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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61B
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A61B
管理番号 1312459
審判番号 不服2015-6453  
総通号数 197 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-04-06 
確定日 2016-03-17 
事件の表示 特願2011-101501「画像処理装置及び医用画像診断装置」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 1月26日出願公開、特開2012- 16575〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成23年4月28日(優先権主張平成22年6月7日)の出願であって、平成26年10月21日付けで拒絶理由が通知され、同年11月14日付けで意見書が提出されるとともに、同日付けで手続補正がなされたが、同年12月25日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成27年4月6日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、それと同時に手続補正がなされたものである。


第2 平成27年4月6日付けの手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]

平成27年4月6日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。


[理由]

1 本件補正について

本件補正は、特許請求の範囲の請求項1に係る発明について、平成26年11月14日付けの手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載の、

「 医用画像診断装置によって収集された3次元画像データから、設定された視点位置および視線方向にて観察される仮想内視鏡画像を生成する生成手段と、
前記3次元画像データを解析し、プラーク部位および/または石灰化部位を特定する特定手段と、
前記特定手段によって特定されたプラーク部位および/または石灰化部位の厚みを計測する計測手段と、
前記生成手段によって生成された仮想内視鏡画像とともに前記計測手段によって計測された厚みに関する情報を表示するように制御する表示制御手段とを備え、
前記表示制御手段は、前記視線方向における厚みに応じて、前記プラーク部位および/または石灰化部位の色の濃度または輝度を変化させることを特徴とする画像処理装置。」

を、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項(特許請求の範囲のいわゆる限定的減縮)を目的として、

「 医用画像診断装置によって収集された3次元画像データから、設定された視点位置および視線方向にて観察される仮想内視鏡画像を生成する生成手段と、
前記3次元画像データを解析し、プラーク部位および/または石灰化部位を特定する特定手段と、
前記特定手段によって特定されたプラーク部位および/または石灰化部位の厚みを計測する計測手段と、
前記生成手段によって生成された仮想内視鏡画像とともに前記計測手段によって計測された厚みに関する情報を表示するように制御する表示制御手段とを備え、
前記表示制御手段は、前記視線方向であり血管の走行方向における厚みに応じて、前記プラーク部位および/または石灰化部位の色の濃度または輝度を変化させることを特徴とする画像処理装置。」

と補正することを含むものである。(下線は補正箇所を示す。)

すなわち、この補正は、発明特定事項である「視線方向における厚み」に対して「血管の走行方向」における厚みであるとの限定を付加することを含むものである。

2 独立特許要件についての検討

(1)そこで、次に、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について検討する。

(2)引用例

ア 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先権主張日前に頒布された刊行物である特開2010-075549号公報(以下「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている(下線は当審において付加したものである。)。

(ア)「【技術分野】
【0001】
医用画像診断装置から得られる原画像のボリュームデータを用いて臓器の三次元画像を作成して表示することで、ユーザーに診断情報を提供する医用の画像処理装置に関するもので、特に、血管や大腸などの管腔臓器の内腔、壁面及びその外側を可視化して表示できる装置に関して使用されるものである。
【背景技術】
【0002】
近年の医用画像分野で使用される画像処理装置は、超音波診断装置、X線コンピュータ断層撮影装置(X線CT装置)、磁気共鳴イメージング装置(MRI装置)等の医用画像機器と組み合わせて使用され、多くの病院、検査機関等で広く利用されている。この画像処理装置によって提供される三次元画像は、手術前のシミュレーション等において、消化管の腫瘍、プラーク(斑点)の形成、狭搾症等の原因を調べる際に行う消化管腔の画像化等に有効利用されている。
【0003】
特に、近年のコンピュータ技術の進歩により、種々の形態による画像表示が可能である。その代表的なものとして、フライスルー法がある。この手法は、X線CT装置やMRI装置などで取得された原画像のボリュームデータを用いて、管腔臓器の内腔(例えば気管支や腸管など)を、あたかも内視鏡スコープで覗いている様な画像を表示するものである。従来の画像処理装置を用いれば、ボリュームレンダリングの透明度を適切な値に設定することで、臓器の内腔から見た壁面(例えば、気管支、血管、腸管等の内壁)の状態を再構成して表示することができる。」

(イ)「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の画像処理装置においては、例えば次のような問題がある。
【0005】
すなわち、従来の画像処理装置によって提供されるフライスルー画像は、内視鏡スコープで見ることのできる画像と同じ程度の情報しか得られず、医師が診断や治療に対して知りたいと思っている情報(例えば、内視鏡を使用した術式の適用範囲を把握するために、臓器の壁面から外側に向かって、病巣部(例えば、肺癌、大腸癌、胃癌など)が、どの程度の範囲まで浸潤しているか等を把握可能な情報)を提供することはできない。
【0006】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、管腔臓器の内腔、壁面及びその外側に浸潤している病巣部の関係を可視化し、またこれを観察し易い形態にて表示することができる画像処理装置を提供することを目的としている。」

