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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A47K
管理番号 1311867
異議申立番号 異議2015-700219  
総通号数 196 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2016-04-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2015-11-26 
確定日 2016-03-04 
異議申立件数
事件の表示 特許第5742077号「洗面化粧台」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第5742077号の請求項に係る特許を維持する。 
理由 1 手続の経緯
特許第5742077号の請求項1、2に係る特許についての出願は、平成22年12月14日に特許出願され、平成27年5月15日に特許権の設定登録がされ、その後、その特許に対し、特許異議申立人大場道生により特許異議の申立てがされたものである。


2 本件発明
特許第5742077号の請求項1、2に係る特許についての出願は、その特許請求の範囲の請求項1、2に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
床上に設置されるフロアキャビネットと、
前記フロアキャビネットの上部に設けられたボウル部を有する洗面カウンターと、
前記ボウル部の奥側上方に設けられた鏡と、
前記ボウル部に向けた吐水口を有する水栓と、
前記フロアキャビネットの前面上部における前記ボウル部の前方に設けられ、前記ボウル部の前面を隠す収納部と、
を備えた洗面化粧台であって、
前記ボウル部の前面は上面視にて使用者側に膨出する曲面を有し、
前記収納部の後面は前記ボウル部の前面と同様に上面視にて使用者側に膨出する曲面を有し、
さらに、前記収納部の裏から前記フロアキャビネットの奥行方向に延びる一対のインナーレールが設けられ、かつ、前記フロアキャビネットの上部には、前記フロアキャビネットの奥行方向に延びる一対のアウターレールが設けられており、
前記収納部は、前記インナーレールを前記アウターレールに係合させることで前記アウターレールに案内されて前後に引き出し自在に構成されることを特徴とする洗面化粧台。

【請求項2】
前記収納部は載置自在なトレイを備え、前記収納部の後面に沿うように、上面視にて使用者側に膨出する曲面を有することを特徴とする請求項1記載の洗面化粧台。」


3 申立理由の概要

特許異議申立人は、請求項1に係る発明について、特開2007-143646号公報(以下「刊行物1」という。)、特開2001-204641号公報(以下「刊行物2」という。)、特開2006-346336号公報(以下「刊行物3」という。)、実願平2-21606号(実開平3-112080号)のマイクロフィルム(以下「刊行物4」という。)、特開2003-164345号公報(以下「刊行物5」という。)、特開2009-183604号公報(以下「刊行物6」という。)、特開2009-66193号公報(以下「刊行物7」という。)を提出し、請求項2に係る発明について、刊行物1ないし刊行物7に加えて、特開2010-75326号公報(以下「刊行物8」という。)を提出し、請求項1、2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、同法第113条第2号の規定に該当し、その特許は取り消されるべきものである旨主張している。
なお、申立理由において、刊行物1ないし刊行物8の何れの刊行物を主たる証拠とするかについては明確にされていない。


4 刊行物に記載された事項

(1) 刊行物1に記載された事項
刊行物1には、以下の記載がある。

ア 「【0001】
この発明は、洗面化粧台においてカウンターに連続して一般的に備えられている幕板部分に前面側から開閉される収納部又は前面側から抜き差し自在な抽斗を設けて、主として洗面化粧に用いられる各種物品等を収納し、また、必要に応じて当該物品等の置き場所として用いうるようにした洗面化粧台の提供に関する。」

