車23や風車40が、可変表示装置5を取り囲むように配置されるものと認められる。

上記の記載事項(2-a)?(2-c)及び認定事項(2-d)を総合すると、刊行物2には、次の発明が記載されていると認められる(以下「引用発明2」という。)。 「ランプ付風車23や風車40が、可変表示装置5を取り囲むように配置された弾球遊技機であって、
風車40が、自然落下する打玉Pの流下方向を上段誘導釘群26及び下段誘導釘群27へ変化せしめる落下方向変換部材として配置された弾球遊技機。」

(3)対比
本願補正発明と引用発明1とを対比する。

ア 引用発明1の「遊技盤37」、「ゲート46」、「普通図柄表示装置53」、「2桁の数字(00?99)」、「その停止した数字(普通図柄)が当たりの表示になる」こと、「普通電動役物48」及び「特別図柄始動口」は、それぞれ、本願補正発明の「遊技盤」、「普通図柄作動ゲート」、「普通図柄表示装置」、「普通図柄」、「前記普通図柄が当たりの場合」、「普通電動役物」及び「特別図柄始動口」に相当する。
よって、引用発明1の「遊技盤37に形成された遊技領域42のほぼ中央に配された特別図柄表示装置43を取り囲むようにランプ風車45、ゲート46、風車47等が配され、当該ゲート46に装備された普図センサ46aが遊技球の通過を検出すると、遊技盤37に形成された遊技領域42のほぼ中央に配された特別図柄表示装置43の直下に設置された普通電動役物48の下方に設置されている普通図柄表示装置53において2桁の数字(00?99)が変動後に停止表示され、その停止した数字(普通図柄)が当たりの表示になると開放される普通電動役物48からなる特別図柄始動口」は、本願補正発明の「遊技盤に設けられた普通図柄作動ゲートが遊技球を検出すると、前記遊技盤に設けられた普通図柄表示装置において、普通図柄が所定時間変動し、前記普通図柄が当たりの場合には、普通電動役物が開放可能な特別図柄始動口」に相当する。

イ 引用発明1の「特別図柄始動口に入球した遊技球(始動入賞)が検出されてい」ること及び「特別図柄の変動表示を行う」ことは、それぞれ、本願補正発明の「特別図柄始動口への入賞」すること及び「図柄が所定時間変動する」ことに相当する。
よって、引用発明1の「遊技制御装置107が、特別図柄始動口に入球(始動入賞)したか否かを始動口センサ134の検出信号に基づいて判断し(S101)、特別図柄始動口に入球した遊技球(始動入賞)が検出されていれば判定用乱数カウンタの判定値を読み取り(S102)、判定値による当たり外れの判定を行い(S206)、判定結果を表示するための図柄を決め(S207)、特別図柄表示装置43に図柄変動開始のコマンドを送信し(S208)、この図柄変動開始のコマンドに基づいて特別図柄の変動表示を行う特別図柄表示装置43」は、本願補正発明の「前記特別図柄始動口への入賞に基づいて図柄が所定時間変動する図柄表示装置」に相当する。

ウ 引用発明1の「枠体44」は「特別図柄表示装置43」の周囲を囲むものであるから、「枠体44」の下方は、「特別図柄表示装置43」の下方であることは明らかである。
また、引用発明1の「各釘の中心を結ぶ線(並び方向)が水平方向に対して26度の角度に設定されている」こと及び「並び方向が水平方向に対して23度に設定され」ていることは、いずれも、本願補正発明の「傾斜状に配列され」ていることに相当する。
よって、前記イより、引用発明1の「枠体44の下方」に設けられた「釘列群」は、本願補正発明の「前記図柄表示装置の下方に傾斜状に配列された遊技釘群」に相当する。

