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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N
管理番号 1312448
審判番号 不服2014-20368  
総通号数 197 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-10-08 
確定日 2016-03-17 
事件の表示 特願2012-508043「画像符号化装置、画像復号装置、画像符号化方法及び画像復号方法」拒絶査定不服審判事件〔平成23年10月 6日国際公開、WO2011/121894〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、2011年(平成23年)3月7日(優先権主張2010年3月31日、日本国)を国際出願日とする出願であって、手続の概要は以下のとおりである。

手続補正 :平成24年 9月 3日
拒絶理由通知 :平成25年12月18日(起案日)
手続補正 :平成26年 2月21日
拒絶理由通知(最後) :平成26年 4月 2日(起案日)
手続補正 :平成26年 6月 6日
補正の却下の決定 :平成26年 6月27日(起案日)
拒絶査定 :平成26年 6月27日(起案日)
拒絶査定不服審判請求 :平成26年10月 8日
手続補正 :平成26年10月 8日
前置審査報告 :平成26年12月18日
拒絶理由通知 :平成27年 9月24日(起案日)
意見書 :平成27年11月27日

第2.本願発明
本願の請求項に係る発明は、平成26年10月8日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし請求項4に記載された事項により特定されるものであると認められるところ、そのうち請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は次のとおりである。なお、本願発明の各構成の符号は便宜的に当審で付したものである。

(本願発明)
(A)他のピクチャを参照して動きベクトル探索を行い、符号化対象のブロックの動きベクトルを生成し、上記動きベクトルを用いる動き補償予測処理を実施して予測画像を生成する第1の予測画像生成方式と、符号化済みブロックの動きベクトルから符号化対象のブロックの動きベクトルを生成し、上記生成した動きベクトルを用いる動き補償予測処理を実施して予測画像を生成する第2の予測画像生成方式とを用いて、入力画像を構成する各ブロックの予測画像を生成する予測画像生成手段と、
(B)符号化対象のブロックと上記第1の予測画像生成方式を用いて生成された予測画像間の差分画像の符号化効率と、符号化対象のブロックと上記第2の予測画像生成方式を用いて生成された予測画像間の差分画像の符号化効率をそれぞれ評価し、符号化効率が高い方の差分画像を選択する差分画像選択手段と、
(C)上記差分画像を量子化し、上記差分画像の量子化係数を出力する量子化手段と、
(D)上記差分画像選択手段により選択された差分画像に係る予測画像が上記第1の予測画像生成方式を用いて生成された予測画像であるのか、上記第2の予測画像生成方式を用いて生成された予測画像であるのかを示す予測画像識別情報を可変長符号化するとともに、上記差分画像選択手段により選択された差分画像が上記第1の予測画像生成方式を用いて生成された予測画像に係る差分画像である場合、上記予測画像生成手段により生成された動きベクトルを可変長符号化して得られるブロックの符号化データを生成する可変長符号化手段と、
(E)上記量子化手段から出力された量子化係数を逆量子化し、その逆量子化結果が示す差分画像と、上記予測画像生成手段により生成された予測画像を加算して局部復号画像を生成し、上記局部復号画像を参照画像としてフレームメモリに格納する参照画像生成手段と、
(F)上記局所復号画像の符号化歪みを補償するためのループフィルタと、を備え、
(G)スキップピクチャ符号化を行うことを指定する符号化制御信号が入力された場合、
上記予測画像生成手段は、上記入力画像を構成する全てのブロックについて上記第2の予測画像生成方式を用いて予測画像を生成し、
上記差分画像選択手段は、ゼロ値を上記差分画像として選択し、
上記可変長符号化手段は、上記ブロックの符号化データを生成せず、上記入力画像についてスキップピクチャ符号化が選択されたことを示す情報を含むピクチャレベルのヘッダデータを生成し、
(H)上記符号化制御信号が入力された場合、上記ループフィルタは、上記予測画像のブロック境界の不連続性を緩和する動きブロック平滑化処理を実施する
(I)ことを特徴とする画像符号化装置。

第3.当審の判断
1.刊行物の記載
(1)当審における、平成27年9月24日付けの拒絶理由に引用された刊行物である特開2009-232324号公報(以下、「刊行物1」という。)には、「画像符号化装置、画像符号化方法および画像符号化プログラム」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。

「【0005】
インター符号化モードは、動画像の動きベクトル情報と画素差分情報を符号化するが、動画像は時間的な相関が大きいために、高効率の符号化を行うことができる。また、インター符号化モードには、通常の符号化モードの他に、スキップ符号化モードおよびダイレクト符号化モードという特殊な符号化モードが存在する。スキップ符号化モードおよびダイレクト符号化モードは、動きベクトル情報を送らずに、符号化対象MBに隣接するMB(以下、隣接MBと称す)の動きベクトルから動きベクトルを決定する。具体的には、図4に示すように、スキップ符号化モードで符号化されたスキップMBおよびダイレクト符号化モードで符号化されたダイレクトMBの動きベクトルは、符号化対象MB(イ)の隣接MB(ロ)、隣接MB(ハ)および隣接MB(ニ)のそれぞれの動きベクトル、mvA、mvBおよびmvCの水平成分および垂直成分の中央値(メディアン)を計算し、その算出した中央値を動きベクトルとして決定する。この際、動きベクトルは参照方向毎に、すなわち前方(L0)および後方(L1)毎に計算され、最小値となった参照番号のピクチャを符号化対象MB(イ)の参照ピクチャとする。
【0006】
また、ダイレクト符号化モードは、画素差分情報しか符号化しないために、インター符号化モードにおける通常の符号化モードよりも高い符号化効率を得ることができ、スキップ符号化モードは、動きベクトルを符号化しないだけでなく画素差分情報も符号化しないので、ダイレクト符号化モードよりもさらに高い符号化効率を得ることができる。
【0007】
通常、H.264方式の符号化においては、イントラ予測およびインター予測の各々の予測について、画像の特性から符号量が最も小さい符号化モード、つまり最も符号化効率のよい符号化モードが選択される。特に、低レートで符号化する必要がある場合には、符号化効率を高めるために、ダイレクト符号化モードやスキップ符号化モードを積極的に選んで符号化することが求められる。(後略)」

