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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1310470
審判番号 不服2015-6215  
総通号数 195 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-03-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-04-02 
確定日 2016-01-27 
事件の表示 特願2013- 77709「縦方向構造を有するLEDの製作方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 9月 5日出願公開、特開2013-175748〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯、本願発明
本願は、2003年3月31日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2002年4月9日、米国)を国際出願日とする特願2003-585153号(以下「原出願」という。)の一部を平成25年4月3日に新たな特許出願としたものであって、平成25年10月18日に手続補正がなされ、平成26年2月24日付けで拒絶理由が通知され、同年8月4日に特許請求の範囲の補正がなされたが、同年11月27日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成27年4月2日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に特許請求の範囲の補正がなされたものである。
そして、上記平成27年4月2日付けの補正は、請求項の削除を目的とするものと認められるところ、本願の請求項に係る発明(以下「本願発明」という。)は、当該補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるものである。

「金属支持構造と、
金属支持構造上に位置付けられたGaNをベースにした半導体構造であって、GaNをベースにした半導体構造が第1の表面、第2の表面、及び、側面を備え、GaNをベースにした半導体構造がp型のGaNをベースにした層、p型の層上に位置付けられたGaNをベースにした能動層、及び、能動層上に位置付けられたn型のGaNをベースにした層を備え、第2の表面が第1の表面の反対側にあり、第1の表面が第2の表面と比べて金属支持構造に最も近い、GaNをベースにした半導体構造と、
p型のGaNをベースにした層に電気的に接続されたp-電極であって、金属支持構造とGaNをベースにした半導体構造の第1の表面との間に配置されたp-電極と、
n型のGaNをベースにした層に電気的に接続されたn-電極であって、GaNをベースにした半導体構造の第2の表面上に配置されたn-電極と、
GaNをベースにした半導体構造の側面及び第2の表面上に位置付けられた不活性層と、
を備え、
GaNをベースにした半導体構造の第2の表面が主要な発光表面であり、
不活性層がp型のGaNをベースにした層を覆う第1の部分、GaNをベースにした能動層を覆う第2の部分、及び、n型のGaNをベースにした層を覆う第3の部分を備え、
第3の部分が第1の部分より大きい、縦型発光ダイオード。」

2 引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、原出願の優先日前に頒布された刊行物である特開2001-244503号公報(以下「引用例」という。)には、図とともに次の記載がある。

(1)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は窒化物半導体発光素子に関する。」
(2)「【0019】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明に係る実施の形態の窒化物半導体発光素子について説明する。
実施の形態1.本実施の形態1の窒化物半導体発光素子は、例えば、金属板からなる導電性基板12上に、それぞれ窒化ガリウム系半導体からなるn層1、活性層2及びp層3が積層されてなる積層薄板10が設けられてなる発光ダイオード(LED)である。ここで、本発明における積層薄板は、例えば、10μ程度の極めて薄い薄板である。
【0020】詳細には、積層薄板10の一方の主表面(n層1の表面)の一部に円形のn側オーミック電極5が形成され、積層薄板10の他方の主表面(p層1の表面)にp側オーミック電極4が形成されて、発光素子部が構成される。ここで、n側オーミック電極5は、図2に示すように、n層1の表面の中央部に形成され、p側オーミック電極4は、発光層である活性層2の全体に電流が流れるように、積層薄板10のp層1の表面のうち、n側オーミック電極5との対向部分を除くほぼ全面に形成される。このように、n側オーミック電極5をn層1の表面の中央部の一部に形成し、p側オーミック電極4をp層1の表面のほぼ全面に形成することにより活性層2の全体に電流が流れるようにできるのは、以下のような理由によるものである。
【0021】すなわち、窒化ガリウム系化合物半導体において、n型層はp型層に比較して抵抗が低いために、n層の一部にn側オーミック電極を形成することによりn層内において電流を拡散することができるのに対し、比較的抵抗が高いp層内では電流を拡散させることができないので、p側オーミック電極内において電流を拡散させる必要があるからである。
【0022】そして、本実施の形態1では、n側オーミック電極5とp側オーミック電極4が形成された積層薄板10は、p側オーミック電極4と導電性基板12の上面とが導電性接着剤11で接合されて導電性基板12上に固定される。尚、本実施の形態1の窒化物半導体発光素子においては、導電性接着剤11が積層薄板10の側面に周り込んだ場合に、p側オーミック電極4と発光層又はn層1との短絡及びp層3とn層1との間の短絡を防止するために、積層薄板10の側面に絶縁膜6が形成されている。
【0023】以上のように構成された本実施の形態1の窒化物半導体発光素子において、導電性基板12とn側オーミック電極5とに電圧を印加することにより、活性層2に電流を供給して活性層2で発光させる。そして、活性層で発光された光は、n層1を介して出力される。」
(3)「【0032】次に、図3?図5を参照しながら本実施の形態1の窒化物半導体発光素子の製造方法について説明する。
(第1工程)第1工程では、サファイア基板20上に、窒化ガリウム系半導体からなるn層1、窒化ガリウム系半導体活性層2及び窒化ガリウム系半導体からなるp層3を、例えば、有機金属気相成長法(MOCVD法)により順次成長させることにより形成する(図3(a))。
【0033】(第2工程)第2工程では、p層3上に、例えば、Ni-Au、Ni-Pt等からなり該p層3とオーミック接触するp側オーミック電極4aをそれぞれ各窒化物半導体発光素子に対応させて形成する(図3(b))。
(第3工程)第3工程では、各p側オーミック電極4a上にそれぞれ、例えば、Au-Snからなる第1導電性接着剤層11aを形成する(図3(c))。
【0034】(第4工程)第4工程では、各p側オーミック電極4aと第1導電性接着剤層11aを覆うようにSiO_(2)マスク21を形成し、該SiO_(2)マスク21を用いて個々の窒化物半導体発光素子に分離するための素子分離溝31を形成する(図3(d))。
(第5工程)第5工程では、素子分離溝31及びSiO_(2)マスク21を全て覆うように、SiO_(2)マスク22を形成する(図3(e))。
【0035】(第6工程)第6工程では、素子分離溝31内のSiO_(2)マスク21及び各素子の周辺部を覆うように、レジスト23を形成し(図4(a))、レジスト23をマスクとして、SiO_(2)マスク21,22をエッチングすることにより、第1導電性接着剤層11a上のSiO_(2)を除去する。これにより、図4(b)の下図に示すように、各素子の側面を覆うSiO_(2)からなる絶縁保護膜6が形成される。
…」

