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審決分類 審判 全部無効 1項3号刊行物記載  H01L
審判 全部無効 2項進歩性  H01L
審判 全部無効 判示事項別分類コード:857  H01L
審判 全部無効 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H01L
審判 全部無効 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮  H01L
管理番号 1310937
審判番号 無効2013-800023  
総通号数 196 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-04-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2013-02-15 
確定日 2016-02-05 
訂正明細書 有 
事件の表示 上記当事者間の特許第4608294号発明「樹脂成形体及び表面実装型発光装置並びにそれらの製造方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 請求のとおり訂正を認める。 特許第4608294号の請求項1ないし23に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 第1 事案の概要
本件は、請求人が、被請求人が特許権者である特許第4608294号(以下「本件特許」という。平成16年11月30日出願、平成22年10月15日登録、請求項の数は17である。)の請求項1ないし17に係る発明についての特許を無効とすることを求める事案である。

第2 本件審判の経緯
本件審判の経緯は、次のとおりである。

平成25年 2月15日 審判請求
平成25年 5月 2日 訂正請求書及び審判事件答弁書提出
平成25年 8月 7日 口頭審理陳述要領書提出(請求人及び被請求人)
平成25年 8月21日 口頭審理
平成25年 9月 6日 上申書提出(請求人)
平成25年 9月27日 上申書提出(被請求人)
平成25年11月25日 審決の予告
平成26年 1月28日 訂正請求書及び上申書提出(被請求人)
平成26年 3月18日 審判事件弁駁書提出(請求人)
平成26年 5月 1日 上申書提出(請求人)

第3 訂正請求についての当審の判断
1 訂正請求の内容
被請求人が平成26年1月28日にした訂正請求(以下、同訂正請求に係る訂正を「本件訂正」という。なお、被請求人が平成25年5月2日にした訂正請求は、特許法第134条の2第6項の規定により、取り下げたものとみなす。)は、本件特許の願書に添付した明細書及び図面について、訂正請求書に添付した訂正明細書及び図面のとおり請求項ごと又は一群の請求項ごとに訂正することを請求するものであって、以下の訂正事項をその訂正内容とするものである。

(1)訂正事項1
訂正前の特許請求の範囲の請求項1、
「発光素子と、発光素子を載置するための第1のリードと発光素子と電気的に接続される第2のリードとを一体成形してなる第1の樹脂成形体と、発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置であって、
発光素子は、発光波長が420nm以上490nm以下にあり、
第1の樹脂成形体は、酸化チタン顔料が含有されており、
第1の樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、第1の樹脂成形体の凹部の底面から第1のリードが露出されており、その露出部分に発光素子が載置されており、
発光素子が載置されている主面側と反対の第1のリードの裏面側は、第1の樹脂成形体から露出されており、
第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体とは熱硬化性樹脂であり、
第1の樹脂成形体は、トランスファ・モールドにより成形されていることを特徴とする表面実装型発光装置。」
を、
「発光素子と、発光素子を載置するための第1のリードと発光素子と電気的に接続される第2のリードとを一体成形してなる第1の樹脂成形体と、発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置であって、
発光素子は、発光波長が420nm以上490nm以下にあり、
第1の樹脂成形体は、酸化チタン顔料が含有されており、
第1の樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、第1の樹脂成形体の凹部の底面から第1のリードが露出されており、その露出部分に発光素子が載置されており、
第1のリードの発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側は、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出されており、
第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体とは熱硬化性樹脂であり、
第1の樹脂成形体は、トランスファ・モールドにより成形されていることを特徴とする表面実装型発光装置。」
に訂正する。
また、請求項1の記載を引用する請求項3、5ないし7、9及び10も同様に訂正する。

(2)訂正事項2
訂正前の特許請求の範囲の請求項5、
「第1のリードの裏面側の露出部分と第2のリードの裏面側の露出部分とは、実質的に同一平面上にあることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の表面実装型発光装置。」
を、
「第1のリードの発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側の露出部分と第2のリードの裏面側の露出部分とは、実質的に同一平面上にあることを特徴とする請求項1記載の表面実装型発光装置。」
に訂正する。

(3)訂正事項3
訂正前の特許請求の範囲の請求項6、
「第1のリード又は第1のインナーリード部の裏面側の露出部分は、放熱部材が接触するように配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の表面実装型発光装置。」
を、
「第1のリードの発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側の露出部分は、放熱部材が接触するように配置されていることを特徴とする請求項1記載の表面実装型発光装置。」
に訂正する。

(4)訂正事項4
訂正前の特許請求の範囲の請求項7、
「第1のリード及び第2のリード、又は、第1のインナーリード部及び第2のインナーリード部は、金属メッキが施されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の表面実装型発光装置。」
を、
「第1のリード及び第2のリードは、金属メッキが施されていることを特徴とする請求項1記載の表面実装型発光装置。」
に訂正する。

(5)訂正事項5
訂正前の特許請求の範囲の請求項9、
「第1の樹脂成形体は、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質、遮光性物質からなる群から選択される少なくとも1種が混合されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の表面実装型発光装置。」
を、
「第1の樹脂成形体は、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質、遮光性物質からなる群から選択される少なくとも1種が混合されていることを特徴とする請求項1記載の表面実装型発光装置。」
に訂正する。

(6)訂正事項6
訂正前の特許請求の範囲の請求項10、
「第2の樹脂成形体は、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質からなる群から選択される少なくとも1種が混合されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の表面実装型発光装置。」
を、
「第2の樹脂成形体は、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質からなる群から選択される少なくとも1種が混合されていることを特徴とする請求項1記載の表面実装型発光装置。」
に訂正する。

(7)訂正事項7
訂正前の特許請求の範囲の請求項8、
「第1の樹脂成形体は、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種により形成されてなることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の表面実装型発光装置。」
を、
「発光素子と、発光素子を載置するための第1のリードと発光素子と電気的に接続される第2のリードとを一体成形してなる第1の樹脂成形体と、発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置であって、
発光素子は、発光波長が420nm以上490nm以下にあり、
第1の樹脂成形体は、酸化チタン顔料が含有されており、
第1の樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、第1の樹脂成形体の凹部の底面から第1のリードが露出されており、その露出部分に発光素子が載置されており、
第1のリードの発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側は、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出されており、
第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体とは熱硬化性樹脂であり、
第1の樹脂成形体は、トランスファ・モールドにより成形されており、
第1の樹脂成形体は、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種により形成されてなり、第2の樹脂成形体はシリコーン樹脂又は変性シリコーン樹脂により形成されてなることを特徴とする、表面実装型発光装置。」
に訂正する。

(8)訂正事項8
訂正前の特許請求の範囲の請求項2、
「発光素子と、発光素子を載置するための第1のリードと発光素子と電気的に接続される第2のリードとを一体成形してなる第1の樹脂成形体と、発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置であって、
発光素子は、発光波長が420nm以上490nm以下にあり、
第1の樹脂成形体は、酸化チタン顔料が含有されており、
第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第1のインナーリード部は発光素子が載置されており、かつ、発光素子が持つ第1の電極と電気的に接続されており、並びに第1のアウターリード部は第1の樹脂成形体から露出されており、
第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、第2のインナーリード部は発光素子が持つ第2の電極と電気的に接続されており、並びに第2のアウターリード部は第1の樹脂成形体から露出されており、
第1の樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、第1の樹脂成形体の凹部の底面から第1のインナーリード部が露出されており、その露出部分に発光素子が載置されており、
発光素子が載置されている主面側と反対の第1のインナーリード部の裏面側は、第1の樹脂成形体から露出されており、
第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体とは熱硬化性樹脂であり、
第1の樹脂成形体は、トランスファ・モールドにより成形されていることを特徴とする表面実装型発光装置。」
を、
「発光素子と、発光素子を載置するための第1のリードと発光素子と電気的に接続される第2のリードとを一体成形してなる第1の樹脂成形体と、発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置であって、
発光素子は、発光波長が420nm以上490nm以下にあり、
第1の樹脂成形体は、酸化チタン顔料が含有されており、
第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第1のインナーリード部は発光素子が載置されており、かつ、発光素子が持つ第1の電極と電気的に接続されており、並びに第1のアウターリード部は第1の樹脂成形体から露出されており、
第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、第2のインナーリード部は発光素子が持つ第2の電極と電気的に接続されており、並びに第2のアウターリード部は第1の樹脂成形体から露出されており、
第1の樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、第1の樹脂成形体の凹部の底面から第1のインナーリード部が露出されており、その露出部分に発光素子が載置されており、
第1のインナーリード部の発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側は、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出されており、
第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体とは熱硬化性樹脂であり、
第1の樹脂成形体は、トランスファ・モールドにより成形されており、
凹部の底面を上方から見る平面視において、第1のリード及び第2のリードは、凹部の底面から外側に互いに反対の方向に延びており、その延びる方向に沿って延在する側面が凹凸を有する形状とされ、その凹凸に第1の樹脂成形体が接触していることを特徴とする表面実装型発光装置。」
に訂正する。
また、請求項2の記載を引用する請求項4、18ないし20も同様に訂正する。

(9)訂正事項9
訂正前の特許請求の範囲の請求項6、
「第1のリード又は第1のインナーリード部の裏面側の露出部分は、放熱部材が接触するように配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の表面実装型発光装置。」
を、
「第1のインナーリード部の発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側の露出部分は、放熱部材が接触するように配置されていることを特徴とする請求項2記載の表面実装型発光装置。」
に訂正し、請求項18とする。

(10)訂正事項10
訂正前の特許請求の範囲の請求項9、
「第1の樹脂成形体は、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質、遮光性物質からなる群から選択される少なくとも1種が混合されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の表面実装型発光装置。」
を、
「第1の樹脂成形体は、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質、遮光性物質からなる群から選択される少なくとも1種が混合されていることを特徴とする請求項2記載の表面実装型発光装置。」
に訂正し、請求項19とする。

(11)訂正事項11
訂正前の特許請求の範囲の請求項10、
「第2の樹脂成形体は、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質からなる群から選択される少なくとも1種が混合されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の表面実装型発光装置。」
を、
「第2の樹脂成形体は、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質からなる群から選択される少なくとも1種が混合されていることを特徴とする請求項2記載の表面実装型発光装置。」
に訂正し、請求項20とする。

(12)訂正事項12
訂正前の特許請求の範囲の請求項5、
「第1のリードの裏面側の露出部分と第2のリードの裏面側の露出部分とは、実質的に同一平面上にあることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の表面実装型発光装置。」
を、
「発光素子と、発光素子を載置するための第1のリードと発光素子と電気的に接続される第2のリードとを一体成形してなる第1の樹脂成形体と、発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置であって、
発光素子は、発光波長が420nm以上490nm以下にあり、
第1の樹脂成形体は、酸化チタン顔料が含有されており、
第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第1のインナーリード部は発光素子が載置されており、かつ、発光素子が持つ第1の電極と電気的に接続されており、並びに第1のアウターリード部は第1の樹脂成形体から露出されており、
第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、第2のインナーリード部は発光素子が持つ第2の電極と電気的に接続されており、並びに第2のアウターリード部は第1の樹脂成形体から露出されており、
第1の樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、第1の樹脂成形体の凹部の底面から第1のインナーリード部が露出されており、その露出部分に発光素子が載置されており、
第1のインナーリード部の発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側は、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出されており、
第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体とは熱硬化性樹脂であり、
第1の樹脂成形体は、トランスファ・モールドにより成形されており、
凹部の底面を上方から見る平面視において、第1のリード及び第2のリードは、凹部の底面から外側に互いに反対の方向に延びており、その延びる方向に沿って延在する側面が凹凸を有する形状とされ、その凹凸に第1の樹脂成形体が接触しており、
第1のインナーリード部の発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側の露出部分と、第2のインナーリード部の発光素子と電気的に接続された部分と反対の裏面側の露出部分とは、実質的に同一平面上にあることを特徴とする表面実装型発光装置。」
に訂正し、請求項21とする。

(13)訂正事項13
訂正前の特許請求の範囲の請求項7、
「第1のリード及び第2のリード、又は、第1のインナーリード部及び第2のインナーリード部は、金属メッキが施されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の表面実装型発光装置。」
を、
「発光素子と、発光素子を載置するための第1のリードと発光素子と電気的に接続される第2のリードとを一体成形してなる第1の樹脂成形体と、発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置であって、
発光素子は、発光波長が420nm以上490nm以下にあり、
第1の樹脂成形体は、酸化チタン顔料が含有されており、
第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第1のインナーリード部は発光素子が載置されており、かつ、発光素子が持つ第1の電極と電気的に接続されており、並びに第1のアウターリード部は第1の樹脂成形体から露出されており、
第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、第2のインナーリード部は発光素子が持つ第2の電極と電気的に接続されており、並びに第2のアウターリード部は第1の樹脂成形体から露出されており、
第1の樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、第1の樹脂成形体の凹部の底面から第1のインナーリード部が露出されており、その露出部分に発光素子が載置されており、
第1のインナーリード部の発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側は、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出されており、
第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体とは熱硬化性樹脂であり、
第1の樹脂成形体は、トランスファ・モールドにより成形されており、
凹部の底面を上方から見る平面視において、第1のリード及び第2のリードは、凹部の底面から外側に互いに反対の方向に延びており、その延びる方向に沿って延在する側面が凹凸を有する形状とされ、その凹凸に第1の樹脂成形体が接触しており、
第1のインナーリード部及び第2のインナーリード部は、表面を平滑にするように金属メッキが施されていることを特徴とする表面実装型発光装置。」
に訂正し、請求項22とする。

(14)訂正事項14
訂正前の特許請求の範囲の請求項8、
「第1の樹脂成形体は、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種により形成されてなることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の表面実装型発光装置。」
を、
「発光素子と、発光素子を載置するための第1のリードと発光素子と電気的に接続される第2のリードとを一体成形してなる第1の樹脂成形体と、発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置であって、
発光素子は、発光波長が420nm以上490nm以下にあり、
第1の樹脂成形体は、酸化チタン顔料が含有されており、
第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第1のインナーリード部は発光素子が載置されており、かつ、発光素子が持つ第1の電極と電気的に接続されており、並びに第1のアウターリード部は第1の樹脂成形体から露出されており、
第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、第2のインナーリード部は発光素子が持つ第2の電極と電気的に接続されており、並びに第2のアウターリード部は第1の樹脂成形体から露出されており、
第1の樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、第1の樹脂成形体の凹部の底面から第1のインナーリード部が露出されており、その露出部分に発光素子が載置されており、
第1のインナーリード部の発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側は、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出されており、
第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体とは熱硬化性樹脂であり、
第1の樹脂成形体は、トランスファ・モールドにより成形されており、
凹部の底面を上方から見る平面視において、第1のリード及び第2のリードは、凹部の底面から外側に互いに反対の方向に延びており、その延びる方向に沿って延在する側面が凹凸を有する形状とされ、その凹凸に第1の樹脂成形体が接触しており、
第1の樹脂成形体は、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種により形成されてなり、第2の樹脂成形体はシリコーン樹脂又は変性シリコーン樹脂により形成されてなることを特徴とする、表面実装型発光装置。」
に訂正し、請求項23とする。

(15)訂正事項15
訂正前の特許請求の範囲の請求項11、
「第1のリードと第2のリードとを一体成形してなる樹脂成形体であって、
第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第1のインナーリード部は樹脂成形体中に配置されており、第1のアウターリード部は樹脂成形体から露出されており、
第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、第2のインナーリード部は樹脂成形体中に配置されており、第2のアウターリード部は樹脂成形体から露出されており、
樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、樹脂成形体の凹部の底面から第1のインナーリード部及び第2のインナーリード部が露出されており、
露出されている第1のインナーリード部及び第2のインナーリード部の裏面側は、樹脂成形体から露出されており、
樹脂成形体は、酸化チタン顔料が含有された熱硬化性樹脂であり、
樹脂成形体は、トランスファ・モールドにより成形されていることを特徴とする樹脂成形体。」
を、
「第1のリードと第2のリードとを一体成形してなる表面実装型発光装置用の樹脂成形体であって、
第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第1のインナーリード部は樹脂成形体中に配置されており、第1のアウターリード部は樹脂成形体から露出されており、
第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、第2のインナーリード部は樹脂成形体中に配置されており、第2のアウターリード部は樹脂成形体から露出されており、
樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、樹脂成形体の凹部の底面から第1のインナーリード部及び第2のインナーリード部が露出されており、
露出されている第1のインナーリード部に発光素子の載置領域が含まれ、
露出されている第1のインナーリード部及び第2のインナーリード部の裏面側は、樹脂成形体から露出されており、
樹脂成形体は、酸化チタン顔料が含有された熱硬化性樹脂であり、
樹脂成形体は、トランスファ・モールドにより成形されており、
露出されている第1のインナーリード部の発光素子の載置領域の裏面側が樹脂成形体から露出されていることにより、表面実装型発光装置としたときに発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できることを特徴とする樹脂成形体。」
に訂正する。
また、請求項11の記載を引用する請求項12、13及び15も同様に訂正する。

(16)訂正事項16
訂正前の特許請求の範囲の請求項14、
「凹部は、開口方向に広口となるように傾斜が設けられていることを特徴とする請求項11に記載の樹脂成形体。」
を、
「第1のリードと第2のリードとを一体成形してなる表面実装型発光装置用の樹脂成形体であって、
第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第1のインナーリード部は樹脂成形体中に配置されており、第1のアウターリード部は樹脂成形体から露出されており、
第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、第2のインナーリード部は樹脂成形体中に配置されており、第2のアウターリード部は樹脂成形体から露出されており、
樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、樹脂成形体の凹部の底面から第1のインナーリード部及び第2のインナーリード部が露出されており、
露出されている第1のインナーリード部に発光素子の載置領域が含まれ、 露出されている第1のインナーリード部及び第2のインナーリード部の裏面側は、樹脂成形体から露出されており、
樹脂成形体は、酸化チタン顔料が含有された熱硬化性樹脂であり、
樹脂成形体は、トランスファ・モールドにより成形されており、
露出されている第1のインナーリード部の発光素子の載置領域の裏面側が樹脂成形体から露出されていることにより、表面実装型発光装置としたときに発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱でき、
凹部は、開口方向に広口となるように傾斜が設けられており、凹部の底面を上方から見る平面視において、第1のリード及び第2のリードは、凹部の底面から外側に互いに反対の方向に延びており、その延びる方向に沿って延在する側面が凹凸を有する形状とされ、その凹凸に樹脂成形体が接触していることを特徴とする樹脂成形体。」
に訂正する。

(17)訂正事項17
訂正前の特許請求の範囲の請求項16、
「第1のリードと第2のリードとを一体成形してなる、底面と側面とを持つ凹部が形成されている樹脂成形体の製造方法であって、
上金型は樹脂成形体の凹部に相当する凹みを形成しており、第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、
樹脂成形体の凹部の底面に相当する第1のインナーリード部と第2のインナーリード部並びに第1のアウターリード部と第2のアウターリード部は上金型と下金型とで挟み込まれる第1の工程と、
上金型と下金型とで挟み込まれた凹み部分に酸化チタン顔料が含有された熱硬化性樹脂をトランスファ・モールド工程により流し込まれる第2の工程と、
流し込まれた熱硬化性樹脂は加熱して硬化され、樹脂成形体が成形される第3の工程と、
を有する樹脂成形体の製造方法。」
を、
「第1のリードと第2のリードとを一体成形してなる、底面と側面とを持つ凹部が形成されている表面実装型発光装置用の樹脂成形体の製造方法であって、
上金型は樹脂成形体の凹部に相当する凹みを形成しており、第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、
樹脂成形体の凹部の底面に相当する発光素子の載置領域を含む第1のインナーリード部と第2のインナーリード部並びに第1のアウターリード部と第2のアウターリード部は、第1のインナーリード部の発光素子の載置領域の裏面側を、表面実装型発光装置としたときに発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、樹脂成形体から露出させるため、上金型と下金型とで挟み込まれる第1の工程と、
上金型と下金型とで挟み込まれた凹み部分に酸化チタン顔料が含有された熱硬化性樹脂をトランスファ・モールド工程により流し込まれる第2の工程と、
流し込まれた熱硬化性樹脂は加熱して硬化され、樹脂成形体が成形される第3の工程と、
を有する樹脂成形体の製造方法。」
に訂正する。

(18)訂正事項18
訂正前の特許請求の範囲の請求項17、
「第1のリードと第2のリードとを一体成形してなる、底面と側面とを持つ凹部が形成されている第1の樹脂成形体と、第1のリードに載置される発光波長が420nm以上490nm以下にある発光素子と、発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置の製造方法であって、
上金型は第1の樹脂成形体の凹部に相当する凹みを形成しており、第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、
第1の樹脂成形体の凹部の底面に相当する第1のインナーリード部と第2のインナーリード部並びに第1のアウターリード部と第2のアウターリード部は上金型と下金型とで挟み込まれる第1の工程と、
上金型と下金型とで挟み込まれた凹み部分に酸化チタン顔料が含有された第1の熱硬化性樹脂がトランスファ・モールド工程により流し込まれる第2の工程と、
流し込まれた第1の熱硬化性樹脂は加熱して硬化され、第1の樹脂成形体が成形される第3の工程と、
上金型が取り外される第4の工程と、
発光素子は第1のインナーリード部に載置されるとともに、発光素子が持つ第1の電極と第1のインナーリード部とが電気的に接続され、発光素子が持つ第2の電極と第2のインナーリード部とが電気的に接続される第5の工程と、
発光素子が載置された凹部内に第2の熱硬化性樹脂が配置される第6の工程と、
第2の熱硬化性樹脂は加熱して硬化され、第2の樹脂成形体が成形される第7の工程と、
を有する表面実装型発光装置の製造方法。」
を、
「第1のリードと第2のリードとを一体成形してなる、底面と側面とを持つ凹部が形成されている第1の樹脂成形体と、第1のリードに載置される発光波長が420nm以上490nm以下にある発光素子と、発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置の製造方法であって、
上金型は第1の樹脂成形体の凹部に相当する凹みを形成しており、第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、
第1の樹脂成形体の凹部の底面に相当する第1のインナーリード部と第2のインナーリード部並びに第1のアウターリード部と第2のアウターリード部は、第1のインナーリード部の発光素子の載置領域の裏面側を、表面実装型発光装置としたときに発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出させ、かつバリの発生を低減するため、上金型と下金型とで挟み込まれる第1の工程と、
上金型と下金型とで挟み込まれた凹み部分に酸化チタン顔料が含有された第1の熱硬化性樹脂がトランスファ・モールド工程により流し込まれる第2の工程と、
流し込まれた第1の熱硬化性樹脂は加熱して硬化され、第1の樹脂成形体が成形される第3の工程と、
上金型が取り外される第4の工程と、
発光素子は第1のインナーリード部に載置されるとともに、発光素子が持つ第1の電極と第1のインナーリード部とが電気的に接続され、発光素子が持つ第2の電極と第2のインナーリード部とが電気的に接続される第5の工程と、
発光素子が載置された凹部内に第2の熱硬化性樹脂が配置される第6の工程と、
第2の熱硬化性樹脂は加熱して硬化され、第2の樹脂成形体が成形される第7の工程と、
を有する表面実装型発光装置の製造方法。」
に訂正する。

2 訂正の適否
(1)請求項1、3、5ないし7、9及び10に係る訂正事項1ないし6について
ア 訂正の目的並びに新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張ないし変更の有無
(ア)訂正事項1
a(a)訂正事項1は、訂正前には特定されていない、第1のリードの、第1の樹脂成形体から露出されている主面側と反対の裏面側の部位、及び、露出させる意図について、「第1のリードの発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側は、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出されており」と特定するものと認められるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当すると認められる。

(b)請求人は、平成26年3月18日提出の審判事件弁駁書(7(1)〈1〉)において、「第1のリードの発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側」とは、結局のところ「発光素子が載置されている主面側と反対の第1のリードの裏面側」を意味するものと解され、「発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、」とは、【0034】に記載されるとおり、「発光素子が載置されている主面側と反対の第1のリードの裏面側は、第1の樹脂成形体から露出されていること」による効果を、表現を変えて記載したものにすぎず、何ら新たな構成が特定されているものではないから、訂正事項1は、表現の変更にとどまるものであり、何ら実質的な減縮を伴うものではない旨主張する。
しかし、上記(a)のとおりであり、採用できない。

b(a)本件特許の願書に添付した明細書又は図面(以下、単に「本件特許明細書」という。)には、
「【0034】
発光素子が載置されている主面側と反対の第1のリードの裏面側は、第1の樹脂成形体から露出されていることが好ましい。表面実装型発光装置に電流を投入すると発光するとともに発光素子は発熱する。本構成にすることにより、この熱を効率よく外部に放出することができる。特に、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるため、極めて効率よく放熱することができる。」
との記載がある。
図1は、次のものである。


(b)図1から、第1のリードの発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側は、第1の樹脂成形体から露出されていることが認められ、上記(ア)のとおり、本件特許明細書に「発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるため、極めて効率よく放熱することができる」との記載があることを併せてみれば、請求項1において「第1のリードの発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側は、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出されて」いるとの事項を追加する訂正事項1は、本件特許明細書に記載された全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないと認められる。

(c)したがって、訂正事項1は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(イ)訂正事項2
a 訂正事項2は、訂正前の請求項5において、記載を引用する請求項を、「1又は2」から「1」に訂正するとともに、第2のリードの裏面側の露出部分と実質的に同一平面上にある第1のリードの裏面側の露出部分が「第1のリードの発光素子が載置されている領域」の主面側と反対の部分であることを特定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当すると認められる。

b 上記(ア)bでの検討と同様の理由により、訂正事項2は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(ウ)訂正事項3
a 訂正事項3は、訂正前の請求項6において、記載を引用する請求項を、「1又は2」から「1」に訂正するとともに、放熱部材が接触するように配置されている第1のリードの裏面側の露出部分が「第1のリードの発光素子が載置されている領域」の主面側と反対の部分であることを特定するものであるから、訂正事項3は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当すると認められる。

b 上記(ア)bでの検討と同様の理由により、訂正事項3は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(エ)訂正事項4
訂正事項4は、訂正前の請求項7において、記載を引用する請求項を、「1又は2」から「1」に訂正するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当すると認められる。
また、訂正事項4は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(オ)訂正事項5
訂正事項5は、訂正前の請求項9において、記載を引用する請求項を、「1又は2」から「1」に訂正するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当すると認められる。
また、訂正事項5は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(カ)訂正事項6
訂正事項6は、訂正前の請求項10において、記載を引用する請求項を、「1又は2」から「1」に訂正するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当すると認められる。
また、訂正事項6は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

イ 特許法第134条の2第9項で準用する第126条第4項に規定する要件について
本件訂正後の請求項3、5ないし7、9及び10は、請求項1の記載を引用しているものであるから、訂正事項1ないし6に係る本件訂正後の請求項1、3、5ないし7、9及び10は、特許法施行規則第46条の2第2号に規定する関係を有する一群の請求項を構成する。
したがって、訂正事項1ないし6は、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第4項の規定に適合するものである。

(2)請求項8に係る訂正事項7について
ア 訂正事項7は、訂正前の請求項8において、請求項1又は2の記載を引用する記載であったものを、請求項の記載を引用しないものにするとともに、訂正前の請求項1を引用するものにおいて、第1のリードの、第1の樹脂成形体から露出されている主面側と反対の裏面側について、発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側が、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出されていること、第2の樹脂成形体が、シリコーン樹脂又は変性シリコーン樹脂により形成されてなることを特定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び同第4号に掲げる請求項間の引用関係の解消を目的とするものに該当すると認められる。

イ(ア)第1のリードの、第1の樹脂成形体から露出されている主面側と反対の裏面側について、発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側が、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出されていると訂正することについては、前記(1)ア(ア)bでの検討と同様の理由により、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(イ)第2の樹脂成形体が、シリコーン樹脂又は変性シリコーン樹脂により形成されてなると訂正することについては、本件特許明細書に、
「【0087】
第2の樹脂成形体50の材質は熱硬化性樹脂である。熱硬化性樹脂のうち、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種により形成することが好ましく、特にエポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂が好ましい。」
との記載があるから、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

ウ したがって、訂正事項7は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(3)請求項2、4及び18ないし20に係る訂正事項8ないし11について
ア 訂正の目的並びに新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張ないし変更の有無
(ア)訂正事項8
a 訂正事項8は、訂正前の請求項2において、第1のインナーリード部の、第1の樹脂成形体から露出されている主面側と反対の裏面側について、発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側が、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出されていること、凹部の底面を上方から見る平面視において、第1のリード及び第2のリードは、凹部の底面から外側に互いに反対の方向に延びており、その延びる方向に沿って延在する側面が凹凸を有する形状とされ、その凹凸に第1の樹脂成形体が接触していることを特定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当すると認められる。

b(a)第1のインナーリード部の、第1の樹脂成形体から露出されている主面側と反対の裏面側について、発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側が、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出されていると訂正することについては、前記(1)ア(ア)bでの検討と同様の理由により、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(b)凹部の底面を上方から見る平面視において、第1のリード及び第2のリードは、凹部の底面から外側に互いに反対の方向に延びており、その延びる方向に沿って延在する側面が凹凸を有する形状とされ、その凹凸に第1の樹脂成形体が接触していると訂正することについては、本件特許明細書に、
「【0109】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態に係る表面実装型発光装置について説明する。第1の実施の形態に係る表面実装型発光装置と同様な構成を採る部分については説明を省略する。図4は、第2の実施の形態に係る表面実装型発光装置を示す概略平面図である。
【0110】
この表面実装型発光装置は、第1のリード21及び第2のリード31に凹凸を設け、第1の樹脂成形体40との接触面積を拡げている。これにより第1の樹脂成形体40から第1のリード21及び第2のリード31が抜脱するのを防止することができる。」
との記載があり、図4から、凹部の底面を上方から見る平面視において、第1のリード及び第2のリードは、凹部の底面から外側に互いに反対の方向に延びており、その延びる方向に沿って延在する側面が凹凸を有する形状とされ、その凹凸に第1の樹脂成形体が接触していることが理解できるから、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
なお、図4は、次のものである。


c したがって、訂正事項8は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(イ)訂正事項9
a 訂正事項9は、訂正前の請求項6において、記載を引用する請求項を、「1又は2」から「2」に訂正して請求項18とするとともに、放熱部材が接触するように配置されている、第1のインナーリード部の裏面側の露出部分が、発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側であることを特定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当すると認められる。

b 前記(1)ア(ア)bでの検討と同様の理由により、訂正事項9は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(ウ)訂正事項10
訂正事項10は、訂正前の請求項6において、記載を引用する請求項を、「1又は2」から「2」に訂正して請求項19とするものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当すると認められる。
そして、訂正事項10は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(エ)訂正事項11
訂正事項11は、訂正前の請求項10において、記載を引用する請求項を、「1又は2」から「2」に訂正して請求項20とするものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当すると認められる。
そして、訂正事項11は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

イ 特許法第134条の2第9項で準用する第126条第4項に規定する要件について
本件訂正後の請求項4、18ないし20は、請求項2の記載を引用しているものであるから、訂正事項8ないし11に係る本件訂正後の請求項2、4、18ないし20は、特許法施行規則第46条の2第2号に規定する関係を有する一群の請求項を構成する。
したがって、訂正事項8ないし11は、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第4項の規定に適合するものである。

(4)請求項21に係る訂正事項12について
ア 訂正事項12は、訂正前の請求項5において、請求項1又は2の記載を引用する記載であったものを、請求項の記載を引用しないものにするとともに、訂正前の請求項2を引用するものにおいて、第1のインナーリード部の、第1の樹脂成形体から露出されている主面側と反対の裏面側について、発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側が、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出されていること、凹部の底面を上方から見る平面視において、第1のリード及び第2のリードは、凹部の底面から外側に互いに反対の方向に延びており、その延びる方向に沿って延在する側面が凹凸を有する形状とされ、その凹凸に第1の樹脂成形体が接触していること、第1のインナーリード部の発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側の露出部分と、第2のインナーリード部の発光素子と電気的に接続された部分と反対の裏面側の露出部分とは、実質的に同一平面上にあることを特定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び同第4号に掲げる請求項間の引用関係の解消を目的とするものに該当すると認められる。

イ(ア)第1のインナーリード部の、第1の樹脂成形体から露出されている主面側と反対の裏面側について、発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側が、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出されていると訂正することについては、前記(1)ア(ア)bでの検討と同様の理由により、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(イ)凹部の底面を上方から見る平面視において、第1のリード及び第2のリードは、凹部の底面から外側に互いに反対の方向に延びており、その延びる方向に沿って延在する側面が凹凸を有する形状とされ、その凹凸に第1の樹脂成形体が接触していると訂正することについては、前記(3)ア(ア)b(b)での検討と同様の理由により、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(ウ)第1のインナーリード部の発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側の露出部分と、第2のインナーリード部の発光素子と電気的に接続された部分と反対の裏面側の露出部分とは、実質的に同一平面上にあると訂正することについては、本件特許明細書に、
「【0036】
第1のリードの裏面側の露出部分と第2のリードの裏面側の露出部分とは、実質的に同一平面上にあることが好ましい。これにより、表面実装型発光装置の実装時の安定性を向上することができる。また、露出部分が同一平面上にあることから、平板上の外部電極に半田を用いて表面実装型発光装置を載置して実装すればよく、表面実装型発光装置の実装性を向上させることができる。さらに、金型による成形が極めて容易となる。」
との記載があるから、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

ウ したがって、訂正事項12は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(5)請求項22に係る訂正事項13について
ア 訂正事項13は、訂正前の請求項7において、請求項1又は2の記載を引用する記載であったものを、請求項の記載を引用しないものにするとともに、訂正前の請求項2を引用するものにおいて、第1のインナーリード部の、第1の樹脂成形体から露出されている主面側と反対の裏面側について、発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側が、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出されていること、凹部の底面を上方から見る平面視において、第1のリード及び第2のリードは、凹部の底面から外側に互いに反対の方向に延びており、その延びる方向に沿って延在する側面が凹凸を有する形状とされ、その凹凸に第1の樹脂成形体が接触していること、第1のインナーリード部及び第2のインナーリード部に施されている金属メッキが、表面を平滑にするように施されていることを特定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び同第4号に掲げる請求項間の引用関係の解消を目的とするものに該当すると認められる。

イ(ア)第1のインナーリード部の、第1の樹脂成形体から露出されている主面側と反対の裏面側について、発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側が、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出されていると訂正することについては、前記(1)ア(ア)bでの検討と同様の理由により、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(イ)凹部の底面を上方から見る平面視において、第1のリード及び第2のリードは、凹部の底面から外側に互いに反対の方向に延びており、その延びる方向に沿って延在する側面が凹凸を有する形状とされ、その凹凸に第1の樹脂成形体が接触していると訂正することについては、前記(3)ア(ア)b(b)での検討と同様の理由により、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(ウ)第1のインナーリード部及び第2のインナーリード部に施されている金属メッキが、表面を平滑にするように施されていると訂正することについては、本件特許明細書に、
「【0084】
第1のリード20及び第2のリード30は、鉄、リン青銅、銅合金等の電気良導体を用いて構成することができる。また、発光素子10からの光の反射率を向上させるため、第1のリード20及び第2のリード30の表面に銀、アルミニウム、銅や金等の金属メッキを施すこともできる。また、第1のリード20及び第2のリード30の表面の反射率を向上させるため、平滑にすることが好ましい。」
との記載があるから、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

