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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F 審判 査定不服 4項1号請求項の削除 取り消して特許、登録 G06F |
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管理番号 | 1311519 |
審判番号 | 不服2015-13467 |
総通号数 | 196 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-04-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-07-16 |
確定日 | 2016-03-22 |
事件の表示 | 特願2012-223496「タッチパネル及びその製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 5月 9日出願公開、特開2013- 84270、請求項の数(14)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成24年10月5日(パリ条約の例による優先権主張、2011年(平成23年)10月5日、台湾)の出願であって、平成26年8月14日付けの拒絶理由の通知に対し、平成26年10月14日付けで手続補正がなされたが、平成27年3月16日付けで拒絶査定がなされたものである。これに対し、平成27年7月16日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がなされた。 第2 平成27年7月16日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)の適否 1.補正の内容 本件補正は、補正前の請求項1を引用する請求項4を、独立形式として、補正後の請求項1とする補正(以下、「補正事項1」という。)を含んでいる。補正前の請求項1及び請求項4の記載、補正後の請求項1の記載は次のとおりである。 ・補正前の請求項1及び請求項4の記載 「【請求項1】 基板と、 前記基板に設置する透明導電層と、 前記透明導電層に設置する導電装飾パッドと、 前記透明導電層と前記導電装飾パッドに設置し、前記導電装飾パッド上であってこのパッド内に開口を有する装飾層と、 前記装飾層に設置し、前記開口によって、前記透明導電層と電気的接続する不透明な導電層と、を備えることを特徴とするタッチパネル。 【請求項4】 前記導電装飾パッドのカラーは前記装飾層のカラーと近似していることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル。」 ・補正後の請求項1の記載 「【請求項1】 基板と、 前記基板に設置する透明導電層と、 前記透明導電層に設置する導電装飾パッドと、 前記透明導電層及び前記導電装飾パッドに設置し、前記導電装飾パッド上であってこのパッド内に開口を有する装飾層と、 前記装飾層に設置し、前記開口を介して前記透明導電層と電気的接続する不透明な導電層と、を備えるタッチパネルであって、 前記導電装飾パッドのカラーは前記装飾層のカラーと近似していることを特徴とするタッチパネル。」 2.補正の適否 本件補正の補正事項1は、実質的には、補正前の請求項1を削除し、補正前に請求項1を引用して記載していた請求項4を独立形式で記載して、新たな請求項1とするものであり、特許法第17条の2第5項第1号の請求項の削除を目的とするものに該当する。 また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。 さらに、本件補正のその余の補正事項についても、特許法第17条の2第3項ないし第6項に違反するところはない。 よって、本件補正は適法なものである。 第2 本願発明 本願の請求項1-14に係る発明は、平成27年7月16日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-14に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。 「基板と、 前記基板に設置する透明導電層と、 前記透明導電層に設置する導電装飾パッドと、 前記透明導電層及び前記導電装飾パッドに設置し、前記導電装飾パッド上であってこのパッド内に開口を有する装飾層と、 前記装飾層に設置し、前記開口を介して前記透明導電層と電気的接続する不透明な導電層と、を備えるタッチパネルであって、 前記導電装飾パッドのカラーは前記装飾層のカラーと近似していることを特徴とするタッチパネル。」 