ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 取り消して特許、登録 G06F 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F |
---|---|
管理番号 | 1312353 |
審判番号 | 不服2015-15262 |
総通号数 | 197 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-05-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-08-14 |
確定日 | 2016-03-29 |
事件の表示 | 特願2013-197973「コンポーネント表示処理方法およびユーザデバイス」拒絶査定不服審判事件〔平成25年12月19日出願公開、特開2013-254528、請求項の数(18)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、2011年1月28日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2010年1月28日 中国)を国際出願日とする特願2012-549245号の一部を、平成25年9月25日に新たな特許出願としたものであって、平成26年8月15日付けで拒絶理由が通知され、平成27年4月3日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年8月14日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。 第2.平成27年8月14日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)の適否 1.補正の内容 本件補正は、特許請求の範囲の請求項1を、 「【請求項1】 ユーザによって移動可能であるコンポーネントが処理待ち状態にあることを示す指示情報をユーザ機器によって得る段階と、 前記指示情報に従って、コンテナ中の前記ユーザ機器の表示画面上に表示された表示領域に対して縮小処理を前記ユーザ機器によって実施する段階とを含み、 前記コンテナのサイズが前記表示画面のサイズよりも大きく、前記コンテナが、コンポーネントを収容するための、前記表示画面の外側に対応する隠れ領域と前記表示領域とを含み、 前記表示画面は前記表示領域が縮小された後に前記隠れ領域を表示する、コンポーネント表示処理方法。」 とする補正(以下、「補正事項1」という。)を含んでいる。(下線は補正事項を示している。) 2.補正の適否 本件補正のうち上記補正事項1は、補正前の請求項2に記載された「コンテナ」を、「前記コンテナのサイズが前記表示画面のサイズよりも大きく」とし、また、「コンテナ」の「隠れ領域」を、「コンポーネントを収容するための、前記前記表示画面の外側に対応する」として限定したものであって、補正前の請求項2に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。 そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。 (1)刊行物の記載事項 原査定の拒絶の理由に引用された特開2002-341990号公報(以下、「刊行物1」という。)には、次の記載がある。(下線は当審において付加した。) ア.「【0001】 【産業上の利用分野】この発明は複数の操作ウィンドウをモニタ画面上に表示できるマルチウインドウ機能を有する情報処理装置において,迅速なウインドウ処理操作を提供することのできる情報処理装置,その制御プログラム,及び該制御プログラムを格納した記憶媒体に関するものである。」(2頁2欄) イ.「【0005】 【実施の形態】続いて添付した図面を参照して本発明を具体化した実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。ここに図1は本実施の形態に係る情報処理装置の構成を示す概念図,図2は同情報処理装置における処理手順を示すフローチャートである。この実施形態に係る情報処理装置Hは,概略図1に示すようにモニタ画面を表示するディスプレイ装置1と,モニタ画面上の位置を指定するポインティングデバイスの入力装置2と,各アプリケーションのウィンドウ制御モジュール3とそれらを管理するマルチウィンドウ管理モジュール4と,時間管理モジュール5と,各種情報を記憶する外部記憶装置6を具備し,マルチウインドウ機能と,ドラッグアンドドロップ機能を達成するような公知のハードウエア要素を具備して構成されている。次に上記各モジュールによる本実施形態に係る制御手順について図2のフローチャートを参照して説明する。なお以下の説明中のS1,S2,…は処理手順(ステップ)の番号を示す。