(ウ)「【0012】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る画像処理装置1のブロック構成図を示している。同図に示すように、本画像処理装置1は、操作部10、表示部12、送受信部14、制御部16、記憶部18、三次元画像レンダリング部20を具備している。」

(エ)「【0016】
制御部16は、当該医用画像処理装置の動作を統括的に制御する。特に、制御部16は、記憶部18に記憶された専用プログラムを図示していないメモリ上に展開し、これに従って三次元画像レンダリング部20を構成し動作させることで、管腔臓器壁面とその外側に浸潤している病巣部の関係を可視化するための機能(以下「管腔臓器病巣部等の可視化機能」と呼ぶ。)を実現する。この管腔臓器病巣部等の可視化機能については、後で詳しく説明する。」

(オ)「【0017】
記憶部18は、各種医用画像診断装置によって取得されたボリュームデータの他、管腔臓器病巣部等の可視化機能を実現するための専用プログラムを記憶する。
【0018】
図2は、X線CT装置によって収集されるボリュームデータ(CTボリュームデータ)を模式的に示したものである。同図に示すように、CTボリュームデータは、X線CT装置によって収集される二次元画像(CT原画像)を積層し、また必要に応じて補間することで生成される。記憶部18は、この様なボリュームデータを、患者ID、検査種等を含む付帯情報と共に記憶する。」

(カ)「【0019】
三次元画像レンダリング部20は、通常のボリュームレンダリング処理(管腔臓器の内腔を含む領域の映像化処理)、及び管腔臓器病巣部等を可視化するためのボリュームレンダリング処理(管腔臓器病巣部等に関する映像化処理)を実行するものであり、臓器表示条件設定部200、壁面表示条件設定部201、画像作成部202(当審注:「画像作成部202」は「画像生成部202」の誤記と認める。)を有している。
【0020】
臓器表示条件設定部200は、通常のボリュームレンダリング処理において用いられる臓器表示条件を設定するものである。ここで、臓器表示条件とは、管腔臓器の内腔を含む領域を可視化するための視点位置、視線方向ベクトル、光源位置、不透明度(Opacity)又は透明度(Transparency)、FOV、カラーテーブル等の各種パラメータのうちの少なくとも一つを含むものである。以下、各パラメータについて説明する。」

(キ)「【0022】
図3(a)、(b)は、内腔を含む領域の映像化において設定される視点位置、視線方向ベクトルを説明するための図である。すなわち、初期設定または操作部10からのマニュアル操作により、ボリュームデータ空間上のある任意の点が透視投影画像の視点位置(例えば血管内の任意の点)として設定され、また、当該視点位置からの観察方向を示す視線方向(例えば、血管の長手方向)が設定される。特に、マニュアル操作による場合には、図3(a)に示す平行投影画像上に、操作部10からの操作によって視点位置及び視線方向を指定できることが好ましい。この設定に従ったボリュームレンダリング処理により、例えば図3(b)示すような透視投影画像を得ることができる。」

(ク)「【0035】
(管腔臓器病巣部等に関する映像化)
次に、三次元画像レンダリング部20において実行される管腔臓器病巣部等に関する映像化処理について説明する。この処理は、臓器壁面から外側に向かって通常とは異なる条件によりボリュームレンダリングを行うことで、臓器壁面及びその内部や外側を可視化し、病巣部がどの程度の範囲まで浸潤しているかを判定可能な情報を提供するものである。なお、以下の説明においては、図8に示すように、映像化対象とする管腔臓器を血管とし、これを透視投影により映像化する場合を例とする。
【0036】
図9は、管腔臓器病巣部等に関する映像化において実行される処理の流れを示したフローチャートである。同図に示すように、まず、記憶部18からボリュームデータが読み出され、臓器表示条件、壁面表示条件が設定される(ステップS1)。ここでは、典型的な例を説明するため、視点位置は血管内に、視線方向ベクトルは血管の長手方向に沿って設定されるものとする。また、各条件を構成する各パラメータの入力については、既述のした(当審注:「既述のした」は「既述した」の誤記と認める。)ように自動でも手動でもよい。
【0037】
次に、画像生成部202は、図10に示すように、視点から視線方向に沿って各レイを延ばし、臓器表示条件設定部201によって設定された条件に従って不透明になる点までを通常のボリュームレンダリングを実行する(ステップS2)。また、画像生成部202は、ボリュームレンダリングにおいて各画素に割り当てられた不透明度に基づいて、壁面を構成する画素を特定し、壁面を検出する(ステップS3)。この壁面の検出は、例えば透明度の値が1.0に設定されているCT値を持ったが素、又は光が減衰してそれ以上奥にある物体に光が届かなくなり、奥にある物体が見えなくなる位置(画素)を特定すること等で実現できる。
【0038】
次に、画像生成部202は、各レイの内側壁面との接点における濃度勾配を算出する(ステップS4)。また、画像生成部202は、図10に示すように、当該勾配に基づいて各接点において内側壁面に対し垂直なベクトルを算出し、このベクトルを各接点における壁面の厚み方向とし(ステップS5)、当該厚み方向及び壁面表示条件として設定された厚さに基づいて外壁面の境界を設定する(ステップS6)。ここでは、設定される外壁面の境界は、例えば図11に示すようにステップS2において特定された壁面から所定の距離だけ外側に位置するものとする。」