ウ したがって、訂正事項13は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(6)請求項23に係る訂正事項14について
ア 訂正事項14は、訂正前の請求項8において、請求項1又は2の記載を引用する記載であったものを、請求項の記載を引用しないものにするとともに、訂正前の請求項2を引用するものにおいて、第1のインナーリード部の、第1の樹脂成形体から露出されている主面側と反対の裏面側について、発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側が、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出されていること、凹部の底面を上方から見る平面視において、第1のリード及び第2のリードは、凹部の底面から外側に互いに反対の方向に延びており、その延びる方向に沿って延在する側面が凹凸を有する形状とされ、その凹凸に第1の樹脂成形体が接触していること、第2の樹脂成形体が、シリコーン樹脂又は変性シリコーン樹脂により形成されてなることを特定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び同第4号に掲げる請求項間の引用関係の解消を目的とするものに該当すると認められる。

イ(ア)第1のインナーリード部の、第1の樹脂成形体から露出されている主面側と反対の裏面側について、発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側が、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出されていると訂正することについては、前記(1)ア(ア)bでの検討と同様の理由により、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(イ)凹部の底面を上方から見る平面視において、第1のリード及び第2のリードは、凹部の底面から外側に互いに反対の方向に延びており、その延びる方向に沿って延在する側面が凹凸を有する形状とされ、その凹凸に第1の樹脂成形体が接触していると訂正することについては、前記(3)ア(ア)b(b)での検討と同様の理由により、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(ウ)第2の樹脂成形体が、シリコーン樹脂又は変性シリコーン樹脂により形成されてなると訂正することについては、前記(2)イ(イ)での検討と同様の理由により、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

ウ したがって、訂正事項14は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(7)請求項11ないし13及び15に係る訂正事項15について
ア 訂正の目的並びに新規事項の追加及び特許請求の範囲の拡張ないし変更の有無
(ア)訂正事項15は、訂正前の請求項11において、樹脂成形体が表面実装型発光装置用であること、樹脂成形体の凹部の底面から露出されている第1のインナーリード部に発光素子の載置領域が含まれること、露出されている第1のインナーリード部の発光素子の載置領域の裏面側が樹脂成形体から露出されていることにより、表面実装型発光装置としたときに発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できることを特定するものであるから、訂正事項1は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当すると認められる。

(イ)a 樹脂成形体が表面実装型発光装置用であると訂正することについては、本件特許明細書の
「【0007】
以上のことから、本発明は、高寿命で量産性に優れた表面実装型発光装置及びその表面実装型発光装置に用いる成形体を提供することを目的とする。また、製造容易なそれらの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の問題点を解決すべく、本発明者は鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに到った。
【0009】
本発明は、発光素子と、発光素子を載置するための第1のリードと発光素子と電気的に接続される第2のリードとを一体成形してなる第1の樹脂成形体と、発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置であって、第1の樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、第1の樹脂成形体の凹部の底面から第1のリードが露出されており、その露出部分に発光素子が載置されており、第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体とは熱硬化性樹脂である表面実装型発光装置に関する。この熱硬化性樹脂は可能な限り分子内に芳香族成分を有しないものが好ましい。」
との記載によれば、本件特許明細書には、樹脂成形体が表面実装型発光装置に用いるものであることが記載されているものと認められるから、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

b 樹脂成形体の凹部の底面から露出されている第1のインナーリード部に発光素子の載置領域が含まれると訂正することについては、本件特許明細書の
「【0059】
第1の樹脂成形体40は、底面40aと側面40bとを持つ凹部40cを形成している。第1のリード20の第1のインナーリード部20aは、第1の樹脂成形体40の凹部40cの底面40aから露出している。この露出部分にダイボンド部材を介して発光素子10を載置している。第1の樹脂成形体40は、トランスファ・モールドにより成形する。第1の樹脂成形体40は、熱硬化性樹脂を用いている。凹部40cの開口部は、底面40aよりも広口になっており、側面40bには傾斜が設けられていることが好ましい。」
との記載によれば、第1のインナーリード部の露出部分に発光素子が載置されること、すなわち、露出されている第1のインナーリード部に発光素子の載置領域が含まれていることが理解できるから、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

c 露出されている第1のインナーリード部の発光素子の載置領域の裏面側が樹脂成形体から露出されていることにより、表面実装型発光装置としたときに発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できると訂正することについては、前記(1)ア(ア)bでの検討と同様の理由により、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

イ 特許法第134条の2第9項で準用する第126条第4項に規定する要件について
本件訂正後の請求項12ないし13及び15は、請求項11の記載を引用しているものであるから、訂正事項15に係る本件訂正後の請求項11ないし13及び15は、特許法施行規則第46条の2第2号に規定する関係を有する一群の請求項を構成する。
したがって、訂正事項15は、特許法第134条の2第9項で準用する第126条第4項の規定に適合するものである。

(8)請求項14に係る訂正事項16について
ア 訂正事項16は、訂正前の請求項14において、請求項11の記載を引用する記載であったものを、請求項の記載を引用しないものにするとともに、樹脂成形体が表面実装型発光装置用であること、樹脂成形体の凹部の底面から露出されている第1のインナーリード部に発光素子の載置領域が含まれること、露出されている第1のインナーリード部の発光素子の載置領域の裏面側が樹脂成形体から露出されていることにより、表面実装型発光装置としたときに発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できること、凹部の底面を上方から見る平面視において、第1のリード及び第2のリードは、凹部の底面から外側に互いに反対の方向に延びており、その延びる方向に沿って延在する側面が凹凸を有する形状とされ、その凹凸に樹脂成形体が接触していることを特定するものであるから、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び同第4号に掲げる請求項間の引用関係の解消を目的とするものに該当すると認められる。

イ(ア)樹脂成形体が表面実装型発光装置用であると訂正することについては、上記(7)ア(イ)aでの検討と同様の理由により、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(イ)樹脂成形体の凹部の底面から露出されている第1のインナーリード部に発光素子の載置領域が含まれると訂正することについては、上記(7)ア(イ)bでの検討と同様の理由により、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(ウ)露出されている第1のインナーリード部の発光素子の載置領域の裏面側が樹脂成形体から露出されていることにより、表面実装型発光装置としたときに発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できると訂正することについては、前記(1)ア(ア)bでの検討と同様の理由により、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(エ)凹部の底面を上方から見る平面視において、第1のリード及び第2のリードは、凹部の底面から外側に互いに反対の方向に延びており、その延びる方向に沿って延在する側面が凹凸を有する形状とされ、その凹凸に樹脂成形体が接触していると訂正することについては、前記(3)ア(ア)a(b)での検討と同様の理由により、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

ウ したがって、訂正事項16は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(9)請求項16に係る訂正事項17について
ア 訂正事項17は、訂正前の請求項16において、樹脂成形体が表面実装型発光装置用であること、樹脂成形体の凹部の底面に相当する第1のインナーリード部が発光素子の載置領域を含むこと、第1のインナーリード部と第2のインナーリード部並びに第1のアウターリード部と第2のアウターリード部が上金型と下金型とで挟み込まれる第1の工程は、第1のインナーリード部の発光素子の載置領域の裏面側を、表面実装型発光装置としたときに発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、樹脂成形体から露出させるためであることを特定するものであるから、訂正事項17は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当すると認められる。

イ(ア)樹脂成形体が表面実装型発光装置用であると訂正することについては、上記(7)ア(イ)aでの検討と同様の理由により、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(イ)樹脂成形体の凹部の底面から露出されている第1のインナーリード部に発光素子の載置領域が含まれると訂正することについては、上記(7)ア(イ)bでの検討と同様の理由により、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(ウ)第1の工程は、第1のインナーリード部の発光素子の載置領域の裏面側を、表面実装型発光装置としたときに発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、樹脂成形体から露出させるためであると訂正することについては、前記(1)ア(ア)bでの検討と同様の理由により、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

ウ したがって、訂正事項17は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

(10)請求項17に係る訂正事項18について
ア 訂正事項18は、訂正前の請求項17において、第1の樹脂成形体の凹部の底面に相当する第1のインナーリード部と第2のインナーリード部並びに第1のアウターリード部と第2のアウターリード部が上金型と下金型とで挟み込まれる第1の工程は、第1のインナーリード部の発光素子の載置領域の裏面側を、表面実装型発光装置としたときに発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出させ、かつバリの発生を低減させるためであることを特定するものであるから、訂正事項18は、特許法第134条の2第1項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当すると認められる。

イ(ア)第1の工程は、第1のインナーリード部の発光素子の載置領域の裏面側を、表面実装型発光装置としたときに発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出させるためであると訂正することについては、前記(1)ア(ア)bでの検討と同様の理由により、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(イ)第1の工程は、バリの発生を低減させるためであると訂正することについては、本件特許明細書に
「【0035】
・・・また、製造工程において、第1のリード及び第2のリードを所定の金型で挟み込むため、バリの発生を低減することができ、量産性を向上させることができる。・・・」
との記載があるから、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

ウ したがって、訂正事項18は、本件特許明細書に記載された事項の範囲内でするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないから、特許法第134条の2第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正を認める。

第4 訂正発明
上記のとおり、本件訂正が認められたので、本件特許の請求項1ないし23に係る発明は、本件訂正後の特許請求の範囲の各請求項に記載した、次のとおりのものと認められる(以下、本件訂正後の各請求項に係る発明を「訂正発明1」ないし「訂正発明23」という。また、本件訂正前の各請求項に係る発明を「本件発明1」ないし「本件発明23」という。)。
なお、第3での検討、特に引用関係の解消を目的に含む訂正事項の検討に照らして、訂正発明21、18、22、23、19、20は、それぞれ、本件発明5、6、7、8、9、10と対応関係にあるものと認められる。

1 訂正発明1(【請求項1】)
「発光素子と、発光素子を載置するための第1のリードと発光素子と電気的に接続される第2のリードとを一体成形してなる第1の樹脂成形体と、発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置であって、
発光素子は、発光波長が420nm以上490nm以下にあり、
第1の樹脂成形体は、酸化チタン顔料が含有されており、
第1の樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、第1の樹脂成形体の凹部の底面から第1のリードが露出されており、その露出部分に発光素子が載置されており、
第1のリードの発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側は、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出されており、
第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体とは熱硬化性樹脂であり、
第1の樹脂成形体は、トランスファ・モールドにより成形されていることを特徴とする表面実装型発光装置。」

2 訂正発明2(【請求項2】)
「発光素子と、発光素子を載置するための第1のリードと発光素子と電気的に接続される第2のリードとを一体成形してなる第1の樹脂成形体と、発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置であって、
発光素子は、発光波長が420nm以上490nm以下にあり、
第1の樹脂成形体は、酸化チタン顔料が含有されており、
第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第1のインナーリード部は発光素子が載置されており、かつ、発光素子が持つ第1の電極と電気的に接続されており、並びに第1のアウターリード部は第1の樹脂成形体から露出されており、
第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、第2のインナーリード部は発光素子が持つ第2の電極と電気的に接続されており、並びに第2のアウターリード部は第1の樹脂成形体から露出されており、
第1の樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、第1の樹脂成形体の凹部の底面から第1のインナーリード部が露出されており、その露出部分に発光素子が載置されており、
第1のインナーリード部の発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側は、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出されており、
第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体とは熱硬化性樹脂であり、
第1の樹脂成形体は、トランスファ・モールドにより成形されており、
凹部の底面を上方から見る平面視において、第1のリード及び第2のリードは、凹部の底面から外側に互いに反対の方向に延びており、その延びる方向に沿って延在する側面が凹凸を有する形状とされ、その凹凸に第1の樹脂成形体が接触していることを特徴とする表面実装型発光装置。」

3 訂正発明3(【請求項3】)
「発光素子と電気的に接続された部分と反対の第2のリードの裏面側は、第1の樹脂成形体から露出されていることを特徴とする請求項1に記載の表面実装型発光装置。」

4 訂正発明4(【請求項4】)
「発光素子と電気的に接続された部分と反対の第2のインナーリード部の裏面側は、第1の樹脂成形体から露出されていることを特徴とする請求項2に記載の表面実装型発光装置。」

5 訂正発明5(【請求項5】)
「第1のリードの発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側の露出部分と第2のリードの裏面側の露出部分とは、実質的に同一平面上にあることを特徴とする請求項1記載の表面実装型発光装置。」

6 訂正発明6(【請求項6】)
「第1のリードの発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側の露出部分は、放熱部材が接触するように配置されていることを特徴とする請求項1記載の表面実装型発光装置。」

7 訂正発明7(【請求項7】)
「第1のリード及び第2のリードは、金属メッキが施されていることを特徴とする請求項1記載の表面実装型発光装置。」

8 訂正発明8(【請求項8】)
「発光素子と、発光素子を載置するための第1のリードと発光素子と電気的に接続される第2のリードとを一体成形してなる第1の樹脂成形体と、発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置であって、
発光素子は、発光波長が420nm以上490nm以下にあり、
第1の樹脂成形体は、酸化チタン顔料が含有されており、
第1の樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、第1の樹脂成形体の凹部の底面から第1のリードが露出されており、その露出部分に発光素子が載置されており、
第1のリードの発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側は、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出されており、
第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体とは熱硬化性樹脂であり、
第1の樹脂成形体は、トランスファ・モールドにより成形されており、
第1の樹脂成形体は、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種により形成されてなり、第2の樹脂成形体はシリコーン樹脂又は変性シリコーン樹脂により形成されてなることを特徴とする、表面実装型発光装置。」

9 訂正発明9(【請求項9】)
「第1の樹脂成形体は、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質、遮光性物質からなる群から選択される少なくとも1種が混合されていることを特徴とする請求項1記載の表面実装型発光装置。」

10 訂正発明10(【請求項10】)
「第2の樹脂成形体は、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質からなる群から選択される少なくとも1種が混合されていることを特徴とする請求項1記載の表面実装型発光装置。」

11 訂正発明11(【請求項11】)
「第1のリードと第2のリードとを一体成形してなる表面実装型発光装置用の樹脂成形体であって、
第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第1のインナーリード部は樹脂成形体中に配置されており、第1のアウターリード部は樹脂成形体から露出されており、
第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、第2のインナーリード部は樹脂成形体中に配置されており、第2のアウターリード部は樹脂成形体から露出されており、
樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、樹脂成形体の凹部の底面から第1のインナーリード部及び第2のインナーリード部が露出されており、
露出されている第1のインナーリード部に発光素子の載置領域が含まれ、
露出されている第1のインナーリード部及び第2のインナーリード部の裏面側は、樹脂成形体から露出されており、
樹脂成形体は、酸化チタン顔料が含有された熱硬化性樹脂であり、
樹脂成形体は、トランスファ・モールドにより成形されており、
露出されている第1のインナーリード部の発光素子の載置領域の裏面側が樹脂成形体から露出されていることにより、表面実装型発光装置としたときに発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できることを特徴とする樹脂成形体。」

12 訂正発明12(【請求項12】)
「第1のリードの裏面側の露出部分と第2のリードの裏面側の露出部分とは、実質的に同一平面上にあることを特徴とする請求項11に記載の樹脂成形体。」

13 訂正発明13(【請求項13】)
「熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項11に記載の樹脂成形体。」

14 訂正発明14(【請求項14】)
「第1のリードと第2のリードとを一体成形してなる表面実装型発光装置用の樹脂成形体であって、
第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第1のインナーリード部は樹脂成形体中に配置されており、第1のアウターリード部は樹脂成形体から露出されており、
第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、第2のインナーリード部は樹脂成形体中に配置されており、第2のアウターリード部は樹脂成形体から露出されており、
樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、樹脂成形体の凹部の底面から第1のインナーリード部及び第2のインナーリード部が露出されており、
露出されている第1のインナーリード部に発光素子の載置領域が含まれ、
露出されている第1のインナーリード部及び第2のインナーリード部の裏面側は、樹脂成形体から露出されており、
樹脂成形体は、酸化チタン顔料が含有された熱硬化性樹脂であり、
樹脂成形体は、トランスファ・モールドにより成形されており、
露出されている第1のインナーリード部の発光素子の載置領域の裏面側が樹脂成形体から露出されていることにより、表面実装型発光装置としたときに発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱でき、
凹部は、開口方向に広口となるように傾斜が設けられており、凹部の底面を上方から見る平面視において、第1のリード及び第2のリードは、凹部の底面から外側に互いに反対の方向に延びており、その延びる方向に沿って延在する側面が凹凸を有する形状とされ、その凹凸に樹脂成形体が接触していることを特徴とする樹脂成形体。」

15 訂正発明15(【請求項15】)
「樹脂成形体は、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質、遮光性物質からなる群から選択される少なくとも1種が混合されていることを特徴とする請求項11に記載の樹脂成形体。」

16 訂正発明16(【請求項16】)
「第1のリードと第2のリードとを一体成形してなる、底面と側面とを持つ凹部が形成されている表面実装型発光装置用の樹脂成形体の製造方法であって、
上金型は樹脂成形体の凹部に相当する凹みを形成しており、第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、
樹脂成形体の凹部の底面に相当する発光素子の載置領域を含む第1のインナーリード部と第2のインナーリード部並びに第1のアウターリード部と第2のアウターリード部は、第1のインナーリード部の発光素子の載置領域の裏面側を、表面実装型発光装置としたときに発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、樹脂成形体から露出させるため、上金型と下金型とで挟み込まれる第1の工程と、
上金型と下金型とで挟み込まれた凹み部分に酸化チタン顔料が含有された熱硬化性樹脂をトランスファ・モールド工程により流し込まれる第2の工程と、
流し込まれた熱硬化性樹脂は加熱して硬化され、樹脂成形体が成形される第3の工程と、
を有する樹脂成形体の製造方法。」

17 訂正発明17(【請求項17】)
「第1のリードと第2のリードとを一体成形してなる、底面と側面とを持つ凹部が形成されている第1の樹脂成形体と、第1のリードに載置される発光波長が420nm以上490nm以下にある発光素子と、発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置の製造方法であって、
上金型は第1の樹脂成形体の凹部に相当する凹みを形成しており、第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、
第1の樹脂成形体の凹部の底面に相当する第1のインナーリード部と第2のインナーリード部並びに第1のアウターリード部と第2のアウターリード部は、第1のインナーリード部の発光素子の載置領域の裏面側を、表面実装型発光装置としたときに発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出させ、かつバリの発生を低減するため、上金型と下金型とで挟み込まれる第1の工程と、
上金型と下金型とで挟み込まれた凹み部分に酸化チタン顔料が含有された第1の熱硬化性樹脂がトランスファ・モールド工程により流し込まれる第2の工程と、
流し込まれた第1の熱硬化性樹脂は加熱して硬化され、第1の樹脂成形体が成形される第3の工程と、
上金型が取り外される第4の工程と、
発光素子は第1のインナーリード部に載置されるとともに、発光素子が持つ第1の電極と第1のインナーリード部とが電気的に接続され、発光素子が持つ第2の電極と第2のインナーリード部とが電気的に接続される第5の工程と、
発光素子が載置された凹部内に第2の熱硬化性樹脂が配置される第6の工程と、
第2の熱硬化性樹脂は加熱して硬化され、第2の樹脂成形体が成形される第7の工程と、
を有する表面実装型発光装置の製造方法。」

18 訂正発明18(【請求項18】)
「第1のインナーリード部の発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側の露出部分は、放熱部材が接触するように配置されていることを特徴とする請求項2記載の表面実装型発光装置。」

19 訂正発明19(【請求項19】)
「第1の樹脂成形体は、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質、遮光性物質からなる群から選択される少なくとも1種が混合されていることを特徴とする請求項2記載の表面実装型発光装置。」

20 訂正発明20(【請求項20】)
「第2の樹脂成形体は、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質からなる群から選択される少なくとも1種が混合されていることを特徴とする請求項2記載の表面実装型発光装置。」

21 訂正発明21(【請求項21】)
「発光素子と、発光素子を載置するための第1のリードと発光素子と電気的に接続される第2のリードとを一体成形してなる第1の樹脂成形体と、発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置であって、
発光素子は、発光波長が420nm以上490nm以下にあり、
第1の樹脂成形体は、酸化チタン顔料が含有されており、
第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第1のインナーリード部は発光素子が載置されており、かつ、発光素子が持つ第1の電極と電気的に接続されており、並びに第1のアウターリード部は第1の樹脂成形体から露出されており、
第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、第2のインナーリード部は発光素子が持つ第2の電極と電気的に接続されており、並びに第2のアウターリード部は第1の樹脂成形体から露出されており、
第1の樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、第1の樹脂成形体の凹部の底面から第1のインナーリード部が露出されており、その露出部分に発光素子が載置されており、
第1のインナーリード部の発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側は、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出されており、
第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体とは熱硬化性樹脂であり、
第1の樹脂成形体は、トランスファ・モールドにより成形されており、
凹部の底面を上方から見る平面視において、第1のリード及び第2のリードは、凹部の底面から外側に互いに反対の方向に延びており、その延びる方向に沿って延在する側面が凹凸を有する形状とされ、その凹凸に第1の樹脂成形体が接触しており、
第1のインナーリード部の発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側の露出部分と、第2のインナーリード部の発光素子と電気的に接続された部分と反対の裏面側の露出部分とは、実質的に同一平面上にあることを特徴とする表面実装型発光装置。」

22 訂正発明22(【請求項22】)
「発光素子と、発光素子を載置するための第1のリードと発光素子と電気的に接続される第2のリードとを一体成形してなる第1の樹脂成形体と、発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置であって、
発光素子は、発光波長が420nm以上490nm以下にあり、
第1の樹脂成形体は、酸化チタン顔料が含有されており、
第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第1のインナーリード部は発光素子が載置されており、かつ、発光素子が持つ第1の電極と電気的に接続されており、並びに第1のアウターリード部は第1の樹脂成形体から露出されており、
第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、第2のインナーリード部は発光素子が持つ第2の電極と電気的に接続されており、並びに第2のアウターリード部は第1の樹脂成形体から露出されており、
第1の樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、第1の樹脂成形体の凹部の底面から第1のインナーリード部が露出されており、その露出部分に発光素子が載置されており、
第1のインナーリード部の発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側は、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出されており、
第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体とは熱硬化性樹脂であり、
第1の樹脂成形体は、トランスファ・モールドにより成形されており、
凹部の底面を上方から見る平面視において、第1のリード及び第2のリードは、凹部の底面から外側に互いに反対の方向に延びており、その延びる方向に沿って延在する側面が凹凸を有する形状とされ、その凹凸に第1の樹脂成形体が接触しており、
第1のインナーリード部及び第2のインナーリード部は、表面を平滑にするように金属メッキが施されていることを特徴とする表面実装型発光装置。」

23 訂正発明23(【請求項23】)
「発光素子と、発光素子を載置するための第1のリードと発光素子と電気的に接続される第2のリードとを一体成形してなる第1の樹脂成形体と、発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置であって、
発光素子は、発光波長が420nm以上490nm以下にあり、
第1の樹脂成形体は、酸化チタン顔料が含有されており、
第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第1のインナーリード部は発光素子が載置されており、かつ、発光素子が持つ第1の電極と電気的に接続されており、並びに第1のアウターリード部は第1の樹脂成形体から露出されており、
第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、第2のインナーリード部は発光素子が持つ第2の電極と電気的に接続されており、並びに第2のアウターリード部は第1の樹脂成形体から露出されており、
第1の樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、第1の樹脂成形体の凹部の底面から第1のインナーリード部が露出されており、その露出部分に発光素子が載置されており、
第1のインナーリード部の発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側は、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出されており、
第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体とは熱硬化性樹脂であり、
第1の樹脂成形体は、トランスファ・モールドにより成形されており、
凹部の底面を上方から見る平面視において、第1のリード及び第2のリードは、凹部の底面から外側に互いに反対の方向に延びており、その延びる方向に沿って延在する側面が凹凸を有する形状とされ、その凹凸に第1の樹脂成形体が接触しており、
第1の樹脂成形体は、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種により形成されてなり、第2の樹脂成形体はシリコーン樹脂又は変性シリコーン樹脂により形成されてなることを特徴とする、表面実装型発光装置。」

第5 請求人の主張の概要及び証拠方法
1 無効理由I
本件発明1ないし5、8ないし10、及び12ないし15は、本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第1号証に記載された発明と実質的に同一であるから、上記各発明についての特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してなされたものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

2 無効理由II
本件発明1ないし5、8ないし10、及び12ないし15は、本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、上記各発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

3 無効理由III
本件発明1、3、及び6ないし10は、本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第1号証ないし甲第3号証に記載された発明に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、上記各発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

4 無効理由IV
本件発明2、及び4ないし15は、本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、上記各発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

5 無効理由V
本件発明16及び17は、本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第1号証ないし甲第5号証に記載された発明に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、上記各発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

6 無効理由VI
本件発明1は、発明の詳細な説明に記載されていない態様をも包含するものであるから、上記発明についての特許は、特許法第36条第6項第1号の規定に反して特許されたものであり、同法第123条第1項第4号に該当し、無効とすべきものである。

7 甲号証ほか
請求人が提出した甲号証は、審判請求書に添付して提出した、以下のものである。

甲第1号証:国際公開2003/038912号
甲第2号証:特開平10-242513号公報
甲第3号証:特開2004-274027号公報
甲第4号証:特開2003-174200号公報
甲第5号証:特開昭60-170982号公報

また、請求人は、先行文献ないし参考文献として、以下のものを提出した。
先行文献1:米国特許6770498号明細書
先行文献2:特開2004-88013号公報
先行文献3:特開2003-318448号公報
参考資料1:特開平11-87780号公報
参考資料2:特表2005-507178号公報
参考資料3:特開平11-340378号公報
(以上、審判請求書に添付して提出。)
参考文献4:特開2002-134789号公報
参考文献5:特開2000-277688号公報
参考文献6:特開平10-261821号公報
参考文献7:特開平10-163519号公報
参考文献8:特開平10-151794号公報
参考文献9:特開2001-15668号公報
(以上、審判事件弁駁書に添付して提出。)

第6 被請求人の主張の概要
1 無効理由I(本件発明1ないし5、8ないし10及び12ないし15に対する、甲第1号証に基づく第29条第1項第3号違反)及び無効理由II(本件発明1ないし5、8ないし10及び12ないし15に対する、甲第1号証及び甲第2号証に基づく特許法第29条第2項違反)に対して(審判事件答弁書4頁?16頁)
本件発明1ないし5、本件発明8ないし10及び12ないし15は、甲第1号証記載の発明と相違し、甲第1号証及び甲第2号証から想到し得ない。

2 無効理由III(本件発明1、3、及び6ないし10に対する、甲第1号証ないし甲第3号証に基づく特許法第29条第2項違反)及び無効理由IV(本件発明2、及び4ないし15に対する、甲第1号証ないし甲第4号証に基づく特許法第29条第2項違反)に対して
(1)訂正発明1について
ア 相違点8_(1)の克服が困難なこと
接着強度の点からは、甲3-1発明(第7、2(2)エ)においては、発光に影響し易く、接着強度が要求されるLEDチップ4が載置されている領域のリードフレーム1の反対側の面には第1の凹部が大きく設けられ、第2の樹脂部材が回り込んで充填されていることが必須で、甲3-1発明において、相違点8_(1)(第7、2(3)ア(ア)g(d))に係る訂正発明1の構成を採用することは、排除されている。
さらに、短絡防止という観点からも、甲3-1発明においては、リードフレーム1の反対側の面には、樹脂が存在するよう、第1の凹部が大きく設けられ、第2の樹脂部材が回り込んで充填されており、LEDチップ4が載置されている領域の反対側の面も第2の樹脂部材が存在していることが必須で、甲3-1発明において、相違点8_(1)に係る訂正発明1の構成を採用することは、排除されている。
これらに加え、甲3-1発明においては、LEDチップ4が載置されている領域のリードフレーム1の反対側の面には第1の凹部が大きく設けられ、第2の樹脂部材が回り込んで充填されていることで、放熱させており、この点からも、甲3-1発明において、相違点8_(1)に係る訂正発明1の構成を採用することは、排除されているといえる(平成26年1月27日付け上申書4頁?6頁等。以下、同上申書を「被請求人上申書」という。)。

イ 相違点6_(1)に係る訂正発明1の構成に想到するのが困難なこと
甲第1号証において、特に適しているとされるのは、ポリフタルアミド(熱可塑性樹脂である)であり、甲第1号証を見た当業者であれば、第2の樹脂部材の材料として、ポリフタルアミドか、せいぜいポリフタルアミドと同じ熱可塑性樹脂を選択するにとどまる。
なお、甲第3号証の【0057】では、樹脂部3および8は、「LEDチップ4から発せられた光を樹脂部3で効率良く反射するために、反射率が高い白色の樹脂から形成されている」こと、「製造時におけるリフロー工程を考慮して、樹脂部3および8は、耐熱性に優れた樹脂から形成されている」ことが記載され、液晶ポリマーまたはポリアミド樹脂は、「上述の両方の条件を満たす」樹脂として挙げられるところ、甲第1号証には、「熱硬化性樹脂」に関する説明はなく、これを使用した具体例もなく、甲第3号証に記載の条件を満たすものであるかどうかも不明である。
よって、当業者は、甲第1号証の記載を見ても、甲第3号証に何の記載も示唆もない熱硬化性樹脂を用いて、第2の樹脂部材を形成してみようとはしないはずである。
また、甲第1号証には、熱硬化性樹脂にTiO_(2)充填剤を用いることは記載されていない。
以上によれば、甲3-1発明において、第2の樹脂部材を熱硬化性樹脂として、さらにTiO_(2)充填剤を用いることは、容易ではなく、相違点6_(1)(第7、2(3)ア(ア)g(b))に係る訂正発明1の構成とすることは困難である(被請求人上申書6頁?8頁等)。

ウ 相違点6_(1)に係る訂正発明1の効果は予測し得ないこと
訂正発明1の相違点6_(1)に係る構成による効果(乙第11号証、乙第12号証)は、予測することができない(被請求人上申書8頁?9頁)。

エ 相違点7_(1)の克服が困難なこと
仮に審決の予告における69頁最終行?70頁最終行のような手法を採った場合、粘度の低い状態で、熱硬化性樹脂が流し込まれると、リードフレームの発光素子が載置される側及び配線が接続される側に樹脂がまわり込み、バリの発生といった不都合が生ずるから、甲第3号証の図1のような構造を、トランスファ・モールドにより成形することは、当業者であればしないはずである(被請求人上申書10頁?11頁)。

(2)訂正発明8について
甲3-1発明は、第1の樹脂成形体が、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種(以下、「特定の熱硬化性樹脂」ともいう)により形成されてなり、第2の樹脂成形体はシリコーン樹脂又は変性シリコーン樹脂(以下、「シリコーン系樹脂」ともいう)により形成されてなることを特定していない点(相違点B_(8))でも訂正発明8とは相違し、甲第1号証を考慮しても、相違点B_(8)に係る訂正発明8の構成に想到することはできない(被請求人上申書13頁?14頁)。

(3)訂正発明2について
甲3-1発明においては、リードフレームの反対側の面には第1の凹部が大きく設けられ、第2の樹脂部材が回り込んで充填されていることにより、接着強度を確保するものであって、リードフレームの形状をさらに工夫する動機づけはない。訂正発明2における相違点9_(2)(第7、2(3)イ(ア)d(e))は、甲第3号証に開示されていない特有の構成であり、それによる特有の作用・効果を奏するものである(被請求人上申書16頁?17頁)。

(4)訂正発明21について
甲第3号証の半導体発光装置のリードフレーム1の反対側の面には第1の凹部が大きく設けられ、第2の樹脂部材が回り込んで充填されており、発光素子の載置領域の裏面側のみならず、電気的に接続された部分の裏面側とはいずれも露出していないから、前記の露出部分が実質的に同一平面上にあることはない。
さらに、甲第3号証の半導体発光装置では、発光素子の載置領域の裏面側と電気的に接続された部分の裏面側にリード端子が存在せず、これらの裏面側が実装に供されることはないから、これらの裏面側が実質的に同一平面上にあっても実装性が向上することはないし、発光素子の載置領域の裏面側と電気的に接続された部分の裏面側は、下金型には接触せず、下方に解放されることになるから、これらの裏面側か実質的に同一平面上にあっても金型による成形が極めて容易になることもない(被請求人上申書17頁?18頁)。

(5)訂正発明22について
甲第3号証の【0005】には、反射率の向上のために、表面を平滑にするように金属メッキを施すことは記載されていないし、この段落は図16に示される先行技術に関する記載であって、甲第3号証の半導体発光装置に関するものではない(被請求人上申書18頁)。

(6)訂正発明23について
前記(2)と同様の理由により、甲第3号証に基づき、第1の樹脂成形体が特定の熱硬化性樹脂により形成されてなり、第2の樹脂成形体がシリコーン系樹脂により形成されてなる構成に想到することはできない(被請求人上申書19頁)。

(7)訂正発明11について
前記(1)と同様の理由により、相違点(第7、2(3)サ(ア)e(a)ないし(c))の克服は困難である(被請求人上申書20頁)。

(8)訂正発明14について
前記(3)と同様の理由により、甲第3号証に基づき、凹部の底面を上方から見る平面視において、第1のリード及び第2のリードは、凹部の底面から外側に互いに反対の方向に延びており、その延びる方向に沿って延在する側面が凹凸を有する形状とされ、その凹凸に樹脂成形体が接触している構成に想到することはできない(被請求人上申書20頁?21頁)。

3 無効理由V(本件発明16及び17に対する、甲第1号証ないし甲第5号証に基づく特許法第29条第2項違反)に対して
(1)訂正発明16について(被請求人上申書21頁?24頁)
ア 訂正発明16と甲3-2発明との間の相違点について
訂正発明16の製造方法によって得られる樹脂成形体は、表面実装型発光装置としたときに第1のインナーリード部の発光素子の載置領域の裏面側は、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、樹脂成形体から露出していることになる。
一方、甲3-2発明は、露出されている第1のインナーリード部の発光素子の載置領域の裏面側か樹脂成形体から露出されていることにより、表面実装型発光装置としたときに発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できることが特定されていない点(相違点A_(16))で、訂正発明16の製造方法によって得られる樹脂成形体とは相違する。
なお、訂正発明16の製造方法によって得られる樹脂成形体と甲3-2発明とは、訂正発明16では、酸化チタン顔料が含有された熱硬化性樹脂から形成されるものであるのに対し、甲3-2発明では、反射率が高い白色の樹脂から形成される点で相違する(以下「相違点7-1」という)。
また、訂正発明16は、第1?3の工程を含む製造方法であるのに対し、甲3-2発明は製造方法が特定されるものではない点で相違する(以下「相違点7-2」という)。