イ 「【0020】
まず、第1の発明を実施するための最良の形態に係る洗面化粧台Aは、カウンター30に平行な仕切り板14によってキャビネット10上部に構成される収納空間70aの前面開口70bを蓋体17で開閉し得るようにしてある収納部70を備え、しかも、この蓋体17を前記開口70bを閉じる起立状態から当該蓋体17の上部側を手前側の下方に向けて当該蓋体17をほぼ水平状態に支持し得る位置まで回動自在となるように構成してある。
【0021】
なお、ここで洗面化粧台Aは、洗面ボールがキャビネットに一体に備えられている洗面化粧台であっても、洗面ボールを一体に備えたカウンターがキャビネットに備えられている洗面化粧台であっても、また、洗面ボールを組み付けたカウンターがキャビネットに備えられている洗面化粧台等、いかなる形態の洗面化粧台であってもよく、多くの場合、化粧鏡部や、照明装置等を備えて構成される。
【0022】
また、この洗面化粧台Aを構成するキャビネット10は、当該キャビネット10の上部に、カウンター30に平行な仕切り板14によって構成される収納空間70aを有し、しかも、この収納空間70aの前面開口70bを回動自在な蓋体17によって開閉し得るようにしてあると共に、この蓋体17を当該開口70bを塞ぐ直立状態から、ほぼ水平状態に支持され得る位置まで、その上端側を下方に向けて回動自在となるように構成してあれば、いかなる構成のキャビネットとしてあってもよく、例えば、開閉自在に当該蓋体17によって塞がれる収納空間70aの下方を、当該キャビネットの前面側に備えられた開き扉等によって開閉可能に閉じ得る収納空間として構成してあっても、また、この開閉自在に当該蓋体17によって塞がれる収納空間70aの下方を、当該キャビネットの前面側から出し入れし得る抽斗を備えた構成としてあっても、更に、この開閉自在に当該蓋体17によって塞がれる収納空間70aの下方における当該キャビネットの前面側を開放状態にして、この収納部70を構成する仕切り板14の下方に当該洗面化粧台Aの前方に備えられる椅子等に座って洗面化粧をなす人の脚部分の納め入れ空間としたり、車椅子の先端部分の納め入れ空間として構成する等、いかなる構成のキャビネットとしてあってもよい。また、前記蓋体17は、具体的には、前記開口70bを塞ぐ直立状態において当該蓋体17における下部側をキャビネット10部分、具体的には、開口70bの下部側を構成するキャビネット10部分、例えば、側板12や仕切り板14等に対して回動可能に組み付けてあり、当該キャビネット10部に対する組み付け部を回動中心線として、この開口70bを塞ぐ直立状態から当該蓋体17の上部側をキャビネット10の前方に向けて倒し出すように開口70bを開き出すと共にほぼ水平状態で支持され得るように構成してある。
【0023】
また、ここで用いられるカウンター30は、洗面ボールを一体に備えたカウンターとしてあっても、また、洗面ボールを当該カウンターに備えられている穴内に組み付けるようにして構成してあっても、さらに、洗面ボールを当該カウンター上に組み付けるように構成してある等、いかなる形態のカウンターであっても良い。また、かかるカウンター30は、人工大理石、ステンレススチール等いかなる素材によって構成してあってもよく、一枚のプレート体等によって構成してあっても、また、複数枚を積層したプレート状に構成してあってもよい。
【0024】
このように構成される洗面化粧台Aにあっては、キャビネット10上部にあって、カウンター30の下方に収納部70が構成してあることから、カウンター30における各種の洗面化粧等に際して、このカウンター30に近接して当該収納部70に収納されている洗面化粧用品等を容易に取り出し用い、かつ、容易に収納保管することができる。
【0025】
また、このように構成される洗面化粧台Aにあっては、洗面化粧台Aの前側下方に向けて開き出されてほぼ水平状態に支持された蓋体17の面17bを、洗面化粧に際して使用される各種洗面化粧用品等の置き場所として用いることができ、洗面化粧時における使い勝手の良好な作業スペースとして用いることができる。
【0026】
かかる構成からなる洗面化粧台Aにおける前記蓋体17を、これが水平状態に支持された際に、その上面17bと前記仕切り板14の上面14aとがほぼ同面となるようにした構成とすることによって、前記特長に併せて、この蓋体17の面17bと仕切り板14の面14aとを洗面化粧時におけるが一連に連続した作業スペースとして用いることができる。
【0027】
また、第2の発明を実施するための最良の形態に係る洗面化粧台Aは、キャビネット10上部に、当該キャビネット10の前面側からカウンター30に沿って出し入れし得る抽斗90を備えた構成としてある。」