(ケ)「【0059】
(第3の実施形態)
既述の第1及び第2の実施形態では、例えば図12に示したように、病巣領域をその周辺の臓器壁面と同じ半透明色(例えば、青色半透明)で映像化する例を示した。これに対し、本第3の実施形態では、病巣領域を、臓器内腔側に突出している部分(内腔病巣部分)、病巣当該病巣がないと推定した場合の管腔臓器内壁面との交差部分(交差病巣部分)、臓器内壁面から外側(すなわち、臓器壁内)に突出している病巣部分(壁内病巣部分)の三つの部分に分類し、これらを区別できるように表示する。また、各部分の大きさ及び病巣領域の大きさ等の定量的情報を計算し、提示する。
【0060】
図16は、第3の実施形態に係る画像処理装置の構成を示した図である。図1と比較した場合、定量的解析部203をさらに具備する点、及び画像生成部202の機能が主に異なる。なお、管腔臓器壁面外側のボリュームレンダリング処理によって得られる画像と共にMPR画像を同時に表示する場合には、図16に示した構成に加えて、図13のMPR画像レンダリング部22をさらに具備する構成となる。
【0061】
画像生成部202は、内腔病巣部分、交差病巣部分、壁内病巣部分を抽出(分類)し、それぞれに異なる色彩が(当審注:「色彩が」は「色彩を」の誤記と認める。)割り当てることで、各部分が識別可能な透視投影画像を生成する。すなわち、画像生成部202は、例えば図9のステップS3において特定された壁面に基づいて、病巣が存在しないと推定した場合の管腔臓器内壁面を抽出する。また、画像生成部202は、ボリュームデータに対して所定の閾値処理を用いて、病巣領域を抽出する。さらに、画像生成部202は、抽出された管腔臓器内壁面と病巣領域とを用いて、各ボクセルを内腔病巣部分、交差病巣部分、壁内病巣部分、(病巣の存在しない)臓器壁面部分に分類する。画像生成部202は、各部分に分類されたボリュームデータを用いて既述の壁面及びその内部に関するボリュームレンダリング処理を実行し、各部分に異なる色彩を割り当てることで、それぞれが色別に表示される投影画像を生成する。
【0062】
定量的解析部203は、抽出された内腔病巣部分、交差病巣部分、壁内病巣部分の各部分の大きさ、病巣領域の大きさ等の定量的情報を計算する。すなわち、定量的解析部203は、ボリュームデータ上で分類された部分毎に含まれるボクセル数と1ボクセルの体積とに基づいて、内腔病巣部分、交差病巣部分、壁内病巣部分、病巣領域のそれぞれの大きさ(体積)を計算する。また、必要に応じて、その表面積や直径等も計算することができる。
【0063】
図17は、三次元画像レンダリング部20において実行される映像化処理の流れを示したフローチャートである。同図に示すステップS11?ステップS16(当審注:「ステップS11?ステップS16」は「ステップS1?ステップS6」の誤記と認める。)までの処理は、図9に示したステップS11?ステップS16(当審注:「ステップS11?ステップS16」は「ステップS1?ステップS6」の誤記と認める。)までの処理を(当審注:「処理を」は「処理と」の誤記と認める。)実質的に同じであるので、その説明は省略する。
【0064】
画像生成部202は、ステップS3において特定された壁面に基づいて、病巣が存在しないと推定した場合の管腔臓器内壁面を抽出する。(ステップS17)。すなわち、画像生成部202は、例えばステップS3において図18に示すような壁面W(点線部分)が検出された場合には、例えばその曲率が所定の範囲内に存在するように壁面Wを近似することで、或いは所定の範囲内の値を有するボクセルを用いて壁面Wを近似することで、管腔臓器内壁面W′(実線部分)を抽出する。また、画像生成部202は、所定の閾値処理を行うことで、病巣領域を抽出する(ステップS18)。
【0065】
画像生成部202は、抽出された管腔臓器内壁面及び病巣領域に基づいて、ボリュームデータを内腔病巣部分、交差病巣部分、壁内病巣部分、臓器壁面部分に分類する(ステップS19)。また、定量的解析部203は、抽出された内腔病巣部分、交差病巣部分、壁内病巣部分、及び病巣の各大きさを計算する定量的解析を実行する(ステップS20)。
【0066】
画像生成部202は、各部分に分類されたボリュームデータを用いて既述の壁面及びその内部に関するボリュームレンダリング処理を実行し(ステップS21)、分類された各部分に異なる色彩を割り当てることで、それぞれが色別に識別可能な投影画像を生成する(ステップS22)。生成された投影画像は、例えば内腔病巣部分、交差病巣部分、壁内病巣部分の定量的情報と共に、所定の形態で表示される(ステップS23)。
【0067】
図19は、内腔病巣部分、交差病巣部分、壁内病巣部分の色別表示の一例を示した図である。なお、同図では視点及び視線方向を図6に示した設定とした例を示しているため、各部分は視点に対して手前にある順番(すなわち、内腔病巣部分、交差病巣部分、壁内病巣部分の順番)に表示されている。」

