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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04J
管理番号 1311443
審判番号 不服2014-25912  
総通号数 196 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-12-18 
確定日 2016-02-24 
事件の表示 特願2012-525646「無線通信におけるMIMO関連シグナリング」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 2月24日国際公開、WO2011/022417、平成25年 1月24日国内公表、特表2013-502835〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯・本願発明
本願は,2010年8月17日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2009年8月17日 米国,2010年8月9日 米国)を国際出願日とする出願であって,平成26年8月12日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年12月18日に拒絶査定に対する審判請求がなされ,同年12月26日付けで手続補正指令書(方式)が通知され,平成27年1月23日に平成26年12月18日に提出した審判請求書を補正する手続補正書が提出されたものである。


その請求項1に係る発明は,明細書,特許請求の範囲及び図面の記載からみて,平成26年3月3日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める(以下,「本願発明」という。)。
「【請求項1】
無線通信のための方法であって,
ダウンリンク制御チャネルに関連付けられた信号を,ユーザ機器(UE)によって受信することと,ここで,前記信号は,UE特有の情報を備え,前記情報は,少なくとも,前記UEのランクを示す,
前記情報に基づいて,複数のUE特有の基準信号(RS)パターンから,UE特有のRSパターンを選択することと,を備える方法。」


2 引用発明,技術常識及び周知事項
[引用発明]
原査定の拒絶の理由に引用された「Research In Motion, UK Limited,Control Signal Design for Rel-9 Dual-layer BF Transmission([当審仮訳]:Rel-9デュアルレイヤBF(ビームフォーミング)送信のための制御信号デザイン)[online],3GPP TSG RAN WG1 Meeting #57bis R1-092412,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_57b/Docs/R1-092412.zip>,2009年 6月29日」(以下,「引用例」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。

(1)「In dual-layer BF system, it was agreed to adopt DRS for the demodulation. That means the RS transmitted on each beam will experience the same beamforming operation as the data transmitted on that particular beam. It is further agreed that the DRS on each beam are orthogonal to each other. As shown in the example of エラー! 参照元が見つかりません。, 12 DRS could be allocated in one PRB pair, 6 of them will be transmitted on layer #1 (beam) and 6 will be transmitted on layer #2 (beam). DRS for different beams are FDM multiplexed.

Figure 3: An example of DRS allocation for dual-layer BF

The flexibility in transmission configurations in Rel-9 would require corresponding control signaling design. For the first two transmission configurations described here, as both beams are transmitted to the same UE, a similar DCI format as Rel-8 could be used, which will include transmit rank information (TRI). The UE could then find the corresponding DRS for demodulation on each beam. For the third configuration, however, which is a new MU-MIMO transmission, the situation could be different. In such configuration, as two different beams are transmitted to two UEs, each UE will receive a different beam. If only TRI is signaled to the UE, the UE won’t know which beam it is receiving and therefore will not know the location of the corresponding DRS for demodulation. This issue could also be looked at from another angle. As DRS port on each beam is different and they are orthogonal to each other, if each UE receives a different beam, that means they should be informed of the corresponding DRS port on that beam for demodulation. As two beams or two DRS ports could be transmitted in dual-layer BF system, 1-bit signaling could be needed to indicate the beam index or DRS port in the DCI format.」(第4ページ第1行-第5ページ第2行)
([当審仮訳]:
デュアルレイヤBFシステムにおいて,復調のためにDRS(専用参照信号)を採用することが合意された。それは,各ビームにおいて送信されるRS(参照信号)が,個別のビームにおいて送信されるデータと同じビームフォーミング操作を経験することを意味する。加えて,各ビームのDRSは互いに直交することも合意された。「エラー! 参照元が見つかりません。」の例に見られるように,1つのPRB(物理リソースブロック)ペアに12のDRSが配置され,このうち6はレイヤ#1(ビーム)で送信され,6はレイヤ#2(ビーム)で送信される。異なるビームのDRSはFDM多重される。

