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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 F02D
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F02D
管理番号 1310578
審判番号 不服2015-7751  
総通号数 195 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-03-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-04-24 
確定日 2016-02-23 
事件の表示 特願2011-131433「内燃機関の吸入空気量算出装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 1月 7日出願公開、特開2013- 2306、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願(以下、「本願」という。)は、平成23年6月13日の出願であって、平成26年7月30日付けで拒絶理由が通知され、平成26年9月30日に意見書並びに明細書及び特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出されたが、平成27年2月20日付けで拒絶査定がされ、平成27年4月24日に拒絶査定に対する審判請求がされると同時に明細書及び特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出され、平成27年10月29日付けで当審における拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、平成27年12月7日に意見書並びに明細書及び特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出されたものである。

第2 本願発明
本願の請求項1ないし3に係る発明は、平成27年12月7日提出の手続補正書によって補正された明細書及び特許請求の範囲並びに出願当初の図面からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるとおりのものと認めるところ、本願の請求項1ないし3に係る発明(以下、「本願発明1」ないし「本願発明3」という。)は次のとおりである。

「 【請求項1】
吸気弁の閉弁タイミングである吸気閉弁タイミングが可変バルブタイミング機構によって変更されるとともに、吸気通路を流れる空気量がスロットル弁によって変更される内燃機関において、当該内燃機関の吸気通路を介して気筒内に吸入される空気量として吸入空気量を所定周期で算出する内燃機関の吸入空気量算出装置であって、
前記吸気閉弁タイミングを検出する吸気閉弁タイミング検出手段と、
当該検出された吸気閉弁タイミングに基づいて、前記気筒の実効容積を前記所定周期で算出する実効容積算出手段と、
前記内燃機関の前記吸気通路における空気の状態を表す物理的パラメータを用いて、前記スロットル弁を通過する空気量である通過空気量を算出する通過空気量算出手段と、
当該算出された通過空気量及び前記算出された実効容積を用いて、前記吸入空気量の基本値である基本吸入空気量を算出する基本吸入空気量算出手段と、
前記実効容積算出手段による前記実効容積の算出結果のうちの、今回の演算タイミングでの算出結果である今回値と、今回よりも1回前の演算タイミングでの算出結果である前回値とを用いて、補正値を算出する補正値算出手段と、
当該算出された補正値で前記算出された基本吸入空気量を補正することにより、前記吸入空気量を算出する吸入空気量算出手段と、
前記吸入空気量の理論値として理論吸入空気量を算出する理論吸入空気量算出手段と、
前記吸入空気量および前記理論吸入空気量を用いて、前記内燃機関の体積効率を前記所定周期で算出する体積効率算出手段と、
を備え、
前記補正値算出手段は、当該体積効率算出手段による前記体積効率の算出結果のうちの、今回の演算タイミングでの算出結果である今回値と、今回よりも1回前の演算タイミングでの算出結果である前回値とをさらに用いて、前記補正値を算出することを特徴とする内燃機関の吸入空気量算出装置。
【請求項2】
前記補正値算出手段は、前記実効容積の前記今回値と前記体積効率の前記今回値との積、及び前記実効容積の前記前回値と前記体積効率の前記前回値との積を用いて、前記補正値を算出することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の吸入空気量算出装置。
【請求項3】
前記内燃機関は、複数の前記吸気弁を前記気筒ごとに備え、
前記可変バルブタイミング機構は、当該複数の吸気弁の閉弁タイミングである複数の前記吸気閉弁タイミングを互いに異なるように変更可能に構成されており、
前記実効容積算出手段は、前記複数の吸気閉弁タイミングのうちの最も遅い値に応じて、前記実効容積を算出することを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の吸入空気量算出装置。」

第3 原査定の理由について
1.原査定の理由の概要

「この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。



刊行物.特開2010-37989号公報

備 考

請求項1に係る発明に対して

刊行物の特に【請求項1】、【0019】、【0021】、【0024】ないし【0034】には、吸気弁のバルブ特性を変更可能な可変動弁機構を有するエンジンにおいて、エンジンの吸気通路を流れる流入空気量を検出する空気量検出手段(エアフローセンサ20)とを備えた内燃機関の吸入空気量算出装置であって、エアフローセンサ20によって検出され、本願でいうところの「基本吸入空気量」である流入空気量Qinを、【0032】の数式により補正することで吸入空気量Qcを演算することが開示されている。
そして、【0032】の数式において、有効行程容積Vcは、本願でいうところの実行容積算出手段に対応する手段で求められると考えられるし、同様に補正値についても、今回値Vc(n)と前回値Vc(n-1)とを用いて設定されるものと考えられる。さらに、上述のように求まった補正値により、吸入空気量Qc(n)を演算することが開示されている。
なお、エアフローセンサ20による吸入空気量や、有効行程容積の算出を、所定周期で行うことは設計的事項にすぎない。」

2.原査定の理由についての判断
(1)刊行物の記載事項
刊行物には、以下の記載がある。
ア 「【請求項1】
吸気弁のバルブ特性を変更可能な可変動弁機構を有するエンジンの燃料室内の吸入空気量を推定する、燃焼室の吸入空気量の推定装置であって、
該エンジンの吸気通路を流れる流入空気量を検出する空気量検出手段と、
該吸気弁のバルブ特性の変化に応じた該燃焼室の基本有効行程容積を演算する基本有効行程容積演算手段と、
該エンジンの吸気行程の開始前後で該燃焼室内に残留する残留ガスの体積変化に応じて、該基本有効行程容積演算手段で演算された該基本有効行程容積を補正して該燃焼室の有効行程容積を演算する有効行程容積演算手段と、
該空気量検出手段で検出された該流入空気量を、該有効行程容積演算手段で演算された該有効行程容積を用いてなまし処理することにより、該吸入空気量を演算する吸入空気量演算手段とを備える
ことを特徴とする、燃焼室の吸入空気量の推定装置。」(【特許請求の範囲】の【請求項1】)