前記ディスプレイ装置1にアプリケーションに対応する操作ウィンドウが複数表示されている時(S1),前記マルチウィンドウ管理モジュール4は,マウス等のポインティングデバイスのポインタの座標を常時監視し,検出する(S2)。上記S2において,ポインタの座標が機能表示の一例であるXボタン上にあるとマルチウインドウ管理モジュール4が判断した場合(S3),次にドラッグ状態であるかどうかをチェックする(S4)。ドラッグ状態で,Xボタン上にポインタがある場合は,時間管理モジュール5のタイマを始動或いは限時動作を継続させる(S5)。次に時間管理モジュールが一定時間経過しているかどうかチェックし(S6),経過していない場合は,S2に戻って引き続きポインタの位置座標を検出する。こうして,ポインタがXボタン上にある間はS2?S6の処理が繰り返されるが,やがて時間管理モジュール5で設定した所定時間が経過すると(S6),マルチウィンドウ制御モジュール4はアプリケーション制御モジュールを通して,Xボタンの付された操作ウインドウを最小化する制御を行い(S7),更にタイマをクリアすると共に(S8),引き続き従来どおりのウィンドウ作業が行われる(S9)。 【0006】一方,(S4)でドラッグ状態で無い場合,或いは(S5)でXボタン上にポインタが無い場合は,いずれも時間管理モジュール5のタイマをクリアして停止させ(S8),従来どおりのウィンドウ作業を行う(S9)。上記作業を行う事によって,ドラッグ状態を維持したままで操作ウインドウを最小化させる事が出来,操作ウインドウに隠れていた領域への速やかなドロップが可能になる。図4は上記図2の手順に伴うウィンドウの変化を示す画面の実例である。まず,複数のアプリケーションソフトを動作させる。この時,各アプリケーションに関連する操作ウィンドウの配置や大きさを気にする必要は無い。(4-1)は従来技術の(3-2)と同じケースを想定しており,アプリケーションAの操作ウインドウWaがアプリケーションBによる操作ウインドウWbを完全に隠しているので,ウインドウWaにあるアイコンをドラッグし,ウインドウwbへドロップする事が出来ない場合があることを示している。上記ケースにおいて,ウインドウWaからウインドウWb上のウインドウWaに隠れている部分にアイコンをドラッグアンドドロップするには,まず,ウインドウWa上のアイコンをドラッグし,ドラッグしたままでポインタをウインドウWa上のXボタン上に移動させ,Xボタン上に一定時間停留させる(4-2)。 ポインタが一定時間Xボタン領域上に停留すると,アプリケーションAの操作ウィンドウWaの最小化が実行され,ウインドウWaの下に隠れていた操作ウインドウWbが現れる。この時,ドラッグした状態を維持したままになっているので,ドラッグしているアイコン等をアプリケーションBの操作ウインドウWbへドロップさせる事が可能になる。(4-3)」(3頁4欄?4頁5欄) ウ.「【0007】 【実施例】上記実施形態においては,機能表示の一例である操作ウインドウを閉じる機能を表すXボタン上にドラッグ中のポインタを所定時間置くと,その操作ウインドウを最小化するケースが説明された。本発明の要旨はこの実施の形態に限定されない。例えば,ポインタを最小化機能をあらわる「-」ボタン上に置いた場合に,ウインドウの最小化が行なわれ,「X」ボタン上に置かれた場合に,そのウインドウに関連するアプリケーションの終了が行なわれ,逆に最大化ボタン上に置かれた場合に,ウインドウの最大化を実行するようにしても良い。このように本発明の要旨は,ドラッグ状態にあるポインタがウインドウに付された機能表示上に置かれたまま所定時間が経過した時に,予めその機能表示に関連付けられた機能が達成されることであり,機能表示の種類は上記の例に限定されず,また機能表示に関連付けられた機能も前記の例に限定されるものではない。」(4頁5?6欄) エ.「【0008】本発明では,この機能を持つことで,アイコン等をドラッグしている状態でも,ポインタを所定の機能ボタンなどの機能表示上に移動させ,一定時間停留するだけで操作ウインドウを最小化したり,アプリケーションを終了させたり,等の種々の機能を達成できるので,複雑なキー操作はまったく必要なくポインタの一連の動作により作業をよりスムーズに進行させる事が出来,事前にドロップ先を画面上に配置しておくという面倒な操作も必要も無くなり,作業の効率化が計れる。」(4頁6欄) そして、刊行物1の上記記載事項を刊行物の関連図面と技術常識に照らせば次のことがいえる。 a.上記ア.の記載によれば、刊行物1には、迅速なウインドウ処理操作を提供することのできる情報処理装置が記載されており、さらに、上記イ.及び図2には、該情報処理装置のウインドウ処理操作の制御手順が記載されており、刊行部1には、情報処理装置Hのウインドウ処理操作の制御方法が記載されていると認められる。 b.上記イ.