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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B65G
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65G
管理番号 1311186
審判番号 不服2015-5773  
総通号数 196 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-03-27 
確定日 2016-02-12 
事件の表示 特願2010-180516「図書保管管理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 2月23日出願公開、特開2012- 35999〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は、平成22年8月11日の出願であって、平成26年6月26日付けで拒絶理由が通知され、これに対して平成26年8月21日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成26年12月24日付けで拒絶査定がされ、これに対して平成27年3月27日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に明細書及び特許請求の範囲について補正する手続補正書が提出されたものである。


第2 平成27年3月27日付けの手続補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成27年3月27日付けの手続補正を却下する。
[理由]
〔1〕本件補正の内容
平成27年3月27日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲に関して、本件補正により補正される前の(すなわち、平成26年8月21日に提出された手続補正書により補正された)下記の(A)に示す請求項1ないし5を、下記の(B)に示す請求項1ないし4と補正するものである。
(A)本件補正前の特許請求の範囲の請求項1ないし5
「 【請求項1】
複数の図書を収容した複数のコンテナが書庫に保管され、該複数のコンテナには、各コンテナを識別可能なコンテナ識別情報が付与されており、管理装置の指令に基づき、前記書庫に保管されている前記複数のコンテナの中から、貸し出しまたは返却作業の対象となる目的の図書を収容するコンテナを前記書庫から取り出してコンベア及びエレベータによりステーションに搬送するとともに、該コンテナを図書の貸し出しまたは返却作業後に前記ステーションから前記書庫に搬送する図書保管管理システムであって、
前記管理装置は、搬送対象のコンテナのコンテナ識別情報を受付けるコンテナ識別情報受付手段と、該コンテナ識別情報受付手段にて受付けたコンテナ識別情報が付与されたコンテナを搬送経路に沿って搬送させる搬送制御手段と、該搬送中のコンテナの前記搬送経路における現在位置を取得するコンテナ位置取得手段と、該コンテナ位置取得手段にて取得したコンテナ位置に基づいて前記搬送対象のコンテナの搬送状況を表示する表示手段と、を備え、
前記表示手段は、前記搬送対象のコンテナの搬送状況の表示を前記搬送経路における前記書庫、前記コンベア、前記エレベータ及び前記ステーションの領域毎に行う
ことを特徴とする図書保管管理システム。
【請求項2】
前記複数の図書には、各図書を識別可能な図書識別情報が付与されており、前記管理装置は、前記図書識別情報と前記コンテナ識別情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、前記目的の図書の図書識別情報を受付ける図書識別情報受付手段と、をさらに備え、前記図書識別情報受付手段にて受付けた図書識別情報に対応付けて前記記憶手段に記憶されるコンテナ識別情報が前記コンテナ識別情報受付手段に受付けられるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の図書保管管理システム。
【請求項3】
前記表示手段は、前記ステーションにコンテナが到着したときに、前記搬送対象のコンテナの搬送状況の表示から、前記図書識別情報に対応付けて前記記憶手段に記憶されている図書に関連する図書関連情報の表示に切り換える制御を行うことを特徴とする請求項2に記載の図書保管管理システム。
【請求項4】
前記表示手段は、前記搬送対象のコンテナが複数個搬送される場合に、前記各領域に存在する前記搬送対象のコンテナの個数の表示を行うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の図書保管管理システム。
【請求項5】
前記ステーションが複数台設けられるとともに、前記コンテナ識別情報受付手段は、各利用者を識別可能な利用者識別情報に対応付けて前記コンテナ識別情報を受付けるようになっており、前記管理装置は、前記各ステーションに設けられる前記表示手段に、前記利用者識別情報に基づいて各搬送対象のコンテナの搬送状況を、前記各ステーションの利用者毎に表示させる制御を行うことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の図書保管管理システム。」

(B)本件補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし4
「 【請求項1】
複数の図書を収容した複数のコンテナが書庫に保管され、該複数のコンテナには、各コンテナを識別可能なコンテナ識別情報が付与されており、管理装置の指令に基づき、前記書庫に保管されている前記複数のコンテナの中から、貸し出しまたは返却作業の対象となる目的の図書を収容するコンテナを前記書庫から取り出してコンベア及びエレベータによりステーションに搬送するとともに、該コンテナを図書の貸し出しまたは返却作業後に前記ステーションから前記書庫に搬送する図書保管管理システムであって、
前記管理装置は、搬送対象のコンテナのコンテナ識別情報を受付けるコンテナ識別情報受付手段と、該コンテナ識別情報受付手段にて受付けたコンテナ識別情報が付与されたコンテナを搬送経路に沿って搬送させる搬送制御手段と、該搬送中のコンテナの前記搬送経路における現在位置を取得するコンテナ位置取得手段と、該コンテナ位置取得手段にて取得したコンテナ位置に基づいて前記搬送対象のコンテナの搬送状況を表示する表示手段と、を備え、
前記コンテナ位置取得手段は、前記搬送経路に複数設けられたコンテナ識別情報受付手段を具備し、
前記ステーションは複数台設けられ、
前記コンテナ位置取得手段は、前記搬送経路に複数設けられた各コンテナ識別情報受付手段により取得されたコンテナ識別情報を基に、該コンテナ識別情報が付与されたコンテナの現在位置を取得し、
前記管理装置は、前記コンテナ位置取得手段が取得した情報に基づいて、前記コンテナ識別情報が付与されたコンテナが複数の前記ステーションのいずれかに対応するかを判断して、対応する前記ステーションの前記表示手段に、該コンテナが前記搬送経路の前記書庫、前記コンベア、前記エレベータ及び前記ステーションのうちいずれの領域に位置するかという位置情報を表示させることを特徴とする図書保管管理システム。
【請求項2】
前記複数の図書には、各図書を識別可能な図書識別情報が付与されており、前記管理装置は、前記図書識別情報と前記コンテナ識別情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、前記目的の図書の図書識別情報を受付ける図書識別情報受付手段と、をさらに備え、前記図書識別情報受付手段にて受付けた図書識別情報に対応付けて前記記憶手段に記憶されるコンテナ識別情報が前記コンテナ識別情報受付手段に受付けられるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の図書保管管理システム。
【請求項3】
前記表示手段は、前記ステーションにコンテナが到着したときに、前記搬送対象のコンテナの搬送状況の表示から、前記図書識別情報に対応付けて前記記憶手段に記憶されている図書に関連する図書関連情報の表示に切り換える制御を行うことを特徴とする請求項2に記載の図書保管管理システム。
【請求項4】
前記表示手段は、前記搬送対象のコンテナが複数個搬送される場合に、前記各領域に存在する前記搬送対象のコンテナの個数の表示を行うことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の図書保管管理システム。」
(なお、下線は、当審において補正箇所を明示するために付したものである。)