イ 「【0016】
図1に示すように、車両50に搭載された4気筒エンジン1のシリンダヘッド2には、各シリンダ3毎に点火プラグ11が設けられている。
この点火プラグ11には高電圧の電力を供給する点火コイル(図示略)が接続されている。
また、シリンダヘッド2には、シリンダ3毎に吸気ポート5が形成されている。また、これらの吸気ポート5には、吸気弁14がそれぞれ設けられている。
【0017】
吸気弁14は、クランク軸7の回転に応じて回転する吸気カムシャフト(図示略)の吸気カム(図示略)の動作に応じて開閉し、燃焼室4に対して吸気ポート5を開閉するようになっている。
クランク軸7の回転数、即ち、エンジン回転数Neは、エンジン回転数センサ43によって検出され、検出結果は後述するECU40に随時出力されるようになっている。
【0018】
吸気ポート5には、吸気マニホールド15の下流端が接続されている。
吸気マニホールド15には、スロットルバルブ16が設けられるとともに、このスロットルバルブ16の開度(スロットル開度)θthを検出するスロットルポジションセンサ17が設けられている。
吸気マニホールド15には、吸気マニホールド圧センサ18が設けられている。この吸気マニホールド圧センサ18は、スロットルバルブ16よりも下流側における吸気マニホールド15内の気圧Pinを検出するものであって、検出結果はECU40に出力されるようになっている。
【0019】
さらに、吸気マニホールド15よりも上流側における吸気管(吸気通路)19には、エアフローセンサ(空気量計測手段)20が設けられている。このエアフローセンサ20は、吸気管19を通過して吸気マニホールド15に流れ込む流入空気量Qinを検出するものであって、検出結果は後述するECU40に出力されるようになっている。
吸気マニホールド15には、電磁式の燃料噴射弁21が取り付けられている。この燃料噴射弁21には、燃料パイプ22を介し、図示しない燃料タンクから燃料が供給されるようになっている。
【0020】
また、シリンダヘッド2には、シリンダ3毎に排気ポート6が形成されている。また、これらの排気ポート6には、排気弁24がそれぞれ設けられている。
排気弁24は、クランク軸7の回転に応じて回転する排気カムシャフト(図示略)の排気カム(図示略)の動作に応じて開閉し、燃焼室4に対して排気ポート6を開閉するようになっている。
【0021】
排気ポート6には、排気マニホールド25の上流端が接続されている。
排気マニホールド25の下流端には、排気管26が接続されている。また、この排気管26には、排気浄化触媒装置として三元触媒27が介装されている。
そして、シリンダヘッド2には、吸気弁14および排気弁24の開弁期間,開閉タイミングおよびリフト量を連続的に変更可能な可変動弁機構(バルブ動作状態検出手段)30が設けられている。また、この可変動弁機構30は、図示しないバルブリフト量センサ(バルブ動作量検出手段)が設けられ、吸気弁14のバルブリフト量VLaをECU40に随時出力するようになっている。なお、この可変動弁機構30としては、種々のタイプのものが適用可能であり、また、その構造についても公知であるので、ここではその構造に関する詳細な説明を省略する。」(段落【0016】ないし【0021】)

ウ 「【0022】
また、車両50には、ECU(Electric Control Unit)40が設けられている。
このECU40は、いずれも図示しないメモリやCPU(Central Processing Unit)を有する電子制御ユニットであり、いずれもソフトウェアとして、基本有効行程容積演算部(基本有効行程容積演算手段)46,有効行程容積演算部(有効行程容積演算手段)47および吸入空気量演算部(吸入空気量演算手段)48を有している。また、このECU40のメモリには、基本有効行程容積Vcb(後述する)を規定するVcbマップ51が記録されている。
【0023】
基本有効行程容積演算部46は、エンジン回転数センサ43から得たエンジン回転数Neと、可変動弁機構30から得た吸気弁14のバルブリフト量VLaとを、Vcbマップ51に適用することで、吸気弁14の動的特性の変化に応じて基本有効行程容積Vcbを得る、換言すれば、以下の式(1)により基本有効行程容積Vcbを得るものである。
Vcb=Vcbマップ(エンジン回転数Ne,バルブリフト量VLa) ・・・(1)
なお、この基本有効行程容積Vcbは、吸気マニホールド圧Pinおよび大気圧Patが標準大気圧である場合(即ち、Pin=Pat≒101.3kPa)における、シリンダ3の有効行程容積である。
【0024】
また、この有効行程容積Vcとは、吸気行程、即ち、シリンダ3内への吸入空気の取り込み可能な状態において、シリンダ3内の実質的な有効容積の最大値である。また、この有効行程容積Vcは、基本的には、吸気弁14が閉じる時のシリンダ3内の容積となるが、エンジン回転数Neやバルブ特性によっても影響を受ける。
このため、Vcbマップ51の縦軸には吸気弁14のリフト量VLaが規定され、その横軸にはエンジン回転数Neが規定されている。
【0025】
また、図2に示すように、このVcbマップ51には、バルブリフト量VLaが増大、エンジン回転数Neが減少するに連れて大きくなる特性線(マップ値)として基本有効行程容積Vcbが規定されている。
有効行程容積演算部47は、吸気行程の開始前後で、燃焼室4内に残留する残留ガスGexの体積変化に応じ、基本有効行程容積演算部46により演算された基本有効行程容積Vcbを補正することで、有効行程容積Vcを演算するものである。
【0026】
より具体的に、有効行程容積演算部47は、以下の式(2)により、補正量ΔVc1を演算するようになっている。
ΔVc1={(Pat/Pin)-1}Vtdc ・・・(2)
その後、有効行程容積演算部47は、以下の式(3)により、有効行程容積Vcを演算するようになっている。
【0027】
Vc=Vcb-ΔVc1
=Vcb-{(Pat/Pin)-1}×Vtdc ・・・(3)
ΔVc1: 基本有効行程容積Vcbの補正量(残留ガスGexの体積Vc1の体積増加量)
Pat: 大気圧
Pin: 吸気マニホールド圧Pin
Vtdc: 燃焼室4の容積
ここで、排気マニホールド25の内圧Pexは大気圧Patであるとみなすことが出来るものであって、大気圧Patは図示しない大気圧センサにより検出されるようになっている。
【0028】
吸気マニホールド圧Pinは、吸気マニホールド圧センサ18により検出されるようになっている。
燃焼室容積Vtdcは、ECU40の図示しないメモリ内に記録されている。
そして、補正量ΔVc1は、吸気行程開始の時点において、燃焼室4から排出されなかった排ガス(即ち、残留ガスGex)が、燃焼室4内で占める体積を示すものである。この補正量ΔVc1について、図3および図4を用いて詳述する。
【0029】
図3に示すように、吸気マニホールド圧Pinが大気圧Patと実質的に同じである場合において(Pin≒Pat)、ピストン13が、吸気TDC(Top Dead Center/ 図3(A)参照)から、吸気BDC(Bottom Dead Center)に近づき(図3(B)参照)、その後、吸気閉弁時期に至ったとしても(図3(C)参照)、残留ガスGexの体積Vc1は不変である。
【0030】
これは、吸気マニホールド圧Pinが大気圧Patと実質的に同じであるので、吸気弁14が開いたとしても、残留ガス体積Vc1は膨張も収縮もしないためである。
一方、図4に示すように、吸気マニホールド圧Pinが大気圧Patよりも小さい場合は(Pin<Pat)、残留ガス体積Vc1は膨張する。
つまり、この場合、ピストン13が、吸気TDC(図4(A)参照)から、吸気BDC(図4(B)参照)に近づき、その後、吸気閉弁時期に至った場合(図4(C)参照)、残留ガスGexの体積Vc1は、大きくなる。
【0031】
これは、吸気マニホールド圧Pinが大気圧Patよりも小さいので、吸気弁14が開いたことによって(図4(B)参照)、燃焼室4内が減圧され、残留ガス体積Vc1が膨張するためである。
吸入空気量演算部48は、エアフローセンサ20によって検出された流入空気量Qinを、有効行程容積演算部47によって演算された有効行程容積Vcを用いた以下の式(4)によってなまし処理することにより、燃焼室4の吸入空気量Qcを演算するものである。
【0032】
【数1】
・・・(略)・・・ (4)
【0033】
Qc(n): n回目(今回)の吸気行程における吸入空気量
Vc(n): n回目(今回)の吸気行程における有効行程容積
Vc(n-1): n-1回目(前回)の吸気行程における有効行程容積
Vs: スロットル下流容積
Qc(n-1): n-1回目(前回)の吸気行程における吸入空気量
Qin: 吸気行程中にスロットルバルブ16を通過した空気量(流入空気量)
この式(4)は、フィルタ定数が可変の1次フィルタ演算式である。
【0034】
なお、このなまし処理とは、流入空気量Qinの変化量を鈍化させることであり、換言すれば、流入空気量Qinの変化特性をスムージング処理することをいう。
また、スロットルバルブ16からエアフローセンサ20までの距離は比較的短く、また、空気流路は比較的大きな断面積であるので、スロットルバルブ16の上流における圧力と、エアフローセンサ20における圧力とは実質的に等しくなっている。」(段落【0022】ないし【0034】)