(Figure 3は省略)
図3:デュアルレイヤBFのためのDRS割当ての例

Rel-9の送信構成における柔軟性は,対応する制御シグナリングデザインを必要とする。ここに記述される最初の2つの送信構成では,両方のビームが同じUE(ユーザ機器)に送信されるので,送信ランク情報(TRI)を含むRel-8と類似のDCIフォーマットを使うことができる。その時UEは各ビームにおける復調のための対応するDRSを発見することができる。しかしながら,新しいMU-MIMO送信である3番目の送信構成では,状況は異なり得る。そのような構成では,2つの異なるビームが2つのUEに送信されるので,各UEは異なるビームを受信する。もしTRIのみがUEにシグナリングされるなら,UEは自身がどちらのビームを受信しているのかを知ることができず,それゆえに,復調のための対応するDRSの配置を知ることができないだろう。この問題は別の角度からも見られ得る。各ビームのDRSポートは異なっておりかつそれらは互いに直交しているので,もし各UEが異なるビームを受信するならば,それはそれらがそのビームにおいて復調のために対応するポートを通知されるべきであることを意味する。2つのビーム又は2つのDRSポートはデュアルレイヤBFシステムにおいて送信され得るので,ビームインデックス又はDRSポートを表示するために,DCIフォーマットにおける1ビットシグナリングが必要とされ得る。)


(2)「As analyzed before, to accommodate all the transmission configurations proposed for dual-layer BF, the index of transmission beam instead of transmission rank should be signaled to the UE. To achieve such goal, a simple signaling design shown in Table 1 could be used, where a 2-bit bitmap of beam index is used to indicate which beam is transmitted to the UE. The benefit of such signaling could come from several aspects:

1.It explicitly signals to each UE the beam(s) being used for its PDSCH transmission
2.It implicitly signals the rank information to the UE for its PDSCH transmission by counting the number of 1’s in index bitmap, as shown in Table 1
3.It not only supports both SU-MIMO and MU-MIMO configurations using one or two beams, it also supports MU-MIMO configuration which transmits different beams to different UEs.

(Table 1は省略)

The above signalling could also be viewed as the signalling for DRS ports as DRS port on each beam are orthogonal to each other, and there exists a one-to-one mapping between the beam and the DRS port. Signalling of [1 0] would simply indicates to the UE to use DRS port 0 for the demodulation, while [0 1] informs UE to use DRS port 1 for demodulation. For [1 1], both DRS ports 0 and 1 should be used for demodulation.」(第5ページ第25行-第6ページ第5行)
([当審仮訳]:
前に分析したように,デュアルレイヤBFのために提案された全ての送信構成を受け入れるために,送信ランクの代わりに送信ビームのインデックスがUEにシグナリングされるべきである。そのような目標を達成するために,表1に示される単純なシグナリングデザインが用いられ得る。ここで,ビームインデックスの2ビットビットマップがどのビームがUEに送信されるのかを示すために用いられる。そのようなシグナリングの利点はいくつかの態様から得ることができる。

1.各UEに,それのPDSCH送信に用いられているビームを明示的にシグナリングする。
2.表1に示されるようにインデックスビットマップの中の1の数を数えることによって,UEにそれのPDSCH送信のランク情報を暗黙的にシグナリングする。
3.1又は2本のビームを用いたSU-MIMOとMU-MIMO構成の両方をサポートするだけでなく,異なるビームを異なるUEに送信するMU-MIMO構成もサポートする。

(Table 1は省略)

各ビームのDRSポートは互いに直交しており,かつビームとDRSポートの間の1対1マッピングが存在するので,上述のシグナリングはDRSポートのシグナリングと見ることもできる。[0 1]がUEにDRSポート1を復調に使用することを通知するのに対し,[1 0]のシグナリングは単にUEに対してDRSポート0を使用することを表示する。[1 1]は,DRSポート0と1の両方が復調に使用されるべきである。)


(3)「An alternative for the signalling as shown in Table 2 could used 2-bit to signal both layers and total transmission rank.

