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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B65D
管理番号 1310390
審判番号 不服2015-10203  
総通号数 195 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-03-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-06-02 
確定日 2016-02-16 
事件の表示 特願2010-287516「ボトル」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 7月12日出願公開、特開2012-131561、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成22年12月24日の出願であって、平成26年2月14日付けの拒絶理由の通知に対して、同年4月18日に意見書が提出され、再度、同年9月1日付けで拒絶理由が通知され、同年10月30日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成27年3月20日付けで拒絶査定がなされた。
これに対して、平成27年6月2日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。

2.請求項1に係る発明
「筒状の胴部に、その径方向の内側に向けて凹むパネル部が周方向に間隔をあけて複数形成されてなるボトルであって、
前記胴部は、軸方向の外側から内側に向かうに従い径方向の内側に向けて漸次縮径し、
前記パネル部における径方向の内側に位置する底壁部は、軸方向に沿う縦断面形状および軸方向に直交する横断面視形状がそれぞれ直線状に形成されていることを特徴とするボトル。」(以下、「本願発明」という。)

3.原査定について
(1)原査定の拒絶の理由
原査定の「備考」欄は、以下のように記載され、その拒絶の理由は、平成26年9月1日付け拒絶理由通知も参酌すると、本願発明が、引用文献2に記載された発明から容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない(理由2)ことにあると理解できる。
「・請求項1について
出願人は意見書において「引用文献1には、上述したように『a substantially flat』という記載はあるものの、図面には図1の側面図及び図3の横断面図のみが開示されているだけである。したがって、『central surface118』の縦断面視形状がどのように形成されているかは不明である。また、図3の横断面視において、『central surface118』は周方向の中央部に向かうに従い径方向の外側に向けて膨出しており、直線状ではないものと思料する。
引用文献2についても同様に、上述したように『outer wall45』が『flat』とされた記載はあるものの、図面には図1の斜視図及び図6の横断面図のみが開示されているだけである。したがって、『outer wall45』の縦断面視形状がどのように形成されているかは不明である。また、図6の横断面視において、『outer wall45』は、周方向の中央部に向かうに従い径方向の内側に向けて窪んでおり、直線状ではないものと思料する。」と主張している。
引用文献1の「central surface118」の形状は、明細書に「a substantially flat」という記載はあるものの、第3図を参酌すると出願人が主張しているように中央部に向かうに従い径方向の外側に向けて僅かに膨出している形状であると認められる。
しかし、引用文献2の「outer wall45」の形状については、明細書(段落[0029])の「outer wall45 is flat」を覆すような図面の記載は認められない
ことから、明細書(段落[0029])の記載のとおりフラット(flat)と解するのが相当である。
したがって、出願人の上記の主張は採用することができない。 <引用文献等一覧>
1.米国特許第7568588号明細書
2.米国特許出願公開第2002/0017502号明細書」

