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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01B
管理番号 1312288
審判番号 不服2015-7798  
総通号数 197 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-04-27 
確定日 2016-03-10 
事件の表示 特願2010-275469「ワイヤハーネス製造装置及びワイヤハーネス製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 6月28日出願公開、特開2012-124090〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成22年12月10日の出願であって、平成26年7月10日付けの拒絶理由通知に対して、同年9月1日に意見書及び手続補正書が提出され、平成27年3月11日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年4月27日に拒絶査定を不服とする審判の請求がなされたものである。

第2.本願発明に対する判断
1.本願発明
本願の請求項1ないし請求項7に係る発明は、平成26年9月1日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし請求項7に記載されている事項によって特定されるものであって、そのうち、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。

「 ワイヤハーネスを製造する製造装置であって、
前記ワイヤハーネスに取り付けられる外装部品を形成する複数の成形機と、
複数の電線を所要形態に布線する結き具を有する布線板と、を備え、
前記布線板は、所定の走行経路を走行するように設けられ、
前記複数の成形機は、前記走行経路に沿って配置されていることを特徴とするワイヤハーネス製造装置。」

2.引用例の記載事項と引用発明
(1)引用例
本願の出願前に日本国内において頒布され、原査定の根拠となった拒絶理由通知で引用された刊行物である、特開2002-245876号公報(以下「引用例」という。)には、「ワイヤハーネスの製造方法及び製造装置」(発明の名称)に関して、図1?図3とともに、以下の事項が記載されている。(下線は、参考のため、当審において付したものである。以下同じ。)。

ア.「【0025】図2は本発明の他の実施形態のワイヤハーネス組立工場W内に設けられた同一品種大量生産型のワイヤハーネスの製造装置10′を示す概略説明図である。
【0026】図2に示すように、この同一品種大量生産型のワイヤハーネスの製造装置10′はワイヤハーネス組立工場W内に備えられ、複数の電線11に端子13とコネクタ(成形品)16等の組付部品をそれぞれ組み付けて一定量(一定数)のワイヤハーネスW/Hを製造するワイヤハーネスの製造方法に用いられるものである。」

イ.「【0028】また、ワイヤハーネス組立工場W内の同一フロアの電線加工装置18′の隣りには、一定量のコネクタ(組付部品)16を製造する成形機(組付部品製造機)17と、端子付き電線Hとコネクタ16をストックする部品ストア19′とをそれぞれ備えている。尚、この部品ストア19′には、クリップ(成形品)やプロテクタ(成形品)等のその他の組付部品21もストックされる。このその他の組付部品21は図示しない成形機等によりワイヤハーネス組立工場W内で製造したり、部品製造工場より搬入されるようになっている。
【0029】さらに、ワイヤハーネス組立工場W内の同一フロアの部品ストア19′の隣りには、端子付き電線Hとクリップやプロテクタ等のその他の組付部品21とを組み付けてワイヤハーネスW/Hを製造する組立コンベア(組立ライン)22を配置してある。」

ウ.「【0033】尚、前記各実施形態によれば、部品ストアにクリップやプロテクタ等の他の組付部品をストックさせて組立コンベア上に供給するようにしたが、クリップやプロテクタ等を製造する成形機を組立コンベアに対向するように設けて直接供給するようにしても良い。」

(2)引用発明
ア.引用例の段落【0025】の「図2は本発明の他の実施形態のワイヤハーネス組立工場W内に設けられた同一品種大量生産型のワイヤハーネスの製造装置10′を示す概略説明図である。」という記載から、引用例には、「ワイヤハーネスの製造装置10′」が記載されている。

イ.引用例の段落【0033】の「尚、前記各実施形態によれば、部品ストアにクリップやプロテクタ等の他の組付部品をストックさせて組立コンベア上に供給するようにしたが、クリップやプロテクタ等を製造する成形機を組立コンベアに対向するように設けて直接供給するようにしても良い。」という記載から、引用例には、「クリップやプロテクタ等を製造する成形機」が記載されている。

ウ.引用例の段落【0029】の「さらに、ワイヤハーネス組立工場W内の同一フロアの部品ストア19′の隣りには、端子付き電線Hとクリップやプロテクタ等のその他の組付部品21とを組み付けてワイヤハーネスW/Hを製造する組立コンベア(組立ライン)22を配置してある。」という記載から、引用例には「端子付き電線Hとクリップやプロテクタ等のその他の組付部品21とを組み付けてワイヤハーネスW/Hを製造する組立コンベア(組立ライン)22」が記載されている。