(コ)【図16】(当審注:図中「画像作成部」は「画像生成部」の誤記と認める。)




(サ)【図17】




(シ)【図19】




イ 引用例1に記載された発明の認定

上記ア(ア)ないし(シ)を含む引用例1全体の記載を総合すると、引用例1には、

「 操作部10、表示部12、送受信部14、制御部16、記憶部18及び三次元画像レンダリング部20を具備している画像処理装置であって、
映像化対象とする管腔臓器を血管とし、これを透視投影により映像化するものであって、視点位置は血管内に、視線方向ベクトルは血管の長手方向に沿って設定され、
記憶部18は、各種医用画像診断装置によって取得されたボリュームデータを記憶し、
三次元画像レンダリング部20は、管腔臓器の内腔を含む領域の映像化処理である通常のボリュームレンダリング処理、及び、管腔臓器病巣部等に関する映像化処理である管腔臓器病巣部等を可視化するためのボリュームレンダリング処理を実行するものであり、臓器表示条件設定部200、壁面表示条件設定部201、画像生成部202及び定量的解析部203を有しており、
画像生成部202は、視点から視線方向に沿って各レイを延ばし、通常のボリュームレンダリングを実行し、各画素に割り当てられた不透明度に基づいて、壁面を構成する画素を特定して壁面を検出し、特定された壁面に基づいて、病巣が存在しないと推定した場合の管腔臓器内壁面を抽出し、ボリュームデータに対して所定の閾値処理を用いて、病巣領域を抽出し、抽出された管腔臓器内壁面と病巣領域とを用いて、各ボクセルを内腔病巣部分、交差病巣部分、壁内病巣部分、病巣の存在しない臓器壁面部分に分類し、各部分に分類されたボリュームデータを用いて壁面及びその内部に関するボリュームレンダリング処理を実行し、各部分に異なる色彩を割り当てることで、それぞれが色別に表示される投影画像を生成し、
定量的解析部203は、抽出された内腔病巣部分、交差病巣部分、壁内病巣部分の各部分の大きさ、病巣領域の大きさ等の定量的情報を計算し、
生成された投影画像は、例えば内腔病巣部分、交差病巣部分、壁内病巣部分の定量的情報と共に、所定の形態で表示される、画像処理装置。」

の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

ウ 原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先権主張日前に頒布された刊行物である特開2008-054763号公報(以下「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている(下線は当審において付加したものである。)。

(ア)「【0001】
本発明は、医療画像診断装置に係り、特に管腔臓器の仮想内視鏡画像を作成する医療画像診断装置に関する。」

(イ)「【0013】
本発明は、上記事情に鑑みてなさされたものであり、仮想内視鏡画像と異常部位識別画像とを重ね合わせることで、ポリープ、石灰化領域等の異常部位が容易に発見可能な融合画像を作成する医療画像診断装置を提供することを目的とする。」

