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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B65G |
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管理番号 | 1310608 |
審判番号 | 不服2014-17849 |
総通号数 | 195 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-03-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-09-08 |
確定日 | 2016-02-04 |
事件の表示 | 特願2010-219556「作業機の在庫管理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 4月12日出願公開、特開2012- 71968〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件出願は、平成22年9月29日の出願であって、平成25年10月30日付けで拒絶理由が通知され、これに対して平成25年12月24日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成26年6月2日付けで拒絶査定がされ、これに対して平成26年9月8日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、平成27年1月14日に上申書が提出され、その後、当審において平成27年6月19日付けで平成26年9月8日に提出された手続補正書による手続補正についての補正の却下の決定がされ、平成27年7月8日付けで当審において拒絶理由が通知され、これに対して平成27年9月11日に意見書が提出されるとともに明細書及び特許請求の範囲について補正する手続補正書が提出されたものである。 2.本願発明 本件出願の請求項1ないし3に係る発明は、平成27年9月11日に提出された手続補正書により補正された明細書及び特許請求の範囲並びに願書に最初に添付された図面の記載によれば、その特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるとおりのものであり、そのうち、本件出願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものと認める。 「店舗の保管場所に置かれた作業機の在庫管理を行う管理サーバと、 前記作業機の在庫の状況として、前記店舗からの報告である通知在庫状況を前記管理サーバに通知する店舗用端末と、 前記保管場所に設けられ且つ無線通信可能な無線用送受信器と、 前記作業機に設けられ且つ前記作業機の固有情報を含む作業機の情報を前記無線用送受信機に送信可能な作業機用無線端末と、 を備え、 前記管理サーバは、 前記作業機用無線端末から受信した作業機の情報に基づいて、前記作業機の在庫の状況である算出在庫状況を求める手段であって、前記作業機用無線端末と前記無線用送受信器との無線通信が途絶えることにより前記作業機用無線端末から受信した作業機の情報に含まれる前記固有情報が得られない場合には、当該固有情報に対応する作業機が前記保管場所から無くなったとして、前記通知在庫状況とは別に前記算出在庫状況を求める在庫状況算出手段と、 前記店舗用端末から通知された通知在庫状況と前記在庫状況算出手段で求められた算出在庫状況との照合を行う在庫状況照合手段と、 を備えていることを特徴とする作業機の在庫管理システム。」 3.刊行物に記載された発明 (1)引用刊行物の記載事項 当審における拒絶理由に引用された刊行物であって、本件出願前に頒布された刊行物である特開2005-149003号公報(以下「引用刊行物」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。 a)「【0001】 本発明は、遠隔地に点在する支店等の管理基地局が管轄する各種レンタル機の入出庫情報等を該管理基地局で管理する他、本店等の管理本部でもリアルタイムに当該情報を把握できる入出庫遠隔監視管理システムに関する。また、夜間或いは休日等の不自然と考えられる時間帯に発生した該レンタル機の作動を、該管理基地局や管理本部より制御することのできる入出庫遠隔監視管理システムに関する。 