エ 引用発明1の「下案内釘列72」は、並び方向が水平方向に対して23度に設定され、「下案内釘列72上に乗った遊技球」は、遊技領域42のほぼ中央に配された特別図柄表示装置43の直下に設置され、特別始動口となる「普通電動役物48の開閉羽根48aが倒された際に(開放状態になった際に)、その倒れた開閉羽根48a上に誘導される可能性が高」いことから、本願補正発明と同様に「遊技盤の中央にかけて下り傾斜状」であることは明らかである。
また、引用発明1の「遊技球は、普通電動役物48の開閉羽根48aが倒された際に(開放状態になった際に)、その倒れた開閉羽根48a上に誘導される」ことは、本願補正発明の「前記普通電動役物が開放可能な前記特別図柄始動口に遊技球を誘導する」ことに相当する。
そうすると、引用発明1の「下案内釘列72」は、本願補正発明と「前記遊技盤の中央にかけて下り傾斜状に、かつ、前記普通電動役物が開放可能な前記特別図柄始動口に遊技球を誘導する方向に配列され」た「第1の遊技釘群」に相当する構成を有する点で共通している。

オ 引用発明1の「上案内釘列70の下方」には「下案内釘列72」が配されているから、「上案内釘列70」が「下案内釘列72」の上方にあることは明らかである。
また、引用発明1の「上案内釘列70と補助釘71」とからなる「上案内釘列群」は、各釘の中心を結ぶ線(並び方向)が水平方向に対して26度の角度に設定され、「3本釘70a上に乗った遊技球」は、4本釘70b→補助釘71→普通電動役物48と誘導される可能性が高」いことから、本願補正発明と同様に「遊技盤の中央にかけて下り傾斜状」であることは明らかである。
さらに、引用発明1の「遊技球は、4本釘70b→補助釘71→普通電動役物48と誘導される」ことは、本願補正発明の「前記普通電動役物が開放可能な前記特別図柄始動口に遊技球を誘導する」ことに相当する。
加えて、引用発明1の「3本釘70aと4本釘70bとの間及び4本釘70bと補助釘71との間には遊技球が通過可能な隙間が設けられ」ることは、本願補正発明の「その途中に遊技球を落下させる複数の隙間が設けられ」ることに相当する。
以上のことから、引用発明1の「上案内釘列群」は、本願補正発明の「前記第1の遊技釘群の上方にあって、前記遊技盤の中央にかけて下り傾斜状に、かつ、前記普通電動役物が開放可能な前記特別図柄始動口に遊技球を誘導する方向に配列され、その途中に遊技球を落下させる複数の隙間が設けられた第2の遊技釘群」に相当する。

カ 前記オより、引用発明1の「3本釘70a上に乗った遊技球は、4本釘70b→補助釘71→普通電動役物48と誘導される可能性が高」い流路は、本願補正発明の「前記第2の遊技釘群の上部」に形成された「遊技球が流下する第2流路」に相当する。

キ 前記エ及びオより、引用発明1の「下案内釘列72」が、「遊技球」を「倒れた開閉羽根48a上に誘導する可能性が高い」流路は、本願補正発明の「前記第1の遊技釘群と前記第2の遊技釘群との間」に形成された「遊技球が流下する第1流路」に相当する。

ク 引用発明1の「風車47」及び「障害釘58」は、それぞれ、本願補正発明の「風車」及び「遊技釘」に相当する。そして、特別図柄表示装置43(図柄表示装置)の側部に設けられることは、特別図柄表示装置43(図柄表示装置)周囲に設けられることの一態様である。
そうすると、引用発明1の「特別図柄表示装置43を取り囲むようにして、風車47と障害釘58とが配され」る点は、本願補正発明と「前記図柄表示装置の周囲には、遊技釘と、風車と、が設けられる」点で共通している。

ケ 引用発明1は「遊技球は、この風車47やその付近の障害釘58によって誘導されて、上案内釘列70上に乗れば、普通電動役物48に向けて誘導され、普通電動役物48に入賞する可能性が高ま」るものであるから、遊技球の一部が、「風車47やその付近の障害釘58」によって「上案内釘列70上」 (第2の遊技釘群の上)に振り分けられることは明らかである。
そうすると、引用発明1の「遊技球は、この風車47やその付近の障害釘58によって誘導されて、上案内釘列70上に乗れば、普通電動役物48に向けて誘導され、普通電動役物48に入賞する可能性が高まる」ことと本願補正発明の「各遊技球振り分け部材によって振り分けられた遊技球の一部は、前記第1流路又は前記第2流路に振り分けられ」ることとは、「遊技釘と風車によって、遊技球の一部は、前記第2流路に誘導され」る点で共通している。