イ 樹脂成形体に関する相違点の克服が困難であること
製造方法によって得られる樹脂成形体に関する相違点である、相違点A_(16)及び相違点7-1については、前記2(1)ア及び同イと同様の理由により、克服は困難である。甲3-2発明においては、発光装置としたときにLEDチップ4の載置領域の裏面側にも第2の樹脂部材が存在するよう、リードフレーム1の反対側の面には、第1の凹部が大きく設けられ、第2の樹脂部材が回り込んで充填されているといえる、甲3-2発明において、第2の樹脂部材を熱硬化性樹脂として、更にTiO_(2)充填剤を用いることは容易ではない。

ウ 製造方法に関する相違点の克服が困難であること
甲第3号証には、樹脂成形体の製造工程に関して具体的な記載はなく、これに基づき相違点7-2に係る訂正発明16の構成に想到することはできない。
審決の予告は、甲5にも触れているが、甲5は表面実装型発光装置とは異なる分野(光反射形ホトセンサ)の特許文献である。光反射形ホトセンサヘの要求は表面実装型発光装置への要求とは全く異なる。特に、光反射形ホトセンサは、発光素子による発熱を放熱させるという課題を有していない。このように、甲5における知見を、表面実装型半導体装置に関する技術に適用すること自体妥当ではない。
さらに、甲3-2発明においては、第1の凹部を大きく設けるため、第1のインナーリードの発光素子の載置領域の裏面側は下金型と接触することはないし、甲3-2発明においては、リードフレーム1の反対側の面には第1の凹部が大きく設けられ、第2の樹脂部材が回り込んで充填されているところ、熱硬化性樹脂を用いて、トランスファ・モールド成形によりこのような形状にしようとすれば、バリの発生といった不都合が生ずる。

(2)訂正発明17について(被請求人上申書26頁?29頁)
ア 訂正発明17と甲3-1発明との間の相違点について
訂正発明17の製造方法によって得られる表面実装型発光装置は、第1のインナーリード部の発光素子の載置領域の裏面側か、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出しており、かつバリの発生が低減されていることになる。
一方、甲3-1発明は、露出されている第1のインナーリード部の発光素子の載置領域の裏面側か樹脂成形体から露出されていることにより、表面実装型発光装置としたときに発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できることが特定されていない点(相違点A_(17))で、訂正発明17の製造方法によって得られる樹脂成形体とは相違する。
なお、訂正発明17と甲3-1発明とは、訂正発明17では、第1の樹脂成形体が、酸化チタン顔料が含有された熱硬化性樹脂から形成されるものであり、第2の樹脂成形体が、熱硬化性樹脂から形成されるものであるのに対し、甲3-2発明では、第2の樹脂部材が、反射率が高い白色の樹脂から形成される点であり、第1の樹脂部材がエポキシ樹脂である点で相違する(以下「相違点8-1」という)。
また、訂正発明17は、第1?7の工程を含む製造方法であるのに対し、甲3-1発明は製造方法が特定されるものではない点で相違する(以下「相違点8-2」という)。

イ 樹脂成形体に関する相違点の克服が困難であること
製造方法によって得られる表面実装型発光装置に関する相違点である、相違点A_(17)及び相違点8-1については、前記2(1)ア及び同イと同様の理由により、克服は困難である。

ウ 製造方法に関する相違点の克服が困難であること
甲第3号証には、半導体装置の第1の樹脂成形体の製造工程に関して具体的な記載はなく、これに基づき相違点8-2に係る訂正発明17の構成に想到することはできない。
さらに、甲3-2発明においては、第1の凹部を大きく設けるため、第1のインナーリードの発光素子の載置領域の裏面側は下金型と接触することはないし、甲3-2発明においては、リードフレーム1の反対側の面には第1の凹部が大きく設けられ、第2の樹脂部材が回り込んで充填されているところ、熱硬化性樹脂を用いて、トランスファ・モールド成形によりこのような形状にしようとすれば、バリの発生といった不都合が生ずる。

4 無効理由VI(本件発明1に対する特許法第36条第6項第1号違反)に対して(審判事件答弁書39頁)
本件発明1は、発明の詳細な説明に記載されており、サポート要件を充足する。

5 乙号証
請求人が提出した乙号証は、以下のものである。

乙第1号証:「これでわかるプラスチック技術」高野菊雄著、表紙、奥付、4頁?5頁、88頁?92頁、108頁?110頁、119頁?120頁
乙第2号証:「岩波理化学辞典第5版」長倉三郎ら編集、内表紙、奥付、9頁及び1094頁
乙第3号証:「シリコーン 広がる応用分野と技術動向」小野義昭編著、表紙、奥付、13頁?16頁
乙第4号証:「化学大辞典」大木道則ら編集、内表紙、奥付、1719頁
乙第5号証:「新エポキシ樹脂」垣内弘編著、内表紙、奥付、246頁
乙第6号証:「プラスチック成形加工入門第2版」廣恵章利ら著、表紙、奥付、76頁?77頁
乙第7号証:「図解 プラスチック成形加工用語辞典」プラスチック成功加工用語辞典編集委員会編、内表紙、奥付、155頁?156頁、349頁
乙第8号証:「伝熱解析結果報告書」日亜化学工業株式会社蔵本雅史作成
乙第9号証:「最新カラー版 図解半導体ガイド」(株)東芝セミコンダクター社編、表紙、奥付、56頁?57頁
乙第10号証:「酸化チタン 物性と応用技術」清野学著、表紙、奥付、114頁?117頁
(以上、審判事件答弁書に添付して提出。)
乙第11号証:「実験成績証明書1」平成26年1月27日、日亜化学工業株式会社蔵本雅史作成
乙第12号証:「実験成績証明書2」平成26年1月27日、日亜化学工業株式会社蔵本雅史作成
(以上、被請求人上申書に添付して提出。)

第7 当審の判断
1 無効理由I及び無効理由II(第5、1及び2)について
無効理由I及び無効理由IIについて、まとめて検討する。

(1)甲号証の記載
ア 甲第1号証
本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第1号証(国際公開2003/038912号)には、以下の記載がある(表記の都合上、独字を英字に置き換えた部分がある。下線は、審決で付した。)。

(ア)「Unter den Begriff "Umhullungsmaterial" fallt im vorliegenden Zusammenhang insbesondere jedes Material, das mittels Giessen, Spritzen, Spritzgiessen oder Spritzpressen in eine vorgesehene Form gebracht werden kann. Hierzu gehoren insbesondere Reaktionsharze, wie Epoxidharze, Acrylharze und Silikonharze. Denkar ist auch die Verwendung von keramischen oder glasartigen Materialien.
・・・
Bei diesen bekannten oberflachenmontierbaren Bauformen kann eine sehr gerichtete Abstrahlung dadurch erreicht werden, dass die Seitenwande der Vertiefung derart ausgebildet sind, beispielsweise als geeignet schraggestellte oder gekrummte Flachen, dass sie fur eine vom Halbleiterchip seitlich oder nach ruckwarts ausgesandte Strahlung einen Reflektor ausbilden, der diese Strahlung zur gewunschten Abstrahlungsrichtung hin umlenkt. Je nach Gehauseform bzw. Reflektorform kann das Bauelement als sogenannter Toplooker, d.h. mit einer Hauptabstrahlrichtung senkrecht oder in einem steilen Winkel zur Montageebene des Bauelements, oder als sogenannter Sidelooker, d.h. mit einer Hauptabstrahlrichtung parallel oder in einem flachen Winkel zur Montageebene des Bauelements, konstruiert werden. Beispiele eines Toplookers und eines Sidelookers mit den entsprechenden Gehauseformen sind zum Beispiel in FIG 2 bzw. FIG 3 der EP 0 400 175 AI gezeigt.

Als Material fur den Gehausekorper des Bauelements wird ublicherweise ein Thermoplastmaterial oder ein Duroplastmaterial verwendet. . In einer bevorzugten Ausfuhrungsform, die in der Praxis eingesetzt wird, verwendet man als Kunststoffmaterial fur den Gehausekorper ein mit Glasfasern gefulltes Polyphta- lamid, das mit einem Ti0 _(2) -Fullstoff weis eingefarbt ist.」(1頁7行?2頁20行)
訳:本発明は、請求項1の上位概念に記載されたオプトエレクトロニクスデバイス、特に放射線を発する、有利に表面実装可能なデバイスに関する。
「ジャケット材料」の概念は、本発明の関連で、特に注型成形、注入成形、射出成形又はトランスファー成形を用いて所定の形状にすることができる材料を意味する。この材料には、特に反応性樹脂、例えばエポキシ樹脂、アクリル樹脂及びシリコーン樹脂が属する。セラミック又はガラス状の材料の使用も考えられる。
・・・
この公知の表面実装タイプの場合に、凹所の側壁部が例えば適当に傾斜した又は湾曲した面として構成されていて、この面が半導体チップから横方向又は背後方向へ放射された放射線のためのリフレクタとして構成され、このリフレクタがこの放射線を所望の放射方向へ変向させることにより極めて指向性の放射を達成することができる。ケーシング形状もしくはリフレクタ形状に応じて、このデバイスはいわゆるトップルッカー(Toplooker)として、つまりデバイスの実装平面に対して垂直方向か又は傾斜角の方向に主放射方向を有するデバイスとして、又はいわゆるサイドルッカー(Sidelooker)として、つまりデバイスの実相平面に対して平行方向か又は平面的な角度方向に主放射方向を有するデバイスとして構成することができる。相応するケーシング形状を有するトップルッカー及びサイドルッカーの例は、例えばEP 0 400 175 A1の図2もしくは図3に示されている。
このデバイスのケーシングボディ用の材料として、通常では熱可塑性樹脂材料又は熱硬化性樹脂材料が使用される。実際に使用される有利な実施態様の場合には、ケーシングボディ用のプラスチック材料として、ガラス繊維が充填されたポリフタルアミドが使用され、これはTiO_(2)充填剤を用いて白色に着色されている。

(イ)「Es wurde festgestellt, dass bei Verwendung von Halbleiterchips, die Strahlung aus dem blauen Spektralbereich und/oder aus dem ultravioletten Spektralbereich emittieren, insbesondere GaN-basierte Halbleiterchips, bei denen eine Strahlungsemittierende aktive Schicht ein GaN- , InGaN- , AlGaN- oder InAlGaN-Material aufweist, die Strahlungsausbeute aus dem Bauelement unerwartet niedrig ist.

Der vorliegenden Erfindung liegt die Aufgabe zugrunde, ein optoelektronisches Bauelement der eingangs genannten Art mit einem ultraviolette und/oder blaue Strahlung aussendenden und/oder empfangenden Chip derart weiterzubilden, dass die Strahlungsausbeute aus dem Bauelement verbessert ist.」(2頁下5行?3頁7行)
訳:青色スペクトル領域及び/又は紫外線スペクトル領域からなる放射線を発する半導体チップ、特に、放射線を発する活性層がGaN-、InGaN-、AlGaN-又はInAlGaN-材料を有するGaNベースの半導体チップを使用する場合には、デバイスからの発光効率が意外に低い。
本発明の根底をなす課題は、冒頭に記載した種類の、紫外線及び/又は青色の放射線を発光する及び/又は受光するチップを供えたオプトエレクトロニクスデバイスを、デバイスからの発光効率が改善されるように改良することである。

(ウ)「FIG 1 eine schematische Darstellung eines oberflachenmontierbaren optoelektronischen Bauelements, bei dem die vorliegende Erfindung eingesetzt werden kann;
・・・
In FIG 1 ist eine schematische Darstellung eines zu einer Gehause-Montageseite 7 vertikalen Querschnitts durch ein optoelektronisches Bauelement dargestellt, bei dem die vorliegende Erfindung zum Einsatz kommt. Der Gehusekorper 2 ist durch Umspritzen eines Leadframes 1 mit einem geeigneten Kunststoffmaterial unter gleichzeitiger Formung des Gehausekorpers 2 gebildet. Der Gehausekorper 2 weist eine vorzugsweise mittig zum Gehausekorper angeordnete Ausnehmung 6 auf. In dieser ist ein Halbleiterchip 3, wie zum Beispiel ein optoelektronischer Sender oder Empfanger, vorliegend beispielsweise ein auf GaN-, InGaN- , AlGaN- und/oder InGaAlN-Halblei- termaterial basierender Leuchtdiodenchip, angeordnet. Elektrische Kontaktflachen des Chips 3 sind mit elektrischen Anschlussen 1A, IB des Leadframes 1 mittels eines Bonddrahtes 4 bzw. mittels eines elektrisch leitenden Verbindungsmittels zum Chipbonden elektrisch leitend verbunden.

Die Innenflachen 2A der Ausnehmung 6 des Gehausekorpers 2 sind derart schrag ausgebildet, dass sie eine vom Chip 3 zur Seite hin ausgesandte Strahlung zumindest zu einem grosen Teil zu einer Abstrahlrichtung 8 des Chips 3 hin umlenken. Durch die nachfolgend beschriebene Auswahl eines geeigneten Materials fur den Gehausekorper 2 mit einem hohen Reflexionsvermogen dienen diese schragen Innenflachen 2A als Reflektoren, um die Abstrahlleistung bzw. die Empfangsempfindlichkeit des optoelektronischen Bauelements zu erhohen.

Der optoelektronische Halbleiterchip 3 ist in einem zumindest fur einen Teil der von diesem ausgesandten elektromagnetischen Strahlung zumindest teilweise durchlassigen Ummante- lungsmaterial 5 eingebettet. Die dem Halbleiterchip 3 abgewandte Oberflache des Ummantelungsmaterials 5 schliest dabei vorliegend im wesentlichen mit der Oberflache des Gehausekorpers 2 ab. Es wird aber darauf hingewiesen, dass im Rahmen der vorliegenden Erfindung je nach Bedarf selbstverstandlich auch andere Fullhohen des Ummantelungsmaterials 5 in der Ausnehmung 6 des Tragerkorpers 1 gewahlt sein konnen. Ferner kann auf den so gebildeten Gehausekorper 2 mit Ummantelungs- material 5 auch eine geeignete optische Einrichtung wie beispielsweise eine optische Linse aufgebracht werden, um die optischen Eigenschaften des Bauelements an spezielle Anwendungsm#glichkeiten anzupassen. 」(5頁下5行?6頁末行)
訳:図1は、本発明に使用することができる表面実装可能なオプトエレクトロニクスデバイスの図式的な図を表す。
・・・図1中には、本発明において使用することができるオプトエレクトロニクスデバイスのケーシング-実装側7に対して垂直方向の図式的な断面図を表す。このケーシングボディ2は、適当なプラスチック材料でリードフレーム1を包囲し、同時にケーシングボディ2を成形することにより作成されている。このケーシングボディ2は有利にケーシングボディの中央に配置された凹所6を有する。その中に、例えばオプトエレクトロニク送信機又は受信機のような半導体チップ3、例えばGaN-、InGaN-、AlGaN-及び/又はInGaAlN-半導体材料をベースとする発光ダイオードチップが配置されている。このチップ3の電気的コンタクト面は、ボンディングワイヤ4によってもしくはチップ底部に対して導電性結合材によって、リードフレーム1の電気的端子1A、1Bと導電性に結合している。
ケーシングボディ2の凹所6の内面2Aは、チップ3から発せられた放射線の少なくとも大部分がチップ3の放射方向へ変向されるように傾斜して構成されている。オプトエレクトロニクスデバイスの放射効率もしくは受光感度を高めるために、高い反射能を有するケーシングボディ2のために適した材料を次に記載するように選択することによって傾斜した内面2Aがリフレクタとして用いられる。
オプトエレクトロニクス半導体チップ3は、このチップから発せられる電磁放射線の少なくとも一部に対して少なくとも部分的に透過性のカバー材料5中に埋め込まれている。カバー材料5の、半導体チップ3とは反対の表面は、この場合にほぼケーシングボディ2の表面に達している。しかしながら、本発明の範囲内で、必要に応じてもちろんキャリアボディ1の凹所6中のカバー材料5の他の充填高さを選択できることも指摘する。更に、デバイスの光学特性を特別な用途目的に合わせるために、こうして作成されたケーシングボディ2上にカバー材料5を用いて適当な光学装置、例えば光学レンズを取り付けることができる。

(エ)「Als Material fur das Ummantelungsmaterial 5 wird ublicherweise ein strahlungsdurchlassiges Material eingesetzt, das vorzugsweise UV-initiiert oder Licht-initiiert hartende Eigenschaften besitzt. Ein besonders bevorzugtes Ummantelungsmaterial 5 enthalt ein UV-initiiert oder Licht-initiiert hartendes Epoxidharz, das durch Beaufschlagung mit Licht- oder UV-Strahlung innerhalb weniger Sekunden angehartet bzw. vorfixiert und zu einem spateren Zeitpunkt thermisch vollstandig ausgehartet wird.

Je nach Wahl des Materials des Gehausekorpers 2 und den gewunschten optischen Eigenschaften des optoelektronischen Bauelements enthalt das Ummantelungsmaterial 5 neben seinem Hauptbestandteil des oben angegebenen Epoxidharzes weitere Anteile, um die Verbindungsstarke mit dem Gehausekorpermate- rial, die Anharte- und Aushartezeit, die Lichtdurchlassigkeit, den Brechungsindex, die Temperaturbestandigkeit, die mechanische H#rte, etc. wunschgemas einzustellen.

Zur Herstellung von mischfarbigem Licht abstrahlenden Leucht- diodenbauelementen und/oder zur Umwandlung eines ultravioletten oder blauen Strahlungsanteiles des Chips in langerwellige Strahlung ist das Ummantelungsmaterial 5 mit Leuchtstoffpartikel versetzt. Diese absorbieren zumindest einen Teil der vom Chip 3 ausgesandten elektromagnetischen Strahlung, zum Beispiel mit Wellenlangen aus dem ultravioletten und/oder blauen Spektralbereich, und emittieren dann elektromagnetische Strahlung mit im Vergleich zur absorbierten Strahlung groseren, insbesondere fur das menschliche Auge sichtbaren bzw. besser sichtbaren Wellenlangen.」(7頁1行?同頁下7行)
訳:このカバー材料5のための材料として、通常では放射線透過性の材料が使用され、この材料は有利にUVにより又は光により硬化を開始する特性を有する。特に有利なカバー材料5は、UVにより又は光により硬化を開始するエポキシ樹脂を含有し、このエポキシ樹脂は光又はUV線を当てることにより数秒間で硬化し始めもしくは予備固定され、かつ後の時点で熱によって完全に硬化される。
ケーシングボディ2の材料の選択及びオプトエレクトロニクスデバイスの所望の光学特性に応じて、カバー材料5は主成分の前記したエポキシ樹脂の他に、ケーシングボディ材料との結合強度、硬化開始時間及び完全硬化時間、光透過性、屈折率、温度安定性、機械的強度を所望のように調節するために他の成分を含有する。
混合色光を放射する発光ダイオードデバイスを製造するため及び/又はチップの紫外線又は青色放射線成分をより長波長の放射線へ変換するために、このカバー材料5は蛍光体粒子と混合されている。この蛍光体粒子は、チップ3から発せられる電磁放射線の少なくとも一部、例えば紫外線及び/又は青色スペクトル領域からなる波長を有する部分を吸収し、次いでこの吸収された放射線と比較してより大きな、特に肉眼で見えるかもしくはより良好に見える波長を有する電磁放射線を放射する。

(オ)「Fur den Gehausekorper 2 des Bauelements wird ein Umhullungsmaterial eingesetzt, das bestimmte Fullstoffe enthalt. Dieses Umhullungsmaterial, das den Hauptbestandteil des Gehausekorpers 2 bildet, wird dabei bevorzugt aus einem thermoplastischen oder duroplastischen Kunststoff gebildet. Besonders geeignet ist hierfur beispielsweise Polyphtalamid, welches zur mechanischen Stabilisierung mit Glasfasern versetzt sein kann.

Als Fullstoff, der mit einem Volumenanteil von etwa 5 bis 15 %, vorzugsweise 8 bis 12 % und besonders bevorzugt ungefahr 10 % zugegeben wird, ist vorteilhafterweise Bariumsulfat (BaS0 _(4) ) benutzt. Bariumsulfat ist ein Material, das in einem Wellenlangenbereich zwischen etwa 350 und 800 nm ein Reflexionsvermogen von mehr als 90 % aufweist, wie dies in dem Reflexionsspektrum von FIG 2A dargestellt ist.

Aufgrund dieses hohen Reflexionsvermogens auch fur Wellenlangen unterhalb von 500 nm, wird von den Innenflachen 2A des Gehausekorpers 2 auch blaues Licht und UV-Licht reflektiert. Somit zeigt das Bauelement mit einem derartigen Gehausekorper auch fur Anwendungsfalle in diesem Spektralbereich einen guten Wirkungsgrad, da ein hoherer Anteil der von dem Halbleiterchip 3 erzeugten Strahlung von dem Bauelement emittiert bzw. ein hoherer Anteil der von dem Bauelement empfangenen Strahlung durch den Halbleiterchip 3 detektiert werden kann.

Auserdem ist vorteilhafterweise durch die Zugabe des Fullstoffes der Gehausekorper 2 im Vergleich zu herkommlichen Gehausekorpern alterungsstabiler, da weniger Absorptionsenergie in dem Gehausekorper auftritt. Da Bariumsulfat nicht nur unterhalb von 500 nm sondern bis in den Infrarotbereich ein sehr hohes Reflexionsvermogen besitzt, ist ein optoelektronisches Bauelement mit einem solchen Gehausekorper universell einsetzbar.

Ein alternativer geeigneter Fullstoffe ist Teflon (PTFE) , dessen Reflexionsvermogen im Diagramm von FIG. 2B dargestellt ist. Wie man dem ReflexionsSpektrum von FIG 2B entnehmen kann, zeigt Teflon in einem Bereich von etwa 300 bis 800 nm ein sehr hohes Reflexionsvermogen von deutlich uber 90%.

Ein weiterer alternativer Fullstoff ist beispielsweise Anatas, eine besondere Modifikation von Ti0 _(2) , dessen Reflexionsspektrum im Diagramm von FIG 2C gezeigt ist . Im Diagramm von FIG.2 ist zum Vergleich das Reflexionsvermogen des bisher verwendeten Rutils aufgetragen. Anatas ist wie Rutil eine besondere Modifikation von Ti0 _(2) , wobei die Titan- und Sauerstoffatome im Falle von Rutil dichter gepackt sind und Rutil eine hohere Dichte und eine hohere Brechzahl als Anatas aufweist .

Die vorliegende Erfindung ist selbstverstandlich nicht nur auf die oben ausdrucklich angegebenen Materialien fur den Fullstoff und das Kunststoffmaterial beschrankt. Ausgehend von der Erkenntnis, dass ein Fullstoff mit einem hohen Reflexionsvermogen auch im blauen und/oder im UV-Bereich zu verwenden ist, kann der Fachmann auch andere Materialien mit entsprechenden Eigenschaften als Fullstoff verwenden, ohne dass er dabei den Grundgedanken der Erfindung verlast .」(7頁下6行?9頁末行)
訳:このデバイスのケーシングボディ2のために、所定の充填剤を含有するジャケット材料が使用される。ケーシングボディ2の主成分を形成するこのジャケット材料は、この場合に熱可塑性又は熱硬化性プラスチックから形成されるのが有利である。このために、例えばポリフタルアミドが特に適していて、これは機械的安定化のためにガラス繊維と混ぜることができる。
約5?15%、有利に8?12%、特に有利に約10%の体積割合で添加される充填剤として、有利に硫酸バリウム(BaSO_(4))が利用される。硫酸バリウムは、図2Aの反射スペクトルにおいて図示されているように、約350?800nmの間の波長領域において90%よりも高い反射能を示す材料である。
この500nmを下回る波長に対しても高い反射能に基づいて、ケーシングボディ2の内面2Aにより、青色光及びUV光も反射される。従って、この種のケーシングボディを備えたデバイスは、このスペクトル領域で利用する場合であっても、良好な効率を示す、それというのも半導体チップ3から生じる放射線の大部分がデバイスから放射されるか、もしくはデバイスにより受光された放射線の大部分が半導体チップ3によって検出できるためである。
更に、ケーシングボディ2に充填剤を添加することにより、従来のケーシングボディと比較して有利に老化安定性である、それというのもケーシングボディ中での吸収熱が少なくなるためである。硫酸バリウムは500nmより低い領域ばかりか、赤外線領域においても、極めて高い反射能を示すため、このようなケーシングボディを備えたオプトエレクトロニクスデバイスは普遍的に使用可能である。
別の適当な充填剤はテフロン(PTFE)であり、この反射能は図2Bのグラフに図示されている。図2Bの反射スペクトルから推知できるように、テフロンは約300?800nmの範囲内で明らかに90%を上回る極めて高い反射能を示す。
更に他の充填剤は例えば、TiO_(2)の特別な変態であるアナターゼであり、この反射スペクトルは図2Cのグラフに示されている。図2のグラフでは、今まで使用されていたルチルの反射能と比較してプロットされている。アナターゼは、ルチルと同様にTiO_(2)の特別な変態であり、その際、ルチルの場合にはチタン原子と酸素原子は、アナターゼよりもより密に充填されていて、ルチルはアナターゼよりも高い密度及び高い屈折率を示す。
本発明は、もちろん充填剤に対して前記の明確に示された材料に限定されないばかりか、プラスチック材料にも制限はない。青色領域及び/又はUV領域でも高い反射能を有する充填剤を使用するという認識から出発し、本発明の基本思想から離れることなしに、当業者は充填剤として相応する特性を有する他の材料を使用することもできる。

(カ)図1は、次のものである。


イ 甲第2号証
同じく甲第2号証(特開平10-242513号公報)には、次の記載がある。

「【0007】LEDチップからの発光を波長変換した発光ダイオードとして、青色系の発光ダイオードの発光と、その発光を吸収し黄色系を発光する蛍光体からの発光との混色により白色系が発光可能な発光ダイオードなどとすることができる。これらの発光ダイオードは、白色系を発光する発光ダイオードとして利用した場合においても十分な輝度を発光する発光ダイオードとすることができる。」、
「【0040】本願発明の発光ダイオードにおいて白色系を発光させる場合は、フォトルミネセンス蛍光体との補色関係や樹脂劣化等を考慮して発光素子の発光波長は400nm以上530nm以下が好ましく、420nm以上490nm以下がより好ましい。LEDチップとフォトルミネセンス蛍光体との効率をそれぞれより向上させるためには、450nm以上475nm以下がさらに好ましい。本願発明の白色系発光ダイオードの発光スペクトルを図3に示す。450nm付近にピークを持つ発光がLEDチップからの発光であり、570nm付近にピークを持つ発光がLEDチップによって励起されたフォトルミネセンスの発光である。なお、本願発明のLEDチップに加えて、蛍光体を励起しないLEDチップを一緒に用いることもできる。」

(2)甲第1号証に記載された発明
ア 前記(1)ア(ウ)によれば、甲第1号証には、
「プラスチック材料でリードフレーム1を包囲して成形することにより作成されたケーシングボディ2の中央に配置された凹所6に例えばGaN-、InGaN-、AlGaN-及び/又はInGaAlN-半導体材料をベースとする発光ダイオードチップである半導体チップ3が配置され、このチップ3の電気的コンタクト面は、ボンディングワイヤ4によってもしくはチップ底部に対して導電性結合材によって、リードフレーム1の電気的端子1A、1Bと導電性に結合し、オプトエレクトロニクス半導体チップ3は、このチップから発せられる電磁放射線の少なくとも一部に対して少なくとも部分的に透過性のカバー材料5中に埋め込まれている、表面実装可能なオプトエレクトロニクスデバイス」
が記載されているものと認められる。

イ 同(イ)によれば、上記アのオプトエレクトロニクスデバイスの半導体チップ3は、紫外線及び/又は青色の放射線を発光するものと認められる。

ウ 同(エ)によれば、上記アのオプトエレクトロニクスデバイスのカバー材料5は、光又はUV線を当てることにより数秒間で硬化し始めもしくは予備固定され、かつ後の時点で熱によって完全に硬化されるエポキシ樹脂であってよいものと認められる。

エ 同(オ)によれば、上記アのオプトエレクトロニクスデバイスのケーシングボディ2の主成分を形成するジャケット材料は、熱硬化性プラスチックから形成されるものであってよく、また、TiO_(2)の特別な変態であるアナターゼである充填材を含有してよいものと認められる。

オ 同オの図1を見ると、上記アのオプトエレクトロニクスデバイスのリードフレーム1の電気的端子1A、1Bは、包囲されたケーシングボディ2の側面から突出した部分が、ケーシングボディ2の側面と間隔をおいて屈曲しケーシングボディ2の下面に至っていることが見て取れる。また、同イを踏まえて図1を見ると、凹所6の底部に電気的端子1A、1Bが露出し、露出した電気的端子1Aにチップ3が載置され、その電気的コンタクト面は、チップ底部に対して導電性結合材によってリードフレーム1の電気的端子1Aと、ボンディングワイヤ4によってリードフレーム1の電気的端子1Bと、それぞれ導電性に結合していることが理解できる。

カ 以上によれば、甲第1号証には、次の発明が記載されているものと認められる。
「プラスチック材料でリードフレーム1を包囲して成形することにより作成されたケーシングボディ2の中央に配置された凹所6の底部にリードフレーム1の電気的端子1A、1Bが露出し、露出したリードフレーム1の電気的端子1Aに、例えばGaN-、InGaN-、AlGaN-及び/又はInGaAlN-半導体材料をベースとし紫外線及び/又は青色の放射線を発光する発光ダイオードチップである半導体チップ3が載置され、このチップ3の電気的コンタクト面は、チップ底部に対して導電性結合材によってリードフレーム1の電気的端子1Aと、ボンディングワイヤ4によってリードフレーム1の電気的端子1Bと、それぞれ導電性に結合し、オプトエレクトロニクス半導体チップ3は、このチップから発せられる電磁放射線の少なくとも一部に対して少なくとも部分的に透過性のカバー材料5中に埋め込まれている、表面実装可能なオプトエレクトロニクスデバイスであって、上記カバー材料5は、光又はUV線を当てることにより数秒間で硬化し始めもしくは予備固定され、かつ後の時点で熱によって完全に硬化されるエポキシ樹脂であり、前記ケーシングボディ2の主成分を形成するジャケット材料は、熱硬化性プラスチックから形成され、また、TiO_(2)の特別な変態であるアナターゼである充填材を含有し、前記リードフレーム1の電気的端子1A、1Bは、包囲されたケーシングボディ2の側面から突出した部分が、ケーシングボディ2の側面と間隔をおいて屈曲しケーシングボディ2の下面に至っているオプトエレクトロニクスデバイス。」(以下「甲1-1発明」という。)

キ また、甲1-1発明における「プラスチック材料でリードフレーム1を包囲して成形することにより作成されたケーシングボディ2」は、表面実装可能なオプトエレクトロニクスデバイスに用いられるものであって、その中央に配置された凹所6の底部にリードフレーム1の電気的端子1A、1Bが露出し、ケーシングボディ2の主成分を形成するジャケット材料は、熱硬化性プラスチックから形成され、また、TiO_(2)の特別な変態であるアナターゼである充填材を含有し、前記リードフレーム1の電気的端子1A、1Bは、包囲されたケーシングボディ2の側面から突出した部分が、ケーシングボディ2の側面と間隔をおいて屈曲しケーシングボディ2の下面に至っているものであることが認められる。
したがって、甲第1号証には、次の発明が記載されているものと認められる。
「表面実装可能なオプトエレクトロニクスデバイスに用いられる、プラスチック材料でリードフレーム1を包囲して成形することにより作成されたケーシングボディ2において、その中央に配置された凹所6の底部にリードフレーム1の電気的端子1A、1Bが露出し、前記ケーシングボディ2の主成分を形成するジャケット材料は、熱硬化性プラスチックから形成され、また、TiO_(2)の特別な変態であるアナターゼである充填材を含有し、前記リードフレーム1の電気的端子1A、1Bは、包囲されたケーシングボディ2の側面から突出した部分が、ケーシングボディ2の側面と間隔をおいて屈曲しケーシングボディ2の下面に至っているケーシングボディ2。」(以下「甲1-2発明」という。)

ク 被請求人は、甲第1号証のカバー材料5の材料として開示されているのはUV硬化性樹脂又は光硬化性樹脂であって、熱硬化性樹脂ではない、甲第1号証は、熱硬化性樹脂をジャケット材料として成形されたケーシングボディ2をカバー材料5と組み合わせることも何ら開示していないなどと主張する(審判事件答弁書8頁?9頁等)。
しかるに、乙第4号証(化学大辞典)のとおり、「樹脂は熱的性質からみて熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂に分類される.・・・この樹脂はそのもの単独または第二の物質を加えて加熱することにより三次元構造または網状構造となり不融不溶の樹脂になる.すなわち硬化するので熱硬化性樹脂という.」とされるところであり、「光又はUV線を当てることにより数秒間で硬化し始めもしくは予備固定され、後の時点で熱によって完全に硬化されるエポキシ樹脂」であるカバー材料5は、熱硬化性樹脂に当たるものと認められる。
また、甲第1号証においては、「ジャケット材料は、この場合に熱可塑性又は熱硬化性プラスチックから形成されるのが有利である」との記載(前記ア(オ)を参照。)のとおり、ジャケット材料に用いる樹脂として「熱可塑性又は熱硬化性プラスチック」が挙げられているにすぎず、多数の選択肢の中に「熱硬化性プラスチック」が挙げられているのではないから、甲第1号証の記載に接した当業者は、熱硬化性樹脂をジャケット材料として成形されたケーシングボディ2をカバー材料5と組み合わせたものである甲1-1発明を把握することができるというべきである。
したがって、被請求人の上記主張は、採用できない。

(3)訂正発明との対比・判断
ア 訂正発明1について
(ア)対比
訂正発明1と甲1-1発明とを対比する。

a 甲1-1発明の「発光ダイオードチップである半導体チップ3」、「リードフレーム1の電気的端子1A」、「リードフレーム1の電気的端子1B」、「ケーシングボディ2」、「カバー材料5」及び「表面実装可能なオプトエレクトロニクスデバイス」は、それぞれ、訂正発明1の「発光素子」、「発光素子を載置するための第1のリード」、「発光素子と電気的に接続される第2のリード」、「第1の樹脂成形体」、「第2の樹脂成形体」及び「表面実装型発光装置」に相当する。

b(a)本件特許明細書(以下、本件訂正後のものをいう。)には、次の記載がある。

「【0068】
こうした発光素子10は、適宜複数個用いることができ、その組み合わせによって白色表示における混色性を向上させることもできる。例えば、緑色系が発光可能な発光素子10を2個、青色系及び赤色色系が発光可能な発光素子10をそれぞれ1個ずつとすることが出来る。なお、表示装置用のフルカラー発光装置として利用するためには赤色系の発光波長が610nmから700nm、緑色系の発光波長が495nmから565nm、青色系の発光波長が430nmから490nmであることが好ましい。本発明の表面実装型発光装置において白色系の混色光を発光させる場合は、蛍光物質からの発光波長との補色関係や透光性樹脂の劣化等を考慮して発光素子の発光波長は400nm以上530nm以下が好ましく、420nm以上490nm以下がより好ましい。発光素子と蛍光物質との励起、発光効率をそれぞれより向上させるためには、450nm以上475nm以下がさらに好ましい。なお、比較的紫外線により劣化されにくい部材との組み合わせにより400nmより短い紫外線領域或いは可視光の短波長領域を主発光波長とする発光素子を用いることもできる。」

