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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 F01L |
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管理番号 | 1311593 |
審判番号 | 不服2015-9506 |
総通号数 | 196 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-04-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-05-22 |
確定日 | 2016-03-15 |
事件の表示 | 特願2011- 24854「ロッカーアーム装置」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 8月30日出願公開、特開2012-163057、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成23年2月8日の出願であって、平成26年7月29日付けで拒絶理由が通知され、同年10月2日に意見書及び手続補正書が提出され、同年11月18日付けで最後の拒絶理由が通知され、平成27年1月23日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年2月18日付けで上記平成27年1月23日付け手続補正書でした補正が却下されるとともに同日付けで拒絶査定がされ、同年5月22日に拒絶査定審判請求がされると同時に明細書及び特許請求の範囲を補正する手続補正書が提出され、その後、当審において同年11月27日付けで拒絶理由(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、平成28年1月20日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。 第2 本願の請求項1ないし8に係る発明 本願の請求項1ないし8に係る発明は、平成28年1月20日に提出された手続補正書により補正された明細書及び特許請求の範囲並びに願書に最初に添付した図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定される、次のとおりのものであると認める。 「 【請求項1】 内燃機関(15)のカム軸(53)と、吸気ポート(42)及び排気ポート(43)を開閉するバルブ(45,47)との間に設けられる動弁系のロッカーアーム(57)を含むロッカーアーム装置において、 前記ロッカーアーム(57)は、シリンダヘッド(22)に支持されたロッカー軸(56)を介して揺動自在に支持されるための支持孔(67)を備え、前記カム軸(53)のカム(54A,54B)からの押力を受けるカムフォロア(58)を備え、前記支持孔(67)及びカムフォロア(58)が転がり軸受構造により支持され、 前記支持孔(67)を支える転がり軸受(68)は、該支持孔(67)に固定された外周のシェル(69)の内側に複数のニードル(70)が装着された形式であり、 前記カムフォロア(58)は、ロッカーアーム(57)の一端の一対の腕部(66)に保持されたカムフォロア軸(72)の周りに、複数のころ(73)を介して支持される外輪(74)を備え、前記外輪(74)及びころ(73)のカムフォロア軸(72)軸線方向の位置は前記腕部(66)によって規制され、 前記外輪(74)の外径(Dr)は、前記支持孔(67)の内径(Dh)と同等かそれ以下とされ、 前記ロッカーアーム(57)のうち、排気側ロッカーアーム(57B)において、前記カム軸(53)には同排気側ロッカーアーム(57B)と係合するデコンプ装置(65)が設けられ、同デコンプ装置(65)に設けられるデコンプカム(84)のデコンプ軸部(86)が、前記カム(54A,54B)のうちの排気カム(54B)のベース円部分(54b)の外周面の内側に支持され、前記デコンプカム(84)が前記排気側ロッカーアーム(57B)の腕部(66E)の突出部(66Ea)に対してデコンプ作用を行うようにされ、 前記排気側ロッカーアーム(57B)の前記腕部(66)は、前記デコンプカム(84)に当接する側の腕部(66E)に比して他方の側の腕部(66I)の幅が狭くなるように構成されたことを特徴とするロッカーアーム装置。 【請求項2】 前記ロッカーアーム(57)には、前記カム軸(53)の回転時におけるカムノーズ(54a)の先端の移動を妨げないよう逃げ部(78)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のロッカーアーム装置。 【請求項3】 前記内燃機関(15)は燃焼室(40)の前方にカム軸(53)とロッカー軸(56)を配置した内燃機関(15)であって、前記内燃機関のシリンダ軸線方向視において、各ロッカーアーム(57)に関して、ロッカー軸(56)の軸線(56x)とカムフォロア軸(72)の軸線(72x)間の寸法(F)が、ロッカー軸(56)の軸線(56x)とカム軸(53)の軸線(53x)間の寸法(C)より小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載のロッカーアーム装置。 【請求項4】 前記ロッカー軸(56)はシリンダヘッド(22)に対して回転不能に締付け固定されることを特徴とする請求項3に記載のロッカーアーム装置。 【請求項5】 前記カムフォロア(58)の前記カムフォロア軸(72)が中実の細径軸とされ、前記外輪(74)の半径方向の厚さが前記コロ(73)の直径より小さいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のロッカーアーム装置。 【請求項6】 隣り合うロッカーアーム(57)のそれぞれにおいて、前記腕部(66)の幅が異なる幅とされ、外側の腕部(66E)に比して、内側の腕部(66I)が幅狭の腕部とされることを特徴とする請求項1に記載のロッカーアーム装置。 