(2)原査定で引用された引用文献記載の発明及び技術的事項
ア 原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用された、米国特許出願公開第2002/0017502号明細書(以下、原査定と同じく「引用文献2」という。)には、以下の技術的事項および発明が記載されている。
(ア)「A container adapted for use by an infant or a child, comprising:
a body having a center line and having an outer circumference with at least one handle provided on said body, said at least one handle having first and second side walls, wherein said first side wall and said second side wall diverge away from each other, in the direction away from said outer circumference toward said center line.」(請求項1)
(和訳:幼児や子供が使用するために適合された容器であって、
中心線と、少なくとも一つの外周を有する本体であって、本体上には、少なくとも一つの握り部を有し、前記少なくとも一つの握り部は、第1および第2側壁を有し、この第1および第2側壁は、外周から中心線に向かう方向で、互いに離れるように広がるものである、容器。)
(イ)「It is an object of the present invention to provide a container with an improved shape.
It is another object of the present invention to provide such a container that assists an infant or child in transitioning from a cup with handles for full assistance in gripping or holding to a commonly used cup.」([0009]?[0010])
(和訳:本発明は、改良された形状をもつ容器を提供することを目的とする。
本発明のもう一つの目的は、握ることや持つことを補助するための把持部を有するカップから、一般に使用されるカップへ移行する過程の幼児や子供を支援するような容器を提供することである。)
(ウ)「Referring to the drawings and, in particular, FIG. 1, there is shown a preferred embodiment of a container of the present invention generally represented by reference numeral 10. Container 10 is preferably substantially cylindrical in shape but may be of any shape that is adaptable for use as a container by infants or children. Container 10 has a top portion 20, a body 30, and a bottom portion 50.」([0022])
(和訳:図面を参照すると、特に図1には、参照番号10で表される本発明の容器の好ましい実施形態が示されている。容器10の形状は、好ましくは、実質的に円筒形であるが、幼児や子供が容器として使用するのに適した任意の形状であってもよい。容器10は、頂部20、本体30、底部50を有している。)
(エ)「Referring to FIGS. 2 and 6, preferably, handle 32 is formed with side recesses 42 that are adjacent to handles 32 and share in common side walls 37, 39. More preferably, each side recess 42 is oval in shape. However, each side recess 42 may be of any shape that is adaptable for transitioning an infant or child from a cup with handles that provides full assistance in gripping or holding, to a commonly used cup that does not have handles.・・・・Referring to FIG. 6, side recess 42 has an outer wall 45 having an inner wall 47. Outer wall 45 adjoins side wall 37 of handle 32' and side wall 39 of handle 32'. Preferably, outer wall 45 is flat in order to assimilate a commonly used cup, for better transitioning the infant or child into using the commonly used cups. More preferably, outer wall 45 is substantially oval in shape, and has a length of about 1.42 inches and a width at its mid-point of about 0.28 inches. Inner wall 47 of each of the four connecting walls 35 is positioned along the interior of body 30 to form an inner circumference of the body.」([0028]?[0029])
(和訳:図2および図6を参照すると、好ましくは、握り部32は、握り部32に隣接するとともに、同じ側壁37,39から側凹部42が形成される。さらに好ましくは、個々の側凹部42は、楕円形状である。しかしながら、個々の側凹部42は、握ることや持つことを補助するための把持部を有するカップから、把持部のない一般に使用されるカップへ移行する過程の幼児や子供に適合する任意の形状であってもよい。・・・・図6を参照する。側凹部42は、内壁47を有する外壁45を有している。外壁45は、握り部32’の側壁37と握り部32’の側壁39に隣接している。好ましくは、外壁45は、一般に使用されるカップと似せて形成され、幼児や子供が一般に使用されるカップを使うことに移行するために、外壁45は平坦とされる。より好ましくは、外壁45は、形状がほぼ楕円形であり、長さ約1.42インチ、中間点で幅約0.28インチである。4つの連結壁35のそれぞれの内壁47は、本体の内周面を形成するように、本体30の内部に沿って配置されている。)
(オ)また、図1?図8より、容器10の外周は、軸方向の外側から内側に向かうにしたがい、径方向の内側に向けて、漸次、縮径する構造であることが看取できる。

以上より、引用文献2には、
「幼児や子供が使用するために適合された容器であって、
中心線と、少なくとも一つの外周を有する本体であって、本体上には、少なくとも一つの握り部を有し、前記少なくとも一つの握り部は、第1および第2側壁を有し、この第1および第2側壁は、外周から中心線に向かう方向で、互いに離れるように広がるものであり、
外周は、軸方向の外側から内側に向かうにしたがい、径方向の内側に向けて、漸次、縮径し、
握り部に隣接するとともに、同じ側壁から側凹部が形成され、握り部の側壁に隣接する外壁を有し、一般に使用されるカップと似せて形成され、幼児や子供が一般に使用されるカップを使うことに移行するために、外壁は平坦とされる、容器。」の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。