(b)上記(a)によれば、訂正発明1の「発光波長が420nm以上490nm以下」にある「発光素子」は、青色系が発光可能な発光素子といえる。
しかるところ、甲1-1発明の「半導体チップ3」は「紫外線及び/又は青色の放射線を発光する発光ダイオードチップ」であるから、青色系が発光可能な発光素子といえ、両発明は、いずれも、発光素子は、青色系が発光可能である点で共通するものといえる。

c 甲1-1発明は、「ケーシングボディ2の主成分を形成するジャケット材料は、熱硬化性プラスチックから形成され、また、TiO_(2)の特別な変態であるアナターゼである充填材を含有」するものであるから、訂正発明1の「第1の樹脂成形体は、酸化チタン顔料が含有されており」との構成を備える。

d 甲1-1発明は、「ケーシングボディ2の中央に配置された凹所6の底部に露出したリードフレーム1の電気的端子1A」に、「半導体チップ3が載置」されるものであるから、訂正発明1の「第1の樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、第1の樹脂成形体の凹部の底面から第1のリードが露出されており、その露出部分に発光素子が載置されており」との構成を備える。

e 甲1-1発明は、「カバー材料5」が、「光又はUV線を当てることにより数秒間で硬化し始めもしくは予備固定され、かつ後の時点で熱によって完全に硬化されるエポキシ樹脂」であり、「ケーシングボディ2」が「主成分を形成するジャケット材料は、熱硬化性プラスチックから形成」されるものであるから、訂正発明1の「第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体とは熱硬化性樹脂であり」との構成を備える。

f 以上によれば、訂正発明1と甲1-1発明とは、
「発光素子と、発光素子を載置するための第1のリードと発光素子と電気的に接続される第2のリードとを一体成形してなる第1の樹脂成形体と、発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置であって、
発光素子は、青色系が発光可能であり、
第1の樹脂成形体は、酸化チタン顔料が含有されており、
第1の樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、第1の樹脂成形体の凹部の底面から第1のリードが露出されており、その露出部分に発光素子が載置されており、
第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体とは熱硬化性樹脂である表面実装型発光装置。」
である点で一致し、以下の(a)ないし(c)の点で相違するものと認められる。

(a)発光素子の発光波長が、訂正発明1では、「420nm以上490nm以下」にあるのに対して、甲1-1発明では、発光波長は特定されない点(以下「相違点1_(1)」という。)。

(b)訂正発明1では、「第1のリードの発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側は、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出」されているのに対して、甲1-1発明では、「リードフレーム1の電気的端子1A、1Bは、包囲されたケーシングボディ2の側面から突出した部分が、ケーシングボディ2の側面と間隔をおいて屈曲しケーシングボディ2の下面に至っている」点(以下「相違点2_(1)」という。)。

(c)第1の樹脂成形体が、訂正発明1では、「トランスファ・モールドにより成形されている」のに対して、甲1-1発明では、成形方法は特定されない点(以下「相違点3_(1)」という。)。

(イ)判断
a 相違点1_(1)について
甲1-1発明において、紫外線及び/又は青色の放射線を発光する発光素子の発光波長を具体的にどの程度のものとするかは、当業者が設計上適宜定めるべき事項であるところ、前記(1)イのとおり、甲第2号証には、青色系の発光ダイオードについて、発光波長は420nm以上490nmが好ましい旨記載されていることに照らして、相違点1_(1)に係る訂正発明1の構成とすることに格別の困難があるものとは認められない。
したがって、甲1-1発明において、相違点1_(1)に係る訂正発明1の構成とすることは、当業者が設計上適宜なし得る程度のことである。

b 相違点2_(1)について
甲1-1発明において、相違点2_(1)に係る訂正発明1の構成とすることにつき、当業者が容易になし得たと認めるに足る根拠は、甲第1号証及び甲第2号証から見いだすことができずない。

c 相違点3_(1)について
甲1-1発明において、ケーシングボディ2をどのような成形方法により形成するかは、当業者が設計上適宜定めるべき事項であるところ、甲第1号証に、ケーシングボディ2の主成分を形成するジャケット材料は、トランスファー成形を用いて所定の形状にすることができる材料を意味することが記載される(前記ア(ア)を参照。)ことに照らせば、甲1-1発明において、ケーシングボディ2、すなわち、第1の樹脂成形体を「トランスファ・モールドにより成形されている」ものとし、相違点3_(1)に係る訂正発明1の構成とすることに格別の困難があるものとは認められない。
したがって、甲3-1発明において、相違点3_(1)に係る訂正発明1の構成とすることは、当業者が設計上適宜なし得る程度のことである。

(ウ)小括
上記(イ)bによれば、甲1-1発明において、相違点2_(1)に係る訂正発明1の構成とすることにつき、当業者が容易になし得たとはいえないから、訂正発明1は、甲第1号証に記載された発明とは認められず、当業者が甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて、容易に発明をすることができたものとも認められない。

イ 訂正発明2について
(ア)対比
訂正発明2と甲1-1発明とを対比する。

a 訂正発明2の「第1のアウターリード部」及び「第2のアウターリード部」は、第1の樹脂成形体から露出されているものと認められるところ、甲1-1発明の「リードフレーム1の電気的端子1A、1B」は、「包囲されたケーシングボディ2の側面から突出した部分が、ケーシングボディ2の側面と間隔をおいて屈曲しケーシングボディ2の下面に至っている」ものであるから、甲1-1発明は、訂正発明2の「第1のアウターリード部」及び「第2のアウターリード部」を備えるものといえる。

b 訂正発明2の「第1のインナーリード部」は、発光素子が載置されているものであり、同じく「第2のインナーリード部」は、発光素子が持つ第1の電極と電気的に接続されているものと認められるところ、甲1-1発明の「リードフレーム1の電気的端子1A」は、半導体チップ3が載置されるものであり、同じく「リードフレーム1の電気的端子1B」は、ボンディングワイヤ4によってチップ3の電気的コンタクト面と導電性に結合するものであるから、甲1-1発明は、訂正発明2の「第1のインナーリード部」及び「第2のインナーリード部」を備えるものといえる。

c 上記a、b及び前記ア(ア)での検討を踏まえると、訂正発明2と甲1-1発明とは、
「発光素子と、発光素子を載置するための第1のリードと発光素子と電気的に接続される第2のリードとを一体成形してなる第1の樹脂成形体と、発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置であって、
発光素子は、青色系が発光可能であり、
第1の樹脂成形体は、酸化チタン顔料が含有されており、
第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第1のインナーリード部は発光素子が載置されており、かつ、発光素子が持つ第1の電極と電気的に接続されており、並びに第1のアウターリード部は第1の樹脂成形体から露出されており、
第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、第2のインナーリード部は発光素子が持つ第2の電極と電気的に接続されており、並びに第2のアウターリード部は第1の樹脂成形体から露出されており、
第1の樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、第1の樹脂成形体の凹部の底面から第1のインナーリード部が露出されており、その露出部分に発光素子が載置されており、
第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体とは熱硬化性樹脂である表面実装型発光装置。」
である点で一致し、以下の(a)ないし(d)の点で相違するものと認められる。

(a)発光素子の発光波長が、訂正発明2では、「420nm以上490nm以下」にあるのに対して、甲1-1発明では、発光波長は特定されない点(以下「相違点1_(2)」という。)。

(b)訂正発明2では、「第1のインナーリード部の発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側は、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出」されているのに対して、甲1-1発明では、「リードフレーム1の電気的端子1A、1Bは、包囲されたケーシングボディ2の側面から突出した部分が、ケーシングボディ2の側面と間隔をおいて屈曲しケーシングボディ2の下面に至っている」点(以下「相違点2_(2)」という。)。

(c)第1の樹脂成形体が、訂正発明2では、「トランスファ・モールドにより成形されている」のに対して、甲1-1発明では、成形方法は特定されない点(以下「相違点3_(2)」という。)。

(d)訂正発明2では、「凹部の底面を上方から見る平面視において、第1のリード及び第2のリードは、凹部の底面から外側に互いに反対の方向に延びており、その延びる方向に沿って延在する側面が凹凸を有する形状とされ、その凹凸に第1の樹脂成形体が接触」しているのに対して、甲1-1発明では、リードフレーム1の電気的端子1A、1Bがそのようなものでない点(以下「相違点4_(2)」という。)。

(イ)判断
相違点1_(2)及び3_(2)については、前記ア(イ)aで検討したとおりであるが、相違点2_(2)については、同bでの検討と同様に、甲1-1発明において、相違点2_(2)に係る訂正発明2の構成とすることにつき、当業者が容易になし得たと認めるに足る根拠は、甲第1号証及び甲第2号証から見いだすことができない。
また、相違点4_(2)についても、甲1-1発明において、相違点4_(2)に係る訂正発明2の構成とすることにつき、当業者が容易になし得たと認めるに足る根拠は、甲第1号証及び甲第2号証から見いだすことができない。

(ウ)小括
以上のとおりであるから、訂正発明2は、甲第1号証に記載された発明とは認められず、当業者が甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて、容易に発明をすることができたものとも認められない。

ウ 訂正発明3ないし7、9及び10並びに18ないし20について
訂正発明3、5ないし7、9及び10に係る各請求項は、訂正発明1に係る請求項1を引用するものであり、訂正発明4及び18ないし20に係る各請求項は、訂正発明に係る請求項2を引用するものである。すなわち、訂正発明3、5ないし7、9及び10は、訂正発明1の特定事項を全て備えるものであり、訂正発明4及び18ないし20は、訂正発明2の特定事項を全て備えるものであるから、訂正発明1及び2が、甲第1号証に記載された発明とは認められず、当業者が甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて、容易に発明をすることができたものとも認められない以上、訂正発明3ないし7、9及び10並びに18ないし20は、甲第1号証に記載された発明とは認められず、当業者が甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて、容易に発明をすることができたものとも認められないことは、明らかである。

エ 訂正発明8について
請求項1及び8の記載に照らして、訂正発明8は、訂正発明1の特定事項を全て備え、更に、「第1の樹脂成形体は、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種により形成されてなり、第2の樹脂成形体はシリコーン樹脂又は変性シリコーン樹脂により形成されてなる」との特定事項を備えるものと認められるから、訂正発明1が、甲第1号証に記載された発明とは認められず、当業者が甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて、容易に発明をすることができたものとも認められない以上、訂正発明8は、甲第1号証に記載された発明とは認められず、当業者が甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて、容易に発明をすることができたものとも認められないことは、明らかである。

オ 訂正発明21について
請求項2及び21の記載に照らして、訂正発明21は、訂正発明2の特定事項を全て備え、更に、「第1のインナーリード部の発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側の露出部分と、第2のインナーリード部の発光素子と電気的に接続された部分と反対の裏面側の露出部分とは、実質的に同一平面上にある」との特定事項を備えるものと認められるから、訂正発明2が、甲第1号証に記載された発明とは認められず、当業者が甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて、容易に発明をすることができたものとも認められない以上、訂正発明21は、甲第1号証に記載された発明とは認められず、当業者が甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて、容易に発明をすることができたものとも認められないことは、明らかである。

カ 訂正発明22について
請求項2及び22の記載に照らして、訂正発明22は、訂正発明2の特定事項を全て備え、更に、「第1のインナーリード部及び第2のインナーリード部は、表面を平滑にするように金属メッキが施されている」との特定事項を備えるものと認められるから、訂正発明2が、甲第1号証に記載された発明とは認められず、当業者が甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて、容易に発明をすることができたものとも認められない以上、訂正発明22は、甲第1号証に記載された発明とは認められず、当業者が甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて、容易に発明をすることができたものとも認められないことは、明らかである。

キ 訂正発明23について
請求項2及び23の記載に照らして、訂正発明23は、訂正発明2の特定事項を全て備え、更に、「第1の樹脂成形体は、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種により形成されてなり、第2の樹脂成形体はシリコーン樹脂又は変性シリコーン樹脂により形成されてなる」との特定事項を備えるものと認められるから、訂正発明2が、甲第1号証に記載された発明とは認められず、当業者が甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて、容易に発明をすることができたものとも認められない以上、訂正発明23は、甲第1号証に記載された発明とは認められず、当業者が甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて、容易に発明をすることができたものとも認められないことは、明らかである。

ク 訂正発明11について
訂正発明11に対応する本件訂正前の本件発明11に対して、無効理由I及びIIは主張されていないが、訂正発明12、13及び15に係る各請求項は、訂正発明11に係る請求項11を引用するものであることにかんがみ、訂正発明11と甲1-2発明とを対比して、以下検討する。

(ア)対比
訂正発明11と甲1-2発明とを対比する。

a 甲1-2発明の「リードフレーム1の電気的端子1A、1B」は、それぞれ、訂正発明11の「第1のリード」ないし「第2のリード」に相当する。
そして、甲1-2発明は、「表面実装可能なオプトエレクトロニクスデバイスに用いられる、プラスチック材料でリードフレーム1を包囲して成形することにより作成されたケーシングボディ2」であるから、訂正発明11の「第1のリードと第2のリードとを一体成形してなる表面実装型発光装置用の樹脂成形体」に相当する。

b 甲1-2発明は、「ケーシングボディ2」の「中央に配置された凹所6の底部にリードフレーム1の電気的端子1A、1Bが露出」し、「前記リードフレーム1の電気的端子1A、1Bは、包囲されたケーシングボディ2の側面から突出した部分が、ケーシングボディ2の側面と間隔をおいて屈曲しケーシングボディ2の下面に至っている」ものであるから、訂正発明11の「『樹脂成形体中に配置』されている『第1のインナーリード部』」、「『樹脂成形体から露出』されている『第1のアウターリード部』」、「『樹脂成形体中に配置』されている『第2のインナーリード部』」及び「『樹脂成形体から露出』されている『第2のアウターリード部』」を備え、訂正発明11の「樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、樹脂成形体の凹部の底面から第1のインナーリード部及び第2のインナーリード部が露出されており、露出されている第1のインナーリード部に発光素子の載置領域が含まれ」との構成を備えるものといえる。

c 甲1-2発明は、「前記ケーシングボディ2の主成分を形成するジャケット材料は、熱硬化性プラスチックから形成され、また、TiO_(2)の特別な変態であるアナターゼである充填材を含有」するものであるから、訂正発明11の「樹脂成形体は、酸化チタン顔料が含有された熱硬化性樹脂であり」との構成を備えるものといえる。

d 以上によれば、訂正発明11と甲1-2発明とは、
「第1のリードと第2のリードとを一体成形してなる表面実装型発光装置用の樹脂成形体であって、
第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第1のインナーリード部は樹脂成形体中に配置されており、第1のアウターリード部は樹脂成形体から露出されており、
第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、第2のインナーリード部は樹脂成形体中に配置されており、第2のアウターリード部は樹脂成形体から露出されており、
樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、樹脂成形体の凹部の底面から第1のインナーリード部及び第2のインナーリード部が露出されており、露出されている第1のインナーリード部に発光素子の載置領域が含まれ、
樹脂成形体は、酸化チタン顔料が含有された熱硬化性樹脂である樹脂成形体。」
である点で一致し、以下の(a)及び(b)の点で相違するものと認められる。

(a)訂正発明11では、「露出されている第1のインナーリード部の発光素子の載置領域の裏面側が樹脂成形体から露出されていることにより、表面実装型発光装置としたときに発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できる」とされているのに対して、甲1-2発明では、「リードフレーム1の電気的端子1A、1Bは、包囲されたケーシングボディ2の側面から突出した部分が、ケーシングボディ2の側面と間隔をおいて屈曲しケーシングボディ2の下面に至っている」点(以下「相違点2_(11)」という。)。

(b)樹脂成形体が、訂正発明2では、「トランスファ・モールドにより成形されている」のに対して、甲1-1発明では、成形方法は特定されない点(以下「相違点3_(11)」という。)。

(イ)判断
相違点3_(11)については、前記ア(イ)aで検討したとおりであるが、相違点2_(11)については、同bでの検討と同様に、甲1-2発明において、相違点2_(11)に係る訂正発明11の構成とすることにつき、当業者が容易になし得たと認めるに足る根拠は、甲第1号証及び甲第2号証から見いだすことができない。

(ウ)小括
以上のとおりであるから、訂正発明11は、甲第1号証に記載された発明とは認められず、当業者が甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて、容易に発明をすることができたものとも認められない。

ケ 訂正発明12、13及び15について
訂正発明12、13及び15に係る各請求項は、訂正発明11に係る請求項11を引用するものである。すなわち、訂正発明12、13及び15は、訂正発明11の特定事項を全て備えるものであるから、訂正発明11が、甲第1号証に記載された発明とは認められず、当業者が甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて、容易に発明をすることができたものとも認められない以上、訂正発明12、13及び15は、甲第1号証に記載された発明とは認められず、当業者が甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて、容易に発明をすることができたものとも認められないことは、明らかである。

コ 訂正発明14について
請求項11及び14の記載に照らして、訂正発明14は、訂正発明11の特定事項を全て備え、更に、「凹部は、開口方向に広口となるように傾斜が設けられており、凹部の底面を上方から見る平面視において、第1のリード及び第2のリードは、凹部の底面から外側に互いに反対の方向に延びており、その延びる方向に沿って延在する側面が凹凸を有する形状とされ、その凹凸に樹脂成形体が接触している」との特定事項を備えるものと認められるから、訂正発明11が、甲第1号証に記載された発明とは認められず、当業者が甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて、容易に発明をすることができたものとも認められない以上、訂正発明14は、甲第1号証に記載された発明とは認められず、当業者が甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基づいて、容易に発明をすることができたものとも認められないことは、明らかである。

(4)無効理由I及び無効理由IIについてのまとめ
以上のとおりであるから、無効理由I及び無効理由IIによって、訂正発明1ないし5、8ないし10、12ないし15及び19ないし23についての特許を無効とすることはできない。

2 無効理由III及び無効理由IV(第5、3及び4)について
無効理由III及び無効理由IVについて、まとめて検討する。

(1)甲号証の記載
本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第3号証(特開2004-274027号公報)には、以下の記載がある(下線は、審決で付した。)

ア 「【請求項1】
第1の領域と、前記第1の領域の周縁に沿って延在する第2の領域とが規定された主表面を有するリードフレームと、
前記第1の領域に設けられた半導体発光素子と、
前記半導体発光素子から発せられた光に対して第1の反射率を有し、前記半導体発光素子を完全に覆うように前記第1の領域に設けられた第1の樹脂部材と、
前記半導体発光素子から発せられた光に対して前記第1の反射率よりも大きい第2の反射率を有し、前記半導体発光素子を囲むように前記第2の領域に設けられた第2の樹脂部材とを備え、
前記第1の樹脂部材は、第1の頂面を含み、
前記第2の樹脂部材は、前記主表面からの距離が前記主表面から前記第1の頂面までの距離よりも大きい位置に設けられた第2の頂面と、前記半導体発光素子が位置する側において前記主表面から離隔する方向に延在し、前記第2の頂面に連なる内壁とを含む、半導体発光装置。
・・・
【請求項7】
前記リードフレームは、スリット状の溝によって離間した部分を含み、前記部分は他の部分の厚みよりも小さい厚みで形成されている、請求項1から6のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
【請求項8】
前記リードフレームは、同一平面上に延在する板形状に形成されている、請求項1から7のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
【請求項9】
前記リードフレームは、前記主表面と反対側の面に形成され、かつ樹脂が充填される第1の凹部を含み、前記反対側の面には、前記第1の凹部の両側に位置して実装基板に電気的に接続される端子部が設けられている、請求項8に記載の半導体発光装置。
・・・
【請求項12】
前記第2の樹脂部材は、前記主表面に平行な面上において前記内壁によって規定される形状の面積が、前記主表面から離れるに従って大きくなるように形成されている、請求項1から11のいずれか1項に記載の半導体発光装置。」

イ 「【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0044】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1における半導体発光装置を示す断面図である。図1を参照して、半導体発光装置は、所定のパターン形状に形成され、主表面1aを有するリードフレーム1と、主表面1a上に設けられたLEDチップ4と、LEDチップ4を覆うように主表面1a上に設けられたエポキシ樹脂6と、エポキシ樹脂6の周囲に設けられた樹脂部3とを備える。
【0045】
リードフレーム1は、同一平面上において延在する板形状を有する。リードフレーム1には、所定のパターンニング加工を行なうことによって、主表面1aから主表面1aと反対側の面1bにまで達するスリット状の溝1mが形成されている。
【0046】
リードフレーム1の反対側の面1bには、スリット状の溝1mに連なる溝15が形成されている。これにより、リードフレーム1においてスリット状の溝1mが形成された部分1tは、他の部分の厚みよりも小さい厚みで形成されている。
【0047】
図2は、図1中の半導体発光装置を示す平面図である。図2では、リードフレーム1に形成されている一部の構造物が省略されている。図1および図2を参照して、主表面1aには、2点鎖線で描かれた円13の内部に位置する領域10と、円13の外部に位置し、領域10の周縁に沿って延在する領域20とが規定されている。円13の中心を通るように溝1mが形成されており、スリット状の溝1mによってリードフレーム1が離間している。
【0048】
LEDチップ4は、主表面1aの領域10に位置して設けられている。LEDチップ4は、銀(Ag)ペースト7を介して設けられている。LEDチップ4の頂面に設けられた図示しない電極と、領域10に位置し、LEDチップ4が設けられた主表面1aとはスリット状の溝1mによって離間している主表面1aとが、金線5によって接続されている。つまり、LEDチップ4は、銀ペースト7および金線5によって主表面1aに機械的および電気的に接続されている。
【0049】
LEDチップ4の電極に接続された金線5の一方端5pは、ボール状に形成されており、主表面1aに接続された金線5の他方端5qは、線状に形成されている。つまり、金線5を所定の位置に接続する際のワイヤボンディングは、まず金線5の一方端5pをLEDチップ4の電極にボールボンディングし、続いて金線5の他方端5qを主表面1aにウェッジボンディングすることによって行なわれている。
【0050】
LEDチップ4から光が発せられると熱が発生する。この熱はリードフレーム1に伝わり、リードフレーム1から外部に放熱される。本実施の形態では、リードフレーム1の部分1tを小さい厚みで形成することによって、スリット状の溝1mを、溝幅を小さくして加工することができる。このため、リードフレーム1の他の部分の厚みを大きくすることによって、リードフレーム1による放熱を効率良く行なうことができる。
【0051】
また、リードフレーム1から効率良く放熱を行うため、リードフレーム1は、熱伝導率が300(W/m・K)以上400(W/m・K)以下の金属によって形成されている。リードフレーム1を形成する金属の熱伝導率が300(W/m・K)よりも小さい場合、リードフレーム1による放熱の効果を十分に図ることができない。また、リードフレーム1を形成する金属の熱伝導率が400(W/m・K)よりも大きい場合、リードフレーム1を実装する際に発生する熱がLEDチップ4に伝わることによって、LEDチップ4の信頼性が低下するおそれが生じる。
【0052】
具体的には、主成分である銅(Cu)に対して、鉄(Fe)、亜鉛(Ze)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、シリコン(Si)、スズ(Sn)、鉛(Pb)または銀(Ag)などの金属を適宜混ぜた合金によってリードフレーム1が形成されている。この場合、銅に加える金属の量を小さくするほど、リードフレーム1を形成する合金の熱伝導率を高くすることができる。
【0053】
また、本実施の形態では、リードフレーム1が折り曲げのない構造で形成されているため、リードフレーム1を形成する材料を選択する際に、その材料の折り曲げ加工性を考慮する必要がない。このため、幅広い種類の材料からリードフレーム1を形成するための材料を選択することができる。また、リードフレーム1は折り曲げのない構造で形成されているため、折り曲げ時に発生する割れおよびクラックなどを懸念する必要がない。
【0054】
リードフレーム1が、樹脂にインサート成型されることによって、主表面1a上には、領域20に位置する樹脂部3が設けられている。また、樹脂がリードフレーム1の反対側の面1bにまで回り込んで樹脂部8を形成している。樹脂部8は、スリット状の溝1mおよび溝15を充填するように設けられている。樹脂部3および8は、所定のパターン形状に形成されたリードフレーム1の形状を保持する役割を果たしている。特に、本実施の形態では、樹脂部8がリードフレーム1の反対側の面1bを広く覆っているため、リードフレーム1と樹脂部8との接着強度を増大させることができる。これにより、半導体発光装置の信頼性を向上させることができる。樹脂部8の両側に位置するリードフレーム1の反対側の面1bには、半導体発光装置を実装基板に接続するための端子部9が設けられている。
【0055】
樹脂部8の両側に位置する端子部9は、絶縁体である樹脂部8によって隔てられている。このため、端子部9を実装基板にはんだ付けする場合に、たとえば、アノード・カソード間、または複数のLEDチップ間などにおいて短絡が発生することを防止できる。
【0056】
樹脂部3は、主表面1aにほぼ平行な平面上に延在する頂面3aと、LEDチップ4が設けられた主表面1aの領域10を囲み、主表面1aから離隔する方向に延在する内壁3bとを有する。内壁3bは、主表面1aと頂面3aとに連なっている。樹脂部3の内壁3bは、LEDチップ4から発せられた光を反射するための反射面として機能する。
【0057】
樹脂部3および8は、LEDチップ4から発せられた光を樹脂部3で効率良く反射するために、反射率が高い白色の樹脂から形成されている。また、製造時におけるリフロー工程を考慮して、樹脂部3および8は、耐熱性に優れた樹脂から形成されている。具体的には、上述の両方の条件を満たす液晶ポリマーまたはポリアミド系樹脂などが使用されている。なお、これ以外の樹脂およびセラミックなどについても、樹脂部3および8を形成する材料として使用することができる。また、LEDチップ4から発せられた光をさらに効率良く反射させるために、内壁3bの表面にめっきを施しても良い。
【0058】
樹脂部3の内壁3bと主表面1aとによって形成された凹部には、LEDチップ4および金線5が位置している。その凹部には、LEDチップ4および金線5を覆うようにエポキシ樹脂6が設けられている。エポキシ樹脂6は、外部からの物理的または電気的な接触に対して、LEDチップ4および金線5を保護する役割を果たしている。エポキシ樹脂6は、内壁3bから中心部にかけてやや凹んだ形状の頂面6aを有する。エポキシ樹脂6は、主表面1aから頂面6aまでの距離が、主表面1aから樹脂部3の頂面3aまでの距離よりも小さくなるように形成されている。このため、エポキシ樹脂6の頂面6a上においても頂面3aに向かう方向に内壁3bが延在している。
【0059】
エポキシ樹脂6は、LEDチップ4から発せられる光に対して、樹脂部3が有する反射率よりも小さい反射率を有する材料で形成されている。具体的には、ポッティング方式で注型された透明または乳白色の樹脂が使用されている。なお、ポッティング方式以外にも、トランスファー成型またはインジェクション成型などによっても、エポキシ樹脂6を設けることが可能である。この場合は、エポキシ樹脂6を任意の形状(たとえばレンズ形状)に形成することができる。
【0060】
図3は、図1中のIII-III線上に沿った断面図である。図1および図3を参照して、主表面1aに平行な平面上において内壁3bによって規定される形状25が円形とな
っている。樹脂部3は、その内壁3bによって規定される形状25の面積が、主表面1aから離れるに従って大きくなるように形成されている。つまり、内壁3bは、頂点が下方に位置する円錐を想定した場合に、その円錐の底面から頂点に向かって延在する円錐の側壁の形状を有する。
【0061】
図4は、樹脂部の内壁によって光が反射される様子を模式的に表わした断面図である。図4を参照して、主表面1a上に光源22が設けられている場合を想定すると、光源22から発せられた光は放射状に進行する。半導体発光装置では、この光源22から発せられる光の指向性を適切に制御し、さらには、所定の方向に高輝度な光を取り出すことが重要となる。樹脂部3は、内壁3bによって規定される形状の面積が主表面1aから離れるに従って大きくなるように形成されているため、光源から主表面1aに近い方向に進行する光を内壁3bによって所定の方向に反射させることができる。これにより、光源から発せられた光を、半導体発光装置の前面、つまり矢印23に示す方向に取り出すことができる。また、主表面1aに平行な平面上において内壁3bによって規定される形状が円形となっているため、内壁3bの傾きを調整することによって光の指向性を容易に制御することができる。
【0062】
本実施の形態では、図1を参照して、LEDチップ4から発せられた光は、内壁3bによって所定の方向に反射され、エポキシ樹脂6を透過して頂面6aから外部へと出射する。この際、頂面6aにおいて屈折が生じることによって光の進行する方向が変化する。しかし、頂面6a上においても反射面として機能する内壁3bが存在するため、光を再び内壁3bに反射させて半導体発光装置の前面へと出射させることができる。
【0063】
図5および図6は、内壁によって規定される形状の変形例を示す断面図である。図5および図6は、図3に示す断面に相当する断面図である。
【0064】
図5を参照して、主表面1aに平行な平面上において内壁3bによって規定される形状26が楕円となるように樹脂部3を形成してもよい。図6を参照して、主表面1aに平行な平面上において内壁3bによって規定される形状27が長方形となるように樹脂部3を形成してもよい。これらの場合、半導体発光装置から発せられる光の発光面積を大きくとることができる。このように半導体発光装置が搭載される電子機器などの使用目的にあわせて、樹脂部3を設ける形態を適宜変更すれば良い。
【0065】
この発明の実施の形態1に従った半導体発光装置は、第1の領域としての領域10と、領域10の周縁に沿って延在する第2の領域としての領域20とが規定された主表面1aを有するリードフレーム1と、領域10に設けられた半導体発光素子としてのLEDチップ4と、LEDチップ4を完全に覆うように領域10に設けられた第1の樹脂部材としてのエポキシ樹脂6と、LEDチップ4を囲むように領域20に設けられた第2の樹脂部材としての樹脂部3とを備える。
【0066】
エポキシ樹脂6は、LEDチップ4から発せられた光に対して第1の反射率を有する。樹脂部3は、LEDチップ4から発せられた光に対して第1の反射率よりも大きい第2の反射率を有する。エポキシ樹脂6は、第1の頂面としての頂面6aを含む。樹脂部3は、主表面1aからの距離が主表面1aから頂面6aまでの距離よりも大きい位置に設けられた第2の頂面としての頂面3aと、LEDチップ4が位置する側において主表面1aから離隔する方向に延在し、頂面3aに連なる内壁3bとを含む。
【0067】
半導体発光装置は、LEDチップ4に接続される一方端5pと、主表面1aに接続される他方端5qとを有する金属線としての金線5をさらに備える。エポキシ樹脂6は、金線5を完全に覆うように設けられている。
【0068】
リードフレーム1は、スリット状の溝1mによって離間した部分1tを含む。部分1tは他の部分の厚みよりも小さい厚みで形成されている。
【0069】
リードフレーム1は、同一平面上に延在する板形状に形成されている。リードフレーム1は、主表面1aと反対側の面1bに形成され、かつ樹脂としての樹脂部8が充填される第1の凹部としての溝15を含む。反対側の面1bには、溝15の両側に位置して実装基板に電気的に接続される端子部9が設けられている。
【0070】
樹脂部3は、主表面1aに平行な面上において内壁3bによって規定される形状の面積が、主表面1aから離れるに従って大きくなるように形成されている。主表面1aに平行な面上において内壁3bによって規定される形状は、円形、楕円形および多角形のいずれかである。
【0071】
このように構成された半導体発光装置によれば、頂面6a上においてもLEDチップ4から発せられる光を反射させるための内壁3bが延在している。また、相対的に低い位置にエポキシ樹脂6の頂面6aが設けられているため、光がエポキシ樹脂6を透過する際に減衰することを抑制できる。さらに、板状に形成されることによってリードフレーム1の高さが低く抑えられているため、樹脂部3の高さを高くすることができる。これにより、LEDチップ4から発せられる光を反射させるための内壁3bをより高い位置まで延在させることができる。以上の理由から、LEDチップ4から発せられる光の指向性を適切に制御して、半導体発光装置から高輝度な光を取り出すことができる。」

ウ 図1は、次のものである。


(2)甲第3号証に記載された発明
ア 上記(1)アによれば、甲第3号証には、
「第1の領域と、前記第1の領域の周縁に沿って延在する第2の領域とが規定された主表面を有するリードフレームと、
前記第1の領域に設けられた半導体発光素子と、
前記半導体発光素子から発せられた光に対して第1の反射率を有し、前記半導体発光素子を完全に覆うように前記第1の領域に設けられた第1の樹脂部材と、
前記半導体発光素子から発せられた光に対して前記第1の反射率よりも大きい第2の反射率を有し、前記半導体発光素子を囲むように前記第2の領域に設けられた第2の樹脂部材とを備え、
前記第1の樹脂部材は、第1の頂面を含み、
前記第2の樹脂部材は、前記主表面からの距離が前記主表面から前記第1の頂面までの距離よりも大きい位置に設けられた第2の頂面と、前記半導体発光素子が位置する側において前記主表面から離隔する方向に延在し、前記第2の頂面に連なる内壁とを含み、
前記第2の樹脂部材は、前記主表面に平行な面上において前記内壁によって規定される形状の面積が、前記主表面から離れるに従って大きくなるように形成されている、半導体発光装置であって、
前記リードフレームは、同一平面上に延在する板形状に形成され、スリット状の溝によって離間した部分を含み、前記部分は他の部分の厚みよりも小さい厚みで形成されており、
前記リードフレームは、前記主表面と反対側の面に形成され、かつ樹脂が充填される第1の凹部を含み、前記反対側の面には、前記第1の凹部の両側に位置して実装基板に電気的に接続される端子部が設けられている、半導体発光装置」
が記載されているものと認められる。

イ 同イによれば、第1の樹脂部材は、エポキシ樹脂であること、第2の樹脂部材は、反射率が高い白色の樹脂から形成され、また、リードフレームが樹脂にインサート成型されることによって設けられ、樹脂がリードフレームの反対側の面に回り込んで第1の凹部に充填されるものであることが認められる。

ウ 同イを踏まえて、同ウの図1を見ると、樹脂部3、すなわち第2の樹脂部材の内壁3bと主表面1aとによって形成された凹部には、リードフレーム1の主表面1aが露出しており、露出した主表面1aにLEDチップ4、すなわち半導体発光素子が銀(Ag)ペースト7を介して設けられ、LEDチップ4の頂面に設けられた電極と、LEDチップ4が設けられた主表面1aとはスリット状の溝1mによって離間している主表面1aとが金線5によって接続されていること、スリット状の溝1mを挟んで溝15が形成されており、第2の樹脂部材に埋め込まれたリードフレームの端部は第2の樹脂部材から突出するとともに、主表面と反対側の面は、樹脂が充填される溝15、すなわち凹部を除いて露出していることが理解できる。

