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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 C01B
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C01B
管理番号 1310625
審判番号 不服2014-25237  
総通号数 195 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-03-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-12-09 
確定日 2016-02-04 
事件の表示 特願2011- 55287「球状シリカ微粒子の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成24年10月 4日出願公開、特開2012-188332〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年3月14日の出願であって、平成26年4月30日付けで拒絶理由が通知され、同年7月7日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年10月7日付けで拒絶査定され、これに対して、同年12月9日に拒絶査定不服審判の請求がされるとともに同日付けで手続補正書が提出されたものである。

第2 平成26年12月9日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成26年12月9日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1.平成26年12月9日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、本件補正前の平成26年7月7日付け手続補正書によって補正された特許請求の範囲である、
「【請求項1】
結晶粒界に沿ってケイ石原料を粉砕する工程と、
1質量%以上のフッ酸とを含有する酸溶液にて前記粉砕物を洗浄する洗浄工程と、
得られた前記高純度シリカ原料を所望の粒径に粉砕し、火炎中に投入し溶融・球状化する溶融球状化工程と、
を有する球状シリカ微粒子の製造方法。
【請求項2】
前記洗浄工程における前記酸溶液は塩酸又は硝酸を含み、
前記洗浄工程後、前記溶融球状化工程前に、アンモニア水にて中和して水洗して高純度シリカ原料を得る中和水洗工程を有する請求項1機に記載の球状シリカ微粒子の製造方法。
【請求項3】
前記粉砕工程の前に、400℃以上に前記ケイ石原料を加熱し冷却液に投入する熱処理工程を有する請求項1又は2に記載の球状シリカ微粒子の製造方法。
【請求項4】
前記ケイ石原料はウラン含有量が20ppb以下である請求項1?3のいずれかに記載の球状シリカ微粒子の製造方法。
【請求項5】
前記ケイ石原料は結晶粒の平均粒径が100μm?1cm以下であり、
前記粉砕物は平均粒径が該結晶粒の大きさより小さくする請求項1?4のいずれかに記載の球状シリカ微粒子の製造方法。
【請求項6】
請求項1?5のいずれかの製造方法にて製造された前記球状シリカ微粒子は半導体素子封止用である球状シリカ微粒子の製造方法。」
を、
「【請求項1】
結晶粒界に沿ってケイ石原料を粉砕して粉粒体である粉砕物を得る粉砕工程と、
1質量%以上のフッ酸とを含有する酸溶液にて前記粉砕物を洗浄する洗浄工程と、
得られた前記高純度シリカ原料を所望の粒径に粉砕し、火炎中に投入し溶融・球状化する溶融球状化工程と、
を有し、
前記ケイ石原料は結晶粒の平均粒径が100μm?1cm以下であり、
前記粉砕物の平均粒径が該結晶粒の大きさより小さい球状シリカ微粒子の製造方法。
【請求項2】?【請求項5】 (省略)」
と補正することを含むものである(下線は、当審で付した)。

上記特許請求の範囲についての補正は、補正前の請求項1を引用する請求項5を新たに請求項1とした上で、さらに補正前に特定されていなかった粉砕工程で得られる粉砕物の態様が「粉粒体」であること限定するものである。
そして、当該補正は、発明の属する技術分野及び解決しようとする課題を変更するものではないから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的するものを含むものである。
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下、「本件補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて検討する。