イ 原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された、米国特許第7568588号明細書(以下、原査定と同じく「引用文献1」という。)には、以下の技術的事項が記載されている。
(ア)「A plastic container comprising:
a base having a width;
a lower body portion connected to the base, the lower body portion having a first width;
a mid body portion connected to the lower body portion;
an upper body portion connected to the mid body portion at the end opposite to the lower body portion, the upper body portion having a second width;
a neck connected to the upper body portion;
a substantially flat central surface within the mid body portion, the central surface merging into the upper and lower body portions, said substantially flat central surface bowing inwardly towards a waist, so as to minimize distortion from hot filling;
the waist located at approximately the center of the mid body portion, the waist having a third width;and;
wherein the lower body portion has a substantially circular cross-section, the upper body portion has a substantially circular cross-section and the mid body portion having a substantially square cross-section.」(請求項1)
(和訳:プラスチック容器であって、
幅を有するベースと、
ベースに接続され、第1の幅を有する下部本体部分と、
下部本体部分に接続された中間本体部分と、
下部本体部分と反対側で中間の本体部分に接続され、第2の幅を有する上部本体部分と、
上部本体部分に接続された首部と、
中間本体部分内の実質的に平坦な中央面は、上部および下部本体部分に合流し、この中央面は、胴部に向かって内側に曲がり、それにより、加熱充填時の歪みを最小限にすることができ、
中間本体部分のほぼ中央に位置し、第3の幅を有する胴部とともに、
下部本体部分は実質的に円形の断面を有し、上部本体部分は実質的に円形の断面を有し、中間本体部分は実質的に正方形の断面を有する、プラスチック容器。)
(イ)「As illustrated in FIG. 3, the cross section of the container at the mid body portion 112 is substantially square. ・・・・The container sidewall along the mid-body portion 112 is substantially flat, but bows slightly inward towards the center of the container 100. Thus, the container sidewall at the mid-body portion 112 is slightly concave in the vertical direction. This substantially flat but slightly concave portion of the sidewall, the central surface 118, is visible in FIGS. 1, 3, and 5. On either side of the central surface 118 is a corner edge 120.
・・・・As illustrated in FIG. 3, the sides of the square (formed by the central surface 118) bow outwardly and are slightly rounded,・・・・」(3欄14?35行)
(和訳:図3に示されるように、中部本体部分112の容器断面は、略正方形である。・・・・中部本体部分112の容器側壁は、概ね平坦であるが、わずかに容器の中心に向けて内側に曲がっている。こうして、中部本体部分112の容器側壁は、垂直方向で、わずかに凹面である。この略平坦であるが、わずかに凹面の側壁である、中央面118は、図1,3,5に示される。中央面118の端部は角部120である。
・・・・図3に示されるように、(中央面118により形成される)正方形の側面は、外側に曲がり、わずかに丸みを帯びている・・・・)
(ウ)「The central surface 118 of the present invention eliminates or minimizes distortion in response to internal vacuum pressure that results from hot filling and capping the container 100 by the migration of the substantially flat geometry of the central surface 118 into the upper 114 and lower rounded body portions 112.・・・・Upon sealing, the central surface 118 flexes inwardly and evenly, distributing the vacuum forces such that the upper 114 and lower body portions 110 become a more flattened shape where the upper 114 and lower body portions 110 meet the mid body portion 112. Again, the distribution of vacuum force, and thus the migration of the flat geometry into the upper 114 and lower body portions 110 occurs uniformly, such that the overall shape of the container 100 is maintained. As a result, container deformations such as buckling, collapse, or other undesirable side effects due to uneven distribution of vacuum forces are virtually eliminated. The end result is a highly attractive container, manufactured without the requirement of a flex panel.」(4欄32?50行)
(和訳:実質的に平坦な中央面118の、上部114および下部本体部分112への移動により、本発明の中央面118は、加熱充填および容器100の蓋締めを原因とする内部真空圧により引き起こされる歪みを、取り除くか最小化する。・・・・シール時に、中央面118は、内側に均等に曲がり、真空圧を分配することにより、上部114および下部本体部分110は、より平坦な形状となり、上部114および下部本体部分110は中部本体部分112と合流する。もう一度いうが、真空圧の分配と、平坦部の上部114および下部本体部分110への移動が,偏りなく引き起こされ、その結果、容器100の全体形状が維持される。結果として、座屈、崩壊、あるいは真空圧の不均等な分配による他の望ましくない副作用のような容器変形が、事実上、取り除かれる。)

