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審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 取り消して特許、登録(定型) A61B
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録(定型) A61B
管理番号 1310559
審判番号 不服2015-4129  
総通号数 195 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-03-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-03-03 
確定日 2016-02-26 
事件の表示 特願2011-536337「フィードバック制御を行う内視鏡光源システム」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 5月27日国際公開、WO2010/059197、平成24年 4月19日国内公表、特表2012-509098、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成21年11月17日(パリ条約による優先権主張:平成20年11月18日 米国(US))を国際出願日とする外国語国際特許出願であって、平成25年7月17日付けで拒絶理由が通知され、同年10月10日に意見書及び手続補正書が提出され、平成26年2月25日付けで拒絶理由が通知され、同年5月20日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年10月31日付けで拒絶の査定がなされ、同謄本は、同年11月5日に請求人に送達された。
これに対して、平成27年3月3日に拒絶査定不服審判の請求がされるとともに、同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成27年3月3日にされた手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成27年3月3日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[補正の却下の決定の理由]
1 本件補正の内容について
(1)本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲(平成26年5月20日提出の手続補正書に記載のもの)の請求項1を次のとおりに補正(下線は補正箇所を示す。)する補正事項をその一部に含むものである。

「【請求項1】
内視鏡に光を供給するための外部内視鏡光源システムであって、内視鏡は手術部位を照明するために遠位端に光を出力することができ、
該内視鏡光源システムは、
筺体と、
筺体内に配置された複数のLEDと、
LEDからの光を受け取るために筺体内に配置された複数の二色性フィルター素子と、
二色性フィルター素子からの光を受け取る筺体内に配置された光コリメート・混合デバイスと、
光ファイバーケーブルを光コリメート・混合デバイスに接続する接合部と、
光を光コリーメート・混合デバイスから受け取り、光ファイバケーブルと共に光路を生成する光伝送ロッドと、
光路内の照明から明度を感知し、内視鏡カメラのイメージセンサを含むカラーセンサと、
カラーセンサから明度を受け取り、所定の明度と当該明度とを比較する筺体内に配置された制御部とからなり、
制御部は、
LEDからのカラー照明が、所定のバランスレベルと対応するようにバランスされ、かつ、カラーセンサにより感知された明度が所定のカラー光の出力と対応するように、前記光ファイバーケーブルは複数の光ファイバーを含み.当該光ファイバーの1つの遠位端は、カラーセンサに光を供給し、残りのもう1つの光ファイバーは、内視鏡に光を供給し、複数のLEDのそれぞれにより出力される光の強度を個別に制御するために電源信号を変えることができる
ことを特徴とするフィードバック制御を行う内視鏡光源システム。」

(2)上記請求項1についての補正により、本件補正後の請求項1に係る発明において「光路内の照明から明度を感知するカラーセンサ」について「内視鏡カメラのイメージセンサを含む」ものである点が特定されることとなった。
ここで、本件補正後の請求項1における「カラーセンサ」に関して「カラーセンサにより感知された明度が所定のカラー光の出力と対応するように、前記光ファイバーケーブルは複数の光ファイバーを含み.当該光ファイバーの1つの遠位端は、カラーセンサに光を供給し、残りのもう1つの光ファイバーは、内視鏡に光を供給し」とも特定されていることから、本件補正後の請求項1に係る発明の「カラーセンサ」は、(i)「光路内の照明から明度を感知」するものであって、(ii)「光ファイバーの1つの遠位端」により「光を供給される」ものであり、かつ、(iii)「内視鏡カメラのイメージセンサを含む」ものであることが特定されていることとなる。
そこで、本件補正後の上記(i)ないし(iii)の点で特定されるカラーセンサが、特許法第184条の4第1項の国際出願日における同法第184条の3第2項の国際特許出願の明細書若しくは図面(図面の中の説明に限る。)の同法第184条の4第1項の翻訳文、国際出願日における国際特許出願の請求の範囲の同項の翻訳文(同条第2項又は第6項の規定により1970年6月19日にワシントンで作成された特許協力条約第19条(1)の規定に基づく補正後の請求の範囲の翻訳文か提出された場合にあっては、当該翻訳文)又は国際出願日における国際特許出願の図面(図面の中の説明を除く。)(以下これらをまとめて、「本件当初翻訳文等」といい、当該明細書、請求の範囲の翻訳文については、それぞれ、「本件当初明細書」、「本件当初請求の範囲」といい、また、当該図面についても、「本件当初図面」等という。)に記載された事項であるか否かについて検討する。