〔2〕本件補正の目的要件について
本件補正は、本件補正前の請求項1における「前記表示手段は、前記搬送対象のコンテナの搬送状況の表示を前記搬送経路における前記書庫、前記コンベア、前記エレベータ及び前記ステーションの領域毎に行う」という記載を、「前記コンテナ位置取得手段は、前記搬送経路に複数設けられたコンテナ識別情報受付手段を具備し、
前記ステーションは複数台設けられ、
前記コンテナ位置取得手段は、前記搬送経路に複数設けられた各コンテナ識別情報受付手段により取得されたコンテナ識別情報を基に、該コンテナ識別情報が付与されたコンテナの現在位置を取得し、
前記管理装置は、前記コンテナ位置取得手段が取得した情報に基づいて、前記コンテナ識別情報が付与されたコンテナが複数の前記ステーションのいずれかに対応するかを判断して、対応する前記ステーションの前記表示手段に、該コンテナが前記搬送経路の前記書庫、前記コンベア、前記エレベータ及び前記ステーションのうちいずれの領域に位置するかという位置情報を表示させる」とするものであり、本件補正前の請求項1に係る発明における発明特定事項である「表示手段」による表示の態様についてさらに限定するものといえる。
よって、特許請求の範囲の請求項1についての本件補正は、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明の発明特定事項を限定したものであって、本件補正前の請求項1に記載された発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際に独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

〔3〕本願補正発明の独立特許要件について
1.本願補正発明
本願補正発明は、平成27年3月27日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、上記〔1〕(B)の【請求項1】に示したとおりのものである。

2.引用刊行物
(1)引用刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物であって、本件出願前に頒布された刊行物である特開2006-327738号公報(以下、「引用刊行物」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。
a)「【0018】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、この実施の形態で説明する図書保管管理システムの全体的な構成を示している。すなわち、図1において、符号11は書棚群である。この書棚群11は、例えば図書館の地階の書庫内に設置されているものとする。
【0019】
この書棚群11は、互いに一定間隔をあけて対向するように設置された複数対(図示の場合は3対)の書棚(11a,11b)、(11c,11d)、(11e,11f)から構成されている。これら各書棚11a?11fには、それぞれに複数の図書(図1では図示せず)が収容された複数のコンテナ12,12,……が収容されている。
【0020】
ここで、上記書棚11a,11b相互間には、スタッカークレーン13が設置されている。このスタッカークレーン13は、書棚11a,11b相互間に形成された空間内を移動し、いずれかの書棚11aまたは11bから所望のコンテナ12を取り出して出庫用ラックステーション14に移送する。
【0021】
この出庫用ラックステーション14に移送されたコンテナ12は、搬送コンベア15を介してコンテナ搬出口16に移送された後、垂直搬送機17を介して、1階向コンテナ搬入口18または2階向コンテナ搬入口19まで搬送される。
【0022】
このうち、1階向コンテナ搬入口18に移送されたコンテナ12は、搬送コンベア20を介して、詳細は後述するが、複数のステーション(ブースともいう)を有する1階ステーションユニット21に搬送され、いずれかのステーションにおいて図書の取り出しまたは入庫に供される。
【0023】
また、2階向コンテナ搬入口19に移送されたコンテナ12は、搬送コンベア22を介して、複数のステーション(ブースともいう)を有する2階ステーションユニット23に搬送され、いずれかのステーションにおいて図書の取り出しまたは入庫に供される。
【0024】
一方、1階ステーションユニット21で図書の取り出しまたは入庫が完了したコンテナ12は、搬送コンベア24を介して1階向コンテナ搬出口25に移送される。また、2階ステーションユニット23で図書の取り出しまたは入庫が完了したコンテナ12は、搬送コンベア26を介して2階向コンテナ搬出口27に移送される。
【0025】
そして、1階向コンテナ搬出口25または2階向コンテナ搬出口27に移送されたコンテナ12は、垂直搬送機17により地階のコンテナ搬入口28に移送され、搬送コンベア29を介して入庫用ラックステーション30に移送された後、スタッカークレーン13により書棚11aまたは11bに入庫される。
【0026】
なお、他の書棚11c,11d相互間及び書棚11e,11f相互間にも、それぞれスタッカークレーン(図示せず)が設置されている。そして、上記と略同様の動作により、各書棚11c?11fと1階及び2階ステーションユニット21,23との間で、コンテナ12を搬送することができる。
【0027】
ここで、図2(a)は、上記コンテナ12の詳細な構成を示している。すなわち、このコンテナ12は、その内部が略直交する仕切り板12a,12bによって、4つのブロックA,B,C,Dに分割されている。そして、各ブロックA,B,C,D内には、図2(b)に示すように、それぞれ複数の図書31,31,……が厚み方向に1列に並んで収容されるようになっている。つまり、コンテナ12内には、ブロックA,Bに収容された図書31,31,……の列と、ブロックC,Dに収容された図書31,31,……の列とが、2列に並んで収容されることになる。
【0028】
そして、コンテナ12内で2列に並んだ各図書31,31,……同士は、互いにその背表紙31aを外側に向けるようにして収容されている。なお、コンテナ12は、その側面にバーコードラベル12cが付されている。また、各図書31,31,……にも、それぞれ固有のバーコードが付されている。さらに、コンテナ12の両端部には、取っ手12dが設置されている。
【0029】
一方、図3は、上記1階ステーションユニット21の外観を示している。なお、2階ステーションユニット23については、1階ステーションユニット21と同様な構成であるため、その説明を省略する。
【0030】
すなわち、この1階ステーションユニット21は、それぞれ利用者が入退室可能な5基のステーション(ブース)32を備えている。各ステーション32は、それぞれ、ドア32aを有する個室状に構成されている。また、この1階ステーションユニット21の近傍の壁には、各ステーション32の利用状況を示すモニタ33が設置されている。
【0031】
図4は、1基のステーション32の内部を示している。他の4基のステーション32についても、全て同様な構成となっている。すなわち、ステーション32には、カウンター台34が設置されている。そして、このカウンター台34の奥側に上記書棚11a?11fから取り出されたコンテナ12が保持され、利用者がそのコンテナ12から必要な図書31を取り出すことができる。
【0032】
また、このカウンター台34には、図5に示すように、入力タッチパネル式のモニタを有するステーション端末機(STU)35、無線タグリーダ36、プリンタ37、カードリーダ38及び図書31のバーコードを読み取るためのバーコードリーダ39が設置されている。なお、カウンター台34には、そこに保持されたコンテナ12のバーコードを読み取るための図示しないバーコードリーダも設置されている。
【0033】
図6は、上記1階ステーションユニット21の周辺の構造を示している。すなわち、5基のステーション32は、そのドア32aを同方向に向けて直線的に併設されている。そして、これらステーション32の背面側には、ステーション32の配列方向に沿ってレール40が敷設されている。
【0034】
また、このレール40の一端部は、前記垂直搬送機17によって1階向コンテナ搬入口18に移送されたコンテナ12を1階ステーションユニット21に搬送する搬送コンベア20と、1階ステーションユニット21で図書の取り出しまたは入庫が完了したコンテナ12を1階向コンテナ搬出口25に搬送する搬送コンベア24とに対向している。
【0035】
そして、上記レール40には、走行式移載台車41が自走可能に搭載されている。この走行式移載台車41は、1階向コンテナ搬入口18から搬送コンベア20によって搬送されてきたコンテナ12を搭載し、所定のステーション32まで移送してそのステーション32に設置されたコンテナ保持部42(図7参照)に保持させるように機能する。
【0036】
また、この走行式移載台車41は、所定のステーション32のコンテナ保持部42に保持されたコンテナ12を搭載し、搬送コンベア24まで移送して搬送コンベア24に搭載させるように機能する。
【0037】
この場合、走行式移載台車41には、図2に示したコンテナ12の取っ手12dを引くことにより、外部から台車上にコンテナ12を摺動移載し、また、取っ手12dの下方を押すことにより台車上から外部にコンテナ12を摺動移載するための、図示しない転載機構が搭載されている。
【0038】
また、上記搬送コンベア20,24と1階ステーションユニット21との間のレール40近傍には、回転台43が設置されている。この回転台43は、走行式移載台車41から受け取って搭載したコンテナ12を180度回転させる機能を有する。コンテナ12を回転させる目的は、図書31をその厚み方向に2列に収容するコンテナ12の場合、目的とする図書31の収容されている側が、ステーション32で利用者側に向くようにするためである。
【0039】
ここで、上記レール40の1階ステーションユニット21が設けられている側と反対の側には、複数のコンテナ12を載置可能なコンテナ待機棚44が設けられている。このコンテナ待機棚44は、図7に示すように、上下2段の棚44a,44bによって構成されている。この実施の形態では、各棚44a,44bに10個ずつ、合計20個のコンテナ12を搭載可能となっている。
【0040】
そして、上記走行式移載台車41には、昇降機構41aが設けられており、いずれの棚44a,44bに対してもコンテナ12の出し入れを行なえるようになっている。
【0041】
これにより、走行式移載台車41は、搬送コンベア20,24、各ステーション32のコンテナ保持部42、回転台43及びコンテナ待機棚44の相互間で、自由にコンテナ12を移送することができる。
【0042】
なお、図6において、垂直搬送機17の搬送コンベア20,24が設けられている側と反対の側には、職員用ステーション(ブース)45が設けられており、利用者用のステーション32を使用することなく、図書館員の手元にコンテナ12を取り出すことが可能になっている。」(段落【0018】ないし【0042】)