【背景技術】 【0002】 従来、貸し出したレンタル機が定められた管理基地局に返却されたかどうかの確認は、人間が目視により行なっていた。更に、その確認した結果は、人手により伝票に記入し、コンピュータに入力することにより当該管理基地局において管理していた。そしてその情報が各管理基地局より管理本部へ連絡され、それらの情報が集計されるシステムを採用していた。 【特許文献1】特開2002-215819号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 しかしながら、上記のような管理システムは、レンタル機の返却状況をその都度人手により確認しなければならず、そのためには該レンタル機が各管理基地局に戻ることが必要最低条件であった。 【0004】 また、該レンタル機が各管理基地局に戻されても、借主が該管理基地局に連絡することなく、帰ってしまうこともあり、返却時点でも管理することが不能となることもあった。 【0005】 更に、確認した結果を人手により伝票に記入し、コンピュータに入力することになるが、記入或いは入力ミスが生じることがあり、そのミスが管理本部へも連絡され、管理体制全体に不都合が生じるという欠点があった。 【0006】 上記システムを採用しているため、次回にレンタル機を貸し出す準備作業やその他の作業までに一定の時間を必要としていた。 【0007】 更に、近年、レンタル機が盗難され、物を破壊する手段として犯罪に利用されることが多くなり、各管理基地局や管理本部では該レンタル機を貸し出している状況下のためにその管理を十分に行なうことができなかった。 【0008】 本発明は、上記のような問題を解決するために創案されたもので、各管理基地局に親送受信機を設け、且つ、各々のレンタル機に子送受信機を設けることにより、各管理基地局の管轄する一定の地域内に存在するレンタル機を各管理基地局及び管理本部において現在の状況の把握、次回の貸し出しやその他の作業のための準備作業等を自動的に行なうことのできる入出庫遠隔監視管理システムを提供するものである。 【0009】 また、貸し出したレンタル機のエンジンの始動信号の受信並びにエンジンロック信号及び作業機器ロック信号を送信し、レンタル機の作動を管理基地局や管理本部で制御する遠隔監視管理システムを提供するものである。」(段落【0001】ないし【0009】) b)「【0010】 本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、管理本部と管理基地局をLAN又はインターネットで連結し、該管理基地局には各々機材センターを設けて親送受信機を具備し、該管理基地局が管轄するレンタル機には各々子送受信機を装備し、該管理本部及び管理基地局とレンタル機間の送受信によって得られた各種情報を該管理本部並びに管理基地局の端末機及び管理一覧表示板にリアルタイムに反映させ、表示させることを特徴とする入出庫遠隔監視管理システム。 【0011】 また、上記親送受信機は、特定小電力無線とし、常時、信号を発信してなる入出庫遠隔監視管理システムを特徴とする。 【0012】 更に、上記子送受信機は、レンタル機のバッテリを電源とし、ON及びOFF状態をタイマーにより時間制御してなる入出庫遠隔監視管理システムを特徴とする。 【0013】 また、上記子送受信機は、各々固有のID番号によって送受信可能としてなる入出庫遠隔監視管理システムを特徴とする。 【0014】 更に、上部各種情報は、レンタル機の入出庫情報及び付加情報である入出庫遠隔監視管理システムを特徴とする。 【0015】 また、上記入出庫情報は、レンタル機の貸出可能の有無、在庫数、貸出先、入出庫日時、貸出期間等である入出庫遠隔監視管理システムを特徴とする。」(段落【0010】ないし【0015】) c)「【0019】 本発明は、管理本部及び管理基地局とレンタル機間の送受信によりレンタル機の各種情報が管理本部及び各管理基地局にリアルタイムに送信され、それらが端末機及び管理一覧表示板で表示されるので、レンタル機の貸し出し情報やその他の各種情報が即座に把握することが可能となった。 【0020】 また、各種情報を管理本部により一括集中管理することができるので、従来の各管理基地局での個別の分割管理体制或いはそれら管理基地局を経由してからの各種情報を集約する一括管理体制と比較してミスが少なく、且つ管理工数を大幅に削減することが可能となった。」