2 本件当初翻訳文等の記載事項
(1)本件当初明細書には、「光路内の照明から明度を感知する」、「カラーセンサ」及び「内視鏡カメラのイメージセンサ」に関し、つぎの記載がある。(下線は、当審により付加したものである。)
ア 「【0012】
本発明の一実施態様は、内視鏡を通じて手術部位に当てられる光の色を感知することである。
感知した明度によって、個々の発光ダイオードまたはダイオードアレイへの電源を制御し光の色のバランスを取り、白色光になるようにする。
このように、色のバランスが取られていないフィードバックを有する光源とは異なり、光源からの反射光を受け取るカメラにおける白色バランスを取る必要がない。」
イ 「【課題を解決するための手段】
【0014】
そこで、この発明は、上述不都合を除去するために、
内視鏡に光を供給するための外部内視鏡光源システムであって、内視鏡は手術部位を照明するために遠位端に光を出力することができ、該内視鏡光源システムは、
筺体と、
筺体内に配置された複数のLEDと、
LEDからの光を受け取るために筺体内に配置された複数の二色性フィルター素子と、
二色性フィルター素子からの光を受け取る筺体内に配置された光コリメート・混合デバイスと、
光ファイバーケーブルを光コリメート・混合デバイスに接続する接合部と、
光路内の照明から明度を感知するカラーセンサと、
カラーセンサから明度を受け取り、所定の明度と当該明度とを比較する筺体内に配置された制御部とからなり、
制御部は、カラーセンサにより感知された明度が所定のカラー光の出力と対応するように、複数のLEDのうち少なくとも1個により出力される光の強度を制御するために電源信号を変えることができることを特徴とする。・・・」
ウ 「【実施例】
【0018】
図1は、発光ダイオード(「発光素子」または「LED」ともいう。)66a、66bおよび66cのような固体の発光装置に複数の出力64a、64bおよび64cを供給する電源ユニット62を含む光源60のブロック図である。
発光ダイオード66a?66cは、以下に詳しく説明する光学装置68に光を供給する。
光学装置68は、中空の光伝送ロッド72の中にコリメート光である光出力70を供給する。
光出力70は白色光であることを意図する。
【0019】
光伝送ロッド72の遠位端に、光ファイバー74が光出力70のほんの1部を受け取るように向けられている。
光ファイバー74は、受け取った光を光源の筺体に配置されたカラーセンサー76に供給する。
カラーセンサー76は、カラーバランス回路80にカラー出力信号78を供給する。
カラーバランス回路80は、電源ユニット62にカラーバランス出力信号82a、82bおよび82cを供給する。
電源ユニット62は、複数の発光ダイオードアレイ、すなわちLEDアレイ66a?66cに電力を供給する個々に独立した電力出力回路63a?63cを有する。
【0020】
動作時において、図1に示す実施態様の光源は、光ファイバーケーブルで受け取った光出力70を光伝送ロッド72に供給し、内視鏡に光出力を供給する。
【0021】
内視鏡への光出力70に加えて、光伝送ロッド72の遠位端の端部に配置された光ファイバー74が光出力70のごく一部を受け取り、この光をカラーセンサー76に供給する。
カラーセンサー76は、光の特性を感知し、複数のカラーがある場合は、光出力70の中のどのカラーが優勢か判断する。
例えば、光出力70の中に赤色光が豊富に供給されている場合は、その条件により光出力が反射している対象物のイメージの様子、すなわち色を変える。
このように、カラーセンサー76は光ファイバー74から光を受取り、光ファイバー74の中の色の濃さを測定する。
次に、カラーセンサー76はLEDすなわち固体の発光ダイオード66からの複合光に応じてカラー出力信号78を供給する。
【0022】
カラーバランス回路80は、カラーセンサー76からカラー出力信号78を受け取り、必要があれば、どのカラーの発光ダイオード66a?66cが光学装置68に、より多くまたは少なく光を出力する必要があるか判断する。
次に、カラーバランス回路80は、電源ユニット62にカラーバランス出力信号82a、82bおよび82cを供給する。
電力出力回路63a?63cは、カラーバランス出力信号82に基づいて個々に発光ダイオード66a?66cを制御し、一実施の態様によれば、バランスの取れた白色の光出力70を得る。
しかし、場合によっては、白色光の出力は、手術部位を見るのに最も理想的な光の色でない場合もある。
かかる場合は、カラーバランス回路80が動作して発光素子を制御し、所定の望ましい色を供給する。
【0023】
要するに、光源の筺体の中に収納された図1に示す光源の配置により、発光ダイオード66a?66cの個々の条件や特性に係わりなく、加工された光を供給し光伝送ロッド72を通じて出力し、所定の色の光出力70を供給するように動作する。」
エ 「【0034】
カメラからの入力により制御される光源
図4のブロック図は、本発明の他の実施態様を示し、光源60は、カメラ110からのフィードバック信号により制御される。
光ファイバーケーブル100の近位端98は上記の光源60に接続し、光ファイバーケーブルの遠位端は内視鏡112の受光ポートに接続する。
内視鏡は、その内部に光路を有し、ポートで受け取った白色光の出力をその遠位端114から外に向けて投射する。
反射されたイメージは、内視鏡112の近位端に配置されたカメラ110のイメージセンサー116に供給される。
【0035】
以下に詳述するように、カメラ110は、カラーバランス信号118とシャッタースピード信号120のひとつまたは両方を出力する。
カラーバランス信号118およびシャッタースピード信号120は、制御信号として光源60に供給される。
図4において、カメラ110によって受け取られたイメージは、イメージ出力122として供給され、ビデオモニタ124上に表示される。
【0036】
図5に示すカメラ110のブロック図は、光源60にカラーバランス信号118およびシャッタースピード信号120を供給するための処理を詳細に示す。
図5はカメラ110の動作あるいはカメラの構成要素の詳細を示すことを意図するものではない。
図5のブロック図に示すいろいろなユニット122、130、134および140は、単一のプロセッサによって行われる動作として例示されるものである。
【0037】
カメラ110は、例えば、毎秒60フレームの画像生成速度と、フレーム毎にシャッター速度調節ができる高画質デジタルカメラを意図する。
【0038】
図5に示すイメージセンサー116は、手術部位からのイメージを感知し、カメラ110のいろいろなユニット130、132および134に感知されたイメージ信号128を供給する。
【0039】
カラー感知ユニット130は、イメージ信号128を受け取り、イメージの白色バランスを判断し、もしあれば通常、どの色が白色光の希望する所定のカラー光出力を損なっているか判断する。
カラー感知ユニット130は、測定したカラー情報を含むカラーバランス信号118を出力する。
【0040】
イメージ処理ユニット132もイメージ信号128を受け取り、ビデオモニタ124に標準的な方法で表示するためにイメージ出力122を供給する。
【0041】
また、光度感知ユニット134は、イメージ信号128を受け取る。
光度感知ユニット134は、イメージの明度を測定し、イメージセンサー116にとって必要なシャッター速度を判断する。
光度感知ユニット134は、シャッターパルス生成部140に光度フィードバック信号136を供給する。
【0042】
シャッターパルス生成部140はイメージセンサー116にシャッタースピード信号120を供給し、シャッター速度を制御する。
光の感知がさらに必要な場合は、シャッター速度の時間(オープン時間の長さ)を増やし、明るい光イメージがイメージセンサー116に入力された場合は、シャッター速度の時間を減らす。
この明度制御動作は通常のデジタルビデオカメラに備えられている。」