の段落【0005】の記載によれば、情報処理装置Hは、モニタ画面を表示するディスプレイ装置1と、モニタ画面上の位置を指定するポインティングデバイスの入力装置2と、各アプリケーションのウィンドウ制御モジュール3とそれらを管理するマルチウィンドウ管理モジュール4と、時間管理モジュール5と、各種情報を記憶する外部記憶装置6を具備している。 c.上記イ.の段落【0005】、上記ウ.、及び図2の記載によれば、刊行物1のウインドウ処理操作の制御方法は、ディスプレイ装置1にアプリケーションに対応する操作ウィンドウを複数表示するステップS1、前記マルチウィンドウ管理モジュール4は、マウス等のポインティングデバイスのポインタの座標を常時監視し、検出するステップS2、上記検出するステップS2において、ポインタの座標が操作ウィンドウに付された機能表示の一例であるXボタン上にあるとマルチウインドウ管理モジュール4が判断するステップS3、次にドラッグ状態であるかどうかをチェックするステップS4、ドラッグ状態で,前記Xボタン上にポインタがある場合は、上記時間管理モジュール5のタイマを始動或いは限時動作を継続させるステップS5、次に上記時間管理モジュール5が一定時間経過しているかどうかチェックするステップS6、該ステップS6において一定時間が経過していない場合は、上記ステップS2に戻って引き続きポインタの位置座標を検出し、ポインタが前記Xボタン上にある間はS2?S6の処理が繰り返され、上記ステップS6で上記時間管理モジュール5で設定した所定時間が経過すると、上記マルチウィンドウ制御モジュール4はアプリケーション制御モジュールを通して、前記Xボタンの付された前記操作ウインドウを最小化する制御を行うステップS7、更にタイマをクリアすると共にステップS8、引き続き従来どおりのウィンドウ作業が行うステップS9からなっている。 そして、上記イの段落【0006】の図4に関する記載によれば、図2の上記ウインドウ処理操作の制御方法を、アプリケーションAの操作ウインドウWaがアプリケーションBによる操作ウインドウWbを完全に隠しているので、ウインドウWaにあるアイコンをドラッグし、ウインドウWbへドロップする事が出来ない場合に適用し、アプリケーションAの操作ウィンドウWaを最小化することで、隠れていた操作ウインドウWbが現れアイコンを実行ウインドウWbへドロップする事が可能になることが記載されている。 したがって、刊行物1には、アプリケーションAの操作ウインドウWaがアプリケーションBによる操作ウインドウWbを完全に隠している際に、上記ウインドウ処理操作の制御方法を適用し、ディスプレイ装置1に、アプリケーションAの操作ウインドウWaがアプリケーションBによる操作ウインドウWbを完全に隠すように表示するステップS1、前記マルチウィンドウ管理モジュール4は、マウス等のポインティングデバイスのポインタの座標を常時監視し、検出するステップS2、上記検出するステップS2において、ポインタの座標が操作ウィンドウWaに付された機能表示の一例であるXボタン上にあるとマルチウインドウ管理モジュール4が判断するステップS3、次にドラッグ状態であるかどうかをチェックするステップS4、ドラッグ状態で、前記Xボタン上にポインタがある場合は、上記時間管理モジュール5のタイマを始動或いは限時動作を継続させるステップS5、次に上記時間管理モジュール5が一定時間経過しているかどうかチェックするステップS6、該ステップS6において一定時間が経過していない場合は、上記ステップS2に戻って引き続きポインタの位置座標を検出し、ポインタが前記Xボタン上にある間はS2?S6の処理が繰り返され、上記ステップS6で上記時間管理モジュール5で設定した所定時間が経過すると、上記マルチウィンドウ制御モジュール4はアプリケーション制御モジュールを通して、前記Xボタンの付された前記操作ウインドウWaを最小化する制御を行うステップS7、更にタイマをクリアすると共にステップS8、引き続き従来どおりのウィンドウ作業が行うステップS9からなっており、アプリケーションAの操作ウインドウWaがアプリケーションBによる操作ウインドウWbを完全に隠している際でも、ウインドウWaにあるアイコンをドラッグし、その後、ドラッグしたままでポインタをウインドウWa上のXボタン上に移動させ、Xボタン上に一定時間停留させることで、アプリケーションAの操作ウィンドウWaを最小化することで、隠れていた操作ウインドウWbが現れアイコンを操作ウインドウWbにドロップする事が可能になる、ウインドウ処理操作の制御方法が記載されているといえる。 以上総合すると、刊行物1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。 