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審決分類 |
審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G03G 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G03G 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G03G |
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管理番号 | 1311489 |
審判番号 | 不服2015-239 |
総通号数 | 196 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-04-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-01-06 |
確定日 | 2016-02-25 |
事件の表示 | 特願2010-163704「画像形成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 2月 9日出願公開、特開2012- 27118〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成22年7月21日の出願であって、平成26年5月21日付け及び同年9月1日付けで手続補正書が提出され、平成26年9月26日付けで前記平成26年9月1日付けの手続補正が補正の却下の決定をもって却下されるとともに拒絶査定がなされ、これに対し、平成27年1月6日付けで拒絶査定に対する審判請求がなされると同時に手続補正書が提出されて特許請求の範囲及び明細書を補正する手続補正がなされ、その後、当審において、同年8月26日付けで拒絶の理由を通知したところ、これに対し、同年10月30日付けで意見書が提出されたものである。 第2 平成27年1月6日付け手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1 補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲について、下記(1)に示す本件補正前の(すなわち、平成26年5月21日付けで提出された手続補正書により補正された)特許請求の範囲を、下記(2)に示す特許請求の範囲へと補正することを含むものである。 (1)本件補正前の特許請求の範囲 「【請求項1】 用紙に画像を形成する画像形成手段と、 前記画像形成手段によって画像が形成された用紙を束として積載する積載手段と、 前記積載手段に積載された前記用紙の束を、ステープル針を用いることなく、綴じる針無綴じ手段と を有し、 前記針無綴じ手段により綴じ処理が施された綴じ部分の画像側の第1端部から、画像までの距離が、当該綴じ部分の当該第1端部と反対側の第2端部から、用紙端部までの距離に比べて、長くなるように、構成されたことを特徴とする画像形成装置。 【請求項2】 ステープル針を用いて前記用紙の束を綴じる針有綴じ手段を有し、 前記針無綴じ手段により綴じ処理が施された綴じ部分の画像側の端部から、画像までの距離が、前記針有綴じ手段により綴じ処理が施された場合に比べて、長くなるように、構成されたことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。」 (2)本件補正後の特許請求の範囲 「【請求項1】 用紙に画像を形成する画像形成手段と、 前記画像形成手段によって画像が形成された用紙を束として積載する積載手段と、 前記積載手段に積載された前記用紙の束を、ステープル針を用いることなく、綴じる針無綴じ手段と を有し、 前記針無綴じ手段により前記用紙の束を綴じる綴じ処理が施された綴じ部分の画像側の第1端部から、画像端部までの距離が、当該綴じ部分の当該第1端部と反対側の第2端部から、綴じられた用紙の端部までの距離に比べて、長くなるように構成されたことを特徴とする画像形成装置。 【請求項2】 用紙に画像を形成する画像形成手段と、 前記画像形成手段によって画像が形成された用紙を束として積載する積載手段と、 前記積載手段に積載された前記用紙の束を、ステープル針を用いることなく、綴じる針無綴じ手段と、 ステープル針を用いて前記用紙の束を綴じる針有綴じ手段とを有し、 前記針無綴じ手段により綴じ処理が施された綴じ部分の画像側の第1端部から、画像までの距離が、当該綴じ部分の当該第1端部と反対側の第2端部から、用紙端部までの距離に比べて、長くなるように、構成され、 前記針無綴じ手段により綴じ処理が施された綴じ部分の画像側の第1端部から、画像までの距離が、前記針有綴じ手段により綴じ処理が施された場合に比べて、長くなるように構成されたことを特徴とする画像形成装置。」(下線は審決で付した。以下同じ。) 2 補正目的について 本件補正により、本件補正前の請求項1の「綴じ処理が施された綴じ部分」を「前記用紙の束を綴じる綴じ処理が施された綴じ部分」と(以下「補正事項1」という。)、請求項1の「画像までの距離が」を「画像端部までの距離が」(以下「補正事項2」という。)と、請求項1の「用紙端部」を「綴じられた用紙の端部」と(以下「補正事項3」という。)、請求項1及び請求項2の「長くなるように、構成された」を「長くなるように構成された」と(以下「補正事項4」という。)、請求項2の「端部」を「第1端部」と補正する事項(以下「補正事項5」という。)が追加されたものである。 