2.引用文献及び引用文献に記載された事項
2-1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特公昭49-8638号公報(以下、「引用文献1」という。)には、次の事項が記載されている。
(ア)「本発明はガラス形成材料のバッチの成分として用いる粉状クリストバライトの粉状珪酸の製造に関する。
本発明の主たる目的は高精度光学ガラスの製造に用いる極めて低い鉄含有量の高純度粉状クリストバライトの製造にある。」(1欄24-29行)
(イ)「本発明は石英塊を575℃の転移温度に1回または繰返し加熱して該石英塊をより小さい結晶に粉砕する第1工程、前記の小さい石英結晶を充分な時間、1400?1700℃の温度に引続き加熱してクリストバライト結晶を生成する第2工程、前記第1工程後または前記第2工程後に鉱酸を用いて洗滌する工程および前記結晶を粉砕するに当り生成粉末を汚染しない接触面を有する材料でクリストバライト結晶を粉末に粉砕する最終工程とからなることを特徴とするガラス製造バッチの成分として用いる粉状クリストバライトを石英塊から製造する方法にある。」(1欄30行-2欄4行)
(ウ)「本発明による1種の方法は、石英塊をより小さい結晶に粉砕するために575℃に加熱し、粉砕された結晶表面から鉄分を浸出するため酸により洗滌し、ついで結晶を1400℃乃至1700℃間の温度に保持し、形成されたクリストバライトを粉末を不純化しない材料の表面間で粉末を形成するように破砕するにある。」(2欄5行-11行)
(エ)「従って本発明のこの操作方法は、石英結晶を575℃の帯域の温度で加熱することによって、石英の結晶形の変化による膨張が生じ石英塊をより小さい結晶に破砕する石英の公知の性質が用いられる。この破砕は石英結晶の劈界面に沿って起る。
石英の鉄含有量は結晶間の接触面、即ち劈界面に濃縮される傾向にあり、石英が575℃に加熱され、粉砕後酸による結晶の洗滌によって結晶表面から鉄分を浸出し・・・」(2欄12行-21行)
(オ)「実施例1
100乃至700グラムの重さのある小塊状南アフリカ産塊状石英を加熱しかつこの最初の加熱は転移温度575℃で2度繰返す。ついでこの石英は水で急冷され、生成したより小さい石英結晶は約4cmから実際の粉状の大きさに分類する。ついでこの種々の大きさの結晶混合物を塩酸5%および弗化水素酸1%を含有する酸溶液で60分間浸出し、結晶表面から鉄分を溶解する浸出後、この結晶を酸がなくなるまで水で洗滌する。ついで該結晶を乾燥しかつ約1580℃の温度に加熱し、30分間この温度に保持する。この期間の終りに石英のクリストバライトへの転移が98%完了され、生成した破砕容易な塊は高純度の極めて微細に分割された粉状珪酸をうるためにゴム・ロール間で破砕する。
岩石状石英の当初の鉄含有量は主として結晶間の劈界面に含まれ、約100万分の800部の濃度であり、通常平均鉄含有量は100万分の20乃至60部の値である。しかるに本発明の方法から得られた粉状珪酸は約100万分の3乃至5部の鉄含有量である。」(3欄29行-4欄6行)

2-2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された、本願出願前に頒布された刊行物である特開2009-221054号公報(以下、「引用文献2」という。)には、次の事項が記載されている。
(カ)「【0002】
シリカからなる球状シリカを製造する方法としては、火炎熔融法を挙げることができる。火炎熔融法は目的とするケイ石などを粉砕などにより粉末化した後に、火炎中に投入・溶解させた後、冷却・固化させることで、球状シリカを製造する方法である。」

3.判断
3-1.引用文献1に記載された発明
(イ)によれば、石英塊を575℃の転移温度に1回または繰返し加熱して該石英塊をより小さい結晶に粉砕する第1工程は、粉砕物を得る工程であるといえる。
そして、(エ)、(オ)によれば、上記第1工程の粉砕は、石英結晶の劈界面に沿って石英塊を粉砕して、約4cmから実際の粉状の大きさの石英結晶を得るものであるから、上記粉砕物の大きさは、少なくとも実際の石英結晶の大きさ以上であるといえる。
また、(オ)によれば、上記粉砕物は、弗化水素酸1%を含有する酸溶液で洗滌される。
(ア)-(ウ)、(オ)によれば、最終工程は、クリストバライト結晶を粉状に粉砕してクリストバライト結晶からなる珪酸粉末を得るものである。 そうすると、(ア)-(オ)から、引用文献1には、
「石英結晶の劈界面に沿って石英塊を粉砕して粉砕物を得る第1工程と、
弗化水素酸1%を含有する酸溶液で前記粉砕物を洗滌する工程と、
洗滌により得られた石英結晶を1400?1700℃に加熱してクリストバライト結晶を生成する第2工程と、
クリストバライト結晶を粉状に粉砕して粉状クリストバライトからなる珪酸粉末を得る最終工程と、
を有し、
前記粉砕物の大きさは、実際の石英結晶の大きさ以上である、
珪酸粉末の製造方法。」
の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

3-2.本件補正発明と引用発明との対比
本件補正発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「石英結晶の劈界面」、「石英塊」は、本件補正発明の「結晶粒界」、「ケイ石原料」に相当する。
引用発明において、石英塊を粉砕して得られる粉砕物は、その大きさが実際の石英結晶の大きさ以上であり、(オ)によれば、「生成したより小さい石英結晶は約4cmから実際の粉状の大きさに分類」されるのであるから、当該粉砕物は、粉状物を含むものであって、本件補正発明の「粉粒体」に相当するといえる。
引用発明の「弗化水素酸1%を含有する酸溶液」は、本件補正発明の「1質量%のフッ酸を含有する酸溶液」に相当し、引用発明の「洗滌」とは、本件補正発明の「洗浄」に相当することは明らかである。
引用発明の「珪酸粉末」及び本件補正発明の「球状シリカ微粒子」は、シリカ粉粒体である点で共通している。
そうすると、本件補正発明と引用発明とは、
「結晶粒界に沿ってケイ石原料を粉砕して粉粒体である粉砕物を得る粉砕工程と、
1質量%のフッ酸を含有する酸溶液にて前記粉砕物を洗浄する洗浄工程と、
を有する、
シリカ粉粒体の製造方法。」
である点で一致し、以下の点で相違している。