コ 引用発明1の「大入賞口50」は、本願補正発明の「遊技部品である大入賞口」に相当する。
また、引用発明1では「3本釘70a上に乗った遊技球は、4本釘70b→補助釘71→普通電動役物48と誘導される可能性が高」いから、「遊技球」の一部が、普通電動役物48からなる「特別図柄始動口」へと誘導されるものといえる。
また、引用発明1では「3本釘70aと4本釘70bとの間及び4本釘70bと補助釘71との間には遊技球が通過可能な隙間が設けれら」ているから、「前記3本釘70a、4本釘70b及び補助釘71の上に乗った遊技球」で前記「特別図柄始動口」へ誘導されなかった「遊技球」の一部は、当該「隙間」から下方に配された「下案内釘列72」の上に乗る可能性があることは明らかである。そして、「下案内釘列72上に乗った遊技球は、普通電動役物48の開閉羽根48aが倒された際に(開放状態になった際に)、その倒れた開閉羽根48a上に誘導される可能性が高」いものである。
したがって、「遊技球」の一部が「特別図柄始動口」へと誘導されずに、当該「下案内釘列72」(第1の遊技釘群)と「普通電動役物48の下方」に設置された「大入賞口50」(大入賞口)との間の領域に誘導されるものといえる。
よって、引用発明1の「3本釘70a上に乗った遊技球」の一部が、「4本釘70b→補助釘71→普通電動役物48と誘導」され、普通電動役物48からなる「特別図柄始動口」へ誘導されなかった「遊技球」の一部が、「下案内釘列72」と「大入賞口50」との間の領域に誘導されることは、本願補正発明の「前記第2流路を流下する遊技球の一部は、前記特別図柄始動口へ誘導され、前記特別図柄始動口に入賞しなかった前記遊技球の一部は、前記第1の遊技釘群と前記遊技盤に取り付けられた遊技部品である大入賞口との間の領域へ誘導される」ことに相当する。

上記ア?コより、本願補正発明と引用発明1とを比較すると、両者は、
[一致点]
「遊技盤に設けられた普通図柄作動ゲートが遊技球を検出すると、前記遊技盤に設けられた普通図柄表示装置において、普通図柄が所定時間変動し、前記普通図柄が当たりの場合には、普通電動役物が開放可能な特別図柄始動口と、
前記特別図柄始動口への入賞に基づいて図柄が所定時間変動する図柄表示装置と、
前記図柄表示装置の下方に傾斜状に配列された遊技釘群とが設けられたパチンコ機において、
前記傾斜状に配列された遊技釘群は、
前記遊技盤の中央にかけて下り傾斜状に、かつ、前記普通電動役物が開放可能な前記特別図柄始動口に遊技球を誘導する方向に配列された第1の遊技釘群と、
前記第1の遊技釘群の上方にあって、前記遊技盤の中央にかけて下り傾斜状に、かつ、前記普通電動役物が開放可能な前記特別図柄始動口に遊技球を誘導する方向に配列され、その途中に遊技球を落下させる複数の隙間が設けられた第2の遊技釘群とからなり、
前記第2の遊技釘群の上部には、遊技球が流下する第2流路が形成され、
前記第1の遊技釘群と前記第2の遊技釘群との間には、遊技球が流下する第1流路が形成され、
前記図柄表示装置の周囲には、遊技釘と、風車と、が設けられ、
遊技釘と風車によって、遊技球の一部は、前記第2流路に誘導され、
前記第2流路を流下する遊技球の一部は、前記特別図柄始動口へ誘導され、前記特別図柄始動口に入賞しなかった前記遊技球の一部は、前記第1の遊技釘群と前記遊技盤に取り付けられた遊技部品である大入賞口との間の領域へ誘導されるパチンコ機。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
第1の遊技釘群に関して、本願補正発明では、「その途中に遊技球を落下させる複数の隙間が設けられ」ているのに対して、引用発明1では、そのような特定がなされていない点。