(2)本件当初請求の範囲には、「光路内の照明から明度を感知する」、「カラーセンサ」及び「内視鏡カメラのイメージセンサ」に関し、つぎの記載がある。
ア 「【請求項1】
内視鏡に光を供給するための外部内視鏡光源システムであって、内視鏡は手術部位を照明するために遠位端に光を出力することができ、該内視鏡光源システムは、
筺体と、
筺体内に配置された複数のLEDと、
LEDからの光を受け取るために筺体内に配置された複数の二色性フィルター素子と、
二色性フィルター素子からの光を受け取る筺体内に配置された光コリメート・混合デバイスと、
光ファイバーケーブルを光コリメート・混合デバイスに接続する接合部と、
光路内の照明から明度を感知するカラーセンサと、
カラーセンサから明度を受け取り、所定の明度と当該明度とを比較する筺体内に配置された制御部とからなり、
制御部は、カラーセンサにより感知された明度が所定のカラー光の出力と対応するように、複数のLEDのうち少なくとも1個により出力される光の強度を制御するために電源信号を変えることができる
ことを特徴とするフィードバック制御を行う内視鏡光源システム。」
イ 「【請求項5】
前記光ファイバーケーブルは複数の光ファイバーを含み、前記光ファイバーの1つが前記カラーセンサに光を供給する
ことを特徴とする請求項1に記載のフィードバック制御を行う内視鏡光源システム。」
ウ 「【請求項6】
前記カラーセンサは、接合部内に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載のフィードバック制御を行う内視鏡光源システム。」
エ 「【請求項8】
前記カラーセンサは内視鏡カメラのイメージセンサを含むことを特徴とする請求項1に記載のフィードバック制御を行う内視鏡光源システム。」