Table 2: Combined Layer and total transmission rank for 2-layer transmission


If transport block (TB) information in Rel-8 DCI format 2/2A is considered, then rank-2 SU-MIMO with bitmap of layers of [1 1] in Table 2 does not need to be signalled and this index could be reserved for other purpose. To be for specific, the following steps could be used to determine the signalling:

・If both TB are enabled, no explicit signal is needed as this implies that rank-2 SU-MIMO will be transmitted
・Else if only one TB is enabled, using signalling in Table 3.

As there exists one-to-one mapping between layer and DRS ports, such signalling could also be used to signal the DRS ports, and in Table 3, port^(0) and port^(1) are DRS ports corresponding to layer 0 and 1, respectively.

(Table 3は省略)

By using the signalling method as shown in Table 2 and Table 3, both transmit layers and total transmission rank could be signalled together. It should also be noted that in addition to transmit layer and total transmission rank, the SU-MIMO or MU-MIMO mode information is also signalled as well.」(第6ページ第11行-第7ページ第4行)
([当審仮訳]:
表2に示されるシグナリングの代案は,2ビットをレイヤと合計送信ランクの両方をシグナリングするために使用する。

表2:2レイヤ送信における結合されたレイヤと送信ランク


もしRel-8のDCIフォーマット2/2Aのトランスポートブロック(TB)情報が考慮されるなら,表2の[1 1]のレイヤのビットマップのランク2 SU-MIMOはシグナリングされる必要がなく,このインデックスは別の目的のために予約され得る。詳細には,シグナリングを定義するために次のステップが利用され得る。

・もし両方のTBが利用可能なら,これはランク2 SU-MIMOが送信されることを意味するので,明示的なシグナリングは必要とされない。
・そうではなく,もし1つのTBだけが利用可能なら,表3のシグナリングを利用する。

レイヤとDRSポートの間の1対1マッピングが存在するので,そのようなシグナリングはDRSポートをシグナリングするためにも利用され得,表3において,ポート0とポート1はそれぞれレイヤ0と1に対応するDRSポートである。

(Table 3は省略)

表2及び表3に示されるシグナリング方法を使用することにより,送信レイヤと合計送信ランクの両方がともにシグナリングされ得る。送信レイヤと合計送信ランクに加えて,SU-MIMO又はMU-MIMOモードの情報も同様にシグナリングされることも注目されるべきである。)


上記引用例の記載及び図面(特にFigure 3)並びにこの分野における技術常識を考慮すると,

ア 上記(1)及び(3)の記載によれば,引用例には,「SU-MIMO又はMU-MIMO送信のためのシグナリング方法」が記載されていると認められる。

イ 上記(2)及び(3)の記載及び表2によれば,各UEに対して,少なくともUEごとの送信ランクを示すシグナリングが行われている。
したがって,引用例には,「ユーザ機器(UE)にシグナリングすることと,ここで,前記シグナリングは,少なくともUEごとの送信ランクを示す」ことが記載されていると認められる。

ウ 上記(1)の記載及びFigure 3によれば,DRSのリソースは,レイヤ#1(ビーム)とレイヤ#2(ビーム)とで異なっており,UEは自身がどちらのビームを受信しているのか知ることができずDRSのリソースを知ることができないという問題を受けて,ビームインデックスを示すシグナリングを行っている。してみれば,UEが,シグナリングにより示されたビームインデックスから,DRSのリソースを決定していることは明らかである。また,上記(2)及び(3)の記載によれば,UEには,ビームインデックスに代えて送信レイヤを示すシグナリングがされているから,そのような態様において,UEが,シグナリングにより示された送信レイヤから,Figure 3の「DRS for layer 1」及び「DRS for layer 2」のいずれかのDRSのリソースを選択することも明らかである。
したがって,引用例には,「シグナリングにより示された送信レイヤに基づいて,「DRS for layer 1」及び「DRS for layer 2」のDRSのリソースから,DRSのリソースを選択すること」が記載されていると認められる。