エ 以上によれば、甲第3号証には、次の発明が記載されているものと認められる。
「第1の領域と、前記第1の領域の周縁に沿って延在する第2の領域とが規定された主表面を有するリードフレームと、
前記第1の領域に設けられた半導体発光素子と、
前記半導体発光素子から発せられた光に対して第1の反射率を有し、前記半導体発光素子を完全に覆うように前記第1の領域に設けられた第1の樹脂部材と、
前記半導体発光素子から発せられた光に対して前記第1の反射率よりも大きい第2の反射率を有し、前記半導体発光素子を囲むように前記第2の領域に設けられた第2の樹脂部材とを備え、
前記第1の樹脂部材は、第1の頂面を含み、
前記第2の樹脂部材は、前記主表面からの距離が前記主表面から前記第1の頂面までの距離よりも大きい位置に設けられた第2の頂面と、前記半導体発光素子が位置する側において前記主表面から離隔する方向に延在し、前記第2の頂面に連なる内壁とを含み、
前記主表面に平行な面上において前記内壁によって規定される形状の面積が、前記主表面から離れるに従って大きくなるように形成されている、半導体発光装置であって、
前記リードフレームは、同一平面上に延在する板形状に形成され、スリット状の溝によって離間した部分を含み、前記部分は他の部分の厚みよりも小さい厚みで形成されており、
前記第2の樹脂部材の内壁と前記主表面とによって形成された凹部には、露出した前記リードフレームの主表面に前記半導体発光素子が銀ペーストを介して設けられ、前記半導体発光素子の頂面に設けられた電極と、前記半導体発光素子が設けられた前記主表面とは前記スリット状の溝によって離間している前記主表面とが金線によって接続され、
また、前記リードフレームは、前記主表面と反対側の面に前記スリット状の溝を挟んで形成され、かつ樹脂が充填される第1の凹部を含み、前記反対側の面には、前記第1の凹部の両側に位置して実装基板に電気的に接続される端子部が設けられており、
前記第1の樹脂部材は、エポキシ樹脂であり、
前記第2の樹脂部材は、反射率が高い白色の樹脂から形成され、また、前記第2の樹脂部材は、前記リードフレームが樹脂にインサート成型されることによって設けられ、樹脂が前記リードフレームの反対側の面に回り込んで第1の凹部に充填され、
前記第2の樹脂部材に埋め込まれた前記リードフレームの端部は第2の樹脂部材から突出するとともに、前記リードフレームの前記主表面と反対側の面は、樹脂が充填される凹部を除いて露出している半導体発光装置。」(以下「甲3-1発明」という。)

オ また、甲3-1発明における「『リードフレームが樹脂にインサート成型されることによって設けられ』、『反射率が高い白色の樹脂から形成され』た『第2の樹脂部材』」は、半導体発光装置に用いられるものであって、前記リードフレームは、同一平面上に延在する板形状に形成され、スリット状の溝によって離間した部分を含み、その内壁とリードフレームの主表面とによって形成された凹部に露出した前記リードフレームの主表面に半導体発光素子が銀ペーストを介して設けられ、前記半導体発光素子の頂面に設けられた電極と、前記半導体発光素子が設けられた前記主表面とは前記スリット状の溝によって離間している前記主表面とが金線によって接続され、また、前記リードフレームは、前記主表面と反対側の面に前記スリット状の溝を挟んで形成され、かつ樹脂が充填される第1の凹部を含み、前記反対側の面には、前記第1の凹部の両側に位置して実装基板に電気的に接続される端子部が設けられており、前記第2の樹脂部材は、樹脂が前記リードフレームの反対側の面に回り込んで第1の凹部に充填され、前記第2の樹脂部材に埋め込まれた前記リードフレームの端部は第2の樹脂部材から突出するとともに、前記主表面と反対側の面は、樹脂が充填される凹部を除いて露出しているものであることが認められる。
したがって、甲第3号証には、次の発明が記載されているものと認められる。
「リードフレームが樹脂にインサート成型されることによって設けられ、反射率が高い白色の樹脂から形成された、半導体発光装置に用いられる樹脂部材であって、
前記リードフレームは、同一平面上に延在する板形状に形成され、スリット状の溝によって離間した部分を含み、その内壁とリードフレームの主表面とによって形成された凹部に露出した前記リードフレームの主表面に半導体発光素子が銀ペーストを介して設けられ、前記半導体発光素子の頂面に設けられた電極と、前記半導体発光素子が設けられた前記主表面とは前記スリット状の溝によって離間している前記主表面とが金線によって接続され、
前記主表面に平行な面上において前記内壁によって規定される形状の面積が、前記主表面から離れるに従って大きくなるように形成されており、
また、前記リードフレームは、前記主表面と反対側の面に前記スリット状の溝を挟んで形成され、かつ樹脂が充填される第1の凹部を含み、前記反対側の面には、前記第1の凹部の両側に位置して実装基板に電気的に接続される端子部が設けられており、
前記樹脂部材は、樹脂が前記リードフレームの反対側の面に回り込んで第1の凹部に充填され、前記樹脂部材に埋め込まれた前記リードフレームの端部は前記樹脂部材から突出するとともに、前記リードフレームの前記主表面と反対側の面は、樹脂が充填される凹部を除いて露出している樹脂部材。」(以下「甲3-2発明」という。)

(3)訂正発明との対比・判断
ア 訂正発明1について
(ア)対比
訂正発明1と甲3-1発明とを対比する。

a 甲3-1発明の「半導体発光素子」、「『主表面』に『半導体発光素子が銀ペーストを介して設けられ』る『リードフレーム』」及び「前記『半導体発光素子』が設けられる『リードフレーム』とは『スリット状の溝によって離間』しており、『半導体発光素子の頂面に設けられた電極』と『金線によって接続され』ている『リードフレーム』」は、それぞれ、訂正発明1の「発光素子」、「発光素子を載置するための第1のリード」及び「発光素子と電気的に接続される第2のリード」に相当する。

b 甲3-1発明の「第2の樹脂部材」は、「リードフレームが樹脂にインサート成型されることによって設けられ(る)」ものであるから、訂正発明1の「発光素子を載置するための第1のリードと発光素子と電気的に接続される第2のリードとを一体成形してなる第1の樹脂成形体」に相当する。

c 甲3-1発明の「半導体発光素子を完全に覆うように前記第1の領域に設けられた第1の樹脂部材」は、「リードフレームが樹脂にインサート成型されることによって設けられ(る)」ものであるから、訂正発明1の「発光素子を被覆する第2の樹脂成形体」に相当する。

d 甲3-1発明は、リードフレームの主表面と反対側の面に設けられた端子部が実装基板に電気的に接続されるものであるから、訂正発明1と同じく「表面実装型発光装置」といえる。

e 甲3-1発明は、「前記第2の樹脂部材の内壁と前記主表面とによって形成された凹部には、露出した前記リードフレームの主表面に前記半導体発光素子が銀ペーストを介して設けられ(る)」ものであるから、訂正発明1の「第1の樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、第1の樹脂成形体の凹部の底面から第1のリードが露出されており、その露出部分に発光素子が載置されており」との構成を備える。

f 訂正発明1は、「第1のリードの発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側は、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出されており」と特定されるものであるところ、甲3-1発明は、「前記第2の樹脂部材に埋め込まれた前記リードフレームの前記主表面と反対側の面は、樹脂が充填される凹部を除いて露出している」ものであるから、「発光素子が載置されている主面側と反対の第1のリードの裏面側は、第1の樹脂成形体から露出されており」との構成を備えるものといえ、両者は、この点において一致する。

g 以上によれば、訂正発明1と甲3-1発明とは、
「発光素子と、発光素子を載置するための第1のリードと発光素子と電気的に接続される第2のリードとを一体成形してなる第1の樹脂成形体と、発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置であって、
第1の樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、第1の樹脂成形体の凹部の底面から第1のリードが露出されており、その露出部分に発光素子が載置されており、
発光素子が載置されている主面側と反対の第1のリードの裏面側は、第1の樹脂成形体から露出されている表面実装型発光装置」
である点で一致し、以下の(a)ないし(d)の点で相違するものと認められる。

(a)発光素子の発光波長が、訂正発明1では、「420nm以上490nm以下」にあるのに対して、甲3-1発明では、発光波長は特定されない点(以下「相違点5_(1)」という。)。

(b)訂正発明1では、第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体とは熱硬化性樹脂であり、第1の樹脂成形体は、酸化チタン顔料が含有されているのに対して、甲3-1発明では、第2の樹脂部材(第1の樹脂成形体)は、反射率が高い白色の樹脂から形成され、第1の樹脂部材(第2の樹脂成形体)は、エポキシ樹脂である点(以下「相違点6_(1)」という。)。

(c)第1の樹脂成形体が、訂正発明1では、「トランスファ・モールドにより成形されている」のに対して、甲3-1発明では、成形方法は特定されない点(以下「相違点7_(1)」という。)。

(d)第1のリードの裏面側の露出について、訂正発明1では、「第1のリードの発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側は、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出されており」と特定されるのに対して、甲3-1発明では、そのように特定されない点(以下「相違点8_(1)」という。)。

(イ)判断
a 相違点5_(1)について
甲3-1発明において、発光素子の発光波長を具体的にどの程度のものとするかは、当業者が設計上適宜定めるべき事項であるところ、相違点5_(1)に係る訂正発明1の構成とすることに格別の困難があるものとは認められない。
したがって、甲3-1発明において、相違点5_(1)に係る訂正発明1の構成とすることは、当業者が設計上適宜なし得る程度のことである。

b 相違点6_(1)について
(a)甲3-1発明において、各樹脂部材としてどのような樹脂を用いるかは、当業者が設計上適宜定めるべき事項であるところ、甲第1号証には、ケーシングボディ用の材料として、通常では熱可塑性樹脂材料又は熱硬化性樹脂材料が使用され、TiO_(2)充填剤を用いて白色に着色されている旨記載される(前記1(1)ア(ア)を参照。)こと、カバー材料5は、熱によって完全に硬化されるエポキシ樹脂を含有する旨記載される(同(エ)を参照。)ことに照らせば、各樹脂部材を熱硬化性樹脂とし、第2の樹脂部材にTiO_(2)充填剤を用いて、相違点6_(1)に係る訂正発明1の構成とすることに格別の困難があるものとは認められない。
したがって、甲3-1発明において、相違点6_(1)に係る訂正発明1の構成とすることは、当業者が設計上適宜なし得る程度のことである。

(b)被請求人は、当業者は、甲第1号証の記載を見ても、甲第3号証に何の記載も示唆もない熱硬化性樹脂を用いて、第2の樹脂部材を形成してみようとはしないはずである、甲第1号証には、熱硬化性樹脂にTiO_(2)充填剤を用いることは記載されていないなどと主張する(平成26年1月28日付け上申書1(4)ア)が、上記(a)の判断を左右するものではない。
また、被請求人は、乙第11号証及び乙第12号証を挙げ、訂正発明1の相違点6_(1)に係る構成による効果は予測できない旨主張する(平成26年1月28日付け上申書1(4)ウ)。
そして、乙第11号証を見るに、第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体をともに熱硬化性樹脂としたパッケージ1と、第1の樹脂成形体を熱可塑性樹脂とした比較パッケージ1とを対比し、パッケージ1は樹脂成形体間の密着性が高いとされることが認められる。また、乙第12号証を見るに、熱硬化性樹脂を用いた試料1、2と、熱可塑性樹脂を用いた比較試料1、2とを対比し、試料1、2はリードに対する密着性、耐光性に優れるとされることが認められる。
しかるに、用いる樹脂が異なれば生じる作用が異なることは、当業者にとって当然予測し得ることというべきところ、上記(a)のとおり、相違点6_(1)に係る訂正発明1の構成とすることが、当業者が設計上適宜なし得る程度のことであることを踏まえると、同構成に対応する効果が生じるとしても、乙第11号証及び乙第12号証はかかる効果を確認したことを示すにとどまり、これをもって、格別顕著な効果と認めるには至らない。

c 相違点7_(1)について
(a)甲3-1発明において、第2の樹脂部材をどのような成形方法により形成するかは、当業者が設計上適宜定めるべき事項であるところ、甲第1号証に、ケーシングボディ2の主成分を形成するジャケット材料は、トランスファー成形を用いて所定の形状にすることができる材料を意味することが記載される(前記1(1)ア(ア)を参照。)ことに照らせば、甲3-1発明において第2の樹脂部材、すなわち、第1の樹脂成形体を「トランスファ・モールドにより成形されている」ものとし、相違点7_(1)に係る訂正発明1の構成とすることに格別の困難があるものとは認められない。
したがって、甲3-1発明において、相違点7_(1)に係る訂正発明1の構成とすることは、当業者が設計上適宜なし得る程度のことである。

(b)被請求人は、甲第3号証の図1のような形状とする、バリの発生といった不都合が生ずる旨主張する(平成26年1月28日付け上申書1(5))。
しかし、例えば、甲第1号証の図1に示されるものと甲第3号証の図1に示されるものとの対比において、甲第3号証に示されるものの方がバリを発生しやすいといった差異を生じるような構成上の差異は見当たらず、上記(a)のとおり、甲第1号証に、トランスファー成形を用いる旨記載されることに照らして、甲3-1発明において、第1の樹脂成形体を「トランスファ・モールドにより成形されている」ものとすることに格別の妨げがあるものとは認められない。
よって請求人の上記主張は、採用できない。

d 相違点8_(1)について
(a)甲3-1発明において、半導体発光素子をリードフレームのどの位置に設けるか、また、第2の樹脂部材が回り込んで充填される第1の凹部をリードフレームのどのような領域に形成するかは、当業者が設計上の必要に応じて適宜定めるべき事項である。
そして、甲3-1発明は「露出した前記リードフレームの主表面に前記半導体発光素子が銀ペーストを介して設けられ、前記半導体発光素子の頂面に設けられた電極と、前記半導体発光素子が設けられた前記主表面とは前記スリット状の溝によって離間している前記主表面とが金線によって接続」されるものであるから、例えば、離間しているリードフレームの主表面同士が短絡しないように、半導体発光素子はスリット状の溝とはある程度離れた位置に配されることが想定される。
また、甲第3号証においては、「樹脂が前記リードフレームの反対側の面に回り込んで第1の凹部に充填され」との構成に関し、樹脂がリードフレームの主表面と反対側の面を広く覆うとリードフレームと樹脂との接着強度を増大させることができる(【0054】)とされる一方、LEDチップから発生する熱はリードフレームに伝わり、リードフレームから外部に放熱される(【0050】)とされるところ、「前記第2の樹脂部材に埋め込まれた前記リードフレームの前記主表面と反対側の面は、樹脂が充填される凹部を除いて露出している」ものであることに照らすならば、当業者にあっては、甲3-1発明において、第2の樹脂部材から露出しているリードフレームの主表面と反対側の面から放熱し得ることが理解し得るものというべきである(このことは、甲第4号証(【0052】)の「発光素子1を動作させたときに発生する熱を、前記反射部の底面202Aを介して発光装置の外部に放熱することができ」との記載に照らしても、明らかである。)。
ここで、甲第3号証の特許請求の範囲の請求項1においては、「樹脂が前記リードフレームの反対側の面に回り込んで第1の凹部に充填され」との構成は記載されておらず、このことに照らして、同号証においては、上記構成は付加的に採用し得る構成として説明されているものと理解できる。してみると、甲3-1発明を実施するに際し、放熱を考慮してリードフレームの露出面を比較的広いものとし、第1の凹部はある程度狭い領域とすることは、当業者が設計上適宜なし得る程度のことである。そして、第1の凹部は、スリット状の溝を挟んで形成されるものであるところ、上記のとおり、半導体発光素子はスリット状の溝とはある程度離れた位置に配されることが想定されることも合わせて考慮すると、かかる設計の結果として、第1のリードの発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側が第1の樹脂成形体から露出されているとの構成を得ることに格別の困難を要するものとは認められない。また、甲3-1発明において、第1のリードの発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側が露出されてはならないとする特段の事情も見当たらない。
したがって、甲3-1発明を、上記構成のものとし、これにより、相違点8_(1)に係る訂正発明1の構成とすることは、当業者が設計上適宜なし得る程度のことである。

(b)被請求人は、接着強度、短絡防止という観点、更には、第1の凹部が大きく設けられ、第2の樹脂部材が回り込んで充填されていることで放熱させる点からも、甲3-1発明において、相違点8_(1)に係る訂正発明1の構成を採用することは、排除されているなどと主張する(第6、2(1)ア)。
しかし、接着強度、短絡防止あるいは放熱といった観点を考慮して甲第3号証の記載を見ても、発光素子が載置されている領域との関係において、裏面側が露出されてはならないとする特段の事情は、見当たらない。
請求人の上記主張は、根拠を欠くものであって、採用できない。

(c)本件特許明細書(本件訂正後のもの。以下同じ。)には、
「【0034】
発光素子が載置されている主面側と反対の第1のリードの裏面側は、第1の樹脂成形体から露出されていることが好ましい。表面実装型発光装置に電流を投入すると発光するとともに発光素子は発熱する。本構成にすることにより、この熱を効率よく外部に放出することができる。特に、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるため、極めて効率よく放熱することができる。」
との記載がある。
上記記載によれば、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるとの効果は、発光素子が載置されている主面側と反対の第1のリードの裏面側が第1の樹脂成形体から露出されていることに基づくものと解されるところであり、裏面側のどの部位が露出するかによって多少の距離の違いが生じることは想定し得るが、発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側が露出されることによって、格別顕著な効果が奏されるものと認めるには至らない。

(ウ)小括
以上の検討によれば、訂正発明1は、甲3-1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

イ 訂正発明2について
(ア)対比
訂正発明2と甲3-1発明とを対比する。

a 訂正発明2の「第1のアウターリード部」及び「第2のアウターリード部」は、第1の樹脂成形体から露出されているものと認められるところ、甲3-1発明の「リードフレーム」は、端部が第2の樹脂部材から突出するものであるから、甲3-1発明は、訂正発明2の「第1のアウターリード部」及び「第2のアウターリード部」を備えるものといえる。

b 訂正発明2の「第1のインナーリード部」は、発光素子が載置されているものであり、同じく「第2のインナーリード部」は、発光素子が持つ第2の電極と電気的に接続されているものと認められるところ、甲3-1発明の「リードフレーム」は、露出した主表面に半導体発光素子が銀ペーストを介して設けられ、半導体発光素子が設けられた前記主表面とはスリット状の溝によって離間している主表面が半導体発光素子の頂面に設けられた電極と金線によって接続されるものであるから、甲3-1発明は、訂正発明2の「第1のインナーリード部」及び「第2のインナーリード部」を備えるものといえる。

c 訂正発明2は、「第1のインナーリード部の発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側は、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出されており」と特定されるものであるところ、甲3-1発明の「リードフレーム」は、主表面と反対側の面が、樹脂が充填される凹部を除いて露出しているものであるから、甲3-1発明は、訂正発明2の「発光素子が載置されている主面側と反対の第1のインナーリード部の裏面側は、第1の樹脂成形体から露出されており」との構成を備えるものといえ、両者は、この点において一致する。

d 上記aないしc及び前記ア(ア)での検討を踏まえると、訂正発明2と甲3-1発明とは、
「発光素子と、発光素子を載置するための第1のリードと発光素子と電気的に接続される第2のリードとを一体成形してなる第1の樹脂成形体と、発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置であって、
第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第1のインナーリード部は発光素子が載置されており、かつ、発光素子が持つ第1の電極と電気的に接続されており、並びに第1のアウターリード部は第1の樹脂成形体から露出されており、
第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、第2のインナーリード部は発光素子が持つ第2の電極と電気的に接続されており、並びに第2のアウターリード部は第1の樹脂成形体から露出されており、
第1の樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、第1の樹脂成形体の凹部の底面から第1のインナーリード部が露出されており、その露出部分に発光素子が載置されており、
発光素子が載置されている主面側と反対の第1のインナーリード部の裏面側は、第1の樹脂成形体から露出されている表面実装型発光装置。」
である点で一致し、以下の(a)ないし(e)の点で相違するものと認められる。

(a)発光素子の発光波長が、訂正発明2では、「420nm以上490nm以下」にあるのに対して、甲3-1発明では、発光波長は特定されない点。

(b)訂正発明2では、第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体とは熱硬化性樹脂であり、第1の樹脂成形体は、酸化チタン顔料が含有されているのに対して、甲3-1発明では、第2の樹脂部材(第1の樹脂成形体)は、反射率が高い白色の樹脂から形成され、第1の樹脂部材(第2の樹脂成形体)は、エポキシ樹脂である点。

(c)第1の樹脂成形体が、訂正発明2では、「トランスファ・モールドにより成形されている」のに対して、甲3-1発明では、成形方法は特定されない点。

(d)第1のインナーリード部の裏面側の露出について、訂正発明2では、「第1のインナーリード部の発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側は、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出されており」と特定されるのに対して、甲3-1発明では、そのように特定されない点。

(e)訂正発明2では、「凹部の底面を上方から見る平面視において、第1のリード及び第2のリードは、凹部の底面から外側に互いに反対の方向に延びており、その延びる方向に沿って延在する側面が凹凸を有する形状とされ、その凹凸に第1の樹脂成形体が接触している」と特定されるのに対して、甲3-1発明では、そのように特定されない点(以下「相違点9_(2)」という。)。

(イ)判断
a 相違点9_(2)について
(a)樹脂と部材を一体にする際に、部材に凹凸を形成して剥離を防止することは、必要に応じて適宜なされる慣用手段である(例えば、甲第4号証に「【0057】また、前記第1リード2の接続端子部201及び前記第2リード3の接続端子部301は、図1(a)及び図1(b)に示したように、それぞれの所定位置に突起部203,303が設けられている。前記第1リードの突起部2及び前記第2リード3の接続端子部303は、前記第1リード2及び前記第2リード3が前記絶縁体4から剥離し、抜け落ちるのを防止するために設けられており、図2(b)に示すように、前記絶縁体4の内部方向に折り曲げられている。」と記載されるとおり、リードを樹脂と一体にする際にも適宜施される手段である。)から、甲3-1発明において、リードフレームに適宜の凹凸を形成することは、当業者が設計上適宜なし得る程度のことであり、相違点9_(2)に係る訂正発明2の構成とすることに格別の困難があるものとは認められない。

(b)被請求人は、甲3-1発明においては、リードフレームの反対側の面には第1の凹部が大きく設けられ、第2の樹脂部材が回り込んで充填されていることにより、接着強度を確保するものであって、リードフレームの形状をさらに工夫する動機づけはないと主張する(第6、2(3))が、上記(a)のように、リードフレームに適宜の凹凸を形成することは剥離防止の必要性に応じて適宜なし得る程度のことというべきであるから、請求人の上記主張は、採用できない。

b その余の相違点について
上記(ア)d(a)ないし(d)の相違点は、それぞれ、前記ア(ア)g(a)ないし(d)の相違点5_(1)ないし8_(1)と同様の内容であるから、前記ア(イ)での検討と同様の理由により、甲3-1発明において、各相違点に係る訂正発明2の構成とすることは、当業者が設計上適宜なし得る程度のことである。

(ウ)小括
以上の検討によれば、訂正発明2は、甲3-1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

ウ 訂正発明3について
訂正発明3は、訂正発明1に「発光素子と電気的に接続された部分と反対の第2のリードの裏面側は、第1の樹脂成形体から露出されている」との特定事項を付加するものであるところ、甲3-1発明のリードフレームの主表面と反対側の面は、樹脂が充填される凹部を除いて露出しているから、訂正発明3の上記特定事項を備えるものといえる。
したがって、前記アでの検討と同様の理由により、訂正発明3は、甲3-1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

エ 訂正発明4について
訂正発明4は、訂正発明2に「発光素子と電気的に接続された部分と反対の第2のインナーリード部の裏面側は、第1の樹脂成形体から露出されている」との特定事項を付加するものであるところ、甲3-1発明のリードフレームの主表面と反対側の面は、樹脂が充填される凹部を除いて露出しているから、訂正発明4の上記特定事項を備えるものといえる。
したがって、前記イでの検討と同様の理由により、訂正発明4は、甲3-1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

オ 訂正発明5について
訂正発明5は、訂正発明1に「第1のリードの発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側の露出部分と第2のリードの裏面側の露出部分とは、実質的に同一平面上にある」との特定事項を付加するものと認められる。
しかるところ、甲3-1発明のリードフレームは、同一平面上に延在する板形状に形成され、主表面と反対側の面が、樹脂が充填される凹部を除いて露出しているから、甲3-1発明において、前記ア(ア)g(d)の相違点8_(1)に係る訂正発明1の構成、すなわち、「第1のリードの発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側は、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出されており」との構成を備えるものとすることに伴って、訂正発明5の上記特定事項を備えるものといえる。
したがって、前記アでの検討と同様の理由により、訂正発明5は、甲3-1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

カ 訂正発明6について
訂正発明6は、訂正発明1に「第1のリードの発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側の露出部分は、放熱部材が接触するように配置されている」との特定事項を付加するものと認められる。
したがって、訂正発明6と甲3-1発明とを対比すると、前記ア(ア)g(a)ないし(d)の相違点に加えて、訂正発明6では、第1のリードの発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側の露出部分は、放熱部材が接触するように配置されているのに対して、甲3-1発明では、第1のリードの裏面側の露出部分は、放熱部材が接触するように配置されていない点で相違するものと認められる。
しかるに、甲3-1発明において、前記ア(ア)g(d)の相違点8_(1)に係る訂正発明1の構成を備えるものとすることに伴って、訂正発明6の「第1のリードの発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側の露出部分」との上記特定事項を備えるものといえるところ、前記(1)ア(イ)の「リードフレーム1による放熱を効率良く行なうことができる」(【0050】を参照。)との記載のとおり、甲3-1発明は、リードフレームにより放熱を行うものであるから、甲3-1発明において、リードフレームの主表面と反対側の露出部分に放熱部材を配置し、上記相違点に係る訂正発明6の特定事項を備えるようにすることは、当業者が必要に応じて適宜なし得る程度のことである。
したがって、訂正発明6は、甲3-1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

キ 訂正発明7について
訂正発明7は、訂正発明1に「第1のリード及び第2のリードは、金属メッキが施されている」との特定事項を付加するものものと認められる。
したがって、訂正発明7と甲3-1発明とを対比すると、前記ア(ア)g(a)ないし(d)の相違点に加えて、訂正発明7では、第1のリード及び第2のリードは、金属メッキが施されているのに対して、甲3-1発明では、リードフレームの金属メッキの有無を特定されない点で相違するものと認められる。
しかるところ、リードフレームに金属メッキを施すことは必要に応じて適宜なされる慣用手段である(甲第3号証の「【0005】・・・銀(Ag)めっきを施した状態でリードフレーム101を樹脂部103内にインサート成型する。」との記載に見られるとおりである。)から、甲3-1発明において、リードフレームに金属メッキを施し、上記相違点に係る訂正発明7の特定事項を備えるようにすることは、当業者が必要に応じて適宜なし得る程度のことである。
したがって、訂正発明7は、甲3-1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

ク 訂正発明8について
前記1(3)エのとおり、訂正発明8は、訂正発明1の特定事項を全て備え、更に、「第1の樹脂成形体は、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種により形成されてなり、第2の樹脂成形体はシリコーン樹脂又は変性シリコーン樹脂により形成されてなる」との特定事項を備えるものと認められる。
したがって、訂正発明8と甲3-1発明とを対比すると、前記ア(ア)g(a)ないし(d)の相違点に加えて、訂正発明8では、第1の樹脂成形体は、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種により形成されてなるのに対して、甲3-1発明では、第2の樹脂部材がそのように特定されない点で相違するものと認められる。
しかるところ、前記ア(イ)bで検討したとおり、甲3-1発明において、各樹脂部材を熱硬化性樹脂とすることに格別の困難があるものとは認められず、訂正発明において特定される樹脂は、熱硬化性樹脂として一般的なものであり、甲第1号証には、ケーシングボディ用の材料として、エポキシ樹脂、アクリル樹脂及びシリコーン樹脂が例示される(前記1(1)ア(ア)を参照。)ことに照らしても、甲3-1発明において、上記相違点に係る訂正発明8の特定事項を備えるようにすることは、当業者が設計上適宜なし得る程度のことである。
したがって、訂正発明8は、甲3-1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

ケ 訂正発明9について
訂正発明9は、訂正発明1に「第1の樹脂成形体は、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質、遮光性物質からなる群から選択される少なくとも1種が混合されている」との特定事項を付加するものと認められる。
したがって、訂正発明9と甲3-1発明とを対比すると、前記ア(ア)g(a)ないし(d)の相違点に加えて、訂正発明9では、第1の樹脂成形体は、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質、遮光性物質からなる群から選択される少なくとも1種が混合されているのに対して、甲3-1発明では、第2の樹脂部材がそのように特定されない点で相違するものと認められる。
しかるところ、樹脂に添加成分を混合することは、必要に応じて適宜なされる慣用手段であり、甲第1号証には、ケーシングボディ2の主成分を形成するジャケット材料が所定の充填剤を含有する旨記載される(前記1(1)ア(オ)を参照。)ことに照らしても、甲3-1発明において、上記相違点に係る訂正発明9の特定事項を備えるようにすることは、当業者が必要に応じて適宜なし得る程度のことである。
したがって、訂正発明9は、甲3-1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

コ 訂正発明10について
訂正発明10は、訂正発明1に「第2の樹脂成形体は、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質、遮光性物質からなる群から選択される少なくとも1種が混合されている」との特定事項を付加するものと認められる。
したがって、訂正発明10と甲3-1発明とを対比すると、前記ア(ア)g(a)ないし(d)の相違点に加えて、訂正発明10では、第2の樹脂成形体は、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質、遮光性物質からなる群から選択される少なくとも1種が混合されているのに対して、甲3-1発明では、第1の樹脂部材がそのように特定されない点で相違するものと認められる。
しかるところ、樹脂に添加成分を混合することは、必要に応じて適宜なされる慣用手段であり、甲第1号証には、「ケーシングボディ2の材料の選択及びオプトエレクトロニクスデバイスの所望の光学特性に応じて、カバー材料5は主成分の前記したエポキシ樹脂の他に、ケーシングボディ材料との結合強度、硬化開始時間及び完全硬化時間、光透過性、屈折率、温度安定性、機械的強度を所望のように調節するために他の成分を含有する」と記載される(前記1(1)ア(エ)を参照。)ことに照らしても、甲3-1発明において、上記相違点に係る訂正発明10の特定事項を備えるようにすることは、当業者が必要に応じて適宜なし得る程度のことである。
したがって、訂正発明10は、甲3-1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

サ 訂正発明11について
(ア)対比
訂正発明11と甲3-2発明とを対比する。

a 甲3-2発明の「『主表面』に『半導体発光素子が銀ペーストを介して設けられ』る『リードフレーム』」及び「前記『半導体発光素子』が設けられる『リードフレーム』とは『スリット状の溝によって離間』しており、『半導体発光素子の頂面に設けられた電極』と『金線によって接続され』ている『リードフレーム』」は、それぞれ、訂正発明11の「第1のリード」ないし「第2のリード」に相当する。
そして、甲3-2発明は、、「リードフレームが樹脂にインサート成型されることによって設けられ」る「樹脂部材」であるから、訂正発明11の「第1のリードと第2のリードとを一体成形してなる」「樹脂成形体」に相当する。

b 甲3-2発明は、リードフレームの主表面と反対側の面に設けられた端子部が実装基板に電気的に接続されるものであるから、訂正発明1と同じく「表面実装型発光装置用の樹脂成形体」といえる。

c 甲3-2発明は、「(樹脂部材の)内壁とリードフレームの主表面とによって形成された凹部に露出した前記リードフレームの主表面に前記半導体発光素子が銀ペーストを介して設けられ、前記半導体発光素子の頂面に設けられた電極と、前記半導体発光素子が設けられた前記主表面とは前記スリット状の溝によって離間している前記主表面とが金線によって接続され(る)」ものであって、「前記樹脂部材に埋め込まれた前記リードフレームの端部は前記樹脂部材から突出する」ものであるから、訂正発明11の「『樹脂成形体中に配置』されている『第1のインナーリード部』」、「『樹脂成形体から露出』されている『第1のアウターリード部』」、「『樹脂成形体中に配置』されている『第2のインナーリード部』」及び「『樹脂成形体から露出』されている『第2のアウターリード部』」を備え、訂正発明11の「樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、樹脂成形体の凹部の底面から第1のインナーリード部及び第2のインナーリード部が露出されており、露出されている第1のインナーリード部に発光素子の載置領域が含まれ」との構成を備えるものといえる。

d 訂正発明11は、「露出されている第1のインナーリード部の発光素子の載置領域の裏面側が樹脂成形体から露出されていることにより、表面実装型発光装置としたときに発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できる」と特定されるものであるところ、甲3-2発明は、「前記樹脂部材に埋め込まれた前記リードフレーム」の「前記主表面と反対側の面は、樹脂が充填される凹部を除いて露出している」ものであるから、「露出されている第1のインナーリード部及び第2のインナーリード部の裏面側は、樹脂成形体から露出されており」との構成を備えるものといえ、両者は、この点において一致する。

e 以上によれば、訂正発明11と甲3-2発明とは、
「第1のリードと第2のリードとを一体成形してなる表面実装型発光装置用の樹脂成形体であって、
第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第1のインナーリード部は樹脂成形体中に配置されており、第1のアウターリード部は樹脂成形体から露出されており、
第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、第2のインナーリード部は樹脂成形体中に配置されており、第2のアウターリード部は樹脂成形体から露出されており、
樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、樹脂成形体の凹部の底面から第1のインナーリード部及び第2のインナーリード部が露出されており、露出されている第1のインナーリード部に発光素子の載置領域が含まれ、
露出されている第1のインナーリード部及び第2のインナーリード部の裏面側は、樹脂成形体から露出されている樹脂成形体」
である点で一致し、以下の(a)ないし(c)の点で相違するものと認められる。

(a)樹脂成形体が、訂正発明11では、酸化チタン顔料が含有されている熱硬化性樹脂であるのに対して、甲3-2発明では、反射率が高い白色の樹脂から形成される点。

(b)第1の樹脂成形体が、訂正発明11では、「トランスファ・モールドにより成形されて」いるのに対して、甲3-2発明では、成形方法は特定されない点。

(c)第1のリードの裏面側の露出について、訂正発明11では、「露出されている第1のインナーリード部の発光素子の載置領域の裏面側が樹脂成形体から露出されていることにより、表面実装型発光装置としたときに発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できる」と特定されるのに対して、甲3-2発明では、そのように特定されない点。

(イ)判断
上記(ア)e(a)ないし(c)の相違点は、それぞれ、前記ア(ア)g(b)ないし(d)の相違点6_(1)ないし8_(1)と同様の内容であるから、前記ア(イ)bないしdでの検討と同様の理由により、甲3-2発明において、各相違点に係る訂正発明11の構成とすることは、当業者が設計上適宜なし得る程度のことである。