(2)刊行物記載の発明
そうすると、刊行物には、
「吸気弁14のバルブ特性が可変動弁機構30によって変更されるとともに、吸気通路19を流れる空気量がスロットルバルブ16によって変更されるエンジン1において、当該エンジン1の吸気通路19を介して燃焼室4内に吸入される空気量として吸入空気量を所定周期で算出するエンジン1の吸入空気量の推定装置であって、
吸気弁14のバルブリフト量を検出するバルブ動作量検出手段と、
エンジン回転数Ne及び吸気弁14のバルブリフト量に基づいて、前記燃焼室4の有効行程容積Vcを所定周期で算出する基本有効行程容積Vcbを設定するVcbマップ51と、
吸気通路19を通過して吸気マニホールド15に流れ込む流入空気量Qinを検出するエアフローセンサ20と、を備える、エンジン1の吸入空気量の推定装置。」という発明(以下、「刊行物記載の発明」という。)が記載されている。

(2)対比
本願発明1と刊行物記載の発明とを対比すると、
刊行物記載の発明における「吸気弁14のバルブ特性」は、その技術的意義からみて、本願発明1における「吸気弁の閉弁タイミングである吸気閉弁タイミング」に相当し、以下同様に、「可変動弁機構30」は「可変バルブタイミング機構」に、「吸気通路19」は「吸気通路」に、「スロットルバルブ16」は「スロットル弁」に、「エンジン1」は「内燃機関」に、「燃焼室4」は「気筒」に、「推定装置」は「算出装置」に、それぞれ、相当する。
したがって、両者は、
「吸気弁の閉弁タイミングである吸気閉弁タイミングが可変バルブタイミング機構によって変更されるとともに、吸気通路を流れる空気量がスロットル弁によって変更される内燃機関において、当該内燃機関の吸気通路を介して気筒内に吸入される空気量として吸入空気量を所定周期で算出する内燃機関の吸入空気量の算出装置。」
で一致し、以下の点で相違する。

<相違点>
ア 本願発明1においては、「吸気閉弁タイミングを検出する吸気閉弁タイミング検出手段」を備えるのに対し、刊行物記載の発明においては、「吸気弁14のバルブリフト量を検出するバルブ動作量検出手段」を有する点(以下、「相違点ア」という。)。

イ 本願発明1においては、「当該検出された吸気閉弁タイミングに基づいて、気筒の実効容積を所定周期で算出する実効容積算出手段」を有するのに対し、刊行物記載の発明においては、そのような実効容積算出手段を有しない点(以下、「相違点イ」という。)。

ウ 本願発明1においては、「内燃機関の前記吸気通路における空気の状態を表す物理的パラメータを用いて、スロットル弁を通過する空気量である通過空気量を算出する通過空気量算出手段」及び「当該算出された通過空気量及び前記算出された実効容積を用いて、前記吸入空気量の基本値である基本吸入空気量を算出する基本吸入空気量算出手段」を備えるのに対し、刊行物記載の発明においては、「吸気通路19を通過して吸気マニホールド15に流れ込む流入空気量Qinを検出するエアフローセンサ20」を有する点(以下、「相違点ウ」という。)。

エ 本願発明1においては、「実効容積算出手段による実効容積の算出結果のうちの、今回の演算タイミングでの算出結果である今回値と、今回よりも1回前の演算タイミングでの算出結果である前回値とを用いて、補正値を算出する補正値算出手段と、算出された補正値で算出された基本吸入空気量を補正することにより、吸入空気量を算出する吸入空気量算出手段と、吸入空気量の理論値として理論吸入空気量を算出する理論吸入空気量算出手段と、吸入空気量および理論吸入空気量を用いて、内燃機関の体積効率を所定周期で算出する体積効率算出手段と、を備え、補正値算出手段は、体積効率算出手段による前記体積効率の算出結果のうちの、今回の演算タイミングでの算出結果である今回値と、今回よりも1回前の演算タイミングでの算出結果である前回値とをさらに用いて、補正値を算出する」のに対し、刊行物記載の発明においては、そのような手段を備え、そのように算出するかどうか明らかでない点(以下、「相違点エ」という。)。

(3)判断
上記相違点について検討する。
上記相違点アないしエに係る本願発明1の発明特定事項について、刊行物には記載も示唆もない。
また、上記相違点アないしエに係る本願発明の発明特定事項は、当業者が適宜なし得る設計的事項とすることもできない。
したがって、刊行物記載の発明に基づいて当業者が容易に想到することができたとはいえない。

(4)小括
したがって、本願発明1は、当業者が刊行物記載の発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。

よって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することができない。


第4 当審拒絶理由について
1.当審拒絶理由の概要

「<理由1>
この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


〔刊行物〕
1.国際公開第2010/095477号(以下、「引用文献1」という。)
2.特開2010-249059号公報(以下、「引用文献2」という。)

(1)請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)に対して、
引用文献1及び2
〔備考〕
引用文献1(全文、全図を参照。)には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
(なお、[ ]内には、対応する本願発明の発明特定事項を記載する。)
「吸気弁の閉弁タイミングである吸気閉弁タイミングが可変バルブタイミング機構によって変更されるとともに、吸気通路を流れる空気量がスロットル弁によって変更される内燃機関において、当該内燃機関の吸気通路を介して気筒内に吸入される空気量として気筒吸入空気量GAIRCYLN[吸入空気量]を所定周期で算出する内燃機関の気筒吸入空気量算出装置[吸入空気量算出装置]であって、
前記吸気閉弁タイミングを検出するクランク角度位置センサ11[吸気閉弁タイミング検出手段]と、
当該検出された吸気閉弁タイミングに応じて、前記気筒の気筒容積Vcyl[実効容積]を前記所定周期で算出する気筒容積算出手段[実効容積算出手段]と、
前記内燃機関の前記吸気通路における空気の状態を表す物理的パラメータを用いて、前記スロットル弁を通過する空気量であるスロットル弁通過空気流量GAIRTH[通過空気量]を算出するスロットル弁通過空気流量算出手段[通過空気量算出手段]と、
当該算出されたスロットル弁通過空気流量GAIRTH[通過空気量]及び前記算出された気筒容積Vcyl[実行容積]を用いて、前記気筒吸入空気量GAIRCYLN[吸入空気量]の基本値である気筒吸入空気量GAIRCYLN(k)[基本吸入空気量]を算出する気筒吸入空気量算出手段[基本吸入空気量算出手段]と、
を備える内燃機関の気筒吸入空気量算出装置[吸入空気量算出装置]。」