第3 原査定の理由の概要 1.平成26年8月14日付け拒絶理由通知の内容 『この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 (引用文献等については引用文献等一覧参照) ・請求項1、14 ・引用文献等1、2 ・備考 引用文献1の段落0025、0073、0079から0092、図11、12には、カバーガラスと、 カバーガラス上に透明導電膜からなる周辺配線を形成し、 遮光性印刷層にコンタクトホールを設け、 遮光性印刷層の上にコンタクトホールによって、周辺配線と電気的に接続する黒色の遮光性導電材からなる実装領域を有し、 実装領域を形成する遮光性導電材は、コンタクトホールに充填されており、周辺配線は入力位置検知用電極を延在させており、 実装領域とフレキシブル配線基板をハンダ、異方性導電膜、導電ペーストで電気的に接続し、 位置入力は静電容量方式であり、 カバーガラスは、位置入力面であり、保護の機能を有する強化ガラスからなること、を特徴とするタッチパネル(以下、引用発明という)、 について記載されている。 本願の請求項1、14に係る発明と引用発明を対比すると、以下の点で相違し、その余の点で一致する。 相違点 本願発明は「透明導電層に設置する導電装飾パッド」を有するが、引用発明は、実装領域を形成する遮光性導電材が直接コンタクトホールを介して透明導電膜と接続している点。 相違点について検討すると、 コンタクトホールを介して上位と下位の層を接続する場合、導電性パットのようなものを設けることは周知慣用な技術に他ならず(必要であれば、引用文献2の段落0033から0045、図3を参照のこと)、引用発明にこの周知慣用な技術を適用することは当業者であれば適宜なし得ることで有り、それによる効果も格別なものではない。 よって、本願の請求項1、14に係る発明は、当業者が容易に想到し得るものである。 ・・・(中略)・・・ ・請求項4、5 ・引用文献等1、2 ・備考 周知慣用な技術を適用した引用発明において、導電性パットを黒色とすることに格別な困難性はない。 ・・・(中略)・・・ 引 用 文 献 等 一 覧 1.特開2011-192124号公報 2.国際公開第2008/096484号』 2.平成27年3月16日付け拒絶査定の内容 『この出願については、平成26年8月14日付け拒絶理由通知書に記載した理由によって、拒絶をすべきものです。 なお、意見書及び手続補正書の内容を検討しましたが、拒絶理由を覆すに足りる根拠が見いだせません。 備考 ●理由(特許法第29条第2項)について ・請求項 1?15 ・引用文献等 1?2 平成26年8月14日付け拒絶理由通知書にて通知した引用文献1の25,73,79?92段落、図11?12には、 カバーガラス90(基板)と(82?88段落、図11,12)、 カバーガラス90に設置する周辺配線27を構成する第1透光性導電膜4a(透明導電層)と(82?88段落、図11,12)、 周辺配線27を構成する第1透光性導電膜4aと、コンタクトホール94a(開口)を有する遮光性印刷層94(装飾層)と(82?84,90段落、図11,12)、 遮光性印刷層94に設置し、コンタクトホール94aによって、周辺配線27を構成する第1透光性導電膜4aと電気的接続する、遮光性導電材24bからなる実装用導電膜24(不透明な導電層)と(73,83?84,90?92段落、図11,12)、 を備えるタッチパネル1(タッチパネル)(25段落)が開示されている。 本願の補正後の請求項1,14に係る発明と引用文献1に開示された発明とを対比すると、以下の点で相違している。 (1)透明導電層に設置する導電装飾パッドが開示されていない点 (2)透明導電層と導電装飾パッドに設置し、導電装飾パッド上であってこのパッド内に開口を有する装飾層が開示されていない点 上記相違点について検討する。 ・相違点(1)(2)について 引用文献2の33?36,46段落、図3,図13には、第1パターン膜17c(透明導電層)に第2パターン膜22を介して第3パターン膜23(導電装飾パッド)を設けることが開示されている。 また、引用文献2の36段落には、「絶縁膜18には、実装領域13における配線部10の端部の上方位置においてコンタクトホール26が形成されている。 そして、絶縁膜18上に形成された端子25がそのコンタクトホール26を介して、配線部10の第3パターン膜23に接続されている」と開示されており、同様に46段落にも、「すなわち、図13に示すように、実装領域13における配線部10の端部の上方位置においてコンタクトホール26を形成する。