ウ 「【0057】
この図10?図11に示される洗面化粧台Aにあっては、キャビネット10の上部に、前記各実施例における収納部70に替えて、抽斗90が当該キャビネット10の前面側からカウンター30に沿うように出し入れ自在に設けてある。
【0058】
かかる洗面化粧台Aに備えられる抽斗90は、この図示例にあっては、底板91を取り囲むように前板94及び後側板92と両側板93、93とで構成される上面開口の浅い箱状としてあり、前板94の前面部に当該抽斗90の引き出し操作に都合の良い取っ手97を備えた構成としてあって、この前板94がキャビネット10の各側板12、12の前端面を覆うように左右側にやや延びた構成としてある。そして、この抽斗90が、キャビネット10に備えられている各桟、この図示例にあっては、前端面が前記キャビネット10の側板12の前端面と面一になるように当該各側板12、12間にわたって備えられている前桟19と、この前桟19に連続してキャビネット10の各側板12、12に備えられている横桟20とによって支持されて、当該キャビネット10の前面側から取っ手97を用いて当該キャビネット10内に出し入れし得るように構成してある。
【0059】
なお、この抽斗90を構成する前板94は、当該抽斗90をキャビネット10内に押し入れた際に、キャビネット10における各側板12、12の前端面と前記前桟19の前端面の上部側とを覆った状態で、その上端面がカウンター30の下面に接し又は近接するように構成してあり、キャビネット10の前面上部側をすっきりとした構成とするようにしてある。
【0060】
かかる抽斗90を備えたキャビネット10における当該抽斗90の下方において、当該キャビネット10における各側板12、12と後側板13と台輪11とによって前面側が開口された収納空間80aが構成してあり、この開口を前記前桟19の前端面下部側に当接した状態で閉じる一対の開き戸18、18によって開閉自在とされた収納部80が設けてある。
【0061】
なお、この図示例に係る抽斗90は、底板91に、後側板92を含むように当該後側板92から前板94に向けて平面視でU字状をなす欠切部95が設けてあり、この後側板92から当該欠切部95縁に沿って底板91上に起立するガード板96を備えた構成としてあって、当該抽斗90に収納した洗面化粧品等が当該欠切部95から落下しないように構成してある。そして、この抽斗90をキャビネット10の上部、すなわち、開き戸18の上部内側面が当接する前桟19と前記各横桟20、20とをガイドに当該前桟19と各横桟20上に乗せた状態でキャビネット10内に差し入れ、前記排水管42と給水・給湯管43とを前記欠切部95に受け入れるように押し込み、前板94を当該キャビネット10の各側板12の前端面と前桟19の前端面とに当接させた状態に収納する。
【0062】
このように構成される洗面化粧台Aにあっては、洗面化粧時に当該洗面化粧に供される洗面化粧用品をカウンター30の下面に沿って備えられている抽斗90から容易に取り出し用いることができ、また、洗面化粧後に、これらの洗面化粧用品を容易に当該抽斗90に収納保管することができる。
【0063】
また、かかる構成からなる洗面化粧台Aにあっては、キャビネット10の前方に向けて抽斗90を引き出し状態にして、この抽斗面を洗面化粧時における作業スペースとして洗面化粧用品等を一時的に適宜並べ置く手段として用いることができる。」