上記(2)の【0020】には、「p層1」の記載があるが、これは、【0019】等の記載からみて、「p層3」とすべきところを誤記したものと認められる。
また、上記(3)の「各素子の側面を覆うSiO_(2)からなる絶縁保護膜6が形成される。」(【0035】)の記載に照らせば、上記(2)の「絶縁膜6」は、「SiO_(2)からなる絶縁保護膜」であるといえる。

よって、上記によれば、引用例には、
「金属板からなる導電性基板12上に、それぞれ窒化ガリウム系半導体からなるn層1、活性層2及びp層3が積層されてなる積層薄板10が設けられてなる発光ダイオードであって、
積層薄板10の一方の主表面(n層1の表面)の一部に円形のn側オーミック電極5が形成され、積層薄板10の他方の主表面(p層3の表面)にp側オーミック電極4が形成されて、発光素子部が構成され、
n側オーミック電極5とp側オーミック電極4が形成された積層薄板10は、p側オーミック電極4と導電性基板12の上面とが導電性接着剤11で接合されて導電性基板12上に固定され、
積層薄板10の側面にSiO_(2)からなる絶縁膜6(絶縁保護膜)が形成され、
活性層2で発光された光は、n層1を介して出力される、発光ダイオード。」
の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

3 対比
本願発明と引用発明を対比する。
(1)引用発明の「金属板からなる導電性基板12」、「窒化ガリウム系半導体からなるn層1」、「(窒化ガリウム系半導体からなる)活性層2」、「(窒化ガリウム系半導体からなる)p層3」、「積層薄板10」、「積層薄板10の一方の主表面(n層1の表面)」、「積層薄板10の他方の主表面(p層3の表面)」、「積層薄板10の側面」、「p側オーミック電極4」及び「n側オーミック電極5」は、それぞれ、本願発明の「金属支持構造」、「n型のGaNをベースにした層」、「GaNをベースにした能動層」、「p型のGaNをベースにした層」、「半導体構造」、「第2の表面」、「第1の表面」、「側面」、「p-電極」及び「n-電極」に相当する。
(2)本願明細書の【0040】には、本願発明の「不活性層」について、「SiO_(2)又はSi_(3)N_(4)からなる電気的絶縁物が適切な不活性層の材料である。」と記載されているから、引用発明の「(SiO_(2)からなる)絶縁膜6」は、本願発明の「不活性層」に相当するといえる。
(3)引用発明は、「活性層2で発光された光」が「n層1を介して出力される」ものであるから、本願発明と同様に、「GaNをベースにした半導体構造の第2の表面が主要な発光表面」であるものといえる。
(4)引用発明の「絶縁膜6」が、その側面において「n層1」、「活性層2」及び「p層3」を覆っていることは明らかであるから、引用発明は、本願発明と同様に、「不活性層がp型のGaNをベースにした層を覆う第1の部分、GaNをベースにした能動層を覆う第2の部分、及び、n型のGaNをベースにした層を覆う第3の部分を備え」るものといえる。
(5)引用発明の「発光ダイオード」が「縦型発光ダイオード」であることは明らかである。
(6)以上のことから、両者は、
「金属支持構造と、
金属支持構造上に位置付けられたGaNをベースにした半導体構造であって、GaNをベースにした半導体構造が第1の表面、第2の表面、及び、側面を備え、GaNをベースにした半導体構造がp型のGaNをベースにした層、p型の層上に位置付けられたGaNをベースにした能動層、及び、能動層上に位置付けられたn型のGaNをベースにした層を備え、第2の表面が第1の表面の反対側にあり、第1の表面が第2の表面と比べて金属支持構造に最も近い、GaNをベースにした半導体構造と、