そのことによって、配線部10の端部において、第3パターン膜23を露出させる。」と記載がある。 そして、図3及び図13からも明らかなように、第3パターン膜23上かつ、第3パターン膜23内に、コンタクトホール26を有する絶縁膜18が設けられることが開示されているのであるから、引用文献1に開示されている発明に、引用文献2に開示されている発明を適用することで、本願発明のように構成することは、当業者が容易に想到し得たことである。 ・・・(中略)・・・ したがって、平成26年8月14日付け拒絶理由通知書において提示した引用文献1?2に記載・示唆されている事項から、本願の請求項1?15にかかる発明は、当業者がいずれも容易に想到し得るものであるから、依然として拒絶理由を解消するものとはなっていない。 また、出願人の主張する効果も、本質的に当該技術が奏する効果の範囲のものであるから、本願発明は特許を受けることができない。 <引用文献等一覧> 1.特開2011-192124号公報 2.国際公開第2008/096484号』 第4 当審の判断 1.刊行物の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用された特開2011-192124号公報(以下、「刊行物1」という)には、図面とともに次の技術事項が記載されている(下線は当審により付した)。 「【0079】 [実施の形態3] (タッチパネル1の全体構成) 図9は、本発明の実施の形態3に係るタッチパネルを備えた入力機能付き電気光学装置の説明図であり、図9(a)、(b)は、入力機能付き電気光学装置の斜視図、および断面図である。図10は、本発明の実施の形態3に係るタッチパネル1の要部の平面構成を示す説明図であり、図10(a)、(b)は、カバーガラス90に形成した遮光性印刷層94等の平面構成を示す説明図、およびカバーガラスに形成した位置検出用電極21等の平面構成を示す説明図である。なお、図10(b)において、入力領域2aについては、その角部分の位置を英文字の「L」状のマークで示してある。図11は、本発明の実施の形態3に係るタッチパネル1の要部の断面構成等を示す説明図であり、図11(a)、(b)、(c)は、タッチパネル1を図10(b)のC3-C3′線に沿って切断した断面図、タッチパネル1を図10(b)のD3-D3′線に沿って切断した断面図、およびカバーガラス90を実装用導電膜を通る位置で切断した様子を示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1、2と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。 【0080】 図9(a)、(b)に示すように、本形態の入力機能付き電気光学装置100も、実施の形態1、2と同様、概ね、液晶装置等からなる画像生成装置5と、この画像生成装置5において表示光を出射する側の面に重ねて配置された静電容量型のタッチパネル1とを有している。タッチパネル1において、タッチパネル1に用いたカバーガラス90の側端面90eが位置する側には実装領域240が設けられ、かかる実装領域240にはフレキシブル配線基板35の端部が接続されている。タッチパネル1において、カバーガラス90は、厚さが0.2mm程度の化学強化ガラスからなる。 【0081】 図9(b)に示すように、本形態では、実施の形態1、2と同様、入力操作面側の第1面90aとは反対側の第2面90bの側に、下層側から上層側に向かって、第1透光性導電膜4a、層間絶縁膜23、第2透光性導電膜4bおよびトップコート層96がこの順に形成されている。また、カバーガラス90において第2面90bには、遮光性印刷層94が形成されており、遮光性印刷層94で囲まれた領域が入力領域2aである。本形態において、遮光性印刷層94は、遮光性を有していれば色に制限はないが、本形態で用いた遮光性印刷層94は黒色の印刷層である。 【0082】 図10(a)、(b)および図11(a)に示すように、本形態のタッチパネル1においては、カバーガラス90の第2面90bの側に、第1透光性導電膜4aによって入力位置検出用電極21が形成されている。また、カバーガラス90の第2面90bにおいて、周辺領域2bには、第1電極211の一方側端部から延在する周辺配線27、および第2電極212の一方側端部から延在する周辺配線27が形成されており、かかる周辺配線27はいずれも、側端面90eに向けて延在している。ここで、周辺配線27は、入力位置検出用電極21と同様、第1透光性導電膜4aからなる。このため、入力操作面側(第1面90a側)からは周辺配線27が見えないようになっている。 