〈引用発明〉 「モニタ画面を表示するディスプレイ装置1と、モニタ画面上の位置を指定するポインティングデバイスの入力装置2と、各アプリケーションのウィンドウ制御モジュール3とそれらを管理するマルチウィンドウ管理モジュール4と、時間管理モジュール5と、各種情報を記憶する外部記憶装置6を具備する情報処理装置Hにおける、ウインドウ処理操作の制御方法であって、 ディスプレイ装置1に、アプリケーションAの操作ウインドウWaがアプリケーションBによる操作ウインドウWbを完全に隠すように表示するステップS1、 前記マルチウィンドウ管理モジュール4は、マウス等のポインティングデバイスのポインタの座標を常時監視し、検出するステップS2、 上記検出するステップS2において、ポインタの座標が操作ウィンドウWaに付された機能表示の一例であるXボタン上にあるとマルチウインドウ管理モジュール4が判断するステップS3、 次にドラッグ状態であるかどうかをチェックするステップS4、 ドラッグ状態で、前記Xボタン上にポインタがある場合は、上記時間管理モジュール5のタイマを始動或いは限時動作を継続させるステップS5、 次に上記時間管理モジュール5が一定時間経過しているかどうかチェックするステップS6、 該ステップS6において一定時間が経過していない場合は、上記ステップS2に戻って引き続きポインタの位置座標を検出し、ポインタが前記Xボタン上にある間はS2?S6の処理が繰り返され、 上記ステップS6で上記時間管理モジュール5で設定した所定時間が経過すると、上記マルチウィンドウ制御モジュール4はアプリケーション制御モジュールを通して、前記Xボタンの付された前記操作ウインドウWaを最小化する制御を行うステップS7、 更にタイマをクリアすると共にステップS8、引き続き従来どおりのウィンドウ作業が行うステップS9からなっており、 アプリケーションAの操作ウインドウWaがアプリケーションBによる操作ウインドウWbを完全に隠している際でも、操作ウインドウWaにあるアイコンをドラッグし、その後、ドラッグしたままでポインタをウインドウWa上のXボタン上に移動させ、Xボタン上に一定時間停留させることで、アプリケーションAの操作ウィンドウWaを最小化することで、隠れていた操作ウインドウWbが現れ前記アイコンを操作ウインドウWbにドロップする事が可能になる、 ウインドウ処理操作の制御方法」 (2)対比 補正発明と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 ア.補正発明の「コンポーネント」は、明細書の段落【0003】に「・・・。多くのコンポーネント、例えば様々なアプリケーションプログラムのショートカット、ウィジェット、ファイル、またはPC中のフォルダが配置されることがあるが、これは、ユーザがこれらのコンポーネントを使用して、対応する操作、例えばファイルを開くことや対応するアプリケーションプログラムを開始することを実施するのに便利である。」と記載されていることから、引用発明の「アイコン」は、補正発明の「コンポーネント」に相当する。 そして、引用発明の「ウインドウ処理操作の制御方法」は、「アプリケーションAの操作ウインドウWaがアプリケーションBによる操作ウインドウWbを完全に隠している際でも、操作ウインドウWaにあるアイコンをドラッグし、その後、ドラッグしたままでポインタを操作ウインドウWa上のXボタン上に移動させ,Xボタン上に一定時間停留させることで、アプリケーションAの操作ウィンドウWaを最小化することで、隠れていた操作ウインドウWbが現れ前記アイコンを操作ウインドウWbにドロップする事が可能」とするものであり、「アイコン」の表示の処理を行っていることから、引用発明の「ウインドウ処理操作の制御方法」は、補正発明の「コンポーネント表示処理方法」に相当する。 イ.引用発明の「情報処理装置H」は、補正発明の「ユーザ機器」に相当する。 また、引用発明の「ステップS5」は、「情報処理装置H」が「ドラッグ状態で、前記Xボタン上にポインタがある」という状態に関する情報を得る段階であり、また、この状態は「アイコン」の「ドロップ」の処理、及び、一定時間経過を待つ状態であり、さらに、「アイコン」が移動可能であることは明らかであるから、引用発明の「ステップ5」は、補正発明の「ユーザによって移動可能であるコンポーネントが処理待ち状態にあることを示す指示情報をユーザ機器によって得る段階」に相当する。 ウ.引用発明の「モニタ画面」は、補正発明の「表示画面」に相当する。 引用発明においては、「操作ウインドウ」内に「アイコン」が収容されており、「操作ウインドウWa」と「操作ウインドウWb」間で「アイコン」を移動するものであり、また、「モニタ画面」には「操作ウインドウWa」が表示され、該「操作ウインドウWa」によって「操作ウインドウWb」は隠されていることから、引用発明の「操作ウインドウWa」、及び「操作ウインドウWb」は、引用発明の「表示領域」、及び「隠れ領域」に相当し、さらに、引用発明の「操作ウインドウWa」、及び「操作ウインドウWb」と、引用発明の「コンテナ」とは、「コンテナが、コンポーネントを収容するための、隠れ領域と前記表示領域とを含」む点で共通する。 