4.当審の判断
(1)対比
本願発明と引用発明2を対比すると、
本願発明の「ボトル」と、引用発明2の「幼児や子供が使用するために適合された容器」は、ともに液体を収容する「容器」という限りにおいて一致し、また、本願発明の「パネル部」と、引用発明2の「側凹部」は、ともに容器の胴部をなす部分の壁面から凹んでいる「凹部」である限りにおいて一致することから、本願発明と引用発明2は、
「筒状の胴部に、その径方向の内側に向けて凹む凹部が周方向に間隔をあけて複数形成されてなる容器であって、
前記胴部は、軸方向の外側から内側に向かうに従い径方向の内側に向けて漸次縮径した、容器。」で一致し、少なくとも、以下の点で相違する。

《相違点》
本願発明が、「ボトル」に係る発明であるのに対し、引用発明2は、「幼児や子供が使用するために適合された容器」に係る発明であり、凹部について、本願発明が、「パネル部における径方向の内側に位置する底壁部は、軸方向に沿う縦断面形状および軸方向に直交する横断面視形状がそれぞれ直線状に形成されている」のに対し、引用発明2は、「握り部に隣接するとともに、同じ側壁から側凹部が形成され、握り部の側壁に隣接する外壁を有し、一般に使用されるカップと似せて形成され、幼児や子供が一般に使用されるカップを使うことに移行するために、外壁は平坦とされる」ものである点。

(2)判断
ア 上記相違点について検討する。
本願発明に係る「ボトル」は、従来より、「密封された内容物の温度が低下してボトル内が減圧した場合に、パネル部が径方向の内側に向けて優先的に変形することで、ボトル内の減圧を吸収するように」(本願明細書段落【0002】)構成されているが、「ボトル内の減圧吸収性能を維持しつつ、ハンドリング性を向上させることに改善の余地があった」(同段落【0004】)ことから、本願発明においては、「パネル部における径方向の内側に位置する底壁部は、軸方向に沿う縦断面形状および軸方向に直交する横断面視形状がそれぞれ直線状に形成」されることにより、「ボトル軸O方向の外側から内側に向けて縮径させて底壁部21を湾曲させた場合に比べて、減圧吸収時における径方向への底壁部21の変形量を確保できる」(同段落【0017】)ようになされたものである。
一方、引用発明2の「幼児や子供が使用するために適合された容器」は、握ることや持つことを補助するための把持部を有するカップから、一般に使用されるカップへ移行する過程の幼児や子供を支援するような容器を提供することを目的とするものであり、幼児や子供が一般に使用されるカップを使用できるようにするために、一般に使用されるカップに似せて、外壁45が平坦とされる(前記3.(2)ア(エ))ものであり、この「平坦」にすることが、直ちに、「軸方向に沿う縦断面形状および軸方向に直交する横断面視形状がそれぞれ直線状に形成」されることを意味するものとはいえない。
そもそも、引用発明2の「幼児や子供が使用するために適合された容器」は、「握ることや持つことを補助するための把持部を有するカップから、一般に使用されるカップへ移行する過程の幼児や子供を支援するような容器」であって、本願発明のように、「密封」するものとはいえず、温度変化に伴い「密封」した容器内が減圧して、変形することが想定されるものではないから、引用発明2において、本願発明のように、「パネル部における径方向の内側に位置する底壁部(外壁)は、軸方向に沿う縦断面形状および軸方向に直交する横断面視形状がそれぞれ直線状に形成」することを、想到し得るものとはいえない。
したがって、本願発明は、引用発明2から容易に発明をすることができたものとはいえない。