相違点1:本件補正発明は、洗浄工程により得られた高純度シリカ原料を所望の粒径に粉砕し、火炎中に投入し溶融・球状化する溶融球状化工程を有し、球状シリカ微粒子を得ているのに対し、引用発明は、洗滌により得られた石英結晶、すなわち、洗浄工程により得られた高純度シリカ原料を、1400?1700℃に加熱してクリストバライト結晶を生成する第2工程と、クリストバライト結晶を粉末に粉砕して粉状クリストバライトからなるシリカ粉末を得る最終工程を有する点。

相違点2:本件補正発明は、ケイ石原料は結晶粒の平均粒径が100μm?1cm以下であるのに対し、引用発明のケイ石原料は、具体的な結晶粒の平均粒径は明らかでない点。

相違点3:本件補正発明は、粉砕工程で得られる粉砕物の平均粒径がケイ石原料の結晶粒の大きさより小さいことが特定されているのに対し、引用発明は、そのような粒径まで粉砕するものではない点。

3-3.相違点についての判断
上記相違点1-3について検討する。
相違点1について
引用発明は、高純度光学ガラスの製造を目的とすることから、洗浄により得られた石英結晶を1400?1700℃に加熱してクリストバライト結晶を生成する第2工程と、クリストバライト結晶を粉末に粉砕して粉状クリストバライトからなるシリカ粉末を得る最終工程により、高純度光学ガラスの製造に適した不純物の少ないシリカ粉粒体を得るものであるが、不純物の少ないシリカ粉粒体は高純度光学ガラスの他にも様々な用途があることは技術常識であり(例えば、特開昭62-187138号公報(1ページ右欄下から5行-下から2行)、特開平1-108110号公報(1ページ右欄7行-2ページ左上欄11行)、それぞれの用途に応じたシリカの最終形態を得るための製造工程を採用することは当然のことである。
そして、本件補正発明で特定した「シリカ原料を所望の粒径に粉砕し、火炎中に投入し溶融・球状化する溶融球状化工程」により球状シリカ微粒子を製造することは、例えば、引用文献2に記載されているように、周知の技術手段であり(「2-2.(カ)」)、当該溶融球状化工程は、用途に応じて球状シリカ微粒子という形態を得るために当業者が適宜選択し得るものである。
そうすると、高純度シリカ原料を得る工程を有する引用発明において、上記第2工程、及び最終工程に替えて、当該周知の技術手段である溶融球状化工程によって球状シリカ微粒子を得る工程を採用することは、当業者であれば容易になし得るものである。

相違点2について
結晶粒の平均粒径が100μm?1cm以下のケイ石原料は周知のものであるところ、引用発明のケイ石原料は、上記「2-1.(エ)」によれば、石英結晶の壁界面に沿って粉砕した結果、約4cmから実際の粉状の大きさの石英結晶まで粉砕されるのであって、結晶粒の集合体の大きさは最大でも4cm程度であるから、当該結晶粒の大きさは、上記結晶粒の平均粒径と同程度のものである蓋然性が高いといえる。
そうすると、相違点2は、実質的な相違点とはならない。あるいは、そうでなくとも、結晶粒の平均粒径が100μm?1cm以下のケイ石原料は周知のものであるから、このようなケイ石原料を用いることは、当業者であれば容易になし得るものである。

相違点3について
シリカ原料の不純物が結晶粒界に多く存在することは周知の技術事項であり(上記「2-1.(エ)」,及び 特開昭62-187138号公報(2ページ右下欄下から9行-下から2行))、不純物を効率良く除去するためには結晶粒界を積極的に露出すればよいことは当業者であれば明らかである。
また、不純物を除去するためにシリカ原料の酸洗浄に先立って機械的に粉砕することも周知の技術事項であって、このような機械的粉砕によって結晶粒界が露出することもよく知られたものであり(例えば、特開昭62-187138号公報(3ページ左上欄3行-11行))、このような機械的粉砕を行うことで、粉砕原料に、せん断力、摩砕力等が作用するから、粉砕原料は、結晶粒界に沿って粉砕されると同時に、結晶粒の粉砕も進行する結果、結晶粒より小さい粉砕物が増えることで粉砕物の露出表面も増加して、結晶粒界が十分に露出するものと認められる。
そうすると、粉砕物の表面に結晶粒界の不純物を十分に露出させるために、結晶粒界に沿ってケイ石原料を粉砕する工程において、粉粒体である粉砕物の平均粒径を結晶粒の大きさより小さくなる程度までに粉砕することは、当業者であれば容易になし得るものである。