(2) 刊行物2に記載された事項
刊行物2には、以下の記載がある。

ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は壁掛け式洗面器に設置される収納に関するものである。」

イ 「【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、請求項1の発明は壁掛け式洗面器に設置される収納において、洗面器下部から床上面の間で収まる収納部を有することを特徴とする。本発明の解決手段を用いることによって、収納部が床面から浮いているので足元がすっきりとし、使い勝手が向上する。また、モップや雑巾、掃除機等が使いやすくなり、洗面器や周辺の壁、床の清掃性も向上する。
【0005】請求項2の発明は、壁掛け式洗面器に設置される収納において、洗面器下部平面のデッドスペースを利用した収納部を有することを特徴とする。本発明によれば、洗面器平面部及び別に設けた棚、または洗面器下部床面に物を置く必要がなくなり、使い勝手や上記清掃性も向上し、見た目も美しく整理して物を収納することができる。
【0006】請求項3の発明は、壁掛け式洗面器に設置される収納において、洗面所で収納する物に応じて収納部の高さを変えられることを特徴とする。本発明によれば、使用者が収納したい物や量に応じて収納部の大きさを選択することができる。
【0007】請求項4の発明は、壁掛け式洗面器に設置される収納において、上記収納部の扉を引き出し式としたことを特徴とする。本発明によれば、小物類を収納しやすく、物も取り出しやすくなるので、使い勝手が良い。また、収納した物にほこりや汚れが付着するのを防ぎ、収納物を隠しておけるので見た目も良い。
【0008】請求項5の発明は、壁掛け式洗面器に設置される収納において、上記収納部の扉を回転式としたことを特徴とする。本発明によれば、小物類を収納しやすく、物も取り出しやすくなるので使い勝手が良くなり、開けた時に収納物が見やすい。また、収納した物にほこりや汚れが付着するのを防ぎ、収納物を隠しておけるので見た目も良い。
【0009】請求項6の発明は、壁掛け式洗面器に設置される収納において、上記収納部をオープン式の構成にしたことを特徴とする。本発明によれば、収納した物が外から見ることができ、また物も取り出しやすくなるので、使い勝手が向上する。
【0010】請求項7の発明は、上記収納部の構成を上記3つのいずれかを組み合せたことを特徴とする。本発明によれば、上記3つの構成のそれぞれが持つ使い勝手の良さを同時に得ることができる。」

ウ 上記イを踏まえて図3(a)を見ると、引き出し式の扉に設けられた収納部が、ボウル部の側方のみに設けられている(前方に設けられていない)ことが見てとれる。

エ 上記イを踏まえて図3(b)を見ると、回転式の扉に設けられた収納部の後面が、ボウル部の前面と同様に上面視にて使用者側に膨出する曲面を有することが見てとれる。

(3) 刊行物3に記載された事項
刊行物3には、以下の記載がある。

ア 「【0003】
本発明が解決しようとしている課題は、上記したような従来の問題を解決して、キャビネット本体の上部の狭い空間に包丁等の調理具や歯ブラシ等の化粧具等の小物類を安定して収納することができる引出しを組み込んだ水洗槽付キャビネットを提供することにある。
【0004】
前記のような課題を解決した本発明の水洗槽付キャビネットは、上部開口に水洗槽が嵌め込まれたキャビネット本体の上部前面に引出し用開口を形成し、このキャビネット本体の前記水洗槽の前側面と引出し用開口との間に形成される奥行きの短い空間には、引出し用開口を前面から塞ぐ前飾板と、この前飾板の背面に連設されて小物入れ用のポケット部を形成する受底部と、該受底部の後部に連結されて引出し時に前記したポケット部の開口の奥行きを拡げる小物類落下防止用の遮蔽部材とよりなる引出しを装着したことを特徴とするものを基本とする。」

イ 図1及び図3から、ガイド部材20が引出し3の側面部から奥行き方向に延びていることが見てとれる。

(4) 刊行物4に記載された事項
刊行物4には、以下の記載がある。

ア 「[産業上の利用分野]
本考案は、洗面化粧台の下方空間へ出し入れ自在に配置されるダストボックス兼用のスツールに関するものである。」(第1頁第15?18行)

