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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1311647
審判番号 不服2015-10336  
総通号数 196 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-06-02 
確定日 2016-03-15 
事件の表示 特願2013- 97163「メッセージ送受信支援システム、メッセージ送受信支援プログラム及びメッセージ送受信支援方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年11月20日出願公開、特開2014-219767、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年5月2日の出願であって、平成27年2月25日付けで拒絶査定がされ、これに対し、平成27年6月2日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がされたものである。


第2 平成27年6月2日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)の適否
1.補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を、
「 ネットワークを介して、メッセージの送受信を行なうメッセージ処理部を備えたユーザ端末を含むメッセージ送受信支援システムであって、
前記ユーザ端末のメッセージ処理部が、
コンテンツを管理する複数のリソースからコンテンツを取得して一覧表示するアグリゲータを備えたコンテンツビューと、
前記コンテンツビューにより一覧表示されたコンテンツにおいて共有を指示されたコンテンツのリソース情報を特定する共有部と、
他のユーザ端末からのメッセージをタイムライン画面に表示するとともに、前記リソース情報を含めたメッセージを送信し、前記タイムライン画面に表示する会話ビューとを備え、
前記タイムライン画面において、複数のリソースで公開されているコンテンツをメッセージとして含める場合には、前記アグリゲータを用いて、複数のコンテンツの一覧リストが表示されたアグリゲート画面を出力し、
前記アグリゲート画面において選択されたコンテンツについて共有可能が入力された場合には、前記会話ビューがタイムライン画面において、前記コンテンツを含めたメッセージを出力することを特徴とするメッセージ送受信支援システム。」
とする補正(以下、「補正事項1」という。)を含んでいる。

2.補正の適否
本件補正の補正事項1は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「ユーザ端末のメッセージ処理部」について、「前記タイムライン画面において、複数のリソースで公開されているコンテンツをメッセージとして含める場合には、前記アグリゲータを用いて、複数のコンテンツの一覧リストが表示されたアグリゲート画面を出力し、前記アグリゲート画面において選択されたコンテンツについて共有可能が入力された場合には、前記会話ビューがタイムライン画面において、前記コンテンツを含めたメッセージを出力する」という限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。

(1)刊行物の記載事項、引用発明、補正発明との対比
原査定の拒絶の理由に引用された「田口和裕,Google+ Perfect GuideBook,日本,株式会社ソーテック社,2012年 1月31日,初版,p.80-82, 90-101, 212-214」(以下、「刊行物」という。)の記載を技術常識に照らせば、次のことがいえる。
ア.刊行物で説明されているGoogle+は、ソーシャル・ネットワーキング・サービスの一種であり、「ネットワークを介して、メッセージの送受信を行なうメッセージ処理部を備えたユーザ端末」といい得るユーザ端末において利用されるものである。そして、そのユーザ端末と、上記サービスを提供するサーバからなるシステムは、全体として、「ネットワークを介して、メッセージの送受信を行なうメッセージ処理部を備えたユーザ端末を含むメッセージ送受信支援システム」といい得る。
イ.刊行物のp.92-94の記載によれば、上記ア.でいうユーザ端末のメッセージ処理部は、共有すべきコンテンツを表示可能なものであり、そのコンテンツの表示機能は、「コンテンツビュー」と呼ばれるものによって実現されるのが普通である。
ウ.刊行物のp.80-82,90-91に説明されている「ストリーム」は、他のユーザ端末からのメッセージや、自端末からのメッセージを流れのように表示するものであり、「タイムライン画面」の一種といえる。また、そのタイムライン画面の表示と、メッセージの送受信の機能は、上記ア.でいうユーザ端末のメッセージ処理部における「会話ビュー」と呼ばれるものによって実現されるのが普通である。
エ.刊行物のp.80-82の記載とp.92-94の記載を併せ見ると、上記上記ア.でいうユーザ端末のメッセージ処理部は、「コンテンツについて共有可能が入力された場合には、前記会話ビューがタイムライン画面において、前記コンテンツを含めたメッセージを出力する」ように動作する。

以上を踏まえると、刊行物には、次の点で補正発明と一致する発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。
「 ネットワークを介して、メッセージの送受信を行なうメッセージ処理部を備えたユーザ端末を含むメッセージ送受信支援システムであって、
前記ユーザ端末のメッセージ処理部が、
コンテンツビューと、
他のユーザ端末からのメッセージをタイムライン画面に表示するとともに、メッセージを送信し、前記タイムライン画面に表示する会話ビューとを備え、
コンテンツについて共有可能が入力された場合には、前記会話ビューがタイムライン画面において、前記コンテンツを含めたメッセージを出力するメッセージ送受信支援システム。」