【0083】 (遮光性印刷層94およびフレキシブル配線基板35の実装構造) 本形態においては、実施の形態2と同様、カバーガラス90の第2面90bの側には、周辺領域2bに遮光性印刷層94が形成されており、かかる遮光性印刷層94の厚さは、例えば、30μm?50μmである。ここで、遮光性印刷層94は、周辺配線27の上層側に形成され、遮光性印刷層94の上には、フレキシブル配線基板35の実装領域240が設けられている。このため、フレキシブル配線基板35は、カバーガラス90の第2面90bに接続されている。但し、本形態では、以下の構成が採用されているため、カバーガラス90の第2面90bにおいて、遮光性印刷層94の下層側に形成されている周辺配線27と、遮光性印刷層94の上層側に形成されているフレキシブル配線基板35とは電気的に接続されている。 【0084】 まず、図11(b)、(c)に示すように、遮光性印刷層94において、カバーガラス90の側端面90eの近傍には、遮光性印刷層94を貫通して周辺配線27の上面まで到るコンタクトホール94aが形成されている。また、カバーガラス90の第2面90bの側には、遮光性印刷層94上に複数の実装用導電膜24が形成されており、かかる実装用導電膜24は、一部がコンタクトホール94aに充填されている。このため、実装用導電膜24は、周辺配線27と1対1で電気的に接続されている。このようにして、本形態では、第2面90b側において、実装用導電膜24によって遮光性印刷層94上に実装領域240が形成され、かかる実装領域240にフキレシブル配線基板35が接続されている。このため、フレキシブル配線基板35は、実装用導電膜24を介して遮光性印刷層94の下層側に形成された周辺配線27に電気的に接続されている。本形態において、実装用導電膜24は、黒色の異方性導電膜や黒色のカーボンペースト等の遮光性導電材24bからなる。 【0085】 (タッチパネル1の製造方法) 図12は、本発明の実施の形態3に係るタッチパネル1の製造方法を示す工程断面図である。なお、図12には、図11(b)に断面で表した位置の断面に対応する。 【0086】 本形態のタッチパネル1を製造するにあたっては、図12(a)に示すように、化学強化ガラスからなるカバーガラス90を準備する。本形態において、カバーガラス90は、大型ガラス基板をカバーガラス90のサイズに切断した後、化学強化処理を行なった化学強化ガラスである。 【0087】 次に、カバーガラス90の第2面90b側に対して成膜工程およびパターニング工程等を繰り返し行なって、第1透光性導電膜4a、層間絶縁膜23および第2透光性導電膜4bを形成する。 【0088】 より具体的には、第1透光性導電膜形成工程において、カバーガラス90の第2面90b側に対して、ITO膜の成膜工程およびパターニング工程を行い、入力位置検出用電極21および周辺配線27を構成する第1透光性導電膜4aを形成する。 【0089】 次に、図12(b)に示すように、図11(a)に示すコンタクトホール23aを備えた層間絶縁膜23を形成する。ここで、層間絶縁膜23をシリコン酸化膜により形成する場合には、シリコン酸化膜の成膜工程およびパターニング工程を行い、層間絶縁膜23を感光性樹脂により形成する場合には、感光性樹脂の塗布工程、露光・現像工程を行う。なお、層間絶縁膜23は、入力領域2aの略全体に形成し、周辺領域2bには形成しない。次に、第2透光性導電膜形成工程において、ITO膜の成膜工程およびパターニング工程を行い、図11(a)に示す中継電極215を構成する第2透光性導電膜4bを形成する。次に、トップコート層形成工程において、カバーガラス90の第2面90b側に対して樹脂塗布工程および固化工程を行い、トップコート層96を形成する。 【0090】 次に、図12(c)に示す遮光性印刷工程において、カバーガラス90の第2面90b側の周辺領域2bに対して遮光性印刷層94を形成する。その際、遮光性印刷層94には、遮光性印刷層94を貫通して周辺配線27の上面まで到るコンタクトホール94aを形成する。 【0091】 次に、図12(d)に示す実装用導電膜形成工程において、カバーガラス90の第2面90b側において、遮光性印刷層94上に黒色の異方性導電膜や黒色のカーボンペースト等の遮光性導電材24bからなる複数の実装用導電膜24を印刷等により形成し、遮光性印刷層94上に実装領域240を形成する。 【0092】 しかる後には、図11(b)に示すように、遮光性印刷層94上の実装領域240に対してフレキシブル配線基板35を重ね、実装用導電膜24を介してフレキシブル配線基板35と周辺配線とを電気的に接続する(フレキシブル配線基板接続工程)。」 