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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A47C
管理番号 1311158
審判番号 不服2014-17587  
総通号数 196 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-09-03 
確定日 2016-02-12 
事件の表示 特願2009-204161「長距離バスの乗客用座席及び座席カバー」拒絶査定不服審判事件〔平成22年 4月15日出願公開、特開2010- 82434〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本件出願は、平成21年9月3日の出願であって、平成25年12月24日付けで手続補正書が提出され、平成26年5月27日付けで拒絶の査定がなされ、これに対し、同年9月3日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされると同時に手続補正書が提出されて特許請求の範囲及び明細書を補正する手続補正がなされ、その後、当審において、平成27年7月2日付けで拒絶の理由を通知したところ、これに対し、同年9月7日付けで意見書が提出されたものである。

2.本願発明
本願の請求項1に係る発明は、上記の平成26年9月3日付けの手続補正によって補正された特許請求の範囲、明細書、及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める(以下「本願発明」という。)。
「長距離夜行バスに設置されるものであって、
その上に乗客が身体を横たえた際その凹凸に馴染むように、
少なくとも着座部のクッション及び背もたれのクッションが反発弾性の小さい発泡ゴムで形成されている
ことを特徴とする長距離夜行バスの乗客用座席。」

3.引用例
当審の拒絶の理由に引用し、本願の出願前である平成1年11月10日に頒布された「特開平1-280413号公報 」(以下「引用例」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている。(なお、下線は審決で付した。以下同じ。)
ア.「[従来の技術]
自動車に使われるシート用クッション体は、近年、座り心地の向上だけでなく薄形化への要求が大きくなってきている。自動車用のシート用クッション体には、量産に適しかつ乗り心地が比較的良いとされるウレタンフォームが多用されている。」(1頁左下欄19行?右下欄4行)
イ.「従来品1
反発弾性12%、ヒステリシスロス39.1%の低反発弾性のウレタンフォーム単層のみからなり、フォーム厚は60mmである。」(2頁左下欄15?18行)
ウ.「第3図は実施例1?3と従来品1、2のクッション性能を比較したものであり、レベリングされた複数の被験者による官能評価をもとに自動車のフロントシートにおけるクッション性を表したものである。」(2頁右下欄11?15行)
エ.「本発明によれば・・・自動車用シートの座部や背もたれ部等の薄形化と軽量化を図る上でも大きな効果がある。」(3頁左上欄3?6行)
オ.上記「ア.]、及び「イ.」の記載から、「低反発弾性のウレタンフォーム単層のみからなるものが、自動車用のシート用クッション体である」ことが理解できる。
カ.上記「ウ.]、及び「エ.」の記載から、「従来品の自動車用のシートが、座部、及び背もたれ部からなり、座部、及び背もたれ部には、シート用クッション体を備えている」ことが理解できる。
上記の記載事項を総合すると、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「座部、及び背もたれ部からなり、座部、及び背もたれ部には、それぞれシート用クッション体を備えている自動車用のシートであって、シート用クッション体が、低反発弾性のウレタンフォーム単層のみからなる自動車用のシート。」

4.対比
そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、
後者における「座部」は、その構造、機能、作用等からみて、前者における「着座部」に相当し、以下同様に、「背もたれ部」は「背もたれ」に、「シート用クッション体」は「クッション」に、「低反発弾性のウレタンフォーム(単層)」は「反発弾性の小さい発泡ゴム」に、「シート」は「乗客用座席」に、それぞれ相当する。
また、後者における「自動車」と前者における「長距離夜行バス」とは、「自動車」との概念で共通する。
また、後者の座部、及び背もたれ部のシート用クッション体は、低反発弾性のウレタンフォーム単層のみからなるから、「座部、及び背もたれ部の上に乗客が身体を横たえた際その凹凸に馴染むようになる」ことは、明らかである。
したがって、両者は、
「自動車に設置されるものであって、
その上に乗客が身体を横たえた際その凹凸に馴染むように、
少なくとも着座部のクッション及び背もたれのクッションが反発弾性の小さい発泡ゴムで形成されている
自動車の乗客用座席。」
の点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点]
自動車が、本願発明は、「長距離夜行バス」であるのに対して、引用発明は、その点につき、明らかでない点。

5.当審の判断
上記相違点について以下検討する。
一般に自動車において、長距離夜行バスは、引用例を挙げるまでもなく、周知の事項である。
そして、引用発明のシートは、自動車用であって、当然、長距離夜行バスのシートも包含するものであって、長距離夜行バスのシートとすることを除外する特段の理由もない。
したがって、引用発明において、上記周知の技術事項を踏まえ、相違点に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。

そして、本願発明の全体構成によって奏される効果も、引用発明、及び上記周知の事項から当業者が予測し得る範囲内のものである。

6.むすび
したがって、本願発明は、引用発明、及び上記周知の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-11-25 
結審通知日 2015-12-01 
審決日 2015-12-15 
出願番号 特願2009-204161(P2009-204161)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A47C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 青木 良憲  
特許庁審判長 吉村 尚
特許庁審判官 黒瀬 雅一
畑井 順一
発明の名称 長距離バスの乗客用座席及び座席カバー  
代理人 松井 晃一  

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