エ.引用例の段落【0033】の「尚、前記各実施形態によれば、部品ストアにクリップやプロテクタ等の他の組付部品をストックさせて組立コンベア上に供給するようにしたが、クリップやプロテクタ等を製造する成形機を組立コンベアに対向するように設けて直接供給するようにしても良い。」という記載から、引用例には「クリップやプロテクタ等を製造する成形機を組立コンベアに対向するように設けて直接供給する」ことが記載されている。

オ.以上のア?エの開示内容を総合すると、引用例には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「ワイヤハーネスの製造装置10′であって、
クリップやプロテクタ等を製造する成形機と、
端子付き電線Hと前記クリップや前記プロテクタ等のその他の組付部品21とを組み付けて前記ワイヤハーネスW/Hを製造する組立コンベア(組立ライン)22と、を備え、
前記クリップや前記プロテクタ等を製造する前記成形機を前記組立コンベアに対向するように設けて直接供給する前記ワイヤハーネスの製造装置10′。」

3.対比
(1)本願発明と引用発明との対比
本願発明と引用発明とを対比する。

ア.引用発明における「ワイヤハーネスの製造装置10′」は、本願発明における「ワイヤハーネスを製造する製造装置」に相当する。

イ.引用発明では、「端子付き電線H」と「クリップ」や「プロテクタ」等のその他の組付部品21とを組み付けて「ワイヤハーネスW/H」を製造していることから、引用発明における「クリップ」や「プロテクタ」等は「ワイヤハーネスW/H」に取り付けられているものと認められる。
したがって、引用発明における「クリップやプロテクタ等を製造する成形機」と、本願発明における「前記ワイヤハーネスに取り付けられる外装部品を形成する複数の成形機」とは、「前記ワイヤハーネスに取り付けられる外装部品を形成する成形機」という点で共通する。

ウ.引用発明における「クリップやプロテクタ等を製造する成形機」は、「組立コンベア」に「対向」するように設けられているものであるから、引用発明における「クリップやプロテクタ等を製造する成形機」は、「組立コンベア」の経路付近に設けられているものと認められる。
また本願発明における「複数の成形機」は、「走行経路に沿って配置」されていることから、本願発明における「複数の成形機」は、「走行経路」付近に配置されているものと認められる。
したがって、引用発明における「クリップやプロテクタ等を製造する成形機を組立コンベアに対向するように設け」ることと、本願発明における「前記複数の成形機は、前記走行経路に沿って配置されている」こととは、「成形機は、経路付近に配置されている」という点で共通する。

(2)一致点と相違点
したがって、本願発明と引用発明とは、以下の点で一致するとともに、以下の点で相違する。

≪一致点≫
「 ワイヤハーネスを製造する製造装置であって、
前記ワイヤハーネスに取り付けられる外装部品を形成する成形機、を備え、
前記成形機は、経路付近に配置されていることを特徴とするワイヤハーネス製造装置。」

≪相違点1≫
本願発明は、「成形機」を「複数」有しているのに対して、引用発明では、「クリップやプロテクタ等を製造する成形機」が複数であるか特定されていない点。

≪相違点2≫
本願発明は、「複数の電線を所要形態に布線する結き具を有する布線板」を備え、「前記布線板は、所定の走行経路を走行するように設けられ」ているのに対して、引用発明では、「端子付き電線H」と「クリップ」や「プロテクタ」等のその他の組付部品21とを組み付けて「ワイヤハーネスW/H」を製造する「組立コンベア(組立ライン)22」の具体的な構成が特定されていない点。

≪相違点3≫
本願発明は、「複数」の「成形機」が、「布線板」の「走行経路」に沿って配置されているのに対して、引用発明では、「クリップ」や「プロテクタ」等を製造する「成形機」を「組立コンベア」に対向するように設けられている点。

4.当審の判断
(1)相違点1に対する判断
ア.引用発明において、「成形機」は、「クリップ」や「プロテクタ」等を製造するものであるから、引用発明における「成形機」は、「クリップ」や「プロテクタ」等の複数種類の部品を製造するものである。
他方、複数種類の部品を製造する「成形機」を、複数台の「成形機」で構成するか、それ以外の構成、例えば、1台の「成形機」と部品毎の金型で構成するかは、当業者が適宜選択し得る設計的事項である。
また、仮に引用発明において、一種類のクリップ又はプロテクタ等しか成形機で製造しないとしても、当該一種類のクリップ又はプロテクタ等を製造するにあたり、作業効率等を考慮して複数台の成形機で製造することは、当業者が適宜選択し得た設計事項といえる。
したがって、引用発明において、「クリップやプロテクタ等を製造する成形機」を複数台の「成形機」で構成することに、何ら困難性は認められない。