「【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像符号化装置の構成を示すブロック図である。
【0021】
図1において、画像符号化装置100に入力された入力画像データは、差分演算回路101に入力されるとともに、イントラ予測回路111およびインター予測回路112に入力される。イントラ予測回路111は、後述する方法によりイントラ予測(画面内予測)の中で最適な符号化モードを選択し、選択した符号化タイプで符号化された画面内予測画像データを選択回路113に送信する。インター予測回路112は、符号化対象領域とフレームメモリ110に記録されている参照画像、すなわちローカルデコード画像の動き探索を行い、インター予測(画面間予測)の中で最適な符号化モードを選択し、選択した符号化モードで符号化された画面間予測画像データを選択回路113に送信する。
【0022】
なお、インター予測回路112において、インター予測の中から最適な符号化モードを選択する方法については、後ほど図2および図3などを用いて、もう少し詳しく説明する。
【0023】
選択回路113は、イントラ予測回路111から受信した画面内予測画像データとインター予測回路112から受信した画面間予測画像データのうち、最適な符号化モードで符号化された予測画像データを後述する方法により選択し、選択した符号化モードで符号化された予測画像データを差分演算回路101および加算回路107に送信する。差分演算回路101は、入力画像データと選択回路113から受信した予測画像データの差分演算を行って両画像データの画素差分値を算出し、算出した画素差分データを直交変換回路102に送信する。
【0024】
直交変換回路102は、差分演算回路101から受信した画素差分データに直交変換を施して周波数係数に変換し、変換した周波数係数を量子化回路103に送信する。量子化回路103は、直交変換回路102から受信した周波数係数を量子化し、量子化した値、すなわち量子化データを逆量子化回路105に送信するとともに可変長符号化回路104に送信する。可変長符号化回路104は、量子化回路103から受信した量子化データに、制御回路(図示せず)から受信した選択回路113において選択された符号化モードの予測情報や、イントラ予測回路111およびインター予測回路112からそれぞれ受信した動きベクトル、参照画像およびMBの符号化サイズなどの情報を含むイントラ予測情報およびインター予測情報などを加算した後、これらを可変長符号化する。
【0025】
逆量子化回路105は、量子化回路103から受信した量子化データを逆量子化して周波数係数に復元し、復元した周波数係数を逆直交変換回路106に送信する。逆直交変換回路106は、逆量子化回路105から受信したに周波数係数を画素差分データに逆周波数変換し、逆周波数変換して得られた画素差分データを加算回路107に送信する。
【0026】
加算回路107は、逆直交変換回路106から受信した画素差分データと、選択回路113から受信した予測画像データを加算して画像データを生成し、生成した画像データをスイッチ(SW)回路108に送信する。SW回路108は、制御回路(図示せず)からの制御に基づき、加算回路107から受信した画像データを画像毎またはMB毎にデブロックフィルタ回路109に送信するか、デブロックフィルタ回路109をバイパスして直接フレームメモリ110に送信するかを切り替える。
【0027】
デブロックフィルタ回路109は、SW回路108を経由して加算回路107から受信した画像データにデブロックフィルタをかけ、デブロックフィルタをかけた画像データをフレームメモリ110に送信する。フレームメモリ110は、デブロックフィルタ回路109においてデブロックフィルタをかけられて入力された画像データ、およびデブロックフィルタ回路109をバイパスして入力された画像データをローカルデコード画像データとして記録する。フレームメモリ110に記録されたローカルデコード画像データは、インター予測回路112においてインター予測の参照画像として利用される。
【0028】
次に、図1におけるインター予測回路112において、最適な符号化モードを選択する方法について説明する。
【0029】
インター予測回路112は、ダイレクト符号化モードまたはスキップ符号化モード(第1の符号化モード)と通常のインター符号化モード(第2の符号化モード)の評価値を比較し、評価値の小さい方を最適な符号化モードとして選択する。しかし、インター予測回路112においては、評価値を比較した結果、通常のインター符号化モード(第2の符号化モード)が選択されずダイレクト符号化モードまたはスキップ符号化モード(第1の符号化モード)が選択されたとしても、この時点ではダイレクト符号化モードになるかスキップ符号化モードになるかは決定されない。
【0030】
ダイレクト符号化モードかスキップ符号化モードかは、制御回路(図示せず)により以下のようにして決定される。インター予測回路112においてダイレクト符号化モードまたはスキップ符号化モード(第1の符号化モード)が選択された場合、制御回路は、差分演算回路101から送信されたMBの画素差分データが直交変換回路102および量子化回路103において全て0(ゼロ)になったか否かを判断し、全て0になった場合はスキップ符号化モード、それ以外の場合はダイレクト符号化モードと決定し、決定した符号化モードに関する情報を可変長符号化回路104に送信する。可変長符号化回路104は、制御回路から受信した符号化モードに基づき、量子化回路103から入力される量子化データなどを符号化して出力する。
【0031】
ここで、評価値の求め方について説明する。インター予測回路112における符号化モードの評価値は、インター予測の情報などを含むヘッダ部分の符号量と差分演算回路101の出力である画素差分データの符号量の差で表す。ここでは、評価値の計算式として下記の式(1)を用いるものとする。
【0032】
【数1】


【0033】
ここで、PMVは予測動きベクトル、MVは動きベクトルである。また、cost()は、ヘッダ部分の符号量の換算値であって、下記の式(2)に示すように符号化する動きベクトルの大きさを表す関数として表される。
【0034】
【数2】


【0035】
また、SADは、画素差分データの符号量の換算値であって、下記の式(3)に示すように画素の予測誤差(画素差分データ)の差分絶対値和で表される。
【0036】
【数3】


【0037】
ここで、Refpixel(x,y)は予測画素値であり、OrgPixel(x,y)は符号化対象画素値である。
【0038】
また、λはヘッダ部分の符号量の換算値と画素差分データの符号量の換算値の割合を表す係数であり、画像符号化装置において適当な値が設定される。」

(2)同じく、当審における拒絶の理由に引用された刊行物である特開2005-102170号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。