ここで、引用発明における「気筒吸入空気量GAIRCYLN」は、その技術的意義からみて、本願発明における「吸入空気量」に相当し、以下同様に、「気筒吸入空気量算出装置」は「吸入空気量算出装置」に、「クランク角度位置センサ11」は「吸気閉弁タイミング検出手段」に、「気筒容積Vcyl」は「実効容積」に、「気筒容積算出手段」は「実効容積算出手段」に、「スロットル弁通過空気流量GAIRTH」は「通過空気量」に、「スロットル弁通過空気流量算出手段」は「通過空気量算出手段」に、「気筒吸入空気量GAIRCYLN(k)」は「基本吸入空気量」に、「気筒吸入空気量算出手段」は「基本吸入空気量算出手段」に、それぞれ相当する。

したがって、本願発明と引用発明とを対比すると、両者は
「吸気弁の閉弁タイミングである吸気閉弁タイミングが可変バルブタイミング機構によって変更されるとともに、吸気通路を流れる空気量がスロットル弁によって変更される内燃機関において、当該内燃機関の吸気通路を介して気筒内に吸入される空気量として吸入空気量を所定周期で算出する内燃機関の吸入空気量算出装置であって、
前記吸気閉弁タイミングを検出する吸気閉弁タイミング検出手段と、
実効容積を算出する実効容積算出手段と、
前記内燃機関の前記吸気通路における空気の状態を表す物理的パラメータを用いて、前記スロットル弁を通過する空気量である通過空気量を算出する通過空気量算出手段と、
当該算出された通過空気量及び前記算出された実行容積を用いて、前記吸入空気量の基本値である基本吸入空気量を算出する基本吸入空気量算出手段と、
を備える内燃機関の吸入空気量算出装置。」
で一致し、以下の点で相違する。

<相違点>
本願発明においては、
「検出された吸気閉弁タイミングに応じて、気筒の実効容積を所定周期で算出する実効容積算出手段」と、「実効容積算出手段による実効容積の算出結果のうちの、今回の演算タイミングでの算出結果である今回値と、今回よりも1回前の演算タイミングでの算出結果である前回値とを用いて、補正値を算出する補正値算出手段と、算出された補正値で算出された基本吸入空気量を補正することにより、吸入空気量を算出する吸入空気量算出手段」とを備えているのに対し、引用発明においては、そのような手段を備えているか否か明らかでない点(以下、「相違点」という。)。

相違点について検討する。
引用文献2(例えば、段落【0034】及び【0056】ないし【0062】を参照。)には、次の技術(以下、「引用文献2記載の技術」という。)が記載されている。
(なお、[ ]内には、対応する本願発明の発明特定事項を記載する。)
「吸気閉弁タイミングに応じて、実質シリンダ容量Vcyl[実効容積]を所定周期で算出する実質シリンダ容量Vcyl算出手段[実効容積算出手段]と、
実質シリンダ容量Vcyl[実効容積]の算出結果のうちの、今回の演算タイミングでの算出結果である今回値と、今回よりも1回前の演算タイミングでの算出結果である前回値とを用いて、補正値GairVT[補正値]を算出する補正値算出手段と、
当該算出された補正値GairVT[補正値]を用いて、算出された吸入空気量(GairTH-GairINVO)[基本吸入空気量]を補正することにより、吸入空気量推定値GairCYL[吸入空気量]を算出する吸入空気量算出手段[吸入空気量算出手段]を備える技術。」
そして、引用発明及び引用文献2記載の技術は、ともに、内燃機関の技術分野において、吸入空気量を算出する装置に係るものである。
よって、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項は、引用発明に、引用文献2記載の技術を適用することにより、当業者が容易に想到できたものである。

(2)請求項2に係る発明に対して
引用文献1及び2
〔備考〕
引用文献1(例えば、請求項4及び5を参照。)には、
「吸入空気量の理論値として理論吸入空気量を算出する理論吸入空気量算出手段と、
吸入空気量および前記理論吸入空気量を用いて、内燃機関の体積効率を所定周期で算出する体積効率算出手段と、
をさらに備え、
補正値手段は、体積効率算出手段による体積効率の算出結果のうちの、今回の演算タイミングでの算出結果である今回値と、今回よりも1回前の演算タイミングでの算出結果である前回値とをさらに用いて、補正値を算出すること」
も記載されている。
したがって、請求項2に係る発明は、上記事項を含む引用文献1に記載された発明に、引用文献2記載の技術を適用することにより、当業者が容易に想到できたものである。

(3)請求項3に係る発明に対して、
引用文献1及び2
〔備考〕
「内燃機関は、複数の前記吸気弁を気筒ごとに備え、
可変バルブタイミング機構は、複数の吸気弁の閉弁タイミングである複数の吸気閉弁タイミングを互いに異なるように変更可能に構成されて」いる点は周知技術であり、
「実効容積算出手段は、複数の吸気閉弁タイミングのうちの最も遅い値に応じて、実効容積を算出すること」は、当業者であれば当然考慮する事項である。
したがって、請求項3に係る発明は、引用文献1に記載された発明に、引用文献2記載の技術を適用することにより、当業者が容易に想到できたものである。

<理由2>
この出願は、特許請求の範囲の記載が下記の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。



(1)請求項1において、「前記算出された実行容積を用いて」と記載されているが、前記されているのは、「実効容積」であって、「実行容積」ではないから、記載が明確でない。

(2)請求項1において、「当該検出された吸気閉弁タイミングに応じて、・・・算出する」と記載されているが、この記載では、吸気閉弁タイミングから(図7に示すマップを検索することにより)算出する(本願明細書の段落【0046】を参照。)という意味ばかりでなく、吸気弁が閉弁するタイミングで算出するという意味にも解されるから、記載が明確でない。
(例えば、「当該検出された吸気閉弁タイミングに基づいて・・・算出する」としてはどうか。)

(3)請求項2において、「前記補正値手段は、・・・」と記載されているが、「補正値手段」は前記されておらず、明確でない。
請求項1には、「補正値算出手段」は記載されているが、「補正値手段」は記載されていない。」
(以下、省略)

2.当審拒絶理由についての判断
2.-1 特許法第29条第2項の拒絶理由に関して
(1)引用文献1の記載事項
引用文献1(国際公開第2010/095477号)には、例えば、以下の記載がある。なお、下線は理解の一助のため付加したものである。