(ウ)小括
以上のとおりであるから、訂正発明11は、甲3-2発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

シ 訂正発明12について
訂正発明12は、訂正発明11に「第1のリードの裏面側の露出部分と第2のリードの裏面側の露出部分とは、実質的に同一平面上にある」との特定事項を付加するものと認められるところ、甲3-2発明のリードフレームは、同一平面上に延在する板形状に形成され、主表面と反対側の面が、樹脂が充填される凹部を除いて露出しているから、訂正発明12の上記特定事項を備えるものといえる。
したがって、上記サでの検討と同様の理由により、訂正発明12は、甲3-2発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

ス 訂正発明13について
訂正発明13は、訂正発明11に「熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種である」との特定事項を付加するものと認められる。
したがって、訂正発明13と甲3-2発明とを対比すると、上記サ(ア)e(a)ないし(c)の相違点に加えて、訂正発明13では、熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であるのに対して、甲3-2発明では、樹脂がそのように特定されない点で相違するものと認められる。
しかるところ、前記ア(イ)bでの検討と同様に、甲3-2発明において、樹脂部材を熱硬化性樹脂とすることに格別の困難があるものとは認められず、訂正発明13において特定される樹脂は、熱硬化性樹脂として一般的なものであり、甲第1号証には、ケーシングボディ用の材料として、エポキシ樹脂、アクリル樹脂及びシリコーン樹脂が例示される(前記1(1)ア(ア)を参照。)ことに照らしても、甲3-2発明において、上記相違点に係る訂正発明13の特定事項を備えるようにすることは、当業者が設計上適宜なし得る程度のことである。
したがって、訂正発明13は、甲3-2発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

セ 訂正発明14について
前記1(3)コのとおり、訂正発明14は、訂正発明11の特定事項を全て備え、更に、「凹部は、開口方向に広口となるように傾斜が設けられており、凹部の底面を上方から見る平面視において、第1のリード及び第2のリードは、凹部の底面から外側に互いに反対の方向に延びており、その延びる方向に沿って延在する側面が凹凸を有する形状とされ、その凹凸に樹脂成形体が接触している」との特定事項を備えるものと認められる。
そして、甲3-2発明は、「前記主表面に平行な面上において前記内壁によって規定される形状の面積が、前記主表面から離れるに従って大きくなるように形成されて」いるものであるから、訂正発明14の、「凹部は、開口方向に広口となるように傾斜が設けられており」との特定事項を備えるものといえる。
したがって、訂正発明14と甲3-2発明とを対比すると、上記サ(ア)e(a)ないし(c)の相違点に加えて、訂正発明14では、凹部の底面を上方から見る平面視において、第1のリード及び第2のリードは、凹部の底面から外側に互いに反対の方向に延びており、その延びる方向に沿って延在する側面が凹凸を有する形状とされ、その凹凸に樹脂成形体が接触しているのに対して、甲3-2発明は、そのように特定されるものでない点で相違するものと認められる。
しかるところ、上記相違点は、前記イ(ア)d(e)の相違点9_(2)と同様の内容である。
してみると、上記サ及び前記イ(イ)aでの検討と同様の理由により、訂正発明14は、甲3-2発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

ソ 訂正発明15について
訂正発明15は、訂正発明11に「樹脂成形体は、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質、遮光性物質からなる群から選択される少なくとも1種が混合されている」との特定事項を付加するものと認められる。
したがって、訂正発明15と甲3-2発明とを対比すると、上記サ(ア)e(a)ないし(c)の相違点に加えて、訂正発明15では、樹脂成形体は、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質、遮光性物質からなる群から選択される少なくとも1種が混合されているのに対して、甲3-2発明では、樹脂部材がそのように特定されない点で相違するものと認められる。
しかるところ、樹脂に添加成分を混合することは、必要に応じて適宜なされる慣用手段であり、甲第1号証には、ケーシングボディ2の主成分を形成するジャケット材料が所定の充填剤を含有する旨記載される(前記1(1)ア(オ)を参照。)ことに照らしても、甲3-2発明において、上記相違点に係る訂正発明15の特定事項を備えるようにすることは、当業者が必要に応じて適宜なし得る程度のことである。
したがって、訂正発明15は、甲3-2発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

タ 訂正発明18について
訂正発明18は、訂正発明2に「第1のインナーリード部の発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側の露出部分は、放熱部材が接触するように配置されている」との特定事項を付加する」との特定事項を付加するものであると認められる。
したがって、訂正発明18と甲3-1発明とを対比すると、前記イ(ア)d(a)ないし(e)の相違点に加えて、訂正発明18では、第1のインナーリード部の発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側の露出部分は、放熱部材が接触するように配置されているのに対して、甲3-1発明では、第1のリードの裏面側の露出部分は、放熱部材が接触するように配置されていない点で相違するものと認められる。
しかるに、甲3-1発明において、上記相違点に係る訂正発明18の特定事項を備えるようにすることは、前記カでの検討と同様の理由により、当業者が必要に応じて適宜なし得る程度のことである。また、甲3-1発明において、前記イ(ア)d(a)ないし(e)の相違点に係る訂正発明2の構成とすることが、当業者が設計上適宜なし得る程度のことであることは、前記イ(イ)a及びbで検討したとおりである。
したがって、訂正発明18は、甲3-1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

チ 訂正発明19について
訂正発明19は、訂正発明2に「第1の樹脂成形体は、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質、遮光性物質からなる群から選択される少なくとも1種が混合されている」との特定事項を付加するものであると認められる。
したがって、訂正発明19と甲3-1発明とを対比すると、前記イ(ア)d(a)ないし(e)の相違点に加えて、訂正発明19では、第1の樹脂成形体は、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質、遮光性物質からなる群から選択される少なくとも1種が混合されているのに対して、甲3-1発明では、第2の樹脂部材がそのように特定されない点で相違するものと認められる。
しかるに、甲3-1発明において、上記相違点に係る訂正発明19の特定事項を備えるようにすることは、前記ケでの検討と同様の理由により、当業者が必要に応じて適宜なし得る程度のことである。
したがって、訂正発明19は、甲3-1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

ツ 訂正発明20について
訂正発明20は、訂正発明2に「第2の樹脂成形体は、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質、遮光性物質からなる群から選択される少なくとも1種が混合されている」との特定事項を付加するものと認められる。
したがって、訂正発明20と甲3-1発明とを対比すると、前記イ(ア)d(a)ないし(e)の相違点に加えて、訂正発明20では、第2の樹脂成形体は、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質、遮光性物質からなる群から選択される少なくとも1種が混合されているのに対して、甲3-1発明では、第1の樹脂部材がそのように特定されない点で相違するものと認められる。
しかるに、甲3-1発明において、上記相違点に係る訂正発明20の特定事項を備えるようにすることは、前記コでの検討と同様の理由により、当業者が必要に応じて適宜なし得る程度のことである。
したがって、訂正発明20は、甲3-1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

テ 訂正発明21について
前記1(3)オのとおり、訂正発明21は、訂正発明2の特定事項を全て備え、更に、「第1のインナーリード部の発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側の露出部分と、第2のインナーリード部の発光素子と電気的に接続された部分と反対の裏面側の露出部分とは、実質的に同一平面上にある」との特定事項を備えるものと認められる。
しかるところ、甲3-1発明のリードフレームは、同一平面上に延在する板形状に形成され、主表面と反対側の面が、樹脂が充填される凹部を除いて露出しているから、甲3-1発明において、前記イ(ア)d(d)の相違点に係る訂正発明2の構成、すなわち、「第1のインナーリード部の発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側は、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出されており」との構成を備えるものとすることに伴って、訂正発明5の上記特定事項を備えるものといえる。
したがって、前記イでの検討と同様の理由により、訂正発明21は、甲3-1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

ト 訂正発明22について
前記1(3)カのとおり、訂正発明22は、訂正発明2の特定事項を全て備え、更に、「第1のインナーリード部及び第2のインナーリード部は、表面を平滑にするように金属メッキが施されている」との特定事項を備えるものと認められる。
したがって、訂正発明22と甲3-1発明とを対比すると、前記イ(ア)d(a)ないし(e)の相違点に加えて、訂正発明22では、第1のリード及び第2のリードは、金属メッキが施されているのに対して、甲3-1発明では、リードフレームの金属メッキの有無を特定されない点で相違するものと認められる。
しかるに、甲3-1発明において、上記相違点に係る訂正発明22の特定事項を備えるようにすることは、前記キでの検討と同様の理由により、当業者が必要に応じて適宜なし得る程度のことである。
したがって、訂正発明22は、甲3-1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

ナ 訂正発明23について
前記1(3)カのとおり、訂正発明23は、訂正発明2の特定事項を全て備え、更に、「第1の樹脂成形体は、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種により形成されてなり、第2の樹脂成形体はシリコーン樹脂又は変性シリコーン樹脂により形成されてなる」との特定事項を備えるものと認められる。
したがって、訂正発明23と甲3-1発明とを対比すると、前記イ(ア)d(a)ないし(e)の相違点に加えて、訂正発明23では、第1の樹脂成形体は、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種により形成されてなるのに対して、甲3-1発明では、第2の樹脂部材がそのように特定されない点で相違するものと認められる。
しかるに、甲3-1発明において、上記相違点に係る訂正発明23の特定事項を備えるようにすることは、前記クでの検討と同様の理由により、当業者が必要に応じて適宜なし得る程度のことである。
したがって、訂正発明23は、甲3-1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)無効理由III及びIVについてのまとめ
以上のとおり、訂正発明1ないし15及び18ないし23は、当業者が、甲3-1発明又は甲3-2発明、すなわち甲第3号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、上記各発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

3 無効理由Vについて
(1)甲号証の記載
ア 甲第3号証
前記2(1)アのとおりである。

イ 甲第5号証
本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第5号証(特開昭60-170982号公報)には、以下の記載がある(下線は、審決で付した。)

「〔発明の概要〕
すなわち本発明による光半導体装置では、リードフレームに配設された光半導体素子を封止する樹脂ケースを、上記光半導体素子を囲む第1の樹脂部材と、上記第1の樹脂部材に囲まれた領域内に充填された透光性の第2の樹脂部材とで構成し、上記リードフレームの素子のマウントボンデイング面を金型で挟み込むことができるように上記第1の樹脂部材の形状をリードフレームのマウントボンデイング面の裏面に第1の樹脂が及んでいない部分を有したものにしたものである。
〔発明の実施例〕
以下図面を参照して本発明の一実施例につき製造工程と共に説明する。まず、例えば厚さ0.2mm程度の鉄又は銅系の合金板をエツチング或いはプレス加工して所定形状のリードフレームを形成する。リードフレームの素子のマウント部およびボンデイング部には銀メツキを施す。
しかる後に、第5図に示すようにこのリードフレーム44を下金型11および上金型11’で挾み固定する。そして、この金型11,11’内のキヤビテイに遮光性樹脂を注入、充填し、第6図に示すような製品の外形枠と素子間遮光隔壁とを兼ねる遮光性樹脂部材22を形成する。
ここで、この遮光性樹脂部材22はリードフレーム44の素子配設面の裏面に貫通孔22aを有する形状のものとする。すなわち、第5図に示すように、リードフレーム44の素子のマウント面およびボンデイング面は下金型11および上金型11’で挾まれる。従つて素子のマウント面およびボンデイング面と、金型との間に間隙ができず、遮光性樹脂の注入によりリードフレームのマウント、ボンデイング面に樹脂バリが形成される恐れがない。
続いて、第7図(第5図とはリードフレーム44の上下が逆である)に示すように上記リードフレーム44の露出面に発光素子5および受光素子6をマウントし、所定のワイヤボンデイングを行う。」(2頁右上欄下6行?右下欄下7行)

ここで、第5図は、次のものである。


(2)甲第3号証に記載された発明
前記2(2)のとおりである。

(3)訂正発明16により製造される樹脂成形体及び訂正発明17により製造される表面実装型発光装置
事案にかんがみ、訂正発明16及び訂正発明17と甲第3号証に記載された発明とを対比するに先立ち、訂正発明16により製造される樹脂成形体又は訂正発明17により製造される表面実装型発光装置がどのようなものであるかについて検討するに、請求項16及び請求項17並びに請求項11及び請求項2の記載に照らし、訂正発明16により製造される樹脂成形体は、訂正発明11に係る樹脂成形体であり、訂正発明17により製造される表面実装型発光装置は、訂正発明2に係る表面実装型発光装置から「凹部の底面を上方から見る平面視において、第1のリード及び第2のリードは、凹部の底面から外側に互いに反対の方向に延びており、その延びる方向に沿って延在する側面が凹凸を有する形状とされ、その凹凸に第1の樹脂成形体が接触している」との特定事項を省いたものであると認められる。

(4)訂正発明との対比・判断
甲3-2発明ないし甲3-1発明に基づいて、訂正発明16ないし訂正発明17の構成を想到することが当業者にとって容易であるかどうかについて検討する。

ア 訂正発明16について
(ア)対比
上記(3)を踏まえて、訂正発明16と甲3-2発明とを対比する。

a まず、訂正発明16により製造される樹脂成形体と甲3-2発明とを対比するに、前記2(3)サ(ア)aないしdの検討に照らして、両者は、「第1のリードと第2のリードとを一体成形してなる、底面と側面とを持つ凹部が形成されている表面実装型発光装置用の樹脂成形体」であって、「第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有して」いる点において、一致するものと認められる。

b そして、訂正発明16は、「上金型は樹脂成形体の凹部に相当する凹みを形成」しており、「樹脂成形体の凹部の底面に相当する第1のインナーリード部と第2のインナーリード部並びに第1のアウターリード部と第2のアウターリード部は上金型と下金型とで挟み込まれる第1の工程」、「上金型と下金型とで挟み込まれた凹み部分に酸化チタン顔料が含有された熱硬化性樹脂をトランスファ・モールド工程により流し込まれる第2の工程」及び「流し込まれた熱硬化性樹脂は加熱して硬化され、樹脂成形体が成形される第3の工程」を有する「樹脂成形体の製造方法」であり、前記第1の工程は、「第1のインナーリード部の発光素子の載置領域の裏面側を、表面実装型発光装置としたときに発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、樹脂成形体から露出させるため」であるのに対して、甲3-2発明は、樹脂部材(樹脂成形体)は、反射率が高い白色の樹脂から形成されるものであり、また、製造方法が特定されるものではない点(以下「相違点10」という。)。

(イ)判断
a 甲3-2発明に係る樹脂部材は、「その内壁とリードフレームの主表面」とによって「凹部」が形成されたものであるから、樹脂部材を製造するに際して、かかる凹部が形成されるよう、樹脂が充填される凹みを金型に設けることは、当業者が当然考慮することである。

b 甲3-2発明に係る樹脂部材は、「その内壁とリードフレームの主表面とによって形成された凹部」に「前記リードフレームの主表面」が露出し、「リードフレーム」の「前記主表面と反対側の面は、樹脂が充填される凹部を除いて露出」したものであるから、樹脂部材を製造するに際して、リードフレームが露出するように金型を形成することは、当業者が当然考慮することである。

c そして、前記(1)イのとおり、甲第5号証に、リードフレーム44を下金型11および上金型11’で挾み固定して、この金型11,11’内のキャビテイに樹脂を注入、充填し、リードフレームのマウントボンデイング面の裏面に第1の樹脂が及んでいない部分を有する樹脂部材、すなわちリードフレームの表裏面が露出するような樹脂部材を形成することが記載されていることに照らすならば、上記a及びbのように金型を形成するに際し、樹脂部材に凹部が形成されるよう、樹脂が充填される凹みを上金型に設け、リードフレームを上金型と下金型とで挟み込まれた凹み部分に樹脂を流し込むようにすることは、当業者が設計上当然に考慮する程度のことである。
また、前記2(3)ア(イ)bないしdでの検討に照らすならば、樹脂部材をTiO_(2)充填剤を用いた熱硬化性樹脂とすること、すなわち、酸化チタン顔料が含有された熱硬化性樹脂とすること、トランスファ・モールドにより樹脂部材を成形すること、及び、第1のインナーリード部の発光素子の載置領域の裏面側を、表面実装型発光装置としたときに発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、樹脂成形体から露出させることも、当業者が設計上適宜なし得る程度のことである。
更に、熱硬化性樹脂を用いる際に、成形体を加熱して硬化させることも、当業者が当然考慮することである。

d 以上の検討によれば、甲3-2発明に係る樹脂部材を、酸化チタン顔料が含有された熱硬化性樹脂とし、かかる樹脂部材を、「上金型は樹脂成形体の凹部に相当する凹みを形成」しており、「樹脂成形体の凹部の底面に相当する第1のインナーリード部と第2のインナーリード部並びに第1のアウターリード部と第2のアウターリード部は上金型と下金型とで挟み込まれる第1の工程」、「上金型と下金型とで挟み込まれた凹み部分に酸化チタン顔料が含有された熱硬化性樹脂をトランスファ・モールド工程により流し込まれる第2の工程」、「流し込まれた熱硬化性樹脂は加熱して硬化され、樹脂成形体が成形される第3の工程」を有する製造方法により製造すること、及び、前記第1の工程を、「第1のインナーリード部の発光素子の載置領域の裏面側を、表面実装型発光装置としたときに発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、樹脂成形体から露出させるため」とすること、すなわち、相違点10に係る訂正発明16の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たというべきである。

e 被請求人は、甲3-2発明においては、発光装置としたときにLEDチップ4の載置領域の裏面側にも第2の樹脂部材が存在するよう、リードフレーム1の反対側の面には、第1の凹部が大きく設けられ、第2の樹脂部材が回り込んで充填されているといえる、甲3-2発明において、第2の樹脂部材を熱硬化性樹脂として、更にTiO_(2)充填剤を用いることは容易ではないなどと主張する(第6、3(1)イ)が、前記2(3)ア(イ)d及びbで検討したとおりであり、採用できない。

f 被請求人は、甲第5号証が表面実装型発光装置とは異なる分野の文献であることを挙げ、同号証の知見を表面実装型半導体装置に関する技術に適用することは妥当でない、甲3-2発明において、熱硬化性樹脂を用いて、トランスファ・モールド成形によりこのような形状にしようとすれば、バリの発生といった不都合が生ずるなどと主張する(第6、3(1)ウ)。
しかし、甲第5号証は、光半導体装置における樹脂の成形技術を示すものといえるから、甲第3号証と類似の技術分野の文献といえる。また、前記2(3)ア(イ)c(b)での検討と同様の理由により、甲3-2発明に係る樹脂部材をトランスファ・モールドにより成形されている」ものとすることに格別の妨げがあるものとは認められない。
よって、請求人の上記主張は、採用できない。

(ウ)小括
以上のとおりであるから、訂正発明16は、甲3-2発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

イ 訂正発明17について
(ア)対比
前記(3)を踏まえて、訂正発明17と甲3-1発明とを対比する。

a まず、訂正発明17により製造される表面実装型発光装置と甲3-1発明とを対比するに、前記2(3)イ(ア)aないしdの検討に照らして、両者は、「第1のリードと第2のリードとを一体成形してなる、底面と側面とを持つ凹部が形成されている第1の樹脂成形体と、第1のリードに載置される発光素子と、発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置」であって、「第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有して」いる点において、一致するものと認められる。

b そして、訂正発明17と甲3-1発明とは、以下の(a)及び(b)の点で相違するものと認められる。

(a)訂正発明17では、発光素子の発光波長が「420nm以上490nm以下」にあるのに対して、甲3-1発明では、発光波長は特定されない点(以下「相違点5_(17)」という。)。

(b)訂正発明17は、「上金型は第1の樹脂成形体の凹部に相当する凹みを形成」しており、「第1の樹脂成形体の凹部の底面に相当する第1のインナーリード部と第2のインナーリード部並びに第1のアウターリード部と第2のアウターリード部は上金型と下金型とで挟み込まれる第1の工程」、「上金型と下金型とで挟み込まれた凹み部分に酸化チタン顔料が含有された第1の熱硬化性樹脂がトランスファ・モールド工程により流し込まれる第2の工程」、「流し込まれた第1の熱硬化性樹脂は加熱して硬化され、第1の樹脂成形体が成形される第3の工程」、「上金型が取り外される第4の工程」、「発光素子は第1のインナーリード部に載置されるとともに、発光素子が持つ第1の電極と第1のインナーリード部とが電気的に接続され、発光素子が持つ第2の電極と第2のインナーリード部とが電気的に接続される第5の工程」、「発光素子が載置された凹部内に第2の熱硬化性樹脂が配置される第6の工程」及び「第2の熱硬化性樹脂は加熱して硬化され、第2の樹脂成形体が成形される第7の工程」を有する「表面実装型発光装置の製造方法」であり、前記第1の工程は、「第1のインナーリード部の発光素子の載置領域の裏面側を、表面実装型発光装置としたときに発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出させ、かつバリの発生を低減させるため」であるのに対して、甲3-1発明は、第2の樹脂部材(第1の樹脂成形体)は反射率が高い白色の樹脂から形成され、第1の樹脂部材(第2の樹脂成形体)は、エポキシ樹脂であるものであり、また、製造方法が特定されるものではない点(以下「相違点11」という。)。

(イ)判断
a 相違点5_(17)について
前記2(3)ア(イ)aでの検討と同様に、発光素子の発光波長を具体的にどの程度のものとするかは、当業者が設計上適宜定めるべき事項であるところ、相違点5_(17)に係る訂正発明17の構成とすることに格別の困難があるものとは認められない。
したがって、甲3-1発明において、相違点5_(17)に係る訂正発明17の構成とすることは、当業者が設計上適宜なし得る程度のことである。

b 相違点11について
(a)前記ア(イ)での検討と同様の理由により、甲3-1発明に係る第2の樹脂部材を、酸化チタン顔料が含有された第1の熱硬化性樹脂とし、かかる樹脂部材を、「上金型は第1の樹脂成形体の凹部に相当する凹みを形成」しており、「第1の樹脂成形体の凹部の底面に相当する第1のインナーリード部と第2のインナーリード部並びに第1のアウターリード部と第2のアウターリード部は上金型と下金型とで挟み込まれる第1の工程」、「上金型と下金型とで挟み込まれた凹み部分に酸化チタン顔料が含有された第1の熱硬化性樹脂がトランスファ・モールド工程により流し込まれる第2の工程」及び「流し込まれた第1の熱硬化性樹脂は加熱して硬化され、第1の樹脂成形体が成形される第3の工程」を有する製造方法により製造すること、及び、第1のインナーリード部の発光素子の載置領域の裏面側を、表面実装型発光装置としたときに発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出させることは、当業者が容易に想到し得たことである。
また、本件特許明細書の
「【0035】
・・・また、製造工程において、第1のリード及び第2のリードを所定の金型で挟み込むため、バリの発生を低減することができ、量産性を向上させることができる。・・・」
との記載によれば、バリの発生の低減は、第1のリード及び第2のリードを所定の金型で挟み込むことにより生じる効果と認められるところ、甲3-1発明に係る第2の樹脂部材を上記第1の工程を有する製造方法により製造することにより同様の効果が生じるものと認められる。
してみると、前記第1の工程を、「第1のインナーリード部の発光素子の載置領域の裏面側を、表面実装型発光装置としたときに発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出させ、かつバリの発生を低減させるため」とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

(b)上記(a)の上金型を用いて発光装置を製造する際に、「上金型が取り外される工程」(第4の工程)が存在することは明らかである。

(c)甲3-1発明は、「前記第2の樹脂部材の内壁と前記主表面とによって形成された凹部には、露出した前記リードフレームの主表面に前記半導体発光素子が銀ペーストを介して設けられ、前記半導体発光素子の頂面に設けられた電極と、前記半導体発光素子が設けられた前記主表面とは前記スリット状の溝によって離間している前記主表面とが金線によって接続され」たものであるから、甲3-1発明を製造する際に「発光素子は第1のインナーリード部に載置されるとともに、発光素子が持つ第1の電極と第1のインナーリード部とが電気的に接続され、発光素子が持つ第2の電極と第2のインナーリード部とが電気的に接続される第5の工程」が存在することも明らかである。

(d)また、前記2(3)ア(イ)b及びcでの検討に照らすならば、甲3-1発明に係る第1の樹脂部材を熱硬化性樹脂とすることも、当業者が設計上適宜なし得る程度のことであるし、熱硬化性樹脂を用いる際に、成形体を加熱して硬化させることも、当業者が当然考慮することである。

c 以上の検討によれば、甲3-1発明に係る表面実装型発光装置における第1及び第2の樹脂部材を、熱硬化性樹脂とするとともに、第2の樹脂部材を、酸化チタン顔料が含有されたものとし、かかる表面実装型発光装置を、「上金型は第1の樹脂成形体の凹部に相当する凹みを形成」しており、「第1の樹脂成形体の凹部の底面に相当する第1のインナーリード部と第2のインナーリード部並びに第1のアウターリード部と第2のアウターリード部は上金型と下金型とで挟み込まれる第1の工程」、「上金型と下金型とで挟み込まれた凹み部分に酸化チタン顔料が含有された第1の熱硬化性樹脂がトランスファ・モールド工程により流し込まれる第2の工程」、「流し込まれた第1の熱硬化性樹脂は加熱して硬化され、第1の樹脂成形体が成形される第3の工程」、「上金型が取り外される第4の工程」、「発光素子は第1のインナーリード部に載置されるとともに、発光素子が持つ第1の電極と第1のインナーリード部とが電気的に接続され、発光素子が持つ第2の電極と第2のインナーリード部とが電気的に接続される第5の工程」、「発光素子が載置された凹部内に第2の熱硬化性樹脂が配置される第6の工程」及び「第2の熱硬化性樹脂は加熱して硬化され、第2の樹脂成形体が成形される第7の工程」を有する「表面実装型発光装置の製造方法」により製造すること、及び、前記第1の工程は、「第1のインナーリード部の発光素子の載置領域の裏面側を、表面実装型発光装置としたときに発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出させ、かつバリの発生を低減させるため」であるとすること、すなわち、相違点11に係る訂正発明17の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たというべきである。

d 被請求人は、前記ア(イ)e及びfの主張と同旨を主張する(第6、3(2))が、同様の理由により、採用できない。

(ウ)小括
以上のとおりであるから、訂正発明17は、甲3-1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5)無効理由Vについてのまとめ
以上のとおり、訂正発明16及び17は、当業者が、甲3-1発明、すなわち甲第3号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、上記各発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

4 無効理由VIについて
(1)請求人は、本件特許明細書の【0034】には、「発光素子が載置されている主面側と反対の第1のリードの裏面側は、第1の樹脂成形体から露出されていることが好ましい。表面実装型発光装置に電流を投入すると発光するとともに発光素子は発熱する。本構成にすることにより、この熱を効率よく外部に放出することができる。特に、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるため、極めて効率よく放熱することができる。」との記載があり、図面に示された具体的な態様は何れも、発光素子が載置されている主面側と反対の発光素子直下の第1のリードの裏面側が第1の樹脂成形体から露出されている態様のものとされているのに、本件発明1は、第1の樹脂成形体から露出されることとなる「発光素子が蔵置されている主面側と反対の第1のリードの裏面側」が発光素子直下のものでない態様をも包含することとなり、かかる場合には、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できることとはならず、本件発明1の効果を奏することはできないから、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載されていない態様をも包含するものであり、特許法第36条第6項第1号の規定に反して特許されたものである旨主張する。

(2)しかし、前記第4、1のとおり、訂正発明1は「第1のリードの発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側は、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出されており」と特定されるものであるから、請求人の上記主張は採用できず、訂正発明1が、発明の詳細な説明に記載されていない態様をも包含するものとは認められないから、同発明に係る特許は、特許法第36条第6項第1号の規定に違反して特許されたものではない。