「【0103】
(VBVバッファーモデル占有率レベルでのコントロール)
図7は、仮想バッファーの占有率レベルに基づく目標ビット割付を調整するためのプロセスを説明するフローチャートである。プロセスの動作を説明するため、仮想バッファーがビデオバッファーベリファイア(VBV) バッファーモデルに対応するような、MPEG-1とMPEG-2のビデオエンコーディングについて記載する。VBV バッファーモデルは、デコーダにおけるバッファー占有率レベルをモデル化するため、エンコーダにより使用される概念的モデルである。他のビデオエンコーディング標準には、他のバッファーモデルが使用されることは、通常の知識をもつ技術者には明らかである。図7の掘り下げた議論をする前に、VBV バッファーモデルのモニタリングについて記載する。
【0104】
図4に記述したように、VBV バッファーモデルはデコーダバッファーレベルを予想あるいは予言する。デコーダバッファーの占有率レベルは、エンコーダバッファーの占有率にほぼ反比例する。すなわち、VBV バッファーモデルにおいて、高い占有率レベルは、ビデオシーケンスをエンコードするのに使われるビットが比較的少ないことを示し、VBV バッファーモデルの低い占有率レベルは、比較的多いビットが使われることを示す。」

「【0177】
(B-画像におけるマクロブロックの選択的スキッピング)
図11は、ビデオエンコーダにおけるデータの選択的スキッピングのプロセスを一般的に説明するフローチャートである。このデータの選択的スキッピングは、比較的極端な条件でも、ビデオエンコーダが比較的良好なビットレートを維持するのに優れている。選択的スキッピングにより、ビデオエンコーダは、デコーダバッファーアンダーランのようなデコーダバッファーにおける低い占有率レベルを低減するかまたは削除するようなデータの流れをエンコードする。デコーダバッファーアンダーランは、再生ビットレートが決まった時間周期でのデータチャンネルからの一定ビットレートを越えて、デコーダバッファーがデータの外にはみ出したときに起こる。デコーダバッファーアンダーランは好ましくないし、表示中に、一時停止のような不連続を引き起こす結果になる。
【0178】
デコーダバッファーアンダーランが起こらなくても、低いデコーダバッファー占有率レベルになるようなデータの流れは好ましくない。前に図4で説明したように、VBVバッファーモデルのようなバッファーモデルが、通常、デコーダバッファー占有率レベルを形成するように、エンコーディングプロセスの中で使われる。デコーダバッファー占有率レベルが危険となるほど低いと、普通のエンコーダが判断するとき、普通のエンコーダは、エンコーディングビットを保持し、ビットレートコントロールを維持するために、画像とぎりぎり妥協する。低いVBVバッファーモデル占有率レベルの効果は、マクロブロックの深刻な画質低下になることに注目すべきである。
【0179】
図11のフローチャートで説明されるプロセスは、比較的低いバッファーモデル占有率レベルが検出されたとき、選択されたマクロブロックのエンコーディングをスキップして、ビット数を減らすことにより、良好なビットレートコントロールを維持することが、普通の技術のように、画像に厳しい衝撃を与えない方法で、画像をエンコードするのに使われる。1実施例では、図11に示すプロセスは、図6で前に述べたレートコントロールと量子化コントロールの状態623と組み合わされる。ここで示したプロセスは、熟練した実務者により、この発明の精神と範囲から逸脱しない範囲での種々の方法による変形が可能である。例えば、もう1つの実施例では、このプロセスのいろいろな部分を組み合わせたり、代わりのシーケンスで並べ替えたり、削除したりすることができる。
【0180】
プロセスは、判定ブロック1102からスタートする。ここでは、B-画像に対応してエンコードされるべき画像かどうかを判断する。B-画像は、提供された順に早かったり遅かったりする他の画像(I-画像またはP-画像)からのマクロブロックを基に予測したマクロブロックでエンコードされることができる。しかし、エンコーディングプロセスのあいだ、B-画像をエンコードするのに使われた画像(I-画像またはP-画像)は、B-画像のエンコーディングに先駆けてエンコードされる。プロセスは、エンコードされる画像がB-画像のとき、判定ブロック1102から判定ブロック1104に進む。その他の場合、プロセスはエンドになり、例えば、図6で前に述べたプロセスの状態623に戻る。
【0181】
判定ブロック1104では、プロセスは、VBVバッファー占有率レベルが比較的低いかどうかを判断する。エンコーディングプロセスのあいだ、比較的多くのビットがエンコードされるべきB-画像からの画像のエンコーディングに費やされているかのしれない。幾つかの環境では、このデータの消費が、VBVバッファー占有率レベルを低下させる。例えば、プロセスは、図7で述べたように、VBVバッファーモデルの占有率レベルVstatusをモニターでき、占有率レベルVstatusとVcriticalのような予め定められた閾値とを比較できる。その比較は、エンコーディングプロセスのいろいろな時点で行うことができる。1実施例では、この比較は、画像がエンコードされた後とVBVバッファーモデルの占有率レベルが決まった後に実行できる。すなわち、図6で述べたレートコントロールと量子化コントロールの状態638の後または状態610の後に行う。1実施例では、エンコードされた画像におけるマクロブロックの前に比較を行うのが有利である。それにより、比較的多くのビットを保つのに好ましいときの画像にけるすべてのマクロブロックをスキップできるように、有利に保持されるからである。
【0182】
1実施例では、VcriticalはVBVバッファーモデルの容量の約1/4に設定される。VBVバッファーモデルの容量あるいは同様なバッファーモデルはエンコーディング標準に伴って変わる。Vcriticalの適切な値は、広いレンジから選択される。例えば、他の値、VBVバッファーモデルの容量の1/16,1/8,1/10,3/16などを使うことができる。また、通常の知識を有する技術者により、他の値が決められても良い。1実施例では、Vcriticalの設定はユーザが行っても良い。VBVバッファーモデルの占有率レベルVstatusが予め定めた閾値より低いとき、プロセスは、判定ブロック1104から状態1106に進む。その他の場合、プロセスは、判定ブロック1104から状態1108に進む。
【0183】
状態1106では、プロセスは、B-画像におけるマクロブロックをスキップする。1実施例では、全てのマクロブロックがスキップされる。もう1つの実施例では、選択されたマクロブロックがスキップされる。多くのマクロブロックが、例えば、VBVバッファーの占有率レベルVstatusを基に、スキップされることができる。エンコードされたB-画像のデータは形成されているが、スキップされたマクロブロックのデータは少ない。エンコーディングプロセスでは、データの流れの中での1ビットあるいはフラグがスキップされたマクロブロックを示す。例えば、直接モードとして知られている技術では、フラグは、(提供時における)I-画像またはP-画像の前と後のマクロブロックの間でエンコーディングされるあいだに、スキップされたマクロブロックが挿入されていることを示す。もう1つのフラグは、提供時におけるI-画像またはP-画像の前のマクロブロックから、スキップされたマクロブロックがコピーされたことを示す。また、もう1つのフラグは、提供時におけるI-画像またはP-画像の後のマクロブロックから、スキップされたマクロブロックがコピーされたことを示す。マクロブロックのスキッピングは、比較的少ないビットでB-画像をエンコードできる利点がある。1実施例では、スキップされたマクロブロックを伴うMPEG-2のB-画像は、ほんの約300ビットを使ってエンコードされている。B-画像のマクロブロックのスキッピング実行後、プロセスはエンドになり、例えば、図6で前に述べたプロセスの状態623に戻る。」