ア 「[請求項1]
内燃機関の気筒に吸入される新気量である気筒吸入空気量を算出する、内燃機関の気筒吸入空気量算出装置において、
前記機関の吸気通路を通過する新気の流量である吸入空気流量を取得する吸入空気流量取得手段と、
前記機関の吸気圧を検出する吸気圧検出手段と、
前記機関に吸入される空気の温度である吸気温を検出する吸気温検出手段と、
前記吸気圧及び吸気温に基づいて理論気筒吸入空気量を算出する理論気筒吸入空気量算出手段と、
前記気筒吸入空気量の前回算出値を前記理論気筒吸入空気量で除算することにより前記機関の体積効率を算出する体積効率算出手段と、
前記体積効率、前記吸入空気流量、及び前記気筒吸入空気量の前回算出値を用いて、前記気筒吸入空気量を算出する気筒吸入空気量算出手段とを備えることを特徴とする内燃機関の気筒吸入空気量算出装置。
[請求項2]
前記吸入空気流量取得手段は、吸入空気流量センサを用いて前記吸入空気流量を検出する請求項1の気筒吸入空気量算出装置。
[請求項3]
前記吸入空気流量取得手段は、前記機関のスロットル弁の開度及び前記吸気圧に基づいて前記吸入空気流量を推定する請求項1の気筒吸入空気量算出装置。
[請求項4]
前記体積効率算出手段は、前記気筒吸入空気量算出手段により算出された気筒吸入空気量を前記前回算出値として用いて、前記体積効率を少なくとも1回更新し、
前記気筒吸入空気量算出手段は、更新された体積効率を用いて前記気筒吸入空気量を少なくとも1回更新する請求項1から3の何れか1項の気筒吸入空気量算出装置。
[請求項5]
前記体積効率算出手段及び気筒吸入空気量算出手段は、それぞれ前記体積効率の更新及び前記気筒吸入空気量の更新を所定回数実行する請求項4の気筒吸入空気量算出装置。
[請求項6]
前記体積効率算出手段及び気筒吸入空気量算出手段は、それぞれ前記体積効率の更新及び前記気筒吸入空気量の更新を、前記体積効率の前回値と更新された値との差が第1所定量より小さくなるまで、または前記気筒吸入空気量の前回値と更新された値との差が第2所定量より小さくなるまで実行する請求項4の気筒吸入空気量算出装置。
[請求項7]
前記体積効率算出手段及び気筒吸入空気量算出手段は、前記機関の始動直後においては、前記気筒吸入空気量の前回算出値として、前記理論気筒吸入空気量を用いる請求項1から6の何れか1項の気筒吸入空気量算出装置。
[請求項8]
内燃機関の気筒に吸入される新気量である気筒吸入空気量を算出する、内燃機関の気筒吸入空気量算出方法において、
a)前記機関の吸気通路を通過する新気の流量である吸入空気流量を取得し、
b)前記機関の吸気圧を検出し、
c)前記機関に吸入される空気の温度である吸気温を検出し、
d)前記吸気圧及び吸気温に基づいて理論気筒吸入空気量を算出し、
e)前記気筒吸入空気量の前回算出値を前記理論気筒吸入空気量で除算することにより前記機関の体積効率を算出し、
f)前記体積効率、前記吸入空気流量、及び前記気筒吸入空気量の前回算出値を用いて、前記気筒吸入空気量を算出することを特徴とする内燃機関の気筒吸入空気量算出方法。
[請求項9]
前記ステップa)では、吸入空気流量センサを用いて前記吸入空気流量が検出される請求項8の気筒吸入空気量算出方法。
[請求項10]
前記ステップa)では、前記機関のスロットル弁の開度及び前記吸気圧に基づいて前記吸入空気流量が推定される請求項8の気筒吸入空気量算出方法。
[請求項11]
前記ステップe)は、前記ステップf)で算出された気筒吸入空気量を前記前回算出値として用いて、前記体積効率を少なくとも1回更新するステップを含み、
前記ステップf)は、更新された体積効率を用いて前記気筒吸入空気量を少なくとも1回更新するステップを含む請求項8から10の何れか1項の気筒吸入空気量算出方法。
[請求項12]
前記体積効率及び前記気筒吸入空気量はそれぞれ所定回数更新される請求項11の気筒吸入空気量算出方法。
[請求項13]
前記体積効率及び前記気筒吸入空気量は、それぞれ前記体積効率の前回値と更新された値との差が第1所定量より小さくなるまで、または前記気筒吸入空気量の前回値と更新された値との差が第2所定量より小さくなるまで更新される請求項11の気筒吸入空気量算出方法。
[請求項14]
前記機関の始動直後においては、前記気筒吸入空気量の前回算出値として、前記理論気筒吸入空気量が用いられる請求項8から13の何れか1項の気筒吸入空気量算出方法。」([請求の範囲]の[請求項1]ないし[請求項14])

イ 「[0025] 吸気管2には、スロットル弁3を介してエンジン1に吸入される空気(新気)の流量である吸入空気流量GAIRを検出する吸入空気流量センサ13が設けられ、さらにスロットル弁3の上流側に吸気温TAを検出する吸気温センサ9が設けられている。これらのセンサ13及び9の検出信号は、ECU5に供給される。」(段落[0025])

ウ 「[0028] ECU5には、エンジン1のクランク軸(図示せず)の回転角度を検出するクランク角度位置センサ11が接続されており、クランク軸の回転角度に応じた信号がECU5に供給される。クランク角度位置センサ11は、エンジン1の特定の気筒の所定クランク角度位置でパルス(以下「CYLパルス」という)を出力する気筒判別センサ、各気筒の吸入行程開始時の上死点(TDC)に関し所定クランク角度前のクランク角度位置で(4気筒エンジンではクランク角180度毎に)TDCパルスを出力するTDCセンサ及びTDCパルスより短い一定クランク角周期(例えば6度周期)で1パルス(以下「CRKパルス」という)を発生するCRKセンサから成り、CYLパルス、TDCパルス及びCRKパルスがECU5に供給される。これらのパルスは、燃料噴射時期、点火時期等の各種タイミング制御、エンジン回転数(エンジン回転速度)NEの検出に使用される。」(段落[0028])

エ 「[0034] 図2はエンジン1を模式的に示す図であり、吸気弁21、排気弁22、気筒1aが示されている。吸気管2のスロットル弁下流側部分2a内の空気量の変化量DGAIRINは、下記式(1)で与えられる。式(1)のVinはスロットル弁下流側部分2aの容積、TAKは絶対温度に変換した吸気温TA、Rは気体定数、DPBAは吸気圧PBAの変化量(PBA(k)-PBA(k-1))である。また「k」はTDC期間で離散化した離散化時刻である。
DGAIRIN=Vin×DPBA/(R×TAK) (1)
[0035] したがって、スロットル弁3を通過する新気の流量(吸入空気流量)であるスロットル弁通過空気流量GAIRTH[g/TDC]と、気筒吸入空気量GAIRCYLN[g/TDC]の差は、下記式(2)で示されるように上記変化量DGAIRINと等しくなる。
DGAIRIN=GAIRTH(k)-GAIRCYLN(k-1) (2)
[0036] 一方、気筒吸入空気量GAIRCYLNは、下記式(3)で与えられる。式(3)のVcylは気筒容積であり、ηvは体積効率である。
GAIRCYLN=Vcyl×ηv×PBA/(R×TAK) (3)
[0037] 式(3)を用いると、吸気圧変化量DPBAは、下記式(4)で与えられる。式(4)で与えられるDPBA及び式(2)の関係を式(1)に適用することにより、下記式(5)が得られる。
[数1]
・・・(略)・・・ (4)
・・・(略)・・・ (5)
[0038] したがって、遅れ係数CGAIRCYLNを下記式(6)で定義すると、式(5)は下記式(5a)で示され、気筒吸入空気量GAIRCYLNは、スロットル弁通過空気流量GARITHを入力とする一次遅れモデルの式を用いて算出することができる。
CGAIRCYLN=Vcyl×ηv/Vin (6)
GAIRCYLN(k)=
(1-CGAIRCYLN)×GAIRCYLN(k-1)
+CGAIRCYLN×GAIRTH(k) (5a)」(段落[0034]ないし[0038])