b)「【0043】
図8は、上記のような図書保管管理システムの制御システムを示している。すなわち、図書館システムサーバ(LSS)46は、書棚群11に保管されている閉架保管区分の図書31だけでなく、図示しない開架保管区分の図書をも含めた図書館の全ての全ての図書31を統括管理するものである。
【0044】
この図書館システムサーバ46は、全図書31の開架、閉架保管区分の管理、新規図書31の図書コード登録処理等の業務管理を行なっている。また、この図書館システムサーバ46は、図示しないが、開架図書31の貸し出し返却処理を行なう図書館員カウンタ端末、開架/閉架図書31を対象とした図書検索端末(OPEC)47が接続され、検索結果として、閉架図書32の図書貸し出し情報を書庫システムサーバ(BSS)48に伝送している。また、図書検索端末47はプリンタを有し、貸し出し予約した図書31の内容、予約順にふられる予約番号を記入した図書予約票を発行する。
【0045】
そして、上記書庫システムサーバ48は、図書館システムサーバ46とLAN(local area network)回線で接続され、閉架書庫内の図書31の所在位置管理、貸し出し、返却処理の管理を行なっている。図書貸し出し情報は、図書館システムサーバ46から伝送され、貸し出しの作業が終了すると、図書館システムサーバ46に図書貸し出し実績報告を行なっている。また、返却図書31が書庫に戻されると、図書館システムサーバ46に図書返却実績報告を行なっている。図書貸し出し情報は、予約番号順に記憶される。
【0046】
また、書庫システムサーバ48の内部記憶装置には、書庫に保管された全図書31の図書コード、書誌データ、各図書31の保管位置に関するデータが記憶されている。これらのデータは、図示しない複数の障害対策用ハードディスク、マスタバックアップ管理用DAT、無停電電源装置により保護されており、図書貸し出し情報から、要求される図書31が収容されたコンテナ12の番号が検索される図書コードに対応して記憶される。
【0047】
さらに、書庫システムサーバ48は、書庫内の図書31を取り出し、返却する場所であるステーション32,45にそれぞれ設けられたステーション端末機35と、書庫内のスタッカークレーン13や各種の搬送機器をコントロールする統括制御盤49とに、LAN回線で接続されている。
【0048】
すなわち、図書31の貸し出し場所であるステーションは、1基の図書館職員用ステーション45と、複数基の個人利用者用のステーション32とがあり、それぞれにステーション端末機35が備えられている。ただし、職員用ステーション45は、図書31の入庫及び出庫を行なえるが、利用者用のステーション32は、出庫つまり図書31の取り出しのみを行なえる機能に制限している。
【0049】
そして、ステーション端末機35は、操作ガイダンス、コンテナ12の到着時の取り出し図書名等の表示、コンテナ12からの取り出し完了の都度操作を行なう入力タッチパネル式のモニタを有している。また、ステーション端末機35には、図書コードを読み取る無線タグリーダ36、プリンタ37、利用者カードから利用者コードを登録するカードリーダ38及びバーコードリーダ39が接続されている。
【0050】
すなわち、図書31に図書コードを記憶した無線タグが装着されているときは、無線タグリーダ36によって図書コードを読み取ることができ、図書31にバーコードが付されているときは、バーコードリーダ39によって図書コードを読み取ることができるようにしている。なお、ステーション端末機35は、ステーション32,45に保持されているコンテナ12のバーコードラベル12cを読み取るバーコードリーダも制御している。
【0051】
また、ステーション端末機35に入力された利用者カードから登録される利用者コードは、書庫システムサーバ48に送信される。すると、書庫システムサーバ48では、ステーション32の使用状況、コンテナ待機棚44の占有状況、予約番号順位等を判断し、出庫すべきコンテナ12を決定して、統括制御盤49経由でコンテナ12の出庫を開始させる。
【0052】
ここで、上記統括制御盤49は、ステーション搬送機制御盤50、入出庫搬送機制御盤51、垂直搬送機制御盤52及びスタッカークレーン地上盤53等を統括的に制御している。
【0053】
そして、ステーション搬送機制御盤50は、1階ステーションユニット21において、走行式移送台車41(昇降機構41aを含む)及び回転台43をそれぞれ制御するとともに、垂直搬送機17と職員用ステーション45との間でコンテナ12を移送する移送機構を制御している。また、このステーション搬送機制御盤50は、2階ステーションユニット23において、1階ステーションユニット21と同様の図示しない走行式移載台車、回転台及び移送機構を制御している。
【0054】
さらに、上記入出庫搬送機制御盤51は、入出庫搬送機54(前記搬送コンベア15,20,22,24,26,29に相当)を制御している。また、上記垂直搬送機制御盤52は、前述した垂直搬送機17を制御し、スタッカークレーン地上盤53は、スタッカークレーン制御盤55を介して書庫内におけるスタッカークレーン13を制御している。
【0055】
ここで、書庫システムサーバ48の内部記憶装置には、図書館システムサーバ46から登録された予約番号、利用者コード及び図書コードを基に、基本管理データファイルである図書貸し出し情報と4つのマスタとが構成され記憶されている。これら4つのマスタは、図書マスタ、コンテナマスタ、待機棚ロケーションマスタ及び書庫ロケーションマスタである。
【0056】
まず、図9は、図書貸し出し情報を示している。この図書貸し出し情報は、予約番号単位で作成される。すなわち、予約番号、利用者コード及び図書コードは、図書館システムサーバ46に接続された図書検索端末47で利用者が図書31を検索し、貸し出しを受ける図書31が決定した時点で、図書館システムサーバ46から書庫システムサーバ48に送られる。
【0057】
書庫システムサーバ48において、図書マスタからコンテナ番号が引用されて付加される。コンテナ番号には、後番の予約番号でも利用される場合に、その回数まで記載する引き当て情報が用意されている。
【0058】
対象コンテナ12をコンテナ待機棚44に一時保管したときの待機棚ロケーション、ステーション32に対象コンテナの全てを順次出庫できる準備ができたときの時刻、利用が決まったステーションNo.、図書取り出しの進捗状況は、利用者の利用開始に伴なう刻々の変化に応じて記録される。
【0059】
進捗状況は、その予約番号の取り出し処理の進捗管理フラグで、状況遷移を記録する。図書貸し出し情報は、最終的には、図書館システムサーバ46に図書貸し出し実績情報として返送される。
【0060】
なお、コンテナ12は、図1に示した2列型を想定しており、その両方の列に異なるコンテナ番号が付されている。ただし、その番号は連番であり、例えば、“123451”の反対側は“123452”としている。このため、図書コードの管理は別個としているが、コンテナ番号“123451”のコンテナ12を書庫に対して入出庫したときは、コンテナ番号“123452”のコンテナ12も書庫に対して入出庫したとする制御が行なわれる。
【0061】
コンテナ12の両面を使用するときには、図書貸し出し情報の最初のコンテナ番号側がステーション32で利用者側を向くように搬送される制御を行なっている。
【0062】
図10(a)は、図書マスタを示している。この図書マスタは、図書単位で作成される。すなわち、図書コード、書誌データ(書名、著者名、出版社等からなる)及び収容されているコンテナ12のコンテナ番号からなる。なお、図書31の保管区分を書庫外とする、または、図書31を廃棄する等の削除情報があるまでは、その図書31の図書マスタは残る。
【0063】
図10(b)は、コンテナマスタを示している。このコンテナマスタは、コンテナ単位で作成される。すなわち、コンテナマスタは、コンテナ番号ごとに構成され、コンテナ12のサイズを示すコンテナ種別コード、収容図書31のサイズを表わす図書サイズ識別コード、コンテナ12の図書充填率、コンテナ12に収容されている全図書31の図書コードからなる。
【0064】
コンテナ番号は、全てのコンテナ12に対して一連番号として付けられる固有の番号であり、バーコードラベル12cとしてコンテナ12の本体側面に貼られる。ステーション32のバーコードリーダで読み取ることにより、書庫から取り出されたコンテナ12の到着を知ることができる。
【0065】
図11(a)は、待機棚ロケーションマスタを示している。この待機棚ロケーションマスタは、棚44a,44b単位で作成される。すなわち、コンテナ待機棚44のコンテナ12の保管場所を示すロケーションと、、そこにあるコンテナ12のコンテナ番号とから構成される。
【0066】
コンテナ番号には、その時点で保管されている場合は、実保管フラグがセットされる。実保管フラグがセットされていないコンテナ番号は、書庫から出庫途中のコンテナ分、または、ステーション32にあり、他の予約番号でも利用するためステーション32から再び戻されるコンテナ分であって、その時点ではないとしても確保しておくべき収容場所を示している。
【0067】
コンテナ待機棚44の空き数は、実保管かどうかに関係なく、コンテナ番号の記載されていないロケーション数となる。なお、コンテナ12の両側を使用するときは、最初に使用する側のコンテナ番号が記憶される。反対側を利用することは、図書貸し出し情報に記憶されている。
【0068】
図11(b)は、書庫ロケーションマスタを示している。この書庫ロケーションマスタは、書棚11a?11f単位で作成される。すなわち、書庫内の書棚11a?11fのコンテナ保管場所を示すロケーションと、そのロケーションが付された書棚11a?11fの大きさを示す棚領域区分コードと、そこに保管されているコンテナ12のコンテナ番号と、そのコンテナ種別コードとで構成される。」(段落【0043】ないし【0068】)