(3)同じく、当審における拒絶の理由に引用された刊行物である特開2003-102013号公報(以下、「刊行物3」という。)には、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。

「【0030】また、図6のe欄に示されるように、本発明の枠組みの中で、複数のノットコーデットマクロブロック領域が画像フレームの全てになるような符号語を割り当てることで、MPEG4において規定されている1フレーム全体で全てのマクロブロックのDCT係数や動きベクトル情報が全くないことを示す1ビットのフラグvop_codedを表すことが可能である。複数のノットコーデットマクロブロックの配列を表す符号語に対する符号化復号の単位を1フレーム全体とする場合に、前記フラグvop_codedとは別に、図11に例示されるように1フレームを単位としてノットコーデットマクロブロックの出現パターンを示す符号語を与えるように予め定義してもよい。
【0031】図12には、MPRG4規格に本発明を適用するときのデータ構造について提示する。MPEG4規格において画像データの符号化は階層構造をとっている。この中で、複数の画像フレームをまとめるビデオオブジェクトレイヤは、図12の(a)欄に示されるようにヘッダ、ユーザデータ、複数の画像フレームデータから構成される。このうちユーザデータは、ユーザデータを示す識別子の後にユーザデータを挿入することが許されているので、図12の(b)欄に示されるように、ここに本発明の符号化方法を示す識別子(符号化方法指示識別子)を挿入することが可能である。また、フレームデータは図12の(c)欄に示されるように、フレームデータ識別子、フレームヘッダ、符号化されたマクロブロックデータで構成されるので、フレームヘッダを拡張する形で、本発明による複数のノットコーデットマクロブロック領域を示す符号語を入れればよい。例えば、例えば、前記符号化方法識別子には図7に例示されるように、フレームライン単位でノットコーデットマクロブロック領域の配置を示す符号語を用いた符号化が行われていることを示す情報が含まれる。このとき、フレームヘッダには、図7で例示されるような符号語が含まれている。フレームヘッダに後続するマクロブロックデータには、ノットコーデットマクロブロック領域の配置を示す符号語によって定義されるノットコーデットマクロブロックのマクロブロックデータは含まれていない。」

(4)同じく、当審における拒絶の理由に引用された刊行物である特開2004-180248号公報(以下、「刊行物4」という。)には、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。

「【0037】
一方、動き補償部60は、外部から入力される動きベクトルMVによって示される位置の画素をメモリ64に蓄積された参照画像Refから動き補償画像MCpelとして出力すると共に、動き補償ブロックの大きさを示す動き補償ブロックサイズMcsizeを出力する。加算部58は、差分画像DifCoefと動き補償画像MCpelを加算し、再生画像Coefとして出力する。デブロックフィルタ62は再生画像Coef、動き補償ブロックサイズMCsize、差分画像DifCoefを受け、符号化歪除去を行い、復号画像信号Voutを出力する。再生画像Coefはメモリ64に格納されて、後続の画像復号化で参照画像Refとして使用される。」

「【0041】
一方、ITU-T H.26L TML8では、周波数変換および符号化の単位は4×4画素である。この4×4画素の単位を符号化単位という。符号化単位は、4×4画素以外のサイズであってもよい。図3(a)に示すようにA?Pの16ブロックのそれぞれは、4×4画素で構成されている。このように、符号化の単位である4×4画素と動き補償ブロックサイズは図3(a)以外の場合は一致しない。符号化歪として特に視覚的に妨害となるブロック歪は符号化単位である最小4×4画素で発生するため、従来の符号化歪除去方法では常に4×4画素単位で処理を行っている。
【0042】
さて、動き補償符号化することで、画面間の相関が特に強い場合は、画面間の動き補償の残差誤差が0となる。この場合には、4×4画素単位で符号化・復号化すべき差分画像DifCoefも0であるから、動き補償のブロックの境界部以外には符号化・復号化の符号化歪に伴う画素値の不連続な値は発生しないと考えられる。そこで、例えば図3(b)のような動き補償ブロックの場合は、図3(a)のAC、BD、EG、FH、IK、JL、MO、NPの4×4画素境界(点線で示す境界線)で符号化歪除去処理は不要である。同様に、図3(c)のような動き補償ブロックの場合は、図3(a)のAB、CD、EF、GH、IJ、KL、MN、OPの4×4画素境界で符号化歪除去処理は不要である。そして、4×4画素単位で符号化・復号化すべき差分画像DifCoefも0の場合は、動き補償ブロックの境界のみで符号化歪除去処理を行い、動き補償ブロック内の4×4画素単位での境界においては符号化歪除去処理を行わない。これにより、全てのブロック境界で符号化歪除去処理を行う場合と比較し、符号化歪除去処理の演算回数を削減することができる。」