[相違点2]
図柄表示装置の周囲に設けられた遊技釘と風車に関して、本願補正発明では、「図柄表示装置の側部」に設けられた「第3流路に落下した遊技球が第4流路又は第5流路のいずれかに振り分けられる位置に設けられた遊技釘である第1の遊技球振り分け部材と、前記第1の遊技球振り分け部材の下方に設けられ、かつ、第6流路に落下した遊技球が第7流路又は第8流路のいずれかに振り分けられる位置に設けられた遊技釘である第2の遊技球振り分け部材と、前記第2の遊技球振り分け部材の下方に設けられ、かつ、第9流路に落下した遊技球が第10流路又は第11流路のいずれかに振り分けられる位置に設けられた風車である第3の遊技球振り分け部材」であるのに対して、引用発明1では、特別図柄表示装置43を取り囲むようにランプ風車45、風車47等が配されているが、そのような特定がなされていない点。

[相違点3]
本願補正発明では、「各遊技球振り分け部材によって振り分けられた遊技球の一部は、第1流路又は第2流路に振り分けられ」るのに対し、引用発明1では、風車47やその付近の障害釘58によって、遊技球の一部は、第2流路に誘導されるが、第1流路(下案内釘列72の上の流路)に誘導されるのか明らかでないため、第1流路又は第2流路に振り分けられるの否か不明である点。

(4)判断
上記各相違点について検討する。
ア [相違点1]について
遊技機の技術分野において、2つの傾斜状の遊技釘群の下側の遊技釘群であって、通過口(ゲート)に遊技球を誘導したり、単に下方に遊技球を落下させる複数の隙間を有する遊技釘群を配置することは、本願の遡及日前の周知の技術事項(例えば、特開2000-350850号公報(以下「刊行物3」という。)の【0030】、【図2】には、ゲート35bと35cに遊技球を誘導したり、単に下方に遊技球を落下させる隙間を有する遊技釘群について記載され、特開2001-113005号公報(以下「刊行物4」という。)の【図1】には、単に下方に遊技球を落下させる遊技釘群について記載されている。以下「周知技術1」という。)である(これら刊行物3及び刊行物4で示される隙間がパチンコ球が落下する程度の幅であることは、当業者にとって自明である。)。
そして、刊行物1の段落【0018】、【図2】?【図4】より、下案内釘列72の下方に普通入賞口51が配置されていることが示されている。
一方、本願補正発明において、隙間は 普通図柄作動ゲート10aに遊技球を落下させたり、単に下方に遊技球を落下させるためのものである(段落【0020】)。
そうすると、引用発明1の「第1の遊技釘群」に対して、上記周知技術1を適用し、普通入賞口51に遊技球を誘導したり、下案内釘列72の下方領域に遊技球を案内したりすることにより、上記相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が必要に応じてなし得たものである。