(段落【0019】及び【0020】) d)「【0022】 以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。 図1は、本発明の入出庫遠隔監視管理システムの全体の構成を示すものである。核となる各支店等の管理基地局A1、A2、A3・・・には、機材センター1a、1b、1c・・・が設けられ、該機材センター1a、1b、1c・・・は、一定の地域を無線によりカバーできるように構成している。上記管理基地局A1、A2、A3・・・の機材センター1a、1b、1c・・・には、各々親送受信機を備えている。 【0023】 該親送受信機は、特定小電力無線とし、常時、信号を発信している。他方、レンタル機B1、B2、B3・・・には、各々子送信機と子受信機が設けられ、上記親送受信機からの信号を該子受信機が受信し、子送信機により信号を送信している。 【0024】 上記管理基地局A1、A2、A3・・・相互は社内LANネットワーク或いはインターネットにより連絡され、各々基材センター1a、1b、1c・・・で情報を共有化することができる。更に、それら各々の管理基地局の情報は、管理本部Xへ社内LANネットワーク或いはインターネットにより連結され、上記同様、リアルタイムに情報を共有化することができる。 【0025】 上記送受信の状況は、各管理基地局A1、A2、A3・・・の機材センター1a、1b、1c・・・及び管理本部Xのコンピュータに記憶され、該基材センター1a、1b、1c・・・のコンピュータ端末機2a、2b、2c・・・及び管理本部Xの端末機2X・・ ・のディスプレイに自動的に表示できるように連結され、同時に、管理本部Xのテレビモニタの管理一覧表示板3にも自動的に表示される。 【0026】 各レンタル機B1、B2、B3・・・に設けられた子送受信機の電源は、該レンタル機B1、B2、B3・・・のバッテリーから得ることができ、省エネのため電源のOFF状態のスリープモードとON状態のアクティブモードとをタイマーにより時間制御管理している。例えば、5分毎に上記状態を繰り返すことができる。これにより、情報の伝達は5分遅れとはなるが、レンタル機B1、B2、B3・・・のバッテリの消費を削減し、且つ最新情報を得ることが可能となる。上記時間制御は適宜設定することができる。 【0027】 該各レンタル機B1、B2、B3・・・の子送受信機には、固有のID番号を組み込み、管理基地局A1、A2、A3・・・或いは管理本部Xから発信される信号の混信を防止することができる。これにより各管理基地局により数千台から約1万台程度までのレンタル機B1、B2、B3・・・を管理することができる。 【0028】 上記システムにより、管理本部X或いは各管理基地局A1、A2、A3・・・から特定の管理基地局A1、A2、A3・・・の各種情報を端末機2a・・・2Xから読み取ることができる。 【0029】 また、同様に、各管理基地局A1、A2、A3・・・の端末機2a、2b、2c・・・を利用して管理本部Xの集計した情報を得ることができ、全体の出庫情報、休車情報及び在庫情報等の各種情報をリアルタイムで得ることができ、且つ、次回の貸し出し効率の向上、その他必要とする各種情報を得ることができる。 【0030】 上記各種情報としては、レンタル機B1、B2、B3・・・の入出庫情報の他、当該レンタル機B1、B2、B3・・・の点検状態、整備状態等の付加情報がある。 【0031】 上記入出庫情報には、貸出可能の有無、在庫数、貸出先、入出庫日時、貸出期間等が有り、該付加情報には、主としてメンテナンス情報となる点検の有無、点検予定日、整備の有無、整備予定日、特自検期日等が有る。 【0032】 また、レンタル機B1、B2、B3・・・のエンジンの始動信号を基材センター1a、1b、1c・・・が受信することにより、当該レンタル機B1、B2、B3・・・の夜間及び休日等の不自然と考えられる時間帯の作動を管理本部X又は管理基地局A1、A2、A3・・・からセキュリティーを図ることができる。それは当該レンタル機B1、B2、B3・・・を利用した犯罪を未然に防止することができる。近年、レンタル機が盗難され犯罪に利用されることが増加しているが、該管理本部X又は管理基地局A1、A2、A3・・・からのエンジンロック信号や作業機器ロック信号によりレンタル機B1、B2、B3・・・の始動や作動をロックすることを可能としている。」