(2)相違点2に対する判断
ア.ワイヤハーネスを組み立てる際の具体的な構成として、複数の電線を所要形態に布線する結き具を有する布線板を用いるとともに、輪(無端)状の移動経路やエンドレスのコンベアーを用いる製造ラインに沿って、布線板を所定の走行経路を走行するように設ける技術は、以下に示す周知例1?2に記載されるように周知の技術である(以下「周知技術1」という。)。

イ.周知例1:特開2004-356021号公報
本願の出願前に日本国内において頒布され、原査定の根拠となった拒絶理由通知で引用された刊行物である、特開2004-356021号公報には、「ワイヤハーネス組立装置及びワイヤハーネス組立方法」(発明の名称)に関して、図1?3、12、13とともに、次の記載がある。

a.「【0035】
布線板10は、図13に示すように、工場のフロア上などに複数設置される。布線板10は、フロア上の輪(無端)状の移動経路100に沿って移動されながら、作業員などによりサブハーネス3a,3bが布線される。このとき、布線板10は、例えば、矢印Kに沿って移動する。矢印Kは、不線板10の移動方向をなしている。
【0036】
布線板10は、図1ないし図3、図12に示すように、板本体14と、複数の結き具15とを備えている。板本体14は、平板状に形成されている。板本体14の表面14aには、前述したサブハーネス3a,3b即ちワイヤハーネス2などの図示しない布線パターンが形成されている。布線パターンは、サブハーネス3a,3b即ちワイヤハーネス2を自動車などに配索(配線)するパターンと同等である。
【0037】
結き具15は、布線板10の板本体14の表面14a上に設置されている。 結き具15は、図2及び図3に示すように、支柱16と、電線保持部17とを一体に備えている。支柱16は、布線板10の板本体14から立設している。電線保持部17は、図3に示すように、側方から見てU字状に形成されている。電線保持部17は、支柱16の上端に連なっている。
【0038】
結き具15は、前記表面14a上に形成された布線パターンに応じて配されている。結き具15は、布線板10に布線されるワイヤハーネス2の前述した分岐点7と電線4の端末4aとのそれぞれに対応して設けられている。結き具15は、分岐点7と端末4aとの近傍に配されている。
【0039】
結き具15は、電線保持部17内に電線4をとおして、サブハーネス3a,3b即ちワイヤハーネス2を布線する。前述した構成の布線板10は、結き具15に電線4を引っ掛けて、該電線4を折り曲げて、前述した分岐点7を形成して、前述した布線パターンどおりに、サブハーネス3a,3b即ちワイヤハーネス2を布線(配線または配索ともいう)する。」

ウ.周知例2:特開平7-130237号公報
本願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である、特開平7-130237号公報には、「ワイヤーハーネスの保持器並びにこれを用いたワイヤーハーネスの保持機構および保持方法」(発明の名称)に関して、図1、2とともに、次の記載がある。

a.「【0030】以上のような保持器10は、ワイヤーハーネスWHの製造ラインに、種々の方法で利用することができる。先ず、ワイヤーハーネスWHの組立工程においては、以下の製造ラインにおいて利用することが可能である。図1および図2を参照して、上記製造ラインは、エンドレスのコンベヤー1に採用されている。このコンベヤー1には、多数の移動台2が連設されており、この移動台2を工程毎に順次移動させるようにしている。これにより、各移動台2は、図2において時計回りに搬送されるようになっている。この製造ラインでは、上流側に、集束電線Wを結束してワイヤーハーネスWHを構成するハーネス組立ラインALを設けている。また、下流側には、組立ラインALで組み立てられたワイヤーハーネスWHに、外装部品Pを取り付ける部品接続ラインCLが設けられている。外装部品Pは、具体的にはコネクタ、クランプ、プロテクタ、コルゲートチューブ、グロメット等であり、これらの外装部品Pは、製造されるワイヤーハーネスWHの種類に応じて集束電線Wの所定位置に接続される。
【0031】図1によく示されているように、移動台2は、パイプやアングル材等を組み合わせて構成されている金属製のフレーム体であり、このフレーム体は、キャスター3により移動可能に支持されている。移動台2を構成しているフレーム体の側部は、上記コンベヤー1に連設されるためのガイドローラ機構4を備えている。次に、組立ラインALでワイヤーハーネスWHを製造するために、上記移動台2には、図板20が固定されている。図板20は、手前に向かって緩い下り傾斜が付くように移動台2の上にビス止めされている。
【0032】図板20の上には、ワイヤーハーネスWHの最終形態に対応した組立図が描かれている。この組立図は、外装部品Pの種類や取付け位置を示されている。さらに図板20の上には、ワイヤーハーネスWHの集束電線Wを保持するための治具21と、上記外装部品Pを検出して検出信号を出力するための検出用治具22と、検出用治具22の出力信号に基づいて、外装部品Pの接続表示を行なうコントローラ24とを備えている。」