オ 「[0041] そこで本実施形態では、下記式(7)により、気筒吸入空気量GAIRCYLN(k)の算出に用いる体積効率ηvを算出するようにしている。
ηv=GAIRCYLN(k-1)/GAIRSTD(k) (7)
式(7)のGAIRSTD(k)は下記式(8)により算出される理論気筒吸入空気量である。
GAIRSTD(k)=PBA(k)×Vcyl/(R×TAK) (8)」(段落[0041])

カ 「[0046] 式(5a)は漸化式であり、また体積効率ηvを算出する式(7)も、気筒吸入空気量GAIRCYLNの前回値を用いるため、気筒吸入空気量GAIRCYLNの初期値GAIRCYLNINIの設定が必要である。本実施形態では、初期値GAIRCYLNINIは、下記式(10)により、理論気筒吸入空気量GAIRSTDに設定される。よって体積効率ηvの初期値は「1」となる(式(7))。
GAIRCYLNINI=GAIRSTD
=PBA×Vcyl/(R×TAK) (10)
[0047] 以上のように本実施形態では、吸気圧PBA、吸気温TA、及び気筒容積Vcylに基づいて理論気筒吸入空気量GAIRSTDが算出され、気筒吸入空気量の前回算出値GAIRCYLN(k-1)を理論気筒吸入空気量GAIRSTDで除算することにより体積効率ηvが算出され、体積効率ηv、スロットル弁通過空気流量GAIRTH、及び気筒吸入空気量の前回算出値GAIRCYLN(k-1)を用いて、気筒吸入空気量GAIRCYLN(k)が算出される。したがって、マップやテーブルを用いることなく気筒吸入空気量GAIRCYLNを算出することができ、また体積効率ηvが式(7)を用いて更新されるので、エンジン特性の経時変化の影響を受けることなく常に正確な気筒吸入空気量GAIRCYLNを得ることできる。
[0048] 本実施形態では、吸入空気流量センサ13が吸入空気流量取得手段に相当し、吸気圧センサ8及び吸気温センサ9が、それぞれ吸気圧検出手段及び吸気温検出手段に相当する。またECU5が、理論気筒吸入空気量算出手段、体積効率算出手段、及び気筒吸入空気量算出手段を構成する。
[0049] [第2の実施形態]
本実施形態は、図3に示す気筒吸入空気量算出モジュールに代えて、図5に示す気筒吸入空気量算出モジュールを用いるようにしたものである。以下に説明する点以外は、第1の実施形態と同一である。
[0050] 図5の気筒吸入空気量算出モジュールは、図3のモジュールに吸入空気流量推定部54を追加し、変換部52及び気筒吸入空気量算出部53をそれぞれ変換部52a及び気筒吸入空気量算出部53aに変更したものである。
[0051] 吸入空気流量推定部54は、吸気温TA,吸気圧PBA,スロットル弁開度TH,及び大気圧PAに応じて、吸入空気流量GAIRの推定値である推定吸入空気流量HGAIRを、下記式(11)により算出する。式(11)のKCは流量の単位を[g/sec]とするための変換定数であり、KTH(TH)はスロットル弁開度THに応じて算出される開口面積流量関数であり、Ψ(RP)は、スロットル弁3の上流側圧力である大気圧PAと、下流側圧力である吸気圧PBAとの比率RP(=PBA/PA)に応じて算出される圧力比流量関数であり、Rは気体定数である。開口面積流量関数KTH(TH)の値は、予め実験的に求められた図6(a)に示すKTHテーブルを用いて算出される。また圧力比流量関数Ψは、下記式(12)で与えられる。式(12)の「κ」は空気の比熱比である。ただし、空気流速が音速を超えると、圧力比流量関数Ψは圧力比に拘わらず極大値をとるので、実際の演算処理では、圧力比流量関数Ψ(RP)の値も予め設定されたΨ(RP)テーブル(図6(b))を用いて算出される。
[0052] [数2]
・・・(略)・・・ (11)
・・・(略)・・・ (12)
[0053] 変換部52aは、推定吸入空気流量HGAIR[g/sec]及びエンジン回転数NEを下記式(9a)に適用し、推定スロットル弁通過空気流量HGAIRTH[g/TDC]を算出する。
HGAIRTH=HGAIR×KCV/NE (9a)
[0054] 気筒吸入空気量算出部53aは、下記式(5b)を用いて気筒吸入空気量GAIRCYLNを算出する。
GAIRCYLN(k)=
(1-CGAIRCYLN)×GAIRCYLN(k-1)
+CGAIRCYLN×HGAIRTH(k) (5b)
[0055] 本実施形態では、スロットル弁開度TH及び吸気圧PBAに基づいて推定吸入空気流量HGAIRが算出され、推定吸入空気流量HGAIRを用いて気筒吸入空気量GAIRCYLNが算出されるので、吸入空気流量センサ13を設ける必要がなくなり、コストを低減できる。また過渡的な運転状態では、吸入空気量センサ13を用いる場合に比べて検出の遅れの影響が小さく、正確な気筒吸入空気量GAIRCYLNが得られる。また吸入空気流量センサ13を併用することにより、過渡的な運転状態での吸入空気流量センサ13の検出遅れを補償することができる。その場合にはさらに、吸入空気流量センサ13の故障検出を行うことができ、気筒吸入空気量GAIRCYLNに適用する吸入空気流量GAIRの信頼性を高めることができる。
[0056] さらにエンジンの定常的な運転状態において、吸入空気流量センサ13により検出される吸入空気流量GAIRTHと、推定吸入空気流量HGAIRとの差を推定誤差DGAIREとして算出し、推定吸入空気流量算出部54における演算に適用される開口面積流量関数KTHを、推定誤差DGARIEが「0」となるように修正するようにしてもよい。これにより、より正確な推定吸入空気流量HGAIRが得られる。
[0057] 本実施形態では、図5の吸入空気流量推定部54が吸入空気流量取得手段に相当する。
[0058] [第3の実施形態]
本実施形態は、第1の実施形態において離散化時刻kにおける体積効率ηv、遅れ係数CGAIRCYLN、及び気筒吸入空気量GAIRCYLNの演算を複数回実行することにより、エンジンの過渡運転状態においてより正確な気筒吸入空気量GAIRCYLNを得られるようにしたものである。以下に説明する点以外は第1の実施形態と同一である。
[0059] 図7は、本実施形態における気筒吸入空気量算出処理のフローチャートである。この処理は、TDCパルスの発生に同期して1行程毎に(4気筒エンジンであればクランク軸が180度回転する毎に)ECU5のCPUで実行される。
ステップS11では、前記式(8)により理論気筒吸入空気量GAIRSTD(k)を算出する。ステップS12では、初期化フラグFINIが「1」であるか否かを判別する。エンジンの始動直後は、初期化フラグFINIは「0」であるので、ステップS13に進み、気筒吸入空気量GAIRCYLN(k)を理論気筒吸入空気量GAIRSTD(k)に設定するとともに、体積効率ηv(k)を「1.0」に設定する。次いで初期化フラグFINIを「1」に設定する(ステップS14)。
[0060] 初期化フラグFINIが「1」であるときは、ステップS13からステップSS15に進み、更新演算の実行回数を計数するインデクスパラメータiを「0」に設定する。以下の説明ではインデクスパラメータiを付したGAIRCYLN(i)、ηv(i)、及びCGAIRCYLN(i)をそれぞれ更新気筒吸入空気量、更新体積効率、及び更新遅れ係数という。
[0061] ステップS16では、更新気筒吸入空気量GAIRCYLN(i)(i=0)を気筒吸入空気量の前回値GAIRCYLN(k-1)に設定するとともに、更新体積効率ηv(i)(i=0)を体積効率の前回値ηv(k-1)に設定する。
[0062] ステップS17では、インデクスパラメータiを「1」だけインクリメントし、ステップS18では下記式(7a)により、更新体積効率ηv(i)を算出する。
ηv(i)=GAIRCYLN(i-1)/GAIRSTD(k) (7a)」(段落[0046]ないし[0062])