そして、補正発明と引用発明とは次の点で相違する。
(相違点1)
補正発明においては、「コンテンツビュー」が、「コンテンツを管理する複数のリソースからコンテンツを取得して一覧表示するアグリゲータ」を備えるものとされ、「ユーザ端末のメッセージ処理部」が、「前記タイムライン画面において、複数のリソースで公開されているコンテンツをメッセージとして含める場合には、前記アグリゲータを用いて、複数のコンテンツの一覧リストが表示されたアグリゲート画面を出力し、前記アグリゲート画面において選択されたコンテンツについて共有可能が入力された場合には、前記会話ビューがタイムライン画面において、前記コンテンツを含めたメッセージを出力する」ものとされているのに対し、引用発明においては、「コンテンツビュー」は、補正発明でいう「アグリゲータ」に相当するものを備えるものとはされておらず、「ユーザ端末のメッセージ処理部」は、補正発明のように「前記タイムライン画面において、複数のリソースで公開されているコンテンツをメッセージとして含める場合には、前記アグリゲータを用いて、複数のコンテンツの一覧リストが表示されたアグリゲート画面を出力し、前記アグリゲート画面において選択されたコンテンツについて共有可能が入力された場合には、前記会話ビューがタイムライン画面において、前記コンテンツを含めたメッセージを出力する」ものとはされていない点。

(相違点2)
補正発明においては、「ユーザ端末のメッセージ処理部」が、「前記コンテンツビューにより一覧表示されたコンテンツにおいて共有を指示されたコンテンツのリソース情報を特定する共有部」を有するものとされ、「会話ビュー」が「前記リソース情報を含めたメッセージ」を送信するものとされているのに対し、引用発明においては、「ユーザ端末のメッセージ処理部」は、補正発明のような「共有部」を有するものとはされておらず、「会話ビュー」は、「前記リソース情報を含めたメッセージ」を送信するものとはされていない点。

(2)判断
当審は、引用発明において相違点1に係る補正発明の構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たこととはいえないと判断する。理由は次のとおりである。
ア.拒絶査定に引用文献3-5として引用された文献や、前置報告書に引用文献2、3として引用された文献の記載によれば、「アグリゲータ」と呼ばれるものによって、複数のリソースからコンテンツを取得して一覧表示すること自体は、本願出願前に周知であったと認められる。
イ.しかしながら、それらの文献のいずれにも、「ユーザ端末のメッセージ処理部」といい得る部分に「アグリゲータ」を設け、その「アグリゲータ」用いて、「複数のコンテンツの一覧リストが表示されたアグリゲート画面」を「共有可能とするコンテンツを選択可能な形態」で出力するようにすることや、「そのアグリゲート画面で選択され、共有可能が入力されたコンテンツ」を、タイムライン画面に出力するよう、会話ビューと連動させることまでを示す記載や、そうすることを示唆する記載は見当たらない。そしてそのようにすることまでを、当業者が適宜なし得たこととはいえない。
ウ.以上のことは、拒絶査定や前置報告書で呈示された文献の記載を考慮しても、引用発明において相違点1に係る補正発明の構成を採用することは、当業者が容易になし得たこととはいえないことを意味している。
エ.ほかに、引用発明において、相違点1に係る補正発明の構成を採用することを、当業者が容易に想到し得たことと言うべき理由を発見しない。

以上のとおりであるから、相違点2について検討するまでもなく、補正発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

ほかに、補正発明を出願の際独立して特許を受けることができないものと言うべき理由は見当たらない。

よって、本件補正の補正事項1は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。

本件補正のその余の補正事項についても、特許法第17条の2第3項ないし第6項に違反するところはない。


第3 本願発明
本件補正は上記のとおり、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合するから、本願の請求項1-6に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?6に記載された事項により特定されるとおりのものである。
そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2016-02-29 
出願番号 特願2013-97163(P2013-97163)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
P 1 8・ 575- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 宮久保 博幸  
特許庁審判長 和田 志郎
特許庁審判官 山澤 宏
小曳 満昭
発明の名称 メッセージ送受信支援システム、メッセージ送受信支援プログラム及びメッセージ送受信支援方法  
代理人 恩田 博宣  
代理人 恩田 誠  

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