「【0061】
減算部42は画像信号Vinと動き補償画像MCpelの差分値を計算してコサイン変換部(DCT)46に出力する。コサイン変換部46は入力された差分値をDCT変換および量子化し、周波数成分FCoefを出力する。ジグザグスキャン部48は周波数成分FCoefの順番の並べ替えを行った周波数符号成分DCoefを出力し、可変長符号化部50は周波数符号成分DCoefを可変長符号化して符号化信号Strを出力する。
一方、DCT部(コサイン変換部)46の出力は逆DCT部(逆コサイン変換部)に入力される。そして、周波数成分Fcoefと動き補償部32からの出力である動き補償画像Mcpelとが合成部34で合成され、合成画像coefが出力される。出力された合成画像は、一方ではそのままメモリ38に出力され、他方では、デブロックフィルタ36で処理された後、符号化歪が除去された復号画像信号Voutがメモリ40に記憶される。
図10は復号化装置を示すブロック図であり、例えば図9に示す符号化装置のブロック図で符号化した符号化信号Strを正しく復号化することができる。図32又は図33に示す画像復号化装置のブロック図と同じ動作をする機器は同じ番号を付し、説明を省略する。逆DCT部(逆コサイン変換部)56は周波数成分FCoefを逆量子化および逆DCTを行って差分画像DifCoefを出力し、加算部58で差分画像DifCoefと動き補償画像MCpelを加算することで再生画像Coefを得る。再生画像Coefは第1メモリ64に記憶され、またデブロックフィルタ62で再生画像Coefから符号化歪が除去された復号画像信号Voutは第2メモリ66に記憶される。」

2.引用発明
ここで、上記刊行物1の記載について検討する。

(1)刊行物1には「画像符号化装置」に関する発明が記載されており、段落【0021】?【0027】の記載によれば、刊行物1の画像符号化装置は、次の構成を有している。
(a)符号化対象領域とフレームメモリに記録されている参照画像(ローカルデコード画像)の動き探索を行い、インター予測の中で最適な符号化モードを選択し、選択した符号化モードで符号化されたインター予測画像データを生成するインター予測回路
(b)入力画像データとインター予測画像データの差分演算を行って両画像データの画素差分データを算出する差分演算回路
(c)差分演算回路から受信した画素差分データに直交変換を施して周波数係数に変換する直交変換回路
(d)直交変換回路から受信した周波数係数を量子化し、量子化した値、すなわち量子化データを生成する量子化回路
(e)量子化回路から受信した量子化データに、選択された符号化モードの予測情報や、動きベクトル、参照画像およびMBの符号化サイズなどの情報を含むインター予測情報などを加算した後、これらを可変長符号化する可変長符号化回路
(f)量子化回路から受信した量子化データを逆量子化して周波数係数に復元する逆量子化回路
(g)逆量子化回路から受信したに周波数係数を画素差分データに逆周波数変換する逆直交変換回路
(h)逆直交変換回路から受信した画素差分データと予測画像データを加算して画像データを生成する加算回路
(i)加算回路から受信した画像データにデブロックフィルタをかけ、デブロックフィルタをかけた画像データをフレームメモリに送信するデブロックフィルタ回路

(2)刊行物1の段落【0028】、【0029】の記載によれば、刊行物1の画像符号化装置のインター予測回路は、ダイレクト符号化モードまたはスキップ符号化モード(第1の符号化モード)と、通常のインター符号化モード(第2の符号化モード)の符号化モードで動作し、符号化モードの評価値を比較し、評価値の小さい方を最適な符号化モードとして選択する。
ここで、刊行物1の段落【0005】の記載によれば、ダイレクト符号化モードまたはスキップ符号化モード(第1の符号化モード)は、符号化対象MBに隣接するMBの動きベクトルから動きベクトルを決定する符号化モードである。
また、刊行物1の段落【0031】?【0038】の記載によれば、符号化モードの評価値は、インター予測の情報などを含むヘッダ部分の符号量の換算値と差分演算回路の出力である画素差分データの符号量の換算値の総和である。

(3)刊行物1の段落【0030】の記載によれば、刊行物1の画像符号化装置は、インター予測回路においてダイレクト符号化モードまたはスキップ符号化モード(第1の符号化モード)が選択された場合、MBの画素差分データの量子化データが全て0(ゼロ)になったか否かを判断し、全て0になった場合はスキップ符号化モード、それ以外の場合はダイレクト符号化モードと決定する。

(4)まとめ
以上によれば、刊行物1には次の発明(以下、「引用発明」という)が記載されていると認められる。

(引用発明)
(a)符号化対象領域とフレームメモリに記録されている参照画像(ローカルデコード画像)の動き探索を行い、インター予測の中で最適な符号化モードを選択し、選択した符号化モードで符号化されたインター予測画像データを生成するインター予測回路であって、符号化対象MBに隣接するMBの動きベクトルから動きベクトルを決定するダイレクト符号化モードまたはスキップ符号化モード(第1の符号化モード)と、通常のインター符号化モード(第2の符号化モード)の符号化モードで動作し、インター予測の情報などを含むヘッダ部分の符号量の換算値と差分演算回路の出力である画素差分データの符号量の換算値の総和である符号化モードの評価値を比較し、評価値の小さい方を最適な符号化モードとして選択するインター予測回路と、
(b)入力画像データとインター予測画像データの差分演算を行って両画像データの画素差分データを算出する差分演算回路と、
(c)差分演算回路から受信した画素差分データに直交変換を施して周波数係数に変換する直交変換回路と、
(d)直交変換回路から受信した周波数係数を量子化し、量子化データを生成する量子化回路と、
(e)量子化回路から受信した量子化データに、選択された符号化モードの予測情報や、動きベクトル、参照画像およびMBの符号化サイズなどの情報を含むインター予測情報などを加算した後、これらを可変長符号化する可変長符号化回路と、
(f)量子化回路から受信した量子化データを逆量子化して周波数係数に復元する逆量子化回路と、
(g)逆量子化回路から受信したに周波数係数を画素差分データに逆周波数変換する逆直交変換回路と、
(h)逆直交変換回路から受信した画素差分データと予測画像データを加算して画像データを生成する加算回路と、
(i)加算回路から受信した画像データにデブロックフィルタをかけ、デブロックフィルタをかけた画像データをフレームメモリに送信するデブロックフィルタ回路とを備え、
(j)インター予測回路においてダイレクト符号化モードまたはスキップ符号化モード(第1の符号化モード)が選択された場合、MBの画素差分データの量子化データが全て0(ゼロ)になったか否かを判断し、全て0になった場合はスキップ符号化モード、それ以外の場合はダイレクト符号化モードと決定する
(k)画像符号化装置。