(ウ)「【0038】
仮想内視鏡画像表示位置が決定されたら、仮想内視鏡画像表示位置から一定厚さ分の画素値を加算した加算画像の作成が行われる(ステップS16?S26)。本実施の形態では、X線CT装置2を使用しているため、画素値はCT値を意味する。
【0039】
まず、n=1に設定される(ステップS16)。
【0040】
次に、仮想内視鏡画像表示位置から視線に沿って所定の厚さ分のCT値を加算するためのパスqn(n=1?N、Nは2以上の整数)が作成される(ステップ18)。なお、パスqnとは、仮想内視鏡画像表示位置mから視線に沿った直線ln上にある画素位置pnを始点に、所定の長さLを持った直線(図3参照)である。
【0041】
ここで、パスqnの設定方法について説明する。
【0042】
図3(a)、(b)に示すように、仮想内視鏡画像表示位置mから、視野内のある画素位置p1を直線l1で結ぶ。この直線l1は、仮想内視鏡画像表示位置mから画素位置p1を見たときの視線に一致する。この直線l1上であって、画素位置p1から腸壁側に伸びる長さL(画素位置p1を含む)の直線がパスq1である。
【0043】
腫瘍やポリープ等の異常部位がある場合には、図3(b)に示すように、仮想内視鏡画像表示位置mからポリープ上の画素位置p3、p4を見たときの視線l3、l4上であって、ポリープ上の画素位置p3、p4を始点にポリープ及び腸壁を通る長さLの直線がパスq3、q4となる。
【0044】
なお、長さLは、CT値を加算する範囲を示す。本実施例では、大腸を観察しているため、長さLは、腸壁の厚さtに数mmを加えた長さであり、腸壁の厚さtの約1?3倍の範囲である。
【0045】
この長さLは、加算画像作成に最適な値を自動で決定させてもよいし、操作者に決定させてもよい。なお、操作者に決定させる場合には、基本となる値Lを、表示メモリ14を介してモニタ15に表示させて、マウス17等により操作者に選択させるようにする。
【0046】
パスqnを作成したら、そのパスqnに含まれるCT値が加算される(ステップS20)。
【0047】
CT値の加算が終了したら、n=n+1に設定される(ステップS22)。
【0048】
そして、n=Nであるかどうか、すなわち、仮想内視鏡画像表示位置mからの視野内に含まれる全ての画素を通るパスqnに対してCT値の加算がされたかが判断される(ステップS24)。
【0049】
NOの場合は、パスqn作成(ステップS18)へ戻り、上記処理を再度行う。
【0050】
YESの場合は、仮想内視鏡画像における画素位置p1?pNのCT値が、ステップS20で加算された画素位置p1?pNを通るパスq1?qNにおける加算CT値に置き換えられる(ステップS26)。
【0051】
これにより、仮想内視鏡画像表示位置mから一定厚さ分のCT値が加算された加算画像が作成される。
【0052】
腫瘍やポリープ等の異常部位がない場合(図3(a)参照)は、パスq1?qNにおいて、パスq1?qN上のCT値を加算した値は均等な値となる。よって、加算画像は平坦な画像となる。
【0053】
一方、腫瘍やポリープ等の異常部位がある場合(図3(b)参照)は、異常部位を通るパスqn(異常部位及び腸壁)上のCT値を加算した値は、正常部位を通るパスqn(腸壁のみ)上のCT値を加算した値に比して高くなる。CT値を画像化する場合には、一般的に、CT値が高い部分は濃く、CT値が低い部分は薄く表示するため、加算画像においては、異常部位が正常部位に比べて濃く表示される。
【0054】
なお、図3においては、概略として、仮想内視鏡画像表示位置mと腸壁とを含む平面を用いて説明したが、実際は、仮想内視鏡画像表示位置mの視野内にある3次元空間に対して上記処理が行われる。
【0055】
加算画像が作成されたら、磁気ディスク13に保存されている仮想内視鏡画像(図4(a)参照)と、ステップS26で作成された加算画像(図4(b)参照)とを重ね合わせた融合画像(図4(c)参照)が作成され(ステップS28)、表示メモリ14を介してモニタ15に表示される(ステップS30)。なお、画像融合技術は画像フュージョン等とも呼ばれ、PET画像とCT画像の融合処理や、PET・MRの画像融合処理など多くの公知技術があり、これを用いることで実行可能である。
【0056】
加算画像は、仮想内視鏡画像表示位置から一定の厚さの加算CT値をもつ画像であるため、図4(b)に示すように、腫瘍やポリープ等の異常部位4-1を濃く、その他の正常部位は薄く画像化することはできるが、通常の仮想内視鏡画像とは異なり、画像としては「ボケ」たようになる。そのため、異常部位の解剖学的位置の把握が困難となるため、臨床診断の妨げとなる。
【0057】
そのため、図4(a)に示すような仮想内視鏡画像と、図4(b)に示すような加算画像とを重ね合わせて図4(c)に示すような融合画像にすることにより、異常部位の正確な位置情報を仮想内視鏡画像から得ることができ、操作者に臨床的に有効な情報を提供することが可能となる。これにより、加算画像で得られた異常部位の解剖学的位置の把握をより効率よく行うことができる。
【0058】
本実施の形態によれば、異常部位を正常部位と識別可能に表示させる異常部位識別画像である加算画像を作成することで、仮想内視鏡画像のみでは見落とされる恐れがある異常部位、特に腫瘍やポリープ等の画像情報を的確に操作者に伝える事ができる。
【0059】
また、本実施の形態によれば、同じ視点から見た加算画像と仮想内視鏡画像とを重ね合わせることで、その異常部位の解剖学的位置の把握が容易になる。
【0060】
これにより、操作者は異常部位と正常部位の弁別がし易くなり、腫瘍、ポリープ等の異常部位を容易に発見することができる。」