イ 「第1図及び第2図は本考案の一実施形態に係るものであり、第1図は洗面化粧台11へスツール12を組みこんだ斜視図、第2図はスツール12の分解斜視図である。第2図に示すように、スツール12は、半円形筒状を成した箱体であるスツール本体13と、該スツール本体13の内部空間14へ嵌合装着されるダストボックス15と、スツール本体13の上部側に着脱自在に取り付けられるシートとしての天蓋16とを有している。そして、スツール本体13の側面には、塵芥等の投入口17が開口されている。
このようにして成されたスツール12は、第1図に示すように、洗面化粧台11のキャビネット18に、アーム19,19及び踏板20を介してスライド自在に取り付けられている。従って、スツール12は、洗面器21の下方空間22に対して自由に出し入れすることが可能である。なお、スツール本体13の下面側には、スライドを円滑にするためのキャスター23が取り付けられている。」(第4頁第7行?第5頁第4行)

ウ 「スライド機構は、各種のものが公知であり、これらを適宜選択して使用するようにすればよい。」(第6頁第10、11行)

(5) 刊行物5に記載された事項
刊行物5には、以下の記載がある。

ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、主に洗面化粧台、流し台等の引出し前板の構造に関するものであり、特に、洗面化粧台のカウンタ下で利用するのに適した引出しの前板構造に関するものである」

イ 「【0012】
【発明の実施の形態】本願発明を図により説明する。図1は、本願発明の引出し前板構造を洗面化粧台の幕板の両袖部に適用した場合の実施例の全体図を示すものである。図1において、洗面化粧台1の洗面ボール付カウンタ2は、樹脂で一体成形され、開口寸法は、750?1000mmと大きい。キャビネット3に据付られた洗面ボール付カウンタ2の洗面ボール下部を隠すため、カウンタの下に幕板4を取り付ける。カウンタの両袖部を有効に活用するため、両袖部に引出し5、5を設ける。
【0013】図2は、本願発明の引出し前板構造6と引出し7との関係を示すものである。引出し7は、洗面化粧台等のキャビネット3等に固定されたレール8にローラ9を介して摺動自在に懸架される。引出し前面10に本願発明の引出し前板構造6の背面部が連結される。
【0014】図3、図4に示されるように、引出し前板構造6は、その背面にほぼ矩形の基板部11を有し、基板部11には、補強用リブ12と連結用ビス孔13が形成される。前記連結用ビス孔13に、ワッシャ14を介して連結用ビス15を螺合して、引出し7の前面10に引出し前板構造6を連結する。図中の符号16は、後述する基板部11に型抜き穴を形成した場合、その型抜き穴を塞ぐための、引出し前板構造6とは別体として成形される塞ぎ部材である。
【0015】図3、図4に示されるように、引出し前板構造6は、前記基板部11の表側上部に膨出部17が形成される。膨出部17の上部には、上面が開放され小物入れ等の収納部18が形成される。膨出部17の前面20の下部には、下面が開放された手掛け部19が形成される。
【0016】この実施例においては、引出し前板構造6の膨出部17の前面20は、下方に行くにに従がって内側に向かって曲線的に傾斜している。このように構成することにより、図1に示されるような洗面化粧台1の幕板4の両袖部の引出しの前板構造と利用した場合、使用者が洗面化粧台1の前に立って使用する際、引出し前板構造6の前面20が、内側(洗面ボール付カウンタ側)に傾斜しているので、使用者側に凸部がなく使い勝手が良い。」

(6) 刊行物6に記載された事項
刊行物6には、以下の記載がある。

ア 「【0001】
本発明は、洗面台下部に引き出し可能に取り付けられた踏み台兼収納庫に関する。」

イ 「【0010】
図1と図2に示すように、本実施形態の洗面台1は洗面ボウル11、キャビネット12および水栓13によって構成されており、洗面台1の下部に踏み台兼収納庫2が移動手段であるスライドレール3を介して引き出し可能に取り付けられている。また、図示しないが、洗面台1の上方には、前面に鏡が取り付けられたミラーキャビネットが設置されている。
【0011】
前記踏み台兼収納庫2の構造について説明する。図3に示すように、踏み台兼収納庫2は前板21、前向板22、後向板23、左側板(図示せず)、右側板24、底板25、キャスター26および天板27によって構成されている。前板21、前向板22、後向板23、左側板、右側板24、底板25、キャスター26はそれぞれダボ、ねじまたは接着剤で組み立てられ、天板27は例えば丁番(図示せず)を介して後向板23に取り付けられ、踏み台兼収納庫2を構成している。なお、前記踏み台兼収納庫2の構成はあくまで一例であり、構成部材の数や組み立て、取り付け方法などの設計変更は可能である。
【0012】
図2に示すように、踏み台兼収納庫2を全開状態にすると天板27を開いたり外したりすることができ、踏み台兼収納庫2の内部は収納として使用することが可能な収納空間が形成されている。」