したがって,引用例には以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されているものと認める。
「 SU-MIMO又はMU-MIMO送信のためのシグナリング方法であって,
ユーザ機器(UE)にシグナリングすることと,ここで,前記シグナリングは,少なくともUEごとの送信ランクを示す,
シグナリングにより示された送信レイヤに基づいて,「DRS for layer 1」及び「DRS for layer 2」のDRSのリソースから,DRSのリソースを選択することと,を備える方法。」


[技術常識]
本件の最先の優先権主張の日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった「Nortel, Performance evaluation of DRS design for multi-layer transmission([当審仮訳]:マルチレイヤ送信のためのDRSデザインの性能評価)[online],3GPP TSG-RAN Working Group 1 Meeting #56 R1-090754,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_56/Docs/R1-090754.zip>,2009年 2月 9日」には,図面とともに以下の事項が記載されている。

(4)「This type of RS (DRS) has the following characteristics:
・It is UE specific. DRS can only be decoded by targeting UE」(第1ページ第4-5行)
([当審仮訳]:
このタイプの基準信号(DRS)は次の特徴を有する。
・それはUE特有である。DRSはターゲットUEによってのみ復調されることができる。)


同じく本件の最先の優先権主張の日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった「Huawei, Issues of Type 2 Relay([当審仮訳]:タイプ2リレーの問題点)[online], 3GPP TSG RAN WG1 Meeting #57bis R1-092372,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_57b/Docs/R1-092372.zip>,2009年 6月29日」には,図面とともに以下の事項が記載されている。

(5)「Since DRS are UE-specific, the UE can estimate the composite channel from eNB and RN based on DRS from both entities.」(第3ページ第13-14行)
([当審仮訳]:
DRSはUE特有であるので,UEは両方のエンティティのDRSに基づいてeNB(基地局)及びRN(リレーノード)からの複合チャンネルを推定することができる。)


同じく本件の最先の優先権主張の日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった「CATT, DRS Power Boosting([当審仮訳]:DRSパワーブースティング)[online], 3GPP TSG RAN WG1 meeting #53 R1-081779,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_53/Docs/R1-081779.zip>,2008年 5月 5日」には,図面とともに以下の事項が記載されている。

(6)「CRS (Cell-specific reference signals) power boosting has been adopted to improve the performance and capacity of EUTRA. Since obvious gains can be obtained by RS boosting, we try to apply the power boosting for DRS (UE specific reference signals), which may improve the system capacity and coverage for beam-forming transmission.」(第1ページ第2-5行)
([当審仮訳]:
CRS(セル特有基準信号)のパワーブーストはEUTRAの性能と容量を改善するために採用されてきた。明らかな利得が基準信号のブーストにより得られるので,私たちはパワーブーストをDRS(UE特有基準信号)に適用することを試みる。それは,ビームフォーミング送信におけるシステム容量とカバレッジを改善するかも知れない。)


(4)?(6)の記載からも明らかなように,「DRSがUE特有の基準信号(RS)であること。」は技術常識であると認める。


[周知事項]
本件の最先の優先権主張の日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった「Samsung,Discussions on DL RS Design for Higher Order MIMO([当審仮訳]:より高いオーダーのMIMOのためのDL(ダウンリンク)RSデザインの議論)[online],3GPP TSG RAN WG1 #55bis R1-090103,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_55b/Docs/R1-090103.zip>,2009年 1月12日」には,以下の事項が記載されている。

(7)「The PDM-DRS pattern can be optimized in the sense of RS overhead reduction by rank-dependent RS design. Since PDM-DRS is defined per layer, RS overhead can be reduced for low rank transmissions. The transmit RI is signalled in the PDCCH to enable rank-dependent RS design.」(第3ページ第20-22行)
([当審仮訳]:
PDM-DRS(プリコードされた復調用専用参照信号)パターンはランク依存RSデザインによりRSオーバーヘッド削減の意味で最適化され得る。PDM-DRSがレイヤごとに定義されるので,RSオーバーヘッドは低ランク送信において削減される。ランク依存RSデザインを可能にするため,送信RI(ランク表示)がPDCCHにおいてシグナリングされる。)