第8 むすび
以上のとおりであって、請求人が主張する無効理由I、無効理由II、無効理由VIによっては、訂正発明1ないし23についての特許を無効とすることはできないが、訂正発明1ないし23は、当業者が甲第3号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、これら発明についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、同法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
樹脂成形体及び表面実装型発光装置並びにそれらの製造方法
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具、ディスプレイ、携帯電話のバックライト、動画照明補助光源、その他の一般的民生用光源などに用いられる表面実装型発光装置及びそれに適した樹脂成形体並びにそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子を用いた表面実装型発光装置は、小型で電力効率が良く鮮やかな色の発光をする。また、この発光素子は半導体素子であるため球切れなどの心配がない。さらに初期駆動特性が優れ、振動やオン・オフ点灯の繰り返しに強いという特徴を有する。このような優れた特性を有するため、発光ダイオード(LED)、レーザーダイオード(LD)などの発光素子を用いる発光装置は、各種の光源として利用されている。
【0003】
図11に従来の表面実装型発光装置を示す。従来の表面実装型発光装置は、発光素子210と、これを搭載する搭載用リードフレーム220と、発光素子210に導線を介して接続される結線用リードフレーム230と、各リードフレームの大部分を覆う成形体240とを備えている(例えば、特許文献1参照)。この表面実装型発光装置は、その量産性を優先するあまり、液晶ポリマー、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、ナイロン等の熱可塑性樹脂を遮光性樹脂として成形体240に用いる場合が多い。また、一般に、成形体240に用いられる熱可塑性樹脂はリフロー半田熱に耐えうる耐熱性が必要なため、半芳香族ポリアミド、液晶ポリマー、PPSと言ったエンジニアリングポリマーが使用されている。一般に、熱可塑性樹脂は、射出成形により生産されている。この射出成形する手法は生産性の良さから、安価に高出力の表面実装型発光装置を提供するための主流となっている。
【0004】
【特許文献1】特開平11-087780号公報(特許請求の範囲、[0020])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の表面実装型発光装置の成形体240に用いられるこれら熱可塑性エンジニアリングポリマーは、耐熱性に優れるものの分子内に芳香族成分を有するため耐光性に乏しい。また、分子末端に接着性を向上させる水酸基等を有しないため、リードフレーム220、230ならびに透光性封止樹脂250との密着が得られない問題を抱えている。さらに、近年の発光素子の出力向上はめざましく、発光素子の高出力化が図られるにつれ、成形体240の光劣化が顕著となってきている。特に透光性封止樹脂250と熱可塑性エンジニアリングポリマー240の接着界面は、密着性に乏しいことも伴い容易に破壊され剥離に至る。また、剥離に至らずとも光劣化による変色が進行し、発光装置の寿命が大幅に短縮化される。
【0006】
これらの問題を解決するため、成形体を光劣化のない無機材料、例えばセラミックス、とする技術もある。しかし、このセラミックスを用いた成形体は、熱伝導性良好なリードフレームをインサートすることが難しく、熱抵抗値を下げることができない。また透光性封止樹脂との膨張係数が1オーダー以上異なるため信頼性を得るに至っていない。
【0007】
以上のことから、本発明は、高寿命で量産性に優れた表面実装型発光装置及びその表面実装型発光装置に用いる成形体を提供することを目的とする。また、製造容易なそれらの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の問題点を解決すべく、本発明者は鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに到った。
【0009】
本発明は、発光素子と、発光素子を載置するための第1のリードと発光素子と電気的に接続される第2のリードとを一体成形してなる第1の樹脂成形体と、発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置であって、第1の樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、第1の樹脂成形体の凹部の底面から第1のリードが露出されており、その露出部分に発光素子が載置されており、第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体とは熱硬化性樹脂である表面実装型発光装置に関する。この熱硬化性樹脂は可能な限り分子内に芳香族成分を有しないものが好ましい。
【0010】
本発明は、発光素子と、発光素子を載置するための第1のリードと発光素子と電気的に接続される第2のリードとを一体成形してなる第1の樹脂成形体と、発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置であって、第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第1のインナーリード部は発光素子が載置されており、かつ、発光素子が持つ第1の電極と電気的に接続されており、並びに第1のアウターリード部は第1の樹脂成形体から露出されており、第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、第2のインナーリード部は発光素子が持つ第2の電極と電気的に接続されており、並びに第2のアウターリード部は第1の樹脂成形体から露出されており、第1の樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、第1の樹脂成形体の凹部の底面から第1のインナーリード部が露出されており、その露出部分に発光素子が載置されており、第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体とは熱硬化性樹脂である表面実装型発光装置に関する。この熱硬化性樹脂は可能な限り分子内に芳香族成分を有しないものが好ましい。
【0011】
発光素子が載置されている主面側と反対の第1のリードの裏面側は、第1の樹脂成形体から露出されていることが好ましい。
【0012】
発光素子が載置されている主面側と反対の第1のリード及び第2のリードの裏面側は、第1の樹脂成形体から露出されていてもよい。
【0013】
第1のリードの裏面側の露出部分と第2のリードの裏面側の露出部分とは、実質的に同一平面上にあることが好ましい。
【0014】
第1のインナーリード部の裏面側の露出部分は、放熱部材が接触するように配置されていてもよい。
【0015】
第1の樹脂成形体は、トランスファ・モールドにより成形されている。
【0016】
第1の樹脂成形体は、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種により形成されてなることが好ましい。
【0017】
第1の樹脂成形体は、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質、遮光性物質からなる群から選択される少なくとも1種が混合されていてもよい。
【0018】
第2の樹脂成形体は、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質からなる群から選択される少なくとも1種が混合されていてもよい。
【0019】
本発明は、第1のリードと第2のリードとを一体成形してなる樹脂成形体であって、第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第1のインナーリード部は樹脂成形体中に配置されており、第1のアウターリード部は樹脂成形体から露出されており、第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、第2のインナーリード部は樹脂成形体中に配置されており、第2のアウターリード部は樹脂成形体から露出されており、樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、樹脂成形体の凹部の底面から第1のインナーリード部及び第2のインナーリード部が露出されており、樹脂成形体は、熱硬化性樹脂である樹脂成形体に関する。
【0020】
本発明は、第1のリードと第2のリードとを一体成形してなる樹脂成形体であって、第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第1のインナーリード部は樹脂成形体中に配置されており、第1のアウターリード部は樹脂成形体から露出されており、第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、第2のインナーリード部は樹脂成形体に配置されており、第2のアウターリード部は樹脂成形体から外部に露出しており、樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、樹脂成形体の凹部の底面から第1のインナーリード部及び第2のインナーリード部が露出されており、凹部が形成されている主面側と反対の第1のインナーリード部の裏面側は樹脂成形体から露出されており、樹脂成形体は、熱硬化性樹脂である樹脂成形体に関する。
【0021】
第1のリードの裏面側の露出部分と第2のリードの裏面側の露出部分とは、実質的に同一平面上にあることが好ましい。
【0022】
熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0023】
樹脂成形体は、トランスファ・モールドにより成形されている。
【0024】
樹脂成形体は、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質、遮光性物質からなる群から選択される少なくとも1種が混合されていてもよい。
【0025】
本発明は、第1のリードと第2のリードとを一体成形してなる、底面と側面とを持つ凹部が形成されている樹脂成形体の製造方法であって、上金型は樹脂成形体の凹部に相当する凹みを形成しており、第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、樹脂成形体の凹部の底面に相当する第1のインナーリード部と第2のインナーリード部並びに第1のアウターリード部と第2のアウターリード部は上金型と下金型とで挟み込まれる第1の工程と、上金型と下金型とで挟み込まれた凹み部分に熱硬化性樹脂をトランスファ・モールド工程により流し込まれる第2の工程と、流し込まれた熱硬化性樹脂は加熱して硬化され、樹脂成形体が成形される第3の工程と、を有する樹脂成形体の製造方法に関する。
【0026】
本発明は、第1のリードと第2のリードとを一体成形してなる、底面と側面とを持つ凹部が形成されている第1の樹脂成形体と、第1のリードに載置される発光素子と、発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置の製造方法であって、上金型は第1の樹脂成形体の凹部に相当する凹みを形成しており、第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、第1の樹脂成形体の凹部の底面に相当する第1のインナーリード部と第2のインナーリード部並びに第1のアウターリード部と第2のアウターリード部は上金型と下金型とで挟み込まれる第1の工程と、上金型と下金型とで挟み込まれた凹み部分に第1の熱硬化性樹脂がトランスファ・モールド工程により流し込まれる第2の工程と、流し込まれた第1の熱硬化性樹脂は加熱して硬化され、第1の樹脂成形体が成形される第3の工程と、上金型が取り外される第4の工程と、発光素子は第1のインナーリード部に載置されるとともに、発光素子が持つ第1の電極と第1のインナーリード部とが電気的に接続され、発光素子が持つ第2の電極と第2のインナーリード部とが電気的に接続される第5の工程と、発光素子が載置された凹部内に第2の熱硬化性樹脂が配置される第6の工程と、第2の熱硬化性樹脂は加熱して硬化され、第2の樹脂成形体が成形される第7の工程と、を有する表面実装型発光装置の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0028】
本発明は、発光素子と、発光素子を載置するための第1のリードと発光素子と電気的に接続される第2のリードとを一体成形してなる第1の樹脂成形体と、発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置であって、第1の樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、第1の樹脂成形体の凹部の底面から第1のリードが露出されており、その露出部分に発光素子が載置されており、第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体とは熱硬化性樹脂である表面実装型発光装置に関する。
【0029】
これにより耐熱性、耐光性等に優れた表面実装型発光装置を提供することができる。
【0030】
また、第1の樹脂成形体を熱硬化性樹脂にすることにより第2の樹脂成形体との界面の剥離を防止することができる。これは熱可塑性樹脂と異なり、熱硬化性樹脂が表面に多数の反応性官能基を有しているので第2の樹脂成形体と強固な接着界面を形成することができるからである。そして第2の樹脂成形体を熱硬化性樹脂とすることにより第1の樹脂成形体と同様な等方性の熱膨張・収縮挙動を得ることができるため、温度変化による接着界面の熱応力を更に低減することができる。ついで第2の樹脂成形体を第1の樹脂成形体と同種の熱硬化性樹脂とすることにより界面張力の低減による接着力の改善だけでなく、界面にて硬化反応が進行し極めて強固な密着性を得ることが可能となる。耐光性については3次元架橋している熱硬化性樹脂が耐熱性を損なうことなく容易に組成を変更できるため耐光性の劣悪な芳香族成分を簡単に排除できる。かたや熱可塑性樹脂では耐熱性と芳香族成分は事実上同義語であり、芳香族成分なくしてリフロー半田熱に耐えうる成形体を得ることができない。従って、第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体を熱硬化性樹脂にすることにより本来強固な接着界面を有し、かつ光劣化の少ない耐剥離性に優れ、また経年変化の少ない表面実装型発光装置を得ることができる。
【0031】
第2の樹脂成形体は、発光素子が載置された凹部内に配置される。これにより容易に発光素子を被覆することができる。また、発光素子の屈折率と空気中の屈折率とは大きく異なるため、発光素子から出射された光は効率よく外部に出力されてこないのに対し、第2の樹脂成形体で発光素子を被覆することにより、発光素子から出射された光を効率よく外部に出力することができる。また、発光素子から出射された光は凹部の底面及び側面に照射され、反射して、発光素子が載置されている主面側に出射される。これにより主面側の発光出力の向上を図ることができる。さらに、第1の樹脂成形体で凹部底面を覆うよりも、第1のリードは金属であるため発光素子からの光の反射効率を高めることができる。
【0032】
例えば、第1の樹脂成形体にエポキシ樹脂を用い、第2の樹脂成形体に硬質のシリコーン樹脂を用いることができる。
【0033】
本発明は、発光素子と、発光素子を載置するための第1のリードと発光素子と電気的に接続される第2のリードとを一体成形してなる第1の樹脂成形体と、発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置であって、第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第1のインナーリード部は発光素子が載置されており、かつ、発光素子が持つ第1の電極と電気的に接続されており、並びに第1のアウターリード部は第1の樹脂成形体から露出されており、第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、第2のインナーリード部は発光素子が持つ第2の電極と電気的に接続されており、並びに第2のアウターリード部は第1の樹脂成形体から露出されており、第1の樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、第1の樹脂成形体の凹部の底面から第1のインナーリード部が露出されており、その露出部分に発光素子が載置されており、第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体とは熱硬化性樹脂である表面実装型発光装置に関する。これにより耐熱性、耐候光性、密着性に優れた表面実装型発光装置を提供することができる。また、熱硬化性樹脂を用いて第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体とを成形するため、第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体との界面の剥離を防止することができる。さらに、所定の長さを有する第1のリードと第2のリードを折り曲げ等して用いるため、外部電極と電気的に接続し易く、既存の照明器具等に実装してそのまま使用することができる。
【0034】
発光素子が載置されている主面側と反対の第1のリードの裏面側は、第1の樹脂成形体から露出されていることが好ましい。表面実装型発光装置に電流を投入すると発光するとともに発光素子は発熱する。本構成にすることにより、この熱を効率よく外部に放出することができる。特に、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるため、極めて効率よく放熱することができる。
【0035】
発光素子が載置されている主面側と反対の第1のリード及び第2のリードの裏面側は、第1の樹脂成形体から露出されていてもよい。これにより、発光素子から発生する熱を効率よく外部に放熱することができる。また、第1のリード及び第2のリードは電極として機能しているため、外部電極と極めて容易に接続することができる。特に厚肉の第1のリード及び第2のリードを用いた場合、これらのリードの折り曲げが容易でないものであっても、実装容易な形態である。また、製造工程において、第1のリード及び第2のリードを所定の金型で挟み込むため、バリの発生を低減することができ、量産性を向上させることができる。ただし、第1のリード及び第2のリードの裏面側の全面が露出している必要はなく、バリ発生を抑制したい部位のみの露出でもよい。
【0036】
第1のリードの裏面側の露出部分と第2のリードの裏面側の露出部分とは、実質的に同一平面上にあることが好ましい。これにより、表面実装型発光装置の実装時の安定性を向上することができる。また、露出部分が同一平面上にあることから、平板上の外部電極に半田を用いて表面実装型発光装置を載置して実装すればよく、表面実装型発光装置の実装性を向上させることができる。さらに、金型による成形が極めて容易となる。
【0037】
第1のインナーリード部の裏面側の露出部分は、放熱部材が接触するように配置されていてもよい。表面実装型発光装置と別に、放熱部材を外部の部材として配置することができる他、表面実装型発光装置と一体に放熱部材を取り付けることもできる。これにより、発光素子から発生した熱が放熱部材を伝って外部に放熱されるため、さらに放熱性を向上させることができる。また、放熱部材を外部の部材として配置する場合は、表面実装型発光装置の実装位置を容易に決めることができる。
【0038】
第1の樹脂成形体は、トランスファ・モールドにより成形されている。射出成形では複雑な形状を形成することができないのに対し、トランスファ・モールドでは複雑な形状の成形体を成形することができる。特に凹部を持つ第1の樹脂成形体を容易に成形することができる。
【0039】
第1の樹脂成形体は、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種により形成されてなることが好ましい。このうちエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂が好ましく、特にエポキシ樹脂が好ましい。これにより耐熱性、耐光性、密着性、量産性に優れた表面実装型発光装置を提供することができる。また、第1の樹脂成形体に熱可塑性樹脂を用いる場合よりも、第1の樹脂成形体に熱硬化性樹脂を用いる方が、第1の樹脂成形体の劣化を低減することができるため、表面実装型発光装置の寿命を延ばすことができる。
【0040】
第1の樹脂成形体は、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質、遮光性物質からなる群から選択される少なくとも1種が混合されていてもよい。第1の樹脂成形体の要求に応じて種々の物質を添加する。例えば、透光性の高い樹脂を第1の樹脂成形体に用い、第1の樹脂成形体に蛍光物質を混合する場合である。これにより発光素子の側面若しくは底面側に出射された光を蛍光物質が吸収して波長変換して出射するため、表面実装型発光装置全体として所望の発光色を実現することができる。例えば、出射された光を均一に分散するために、発光素子の側面若しくは底面側にフィラーや拡散剤、反射性物質等を添加しておいてもよい。例えば、表面実装型発光装置の裏面側から出力される光を低減するために、遮光性樹脂を混合しておいてもよい。特に、第1の樹脂成形体はエポキシ樹脂中に酸化チタン及びシリカ、アルミナを混合しているものが好ましい。これにより耐熱性に優れた表面実装型発光装置を提供することができる。
【0041】
第2の樹脂成形体は、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質からなる群から選択される少なくとも1種が混合されていてもよい。第2の樹脂成形体の要求に応じて種々の物質を添加する。例えば、第2の樹脂成形体に蛍光物質を混合することにより、発光素子から射出される発光色と異なる発光色を実現することができる。例えば、青色に発光する発光素子と、黄色に発光する蛍光物質とを用いることにより、白色光を実現することができる。また、光を均一に出射するために、フィラーや拡散剤などを混合しておくこともできる。
【0042】
本発明は、第1のリードと第2のリードとを一体成形してなる樹脂成形体であって、第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第1のインナーリード部は樹脂成形体中に配置されており、第1のアウターリード部は樹脂成形体から露出されており、第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、第2のインナーリード部は樹脂成形体中に配置されており、第2のアウターリード部は樹脂成形体から露出されており、樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、樹脂成形体の凹部の底面から第1のインナーリード部及び第2のインナーリード部が露出されており、樹脂成形体は、熱硬化性樹脂である樹脂成形体に関する。これにより熱可塑性樹脂を用いて樹脂成形体を成形した場合よりも、耐熱性、耐光性、密着性等に優れた樹脂成形体を提供することができる。また、発光素子を載置しやすい構造とすることができる。
【0043】
本発明は、第1のリードと第2のリードとを一体成形してなる樹脂成形体であって、第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第1のインナーリード部は樹脂成形体中に配置されており、第1のアウターリード部は樹脂成形体から露出されており、第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、第2のインナーリード部は樹脂成形体に配置されており、第2のアウターリード部は樹脂成形体から外部に露出しており、樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、樹脂成形体の凹部の底面から第1のインナーリード部及び第2のインナーリード部が露出されており、凹部が形成されている主面側と反対の第1のインナーリード部の裏面側は樹脂成形体から露出されており、樹脂成形体は、熱硬化性樹脂である樹脂成形体に関する。これにより熱可塑性樹脂を用いて樹脂成形体を成形した場合よりも、耐熱性、耐光性、密着性等に優れた樹脂成形体を提供することができる。また、発光素子を載置しやすい構造とすることができる。また、樹脂成形体から延びる第1のアウターリード部を露出することによって、発光素子から発生する熱を外部に放熱することができる。
【0044】
第1のリードの裏面側の露出部分と第2のリードの裏面側の露出部分とは、実質的に同一平面上にあることが好ましい。これにより安定性が良く実装し易い樹脂成形体を用いた表面実装型発光装置を提供することができる。さらに金型による成形もしやすい。
【0045】
熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。これにより安価に、量産性の良い、耐熱性、耐光性に優れた樹脂成形体を提供することができる。
【0046】
樹脂成形体は、トランスファ・モールドにより成形されている。これにより射出成形では成形困難な複雑な形状の凹部を形成することができる。
【0047】
樹脂成形体は、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質、遮光性物質からなる群から選択される少なくとも1種が混合されていてもよい。これにより要求に応じた樹脂成形体を提供することができる。例えば、光を拡散する作用を有する樹脂成形体を望む場合は、フィラーや拡散剤を混合する。また、波長を変換して所望の色調を有する表面実装型発光装置を望む場合は、蛍光物質を混合する。また、発光素子からの光を主面側に効率よく取り出すため、裏面側への光の透過を抑制することを望む場合は、遮光性物質を混合する。
【0048】
本発明は、第1のリードと第2のリードとを一体成形してなる、底面と側面とを持つ凹部が形成されている樹脂成形体の製造方法であって、上金型は樹脂成形体の凹部に相当する凹みを形成しており、第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、樹脂成形体の凹部の底面に相当する第1のインナーリード部と第2のインナーリード部並びに第1のアウターリード部と第2のアウターリード部は上金型と下金型とで挟み込まれる第1の工程と、上金型と下金型とで挟み込まれた凹み部分に熱硬化性樹脂をトランスファ・モールド工程により流し込まれる第2の工程と、流し込まれた熱硬化性樹脂は加熱して硬化され、樹脂成形体が成形される第3の工程と、を有する樹脂成形体の製造方法に関する。
【0049】
これにより、第1の工程で第1のインナーリード部と第2のインナーリード部とを上金型と下金型で挟み込むため、トランスファ・モールド成形する際の、これらリードのばたつきを抑制することができ、バリの発生がない樹脂成形体を製造することができる。また、発光素子が載置する部分に相当する第1のインナーリード部を露出することができる。さらに、凹部の底面に相当する第1のインナーリード部の主面側及び裏面側が露出するため、発光素子を載置したとき裏面側から放熱することができ、放熱性を向上させることができる。
【0050】
また、熱硬化性樹脂をトランスファ・モールド成形するため、複雑な形状の凹部を有する樹脂成形体を製造することができる。また、量産性、耐熱性、耐光性、密着性等に優れた樹脂成形体を製造することができる。なお、熱可塑性樹脂は、溶融する温度まで加熱して、冷却することにより固化される。よって、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とは、冷却の工程が異なり、可逆的に硬化が行えるかどうかも異なる。また、熱可塑性樹脂は加工時の粘度が高く複雑な形状を成形することができない。
【0051】
本発明は、第1のリードと第2のリードとを一体成形してなる、底面と側面とを持つ凹部が形成されている第1の樹脂成形体と、第1のリードに載置される発光素子と、発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置の製造方法であって、上金型は第1の樹脂成形体の凹部に相当する凹みを形成しており、第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、第1の樹脂成形体の凹部の底面に相当する第1のインナーリード部と第2のインナーリード部並びに第1のアウターリード部と第2のアウターリード部は上金型と下金型とで挟み込まれる第1の工程と、上金型と下金型とで挟み込まれた凹み部分に第1の熱硬化性樹脂がトランスファ・モールド工程により流し込まれる第2の工程と、流し込まれた第1の熱硬化性樹脂は加熱して硬化され、第1の樹脂成形体が成形される第3の工程と、上金型が取り外される第4の工程と、発光素子は第1のインナーリード部に載置されるとともに、発光素子が持つ第1の電極と第1のインナーリード部とが電気的に接続され、発光素子が持つ第2の電極と第2のインナーリード部とが電気的に接続される第5の工程と、発光素子が載置された凹部内に第2の熱硬化性樹脂が配置される第6の工程と、第2の熱硬化性樹脂は加熱して硬化され、第2の樹脂成形体が成形される第7の工程と、を有する表面実装型発光装置の製造方法に関する。これにより量産性の良い表面実装型発光装置を製造することができる。特に第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体とに熱硬化性樹脂を用いるため、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とを用いた場合よりも、第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体との密着性を向上することができる。また、トランスファ・モールド成形で第1の樹脂成形体を製造する際、樹脂流動性が良好なためバリ発生が問題となるが上金型と下金型でこれらリードをしっかり挟み込むためバリが発生しない。そして、挟み込んだリードは露出するので、この露出部分に発光素子を載置したり、発光素子が持つ電極とリードとをワイヤ等で接続したりすることができる。
【0052】
熱硬化性樹脂、第1の熱硬化性樹脂、第2の熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。これにより量産性の良い表面実装型発光装置を製造することができる。また、流動性に富み、加熱、硬化し易いため、成形性に優れ耐熱性、耐光性に優れた表面実装型発光装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
以下、本発明に係る表面実装型発光装置、樹脂成形体及びそれらの製造方法を、実施の形態及び実施例を用いて説明する。だたし、本発明は、この実施の形態及び実施例に限定されない。
【0054】
<第1の実施の形態>
<表面実装型発光装置>
第1の実施の形態に係る表面実装型発光装置について図面を用いて説明する。図1は、第1の実施の形態に係る表面実装型発光装置を示す概略断面図である。図2は、第1の実施の形態に係る表面実装型発光装置を示す概略平面図である。図1は、図2のI-Iの概略断面図である。
【0055】
第1の実施の形態に係る表面実装型発光装置は、発光素子10と、発光素子10を載置する第1の樹脂成形体40と、発光素子10を被覆する第2の樹脂成形体50とを有する。第1の樹脂成形体40は、発光素子10を載置するための第1のリード20と、発光素子10と電気的に接続される第2のリード30と、を一体成形している。
【0056】
発光素子10は、同一面側に正負一対の第1の電極11と第2の電極12とを有している。本明細書においては、同一面側に正負一対の電極を有するものについて説明するが、発光素子の上面と下面とから正負一対の電極を有するものを用いることもできる。この場合、発光素子の下面の電極はワイヤを用いずに、電気伝導性のあるダイボンド部材を用いて第1のリード20と電気的に接続する。
【0057】
第1のリード20は第1のインナーリード部20aと第1のアウターリード部20bとを有している。発光素子10は、第1のインナーリード部20a上にダイボンド部材を介して載置されている。第1のインナーリード部20aは、発光素子10が持つ第1の電極11とワイヤ60を介して電気的に接続されている。第1のアウターリード部20bは第1の樹脂成形体40から露出している。第1のリード20は、第1の樹脂成形体40の側面外側に第1のアウターリード部20bを有しているだけでなく、第1の樹脂成形体40の裏面側に露出している部分を第1のアウターリード部20bと呼ぶ場合もあり、第1のアウターリード部20bは、外部電極と電気的に接続される部分であればよい。第1のリード20は外部電極と接続するため、金属部材を用いる。
【0058】
第2のリード30は第2のインナーリード部30aと第2のアウターリード部30bとを有している。第2のインナーリード部30aは、発光素子10が持つ第2の電極12とワイヤ60を介して電気的に接続されている。第2のアウターリード部30bは第1の樹脂成形体40から露出している。第2のリード30は、第2の樹脂成形体40の側面外側に第2のアウターリード部30bを有しているだけでなく、第2の樹脂成形体40の裏面側に露出している部分を第2のアウターリード部30bと呼ぶ場合もあり、第2のアウターリード部30bは、外部電極と電気的に接続される部分であればよい。第2のリード30は外部電極と接続するため、金属部材を用いる。第1のリード20と第2のリード30とが短絡しないように、裏面側における第1のリード20と第2のリード30との近接する部分に絶縁部材90を設ける。
【0059】
第1の樹脂成形体40は、底面40aと側面40bとを持つ凹部40cを形成している。第1のリード20の第1のインナーリード部20aは、第1の樹脂成形体40の凹部40cの底面40aから露出している。この露出部分にダイボンド部材を介して発光素子10を載置している。第1の樹脂成形体40は、トランスファ・モールドにより成形する。第1の樹脂成形体40は、熱硬化性樹脂を用いている。凹部40cの開口部は、底面40aよりも広口になっており、側面40bには傾斜が設けられていることが好ましい。
【0060】
第2の樹脂成形体50は、発光素子10を被覆するように凹部40c内に配置している。第2の樹脂成形体50は、熱硬化性樹脂を用いている。第2の樹脂成形体50は蛍光物質80を含有する。蛍光物質80は、第2の樹脂成形体50よりも比重の大きいものを使用しているため、凹部40cの底面40a側に沈降している。
【0061】
本明細書において、発光素子10が載置されている側を主面側と呼び、その反対側を裏面側と呼ぶ。
【0062】
第1の樹脂成形体40と第2の樹脂成形体50とは熱硬化性樹脂を用いており、膨張係数などの物理的性質が近似していることから密着性が極めて良い。また、上記構成にすることにより、耐熱性、耐光性等に優れた表面実装型発光装置を提供することができる。
【0063】
以下、各構成部材について詳述していく。
【0064】
<発光素子>
発光素子10は、基板上にGaAlN、ZnS、ZnSe、SiC、GaP、GaAlAs、AlN、InN、AlInGaP、InGaN、GaN、AlInGaN等の半導体を発光層として形成させたものが用いられる。半導体の構造としては、MIS接合、PIN接合やPN接合を有したホモ構造、ヘテロ構造あるいはダブルヘテロ構成のものが挙げられる。半導体層の材料やその混晶度によって発光波長を紫外光から赤外光まで種々選択することができる。発光層は、量子効果が生ずる薄膜とした単一量子井戸構造や多重量子井戸構造としても良い。
【0065】
屋外などでの使用を考慮する場合、高輝度な発光素子を形成可能な半導体材料として窒化ガリウム系化合物半導体を用いることが好ましく、また、赤色ではガリウム・アルミニウム・砒素系の半導体やアルミニウム・インジュウム・ガリウム・燐系の半導体を用いることが好ましいが、用途によって種々利用することもできる。
【0066】
窒化ガリウム系化合物半導体を使用した場合、半導体基板にはサファイヤ、スピネル、SiC、Si、ZnOやGaN単結晶等の材料が用いられる。結晶性の良い窒化ガリウムを量産性良く形成させるためにはサファイヤ基板を用いることが好ましい。窒化物系化合物半導体を用いた発光素子10例を示す。サファイヤ基板上にGaN、AlN等のバッファー層を形成する。その上にN或いはP型のGaNである第1のコンタクト層、量子効果を有するInGaN薄膜である活性層、P或いはN型のAlGaNであるクラッド層、P或いはN型のGaNである第2のコンタクト層を順に形成した構成とすることができる。窒化ガリウム系化合物半導体は、不純物をドープしない状態でN型導電性を示す。なお、発光効率を向上させる等所望のN型窒化ガリウム半導体を形成させる場合は、N型ドーパントとしてSi、Ge、Se、Te、C等を適宜導入することが好ましい。
【0067】
一方、P型窒化ガリウム半導体を形成させる場合は、P型ドーパンドであるZn、Mg、Be、Ca、Sr、Ba等をドープさせる。窒化ガリウム系半導体は、P型ドーパントをドープしただけではP型化しにくいためP型ドーパント導入後に、炉による加熱、低電子線照射やプラズマ照射等によりアニールすることでP型化させる必要がある。こうして形成された半導体ウエハーを部分的にエッチングなどさせ正負の各電極を形成させる。その後半導体ウエハーを所望の大きさに切断することによって発光素子を形成させることができる。
【0068】
こうした発光素子10は、適宜複数個用いることができ、その組み合わせによって白色表示における混色性を向上させることもできる。例えば、緑色系が発光可能な発光素子10を2個、青色系及び赤色色系が発光可能な発光素子10をそれぞれ1個ずつとすることが出来る。なお、表示装置用のフルカラー発光装置として利用するためには赤色系の発光波長が610nmから700nm、緑色系の発光波長が495nmから565nm、青色系の発光波長が430nmから490nmであることが好ましい。本発明の表面実装型発光装置において白色系の混色光を発光させる場合は、蛍光物質からの発光波長との補色関係や透光性樹脂の劣化等を考慮して発光素子の発光波長は400nm以上530nm以下が好ましく、420nm以上490nm以下がより好ましい。発光素子と蛍光物質との励起、発光効率をそれぞれより向上させるためには、450nm以上475nm以下がさらに好ましい。なお、比較的紫外線により劣化されにくい部材との組み合わせにより400nmより短い紫外線領域或いは可視光の短波長領域を主発光波長とする発光素子を用いることもできる。
【0069】
発光素子10の大きさは□1mmサイズが実装可能で、□600μm、□320μmサイズ等のものも実装可能である。
【0070】
<第1の樹脂成形体>
第1の樹脂成形体40は、底面40aと側面40bとを持つ凹部40cを有している。第1の樹脂成形体40は、凹部40cの底面aから外側に延びる第1のリード20及び第2のリード30を一体成形している。第1のリード20の第1のインナーリード部20aは、凹部40cの底面40aの一部を形成している。第2のリード30の第2のインナーリード部30aは、凹部40cの底面40aの一部を形成しており、第1のインナーリード部20aと所定の間隔離れている。凹部40cの底面40aに相当する第1のインナーリード部20aに発光素子10を載置する。凹部40cの底面40aに相当する第1のインナーリード部20aと、凹部40cの底面40aに相当する第2のインナーリード部30aと、第1のアウターリード部20b、第2のアウターリード部30bは、第1の樹脂成形体40から露出している。裏面側の第1のリード20及び第2のリード30は露出している。これにより裏面側から電気接続することができる。
【0071】
凹部40cは、開口方向に広口となるように傾斜を設ける。これにより前方方向への光の取り出しを向上することができる。ただし、傾斜を設けず、円筒形状の凹部とすることもできる。また、傾斜は滑らかな方が好ましいが凹凸を設けることもできる。凹凸を設けることにより第1の樹脂成形体40と第2の樹脂成形体50との界面の密着性を向上することができる。凹部40cの傾斜角度は、底面から測定して95°以上150°以下が好ましいが、100°以上120°以下が特に好ましい。
【0072】
第1の樹脂成形体40の主面側の形状は矩形であるが、楕円、円形、五角形、六角形等とすることもできる。凹部40cの主面側の形状は、楕円であるが、略円形、矩形、五角形、六角形等とすることも可能である。所定の場合に、カソードマークを付けておく。
【0073】
第1の樹脂成形体40の材質は熱硬化性樹脂である。熱硬化性樹脂のうち、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種により形成することが好ましく、特にエポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂が好ましい。例えば、トリグリシジルイソシアヌレート(化1)、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル(化2)他よりなるエポキシ樹脂と、ヘキサヒドロ無水フタル酸(化3)、3-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(化4)、4-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(化5)他よりなる酸無水物とを、エポキシ樹脂へ当量となるよう溶解混合した無色透明な混合物100重量部へ、硬化促進剤としてDBU(1,8-Diazabicyclo(5,4,0) undecene-7)(化6)を0.5重量部、助触媒としてエチレングリコール(化7)を1重量部、酸化チタン顔料を10重量部、ガラス繊維を50重量部添加し、加熱により部分的に硬化反応させBステージ化した固形状エポキシ樹脂組成物を使用することができる。
【0074】
【化1】