イ 引用文献1に記載された発明(技術的事項)を考慮しても、引用文献1の記載によれば、「プラスチック容器」の「中央面118」が、垂直方向で、わずかに凹面であり、容器断面は、外側に曲がり、わずかに丸みを帯びている(前記3.(2)イ(イ))ものであって、相違点に係る本願発明の「パネル部における径方向の内側に位置する底壁部は、軸方向に沿う縦断面形状および軸方向に直交する横断面視形状がそれぞれ直線状に形成されている」構成については、記載も示唆もされていない。また、引用文献1に記載された発明は、歪みを吸収すべく、平坦な中央面が上部及び下部本体部分へ移動するように作用するものであり、底壁部を径方向内側に向かって撓むように変形させて、歪みを吸収する本願発明とは、作用が異なるものである。
したがって、本願発明は、引用発明2および引用文献1に記載された発明(技術的事項)からも、容易に発明をすることができたものとはいえない。

ウ なお、平成26年2月14日付け拒絶理由通知において引用された、
特開2001-206331号公報(以下、「先行技術文献1」という。)には、プラスチックボトルについて、「減圧吸収量を従来の六面体ボトルと同様になるようにした加熱充填ボトルを提供することを目的」(段落【0005】)とし、ボトルAの胴部3に、円弧壁面11と減圧吸収面12、円弧壁面11の両側の傾斜壁14a、14bによって形成された柱部を備え、減圧吸収面12の平坦面16を平面状の壁面とし、傾斜壁14a、14bのなす角度による柱角度αを60゜?115゜の範囲、好ましくは75゜以上とすること(段落【0008】?【0012】)により、「胴部が八面体のボトルにおいて、柱角度を、60゜?115゜の範囲とすることによって、六面体ボトルと同等の減圧吸収量が確保するとともに、柱部の剛性も強化することができた。そのことによって、シュリンクラベルの印刷面の投影面積を大きくすることができ、ラベルの印刷面を見易くすることができた」(段落【0023】)旨記載され、
同じく特開2010-105677号公報(以下、「先行技術文献2」という。)には、樹脂製容器について、「容器主軸方向における胴部3の中央が胴細に絞られた形状としてつかみやすいようにすることが好ましい」(段落【0016】)旨記載されている。
仮に、先行技術文献1のプラスチックボトルを、先行技術文献2の樹脂製容器のように「容器主軸方向における胴部の中央が胴細に絞られた形状としてつかみやすいようにする」としても、先行技術文献1のプラスチックボトルは、減圧吸収量を確保するために、傾斜壁14a、14bのなす角度による柱角度αを一定範囲にすることを、課題を解決するための手段としているものであって、先行技術文献1の胴部を、円筒状から「容器主軸方向における胴部の中央が胴細に絞られた形状としてつかみやすいようにする」に伴い、傾斜壁14a、14bのなす角度による柱角度αを一定範囲とするための何らかの対処が必要になるが、先行技術文献1および2には、その際の対処について記載されておらず、当業者が容易に想到できるものでもない。
また、先行技術文献2に記載のような胴部の中央部が胴細に絞られた容器に、単に先行技術文献1に記載の柱角度αを一定範囲とする事項を適用しても、減圧吸収面の平坦面の軸方向に沿う縦断面形状および軸方向に直交する横断面視形状が、それぞれ直線状とはならないことは明らかである。
したがって、本願発明は、先行技術文献1および2に記載された発明からも、容易に発明をすることができたものとはいえない。

(3)むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由も発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-02-02 
出願番号 特願2010-287516(P2010-287516)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B65D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 高橋 裕一  
特許庁審判長 見目 省二
特許庁審判官 井上 茂夫
三宅 達
発明の名称 ボトル  
代理人 棚井 澄雄  
代理人 仁内 宏紀  
代理人 志賀 正武  
代理人 鈴木 三義  

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