(段落【0022】ないし【0032】) (2)引用刊行物の記載事項及び図面の記載から分かること a)上記(1)a)、b)及びd)並びに図1の記載によれば、引用刊行物には、レンタル機の入出庫遠隔監視管理システムが記載されていることが分かる。 また、上記(1)a)の段落【0009】には「また、貸し出したレンタル機のエンジンの始動信号の受信並びにエンジンロック信号及び作業機器ロック信号を送信し、レンタル機の作動を管理基地局や管理本部で制御する遠隔監視管理システムを提供するものである。」と記載されていることから、レンタル機には作業機器があり、図1におけるレンタル機の図形もあわせてみると、レンタル機は作業機からなることが分かる。 b)上記(1)b)ないしd)及び図1の記載(特に、段落【0022】ないし【0031】の記載)によれば、作業機からなるレンタル機の入出庫遠隔監視管理システムは、管理本部Xのコンピュータと、機材センターのコンピュータ端末機と、親送受信機と、子送受信機と、を備えることが分かる。 c)上記(1)d)及び図1の記載(特に、段落【0022】及び図1の記載)によれば、作業機からなるレンタル機は支店等の管理基地局に設けられた機材センターの保管場所に置かれることが分かる。 d)上記(1)d)及び図1の記載(特に、段落【0028】ないし【0031】の記載)によれば、管理本部Xのコンピュータは、作業機からなるレンタル機の在庫管理を行うことが分かる。 e)上記c)及びd)の事項によれば、管理本部Xのコンピュータは、支店等の管理基地局に設けられた機材センターの保管場所に置かれた作業機からなるレンタル機の在庫管理を行うことが分かる。 f)上記(1)d)及び図1の記載(特に、段落【0022】及び【0023】の記載)によれば、親送受信機は、保管場所(機材センターの保管場所)に設けられ且つ無線通信可能なものであることが分かる。 g)上記(1)d)及び図1の記載(特に、段落【0022】ないし【0027】の記載)によれば、子送受信機は、作業機からなるレンタル機に設けられ且つ前記作業機からなるレンタル機の固有ID番号を含む作業機からなるレンタル機の情報を親送受信機に送信可能なものであることが分かる。 そして、上記(1)d)の段落【0023】の「親送受信機は、特定小電力無線とし、常時、信号を発信している。」という記載を考慮すると、子送受信機と前記親送受信機との無線通信が途絶えることにより前記子送受信機から受信した作業機からなるレンタル機の情報に含まれる固有IDが得られない場合には、当該固有IDに対応する作業機からなるレンタル機が保管場所に存在しない状況であることは明らかである。 h)上記(1)d)の記載(特に、段落【0023】ないし【0025】及び【0027】ないし【0031】の記載)によれば、管理本部Xのコンピュータは、子送受信機から受信した作業機からなるレンタル機の情報に基づいて、作業機からなるレンタル機の在庫の状況である、作業機からなるレンタル機の情報を集計した在庫情報や在庫数を含む入出庫情報(以下、「算出による在庫情報等」という。)を求める手段(以下、「算出手段」ともいう。)を備えていることが分かる。 i)上記b)ないしh)の事項と、上記(1)d)及び図1の記載を考慮すると、管理本部Xのコンピュータは、子送受信機から受信した作業機からなるレンタル機の情報に基づいて、前記作業機からなるレンタル機の在庫の状況である算出による在庫情報等を求める手段であって、前記子送受信機と前記親送受信機との無線通信が途絶えることにより前記子送受信機から受信した作業機からなるレンタル機の情報に含まれる前記固有IDが得られない場合には、当該固有IDに対応する作業機からなるレンタル機が前記保管場所に存在しないとして、前記算出による在庫情報等を求める算出手段を備えていることが分かる。 (3)引用発明 上記(1)及び上記(2)を総合して、本願発明の表現にならって整理すると、引用刊行物には、次の事項からなる発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認める。 