キ 「[0065] ステップS21では、インデクスパラメータiが上限値iMAXに達したか否かを判別する。本実施形態では、上限値iMAXは例えばCPUの処理能力(演算速度)に応じて2以上の値に設定される。最初はステップS21の答は否定(NO)であるので、ステップS22に進み、下記式(21)により体積効率変化量Dηvを算出する。
Dηv=|ηv(i)-ηv(i-1)| (21)
[0066] ステップS23では、体積効率変化量Dηvが所定閾値DηvLより小さいか否かを判別し、その答が否定(NO)であるときはステップS17に戻り、ステップS17?S20により、更新体積効率ηv(i)及び更新気筒吸入空気量GAIRCYLN(i)の算出を再度実行する。
[0067] ステップS21またはS23の答が肯定(YES)となると、ステップS24に進み、その時点の体積効率ηv(k)及び気筒吸入空気量GAIRCYLN(k)を、それぞれその時点の更新体積効率ηv(i)及び更新気筒吸入空気量GAIRCYLN(i)に設定する。
[0068] 図8は、図7の処理を説明するためのタイムチャートであり、気筒吸入空気量GAIRCYLNが増加する過渡状態における理論気筒吸入空気量GAIRSTD、気筒吸入空気量GAIRCYLN、及び体積効率ηvの推移が示されている。気筒吸入空気量GAIRCYLN及び体積効率ηvの推移を示す破線は、第1の実施形態の算出手法に対応し、実線が本実施形態の算出手法に対応する。
[0069] 時刻kにおける演算において、細い実線の矢印がi=1の演算を示し、破線の矢印がi=2の演算を示し、一点鎖線の矢印がi=3の演算を示す。この例では、時刻kにおいてインデクスパラメータiが「3」となるまで更新演算がおこなわれたことが示されており、時刻(k+1)、(k+2)においても同様に更新演算が行われ(図示省略)、時刻(k+2)において、定常状態に達した気筒吸入空気量GAIRCYLNを得ることができる。このように更新演算を行うことにより、過渡的な運転状態においてより正確な体積効率ηv及び気筒吸入空気量GAIRCYLNを得ることができる。」(段落[0065]ないし[0069])

(2)引用発明1
上記(1)アないしキ及び図1ないし13の記載から、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。
(なお、[ ]内には、対応する本願発明1の発明特定事項を記載する。)
「吸気弁の閉弁タイミングである吸気閉弁タイミングが可変バルブタイミング機構によって変更されるとともに、吸気通路を流れる空気量がスロットル弁によって変更される内燃機関において、当該内燃機関の吸気通路を介して気筒内に吸入される空気量として気筒吸入空気量GAIRCYLN[吸入空気量]を所定周期で算出する内燃機関の気筒吸入空気量算出装置[吸入空気量算出装置]であって、
前記吸気閉弁タイミングを検出する吸気弁作動位相制御手段[吸気閉弁タイミング検出手段]と、
当該検出された吸気閉弁タイミングに応じて、前記気筒の気筒容積Vcyl[実効容積]を前記所定周期で算出する気筒容積算出手段[実効容積算出手段]と、
前記内燃機関の前記吸気通路における空気の状態を表す物理的パラメータを用いて、前記スロットル弁を通過する空気量であるスロットル弁通過空気流量GAIRTH[通過空気量]を算出するスロットル弁通過空気流量算出手段[通過空気量算出手段]と、
当該算出されたスロットル弁通過空気流量GAIRTH[通過空気量]及び前記算出された気筒容積Vcyl[実行容積]を用いて、前記気筒吸入空気量GAIRCYLN[吸入空気量]の基本値である気筒吸入空気量GAIRCYLN(k)[基本吸入空気量]を算出する気筒吸入空気量算出手段[基本吸入空気量算出手段]と、
前記気筒吸入空気量GAIRCYLN[吸入空気量]の理論値として理論気筒吸入空気量GAIRSTD[理論吸入空気量]を算出する理論気筒吸入空気量算出手段[理論吸入空気量算出手段]と、
前記気筒吸入空気量GAIRCYLN[吸入空気量]および前記理論気筒吸入空気量GAIRSTD[理論吸入空気量]を用いて、前記内燃機関の体積効率η[体積効率]を前記所定周期で算出する体積効率算出手段と、
を備える、内燃機関の吸入空気量算出装置。」

(3)対比
ここで、引用発明1における「気筒吸入空気量GAIRCYLN」は、その技術的意義からみて、本願発明における「吸入空気量」に相当し、以下同様に、「気筒吸入空気量算出装置」は「吸入空気量算出装置」に、「気筒容積Vcyl」は「実効容積」に、「気筒容積算出手段」は「実効容積算出手段」に、「スロットル弁通過空気流量GAIRTH」は「通過空気量」に、「スロットル弁通過空気流量算出手段」は「通過空気量算出手段」に、「気筒吸入空気量GAIRCYLN(k)」は「基本吸入空気量」に、「気筒吸入空気量算出手段」は「基本吸入空気量算出手段」に、「理論気筒吸入空気量GAIRSTD」は[理論吸入空気量]に、「理論気筒吸入空気量算出手段」は「理論吸入空気量算出手段」に、「体積効率η」は「体積効率」に、それぞれ相当する。
また、引用発明1における「吸気弁作動位相制御手段」は「吸気閉弁タイミングを知る手段」という限りにおいて本願発明における「吸気閉弁タイミング検出手段」に相当する。
(なお、引用文献1に記載された「クランク角度位置センサ11」のみでは吸気閉弁タイミングを検知できないから、引用文献1に記載された「クランク角度位置センサ11」は本願発明における「吸気閉弁タイミング検出手段」に相当しない。)