上記補正事項1は、本件補正前の請求項1の「画像形成装置」における「綴じ処理が施された綴じ部分」を「前記用紙の束を綴じる綴じ処理が施された綴じ部分」と具体的に特定したものであり、上記補正事項2は、本件補正前の請求項1の「画像形成装置」における「画像までの距離が」を「画像端部までの距離が」と具体的に特定したものであり、上記補正事項3は、本件補正前の請求項1の「画像形成装置」における「用紙端部」を「綴じられた用紙の端部」と具体的に特定したものであり、上記補正事項4は、本件補正前の請求項1及び請求項2の「画像形成装置」における「長くなるように、構成された」を「長くなるように構成された」と明りように特定したものであり、上記補正事項5は、本件補正前の請求項1の「画像形成装置」における「端部」を「第1端部」と具体的に特定したものであるから、上記補正事項は、特許法第17条の2第5項第2号に係る「特許請求の範囲の減縮」もしくは、特許法第17条の2第5項第4号に係る「不めいりような記載の釈明」を目的とするものに該当する。 また、上記補正事項は、特許法第17条の2第3項及び第4項に違反するところはない。 3 独立特許要件について そこで、本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。 (1)本願補正発明 本願補正発明は、平成27年1月6日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、上記「1 (2)本件補正後の特許請求の範囲」の【請求項1】に記載したとおりのものと認める。 (2)引用刊行物 本願の出願前に頒布された特開2000-94780号公報(以下「刊行物」という。)には、以下の記載がある。 ア 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 印刷データをビットマップデータに展開して印刷出力し、かつステープル機能やパンチ機能を有する印刷装置であって、 ステープルやパンチ穴を設ける余白領域を確保する確保手段と、該確保手段により確保した余白領域分だけ印刷出力する印刷領域の位置を移動する変更手段とを備え、用紙への印刷出力の際にステープル機能やパンチ機能を実行するとき、前記余白領域を自動的に確保し、前記余白領域分だけ前記印刷領域の位置を移動して印刷出力することを特徴とする印刷装置。」 イ 「【0022】印刷装置1において、上位装置または操作パネルからの指示によってステープル機能やパンチ機能を実行するか否か、それらの制御データが確認される(S1)。処理S1において、ステープル機能やパンチ機能の実行指示が確認されたとき(Yes)、印刷調整部13がステープルやパンチ穴の位置およびステープルやパンチ穴を設けるために必要な余白領域(図2(c)参照)を示す値の情報を印刷装置情報保存部9から読み出す(S2)。その余白領域を示す値の情報からビットマップデータに展開された印刷領域を移動して用紙に印刷するように印刷位置を調整する(S3)。処理S1にてステープル機能やパンチ機能の実行指示が確認されないとき(No)、処理S2,S3を実行せず処理を終了する。このようにして印刷した結果が、図2(d)である。」 そうすると、上記ア及びイの記載事項から、刊行物には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 「印刷データをビットマップデータに展開して印刷出力し、かつステープル機能やパンチ機能を有する印刷装置であって、ステープルやパンチ穴を設ける余白領域を確保する確保手段と、該確保手段により確保した余白領域分だけ印刷出力する印刷領域の位置を移動する変更手段とを備え、用紙への印刷出力の際にステープル機能やパンチ機能を実行するとき、前記余白領域を自動的に確保し、前記余白領域分だけ前記印刷領域の位置を移動して印刷出力する印刷装置。」 (3)対比 そこで、本願補正発明と引用発明とを対比すると、 ア 後者の「用紙」は、前者の「用紙」に相当する。 イ 後者の「印刷装置」は、「印刷データ」を「ビットマップデータに展開」して「印刷出力」するものであるから、「画像を形成する画像形成手段」といえる。 ウ 後者の「印刷装置」は、用紙への印刷出力の際にステープル機能を実行するものであるから、用紙綴じ手段を有するといえ、綴じられる用紙は一枚ではなく、束であることは明らかである。 したがって、両者は、 「用紙に画像を形成する画像形成手段と、 前記用紙の束を綴じる綴じ手段と を有する画像形成装置。」 の点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1] 本願補正発明は、「画像形成手段によって画像が形成された用紙を束として積載する積載手段」を有するものであるのに対し、引用発明では、その点が明らかでない点。 [相違点2] 本願補正発明は、積載手段に積載された前記用紙の束を、「ステープル針を用いることなく、綴じる針無綴じ手段」を有するものであるのに対し、引用発明では、その点が明らかでない点。 [相違点3] 本願補正発明は、「針無綴じ手段により前記用紙の束を綴じる綴じ処理が施された綴じ部分の画像側の第1端部から、画像端部までの距離が、当該綴じ部分の当該第1端部と反対側の第2端部から、綴じられた用紙の端部までの距離に比べて、長くなるように構成され」を有するものであるのに対し、引用発明では、その点が明らかでない点。 (4)判断 上記相違点について以下検討する。 ア [相違点1]について 引用発明の印刷装置が、ステープル機能を実行するに際しては、ステープルされる用紙の束が積載されている状態であって、当然、用紙の束を積載する積載手段を有するものであることは、自明の技術事項である。 