3.対比
(1)本願発明の構成(A)について
引用発明は、構成(a)にあるように、「符号化対象MBに隣接するMBの動きベクトルから動きベクトルを決定するダイレクト符号化モードまたはスキップ符号化モード(第1の符号化モード)」と、「通常のインター符号化モード(第2の符号化モード)」から選択された最適な符号化モードを用いてインター予測画像データを生成するインター予測回路を備えている。
ここで、引用発明の第2の符号化モードは、通常のインター符号化モードであり、通常のインター符号化モードは、フレームメモリに記録されている参照画像を参照して画像の動き探索を行い、符号化対象のブロックの動きベクトルを生成し、その動きベクトルを用いて動き補償予測処理を実施してインター予測画像を生成するものであることは技術常識である。
よって、引用発明の第2の符号化モードは、本願発明の「他のピクチャを参照して動きベクトル探索を行い、符号化対象のブロックの動きベクトルを生成し、上記動きベクトルを用いる動き補償予測処理を実施して予測画像を生成する第1の予測画像生成方式」に相当する。
また、引用発明の第1の符号化モードは、ダイレクト符号化モードまたはスキップ符号化モードであり、ダイレクト符号化モードまたはスキップ符号化モードにおける「符号化対象MBに隣接するMB」は、符号化対象MBに隣接する「符号化済みブロック」のことであって、その隣接するMBの動きベクトルから符号化対象のブロックの動きベクトルを生成し、その動きベクトルを用いて動き補償予測処理を実施してインター予測画像を生成するものであることは技術常識である。
よって、引用発明の第1の符号化モードは、本願発明の「符号化済みブロックの動きベクトルから符号化対象のブロックの動きベクトルを生成し、上記生成した動きベクトルを用いる動き補償予測処理を実施して予測画像を生成する第2の予測画像生成方式」に相当する。
以上のことから、引用発明のインター予測回路は、本願発明の「第1の予測画像生成方式」に相当する符号化モードと「第2の予測画像生成方式」に相当する符号化モードを用いて予測画像データを生成しているから、本願発明の「予測画像生成手段」と相違しない。

(2)本願発明の構成(B)について
引用発明は、構成(a)にあるように、インター予測回路が、「インター予測の情報などを含むヘッダ部分の符号量の換算値と差分演算回路の出力である画素差分データの符号量の換算値の総和である符号化モードの評価値を比較し、評価値の小さい方を最適な符号化モードとして選択」し、次に、構成(b)の差分演算回路において、その選択された符号化モードで生成されたインター予測画像データを用いて、「入力画像データとインター予測画像データの差分演算を行って両画像データの画素差分データを算出する」ものである。
ここで、「インター予測の情報などを含むヘッダ部分の符号量の換算値と画素差分データの符号量の換算値の総和である符号化モードの評価値を比較」することについて検討すると、この構成は、インター予測の情報などの符号量の換算値と画素差分データの符号量の換算値の総和を比較することであり、インター予測の情報などと画素差分データの符号量の換算値を比較するということは、差分画像を符号化した結果の符号量の大きさを評価すること、すなわち差分画像の符号化効率を評価することである。また、画素差分データは、入力画像データの符号化対象のブロックと第1の符号化モードと第2の符号化モードのいずれかの符号化モードで生成されたインター予測画像データの両画像データの画素差分データである。
よって、インター予測回路は、入力画像データの符号化対象のブロックと第1の符号化モードと第2の符号化モードのいずれかの符号化モードで生成されたインター予測画像データの両画像データの差分画像の符号化効率を評価するものといえる。
そして、インター予測回路は、評価値が小さい方、すなわち符号化効率が高い方の符号化モードを選択し、差分演算回路は、その符号化効率が高い方の符号化モードを用いて算出された差分画像を出力するものといえる。
以上をまとめると、引用発明のインター予測回路及び差分演算回路は、入力画像データの符号化対象のブロックと第1の符号化モードと第2の符号化モードのいずれかの符号化モードで生成されたインター予測画像データの両画像データの差分画像の符号化効率を評価し、符号化効率が高い方の符号化モードを用いて算出された差分画像を選択するものといえる。
したがって、引用発明のインター予測及び回路差分演算回路は、本願発明の「差分画像選択手段」と同じ機能を有しており、引用発明は、本願発明の「差分画像選択手段」を備えているといえる。

(3)本願発明の構成(C)について
引用発明の構成(c)及び(d)は、直交変換回路が差分画像データを直交変換し、量子化回路が直交変換した差分画像データを量子化し、量子化データを生成している。
ここで、本願発明の「量子化手段」について検討すると、本願明細書の段落【0020】に「圧縮部5は符号化モード判定部4から出力された予測差分信号に対するDCT(離散コサイン変換)処理を実施することでDCT係数を算出するとともに、そのDCT係数を量子化して、量子化後のDCT係数である圧縮データを局部復号部6及び可変長符号化部11に出力する処理を実施する。 なお、圧縮部5は量子化手段を構成している。」と記載されているように、圧縮部5の「予測差分信号に対しDCT(離散コサイン変換)処理を実施し、算出されたDCT係数を量子化して圧縮データを出力する」という処理を行う構成を量子化手段と定義している。
したがって、引用発明の差分画像データを直交変換して量子化し、量子化データを生成する直交変換回路及び量子化回路は、本願発明の「量子化手段」に相当する。