したがって、本願発明1と引用発明1とを対比すると、両者は
「吸気弁の閉弁タイミングである吸気閉弁タイミングが可変バルブタイミング機構によって変更されるとともに、吸気通路を流れる空気量がスロットル弁によって変更される内燃機関において、当該内燃機関の吸気通路を介して気筒内に吸入される空気量として吸入空気量を所定周期で算出する内燃機関の吸入空気量算出装置であって、
前記吸気閉弁タイミングを知る手段と、
吸気閉弁タイミングに基づいて、実効容積を算出する実効容積算出手段と、
前記内燃機関の前記吸気通路における空気の状態を表す物理的パラメータを用いて、前記スロットル弁を通過する空気量である通過空気量を算出する通過空気量算出手段と、
当該算出された通過空気量及び前記算出された実行容積を用いて、前記吸入空気量の基本値である基本吸入空気量を算出する基本吸入空気量算出手段と、
前記吸入空気量の理論値として理論吸入空気量を算出する理論吸入空気量算出手段と、
前記吸入空気量および前記理論吸入空気量を用いて、前記内燃機関の体積効率を前記所定周期で算出する体積効率算出手段と、
を備える内燃機関の吸入空気量算出装置。」
で一致し、以下の点で相違する。

<相違点>
サ 「吸気閉弁タイミングを知る手段」について、本願発明1においては、「吸気閉弁タイミング検出手段」を備えるのに対し、引用発明1においては、「吸気弁作動位相制御手段」を備える点(以下、「相違点サ」という。)。

シ 本願発明1においては、「実効容積算出手段による実効容積の算出結果のうちの、今回の演算タイミングでの算出結果である今回値と、今回よりも1回前の演算タイミングでの算出結果である前回値とを用いて、補正値を算出する補正値算出手段」及び「算出された補正値で算出された基本吸入空気量を補正することにより、吸入空気量を算出する吸入空気量算出手段」を備え、「補正値算出手段は、体積効率算出手段による体積効率の算出結果のうちの、今回の演算タイミングでの算出結果である今回値と、今回よりも1回前の演算タイミングでの算出結果である前回値とをさらに用いて、補正値を算出する」のに対し、引用発明1においては、そのような「補正値算出手段」及び「吸入空気量算出手段」を備え、「補正値を算出する」かどうか明らかでない点(以下、「相違点シ」という。)。

(3)判断
上記相違点サに関して、本願発明1における「吸気閉弁タイミング検出手段」は、本願明細書(段落【0030】及び【0036】)を参照すると、クランク角センサ20及びカム角センサ25からなるのに対し、引用発明においては、クランク角度位置センサ11を備えるものの、カム角センサを備えておらず、吸気弁作動位相制御手段により吸気閉弁タイミングを検出していると認められる。
引用文献1には、クランク角センサ20及びカム角センサ25からなる吸気閉弁タイミング検出手段が記載も示唆もされていないから、相違点サに係る本願発明1の発明特定事項は、引用発明1に基づいて当業者が容易に想到できたものとすることはできない。

上記相違点シに関して、引用文献2(例えば、段落【0034】及び【0056】ないし【0062】を参照。)には、次の技術(以下、「引用文献2記載の技術」という。)が記載されている。
(なお、[ ]内には、対応する本願発明1の発明特定事項を記載する。)
「吸気閉弁タイミングに応じて、実質シリンダ容量Vcyl[実効容積]を所定周期で算出する実質シリンダ容量Vcyl算出手段[実効容積算出手段]と、
実質シリンダ容量Vcyl[実効容積]の算出結果のうちの、今回の演算タイミングでの算出結果である今回値と、今回よりも1回前の演算タイミングでの算出結果である前回値とを用いて、補正値GairVT[補正値]を算出する補正値算出手段と、
当該算出された補正値GairVT[補正値]を用いて、算出された吸入空気量(GairTH-GairINVO)[基本吸入空気量]を補正することにより、吸入空気量推定値GairCYL[吸入空気量]を算出する吸入空気量算出手段[吸入空気量算出手段]を備える技術。」

引用文献2記載の技術は、上記相違点シに係る本願発明の発明特定事項のうち、「実効容積算出手段による実効容積の算出結果のうちの、今回の演算タイミングでの算出結果である今回値と、今回よりも1回前の演算タイミングでの算出結果である前回値とを用いて、補正値を算出する補正値算出手段」及び「算出された補正値で算出された基本吸入空気量を補正することにより、吸入空気量を算出する吸入空気量算出手段」に相当するものではあるが、「吸入空気量および前記理論吸入空気量を用いて、内燃機関の体積効率を前記所定周期で算出する体積効率算出手段」を備え、「補正値算出手段は、体積効率算出手段による体積効率の算出結果のうちの、今回の演算タイミングでの算出結果である今回値と、今回よりも1回前の演算タイミングでの算出結果である前回値とをさらに用いて、補正値を算出する」に相当するものではない。

したがって、引用発明1に引用文献2記載の技術を適用したとしても、相違点シに係る本願発明1の発明特定事項を想到することはできない。

また、上記相違点サ及びシに係る本願発明1の発明特定事項は、当業者が適宜なし得る設計的事項とすることもできない。

よって、上記相違点サ及びシに係る本願発明1の発明特定事項は、引用発明1及び引用文献2記載の技術に基づいて当業者が容易に想到できたものとすることはできないので、本願発明1は、引用発明1及び引用文献2記載の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

また、本願発明2及び3は、本願発明1をさらに限定したものであるから、本願発明1と同様に、引用発明1及び引用文献2記載の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

2.-2 特許法第36条第2項の拒絶理由に関して

平成27年12月7日付け手続補正書による補正をしたことにより、当審拒絶理由において指摘した特許法第36条第2項の拒絶理由は解消された。

すなわち、当審拒絶理由の<理由1>及び<理由2>については解消された。

2.-3 小括
したがって、本願発明は、当業者が引用発明1及び引用文献2記載の技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえなくなった。
また、本願の請求項2及び3に係る発明は、本願発明をさらに限定したものであるから、本願発明と同様に、当業者が引用発明1及び引用文献2記載の技術に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえなくなった。
また、当審拒絶理由の<理由2>については、平成27年12月7日提出の手続補正書及び意見書によって解消された。
そうすると、もはや、当審で通知した拒絶理由によって本願を拒絶することはできない。

第5 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-02-08 
出願番号 特願2011-131433(P2011-131433)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (F02D)
P 1 8・ 537- WY (F02D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山村 和人竹下 和志  
特許庁審判長 加藤 友也
特許庁審判官 金澤 俊郎
梶本 直樹
発明の名称 内燃機関の吸入空気量算出装置  
代理人 高橋 友雄  

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