(3)本件当初図面
ア 図1



イ 図4

ウ 図5


エ 図6


3 当審の判断
(1)上記の記載によれば、本件当初翻訳文等には、「カラーセンサ」に関して記載されている内容はつぎのとおりである。
ア 上記2(1)イ及び上記2(2)アには、「カラーセンサ」が「光路内の照明から明度を感知する」ものであること、そして、「カラーセンサ」から明度を受け取り、所定の明度と当該明度とを比較して、カラーセンサにより感知された明度が所定のカラー光の出力と対応するように、複数のLEDのうち少なくとも1個により出力される光の強度を制御するものであることが記載されているものといえ、上記1(2)で説示したカラーセンサの特定点の(i)を備える「カラーセンサ」が記載されているといえる。
イ 上記2(1)ウ、上記2(2)イ及びウには、「カラーセンサ」が「光伝送ロッド72の遠位端の端部に配置され」「光出力70のごく一部を受け取」る「光ファイバー74」から「供給される」ものであって、「光ファイバーケーブルは複数の光ファイバーを含み、前記光ファイバーの1つが前記カラーセンサに光を供給する」ものであること、「カラーセンサは、接合部内に位置する」ものであることが記載されている。
そして、上記2(3)アの図1には、「光ファイバ74」に「カラーセンサ76」が接続されており、「カラーセンサ76」と「カラーバランス回路」が78の矢印で結ばれており、上記2(1)ウの記載をあわせ見れば、「カラーセンサ76」から「カラーバランス回路」に「カラー出力信号」を供給するものであることが見て取れる。
してみると、上記1(2)で説示したカラーセンサの特定点の(i)及び(ii)を備える「カラーセンサ」が記載されているといえる。
ウ 上記2(1)エには、「光源60」が「カメラ110からのフィードバック信号により制御される」ものであって、「カメラ110」は、「カラーバランス信号118」を出力し、「光源60」に「カラーバランス信号118」を供給するものであること、「カラーバランス信号118」は「カラーバランス回路148により処理されて、電源回路160a?160cにカラーバランス出力156aから156cを供給し、所定のカラー光出力となる」こと、また、上記2(2)エには、「カラーセンサ」が「内視鏡カメラのイメージセンサ」を含むものであることも記載されている。
また、上記2(3)イの図4から「ビデオカメラ110」から光源(60)に「カラーバランス信号118」を供給すること、上記2(3)ウの図5から、「ビデオカメラ110」の「CCDイメージセンサ116」から「イメージ信号128」を「カラー感知ユニット130」に供給し、「カラー感知ユニット130」から「カラーバランス信号118」が出力されることがそれぞれ読み取れる。「カラーセンサ」が「内視鏡カメラのイメージセンサ」を含むものであることも上記2(2)エに記載されている。
さらに、上記2(3)エの図6からは、「カラーバランス信号」が「カラーバランス回路148」に供給されること、及び、「カラーバランス回路148」からの信号が、各電源(160aないし160c)に供給されることが読み取れる。
してみると、上記1(2)で説示したカラーセンサーの特定点の(i)及び(iii)を備える「カラーセンサ」が記載されているといえる。