イ [相違点2]について
刊行物1の段落【0021】、【0022】には、「このパチンコ機10に搭載されている特別図柄表示装置43の液晶表示盤43aのサイズは6インチであるので、特別図柄表示装置43の周囲を囲む枠体44の寸法もそれに応じて大型となっている」こと及び「遊技領域42に撃ち込まれた遊技球の多くは(枠体44のワープ樋を通る以外は)枠体44の左右の通過領域59a、59bを通って落下する。ところが、枠体44が大型化した分だけ通過領域59a、59bが侵食され」ることが記載されている。したがって、刊行物1には、特別図柄表示装置43が大型化したことによって、遊技球の通過領域59a、59bが左右寄りとなって遊技領域が減少することの問題点が指摘されている。
一方、図柄表示装置の大型化により遊技領域が狭くなり、遊技球の流下方向に影響を与える障害釘や風車などが減少し、遊技球の流下の面白さが減少してしまうという課題は、本願の遡及日前に周知の課題(例えば、特開平07-250954号公報(以下「刊行物5」という。)の段落【0005】、特開平11-276671号公報(以下「刊行物6」という。)の段落【0002】、特開2000-229151号公報(以下「刊行物7」という。)の段落【0002】参照。以下「周知の課題」という。)である。
これらのことからみて、引用発明1においても、このような周知の課題を内在しているといえる。
他方で、表示装置の大型化に伴い、表示装置の側部を通過する遊技球の遊技領域が狭くなったにもかかわらず、遊技球の変化を多岐にわたらせるために、大型化した図柄表示装置の側部に、遊技球が複数の流路のいずれかに振り分けられる位置に設けられた第1の遊技釘と、前記第1の遊技釘の下方に設けられ、かつ、遊技球が複数の流路のいずれかに振り分けられる位置に設けられた第2の遊技釘と、前記第2の遊技釘の下方に設けられ、かつ、遊技球が複数の流路のいずれかに振り分けられる位置に設けられた風車を設ける構成は、本願の遡及日前に周知の技術事項(例えば、上記刊行物5の段落【0005】、【図1】を参照。特に、段落【0005】には画像表示部が大型であることが記載され、以下に示した当該【図1】に付した障害柱28(1)が本願補正発明の「遊技釘である第1の遊技球振り分け部材」に相当し、障害柱28(2)が本願補正発明の「遊技釘である第2の遊技球振り分け部材」に相当し、風車29が本願補正発明の「風車である第3の遊技球振り分け部材」に相当する。なお、段落【0029】には、障害柱29が障害釘でもよい旨が記載されている。また、パチプロ必勝本 1999APR.4,辰巳出版株式会社,1999年4月1日,第4頁(以下「刊行物8」という。)を参照。特に、以下に示した当該第4頁における、CR海物語S5の遊技盤上のワイド画面である液晶デジタルの側部にある釘a(1)が本願補正発明の「遊技釘である第1の遊技球振り分け部材」に相当し、釘a(2)が本願補正発明の「遊技釘である第2の遊技球振り分け部材」に相当し、風車bが本願補正発明の「風車である第3の遊技球振り分け部材」に相当する。さらに、刊行物3の【図2】を参照。特に、当該刊行物3のパチンコ機では、【図2】に見られるように、引用発明1と同じように、特別図柄表示装置18により通過領域が侵食された遊技球を、遊技盤の中央部に設置されている始動口側に誘導するための釘配置が採用されているから、特別図柄表示装置18が大型であることが推察される。そして、以下に示した当該【図2】に付した釘c(1)が本願補正発明の「遊技釘である第1の遊技球振り分け部材」に相当し、釘c(2)が本願補正発明の「遊技釘である第2の遊技球振り分け部材」に相当し、風車28が本願補正発明の「風車である第3の遊技球振り分け部材」に相当する。以下「周知技術2」という。)である。
そうすると、大型の枠体44を備えた特別図柄表示装置43を有しており、特別図柄表示装置43を取り囲むようにして、ランプ風車45、風車47が配置され、さらに風車47の付近に障害釘58が配置された引用発明1において、狭くなった遊技領域における遊技球の変化を多岐にわたらせるために、前記風車48およびその付近の障害釘58に置き換えて、上記周知技術2を適用し、前記相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

・刊行物5の【図1】



・刊行物8:パチプロ必勝本 1999APR.4の第4頁

・刊行物3の【図2】

ウ [相違点3]について
前記3(2)で述べたとおり、引用発明2は「ランプ付風車23や風車40が、可変表示装置5を取り囲むように配置された弾球遊技機であって、
風車40が、自然落下する打玉Pの流下方向を上段誘導釘群26及び下段誘導釘群27へ変化せしめる落下方向変換部材として配置された弾球遊技機。」である。すなわち、引用発明2は、風車40により振り分けられた遊技球の一部は、上段誘導釘群26及び下段誘導釘群27に振り分けられるものである。
そして、刊行物2の段落【0002】には、従来の技術として「このような弾球遊技機においては、可変表示装置5が遊技領域2の中央の比較的大きな面積範囲を占めているので、可変表示装置5の下部両側方から始動入賞口12及び可変入賞球装置15に向けて打玉を誘導する1本の誘導釘群43が傾斜状に植設され、可変表示装置5の両サイドを自然流下する打玉のうち比較的多くの打玉を始動入賞口12方向へ誘導するようにしていた」ことが記載されている。したがって、引用発明2においても、引用発明1と同様に、表示装置が大型化したことによる課題を内在しているといえる。
また、引用発明1、2の風車(引用発明1の「風車47」、引用発明2の「風車40」)は、ランプ風車と共に、表示装置を取り囲むように配置されている点で共通するとともに、始動入賞口に向けて2列に傾斜配置された釘群のうちの上方に配置された釘群である第2の遊技釘群(引用発明2の「上段誘導釘群26」)の上方に配置されている点で共通するものである。
したがって、表示装置の大型化によって遊技領域が狭くなった引用発明1において、遊技釘と風車によって遊技球を誘導するにあたり、大型化した表示装置を有する当該引用発明2の落下方向変換部材(遊技球振り分け部材)を適用し、遊技球の一部を第2の遊技釘群に加えて第1の遊技釘群上にも誘導可能となるように構成し、上記相違点3に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者であれば容易に想到し得たことである。