なお、請求人は、審判請求書において、本件補正発明の効果に関して「本願発明1ではそれより桁が大幅に違う20ppb程度のウランを含む原料から0.3ppb程度にまで高純度化するといったことを目的とするものである点にあると推論できます。」、及び「引例1のように粉粒体の状態にまで粉砕しない場合について検討を行った結果、ウランの濃度は本願発明1の実施例のような20ppbから0.3ppbに至るまでの高純度化は不可能であることを確認しています。」と主張している。
しかし、本件補正発明は、球状シリカ微粒子の不純物についてウランにつ
いて具体的に特定したものではないから、上記の主張は採用できない。
また、上述のとおり、微粉化により結晶粒界の不純物が十分に露出することが周知の技術事項であることを考慮すると、ウランのようなppbオーダーでの不純物を除去する場合に、不純物を十分に露出させてその除去を向上させるために微粉化の程度を考慮することは、当業者が容易に想到し得たことといえ、例えば、シリカ鉱石を粉砕し洗浄することにより、ウラン+トリウムで1ppb程度のものが従来から得られていることからすると(特開平1-108110号公報の「実施例」の欄(比較例) 参照)、上記ウラン濃度は、予測される範囲を超えた顕著なものであるともいえない。


4.まとめ
したがって、本件補正発明は、引用文献1,2に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5.補正却下のむすび
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
平成26年12月9日付けの手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1-6に係る発明は、同年7月7日付けの手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記「第2[理由]1.」に記載したとおりのものである。

2.原査定の理由
平成26年10月7日付け拒絶査定(以下、「原査定」という。)は、「この出願については、平成26年4月30日付け拒絶理由通知書に記載した理由2によって、拒絶をすべきものです。」というものであり、その理由2は「この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明・・・に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」というものである。 そして、理由2でいう「下記の刊行物」とは、前記「第2[理由]2.2-1.,2-2.」に記載した引用文献1,2を含むものである。

引用文献1.特公昭49-8638号公報
引用文献2.特開2009-221054号公報

3.当審の判断
当審は、原査定の理由のとおり、本願発明は拒絶査定における理由によって、拒絶されるべきものと判断する。
その理由は、以下のとおりである。

(1)引用文献に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である引用文献1,2の記載事項
は、上記「第2[理由]2.2-1.,2-2.」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、上記「第2[理由]1.」に記載の本件補正発明の特定事項(下線部)が除外されたものである。
そうすると、本願発明に係る発明特定事項をすべて含み、上記特定事項(下線部)を付加した本件補正発明が、上記「第2[理由]4.」に記載したとおり、引用文献1,2に記載された発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)請求人の主張について
請求人は、平成26年7月7日付け意見書において、「補正後の請求項1(以下、「新請求項1」と称します)は補正前の請求項1・・・における(a)洗浄工程における酸溶液中のフッ酸の濃度が1質量%以上であることと、(b)得られたシリカ原料を火炎中に投入する溶融球状化工程を採用して球状シリカを製造すること」に限定し、「新請求項1に係る発明・・・は上述の(a)の構成をもつことから(b)の「球状シリカの製造方法」に適用したときに顕著な効果を奏します。」と主張している。
しかし、当該「(a)の構成」は、前記「第2[理由]3. 3-2.」のとおり、引用発明に記載されたものであるから、相違点とはならず、また、本願の発明の詳細な説明において、他のシリカ微粒子の製造方法と比較したものでもないから、本願発明が、当業者が予測し得ない顕著な効果を奏するとまではいえない。
よって、 請求人の主張は認められない。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用文献1,2に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その他の請求項に係る発明について検討するまでもなく本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-11-27 
結審通知日 2015-12-01 
審決日 2015-12-16 
出願番号 特願2011-55287(P2011-55287)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (C01B)
P 1 8・ 575- Z (C01B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 森坂 英昭植前 充司  
特許庁審判長 新居田 知生
特許庁審判官 後藤 政博
真々田 忠博
発明の名称 球状シリカ微粒子の製造方法  
代理人 大川 宏  

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