「支店等の管理基地局に設けられた機材センターの保管場所に置かれた作業機からなるレンタル機の在庫管理を行う管理本部Xのコンピュータと、 前記機材センターのコンピュータ端末機と、 前記保管場所に設けられ且つ無線通信可能な親送受信機と、 前記作業機からなるレンタル機に設けられ且つ前記作業機からなるレンタル機の固有ID番号を含む作業機からなるレンタル機の情報を前記親送受信機に送信可能な子送受信機と、 を備え、 前記管理本部Xのコンピュータは、 前記子送受信機から受信した作業機からなるレンタル機の情報に基づいて、前記作業機からなるレンタル機の在庫の状況である算出による在庫情報等を求める手段であって、前記子送受信機と前記親送受信機との無線通信が途絶えることにより前記子送受信機から受信した作業機からなるレンタル機の情報に含まれる前記固有IDが得られない場合には、当該固有IDに対応する作業機からなるレンタル機が前記保管場所に存在しないとして、前記算出による在庫情報等を求める算出手段、 を備えている作業機からなるレンタル機の入出庫遠隔監視管理システム。」 4.対比 本願発明(以下、「前者」ともいう。)と引用発明(以下、「後者」ともいう。)とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。 ・後者における「支店等の管理基地局に設けられた機材センター」又は「機材センター」は前者における「店舗」に相当し、以下同様に、「作業機からなるレンタル機」は「作業機」に、「管理本部Xのコンピュータ」は「管理サーバ」に、「機材センターのコンピュータ端末機」は「店舗用端末」に、「親送受信機」は「無線用送受信器」に、「固有ID番号」は「固有情報」に、「子送受信機」は「作業機用無線端末」に、「算出による在庫情報等」は「算出在庫状況」に、「算出手段」は「在庫状況算出手段」に、それぞれ相当する。 ・後者における「作業機からなるレンタル機の入出庫遠隔監視管理システム」は、算出手段により、作業機からなるレンタル機の在庫の状況である算出による在庫情報等を求めており、作業機からなるレンタル機の在庫管理に用いられるものであるから、前者における「作業機の在庫管理システム」に相当する。 ・後者における「前記子送受信機から受信した作業機からなるレンタル機の情報に基づいて、前記作業機からなるレンタル機の在庫の状況である算出による在庫情報等を求める手段であって、前記子送受信機と前記親送受信機との無線通信が途絶えることにより前記子送受信機から受信した作業機の情報に含まれる前記固有IDが得られない場合には、当該固有IDに対応する作業機からなるレンタル機が前記保管場所に存在しないとして、前記算出による在庫情報等を求める算出手段」は、前者における「前記作業機用無線端末から受信した作業機の情報に基づいて、前記作業機の在庫の状況である算出在庫状況を求める手段であって、前記作業機用無線端末と前記無線用送受信器との無線通信が途絶えることにより前記作業機用無線端末から受信した作業機の情報に含まれる前記固有情報が得られない場合には、当該固有情報に対応する作業機が前記保管場所から無くなったとして、前記通知在庫状況とは別に前記算出在庫状況を求める在庫状況算出手段」に、「前記作業機用無線端末から受信した作業機の情報に基づいて、前記作業機の在庫の状況である算出在庫状況を求める手段であって、前記作業機用無線端末と前記無線用送受信器との無線通信が途絶えることにより前記作業機用無線端末から受信した作業機の情報に含まれる前記固有情報が得られない場合には、当該固有情報に対応する作業機が前記保管場所に存在しないとして、前記算出在庫状況を求める在庫状況算出手段」という限りにおいて一致する。 したがって、両者は、 「店舗の保管場所に置かれた作業機の在庫管理を行う管理サーバと、 店舗用端末と、 前記保管場所に設けられ且つ無線通信可能な無線用送受信器と、 前記作業機に設けられ且つ前記作業機の固有情報を含む作業機の情報を前記無線用送受信機に送信可能な作業機用無線端末と、 を備え、 前記管理サーバは、 前記作業機用無線端末から受信した作業機の情報に基づいて、前記作業機の在庫の状況である算出在庫状況を求める手段であって、前記作業機用無線端末と前記無線用送受信器との無線通信が途絶えることにより前記作業機用無線端末から受信した作業機の情報に含まれる前記固有情報が得られない場合には、当該固有情報に対応する作業機が前記保管場所に存在しないとして、前記算出在庫状況を求める在庫状況算出手段と、 を備えている作業機の在庫管理システム。」 の点で一致し、以下の点で相違している。 [相違点1] 店舗用端末に関し、本願発明においては、「作業機の在庫の状況として、店舗からの報告である通知在庫状況を管理サーバに通知する」ものであるのに対して、引用発明においては、そのような機能を有するものであるか否か不明である点(以下、「相違点1」という。)。 [相違点2] 在庫状況算出手段に関し、本願発明においては、「作業機用無線端末と無線用送受信器との無線通信が途絶えることにより前記作業機用無線端末から受信した作業機の情報に含まれる固有情報が得られない場合には、当該固有情報に対応する作業機が保管場所から無くなったとして、通知在庫状況とは別に算出在庫状況を求める」ものであるのに対して、引用発明においては、「子送受信機と親送受信機との無線通信が途絶えることにより前記子送受信機から受信した作業機からなるレンタル機の情報に含まれる固有IDが得られない場合には、当該固有IDに対応する作業機からなるレンタル機が保管場所に存在しないとして、算出による在庫情報等を求める」ものであり、固有情報に対応する作業機が保管場所から無くなったとして、通知在庫状況とは別に算出在庫状況を求めるものであるか否かは不明である点(以下、「相違点2」という。)。 [相違点3] 本願発明においては、「店舗用端末から通知された通知在庫状況と在庫状況算出手段で求められた算出在庫状況との照合を行う在庫状況照合手段」を備えているのに対して、引用発明においては、そのような在庫状況照合手段を備えているか否か不明である点(以下、「相違点3」という。)。 5.判断 上記相違点1ないし3について検討する。 引用刊行物の段落【0002】にも記載されているように、物品の在庫状況として、店舗からの報告である通知在庫状況を本店等の管理本部に通知し、本店等の管理本部において通知在庫状況を集計した在庫情報に基づき、物品の在庫管理を行うことは、本件出願前に周知の事項(以下、「周知事項」という。)である。 ところで、引用刊行物の段落【0032】には、作業機からなるレンタル機の盗難対策をすることが記載されていることから分かるように、引用発明において、作業機からなるレンタル機の盗難や紛失を防止することは内在する課題である。 そして、物品の在庫管理システムにおいて、保管された物品の在庫管理を行うにあたり、物品の盗難や紛失等のチェックを行うため、物品に設けた固有IDを有する子送受信機(無線タグ等)と親送受信機(リーダ等)との無線通信を用いた、物品の在庫の状況である算出在庫状況を求める手段であって、在庫状況算出手段により、子送受信機から受信した物品の情報に含まれる固有情報が得られない場合には、当該固有情報に対応する物品が保管場所から無くなったとして、在庫管理に用いる在庫情報の在庫状況とは別に算出在庫状況を求める在庫状況算出手段と、在庫管理に用いる在庫情報の在庫状況と在庫状況算出手段で求められた算出在庫状況との照合を行う在庫状況照合手段とを設けることは、本件出願前に周知の技術(以下、「周知技術」という。必要であれば、特開2005-231882号公報(特に、段落【0010】及び【0012】ないし【0016】並びに図6)及び特開2010-44724号公報(特に、段落【0002】、【0092】及び【0093】並びに図10)を参照。)である。 そうすると、引用発明において、上記周知技術を適用し、その際、在庫管理に用いる在庫情報の在庫状況を得るべく上記周知事項を採用することにより、上記相違点1ないし3に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。 そして、本願発明は、全体としてみても、引用発明、周知技術及び周知事項から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。 6.まとめ したがって、本願発明は、引用発明、周知技術及び周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 7.むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、本件出願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2015-11-30 |
結審通知日 | 2015-12-01 |
審決日 | 2015-12-15 |
出願番号 | 特願2010-219556(P2010-219556) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(B65G)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 日下部 由泰 |
特許庁審判長 |
伊藤 元人 |
特許庁審判官 |
梶本 直樹 槙原 進 |
発明の名称 | 作業機の在庫管理システム |
代理人 | 安田 敏雄 |
代理人 | 安田 幹雄 |