エ.引用発明では、「組立コンベア(組立ライン)22」において、「端子付き電線H」を組み付けて「ワイヤハーネスW/H」を製造していることから、引用発明に上記周知技術1を適用して、引用発明の「組立コンベア(組立ライン)22」の具体的な構成として、複数の電線を所要形態に布線する結き具を有する布線板を用いるとともに、輪(無端)状の移動経路やエンドレスのコンベアーを用いる製造ラインに沿って、布線板を所定の走行経路を走行するように設ける構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たものと認められる。

(3)相違点3に対する判断
ア.搬送しながら組立を行う装置において、組立に必要な部品の供給源を、経路に沿って複数配置する技術は、以下に示す周知例3?4に記載されるように周知の技術である(以下「周知技術2」という)。

イ.周知例3:特開2001-283657号公報
本願の出願前に日本国内において頒布され、原査定の根拠となった拒絶理由通知で引用された刊行物である、特開2001-283657号公報には、「ワイヤーハーネスのサブアッセンブリ製造方法および製造装置」(発明の名称)に関して、図1とともに、次の記載がある。

a.「【0030】まず、図1を参照して、同図に示す生産ラインは、最終的なワイヤーハーネスの仕上げ加工を行うメインラインMLと、このメインラインMLに対して枝状に接続される複数のサブアッセンブルラインSLとを有しており、幾つかのサブアッセンブルラインSLには、オプション回路をストックするためのオプションステーションOSが設けられている。
【0031】上記メインラインMLは、ワイヤーハーネスを布線するための布線板11を周知のコンベヤーで搬送する形式のものである。このメインラインMLの布線板11上では、後述するサブアッセンブルラインSLで製造されたサブアッセンブリM(図14参照)同士をグロスアッセンブルして最終形態のワイヤーハーネスを構成したり、グロメットやコルゲートチューブ等の外装部品を取り付けたりする作業が主として行われる。」

b.「本発明の実施の一形態に係るワイヤーハーネスの生産ラインを示す斜視図」である図1には、メインラインMLに沿ってサブアッセンブルラインSLを複数配置することが記載されている。

ウ.周知例4:特開平11-197964号公報
本願の出願前に日本国内において頒布された刊行物である、特開平11-197964号公報には、「製品組み立てシステムおよび移動式作業台」(発明の名称)に関して、図6とともに、次の記載がある。

a.「【0002】
【従来の技術】図6によって、従来の技術に基づく製品の組み立てシステムを説明する。
【0003】なおここで用いる用語としての製品は、完成したもののみならず、半完成品あるいは製品を完成させるための基本構造物から順次部品を追加して行く過程にあるものすべてを指すものとする。
【0004】作業フロア51には、コンベアライン52が敷設され、組み立てを要する製品は前記のコンベアライン52の上を順次移動する。
【0005】準備エリア61に集約された部品は、当初から組み立て作業の対象とするものをコンベアライン52に載置して移動させ、組み立てエリア62において順次必要な部品の取り付けを行ない、調整試験エリア63において前記の製品に必要な性能試験等を行ない、ランニング試験エリア64に滞留させた状態で連続通電試験等を実施した後、出荷梱包等の工程に移動させる。
【0006】前記の組み立てエリア62において組み立てに必要な部品はあらかじめそれぞれの棚68に準備されており、コンベアライン52を移動してきた製品にあわせて必要な部品を前記の棚68より取り出す。したがって、コンベアライン52を移動してきた製品にあわせるべき部品がなくなれば、前記のコンベアライン52の動きは停止する。」