(2)上記(1)で認定したことからすれば、本件当初翻訳文等には、「カラーセンサ」が、(i)「光路内の照明から明度を感知」するものであって、(ii)「光ファイバーの1つの遠位端」により「光を供給される」もの、又は、(iii)「内視鏡カメラのイメージセンサを含む」ものは、それぞれ記載されているものいうことはできるものの、「カラーセンサ」が、(ii)「光ファイバの1つの遠位端」により「光を供給される」もので、かつ、(iii)「内視鏡カメラのイメージセンサ」を含むものが記載されているということはできない。
そして、上記2(2)エには、「光ファイバーケーブル100の近位端98は上記の光源60に接続し、光ファイバーケーブルの遠位端は内視鏡112の受光ポートに接続する。内視鏡は、その内部に光路を有し、ポートで受け取った白色光の出力をその遠位端114から外に向けて投射する。反射されたイメージは、内視鏡112の近位端に配置されたカメラ110のイメージセンサー116に供給される。」と記載されており、ここでの「カメラ110」の「イメージセンサー116」は、「内視鏡の反射イメージ像」を受光するためのものであるから、複数の「光ファイバーの1つの遠位端」より白色光を供給することが想定されるものではないことは、技術的に明らかである。
してみると、内視鏡カメラのイメージセンサーにおいて、光ファイバの1つの遠位端により光を供給するようにすることが自明のことであるともいえない。

(3)審判請求人の主張について
審判請求人は、審判請求書の「3.1)(2)補正の根拠の明示」の(a)(ア)において、「光路内の照明から明度を感知し、内視鏡カメラのイメージセンサを含むカラーセンサと、」の補正の根拠は国際出願翻訳文提出時の請求項8及び明細書の段落[0034]にあること、また、同(イ)において、「制御部は、LEDからのカラー照明が、所定のバランスレベルと対応するようにバランスされ、かつ、カラーセンサにより感知された明度が所定のカラー光の出力と対応するように、前記光ファイバーケーブルは複数の光ファイバーを含み.当該光ファイバーの1つの遠位端は、カラーセンサに光を供給し、残りのもう1つの光ファイバーは、内視鏡に光を供給し、複数のLEDのそれぞれにより出力される光の強度を個別に制御するために電源信号を変えることができる」の補正の根拠は、国際出願翻訳文提出時の明細書の段落[0019]及び段落[0022]の記載にあります。」と主張する。
しかしながら、本件補正後の請求項1において特定される「カラーセンサー」が、上記請求人の主張する記載箇所に記載されているとは認められないことは、上記の判断のとおりである。

(4)小括
以上のことからすれば、本件補正後の上記(i)ないし(iii)の点で特定される「カラーセンサ」は、本件当初翻訳文等に記載されたものとはいえず、また、その点により、当初翻訳文等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものともいえない。

4 補正の却下の決定のまとめ
上記のとおり、本件補正は、本件当初翻訳文等に記載された事項の範囲内でするものではないから、特許法第184条の12第2項において読み替えて適用される同法第17条の2第3項に規定する要件に違反してされたものである。
したがって、本件補正は、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法代53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
本件補正は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし6に係る発明は、平成26年5月20日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-02-16 
出願番号 特願2011-536337(P2011-536337)
審決分類 P 1 8・ 121- WYF (A61B)
P 1 8・ 561- WYF (A61B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 田邉 英治濱本 禎広石原 徹弥大塚 裕一  
特許庁審判長 三崎 仁
特許庁審判官 麻生 哲朗
尾崎 淳史
発明の名称 フィードバック制御を行う内視鏡光源システム  
代理人 西郷 義美  

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