(エ)【図3】




エ 引用例2に記載された技術の認定

上記ウ(ア)ないし(エ)を含む引用例2全体の記載を総合すると、引用例2には、

「 管腔臓器の仮想内視鏡画像を作成する医療画像診断装置において、
仮想内視鏡画像表示位置mから、視野内のある画素位置pnを直線lnで結び、仮想内視鏡画像表示位置mから画素位置pnを見たときの視線に一致するこの直線ln上であって、画素位置pnから腸壁側に伸びる長さL(画素位置pnを含む)の直線をパスqnとし、
パスqnを作成したら、そのパスqnに含まれるCT値を加算するものであって、仮想内視鏡画像表示位置mからの視野内に含まれる全ての画素を通るパスqnに対してCT値の加算がされ、
仮想内視鏡画像における画素位置p1?pNのCT値が、加算された画素位置p1?pNを通るパスq1?qNにおける加算CT値に置き換えられ、仮想内視鏡画像表示位置mから一定厚さ分のCT値が加算された加算画像が作成され、
加算画像は異常部位を正常部位と識別可能に表示させる異常部位識別画像であり、
同じ視点から見た仮想内視鏡画像と加算画像とを重ね合わせた融合画像を作成し、モニタに表示することで、その異常部位の解剖学的位置の把握を容易にする技術。」(以下「引用例2技術」という。)

が記載されている。

(3)本願補正発明と引用発明との対比

ア 対比

本願補正発明と引用発明とを対比する。

(ア)
a 引用例1の【0018】に記載された「図2は、X線CT装置によって収集されるボリュームデータ(CTボリュームデータ)を模式的に示したものである。同図に示すように、CTボリュームデータは、X線CT装置によって収集される二次元画像(CT原画像)を積層し、また必要に応じて補間することで生成される。記憶部18は、この様なボリュームデータを、患者ID、検査種等を含む付帯情報と共に記憶する。」を参酌するに、引用発明の「ボリュームデータ」は、二次元画像を積層した三次元画像のデータであるといえる。
よって、引用発明の「各種医用画像診断装置によって取得されたボリュームデータ」は、本願補正発明の「医用画像診断装置によって収集された3次元画像データ」に相当する。

b 引用発明は、「視点位置は血管内に、視線方向ベクトルは血管の長手方向に沿って設定され」、「血管」を「透視投影により映像化するもの」であるところ、「透視投影により映像化」された画像が仮想内視鏡画像であることは明らかである。
よって、引用発明において、「視点位置は血管内に、視線方向ベクトルは血管の長手方向に沿って設定され」、「血管」を「透視投影により映像化」した画像は、本願補正発明の「設定された視点位置および視線方向にて観察される仮想内視鏡画像」に相当する。

c 引用発明は、「画像生成部202」が「投影画像を生成」するものであることから、引用発明の「画像生成部202」が「透視投影により映像化」した画像を生成するための構成を備えていることは明らかである。

d また、引用発明において、「透視投影によ」る「映像化」が、「記憶部18」に「記憶」された「各種医用画像診断装置によって取得されたボリュームデータ」を用いて行われることは明らかである。

e してみると、引用発明の「画像生成部202」における、「記憶部18」に「記憶」された「各種医用画像診断装置によって取得されたボリュームデータ」を用いて、「視点位置は血管内に、視線方向ベクトルは血管の長手方向に沿って設定され」、「血管」を「透視投影により映像化」した画像を生成するための構成は、本願補正発明の「医用画像診断装置によって収集された3次元画像データから、設定された視点位置および視線方向にて観察される仮想内視鏡画像を生成する生成手段」に相当する。

(イ)
a 引用発明において、「病巣領域」が「内腔病巣部分、交差病巣部分、壁内病巣部分」で構成されることは明らかであり、引用発明の「病巣領域」を構成する「内腔病巣部分、交差病巣部分、壁内病巣部分」と、本願補正発明の「プラーク部位」とは、「変異部位」である点において共通する。

b 引用発明において、「各ボクセルを」内腔病巣部分などの「部分に分類」することは、本願補正発明の「部位を特定する」ことに相当する。

c また、引用発明は、「画像生成部202」が「ボリュームデータに対して所定の閾値処理を用いて、病巣領域を抽出し、抽出された管腔臓器内壁面と病巣領域とを用いて、各ボクセルを内腔病巣部分、交差病巣部分、壁内病巣部分、病巣の存在しない臓器壁面部分に分類」するものであることから、引用発明の「画像生成部202」が、「ボリュームデータに対して所定の閾値処理を用いて、病巣領域を抽出し、抽出された管腔臓器内壁面と病巣領域とを用いて、各ボクセルを内腔病巣部分、交差病巣部分、壁内病巣部分、病巣の存在しない臓器壁面部分に分類」するための構成を備えていることは明らかである。

d してみると、引用発明の「画像生成部202」における、「ボリュームデータに対して所定の閾値処理を用いて、病巣領域を抽出し、抽出された管腔臓器内壁面と病巣領域とを用いて、各ボクセルを内腔病巣部分、交差病巣部分、壁内病巣部分、病巣の存在しない臓器壁面部分に分類」するための構成と、本願補正発明の「3次元画像データを解析し、プラーク部位を特定する特定手段」とは、「3次元画像データを解析し、変異部位を特定する特定手段」である点において共通する。