b.「従来の技術による製品組み立てシステムを示す模式図」である図6には、コンベアライン52に沿って、複数の棚68を配置することが記載されている。

エ.引用発明は、「端子付き電線H」と「クリップ」や「プロテクタ」等のその他の組付部品21とを組み付けて「ワイヤハーネスW/H」を製造する「組立コンベア(組立ライン)22」を備えるものであるから、引用発明は、「組立コンベア(組立ライン)22」で「ワイヤハーネスW/H」を製造する、すなわち、搬送しながら「ワイヤハーネスW/H」の組立を行うものと認められる。また、引用発明において、「クリップやプロテクタ等を製造する成形機」は「クリップ」や「プロテクタ」を「組立コンベア」に「直接供給」するものであるから、引用発明における「成形機」は、「組立コンベア」に部品を供給する供給源であるといえる。さらに、上記3.(1)ウ.に記載したとおり、引用発明において、「クリップやプロテクタ等を製造する成形機」は、「組立コンベア」の経路付近に設けられているものと認められる。
そして、上記4.(1)ア.に記載したとおり、引用発明において、「クリップ」や「プロテクタ」等の複数種類の部品を製造する「成形機」を、複数台の「成形機」で構成することは、当業者が適宜選択し得る設計的事項であり、また、上記4.(3)ア.に記載したとおり、搬送しながら組立を行う装置において、組立に必要な部品の供給源を、経路に沿って複数配置する技術は周知の技術であるから、引用発明において、「クリップやプロテクタ等を製造する成形機」を複数台の「成形機」で構成するとともに、「組立コンベア」に部品を供給する「成形機」を、搬送経路に沿って複数台配置することは、当業者が容易に想到し得たものと認められる。
また、仮に引用発明が一種類のクリップ又はプロテクタ等を製造するものであったとしても、当該一種類のクリップ又はプロテクタ等を製造する複数台の成形機を搬送経路に沿って配置することは、当業者が適宜なし得ることである。
さらに、上記4.(2)エ.に記載したとおり、引用発明に上記周知技術1を適用して、引用発明において、「組立コンベア(組立ライン)22」の具体的な構成として、複数の電線を所要形態に布線する結き具を有する布線板を用いるとともに、輪(無端)状の移動経路やエンドレスのコンベアーを用いる製造ラインに沿って、布線板を所定の走行経路を走行するように設ける構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たものと認められる。
よって、引用発明に上記周知技術1及び周知技術2を適用することで、相違点3の構成とすることは、当業者が容易に発明できたものである。

(4)審判請求人の主張
ア.審判請求人は、審判請求書において、
「本願請求項1、5に記載の発明の構成を具備することで初めて、「外装部品の在庫保管スペースが省略され、外装部品の在庫管理の手間が省かれる」といった卓越した効果が奏されるのであり、このような効果は、組み付け部品を一旦部品ストアやサブアッセンブルライン近傍にストックすることが示唆される引用文献1、3の発明からは、如何に他の引例と組み合わせようとも到底奏し得ません。」
と主張している。

イ.しかしながら、本願の請求項1に記載された発明は、「ワイヤハーネスに取り付けられる外装部品を形成する複数の成形機」を「走行経路に沿って配置」することを特定するが、外装部品の物流の態様は何ら特定するものではないから、例えば、事前に成形機で外装部品を多数形成して、在庫保管スペースにおいて在庫管理するものを含むといえる。してみれば、外装部品が必要になると、その都度、成形機で必要な個数だけ外装部品を形成することを前提とするような上記ア.の主張は、本願の特許請求の範囲の記載に基づくものではなく、この主張は当を得ていない。
なお、仮に本願の請求項1に記載された発明を、審判請求人が主張するように「外装部品の在庫管理の手間が省かれる」という効果を奏するような構成を有する発明であると解したとしても、引用発明は、クリップやプロテクタ等を製造する成形機を組立コンベアに対向するように設けて「直接供給」するものであるから、引用発明において、当該成形機で製造されるクリップやプロテクタ等の外装部品については、「外装部品の在庫保管スペースが省略され、外装部品の在庫管理の手間が省かれる」という効果を有することは自明といえる。
したがって、いずれにせよ、審判請求人の前記主張は採用することはできない。

5.小括
以上のとおりであるから、相違点1乃至3は、周知技術を勘案すれば、引用発明から当業者が容易に想到し得た範囲に含まれる程度のものである。
したがって、本願発明は、引用発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものと認められる。

第3.結言
以上の通り、本願発明は、引用例1に記載された発明と周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
したがって、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-01-06 
結審通知日 2016-01-12 
審決日 2016-01-27 
出願番号 特願2010-275469(P2010-275469)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 神田 太郎  
特許庁審判長 鈴木 匡明
特許庁審判官 加藤 浩一
中田 剛史
発明の名称 ワイヤハーネス製造装置及びワイヤハーネス製造方法  
代理人 瀧野 文雄  
代理人 川崎 隆夫  
代理人 津田 俊明  
代理人 鳥野 正司  
代理人 瀧野 秀雄  

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