c)「【0069】
上記のような構成となされた図書保管管理システムにおいて、以下、図12?図15に示すフローチャートを参照して、その動作を説明する。まず、処理が開始されると、ステップS1で、貸し出しを受ける利用者は、図書館システムサーバ46に接続された図書検索端末47により、利用者カードを用いて利用者コードを登録してから図書検索を実行する。
【0070】
ステップS2で、図書検索の確定をすると、図16に示すような図書予約票が発行される。この図書予約票には、図書名、図書コード、予約番号、予約時間及び図書受け渡し場所が記載されている。図16に示す例では、予約番号が13で、3冊の貸し出し予約となっている。
【0071】
ステップS3で、予約番号、利用者コード及び図書コードが図書貸し出し情報として図書館システムサーバ46から書庫システムサーバ48に伝送される。
【0072】
ステップS4で、図書館システムサーバ46に図書貸し出し情報が予約番号単位でグループ化されて記憶される。該当図書31の図書マスタから、その図書31の収容されているコンテナ12のコンテナ番号が検索され、追加して記憶される。
【0073】
ステップS5で、図書貸し出し情報の進捗情報の中の書庫から出庫開始フラグのない、一番若い番号の予約番号を対象に制御が始まる。この処理が始まると、処理に入った予約番号と対応する進捗情報の中の書庫から出庫開始フラグをセットする。そして、コンテナ待機棚44及びステーション(フローチャートではブースという)32に、この予約番号で使用するコンテナ12と同じコンテナ12があるか否か、他の図書貸し出し情報を検索する。
【0074】
コンテナ待機棚44及びステーション32に、この予約番号で使用するコンテナ12と同じコンテナ12がある場合(YES)には、ステップS6で、該当する相手の図書貸し出し情報にあるコンテナ番号の引き当て情報をセットする。引き当て対象のコンテナ12は、その他の予約番号からも引き当てられたときは、引き当て情報に引き当て数も記憶される。また、同じ予約番号で同一のコンテナ12である2列両側のコンテナ番号に貸し出し図書があるときは、その予約番号の図書貸し出し情報に両方のコンテナ番号が記憶されているので、引き当て情報をセットする必要はなくなる。つまり、コンテナ番号が異なっても、反対側の例の番号を対象にするときは、存在するコンテナ番号を引き当てることで制御することができる。
【0075】
このように、他の予約番号で使用するコンテナ12を引き当てて使用することになったが、ステップS7で、それ以外に書庫から出庫するコンテナ12があるか否かを判断する。
【0076】
書庫から出庫するコンテナ12がない場合(NO)には、ステップS8で、待機棚ロケーションマスタの該当コンテナ番号の実保管により、引き当てコンテナ12が全てコンテナ待機棚44にあるか否かを判断する。コンテナ待機棚44にない引き当てコンテナ12がある場合(NO)には、その全てがコンテナ待機棚44に実保管されるまで待ち状態となる。
【0077】
他の予約番号のコンテナ12を利用することを引き当てたコンテナ12の全てがコンテナ待機棚44に実保管された場合(YES)には、ステップS9で、空きステーション32があるか否かを判断し、ない場合(NO)には、空きが生じるまで待ち状態となる。
【0078】
空きステーション32が発生した場合(YES)には、ステップS10で、図書貸し出し情報の進捗情報の中の取り出し準備完了フラグをセットする。利用者にステーション32の利用許可を与え、各ステーション32の利用状況を示すモニタ33によって、図17に示すように、予約番号13の利用者の入室を促す。この例では、予約番号13の利用者は、番号1か4のステーション32に入室することができる。今、番号1のステーション32に入るものとする。また、モニタ33によってステーション32に入室を促した時刻を、図書貸し出し情報の準備完了時刻に記録する。ここでは、その時刻を13時55分とする。
【0079】
一方、上記ステップS5で他の予約番号分に引き当たるコンテナ12が全く存在しない場合(NO)、または、上記ステップS7で書庫から出庫するコンテナ12がある場合(YES)には、ステップS11で、コンテナ待機棚44に空きがあるか否かを待機棚ロケーションマスタを参照して判断する。待機棚ロケーションマスタには、実保管されているコンテナ12のコンテナ番号と、現在はないがステーション32から戻って保管されるコンテナ12のコンテナ番号とが記憶されているので、コンテナ番号の記憶されていないロケーションが空きのある待機棚となる。コンテナ待機棚44に空きがない場合(NO)には、空きが生じるまで待ち状態となる。
【0080】
コンテナ待機棚44に空きがある場合(YES)には、ステップS12で、図書貸し出し情報のコンテナ番号から書庫のロケーションを書庫ロケーションマスタで検索し、スタッカークレーン13に出庫命令として与える。コンテナ番号は、待機棚ロケーションマスタに記憶される。この登録は、コンテナ12がステーション32で利用完了した時点で、他の予約番号に引き当てられていないと判断されるまで継続される。
【0081】
ステップS13で、ステップS12で書庫から出庫開始されたコンテナ12以外のコンテナ12は全てコンテナ待機棚44に実保管されていて、書庫からコンテナ12が出庫されれば準備完了となるか否かを判断する。ただし、対象コンテナ12の数が1個だけのときは、コンテナ待機棚44のコンテナ収容状態は関係ない。
【0082】
書庫からコンテナ12が出庫されれば準備完了となる場合(YES)には、ステップS14で、上記ステップS10と同様の処理が行なわれる。すなわち、利用者にステーション32の利用許可を与える。このようにすることにより、書庫から出庫開始されたコンテナ12がステーション32に到着するまでの搬送時間を有効に利用することができる。
【0083】
ステップS15で、書庫から出庫されたコンテナ12が垂直搬送機17と接続された搬送コンベア20に到着したとき、利用者が利用者カードを登録しているか否か、つまり、ステーション32の番号が決定しているか否かを判断する。ステーション32の利用が許可されて、利用状況を示すモニタ33で空きステーション32を案内された利用者は、そのステーション32のステーション端末機35の入力タッチパネル式モニタにより、図18(a)に示すように、利用者カードをカードリーダ38に読み取らせるように案内される。これにより、利用者カードが登録されることになる。登録すると、図18(b)に示す画面により、コンテナ数を知り、その到着を待つことになる。登録すると、図書貸し出し情報の進捗情報の中の利用者コード登録フラグがセットされ、ステーションNo.に記憶される。今、予約番号13は、ステーションNo.1と決定されたことになる。利用状況を示すモニタ33は、No.1のステーション32を利用中に切り替える。
【0084】
上記ステップS13で書庫からコンテナ12が出庫されても準備完了とならない場合(NO)、または、上記ステップS15でステーション32の番号が決定していない、つまり、ステーション32にコンテナ12を搬送できない場合(NO)には、ステップS16で、書庫から出庫したコンテナ12をステップS12で決めた待機棚ロケーションで示すコンテナ待機棚44に搬送する。
【0085】
ステップS17で、さらに書庫から出庫すべきコンテナ12があるか否かを判断する。
【0086】
ある場合(YES)には、上記ステップS11の判断を経てコンテナ待機棚44に空きがある場合、上記ステップS12により書庫からの出庫を実行する。
【0087】