そうすると、相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項は、引用発明1に明記はないものの、引用発明の印刷装置が有していることは明らかである。 したがって、上記相違点1は実質的な相違点ではない。 イ [相違点2]について ステープル針を用いることなく、綴じる針無綴じ手段は、本願出願日時点で、周知の技術事項といえる(例えば、特開2000-318918号公報(【0022】?【0023】等参照。)、特表平09-512241号公報(【特許請求の範囲】等参照。) 及び特開2005-74858号公報(【0043】?【0051】等参照。)、以下「周知の技術事項」という。)。 そして、上記周知の技術事項は、用紙の束を綴じるという作用・機能を奏する綴じ手段の一態様といえる。 してみれば、引用発明と上記周知の手段とは、その技術分野及び作用・機能が共通するものであるから、引用発明において、上記周知の技術事項を適用することは、当業者が容易に想到し得るものである。 したがって、引用発明において、上記周知の技術事項を適用することにより、上記相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。 ウ [相違点3]について 引用発明において、綴じ処理を用紙の端部から画像端部までの間のどこの位置で行うかは、当業者が当然引用発明を実施する際に、適宜定めるべき事項であるところ、相違点3に係る本願補正発明の「針無綴じ手段により前記用紙の束を綴じる綴じ処理が施された綴じ部分の画像側の第1端部から、画像端部までの距離が、当該綴じ部分の当該第1端部と反対側の第2端部から、綴じられた用紙の端部までの距離に比べて、長くなるように構成」の技術的意義に関して、本願の願書に最初に添付した明細書、及び特許請求の範囲(以下「当初明細書等」という。)には、作用もしくは効果を含め、何ら記載されていないし、技術的意義は認められない。 したがって、これらの事項に照らして、引用発明において、相違点3に係る本願発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。 したがって、本願補正発明は、引用発明及び上記周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものである。 そして、本願補正発明の発明特定事項によって奏される効果も、引用発明及び上記周知の技術事項から、当業者が予測しうる範囲内のものである。 (5)むすび 以上のとおりであって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成26年5月21日付けの特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定される次のとおりのものである。 「用紙に画像を形成する画像形成手段と、 前記画像形成手段によって画像が形成された用紙を束として積載する積載手段と、 前記積載手段に積載された前記用紙の束を、ステープル針を用いることなく、綴じる針無綴じ手段と を有し、 前記針無綴じ手段により綴じ処理が施された綴じ部分の画像側の第1端部から、画像までの距離が、当該綴じ部分の当該第1端部と反対側の第2端部から、用紙端部までの距離に比べて、長くなるように、構成されたことを特徴とする画像形成装置。」(以下「本願発明」という。) 2 引用刊行物 平成26年6月25日付けの拒絶の理由に引用された刊行物、及び、その記載内容は上記「第2 3 (2)引用刊行物」に記載したとおりである。 3 対比 本願発明は、上記「第2 3 (1)本願補正発明」で検討した本願補正発明の「前記用紙の束を綴じる綴じ処理が施された綴じ部分」に関して、「前記用紙の束を綴じる」との限定を省き、「画像端部までの距離が」に関して、「端部」との限定を省き、「綴じられた用紙の端部」に関して、「綴じられた」及び「の」との限定を省き、「長くなるように構成された」に関して「長くなるように、構成された」と補正するものである。 そうすると、本願発明と引用発明とを対比した場合の相違点は、実質的に、上記「第2 3 (3)対比」で挙げた相違点1乃至相違点3の点となる。 そして、上記「第2 3 (4)判断」における検討内容を踏まえれば、上記相違点1乃至相違点3は、本願発明は、引用発明及び上記周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。 4 むすび 以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明及び上記周知の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2015-12-10 |
結審通知日 | 2015-12-15 |
審決日 | 2016-01-12 |
出願番号 | 特願2010-163704(P2010-163704) |
審決分類 |
P
1
8・
55-
WZ
(G03G)
P 1 8・ 575- WZ (G03G) P 1 8・ 121- WZ (G03G) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 西堀 宏之、山下 浩平、小川 恭司 |
特許庁審判長 |
黒瀬 雅一 |
特許庁審判官 |
山本 一 藤本 義仁 |
発明の名称 | 画像形成装置 |
代理人 | 久保 洋之 |
代理人 | 古部 次郎 |