p型のGaNをベースにした層に電気的に接続されたp-電極であって、金属支持構造とGaNをベースにした半導体構造の第1の表面との間に配置されたp-電極と、
n型のGaNをベースにした層に電気的に接続されたn-電極であって、GaNをベースにした半導体構造の第2の表面上に配置されたn-電極と、
GaNをベースにした半導体構造の側面に位置付けられた不活性層と、
を備え、
GaNをベースにした半導体構造の第2の表面が主要な発光表面であり、
不活性層がp型のGaNをベースにした層を覆う第1の部分、GaNをベースにした能動層を覆う第2の部分、及び、n型のGaNをベースにした層を覆う第3の部分を備える、縦型発光ダイオード。」の点で一致する。
(7)一方、両者は、
本願発明では、不活性層が第2の表面上にも位置し、(n型のGaNをベースにした層を覆う)第3の部分が(p型のGaNをベースにした層を覆う)第1の部分より大きいのに対し、引用発明では、SiO_(2)からなる絶縁膜6が積層薄板10の一方の主表面(n層1の表面)上に位置しておらず、絶縁膜6がn層1を覆う部分がp層3を覆う部分より大きいか不明な点(以下「相違点」という。)で相違する。

4 判断
上記相違点につき検討する。
発光ダイオードにおいて、電極が配置された半導体層の表面上にSiO_(2)のような本願発明でいう不活性層を設けることは、原出願の優先日時点で周知の技術事項である(例えば、原査定の拒絶の理由に引用された特開平6-302856号公報(【0008】に「p型GaAsキャップ層25の上部にはp型電極26が設けられ、…p型電極26上にはボンディングパッドを有する配線28と、絶縁膜SiO_(2)29とが積層されている。」と記載されているように、図18において、電極26が配置された半導体層25の表面上に絶縁膜SiO_(2)29が設けられている。また、【0016】に「p型GaAsキャップ層40の上面にはp型電極41が形成され、この電極41の上部には図示しないボンディングパッドを有する配線42と配線形成用絶縁膜SiO_(2)43とが積層されている。」と記載されているように、図1において、電極41が配置された半導体層40の表面上に絶縁膜SiO_(2)43が設けられている。)、特開2000-315819号公報(【0017】に「n側電極9aが設けられたウェハの表面に、SiO_(2 )などからなるパシベーション膜7を設ける。」と記載されているように、図1において、電極9aが配置されたn型層3の表面上にSiO_(2)などからなるパシベーション膜7が設けられている。)参照。)から、引用発明において、SiO_(2)からなる絶縁膜を、「積層薄板10の一方の主表面(n層1の表面)」上にも設けるようになして、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることに格別の困難性は認められない。

また、本願発明の奏する効果が、引用発明及び上記周知の技術から当業者が予測困難な程の格別顕著なものということはできない。

5 むすび
したがって、本願発明は、引用発明及び上記周知の技術に基づいて当業者が容易に発明できたものと認められ、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-08-27 
結審通知日 2015-09-01 
審決日 2015-09-17 
出願番号 特願2013-77709(P2013-77709)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉野 三寛  
特許庁審判長 恩田 春香
特許庁審判官 星野 浩一
吉野 公夫
発明の名称 縦方向構造を有するLEDの製作方法  
代理人 園田・小林特許業務法人  
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