上記ステップS17で書庫から出庫すべきコンテナ12がない場合(NO)には、ステップS18で、書庫からの未出庫コンテナ12がないが、既にステーション32の利用許可がなされているか否かを判断する。利用許可がなされている場合(YES)には、全てのコンテナ12がコンテナ待機棚44に揃ったことになるので、ステップS19で、利用者コードが登録されているか否かを判断する。すなわち、利用者登録待ち状態に入る。利用許可がなされていない場合(NO)には、コンテナ待機棚44に実保管されていない引き当てコンテナ12があることになるので、上記ステップS8に移行し全てのコンテナ12がコンテナ待機棚44に実保管されるまで待ち状態となる。
【0088】
上記ステップS19で利用者コードが登録されていない場合(NO)には、ステップS20で、ステーション32の利用許可を出した後、利用者コードの登録がないまま一定時間が経過したか否かを判断する。一定時間が経過していない場合(NO)には、ステップS19で利用者コードの登録待ち状態となる。
【0089】
そして、一定時間が経過した場合(YES)には、ステップS21で、そのステーション32の利用許可の取り消し処理を実行する。つまり、利用状況を示すモニタ33から予約番号13を消去する。これは、コンテナ12が準備完了しても、一定時間内に利用者コードの登録がないときは、予約取り消し処理を行なっている。この処理は、後番の利用者の迷惑を排除することを意図している。すなわち、貸し出し処理は、コンテナ12の重複利用時に少し前後することはあるとしても、また、予約順を狂わしてのステーション32の利用は可能であるとしても、原則として、予約番号順に行なわれるのであるから、遅滞者分のコンテナ12がコンテナ待機棚44に長時間滞留することは他者の迷惑になるとの理由がある。一定時間、例えば10分間の猶予時間を監視する。先の例では、13時55分に案内表示を開始したので、14時5分に予約取り消し処理が実行される。
【0090】
ステップS22で、対象とするコンテナ12が後番の予約番号で引き当てられているか否かを判断する。この判断は、後番の予約番号である図書貸し出し情報に同じコンテナ番号があり、かつ、引き当て情報フラグのセットを検索して行なうことができる。
【0091】
対象とするコンテナ12が後番の予約番号で引き当てられていない場合(NO)には、ステップS23で、そのコンテナ12を書庫に戻す作業が実行される。
【0092】
このステップS23の後、または、上記ステップS22で対象とするコンテナ12が後番の予約番号で引き当てられている場合(YES)には、ステップS24で、そのコンテナ12をコンテナ待機棚44に留め、予約番号13の図書貸し出し情報にある全てのコンテナ12に対してステップS22の判断を行ない、全てのコンテナ12に対して判断が完了した場合(YES)には、予約番号13の取り消し処理を終了する。全てのコンテナ12に対して判断が完了していない場合(NO)には、ステップS22の処理に移行され、判断が続けられる。
【0093】
上記ステップS15またはステップS19で利用者コードが登録されている場合(YES)には、ステップS25で、垂直搬送機17と接続された搬送コンベア20から直接、または、コンテナ待機棚44から、コンテナ12のステーション32への搬送が開始される。
【0094】
利用者登録操作を終わった利用者は、ステーション端末機35の入力タッチパネル式モニタにより、図18(b)に示すように、コンテナ12の数、この例では2つあることを知らされている。ステップS26で、ステーション32にコンテナ12が到着すると、入力タッチパネル式モニタの画面は、図18(c)または(e)のように切り替わる。図書貸し出し情報の進捗情報の中のブース取り出し中フラグをセットする。
【0095】
ステップS27で、複数のコンテナ12から図書31の取り出しが行なわれる場合、ステーション32に保持されているコンテナ12が最後のコンテナ12であるか否かを判別する。最初のコンテナ12がステーション32に到着したとき、入力タッチパネル式モニタの画面は、図18(c)のようになり、最後のコンテナ12または最初からコンテナ数が1個の場合は、そのコンテナ12がステーション32に到着したとき、入力タッチパネル式モニタの画面は、図18(e)のようになる。
【0096】
最後のコンテナ12である場合(YES)、ステップS28で、図18(e)の画面に表示された書名に基づいて図書31を取り出し、「終了」の項目をタッチする。入力タッチパネル式モニタの画面は、図18(f)のようになり、プリンタ37で図19に示すような図書貸し出し票が発行される。
【0097】
上記ステップS27で最後のコンテナ12でない場合(NO)には、ステップS29で、図18(c)の画面に表示された書名に基づいて図書31を取り出し、「次の図書」の項目をタッチする。入力タッチパネル式モニタの画面は、図18(d)のように切り替わる。
【0098】
上記ステップS28またはS29の後、図書31を取り出されたコンテナ12は、ステーション32から搬出されるが、ステップS30で、上記ステップS22と同じ判断がなされる。すなわち、対象とするコンテナ12が後番の予約番号で引き当てられているか否かを判断する。この判断は、後番の予約番号である図書貸し出し情報から引き当て情報フラグのセットされたコンテナ番号を検索して行なうことができる。
【0099】
対象とするコンテナ12が後番の予約番号で引き当てられている場合(YES)には、ステップS31で、そのコンテナ12をコンテナ待機棚44に戻す。この場合、引き当てコンテナ番号が今利用したコンテナ番号の反対側の番号であるときは、コンテナ12を回転させてからコンテナ待機棚44に保管させるようにしても良い。これは、その時点での走行式移載台車41の作業量で制御することになる。
【0100】
上記ステップS30で対象とするコンテナ12が後番の予約番号で引き当てられていない場合(NO)には、ステップS32で、そのコンテナ12を書庫に戻す作業が実行される。
【0101】
ステップS33で、次のコンテナ12があるか否かを判断する。
【0102】
次のコンテナ12がある場合(YES)、つまり、上記ステップS29で「次の図書」の項目のタッチ操作が行なわれた場合には、ステップS34で、次のコンテナ12をコンテナ待機棚44からステーション32まで搬送する。このとき、次のコンテナ番号が今使用したコンテナ12の反対側、つまり、コンテナ12としては同じであるが反対側の列に付されたコンテナ番号であるときには、コンテナ12を移載した走行式移載台車41は、回転台43の前面に進み、コンテナ12を回転台43に移載して180度回転させてから、再びステーション32に搬送するように制御する。以後、上記ステップS26の処理に移行される。
【0103】
上記ステップS33で次のコンテナ12がない場合(NO)、つまり、上記ステップS28で「終了」の項目のタッチ操作が行なわれた場合には、ステップS35で、図18(f)のような入力タッチパネル式モニタの画面の案内に基づいて、利用者は、プリンタ37で発行された図19に示すような図書貸し出し票を受領した後、ステーション32から退室する。図書貸し出し情報の進捗情報の中の取り出し完了フラグがセットされて、利用状況を示すモニタ33のステーションNo.1は空きなる。
【0104】
上記ステップS35の後、または、上記ステップS24で予約番号13の全コンテナ12に対して予約取り消し処理が終了した場合(YES)には、ステップS36で、書庫システムサーバ38から、処理中に記憶された情報を加えた図書貸し出し情報を図書貸し出し実績情報として図書館システムサーバ46に伝送して、全ての処理を終了する。
【0105】
なお、上記ステップS20以降において、取り消された予約番号については、図書貸し出し情報の進捗情報の中の取り出し完了フラグがセットされていないので、図書館システムサーバ46は、キャンセル情報として取り扱うことになる。」(段落【0069】ないし【0105】)