同じく本件の最先の優先権主張の日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった「Nortel,Signaling Support for Downlink MIMO Mode Adaptation([当審仮訳]:ダウンリンクMIMOモード適応のためのシグナリングサポート)[online],3GPP TSG-RAN Working Group 1 Meeting #48bis R1-071459,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_48b/Docs/R1-071459.zip>,2007年 3月26日」には,図面とともに以下の事項が記載されている。

(8)「For the downlink control signaling component of MIMO mode switching, we propose to include one bit in the MIMO information portion of the Cat2 DL signaling that indicates whether the transmission is Open Loop or Closed Loop.
・If the mode bit indicates Closed loop DL MIMO, subsequent bits would indicate the codebook index used for transmission.
・If the OL/CL mode bit indicates the transmission is Open loop, subsequent bits can be used to indicate the OL transmission rank.」(第2ページ第1-7行)
([当審仮訳]:
MIMOモードスイッチングの下りリンク制御シグナリング要素として,我々は,MIMO情報のCat2 DLシグナリングの一部に,送信がオープンループかクローズドループかを表示する1ビットを含めることを提案する。
・もしモードビットがクローズドループDL MIMOを表示するなら,続くビットは送信に用いられたコードブックインデックスを表示する。
・もしOL/CL(オープンループ/クローズドループ)モードビットが送信がオープンループであることを表示するなら,続くビットはOL送信ランクを表示するために用いられ得る。)


同じく本件の最先の優先権主張の日前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった「Huawei,DL control signaling to support MIMO([当審仮訳]:MIMOをサポートするためのDL制御シグナリング)[online],TSG RAN WG1 meeting #50 R1-073511,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_50/Docs/R1-073511.zip>,2007年 8月20日」には,図面とともに以下の事項が記載されている。

(9)「Table 1 Mapping of MIMO related parameters to channels and the required size. Signalling which is semi-static is placed in the RRC/MAC layer. Note that all different selections are not possible, which may be utilized to compress the table and reduce the overhead further.

」(第1ページ)
([当審仮訳]:
表1 MIMO関連パラメータのチャンネルへのマッピングと必要とされるサイズ。準静的なシグナリングはRRC/MACレイヤに配置される。全ての異なる選択は不可能であることに注意されたい。それはテーブルを圧縮し,よりオーバーヘッドを減らすために利用され得る。

)


(7)?(9)の記載及び図面並びに当業者の技術常識を考慮すると,「UEが,前記UEのランクを示すシグナリングをPDCCHにて受信すること。」は周知であると認める(以下,「周知事項1」という。)。


3 対比
本願発明と引用発明とを対比すると,

(1)引用発明の「SU-MIMO又はMU-MIMO送信」は,明らかに「無線通信」に含まれ,引用発明の「シグナリング方法」は,明らかに「方法」に含まれる。
したがって,引用発明の「SU-MIMO又はMU-MIMO送信のためのシグナリング方法」は,「無線通信のための方法」といえる。

(2)引用発明の「ユーザ機器(UE)にシグナリングする」から,当該「シグナリング」がユーザ機器(UE)によって受信されることは明らかである。また,引用発明の「UEごとの送信ランク」は,「UE特有の情報」に含まれるから,引用発明の「前記シグナリングは,少なくともUEごとの送信ランクを示す」は,「前記シグナリングは,UE特有の情報を備え,前記情報は,少なくとも,前記UEのランクを示す,」に含まれる。
そして,本願発明の「ダウンリンク制御チャネルに関連付けられた信号を,ユーザ機器(UE)によって受信する」における「信号」は,本願の国際出願時の明細書の[0065]の「In another aspect, the RS information signaling component 306 may signal over PDCCH to the wireless device 304 a total rank of companion UEs (other wireless devices) or a total rank of all UEs served by the access point 302.」なる記載を参酌すれば,「シグナリング」と解すべきであるから,本願発明の「ダウンリンク制御チャネルに関連付けられた信号を,ユーザ機器(UE)によって受信することと,ここで,前記信号は,UE特有の情報を備え,前記情報は,少なくとも,前記UEのランクを示す,」と,引用発明の「ユーザ機器(UE)にシグナリングすることと,ここで,前記シグナリングは,少なくともUEごとの送信ランクを示す,」とは,「信号を,ユーザ機器(UE)によって受信することと,ここで,前記信号は,UE特有の情報を備え,前記情報は,少なくとも,前記UEのランクを示す,」の点で共通している。