エ 本願補正発明の奏する効果について
本願発明1が奏する作用効果は、引用発明1、2及び周知技術1、2に基づいて、当業者が予測できる範囲内のものである。

オ まとめ
以上のことから、本願発明1は、引用発明1、2及び周知技術1、2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。

(5)補正却下の決定についてのむすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成27年2月18日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
遊技盤に設けられた普通図柄作動ゲートが遊技球を検出すると、前記遊技盤に設けられた普通図柄表示装置において、普通図柄が所定時間変動し、前記普通図柄が当たりの場合には、普通電動役物が開放可能な特別図柄始動口と、
前記特別図柄始動口への入賞に基づいて図柄が所定時間変動する図柄表示装置と、
前記図柄表示装置の下方に傾斜状に配列された遊技釘群とが設けられたパチンコ機において、
前記傾斜状に配列された遊技釘群は、
前記遊技盤の中央にかけて下り傾斜状に、かつ、前記普通電動役物が開放可能な前記特別図柄始動口に遊技球を誘導する方向に配列され、その途中に遊技球を落下させる複数の隙間が設けられた第1の遊技釘群と、
前記第1の遊技釘群の上方にあって、前記遊技盤の中央にかけて下り傾斜状に、かつ、前記普通電動役物が開放可能な前記特別図柄始動口に遊技球を誘導する方向に配列され、その途中に遊技球を落下させる複数の隙間が設けられた第2の遊技釘群とからなり、
前記第2の遊技釘群の上部には、遊技球が流下する第2流路が形成され、
前記第1の遊技釘群と前記第2の遊技釘群との間には、遊技球が流下する第1流路が形成され、
前記図柄表示装置の側部には、遊技釘と風車とからなる遊技球振り分け部材が設けられ、
前記遊技球振り分け部材によって振り分けられた遊技球の一部は、前記第1流路又は前記第2流路に振り分けられ、
前記第2流路を流下する遊技球の一部は、前記特別図柄始動口へ誘導され、前記特別図柄始動口に入賞しなかった前記遊技球の一部は、前記第1の遊技釘群と前記遊技盤に取り付けられた遊技部品である大入賞口との間の領域へ誘導されることを特徴とするパチンコ機。」

2 刊行物1,2
刊行物1及び刊行物2の記載事項並びに引用発明1及び引用発明2は、上記「第2 3(1)」及び「第2 3(2)」に記載したとおりでありである。

3 対比・判断
本願発明は、上記「第2 2」で検討した本願補正発明から、実質的な変更とならない特定事項を除き、「遊技釘」である「遊技球振り分け部材」について、「第3流路に落下した遊技球が第4流路又は第5流路のいずれかに振り分けられる位置に設けられた」という限定及び「前記第1の遊技球振り分け部材の下方に設けられ、かつ、第6流路に落下した遊技球が第7流路又は第8流路のいずれかに振り分けられる位置に設けられた」という限定、「風車」である「遊技球振り分け部材」について、「第9流路に落下した遊技球が第10流路又は第11流路のいずれかに振り分けられる位置に設けられた」という限定を付加した部分を削除したものである。よって、本願発明と引用発明1とを比較すると、両者は、上記「第2 3(3)」に記載した相違点1及び3でのみ相違している。
そうすると、本願発明と引用発明1とを対比したときの相違点は、上記「第2 3(3)」に記載した相違点1及び3と同様のものになるから、上記「第2 3(4)」において検討したとおり、本願発明は、引用発明1、引用発明2及び周知技術1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
なお、上記「第2 3(3)」に記載した相違点1及び3は、平成27年6月23日付けの最後の拒絶の理由で指摘した相違点1及び2と実質的に同じものである。

4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶すべきである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-10-29 
結審通知日 2015-11-04 
審決日 2015-12-07 
出願番号 特願2012-119816(P2012-119816)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 篠崎 正  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 平城 俊雅
関 博文
発明の名称 パチンコ機  
代理人 宮崎 嘉夫  
代理人 萼 経夫  
代理人 ▲高▼ 昌宏  
代理人 田上 明夫  

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