(7) 刊行物7に記載された事項
刊行物7には、以下の記載がある。

ア 「【0001】
この発明は、流し台のキャビネットを構成する幕板の内面側に包丁とまな板を収納できるように構成された流し台の改良に関する。」

イ 「【0013】
なお、ここで図1および図2は、実施の形態にかかる流し台1の上部を断面にして示しており、図2においては引き出し体20を引き出しきった状態を示している。また、図3はかかる引き出し体20とその支持機構とを理解しやすいように前板21となる幕板11と化粧板10fの記載を省略してこれらを示しており、図4は図3に示される各部材を分離させた状態として示している。また、図5は前板21と棚板22とを接合する部材の構造を理解しやすいように示しており、また、図6は棚板22を、図7は引き出し体20に備えられる仕切り体23の要部を、さらに、図8は前板21の内面に取り付けられる包丁ホルダー25を、それぞれ示している。
【0014】
この実施の形態にかかる流し台1は、流し台1の基本構造に大幅な変更を生じさせることなく、そのキャビネット10を構成する幕板11の内方側に適切に包丁Nとまな板Pを収納できるようにしたものである。
【0015】
流し台1を構成するキャビネット10は、左右に側板10a、10aを有し、上部に天板10bを備える。図中符号10cシンクであり、符号10e見付である。シンク10cの前面は化粧板10fによって覆われる。
【0016】
図示の例では、シンク10cの前方において左右側板10a、10aの上部側に亘って前桟10gが備えられている。この前桟10gの直下位置には、上方に溝口を向けた断面コ字状の長尺材10hが左右側板10a、10a間に亘るように配されている。図示の例では、この長尺材10hは、3段引きのスライドレール13のアウターレール13aに取り付けられた状態で側板10aの内面に取り付けられてこの側板10aにスライドレール13を固定させるレール固定パーツ14の前側上部に形成された折出し片14aにその端部を固定されて前記のように左右側板10a、10a間に亘るように配されている。前記化粧板10fは、前桟10gの背面に上部を固定させると共に、その下部を長尺材10hの溝に入れ込んで支持されている。長尺材10hの下端のレベルはシンク10cの底部10dよりもやや低い位置にあり、後述する引き出し体20の棚板22に載置できるまな板Pやその他の物品の大きさを規制するようになっている。すなわち、かかる長尺材10hは、引き出し体20の棚板22に載置されたまな板Pなどの物品の上端レベルが高すぎる場合に、こうした物品を載置した状態での引き出し体20の押し込みによりこうした物品の上端がシンク10cの底部10dに当たってシンク10cを傷つけることがないように機能する。
【0017】
幕板11は、この化粧板10fの前方にあって、この化粧板10fとの間にやや隙間12を開けて、この化粧板10fとこの化粧板10fの両側に位置される側板10aの端部を前方から覆うように備えられるものである。この実施の形態にかかる流し台1は、かかる幕板11を前板21とした引き出し体20を有するものである。
【0018】
シンク10cの下方は収納空間10iとされる。流し台1の前面側であって幕板11の下方にはこの収納空間10iの開口を塞ぐ扉板15が位置される。この収納空間10iに別途の引き出しを納める場合にはこの引き出しの前板が幕板11の下方に位置される。幕板11の外面とかかる扉板15の外面とは略同面上に位置される。
【0019】
引き出し体20は、板前端部側で前記前板21に接合されると共に、板上面をまな板Pの載置面22aとした棚板22を備えてなる。まな板Pはその一面を棚板22の載置面22aに接しさせるようにして棚板22上に載置される。棚板22の板後端部には、載置されたまな板Pの後端に対する当接部22bが形成されている。この引き出し体20の棚板22の前後寸法は、基本的には、引き出し体20を押し込みきった状態でこの棚板の板後端部がシンク10cの図示しない排水パイプに突き当たらない大きさに設定される。」