【0075】
【化2】

【0076】
【化3】

【0077】
【化4】

【0078】
【化5】

【0079】
【化6】

【0080】
【化7】

【0081】
第1の樹脂成形体40は、パッケージとしての機能を有するため硬質のものが好ましい。また、第1の樹脂成形体40は透光性の有無を問わないが、用途等に応じて適宜設計することは可能である。例えば、第1の樹脂成形体40に遮光性物質を混合して、第1の樹脂成形体40を透過する光を低減することができる。一方、表面実装型発光装置からの光が主に前方及び側方に均一に出射されるように、フィラーや拡散剤を混合しておくこともできる。また、光の吸収を低減するために、暗色系の顔料よりも白色系の顔料を添加しておくこともできる。このように、第1の樹脂成形体40は、所定の機能を持たせるため、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質、遮光性物質からなる群から選択される少なくとも1種を混合することもできる。
【0082】
<第1のリード及び第2のリード>
第1のリード20は、第1のインナーリード部20aと第1のアウターリード部20bとを有する。第1のインナーリード部20aにおける第1の樹脂成形体40の凹部40cの底面40aは露出しており、発光素子10を載置する。この露出された第1のインナーリード部20aは、発光素子10を載置する面積を有していればよいが、熱伝導性、電気伝導性、反射効率などの観点から広面積の方が好ましい。第1のインナーリード部20aは、発光素子10の第1の電極11とワイヤ60を介して電気的に接続されている。第1のアウターリード部20bは、発光素子10が載置されている部分を除く、第1の樹脂成形体40から露出している部分である。第1のアウターリード部20bは、外部電極と電気的に接続されるとともに熱伝達する作用も有する。
【0083】
第2のリード30は、第2のインナーリード部30aと第2のアウターリード部30bとを有する。第2のインナーリード部30aにおける第1の樹脂成形体40の凹部40cの底面40aは露出している。この露出された第2のインナーリード部30bは、発光素子10の第2の電極12と電気的に接続する面積を有していればよいが、反射効率の観点から広面積の方が好ましい。裏面側の第1のアウターリード部20bと第2のアウターリード部30bとは露出しており、実質的に同一平面を形成している。これにより表面実装型発光装置の実装安定性を向上することができる。また半田付け時に第1のインナーリード部20aと第2のインナーリード部30aの裏面間が半田により短絡することを防止するため、電気絶縁性の絶縁部材90を薄くコーティングすることもできる。絶縁部材90は樹脂などである。
【0084】
第1のリード20及び第2のリード30は、鉄、リン青銅、銅合金等の電気良導体を用いて構成することができる。また、発光素子10からの光の反射率を向上させるため、第1のリード20及び第2のリード30の表面に銀、アルミニウム、銅や金等の金属メッキを施すこともできる。また、第1のリード20及び第2のリード30の表面の反射率を向上させるため、平滑にすることが好ましい。また、放熱性を向上させるため第1のリード20及び第2のリード300の面積は大きくすることができる。これにより発光素子10の温度上昇を効果的に抑えることができ、発光素子10に比較的多くの電気を流すことができる。また、第1のリード20及び第2のリード30を肉厚にすることにより放熱性を向上することができる。この場合、第1のリード20及び第2のリード30を折り曲げるなどの成形工程が困難であるため、所定の大きさに切断する。また、第1のリード20及び第2のリード30を肉厚にすることにより、第1のリード20及び第2のリード30のたわみが少なくなり、発光素子10の実装をし易くすることができる。これとは逆に、第1のリード20及び第2のリード30を薄い平板状とすることにより折り曲げる成形工程がし易くなり、所定の形状に成形することができる。
【0085】
第1のリード20及び第2のリード30は、一対の正負の電極である。第1のリード20及び第2のリード30は、少なくとも1つずつあれば良いが、複数設けることもできる。また、第1のリード20に複数の発光素子10を載置する場合は、複数の第2のリード30を設ける必要もある。
【0086】
<第2の樹脂成形体>
第2の樹脂成形体50は、外部環境からの外力や埃、水分などから発光素子10を保護するために設ける。また、発光素子10から出射される光を効率よく外部に放出することができる。第2の樹脂成形体50は、第1の樹脂成形体40の凹部40c内に配置している。
【0087】
第2の樹脂成形体50の材質は熱硬化性樹脂である。熱硬化性樹脂のうち、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種により形成することが好ましく、特にエポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂が好ましい。第2の樹脂成形体50は、発光素子10を保護するため硬質のものが好ましい。また、第2の樹脂成形体50は、耐熱性、耐候性、耐光性に優れた樹脂を用いることが好ましい。第2の樹脂成形体50は、所定の機能を持たせるため、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質からなる群から選択される少なくとも1種を混合することもできる。第2の樹脂成形体50中には拡散剤を含有させても良い。具体的な拡散剤としては、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素等を好適に用いることができる。また、所望外の波長をカットする目的で有機や無機の着色染料や着色顔料を含有させることができる。さらに、第2の樹脂成形体50は、発光素子10からの光を吸収し、波長変換する蛍光物質80を含有させることもできる。
【0088】
(蛍光物質)
蛍光物質80は、発光素子10からの光を吸収し異なる波長の光に波長変換するものであればよい。例えば、Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される窒化物系蛍光体・酸窒化物系蛍光体・サイアロン系蛍光体、Eu等のランタノイド系、Mn等の遷移金属系の元素により主に付活されるアルカリ土類ハロゲンアパタイト蛍光体、アルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン蛍光体、アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体、アルカリ土類ケイ酸塩、アルカリ土類硫化物、アルカリ土類チオガレート、アルカリ土類窒化ケイ素、ゲルマン酸塩、又は、Ce等のランタノイド系元素で主に付活される希土類アルミン酸塩、希土類ケイ酸塩又はEu等のランタノイド系元素で主に賦活される有機及び有機錯体等から選ばれる少なくともいずれか1以上であることが好ましい。具体例として、下記の蛍光体を使用することができるが、これに限定されない。
【0089】
Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される窒化物系蛍光体は、M_(2)Si_(5)N_(8):Eu、CaAlSiN_(3):Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。)などがある。また、M_(2)Si_(5)N_(8):EuのほかMSi_(7)N_(10):Eu、M_(1.8)Si_(5)O_(0.2)N_(8):Eu、M_(0.9)Si_(7)O_(0.1)N_(10):Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。)などもある。
【0090】
Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される酸窒化物系蛍光体は、MSi_(2)O_(2)N_(2):Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。)などがある。
【0091】
Eu、Ce等のランタノイド系元素で主に賦活されるサイアロン系蛍光体は、M_(p/2)Si_(12-p-q)Al_(p+q)O_(q)N_(16-p):Ce、M-Al-Si-O-N(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。qは0?2.5、pは1.5?3である。)などがある。
【0092】
Eu等のランタノイド系、Mn等の遷移金属系の元素により主に付活されるアルカリ土類ハロゲンアパタイト蛍光体には、M_(5)(PO_(4))_(3)X:R(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。Xは、F、Cl、Br、Iから選ばれる少なくとも1種以上である。Rは、Eu、Mn、EuとMn、のいずれか1以上である。)などがある。
【0093】
アルカリ土類金属ホウ酸ハロゲン蛍光体には、M_(2)B_(5)O_(9)X:R(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。Xは、F、Cl、Br、Iから選ばれる少なくとも1種以上である。Rは、Eu、Mn、EuとMn、のいずれか1以上である。)などがある。
【0094】
アルカリ土類金属アルミン酸塩蛍光体には、SrAl_(2)O_(4):R、Sr_(4)Al_(14)O_(25):R、CaAl_(2)O_(4):R、BaMg_(2)Al_(16)O_(27):R、BaMg_(2)Al_(16)O_(12):R、BaMgAl_(10)O_(17):R(Rは、Eu、Mn、EuとMn、のいずれか1以上である。)などがある。
【0095】
アルカリ土類硫化物蛍光体には、La_(2)O_(2)S:Eu、Y_(2)O_(2)S:Eu、Gd_(2)O_(2)S:Euなどがある。
【0096】
Ce等のランタノイド系元素で主に賦活される希土類アルミン酸塩蛍光体には、Y_(3)Al_(5)O_(12):Ce、(Y_(0.8)Gd_(0.2))_(3)Al_(5)O_(12):Ce、Y_(3)(Al_(0.8)Ga_(0.2))_(5)O_(12):Ce、(Y,Gd)_(3)(Al,Ga)_(5)O_(12)の組成式で表されるYAG系蛍光体などがある。また、Yの一部若しくは全部をTb、Lu等で置換したTb_(3)Al_(5)O_(12):Ce、Lu_(3)Al_(5)O_(12):Ceなどもある。
【0097】
その他の蛍光体には、ZnS:Eu、Zn_(2)GeO_(4):Mn、MGa_(2)S_(4):Eu(Mは、Sr、Ca、Ba、Mg、Znから選ばれる少なくとも1種以上である。Xは、F、Cl、Br、Iから選ばれる少なくとも1種以上である。)などがある。
【0098】
上述の蛍光体は、所望に応じてEuに代えて、又は、Euに加えてTb、Cu、Ag、Au、Cr、Nd、Dy、Co、Ni、Tiから選択される1種以上を含有させることもできる。
【0099】
また、上記蛍光体以外の蛍光体であって、同様の性能、効果を有する蛍光体も使用することができる。
【0100】
これらの蛍光体は、発光素子10の励起光により、黄色、赤色、緑色、青色に発光スペクトルを有する蛍光体を使用することができるほか、これらの中間色である黄色、青緑色、橙色などに発光スペクトルを有する蛍光体も使用することができる。これらの蛍光体を種々組み合わせて使用することにより、種々の発光色を有する表面実装型発光装置を製造することができる。
【0101】
例えば、青色に発光するGaN系化合物半導体を用いて、Y_(3)Al_(5)O_(12):Ce若しくは(Y_(0.8)Gd_(0.2))_(3)Al_(5)O_(12):Ceの蛍光物質に照射し、波長変換を行う。発光素子10からの光と、蛍光体60からの光との混合色により白色に発光する表面実装型発光装置を提供することができる。
【0102】
例えば、緑色から黄色に発光するCaSi_(2)O_(2)N_(2):Eu、又はSrSi_(2)O_(2)N_(2):Euと、蛍光体である青色に発光する(Sr,Ca)_(5)(PO_(4))_(3)Cl:Eu、赤色に発光する(Ca,Sr)_(2)Si_(5)N_(8):Euと、からなる蛍光体60を使用することによって、演色性の良好な白色に発光する表面実装型発光装置を提供することができる。これは、色の三源色である赤・青・緑を使用しているため、第1の蛍光体及び第2の蛍光体の配合比を変えることのみで、所望の白色光を実現することができる。
【0103】
(その他)
表面実装型発光装置には、さらに保護素子としてツェナーダイオードを設けることもできる。ツェナーダイオードは、発光素子10と離れて凹部40cの底面40aの第1のリード20に載置することができる。また、ツェナーダイオードは、凹部40cの底面40aの第1のリード20に載置され、その上に発光素子10を載置する構成を採ることもできる。□280μmサイズの他、□300μmサイズ等も使用することができる。
【0104】
ワイヤ60は、発光素子10の第2の電極12と第2のリード30、発光素子10の第1の電極11と第1のリード20、を電気的に接続するものである。ワイヤ60は、発光素子10の電極とのオーミック性、機械的接続性、電気伝導性及び熱伝導性が良いものが求められる。熱伝導率として0.01cal/(S)(cm^(2))(℃/cm)以上が好ましく、より好ましくは0.5cal/(S)(cm^(2))(℃/cm)以上である。発光素子10の直上から、メッキを施した配線パターンのワイヤボンディングエリアまで、ワイヤを張り、導通を取っている。
【0105】
以上の構成を採ることにより、本発明に係る表面実装型発光装置を提供することができる。
【0106】
<表面実装型発光装置の実装状態>
上記表面実装型発光装置を用いて、外部電極と電気的に接続した実装状態を示す。図3は、第1の実施の形態に係る表面実装型発光装置の実装状態を示す概略断面図である。
【0107】
表面実装型発光装置の裏面側に放熱接着剤100を介して放熱部材110を設けることができる。この放熱接着剤100は、第1の樹脂成形体40の材質よりも熱伝導性が高いものが好ましい。放熱接着剤100の材質は、電気絶縁性のエポキシ樹脂、シリコーン樹脂などを用いることができる。放熱部材110の材質は熱電導性の良好なアルミ、銅、タングステン、金などが好ましい。このほか、第1のリード20のみに接触するように放熱接着剤100を介して放熱部材110を設けることにより、放熱接着剤として更に熱電導性の良い半田を含む共晶金属を用いることができる。表面実装型発光装置の裏面側は平坦となっていることから、放熱部材110への実装時の安定性を保持することができる。特に、発光素子10と最短距離をとるように第1のリード20及び放熱部材110を設けているため、放熱性は高い。
【0108】
第1のリード20の第1のアウターリード部20b及び第2のリード30の第2のアウターリード部30bは外部電極と電気的に接続する。第1のリード20と第2のリード30は厚肉の平板であるため、外部電極と放熱部材90とで挟み込むように電気的に接続する。第1のアウターリード部20b、第2のアウターリード部30bと外部電極との電気的接続には鉛フリー半田を用いる。この他、外部電極に第1のアウターリード部20b等を載置するように電気的接続することもできる。
【0109】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態に係る表面実装型発光装置について説明する。第1の実施の形態に係る表面実装型発光装置と同様な構成を採る部分については説明を省略する。図4は、第2の実施の形態に係る表面実装型発光装置を示す概略平面図である。
【0110】
この表面実装型発光装置は、第1のリード21及び第2のリード31に凹凸を設け、第1の樹脂成形体40との接触面積を拡げている。これにより第1の樹脂成形体40から第1のリード21及び第2のリード31が抜脱するのを防止することができる。
【0111】
<第3の実施の形態>
第3の実施の形態に係る表面実装型発光装置について説明する。第1の実施の形態に係る表面実装型発光装置と同様な構成を採る部分については説明を省略する。図5は、第3の実施の形態に係る表面実装型発光装置を示す概略断面図である。
【0112】
この表面実装型発光装置は、第1のリード22及び第2のリード32に薄肉に平板を用いている。これによりより小型かつ薄型の表面実装型発光装置を提供することができる。薄肉の平板状は、第1の実施の形態に示すような矩形状とすることができるほか、第2の実施の形態に示すような凹凸を設けた形状とすることもできる。
【0113】
<第4の実施の形態>
第4の実施の形態に係る表面実装型発光装置について説明する。第3の実施の形態に係る表面実装型発光装置と同様な構成を採る部分については説明を省略する。図6は、第4の実施の形態に係る表面実装型発光装置を示す概略断面図である。
【0114】
この表面実装型発光装置は、第1のリード23及び第2のリード33を主面側に折り曲げている。これは第1のリード23及び第2のリード33を薄肉にしているため、容易に折り曲げることができる。これにより実装時に、折り曲げた第1のアウターリード部23b及び第2のアウターリード部33bに半田が這い上がり、強固に固着することができる。第1の樹脂を流し込むトランスファ・モールド工程において、上金型と下金型で第1のインナーリード部23a及び第2のインナーリード部33bを挟み込んでいるため、第1のインナーリード部23a及び第2のインナーリード部33bが薄肉であっても、バリを生じることがない。
【0115】
<第5の実施の形態>
第5の実施の形態に係る表面実装型発光装置について説明する。第3の実施の形態に係る表面実装型発光装置と同様な構成を採る部分については説明を省略する。図7は、第5の実施の形態に係る表面実装型発光装置を示す概略断面図である。図8は、第5の実施の形態に係る表面実装型発光装置の実装状態を示す概略断面図である。
【0116】
この表面実装型発光装置は、第1のアウターリード部24b及び第2のアウターリード部34bを主面側に折り曲げ、さらに外側に折り曲げている。これにより、放熱部材90と外部電極とで表面実装型発光装置を挟み込めるため実装しやすくなっており、実装安定性を向上することができる。また、第1のリード24及び第2のリード34と放熱部材90との固着位置よりも、第1のリード24及び第2のリード34と外部電極との接続位置を高くすることができる。これにより実装基板上より発光面を除く表面実装型発光装置全体を隠すことができるため実装基板そのものを効率良く反射材として利用することができる。
【0117】
<第6の実施の形態>
第6の実施の形態に係る表面実装型発光装置について説明する。第3の実施の形態に係る表面実装型発光装置と同様な構成を採る部分については説明を省略する。図9は、第6の実施の形態に係る表面実装型発光装置を示す概略断面図である。
【0118】
この表面実装型発光装置は、放熱部材91を第1の樹脂成形体41に組み込んでいる。放熱部材91は、第1のインナーリード部25aの裏面に配置する。これにより放熱部材91を一体的に持つ表面実装型発光装置を提供することができる。また、別部材として放熱部材91を設ける必要がなく、表面実装型発光装置と放熱部材91との接着を考慮しなくてよい。また、放熱部材91を第1の樹脂成形体41の裏面側とほぼ同一平面とすることができ、表面実装型発光装置の安定性を向上することができる。第1のアウターリード部25bと第2のアウターリード部35bは、所定の形状に折り曲げられている。
【0119】
この表面実装型発光装置は、第1のインナーリード部25aと第2のインナーリード部35aとを上金型と下金型とで挟み込んで、所定の凹部を第1のインナーリード部25aと第2のインナーリード部35aとの主面側と裏面側に設けている。これにより、より効果的に第1のインナーリード部25aと第2のインナーリード部35aの抜脱を防止することができる。また、所定の厚みを持つ表面実装型発光装置を提供することができる。
【0120】
<表面実装型発光装置の製造方法>
本発明に係る表面実装型発光装置の製造方法について説明する。本製造方法は、上述の表面実装型発光装置についてである。図10(a)?(e)は、第1の実施の形態に係る表面実装型発光装置の製造工程を示す概略断面図である。
【0121】
第1の樹脂成形体40の凹部40cの底面40aに相当する第1のインナーリード部20aと第2のインナーリード部30a並びに第1のアウターリード部20bと第2のアウターリード部30bとを、上金型120と下金型121とで挟み込む(第1の工程)。
【0122】
上金型120は第1の樹脂成形体の凹部に相当する凹みを形成している。第1の樹脂成形体40の凹部40cの底面40aに相当する上金型120の部分は、第1のインナーリード部20a及び第2のインナーリード部30aとを接触するように形成されている。
【0123】
上金型120と下金型121とで挟み込まれた凹み部分に第1の熱硬化性樹脂がトランスファ・モールド工程により流し込む(第2の工程)。
【0124】
トランスファ・モールド工程は、所定の大きさを有するペレット状の第1の熱硬化性樹脂を所定の容器に入れる。その所定の容器に圧力を加える。その所定の容器から繋がる上金型120と下金型121とで挟み込まれた凹み部分に、溶融状態の第1の熱硬化性樹脂が流し込む。上金型120と下金型121とを所定の温度に温め、その流し込まれた第1の熱硬化性樹脂を硬化する。この一連の工程をトランスファ・モールド工程という。
【0125】
第1のインナーリード部20a及び第2のインナーリード部30aを挟み込むため、第1の熱硬化性樹脂を流し込む際に第1のインナーリード部20a及び第2のインナーリード部30aがばたつくことがなく、バリの発生を抑制できる。
【0126】
流し込まれた第1の熱硬化性樹脂は加熱して硬化され、第1の樹脂成形体40を成形する(第3の工程)。
【0127】
これにより、熱硬化性樹脂を用いた第1の樹脂成形体40を成形する。これにより耐熱性、耐光性、密着性等に優れたパッケージを提供することができる。また、底面40aと側面40bとを持つ凹部40cを有する熱硬化性樹脂を用いた第1の樹脂成形体40を提供することができる。
【0128】
上金型120及び下金型121を取り外す(第4の工程)。
【0129】
発光素子10を載置するため、上金型120及び下金型121を取り外す。硬化が不十分な場合は後硬化を行い作業上問題が発生しない程度に樹脂成形体40の機械強度を向上させる。
【0130】
発光素子10は第1のインナーリード部20aに載置する。発光素子10が持つ第1の電極11と第1のインナーリード部20aとを電気的に接続する。発光素子10が持つ第2の電極12と第2のインナーリード部20bとを電気的に接続する(第5の工程)。
【0131】
第1の電極11と第1のインナーリード部20aとはワイヤ60を介して電気的に接続する。ただし、発光素子10が上面と下面に電極を持つ場合は、ワイヤを用いず、ダイボンディングのみで電気的接続をとる。次に第2の電極12と第2のインナーリード部30aとはワイヤ60を介して電気的に接続する。
【0132】
発光素子10が載置された凹部40c内に第2の熱硬化性樹脂を配置する(第6の工程)。
【0133】
この第2の熱硬化性樹脂を配置する方法は、滴下手段や射出手段、押出手段などを用いることができるが、滴下手段を用いることが好ましい。滴下手段を用いることにより凹部40c内に残存する空気を効果的に追い出すことができるからである。第2の熱硬化性樹脂は、蛍光物質80を混合しておくことが好ましい。これにより表面実装型発光装置の色調調整を容易にすることができる。
【0134】
第2の熱硬化性樹脂は加熱して硬化され、第2の樹脂成形体を成形する(第7の工程)。
【0135】
これにより容易に表面実装型発光装置を製造することができる。また、第1の樹脂成形体40と第2の樹脂成形体50とを熱硬化性樹脂で成形することができ、密着性の高い表面実装型発光装置を提供することができる。また、第1の樹脂成形体40と第2の樹脂成形体50との界面の剥離が生じず、耐熱性、耐光性、密着性性等に優れた表面実装型発光装置を提供することができる。
【実施例1】
【0136】
実施例1に係る表面実装型発光装置は図1及び図2に示す。第1の実施の形態に係る表面実装型発光装置と同様の構成を採るところは説明を省略する。
【0137】
実施例1に係る表面実装型発光装置は、発光素子10と、発光素子10を載置する第1の樹脂成形体40と、発光素子10を被覆する第2の樹脂成形体50とを有する。第1の樹脂成形体40は、発光素子10を載置するための第1のリード20と、発光素子10と電気的に接続される第2のリード30と、を一体成形している。第1の樹脂成形体40は底面40aと側面40bとを持つ凹部40cを有しており、凹部40cの開口部は底面40aよりも広口になっており、側面40bには傾斜が設けられている。
【0138】
発光素子10は青色に発光するGaN系のものを使用する。発光素子10は同一面側に第1の電極11と第2の電極12とを有しており、ダイボンド樹脂(銀入りのエポキシ樹脂)を用いてフェイスアップで第1のリード20に接着されている。第1の電極11は金ワイヤ60を用いて第1のリード20と電気的に接続されている。第2の電極11も金ワイヤ60を用いて第2のリード30と電気的に接続されている。第1のリード20及び第2のリード30は母材に銅を用い、第1の樹脂成形体40から露出する部分に銀メッキを施している。第1のリード20及び第2のリード30はやや厚板(約0.5mm)のものを用い、第1のリード20及び第2のリード30の裏面側は露出している。第1の樹脂成形体40はトリグリシジルイソシアヌレートよりなるエポキシ樹脂とヘキサヒドロ無水フタル酸よりなる酸無水物とを当量比用いてなる混合物100重量部と、DBU0.5重量部、エチレングリコール1重量部、酸化チタン顔料10重量部、ガラス繊維50重量部を添加したものを用いる。第2の樹脂成形体50はシリコーン樹脂を用いる。第2の樹脂成形体50には(Y_(0.8)Gd_(0.2))_(3)Al_(5)O_(12):Ceの組成を有するYAG系蛍光体80を均一に混合している。底面40aと側面40bとを持つ凹部40cに第2の樹脂成形体50を配置しており、第2の樹脂成形体50の表面は凹部40cの上面と一致する。これにより製品毎のYAG系蛍光体80の量を均一にしている。第1のリード20と第2のリード30の裏面側に所定の厚さのエポキシ樹脂シートなる絶縁部材90を貼着している。
【0139】
実施例1に係る表面実装型発光装置は以下の工程により製造される。図10は実施例1に係る表面実装型発光装置の製造工程を示す概略断面図である。
【0140】
所定のリードフレームに打ち抜きを行い、複数個の第1のリード20と第2のリード30とを設ける。約150℃に加熱した下金型121へリードフレームを固定する。同様に約150℃に加熱した上金型120でリードフレームを挟み込む。挟み込みは第1のリード20と第2のリード30のインナーリード部20a、30a、アウターリード部20b、30bに相当する部分である。第1の樹脂成形体40に相当する上記のエポキシ樹脂組成物を打錠し得たタブレットを金型シリンダー部に配置する。このタブレットをピストンにより金型内へ流し込む(トランスファ・モールド)。この流し込まれたエポキシ樹脂を金型内で約150℃約3分間の加熱を行い仮硬化する。次に上金型120と下金型121とを分割して上記のエポキシ樹脂組成物の半硬化物を金型内から取り出す。取り出した後、さらに約150℃約3時間の加熱を行い本硬化する。これによりリードフレームと一体成形された上記のエポキシ樹脂組成物の完全硬化物にて、第1の樹脂成形体40を成形したリードフレームを得る。第1の樹脂成形体40は底面40aと側面40bとを持つ凹部40cを形成しており、底面40aはリードフレームが露出している。このリードフレームのアウターリード部20b、30bに相当する部分にメッキ処理を施す。
【0141】
次に、凹部40cの底面40aに発光素子10をダイボンドする。発光素子10の持つ第1の電極11と第1のリード20の第1のインナーリード部20a、第2の電極12と第2のリード30の第2のインナーリード部30aとをそれぞれワイヤ60を用いて電気的に接続する。
【0142】
次にYAG系蛍光体80を均一に混合した、第2の樹脂成形体50に相当するシリコーン樹脂を凹部40cの上面まで滴下する。シリコーン樹脂の粘度等により、YAG系蛍光体80が沈降する。YAG系蛍光体80が沈降することにより発光素子10の周辺にYAG系蛍光体を配置することができ、所定の色調を有する表面実装型発光装置を提供することができる。シリコーン樹脂を滴下後、硬化して、第2の樹脂成形体50を形成する。
【0143】
最後に所定の位置でリードフレームを切り出して、第1のアウターリード部20bと第2のアウターリード部30bとを形成する。これにより実施例1に係る表面実装型発光装置を製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0144】
本発明の表面実装型発光装置は、照明器具、ディスプレイ、携帯電話のバックライト、カメラのフラッシュライト、動画照明補助光源などに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】第1の実施の形態に係る表面実装型発光装置を示す概略断面図である。
【図2】第1の実施の形態に係る表面実装型発光装置を示す概略平面図である。
【図3】第1の実施の形態に係る表面実装型発光装置の実装状態を示す概略断面図である。
【図4】第2の実施の形態に係る表面実装型発光装置を示す概略平面図である。
【図5】第3の実施の形態に係る表面実装型発光装置を示す概略断面図である。
【図6】第4の実施の形態に係る表面実装型発光装置を示す概略断面図である。
【図7】第5の実施の形態に係る表面実装型発光装置を示す概略断面図である。
【図8】第5の実施の形態に係る表面実装型発光装置の実装状態を示す概略断面図である。
【図9】第6の実施の形態に係る表面実装型発光装置を示す概略断面図である。
【図10】(a)?(e)第1の実施の形態に係る表面実装型発光装置の製造工程を示す概略断面図である。
【図11】従来の表面実装型発光装置を示す概略平面図である。
【図12】従来の表面実装型発光装置を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0146】
10 発光素子
11 第1の電極
12 第2の電極
20 第1のリード
20a 第1のインナーリード部
20b 第1のアウターリード部
30 第2のリード
30a 第2のインナーリード部
30b 第2のアウターリード部
40 第1の樹脂成形体
40a 底面
40b 側面
40c 凹部
50 第2の樹脂成形体
60 ワイヤ
70 フィラー
80 蛍光物質
90 絶縁部材
100 放熱接着剤
110 放熱部材
120 上金型
121 下金型
210 発光素子
220 搭載用のリードフレーム
230 結線用のリードフレーム
240 成形体
250 透光性封止樹脂
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、発光素子を載置するための第1のリードと発光素子と電気的に接続される第2のリードとを一体成形してなる第1の樹脂成形体と、発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置であって、
発光素子は、発光波長が420nm以上490nm以下にあり、
第1の樹脂成形体は、酸化チタン顔料が含有されており、
第1の樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、第1の樹脂成形体の凹部の底面から第1のリードが露出されており、その露出部分に発光素子が載置されており、
第1のリードの発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側は、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出されており、
第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体とは熱硬化性樹脂であり、
第1の樹脂成形体は、トランスファ・モールドにより成形されていることを特徴とする表面実装型発光装置。
【請求項2】
発光素子と、発光素子を載置するための第1のリードと発光素子と電気的に接続される第2のリードとを一体成形してなる第1の樹脂成形体と、発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置であって、
発光素子は、発光波長が420nm以上490nm以下にあり、
第1の樹脂成形体は、酸化チタン顔料が含有されており、
第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第1のインナーリード部は発光素子が載置されており、かつ、発光素子が持つ第1の電極と電気的に接続されており、並びに第1のアウターリード部は第1の樹脂成形体から露出されており、
第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、第2のインナーリード部は発光素子が持つ第2の電極と電気的に接続されており、並びに第2のアウターリード部は第1の樹脂成形体から露出されており、
第1の樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、第1の樹脂成形体の凹部の底面から第1のインナーリード部が露出されており、その露出部分に発光素子が載置されており、
第1のインナーリード部の発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側は、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出されており、
第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体とは熱硬化性樹脂であり、
第1の樹脂成形体は、トランスファ・モールドにより成形されており、
凹部の底面を上方から見る平面視において、第1のリード及び第2のリードは、凹部の底面から外側に互いに反対の方向に延びており、その延びる方向に沿って延在する側面が凹凸を有する形状とされ、その凹凸に第1の樹脂成形体が接触していることを特徴とする表面実装型発光装置。
【請求項3】
発光素子と電気的に接続された部分と反対の第2のリードの裏面側は、第1の樹脂成形体から露出されていることを特徴とする請求項1に記載の表面実装型発光装置。
【請求項4】
発光素子と電気的に接続された部分と反対の第2のインナーリード部の裏面側は、第1の樹脂成形体から露出されていることを特徴とする請求項2に記載の表面実装型発光装置。
【請求項5】
第1のリードの発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側の露出部分と、第2のリードの裏面側の露出部分とは、実質的に同一平面上にあることを特徴とする請求項1記載の表面実装型発光装置。
【請求項6】
第1のリードの発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側の露出部分は、放熱部材が接触するように配置されていることを特徴とする請求項1記載の表面実装型発光装置。
【請求項7】
第1のリード及び第2のリードは、金属メッキが施されていることを特徴とする請求項1記載の表面実装型発光装置。
【請求項8】
発光素子と、発光素子を載置するための第1のリードと発光素子と電気的に接続される第2のリードとを一体成形してなる第1の樹脂成形体と、発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置であって、
発光素子は、発光波長が420nm以上490nm以下にあり、
第1の樹脂成形体は、酸化チタン顔料が含有されており、
第1の樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、第1の樹脂成形体の凹部の底面から第1のリードが露出されており、その露出部分に発光素子が載置されており、
第1のリードの発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側は、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出されており、
第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体とは熱硬化性樹脂であり、
第1の樹脂成形体は、トランスファ・モールドにより成形されており、
第1の樹脂成形体は、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種により形成されてなり、第2の樹脂成形体はシリコーン樹脂又は変性シリコーン樹脂により形成されてなることを特徴とする、表面実装型発光装置。
【請求項9】
第1の樹脂成形体は、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質、遮光性物質からなる群から選択される少なくとも1種が混合されていることを特徴とする請求項1記載の表面実装型発光装置。
【請求項10】
第2の樹脂成形体は、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質からなる群から選択される少なくとも1種が混合されていることを特徴とする請求項1記載の表面実装型発光装置。
【請求項11】
第1のリードと第2のリードとを一体成形してなる表面実装型発光装置用の樹脂成形体であって、
第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第1のインナーリード部は樹脂成形体中に配置されており、第1のアウターリード部は樹脂成形体から露出されており、
第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、第2のインナーリード部は樹脂成形体中に配置されており、第2のアウターリード部は樹脂成形体から露出されており、
樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、樹脂成形体の凹部の底面から第1のインナーリード部及び第2のインナーリード部が露出されており、
露出されている第1のインナーリード部に発光素子の載置領域が含まれ、
露出されている第1のインナーリード部及び第2のインナーリード部の裏面側は、樹脂成形体から露出されており、
樹脂成形体は、酸化チタン顔料が含有された熱硬化性樹脂であり、
樹脂成形体は、トランスファ・モールドにより成形されており、
露出されている第1のインナーリード部の発光素子の載置領域の裏面側が樹脂成形体から露出されていることにより、表面実装型発光装置としたときに発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できることを特徴とする樹脂成形体。
【請求項12】
第1のリードの裏面側の露出部分と第2のリードの裏面側の露出部分とは、実質的に同一平面上にあることを特徴とする請求項11に記載の樹脂成形体。
【請求項13】
熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項11に記載の樹脂成形体。
【請求項14】
第1のリードと第2のリードとを一体成形してなる表面実装型発光装置用の樹脂成形体であって、
第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第1のインナーリード部は樹脂成形体中に配置されており、第1のアウターリード部は樹脂成形体から露出されており、
第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、第2のインナーリード部は樹脂成形体中に配置されており、第2のアウターリード部は樹脂成形体から露出されており、
樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、樹脂成形体の凹部の底面から第1のインナーリード部及び第2のインナーリード部が露出されており、
露出されている第1のインナーリード部に発光素子の載置領域が含まれ、
露出されている第1のインナーリード部及び第2のインナーリード部の裏面側は、樹脂成形体から露出されており、
樹脂成形体は、酸化チタン顔料が含有された熱硬化性樹脂であり、
樹脂成形体は、トランスファ・モールドにより成形されており、
露出されている第1のインナーリード部の発光素子の載置領域の裏面側が樹脂成形体から露出されていることにより、表面実装型発光装置としたときに発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱でき、
凹部は、開口方向に広口となるように傾斜が設けられており、凹部の底面を上方から見る平面視において、第1のリード及び第2のリードは、凹部の底面から外側に互いに反対の方向に延びており、その延びる方向に沿って延在する側面が凹凸を有する形状とされ、その凹凸に樹脂成形体が接触していることを特徴とする樹脂成形体。
【請求項15】
樹脂成形体は、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質、遮光性物質からなる群から選択される少なくとも1種が混合されていることを特徴とする請求項11に記載の樹脂成形体。
【請求項16】
第1のリードと第2のリードとを一体成形してなる、底面と側面とを持つ凹部が形成されている表面実装型発光装置用の樹脂成形体の製造方法であって、
上金型は樹脂成形体の凹部に相当する凹みを形成しており、第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、
樹脂成形体の凹部の底面に相当する発光素子の載置領域を含む第1のインナーリード部と第2のインナーリード部並びに第1のアウターリード部と第2のアウターリード部は、第1のインナーリード部の発光素子の載置領域の裏面側を、表面実装型発光装置としたときに発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、樹脂成形体から露出させるため、上金型と下金型とで挟み込まれる第1の工程と、
上金型と下金型とで挟み込まれた凹み部分に酸化チタン顔料が含有された熱硬化性樹脂をトランスファ・モールド工程により流し込まれる第2の工程と、
流し込まれた熱硬化性樹脂は加熱して硬化され、樹脂成形体が成形される第3の工程と、を有する樹脂成形体の製造方法。
【請求項17】
第1のリードと第2のリードとを一体成形してなる、底面と側面とを持つ凹部が形成されている第1の樹脂成形体と、第1のリードに載置される発光波長が420nm以上490nm以下にある発光素子と、発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置の製造方法であって、
上金型は第1の樹脂成形体の凹部に相当する凹みを形成しており、第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、
第1の樹脂成形体の凹部の底面に相当する第1のインナーリード部と第2のインナーリード部並びに第1のアウターリード部と第2のアウターリード部は、第1のインナーリード部の発光素子の載置領域の裏面側を、表面実装型発光装置としたときに発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出させ、かつバリの発生を低減するため、上金型と下金型とで挟み込まれる第1の工程と、
上金型と下金型とで挟み込まれた凹み部分に酸化チタン顔料が含有された第1の熱硬化性樹脂がトランスファ・モールド工程により流し込まれる第2の工程と、
流し込まれた第1の熱硬化性樹脂は加熱して硬化され、第1の樹脂成形体が成形される第3の工程と、
上金型が取り外される第4の工程と、
発光素子は第1のインナーリード部に載置されるとともに、発光素子が持つ第1の電極と第1のインナーリード部とが電気的に接続され、発光素子が持つ第2の電極と第2のインナーリード部とが電気的に接続される第5の工程と、
発光素子が載置された凹部内に第2の熱硬化性樹脂が配置される第6の工程と、
第2の熱硬化性樹脂は加熱して硬化され、第2の樹脂成形体が成形される第7の工程と、
を有する表面実装型発光装置の製造方法。
【請求項18】
第1のインナーリード部の発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側の露出部分は、放熱部材が接触するように配置されていることを特徴とする請求項2記載の表面実装型発光装置。
【請求項19】
第1の樹脂成形体は、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質、遮光性物質からなる群から選択される少なくとも1種が混合されていることを特徴とする請求項2記載の表面実装型発光装置。
【請求項20】
第2の樹脂成形体は、フィラー、拡散剤、顔料、蛍光物質、反射性物質からなる群から選択される少なくとも1種が混合されていることを特徴とする請求項2記載の表面実装型発光装置。
【請求項21】
発光素子と、発光素子を載置するための第1のリードと発光素子と電気的に接続される第2のリードとを一体成形してなる第1の樹脂成形体と、発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置であって、
発光素子は、発光波長が420nm以上490nm以下にあり、
第1の樹脂成形体は、酸化チタン顔料が含有されており、
第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第1のインナーリード部は発光素子が載置されており、かつ、発光素子が持つ第1の電極と電気的に接続されており、並びに第1のアウターリード部は第1の樹脂成形体から露出されており、
第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、第2のインナーリード部は発光素子が持つ第2の電極と電気的に接続されており、並びに第2のアウターリード部は第1の樹脂成形体から露出されており、
第1の樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、第1の樹脂成形体の凹部の底面から第1のインナーリード部が露出されており、その露出部分に発光素子が載置されており、
第1のインナーリード部の発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側は、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出されており、
第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体とは熱硬化性樹脂であり、
第1の樹脂成形体は、トランスファ・モールドにより成形されており、
凹部の底面を上方から見る平面視において、第1のリード及び第2のリードは、凹部の底面から外側に互いに反対の方向に延びており、その延びる方向に沿って延在する側面が凹凸を有する形状とされ、その凹凸に第1の樹脂成形体が接触しており、
第1のインナーリードの部の発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側の露出部分と、第2のインナーリード部の発光素子と電気的に接続された部分と反対の裏面側の露出部分とは、実質的に同一平面上にあることを特徴とする表面実装型発光装置。
【請求項22】
発光素子と、発光素子を載置するための第1のリードと発光素子と電気的に接続される第2のリードとを一体成形してなる第1の樹脂成形体と、発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置であって、
発光素子は、発光波長が420nm以上490nm以下にあり、
第1の樹脂成形体は、酸化チタン顔料が含有されており、
第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第1のインナーリード部は発光素子が載置されており、かつ、発光素子が持つ第1の電極と電気的に接続されており、並びに第1のアウターリード部は第1の樹脂成形体から露出されており、
第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、第2のインナーリード部は発光素子が持つ第2の電極と電気的に接続されており、並びに第2のアウターリード部は第1の樹脂成形体から露出されており、
第1の樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、第1の樹脂成形体の凹部の底面から第1のインナーリード部が露出されており、その露出部分に発光素子が載置されており、
第1のインナーリード部の発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側は、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出されており、
第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体とは熱硬化性樹脂であり、
第1の樹脂成形体は、トランスファ・モールドにより成形されており、
凹部の底面を上方から見る平面視において、第1のリード及び第2のリードは、凹部の底面から外側に互いに反対の方向に延びており、その延びる方向に沿って延在する側面が凹凸を有する形状とされ、その凹凸に第1の樹脂成形体が接触しており、
第1のインナーリード部及び第2のインナーリード部は、表面を平滑にするように金属メッキが施されていることを特徴とする表面実装型発光装置。
【請求項23】
発光素子と、発光素子を載置するための第1のリードと発光素子と電気的に接続される第2のリードとを一体成形してなる第1の樹脂成形体と、発光素子を被覆する第2の樹脂成形体と、を有する表面実装型発光装置であって、
発光素子は、発光波長が420nm以上490nm以下にあり、
第1の樹脂成形体は、酸化チタン顔料が含有されており、
第1のリードは第1のインナーリード部と第1のアウターリード部とを有しており、第1のインナーリード部は発光素子が載置されており、かつ、発光素子が持つ第1の電極と電気的に接続されており、並びに第1のアウターリード部は第1の樹脂成形体から露出されており、
第2のリードは第2のインナーリード部と第2のアウターリード部とを有しており、第2のインナーリード部は発光素子が持つ第2の電極と電気的に接続されており、並びに第2のアウターリード部は第1の樹脂成形体から露出されており、
第1の樹脂成形体は、底面と側面とを持つ凹部が形成されており、第1の樹脂成形体の凹部の底面から第1のインナーリード部が露出されており、その露出部分に発光素子が載置されており、
第1のインナーリード部の発光素子が載置されている領域の主面側と反対の裏面側は、発光素子からの熱を最短距離で外部に放熱できるように、第1の樹脂成形体から露出されており、
第1の樹脂成形体と第2の樹脂成形体とは熱硬化性樹脂であり、
第1の樹脂成形体は、トランスファ・モールドにより成形されており、
凹部の底面を上方から見る平面視において、第1のリード及び第2のリードは、凹部の底面から外側に互いに反対の方向に延びており、その延びる方向に沿って延在する側面が凹凸を有する形状とされ、その凹凸に第1の樹脂成形体が接触しており、
第1の樹脂成形体は、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、アクリレート樹脂、ウレタン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種により形成されてなり、第2の樹脂成形体は、シリコーン樹脂又は変性シリコーン樹脂により形成されてなることを特徴とする表面実装型発光装置。
【図面】












 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2014-04-25 
結審通知日 2014-04-30 
審決日 2014-05-26 
出願番号 特願2004-345195(P2004-345195)
審決分類 P 1 113・ 113- ZAA (H01L)
P 1 113・ 851- ZAA (H01L)
P 1 113・ 537- ZAA (H01L)
P 1 113・ 121- ZAA (H01L)
P 1 113・ 857- ZAA (H01L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 角地 雅信  
特許庁審判長 服部 秀男
特許庁審判官 畑井 順一
小松 徹三
登録日 2010-10-15 
登録番号 特許第4608294号(P4608294)
発明の名称 樹脂成形体及び表面実装型発光装置並びにそれらの製造方法  
代理人 伊藤 佐保子  
代理人 大石 敏弘  
代理人 柳橋 泰雄  
代理人 津国 肇  
代理人 川田 秀美  
代理人 矢田 歩  
代理人 津国 肇  
代理人 柳橋 泰雄  
代理人 川田 秀美  
代理人 伊藤 佐保子  
代理人 岡上 悦男  

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