以上の記載(特に、下線部や図11、図12)を参照すると、刊行物1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「カバーガラス90と、 前記カバーガラス90の第2面90b側に形成する透光性導電膜4aからなる周辺配線27と、 前記周辺配線27の上層側に形成され、コンタクトホール94aを有する黒色の印刷層である遮光性印刷層94と、 前記遮光性印刷層94上に形成され、前記コンタクトホール94aを介して前記周辺配線27と電気的に接続する黒色の遮光性導電材24bからなる実装用導電膜24と、を備えるタッチパネル。」 2.対比 本願発明と引用発明とを対比する。 引用発明の「カバーガラス90」、「透光性導電膜4aからなる周辺配線27」、「コンタクトホール94aを有する黒色の印刷層である遮光性印刷層94」、「黒色の遮光性導電材24bからなる実装用導電膜24」は、それぞれ、本願発明の「基板」、「透明導電層」、「開口を有する装飾層」、「不透明な導電層」に相当するものであるから、両者の一致点、相違点は次のとおりである。 [一致点] 基板と、 前記基板に設置する透明導電層と、 前記透明導電層に設置し、開口を有する装飾層と、 前記装飾層に設置し、前記開口を介して前記透明導電層と電気的接続する不透明な導電層と、を備えるタッチパネル。 [相違点] 本願発明は、「前記透明導電層に設置する導電装飾パッドと、前記透明導電層及び前記導電装飾パッドに設置し、前記導電装飾パッド上であってこのパッド内に開口を有する装飾層と」を備え、「前記導電装飾パッドのカラーは前記装飾層のカラーと近似していることを特徴とする」のに対し、引用発明は、そのような導電装飾パッドを備えない点。 3.判断 上記相違点について検討する。 引用発明は、黒色の遮光性印刷層94と黒色の実装用導電膜24とを備えている。フレキシブル配線基板35が、カバーガラス90の第1面90a側から見えないようにするのには、この構成で十分足りているから、引用発明において、フレキシブル配線基板35が見えないようにするために導電装飾パッドをさらに備えるようにする理由はない。 原査定で引用された引用文献2(国際公開第2008/096484号)によれば、絶縁膜18上に形成された端子25をコンタクトホール26を介して配線パターン膜17cに接続する第3パターン膜23のような、導電性パッドを備えること自体は知られた技術であったとは認められるが、導電性を有し、かつ、周辺回路を遮断して視覚上に露出することを遮断する“装飾”の機能を有する「導電装飾パッド」を備えること、さらに、「導電装飾パッドのカラーは装飾層のカラーと近似していること」までもが公知の技術とはいえない(前置報告で引用された特開2010-224081号公報にもこの点は記載されていない)から、引用発明において、上記相違点に係る本願発明の構成を採用することを当業者が容易に想到し得たということはできない。 また、他に、引用発明において、上記相違点に係る本願発明の構成を採用することが容易想到であったというべき理由は見当たらない。 以上のとおりであるから、本願発明は、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。 本願の請求項2-12に係る発明は、本願発明をさらに限定したものであるので、本願発明と同様に、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。 本願の請求項13に係る発明は、請求項1のタッチパネルの発明をタッチパネルの製造方法として捉えたものであり、請求項14に係る発明は、請求項13に係る発明をさらに限定したものであるので、本願発明と同様に、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたとはいえない。 第5 むすび 以上のとおり、本願の請求項1-14に係る発明は、当業者が引用発明に基づいて容易に発明をすることができたものではないから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2016-03-07 |
出願番号 | 特願2012-223496(P2012-223496) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06F)
P 1 8・ 571- WY (G06F) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 海江田 章裕、猪瀬 隆広 |
特許庁審判長 |
和田 志郎 |
特許庁審判官 |
千葉 輝久 山田 正文 |
発明の名称 | タッチパネル及びその製造方法 |
代理人 | 伊東 忠重 |
代理人 | 伊東 忠彦 |
代理人 | 大貫 進介 |