(2)上記(1)及び図面の記載から分かること
a)上記(1)a)及びb)並びに図1ないし11の記載(特に、段落【0018】、【0043】及び【0069】並びに図1及び8の記載)によれば、引用刊行物には、図書保管管理システムが記載されていることが分かる。

b)上記(1)a)並びに図1及び2の記載(特に、段落【0018】及び【0019】並びに図1及び2の記載)によれば、図書保管管理システムにおいて、複数の図書を収容した複数のコンテナ12が書庫に保管されることが分かる。

c)上記(1)a)及びb)並びに図2の記載(特に、段落【0028】、【0032】、【0050】、【0060】及び【0064】並びに図2の記載)によれば、図書保管管理システムにおいて、複数のコンテナ12には、各コンテナ12を識別可能なコンテナ番号が付与されることが分かる。

d)上記(1)a)、b)並びに図1ないし8の記載(特に、段落【0020】ないし【0026】及び【0043】ないし【0054】並びに図1ないし8の記載)によれば、図書保管管理システムにおいて、図書管理システムサーバ46、図書検索端末47、書庫システムサーバ48、ステーション端末機35及び統括制御盤49等を含む制御システムの指令に基づき、書庫に保管されている複数のコンテナ12の中から、貸し出しまたは返却作業の対象となる目的の図書を収容するコンテナ12を前記書庫から取り出して搬送コンベア15、29及び垂直搬送機17により職員用ステーション45に搬送するとともに、該コンテナ12を図書の貸し出しまたは返却作業後に前記職員用ステーション45から前記書庫に搬送することが分かる。

e)上記(1)a)及びb)並びに図1ないし8の記載(特に、段落【0028】、【0032】、【0050】、【0060】及び【0064】並びに図2の記載)によれば、図書保管管理システムの制御システムにおいて、コンテナ12のコンテナ番号をバーコードリーダで読み取ることが分かる。
また、上記(1)b)及び図9ないし11の記載(特に、段落【0055】ないし【0068】及び図9ないし11の記載)を合わせみると、コンテナ番号は、図書貸出情報と、図書マスタ、コンテナマスタ、待機棚ロケーションマスタ及び書庫ロケーションマスタの4つマスタとに記憶されて図書の保管管理に用いられており、図書保管管理システムの制御システムにおいて、コンテナ番号をバーコードリーダにより読み取ることで、コンテナ番号を受け付けていることが分かる。
そうすると、上記(1)a)及びb)並びに図1ないし11の記載によれば、図書保管管理システムの制御システムは、搬送対象のコンテナ12のコンテナ番号を受付けるバーコードリーダによる受付手段を備えることが分かる。

f)上記(1)b)及びc)並びに図1ないし11の記載(特に、段落【0043】ないし【0055】及び【0080】並びに図8ないし11の記載)を上記e)とあわせてみると、図書保管管理システムの制御システムは、バーコードリーダによる受付手段にて受付けたコンテナ番号が付与されたコンテナ12を搬送経路に沿って搬送させる書庫システムサーバ48、統括制御盤49、ステーション搬送機制御盤50、入出庫搬送機制御盤51、垂直搬送機制御盤52及びスタッカークレーン地上盤53等を備えることが分かる。

g)上記(1)b)及び図1ないし8の記載(特に、段落【0048】及び【0049】及び図3ないし8の記載)によれば、図書保管管理システムの制御システムは、ステーション端末機35のモニタを備えることが分かる。

h)上記(1)a)並びに図1及び6の記載(特に、段落【0029】、【0042】及び【0048】並びに図1及び6の記載)によれば、図書保管管理システムにおいて、職員用ステーション45は、1階ステーションユニット21と2階ステーションユニット23のそれぞれに設けられるから、複数台設けられることが分かる。