【請求項7】 前記内燃機関(15)はシリンダ軸線が前上がりの前傾エンジンで、前記シリンダヘッド(22)に設けられるロッカー軸支持ボス部(55)に近接して、車両搭載状態でロッカー軸支持ボス部(55)からロッカーアーム(57)の支持孔(67)の端面に通じる給油ガイド壁(76A,76B)が形成されたことを特徴とする請求項1に記載のロッカーアーム装置。 【請求項8】 前記給油ガイド壁(76A,76B)は、シリンダヘッドカバー(23)の給油孔(75)に向かって、左右に並んでいる吸気側ロッカーアーム(57A)と排気側ロッカーアーム(57B)の左右方向外側に位置する前記ロッカー軸支持ボス部(55)に近接して設けられることを特徴とする請求項7に記載のロッカーアーム装置。」 第3 原査定の拒絶の理由について 1 原査定の拒絶の理由の概要 (1)平成26年11月18日付けで通知した拒絶理由 平成26年11月18日付けで通知した拒絶理由は、次のとおりである。 「 この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 (引用文献等については引用文献等一覧参照) ・請求項 9 ・引用文献等 1-3 ・備考 ・・・(中略)・・・ <拒絶の理由を発見しない請求項> 請求項(1-8)に係る発明については、現時点では、拒絶の理由を発見しな い。拒絶の理由が新たに発見された場合には拒絶の理由が通知される。 引 用 文 献 等 一 覧 1.特開2010-101185号公報(先の引用文献2) 2.米国特許第4674453号明細書(先の引用文献3) 3.特開平4-109010号公報(先の引用文献4) ・・・(以下略)・・・」 (2)平成27年2月18日付けでした補正却下の決定及び拒絶査定 (ア)平成27年2月18日付けでした補正却下の決定は、次のとおりである。 「 結 論 平成27年 1月23日付け手続補正書でした明細書、特許請求の範囲又は図面についての補正は、次の理由によって却下します。 理 由 平成27年 1月23日付け手続補正書でした特許請求の範囲についての補正は限定的減縮を目的とするものである。 そこで、補正後の請求項1-9に係る発明が独立して特許を受けることができる発明であるか否かについて検討する。 <請求項9について> ・・・(中略)・・・ したがって、請求項9に係る発明は引用文献1-4記載の発明に基いて当業者が容易に想到し得たものであるので、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 よって、この補正は同法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第53条第1項の規定により上記結論のとおり決定する。 引用文献等一覧 1.特開2010-101185号公報 2.米国特許第4674453号明細書 3.特開平4-109010号公報 4.特開2002-47903号公報」 (イ)平成27年2月18日付けでした拒絶査定は、次のとおりである。 「 この出願については、平成26年11月18日付け拒絶理由通知書に記載した理由によって、拒絶をすべきものです。 なお、意見書の内容を検討しましたが、拒絶理由を覆すに足りる根拠が見いだせません。 備考 平成27年 1月23日付け手続補正書は却下されているので、依然として先の拒絶理由が解消していない。」 2 原査定の拒絶の理由についての判断 (1)原査定の平成26年11月18日付け拒絶理由通知書に記載した拒絶理由は、本願の請求項9に係る発明が、引用文献等1ないし3に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。 (2)しかるに、平成28年1月20日に提出された手続補正書により、請求項9が削除された。 これにより、対象となる請求項が存在しなくなったので、原査定の拒絶の理由は成立しない。 (3)まとめ 上記(1)及び(2)のとおりであるから、原査定の拒絶の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 第4 当審拒絶理由について 1 当審拒絶理由 当審拒絶理由は、次のとおりである。 「 この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 〔刊行物〕 1.特開2010-236483号公報(以下、「引用文献1」という。) 2.特開2002-47903号公報(以下、「引用文献2」という。) 3.特開2010-101185号公報(以下、「引用文献3」という。) 4.特開2002-295218号公報(以下、「引用文献4」という。) 5.特開2005-233005号公報(以下、「引用文献5」という。) ・・・(中略)・・・ <拒絶の理由を発見しない請求項> 請求項(1-8)に係る発明については、現時点では、拒絶の理由を発見しない。拒絶の理由が発見された場合には拒絶の理由が通知される。」 2 当審拒絶理由についての判断 平成28年1月20日に提出された手続補正書により、請求項9が削除された。 よって、当審拒絶理由は解消した。 第5 むすび 以上のとおり、原査定の拒絶の理由を検討しても、その理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2016-02-29 |
出願番号 | 特願2011-24854(P2011-24854) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(F01L)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 山本 健晴 |
特許庁審判長 |
伊藤 元人 |
特許庁審判官 |
金澤 俊郎 松下 聡 |
発明の名称 | ロッカーアーム装置 |
代理人 | 中村 訓 |
代理人 | 神澤 淳子 |
代理人 | 江原 望 |