(4)本願発明の構成(D)について
引用発明は、構成(e)にあるように、量子化データに、選択された符号化モードの予測情報、動きベクトルなどを加算し、可変長符号化する可変長符号化回路を備えている。
ここで、引用発明の選択された符号化モードの予測情報を可変長符号化することは、第1の符号化モードが選択されたか第2の符号化モードが選択されたかを示す情報を可変長符号化することであり、選択された符号化モードを用いて予測画像が生成されていることは自明であるから、引用発明の上記構成は、本願発明の「上記差分画像選択手段により選択された差分画像に係る予測画像が上記第1の予測画像生成方式を用いて生成された予測画像であるのか、上記第2の予測画像生成方式を用いて生成された予測画像であるのかを示す予測画像識別情報を可変長符号化する」ことに相当する。
また、引用発明の動きベクトルを可変長符号化することは、引用発明において動きベクトルを生成するのは通常のインター符号化モードである第2の符号化モードの場合であり、第2の符号化モードを用いて予測画像が生成されている場合であるから、引用発明の上記構成は、本願発明の「上記差分画像選択手段により選択された差分画像が上記第1の予測画像生成方式を用いて生成された予測画像に係る差分画像である場合、上記予測画像生成手段により生成された動きベクトルを可変長符号化して得られるブロックの符号化データを生成する」ことに相当する。
したがって、引用発明の可変長符号化回路は、本願発明の「可変長符号化手段」と相違しない。

(5)本願発明の構成(E)について
引用発明は、構成(f)ないし(i)にあるように、逆量子化回路、逆直交変換回路、加算回路、デブロックフィルタ回路により、量子化回路から受信した量子化データを逆量子化して画素差分データを求め、その画素差分データと予測画像データを加算して画像データを生成し、フレームメモリに格納する。
フレームメモリに格納する画像データは、引用発明の構成(a)によれば、参照画像であり、ローカルデコード画像であるから、引用発明の逆量子化回路、逆直交変換回路、加算回路、デブロックフィルタ回路は、上記の処理により局所復元画像を生成して参照画像としてフレームメモリに格納するものといえる。
したがって、引用発明は、本願発明の「参照画像生成手段」を備えているといえる。

(6)本願発明の構成(F)について
引用発明は、構成(i)にあるように、フレームメモリに格納する画像データ、すなわちローカルデコード画像にデブロックフィルタをかけるデブロックフィルタ回路を備えている。
ここで、デブロックフィルタとは、一般に、DCT変換ブロック境界を平滑化するフィルタであり、符号化歪みを補償するものといえる。
したがって、引用発明のデブロックフィルタ回路は、下記(8)に述べるように本願発明の構成(H)の「上記符号化制御信号が入力された場合、上記ループフィルタは、上記予測画像のブロック境界の不連続性を緩和する動きブロック平滑化処理を実施する」という構成を有していない点を除き、本願発明の「ループフィルタ」と相違しない。

(7)本願発明の構成(G)について
本願発明の構成(G)は、「スキップピクチャ符号化を行うことを指定」する「符号化制御信号が入力された場合」にスキップピクチャ符号化を行うこと、また、その際に「上記予測画像生成手段は、上記入力画像を構成する全てのブロックについて上記第2の予測画像生成方式を用いて予測画像を生成し」、「上記差分画像選択手段は、ゼロ値を上記差分画像として選択し」、「上記可変長符号化手段は、上記ブロックの符号化データを生成せず、上記入力画像についてスキップピクチャ符号化が選択されたことを示す情報を含むピクチャレベルのヘッダデータを生成」する処理を行うものであるのに対し、引用発明は、構成(j)にあるように、ダイレクト符号化モードまたはスキップ符号化モード(第1の符号化モード)が選択されている状態において、MBの画素差分データの量子化データが全て0(ゼロ)になった場合にスキップ符号化モードを決定して行うものであり、その際に本願発明の上記各処理を行わない点において引用発明は本願発明と相違する。

(8)本願発明の構成(H)について
引用発明は、スキップ符号化モードを選択した場合のデブロックフィルタ回路の動作を特定するものではなく、本願発明の構成(H)の「上記符号化制御信号が入力された場合、上記ループフィルタは、上記予測画像のブロック境界の不連続性を緩和する動きブロック平滑化処理を実施する」という構成を有していない点で本願発明と相違する。

(9)本願発明の構成(I)について
引用発明の構成(k)の「画像符号化装置」は、本願発明の構成(I)の「画像符号化装置」に相当する。

4.一致点・相違点
上記3.の(1)ないし(9)の対比結果を踏まえると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は次の通りである。

[一致点]
他のピクチャを参照して動きベクトル探索を行い、符号化対象のブロックの動きベクトルを生成し、上記動きベクトルを用いる動き補償予測処理を実施して予測画像を生成する第1の予測画像生成方式と、符号化済みブロックの動きベクトルから符号化対象のブロックの動きベクトルを生成し、上記生成した動きベクトルを用いる動き補償予測処理を実施して予測画像を生成する第2の予測画像生成方式とを用いて、入力画像を構成する各ブロックの予測画像を生成する予測画像生成手段と、
符号化対象のブロックと上記第1の予測画像生成方式を用いて生成された予測画像間の差分画像の符号化効率と、符号化対象のブロックと上記第2の予測画像生成方式を用いて生成された予測画像間の差分画像の符号化効率をそれぞれ評価し、符号化効率が高い方の差分画像を選択する差分画像選択手段と、
上記差分画像を量子化し、上記差分画像の量子化係数を出力する量子化手段と、
上記差分画像選択手段により選択された差分画像に係る予測画像が上記第1の予測画像生成方式を用いて生成された予測画像であるのか、上記第2の予測画像生成方式を用いて生成された予測画像であるのかを示す予測画像識別情報を可変長符号化するとともに、上記差分画像選択手段により選択された差分画像が上記第1の予測画像生成方式を用いて生成された予測画像に係る差分画像である場合、上記予測画像生成手段により生成された動きベクトルを可変長符号化して得られるブロックの符号化データを生成する可変長符号化手段と、
上記量子化手段から出力された量子化係数を逆量子化し、その逆量子化結果が示す差分画像と、上記予測画像生成手段により生成された予測画像を加算して局部復号画像を生成し、上記局部復号画像を参照画像としてフレームメモリに格納する参照画像生成手段と、
上記局所復号画像の符号化歪みを補償するためのループフィルタと、を備える
ことを特徴とする画像符号化装置。