(3)引用発明
上記(1)及び(2)並びに図面を総合して、本願補正発明の表現に倣って整理すると、引用刊行物には、次の事項からなる発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認める。
「複数の図書を収容した複数のコンテナ12が書庫に保管され、該複数のコンテナ12には、各コンテナ12を識別可能なコンテナ番号が付与されており、図書管理システムサーバ46、図書検索端末47、書庫システムサーバ48、ステーション端末機35及び統括制御盤49等を含む制御システムの指令に基づき、前記書庫に保管されている前記複数のコンテナ12の中から、貸し出しまたは返却作業の対象となる目的の図書を収容するコンテナ12を前記書庫から取り出して搬送コンベア15、29及び垂直搬送機17により職員用ステーション45に搬送するとともに、該コンテナ12を図書の貸し出しまたは返却作業後に前記職員用ステーション45から前記書庫に搬送する図書保管管理システムであって、
前記制御システムは、搬送対象のコンテナ12のコンテナ番号を受付けるバーコードリーダによる受付手段と、該バーコードリーダによる受付手段にて受付けたコンテナ番号が付与されたコンテナ12を搬送経路に沿って搬送させる書庫システムサーバ48、統括制御盤49、ステーション搬送機制御盤50、入出庫搬送機制御盤51、垂直搬送機制御盤52及びスタッカークレーン地上盤53等と、ステーション端末機35のモニタと、を備え、
前記職員用ステーション45は複数台設けられた図書保管管理システム。」

3.対比
本願補正発明(以下、「前者」ともいう。)と引用発明(以下、「後者」ともいう。)とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
・後者における「コンテナ12」は、前者における「コンテナ」に相当し、以下同様に、「コンテナ番号」は「コンテナ識別情報」に、「図書管理システムサーバ46、図書検索端末47、書庫システムサーバ48、ステーション端末機35及び統括制御盤49等を含む制御システム」又は「制御システム」は「管理装置」に、「搬送コンベア15、29」は「コンベア」に、「垂直搬送機17」は「エレベータ」に、「職員用ステーション45」は「ステーション」に、「図書保管管理システム」は「図書保管管理システム」に、「バーコードリーダによる受付手段」は「コンテナ識別情報受付手段」に、「書庫システムサーバ48、統括制御盤49、ステーション搬送機制御盤50、入出庫搬送機制御盤51、垂直搬送機制御盤52及びスタッカークレーン地上盤53等」は「搬送制御手段」に、「ステーション端末機35のモニタ」は「表示手段」に、それぞれ相当する。

・後者における「制御システム」が、「ステーション端末機35のモニタ」を備えることは、前者における「管理装置」が、「コンテナ位置取得手段にて取得したコンテナ位置に基づいて前記搬送対象のコンテナの搬送状況を表示する表示手段」を備え、「前記コンテナ位置取得手段が取得した情報に基づいて、前記コンテナ識別情報が付与されたコンテナが複数の前記ステーションのいずれかに対応するかを判断して、対応する前記ステーションの前記表示手段に、該コンテナが前記搬送経路の前記書庫、前記コンベア、前記エレベータ及び前記ステーションのうちいずれの領域に位置するかという位置情報を表示させる」ことに、「管理装置」が、「表示手段」を備えるという限りにおいて一致する。

したがって、両者は、
「複数の図書を収容した複数のコンテナが書庫に保管され、該複数のコンテナには、各コンテナを識別可能なコンテナ識別情報が付与されており、管理装置の指令に基づき、前記書庫に保管されている前記複数のコンテナの中から、貸し出しまたは返却作業の対象となる目的の図書を収容するコンテナを前記書庫から取り出してコンベア及びエレベータによりステーションに搬送するとともに、該コンテナを図書の貸し出しまたは返却作業後に前記ステーションから前記書庫に搬送する図書保管管理システムであって、
前記管理装置は、搬送対象のコンテナのコンテナ識別情報を受付けるコンテナ識別情報受付手段と、該コンテナ識別情報受付手段にて受付けたコンテナ識別情報が付与されたコンテナを搬送経路に沿って搬送させる搬送制御手段と、表示手段と、を備え、
前記ステーションは複数台設けられた図書保管管理システム。」の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]
本願補正発明においては、「管理装置」は「搬送中のコンテナの搬送経路における現在位置を取得するコンテナ位置取得手段」を備え、「前記コンテナ位置取得手段は、前記搬送経路に複数設けられたコンテナ識別情報受付手段を具備し」、「前記コンテナ位置取得手段は、前記搬送経路に複数設けられた各コンテナ識別情報受付手段により取得されたコンテナ識別情報を基に、該コンテナ識別情報が付与されたコンテナの現在位置を取得」するのに対して、引用発明においては、そのような構成を備えるか否か不明である点(以下、「相違点1」という。)。

[相違点2]
「管理装置」が、「表示手段」を備えることに関し、本願補正発明においては、「管理装置」が、「コンテナ位置取得手段にて取得したコンテナ位置に基づいて前記搬送対象のコンテナの搬送状況を表示する表示手段」を備え、「前記コンテナ位置取得手段が取得した情報に基づいて、前記コンテナ識別情報が付与されたコンテナが複数の前記ステーションのいずれかに対応するかを判断して、対応する前記ステーションの前記表示手段に、該コンテナが前記搬送経路の前記書庫、前記コンベア、前記エレベータ及び前記ステーションのうちいずれの領域に位置するかという位置情報を表示させる」のに対して、引用発明においては、「制御システム」が「ステーション端末機35のモニタ」を備えるものの、制御システムによりステーション端末機35のモニタにどのような情報を表示させるのか不明である点(以下、「相違点2」という。)。