(ウ)
a 引用発明の「定量的情報」である「大きさ」と、本願補正発明の「厚み」とは、「寸法」である点において共通する。

b 本願の発明の詳細な説明の段落【0026】の「プラーク石灰厚み計測部142は、×印と黒丸印との間に存在する画素の数を計上することで、設定された視点位置におけるプラーク部位の厚みを計測する。」との記載を参酌するに、本願補正発明における「計測手段」が行う「計測」は、「計上」すなわち「計算」により計測値を求めることを包含するものであるといえる。
よって、引用発明の「計算」は、本願補正発明の「計測」に相当する。

c してみると、引用発明の「抽出された内腔病巣部分、交差病巣部分、壁内病巣部分の各部分の大きさ、病巣領域の大きさ等の定量的情報を計算」する「定量的解析部203」と、本願補正発明の「特定手段によって特定されたプラーク部位の厚みを計測する計測手段」とは、「特定手段によって特定された変異部位の寸法を計測する計測手段」である点において共通する。

(エ)
a 引用発明は、「生成された投影画像」が「内腔病巣部分、交差病巣部分、壁内病巣部分の定量的情報と共に、所定の形態で表示される」ものであり、ここでの「生成された投影画像」は「画像生成部202」が生成したものであり、「定量的情報」は「大きさ」であるから、引用発明が「画像生成部202」により「生成された投影画像」を「内腔病巣部分、交差病巣部分、壁内病巣部分の大きさと共に、所定の形態で表示」するように制御する構成を備えていることは明らかである。

b よって、引用発明における、「画像生成部202」により「生成された投影画像」を「内腔病巣部分、交差病巣部分、壁内病巣部分の大きさと共に、所定の形態で表示」するように制御する構成と、本願補正発明の「生成手段によって生成された仮想内視鏡画像とともに計測手段によって計測された厚みに関する情報を表示するように制御する表示制御手段」とは、「生成手段によって生成された仮想内視鏡画像とともに計測手段によって計測された寸法に関する情報を表示するように制御する表示制御手段」である点において共通する。

イ 一致点及び相違点

よって、本願補正発明と引用発明とは、

「 医用画像診断装置によって収集された3次元画像データから、設定された視点位置および視線方向にて観察される仮想内視鏡画像を生成する生成手段と、
前記3次元画像データを解析し、変異部位を特定する特定手段と、
前記特定手段によって特定された変異部位の寸法を計測する計測手段と、
前記生成手段によって生成された仮想内視鏡画像とともに計測手段によって計測された寸法に関する情報を表示するように制御する表示制御手段とを備えた、画像処理装置。」

の発明である点で一致し、次の3点で相違する。

(相違点1)
特定手段が特定する変異部位が、本願補正発明においては、「プラーク部位」であるのに対し、引用発明においては、「病巣領域」を構成する「内腔病巣部分、交差病巣部分、壁内病巣部分」である点。

(相違点2)
計測手段により計測され、表示制御手段により表示される変異部位の寸法が、本願補正発明においては、「厚み」であるのに対し、引用発明においては、「大きさ」である点。

(相違点3)
表示制御手段が、本願補正発明においては、「視線方向であり血管の走行方向における厚みに応じて、プラーク部位の色の濃度または輝度を変化させる」ものであるのに対し、引用発明においては、そのような特定がなされていない点。

(4)当審の判断

ア 上記各相違点について検討する。

(ア)相違点1について

引用例1の段落【0002】に「この画像処理装置によって提供される三次元画像は、手術前のシミュレーション等において、消化管の腫瘍、プラーク(斑点)の形成、狭搾症等の原因を調べる際に行う消化管腔の画像化等に有効利用されている。」(下線は当審において付加した。)と記載されていることから、引用発明は、「病巣領域」として「プラーク部位」も対象としているものといえる。

してみると、引用発明において、「病巣領域」を「プラーク部位」に特定し、上記相違点1に係る本願補正発明の発明特定事項のように構成することは、単なる設計事項である。

(イ)相違点2について

引用例1の段落【0005】に「従来の画像処理装置によって提供されるフライスルー画像は、・・・医師が診断や治療に対して知りたいと思っている情報(例えば、内視鏡を使用した術式の適用範囲を把握するために、臓器の壁面から外側に向かって、病巣部(例えば、肺癌、大腸癌、胃癌など)が、どの程度の範囲まで浸潤しているか等を把握可能な情報)を提供することはできない。」との指摘があることから、引用発明において、病巣部がどの程度の範囲まで浸潤しているかを把握可能な情報を追加することが有益であることは、明らかである。

引用例2には、上記(1)エに示したとおりの技術が記載されているところ、引用例2の段落【0053】の「腫瘍やポリープ等の異常部位がある場合(図3(b)参照)は、異常部位を通るパスqn(異常部位及び腸壁)上のCT値を加算した値は、正常部位を通るパスqn(腸壁のみ)上のCT値を加算した値に比して高くなる。CT値を画像化する場合には、一般的に、CT値が高い部分は濃く、CT値が低い部分は薄く表示するため、加算画像においては、異常部位が正常部位に比べて濃く表示される。」との記載を参酌するに、引用例2技術における加算CT値は、パスqn上における異常部位の厚みを反映し、異常部位が薄い位置の加算CT値に比して異常部位が厚い位置の加算CT値の方が高くなることは明らかである。