(3)引用例の記載(上記「2 引用発明,技術常識及び周知事項」の(3)参照)によれば,シグナリングは少なくとも送信レイヤとUEごとの送信ランクとを示しており,また上記(2)のとおり,引用発明の「UEごとの送信ランク」は,「UE特有の情報」に含まれるから,「UEごとの送信ランク」とともに示される引用発明の「送信レイヤ」も,本願発明の「前記情報」に含まれる。また,DRSがUE特有の基準信号(RS)であることは,上記「2 引用発明,技術常識及び周知事項」の[技術常識]の項で述べたとおり,技術常識である。
さらに,本願明細書の【0063】によれば,本願発明の「UE特有のRSパターン」は,基準信号の送信のためにどのリソースが使用されるかを示すものを含んでいるから,引用発明の「DRSのリソース」を含んでいる。そして,前記「リソース」を「パターン」と称することは任意であるから,引用発明の「「DRS for layer 1」及び「DRS for layer 2」のDRSのリソース」は,本願発明の「複数のUE特有の基準信号(RS)パターン」に含まれる。
したがって,引用発明の「シグナリングにより示された送信レイヤに基づいて,「DRS for layer 1」及び「DRS for layer 2」のDRSのリソースから,DRSのリソースを選択すること」は,本願発明の「前記情報に基づいて,複数のUE特有の基準信号(RS)パターンから,UE特有のRSパターンを選択すること」に含まれる。

したがって,本願発明と引用発明とは,両者は,以下の点で一致し,また,相違している。
(一致点)
「 無線通信のための方法であって,
信号を,ユーザ機器(UE)によって受信することと,ここで,前記信号は,UE特有の情報を備え,前記情報は,少なくとも,前記UEのランクを示す,
前記情報に基づいて,複数のUE特有の基準信号(RS)パターンから,UE特有のRSパターンを選択することと,を備える方法。」

(相違点)
一致点の「信号」に関し,本願発明は,「ダウンリンク制御チャネルに関連付けられた信号」であるのに対し,引用発明はダウンリンク制御チャネルに関連付けられていることが明らかでない点。


4 検討
上記相違点について検討する。

本願明細書の【0049】,【0056】によれば,本願発明の「ダウンリンク制御チャネル」はPDCCHを含むことは明らかであるところ,周知事項1のとおり,UEが,前記UEのランクを示すシグナリングすなわち信号をPDCCHにて受信することは周知の事項であるから,一致点の「信号」を「ダウンリンク制御チャネルに関連付けられた信号」とすること,すなわち上記相違点は,格別困難なことではなく,当業者が容易になし得ることである。


そして,本願発明の作用効果も,引用発明,技術常識及び周知事項に基づいて当業者が予測し得る範囲のものであり,格別なものではない。


5 むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明,技術常識及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。


よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-09-25 
結審通知日 2015-09-29 
審決日 2015-10-13 
出願番号 特願2012-525646(P2012-525646)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐々木 洋  
特許庁審判長 菅原 道晴
特許庁審判官 ▲高▼橋 真之
萩原 義則
発明の名称 無線通信におけるMIMO関連シグナリング  
代理人 奥村 元宏  
代理人 井関 守三  
代理人 福原 淑弘  
代理人 蔵田 昌俊  

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