[相違点1]
本願発明は、「スキップピクチャ符号化を行うことを指定」する「符号化制御信号が入力された場合」にスキップピクチャ符号化を行うこと、また、その際に「上記予測画像生成手段は、上記入力画像を構成する全てのブロックについて上記第2の予測画像生成方式を用いて予測画像を生成し」、「上記差分画像選択手段は、ゼロ値を上記差分画像として選択し」、「上記可変長符号化手段は、上記ブロックの符号化データを生成せず、上記入力画像についてスキップピクチャ符号化が選択されたことを示す情報を含むピクチャレベルのヘッダデータを生成」する処理を行うものであるのに対し、引用発明は、ダイレクト符号化モードまたはスキップ符号化モード(第1の符号化モード)が選択されている状態において、MBの画素差分データの量子化データが全て0(ゼロ)になった場合にスキップ符号化モードを決定して行うものであり、その際に本願発明の上記各処理を行わない点。

[相違点2]
引用発明は、本願発明の「上記符号化制御信号が入力された場合、上記ループフィルタは、上記予測画像のブロック境界の不連続性を緩和する動きブロック平滑化処理を実施する」という構成を有していない点。

5.判断
(1)相違点1について
刊行物1には、段落【0006】,【0007】によれば、H.264方式の符号化において、低レートで符号化する必要がある場合には、符号化効率を高めるために、ダイレクト符号化モードやスキップ符号化モードが積極的に選択されることが示されており、刊行物2には、上記1.(2)の摘示箇所に示されるように、VBVバッファーモデルの占有率レベルが低下した場合、すなわちデコーダバッファーの占有率レベルが高くなった場合に、ビデオシーケンスのビットを減らし、良好なビットレートコントロールを維持するために、B-画像の全てのマクロブロックのエンコーディングをスキップする(I-画像またはP-画像のマクロブロックから、スキップされたマクロブロックをコピーする)ことが示されている。
このように、符号化においては、特定の条件においてビット削減のためにスキップ符号化を指定することが一般的に行われていることである。
また、本願発明は「スキップピクチャ符号化を行うことを指定」する条件を特定するものではない。
以上のことから、引用発明において、第1の符号化モードが選択され、量子化データが全て0(ゼロ)になる場合に、スキップ符号化モードを決定するという従属的なスキップ符号化モードの決定のほかに、そのような場合が想定される条件において「スキップピクチャ符号化を行うことを指定」することも当業者が容易に想到し得ることであって、その際に、その指定を表す符号化制御信号を画像符号化装置に入力することによりスキップピクチャ符号化を行う構成を採用することは、当業者が適宜なし得ることにすぎない。

そして、「スキップピクチャ符号化を行うことを指定する符号化制御信号が入力された場合」には、刊行物2のB-画像の全てのマクロブロックのエンコーディングをスキップすることを適用して、引用発明のインター予測回路(本願発明の「予測画像生成手段」に相当)において、「上記入力画像を構成する全てのブロックについて上記第2の予測画像生成方式を用いて予測画像を生成」することは当業者が普通に採用し得ることである。
また、引用発明のインター予測回路及び差分演算回路(本願発明の「差分画像選択手段」」に相当)において「ゼロ値を上記差分画像として選択」すること、引用発明の可変長符号化回路(本願発明の「可変長符号化手段」」に相当)において「上記ブロックの符号化データを生成」しないようにすることも当然のことである。

さらに、「スキップピクチャ符号化を行うことを指定する符号化制御信号が入力された場合」、その使用された符号化方式を示す情報をヘッダに挿入して符号化することは、引用発明の構成(e)、及び刊行物3の上記1.(3)の摘示箇所に示されるように当該技術分野の技術常識であり、引用発明の可変長符号化回路(本願発明の「可変長符号化手段」」に相当)において、「上記入力画像についてスキップピクチャ符号化が選択されたことを示す情報を含むピクチャレベルのヘッダデータを生成」するように構成することも、当業者が当然になし得ることである。

(2)相違点2について
刊行物4には、上記1.(4)の摘示箇所(段落【0037】,【0041】,【0042】に復号化装置のデブロックフィルタ、段落【0061】に符号化装置の復元画像生成用のデブロックフィルタ)に示されるように、符号化の復元画像生成用のデブロックフィルタにおいて、差分画像が0となる場合には、符号化単位での境界においては符号化歪除去処理を行わず、動き補償ブロックの境界のみで符号化歪除去処理を行うこと、すなわち、DCT変換ブロックの境界ではなく、予測画像のブロック境界に対してブロック平滑化を行うことが記載されている。
そして、引用発明において、スキップ符号化モードを選択することはMBの画素差分データの量子化データが全て0(ゼロ)であるから、その場合に、刊行物4に記載される技術を適用し、本願発明のような、「上記符号化制御信号が入力された場合、上記ループフィルタは、上記予測画像のブロック境界の不連続性を緩和する動きブロック平滑化処理を実施する」という構成を採用することは、当業者が容易になし得ることである。

(3)効果等について
本願発明の構成は、上記のように当業者が容易に想到できたものであるところ、本願発明が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測しうる範囲内のものであり、同範囲を超える格別顕著なものがあるとは認められない。

(4)まとめ
以上のとおりであるから、本願発明は引用発明、及び刊行物2ないし4に記載される技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4.むすび
以上のように、本願の請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明、及び刊行物2ないし4に記載される技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-01-14 
結審通知日 2016-01-19 
審決日 2016-02-01 
出願番号 特願2012-508043(P2012-508043)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 坂東 大五郎  
特許庁審判長 藤井 浩
特許庁審判官 戸次 一夫
清水 正一
発明の名称 画像符号化装置、画像復号装置、画像符号化方法及び画像復号方法  
代理人 田澤 英昭  
代理人 辻岡 将昭  
代理人 河村 秀央  
代理人 濱田 初音  
代理人 坂元 辰哉  
代理人 中島 成  
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