エ.引用発明の「ステップS7」は、「情報処理装置H」が「一定時間」「ドラッグ状態で、前記Xボタン上にポインタがある」という状態に関する情報を得て、「前記Xボタンの付された前記操作ウインドウWaを最小化する」段階であるから、引用発明の「ステップS7」は、補正発明の「前記指示情報に従って、コンテナ中の前記ユーザ機器の表示画面上に表示された表示領域に対して縮小処理を前記ユーザ機器によって実施する段階」に相当する。 オ.引用発明の「アプリケーションAの操作ウィンドウWaを最小化することで、隠れていた操作ウインドウWbが現れ」は、補正発明の「表示画面は前記表示領域が縮小された後に前記隠れ領域を表示する」に相当する。 よって、補正発明と引用発明は、以下の点で一致、ないし相違している。 (一致点) 「ユーザによって移動可能であるコンポーネントが処理待ち状態にあることを示す指示情報をユーザ機器によって得る段階と、 前記指示情報に従って、コンテナ中の前記ユーザ機器の表示画面上に表示された表示領域に対して縮小処理を前記ユーザ機器によって実施する段階とを含み、 前記コンテナが、コンポーネントを収容するための、隠れ領域と前記表示領域とを含み、 前記表示画面は前記表示領域が縮小された後に前記隠れ領域を表示する、コンポーネント表示処理方法。」 (相違点)補正発明では、「前記コンテナのサイズが前記表示画面のサイズよりも大きく」、「隠れ領域」が「前記表示画面の外側に対応する」のに対して、引用発明では、「コンテナのサイズ」は「表示画面のサイズ」より大きいものとはされておらず、「隠れ領域」は「モニタ画面」の内側にある点。 (3)判断 当審は次のとおり判断する。 下のア.?ウ.に示す理由で、引用発明において上記相違点に係る補正発明の構成を採用することは、当業者といえども容易に推考し得たこととはいえない。 したがって、補正発明は引用発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものとはいえない。 ア.引用発明を開示する刊行物1には、引用発明において上記相違点1に係る補正発明の構成を採用することについての記載も、それを示唆する記載もない。 イ.原査定の拒絶理由で引用されたいずれの文献にも、コンテナのサイズが表示画面のサイズよりも大きく、表示画面の外側に隠れ領域があることを示唆するものはない。 また、引用発明の隠れ領域は、上側にある操作ウインドウと下側の操作ウインドウと重なる部分であり、このような隠れ領域がモニタ画面の外側にもあるとすると、引用発明においては、上側の操作作ウインドウが縮小されても、下側の操作ウインドウは縮小されず操作ウインドウの位置も変わらないから、モニタ画面の外側の隠れ領域は表示できない。したがって、引用発明において、隠れ領域を表示画面の外側とすることはできず、引用発明において上記相違点に係る補正発明の構成を採用することについての動機づけがあったとはいえない。 ウ.ほかに引用発明において上記相違点に係る補正発明の構成を採用することが当業者にとって容易であったといえる根拠は見当たらない。 よって、本件補正の補正事項1は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。 本件補正のその余の補正事項についても、特許法第17条の2第3項ないし第6項に違反するところはない。 3.むすび 本件補正は、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合する。 第3 本願発明 本件補正は上記のとおり、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合するから、本願の請求項1-18に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?18に記載された事項により特定されるとおりのものである。 そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2016-03-14 |
出願番号 | 特願2013-197973(P2013-197973) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
WY
(G06F)
P 1 8・ 121- WY (G06F) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 萩島 豪 |
特許庁審判長 |
小曳 満昭 |
特許庁審判官 |
稲葉 和生 山澤 宏 |
発明の名称 | コンポーネント表示処理方法およびユーザデバイス |
代理人 | 佐伯 義文 |
代理人 | 木内 敬二 |