ウ 図1?5から、インナーレール13bが包丁ホルダー25の側面部から奥行き方向に延びていることが見てとれる。

(8) 刊行物8に記載された事項
刊行物8には、以下の記載がある。

ア 「【0001】
この発明は、ボウルや水栓等が取付けられたカウンターの下部に、引出し収納部を有する洗面台に関する。」

イ 「【0017】
図1の符号1は本発明の洗面台である。この洗面台1は、ボウル6を備えるカウンター7の下部が引出しとなっており、上下2段の引出しにより構成される。洗面台1の幅は900mm、奥行長さが450mmであり、カウンター7の高さは800mmで、上段引出し2の前板高さが136mmで、下段引出し3の前板高さが486mmで、ケコミ部1eの高さが46mmである。特に本発明の洗面台1は、大物収納物と小物収納物を収納効率よく収納するため、上下2段の引出しの収納空間高さに差を持たせるべく構成しており、下段引出し3の前板3aの高さを上段引出し2の前板2aの高さの3倍以上となるように構成している。このように高さ配分することにより、一般的なカウンター高さの800mm内に高さの高い大物収納物と高さの低い小物収納物が収納効率を高めて収納できるようにしており、上段引出し2に高さの低い小物収納物を収納する。
【0018】
上段引出し2は、図2に示す如く、上方が解放された前板2aと底板2bと両側側板2cと背板2dからなる箱体であり、背板2dは配管スペース等で必要に応じ奥側が凹み形状2fで構成される。この上段引出し2は、図示しない洗面台1の側板1c内側に設けられた固定レールと側板2cに設けられた移動レールにより前後にスライド可能である。また、本実施例では、上段引出し内は仕切り板で区切っていないが、図2に示す如く、上段引出し内に内部を小区画に仕切り板で区切った整理トレー2eが着脱自在に設けられるようにしている。このようにすることで、収納する小物物品を整理整頓でき、また、整理トレー2eに汚れが付着した場合は取外して洗剤で清掃することができるので、引出し内を清潔に維持することができる。」


5 判断

(1) 請求項1に係る発明について

ア 請求項1に係る発明は、使用者側に上面視膨出したボウル部の前方に収納部を設けた際の課題、具体的には、ボウル部前方という元々狭く限られた空間をなるべく多く収納部として確保しつつ、使用者がトレイの後ろ側に何かを落とした際にもその落下物に対してこすりつけるような力がかかるはさみこみによる破損を低減すること(発明の詳細な説明の段落【0005】を参照。)を解決すべき課題として、

「フロアキャビネットの前面上部における前記ボウル部の前方に設けられ、前記ボウル部の前面を隠す収納部」(以下「構成A」という)に関して、

「収納部の後面は前記ボウル部の前面と同様に上面視にて使用者側に膨出する曲面を有し、さらに、前記収納部の裏から前記フロアキャビネットの奥行方向に延びる一対のインナーレールが設けられ、かつ、前記フロアキャビネットの上部には、前記フロアキャビネットの奥行方向に延びる一対のアウターレールが設けられており、前記収納部は、前記インナーレールを前記アウターレールに係合させることで前記アウターレールに案内されて前後に引き出し自在に構成される」(以下「構成B」という。)ようにしたものである。