よって、引用例2技術において、加算CT値を求めることは、異常部位の厚みを計測することであるといえる。
また、引用例2技術において、仮想内視鏡画像と加算画像とを重ね合わせた融合画像を作成し、モニタに表示することは、仮想内視鏡画像とともに計測された異常部位の厚みを示す情報を表示することであるといえる。
したがって、引用例2技術は、計測手段により計測され、表示制御手段により表示される変異部位の寸法が、「厚み」であるという、上記相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項に相当する構成を備えているものと認められる。

そして、引用発明と引用例2技術は、いずれも仮想内視鏡画像に変異部位を識別する画像を付加して表示する技術として共通するものである。

してみると、引用発明において、病巣部がどの程度の範囲まで浸潤しているかを把握可能な情報を追加するために、引用例2技術における、加算CT値を求め、仮想内視鏡画像と、加算画像とを重ね合わせた融合画像を作成し、モニタに表示する構成を採用し、定量的解析部203において加算CT値を求めることで病巣領域の厚みを計算し、画像生成部202が生成した投影画像に加算CT値すなわち異常部位の厚みを示す画像を重ねて表示するようにして、上記相違点2に係る本願補正発明の発明特定事項のように構成することは、当業者が容易に想到し得ることである。

(ウ)相違点3について

引用例2の段落【0053】に「CT値を画像化する場合には、一般的に、CT値が高い部分は濃く、CT値が低い部分は薄く表示するため、加算画像においては、異常部位が正常部位に比べて濃く表示される。」と記載されているように、CT値に応じて表示する画像の濃度を変化させることは普通に行われていることであり、画像が何らかの色を有していることは明らかであるから、引用例2技術においても、加算CT値に応じて表示する画像の色の濃度が変化するもの、すなわち、ポリープ等の異常部位の厚みに応じて表示する画像の色の濃度が変化するものと認められる。

また、引用発明は、「映像化対象とする管腔臓器を血管とし、これを透視投影により映像化するものであって、視点位置は血管内に、視線方向ベクトルは血管の長手方向に沿って設定され」るものであり、引用例2技術は、「同じ視点から見た仮想内視鏡画像と加算画像とを重ね合わせた融合画像を作成」するものであることから、引用発明に上記(イ)で検討した引用例2技術の構成を採用した場合、加算画像を作成する際の視点及び視線方向は、引用発明において透視投影による映像(仮想内視鏡画像)を作成する際の視点及び視線方向ベクトルと一致するように、すなわち、視点位置は血管内に、視線方向は血管の長手方向に沿って設定されることとなる。

よって、引用発明に上記(イ)で検討した引用例2技術の構成を採用することにより、加算CT値により与えられる病巣領域の厚みに関する情報は、視線方向であり血管の走行方向における厚みに関する情報となり、表示される病巣領域の画像は、視線方向であり血管の走行方向における病巣領域の厚みに応じて色の濃度が変化するものとなる。
そして、病巣領域をプラーク部位とすることについては、上記(ア)で検討したとおりであるから、引用発明において、上記相違点3に係る本願補正発明の発明特定事項のように構成することは、当業者が容易に想到し得ることである。

イ 本願補正発明の奏する作用効果

本願補正発明によってもたらされる効果は、引用例1及び2の記載事項から当業者が予測し得る程度のものである。

ウ まとめ

以上のとおりであり、本願補正発明は、引用発明、引用例2技術、並びに、引用例1及び2の記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

(5)補正の却下の決定のむすび

したがって、本願補正発明は特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるということができないから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。


第3 本願発明について

1 本願発明

平成27年4月6日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成26年11月14日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。(上記第2[理由]1の記載参照。)

2 引用例

原査定の拒絶の理由に引用された引用例1及び2の記載事項、並びに引用発明及び引用例2技術については、上記第2[理由]2の(2)引用例に記載したとおりである。

3 対比・判断

本願発明は、上記第2[理由]2で検討した本願補正発明から、「視線方向における厚み」が「血管の走行方向における厚み」であることに係る限定事項を削除したものに相当する。

そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本願補正発明が、上記第2[理由]2の(3)及び(4)において記載したとおり、引用発明、引用例2技術、並びに、引用例1及び2の記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様に、引用発明、引用例2技術、並びに、引用例1及び2の記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび

以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、その余の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-01-15 
結審通知日 2016-01-19 
審決日 2016-02-02 
出願番号 特願2011-101501(P2011-101501)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A61B)
P 1 8・ 121- Z (A61B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田邉 英治石原 徹弥  
特許庁審判長 三崎 仁
特許庁審判官 渡戸 正義
麻生 哲朗
発明の名称 画像処理装置及び医用画像診断装置  
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所  
代理人 特許業務法人酒井国際特許事務所  
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