4.判断
上記相違点1及び2について検討する。
物品の保管管理システムにおいて、パレットやコンテナ等の保管庫の保管箇所に物品を格納したり、保管庫の保管箇所と入出庫箇所との間で物品を搬送するための用具(以下、「搬送用具」という。)を搬送する際、搬送用具の位置に基づいて搬送用具の搬送状況を表示する入出庫箇所の表示手段に搬送経路の複数領域のいずれの領域に位置するかという位置情報を表示することにより、搬送用具の搬送の際に、利用者の苛立ち感や不安感の低減を図ることは、本件出願前に周知の技術(以下、「周知技術1」という。必要であれば、実願昭61-166321号(実開昭63-72700号)のマイクロフィルム(特に、明細書5ページ12行ないし6ページ9行、7ページ1行ないし10ページ15行及び11ページ3ないし7行並びに第1ないし4図)及び実願昭62-185669号(実開平1-89556号)のマイクロフィルム(特に、明細書5ページ16行ないし8ページ5行及び8ページ12行ないし9ページ4行並びに第1ないし4図)を参照。)である。
一方、引用刊行物の図18(b)における、ステーション32のステーション端末機35のモニタに表示されるコンテナ12の到着前における画面において、「しばらく、お待ち下さい」というメッセージが含まれることから理解できるように、引用発明においても、職員ステーション45へのコンテナの出庫の際に職員の苛立ち感や不安感の低減を図ることは、内在する課題といえるから、引用発明に周知技術1を適用することは、当業者が容易に想到し得たことである。
また、搬送物の搬送状況を表示するものにおいて、搬送経路に複数設けられた搬送物の検知手段より取得した搬送物の位置情報を基に、搬送物の現在位置を取得する搬送物の位置取得手段を備えることは、本件出願前に周知の技術(以下、「周知技術2」という。必要であれば、実願昭61-166321号(実開昭63-72700号)のマイクロフィルム(特に、明細書5ページ12行ないし6ページ9行及び7ページ1行ないし10ページ15行並びに第1ないし4図)及び国際公開第2004/108347号(特に、5ページ19行ないし6ページ9行及び15ページ18行ないし16ページ13行並びに第16図)を参照。)であるとともに、搬送物の位置情報を取得する搬送物の検知手段を、バーコードリーダー等による搬送物の識別情報受付手段で構成することは、本件出願前に周知の技術(以下、「周知技術3」という。必要であれば、国際公開第2004/108347号(特に、5ページ19行ないし6ページ9行及び15ページ18行ないし16ページ13行並びに第16図)及び引用刊行物(特に、段落【0064】)を参照。)である。
そうすると、引用発明において、周知技術1とともに周知技術1に関連する周知技術2及び3を適用して、制御システム(本願補正発明の「管理装置」に相当。括弧内、以下同様。)は搬送中のコンテナ12(コンテナ)の搬送経路における現在位置を取得するコンテナ12の位置取得手段(コンテナ位置取得手段)を備え、前記コンテナ12の位置取得手段は、前記搬送経路に複数設けられたバーコードリーダーによる受付手段(コンテナ識別情報受付手段)を具備し、前記コンテナ12の位置取得手段は、前記搬送経路に複数設けられた各バーコードリーダーによる受付手段により取得されたコンテナ番号(コンテナ識別情報)を基に、該コンテナ番号が付与されたコンテナ12の現在位置を取得するように構成すること、すなわち、上記相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者が適宜なし得たことである。
ところで、所定箇所から搬送物を複数のステーション等の搬出箇所に選択的に搬送する際の搬送物の搬送状況を表示するものにおいて、搬送物の対応するステーション等の搬出箇所の表示手段に搬送物の搬送状況を表示することは、本件出願前に周知の技術(以下、「周知技術4」という。必要であれば、特開平10-218306号公報(特に、段落【0010】、【0011】、【0054】ないし【0056】及び【0065】並びに図1)及び引用刊行物(特に、段落【0064】、【0094】及び【0095】並びに図18)を参照。)である。
そして、引用発明において、「書庫システムサーバ48、統括制御盤49、ステーション搬送機制御盤50、入出庫搬送機制御盤51、垂直搬送機制御盤52及びスタッカークレーン地上盤53等」によりコンテナ番号が付与されたコンテナ12を対応する職員用ステーション45に対して搬送経路に沿って搬送することになるのであるから、コンテナ番号が付与されたコンテナ12が複数の職員用ステーション45のいずれに対応するかを判断していることは明らかであり、引用発明に周知技術1とともに周知技術4を適用することにより、コンテナ番号が付与されたコンテナ12が複数の職員ステーション45のいずれかに対応するかを判断して、対応する職員ステーション45のステーション端末機35のモニタに、該コンテナ12の搬送状況を表示させることは、当業者が容易に想到し得ることである。
また、搬送物の搬送状況を表示するものにおいて、搬送物を搬送経路上のどの機器に位置しているのかを認識できる程度に、表示手段に搬送物が搬送経路のいずれの領域に位置するかという位置情報を表示することは、本件出願前に周知の技術(以下、「周知技術5」という。必要であれば、特開昭51-135076号公報(特に、1ページ右下欄1ないし5行及び2ページ右下欄4行ないし3ページ右上欄8行並びに第2図)及び国際公開第2004/108347号(特に、5ページ19行ないし6ページ9行及び15ページ18行ないし16ページ13行並びに第16図)を参照。)であり、引用発明に周知技術1とともに周知技術5を適用することにより、職員ステーション45のステーション端末機35のモニタに、コンテナ12が搬送経路の書庫、搬送コンベア15、29、垂直搬送機17及び職員ステーション45のうちいずれの領域に位置するかという位置情報を表示させることは、当業者が適宜なし得ることである。
以上を総合すると、引用発明において、周知技術1とともに周知技術1に関連する周知技術2及び3を適用し、その際に周知技術1に関連する周知技術4及び5を適用して、制御システム(本願補正発明の「管理装置」に相当。括弧内、以下同様。)は、コンテナ12の位置取得手段(コンテナ位置取得手段)にて取得したコンテナ12(コンテナ)の位置に基づいて搬送対象のコンテナ12の搬送状況を表示するステーション端末機35のモニタ(表示手段)を備え、前記コンテナ12の位置取得手段が取得した情報に基づいて、コンテナ番号(コンテナ識別情報)が付与されたコンテナ12が複数の職員用ステーション45のいずれかに対応するかを判断して、対応する前記職員用ステーション45のステーション端末機35のモニタに、該コンテナ12が搬送経路の書庫、搬送コンベア15、29(コンベア)、垂直搬送機17(エレベータ)及び前記職員用ステーション45のうちいずれの領域に位置するかという位置情報を表示させるように構成すること、すなわち、上記相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。

そして、本願補正発明は、全体としてみても、引用発明及び周知技術1ないし5から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。

5.まとめ
したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術1ないし5に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

〔4〕むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、[補正の却下の決定の結論]のとおり決定する。


第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本件出願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成26年8月21日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、前記第2[理由]〔1〕(A)の【請求項1】に示したとおりのものである。

2.刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された引用刊行物及びその記載事項、並びに、引用発明は、前記第2[理由]〔3〕2.に記載したとおりである。

3.対比・判断
本願発明は、前記第2[理由]〔3〕で検討した本願補正発明において、「前記コンテナ位置取得手段は、前記搬送経路に複数設けられたコンテナ識別情報受付手段を具備し、
前記ステーションは複数台設けられ、
前記コンテナ位置取得手段は、前記搬送経路に複数設けられた各コンテナ識別情報受付手段により取得されたコンテナ識別情報を基に、該コンテナ識別情報が付与されたコンテナの現在位置を取得し、
前記管理装置は、前記コンテナ位置取得手段が取得した情報に基づいて、前記コンテナ識別情報が付与されたコンテナが複数の前記ステーションのいずれかに対応するかを判断して、対応する前記ステーションの前記表示手段に、該コンテナが前記搬送経路の前記書庫、前記コンベア、前記エレベータ及び前記ステーションのうちいずれの領域に位置するかという位置情報を表示させる」という発明特定事項について、「前記表示手段は、前記搬送対象のコンテナの搬送状況の表示を前記搬送経路における前記書庫、前記コンベア、前記エレベータ及び前記ステーションの領域毎に行う」とし、「表示手段」による表示の態様について上位概念化したものに相当する。
そうすると、本願発明において、「表示手段」による表示の態様について限定したものに相当する本願補正発明が、前記第2[理由]〔3〕に記載したとおり、引用発明及び周知技術1ないし5に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知技術1ないし5に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

4.むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本件出願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-12-11 
結審通知日 2015-12-15 
審決日 2015-12-28 
出願番号 特願2010-180516(P2010-180516)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B65G)
P 1 8・ 575- Z (B65G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中島 慎一  
特許庁審判長 伊藤 元人
特許庁審判官 槙原 進
金澤 俊郎
発明の名称 図書保管管理システム  
代理人 秋庭 英樹  
代理人 堅田 多恵子  
代理人 高木 祐一  
代理人 重信 和男  
代理人 清水 英雄  
代理人 林 道広  
代理人 溝渕 良一  

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