イ 上記アに記載した課題は、構成Bのうち、「後面は前記ボウル部の前面と同様に上面視にて使用者側に膨出する曲面を有し」た「収納部」を採用し、これを「前後に引き出し自在に構成される」こと(以下「構成Ba」という。)によって解決されるところ、さらに、構成Baを実現するために「収納部」に対して設けられる、「一対のインナーレール」を、「収納部の裏から前記フロアキャビネットの奥行方向に延びる」ようにすること(以下「構成Bb」という。)によって、インナーレールを設けるために収納部を幅方向に小さくすることなく(収納部の容量を犠牲にすることなく)、インナーレールをフロアキャビネットの奥行き方向に長く設けることができる(収納部を引き出す際のガタツキを生じにくくできる)、との効果を得るものである。

イ これに対し、刊行物1ないし刊行物8の何れにも、構成Ba、構成Bbは記載されていない。

ウ 刊行物2には、構成Baに関して、「後面は前記ボウル部の前面と同様に上面視にて使用者側に膨出する曲面を有し」た「収納部」に相当する構成は記載されているものの(上記4(2)エを参照。)、当該「収納部」は「前後に引き出し自在に構成される」ものではない。
ここで、「収納部」を「前後に引き出し自在に構成」する場合、収納部の両端にスライドレール等のガイド部材を配置する関係上、刊行物2の図3(a)に記載された実施形態(上記4(2)ウを参照。)のように、ボウル部の側方のみに収納部を設ける(ボウル部の前方に収納部を設けない)ようにするのが普通である。

エ また、特許異議申立人は構成Bbが刊行物3ないし刊行物7に記載されている旨主張しているので、この点についても検討する。

(ア)刊行物3には、引出し3の側面部から奥行き方向に延びるガイド部材20は記載されているものの(上記4(3)を参照。)、引出し3の裏から奥行き方向に延びるガイド部材20は記載されていない。
よって、刊行物3に構成Bbに相当する事項は記載されていない。

(イ)刊行物4、刊行物6に記載された事項は、それぞれ、収納式スツール、踏み台兼収納庫に関するものであり、キャスターと共に用いられるものでもあるので(上記4(4)及び(6)を参照。)、構成Bbの前提となる構成Aを適用可能、または、構成Aに適用可能な事項とはいえない。

(ウ)刊行物5に記載された事項は、カウンタの両袖部(ボール部の側方)に設けられる、小物入れ等の収納部18と引出し7を奥行き方向に連結した構成に関するものであって(上記4(5)を参照。)、構成Bbの前提となる構成Aを適用可能、または、構成Aに適用可能な事項とはいえない。

(エ)刊行物7には、包丁ホルダー25の側面部から奥行き方向に延びるインナーレール13bは記載されているものの(上記4(7)を参照。)、包丁ホルダー25の裏から奥行き方向に延びるインナーレール13bは記載されていない。
よって、刊行物7には、構成Bbに相当する構成は記載されていない。
なお、刊行物7に記載された包丁ホルダー25は、前板21の内面に取り付けられることにより引き出し体20と共に用いられるものなので、構成Bbの前提となる構成Aを適用可能、または、構成Aに適用可能なものともいえない。

(オ)以上から、上記主張は採用できない。

(2)請求項2に係る発明について

請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明を更に減縮したものであるから、上記請求項1に係る発明についての判断と同様の理由により、当業者が刊行物1ないし8に記載の発明に基いて容易になし得たものではない。

以上のとおり、請求項1、2に係る発明は、当業者が刊行物1ないし刊行物8に記載の発明に基づいて容易になし得たものではない。


6 むすび

したがって、特許異議申立の理由及び証拠によっては、請求項1、2に係る特許を取り消すことはできない。

また、他に請求項1、2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2016-02-23 
出願番号 特願2010-277883(P2010-277883)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (A47K)
最終処分 維持  
前審関与審査官 七字 ひろみ  
特許庁審判長 赤木 啓二
特許庁審判官 住田 秀弘
谷垣 圭二
登録日 2015-05-15 
登録番号 特許第5742077号(P5742077)
権利者 TOTO株式会社
発明の名称 洗面化粧台  
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