• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1312540
審判番号 不服2015-12986  
総通号数 197 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-07-07 
確定日 2016-03-16 
事件の表示 特願2011- 4106「発光装置、照明システム」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 7月28日出願公開、特開2011-146709〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年1月12日(パリ条約による優先権主張2010年1月15日、2010年4月1日、大韓民国)の出願であって、平成26年10月29日付けで拒絶理由が通知され、平成27年2月3日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年3月11日付けで拒絶査定がなされた。
それに対して、同年7月7日に拒絶査定不服審判がされるとともに手続補正書が提出された。

第2 平成27年7月7日に提出された手続補正書による補正についての却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
平成27年7月7日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正の内容
本件補正は、補正前の特許請求の範囲の請求項1?15(平成27年2月3日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?15)を、補正後の特許請求の範囲の請求項1?15とするものであり、そのうちの補正前後の請求項1は、それぞれ次のとおりである。

(補正前)
「【請求項1】
支持部材と、
前記支持部材の上に配置され、開口が形成された印刷回路基板と、
前記印刷回路基板と電気的に連結され、前記開口を通じて前記支持部材と接触する発光素子パッケージと、を含み、
前記発光素子パッケージは、
貫通孔が設けられたパッケージ胴体と、
前記パッケージ胴体の側壁を貫通して配置される第1フレーム及び第2フレームと、
前記パッケージ胴体の前記貫通孔に配置される第3フレームと、
前記第3フレームの上に配置される発光素子と、を含み、
前記発光素子は、前記パッケージ胴体及び前記第3フレームによって構成されるキャビティに配置され、
前記発光素子は、第1ワイヤを介して前記第1フレームに電気的に連結され、且つ、第2ワイヤを介して前記第2フレームに電気的に連結され、
前記第3フレームは、前記第1フレーム及び前記第2フレームと電気的に分離されることを特徴とする、発光装置。」

(補正後)
「【請求項1】
支持部材と、
前記支持部材の上に配置され、開口が形成された印刷回路基板と、
前記印刷回路基板と電気的に連結され、前記開口を通じて前記支持部材と接触する発光素子パッケージと、を含み、
前記発光素子パッケージは、
貫通孔が設けられたパッケージ胴体と、
前記パッケージ胴体の側壁を貫通して配置される第1フレーム及び第2フレームと、
前記パッケージ胴体の前記貫通孔に配置される第3フレームと、
前記第3フレームの上に配置される第1発光素子及び第2発光素子と、を含み、
前記第1フレーム及び前記第2フレームは、前記印刷回路基板の上面と接し、
前記発光素子パッケージは、前記第1フレーム及び前記第2フレームを介して前記印刷回路基板に支持され、
前記第1発光素子及び前記第2発光素子は、前記パッケージ胴体及び前記第3フレームによって構成されるキャビティに配置され、
前記第1発光素子は、第1ワイヤを介して前記第1フレームに電気的に連結され、
前記第2発光素子は、第2ワイヤを介して前記第2フレームに電気的に連結され、
前記第3フレームは、前記第1フレーム及び前記第2フレームと電気的に分離されることを特徴とする、発光装置。」

2 本件補正についての検討
(1)補正の目的の適否及び新規事項の追加について
ア 本件補正を整理すると次のとおりである。
[補正事項1]
補正前の請求項1に記載された「配置される発光素子」を、
「配置される第1発光素子及び第2発光素子」とする。
補正前の請求項1に記載された「前記発光素子は、前記パッケージ胴体及び前記第3フレームによって構成されるキャビティに配置され」を、
「前記第1発光素子及び第2発光素子は、前記パッケージ胴体前記第3フレームによって構成されるキャビティに配置され」とする。
また、補正前の請求項1に記載された「前記発光素子は、第1ワイヤを介して前記第1フレームに電気的に連結され、且つ、第2ワイヤを介して前記第2フレームに電気的に連結され」を、
「前記第1発光素子は、第1ワイヤを介して前記第1フレームに電気的に連結され、
前記第2発光素子は、第2ワイヤを介して前記第2フレームに電気的に連結され」とする。
[補正事項2]
補正前の請求項1に、「前記第1フレーム及び前記第2フレームは、前記印刷回路基板の上面と接し、
前記発光素子パッケージは、前記第1フレーム及び前記第2フレームを介して前記印刷回路基板に支持され、」との記載を付加する補正をする。
[補正事項3]
補正前の請求項7に、「前記第1発光素子と前記第2発光素子は、第3ワイヤを介して連結され、
前記ツエナーダイオードは、前記キャビティに配置され、」との記載を付加する補正をするとともに、
補正前の請求項7に記載された「前記ツエナーダイオードは、第3ワイヤを介して前記第1フレームに電気的に連結され、且つ、第4ワイヤを介して前記第2フレームに電気的に連結される」を、
「前記ツエナーダイオードは、第4ワイヤを介して前記第1フレームに電気的に連結され、且つ、第5ワイヤを介して前記第2フレームに電気的に連結される」とする。

イ 以下、補正事項1?3について検討する。
(ア)補正事項1について
補正事項1は、補正前の請求項1における「発光素子」を、「第1発光素子及び第2発光素子」とし、「第1フレーム」に電気的に連結される「発光素子」を「前記第1発光素子」とし、「第2フレーム」に電気的に連結される「発光素子」を「前記第2発光素子」として、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項を限定する補正であって、補正前の発明と補正後の発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、特許法第17条の2第5項に規定する要件を満たしている。

また、補正事項1により追加された構成は、本願の願書に最初に添付された明細書(以下「当初明細書」という。また、本願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面をまとめて「当初明細書等」という。)に記載されており、補正事項1は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、補正事項1は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてなされたものであるから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしている。

(イ)補正事項2について
補正事項2は、補正前の請求項1における「第1フレーム及び第2フレーム」について、「前記第1フレーム及び前記第2フレームは、前記印刷回路基板の上面と接し、前記発光素子パッケージは、前記第1フレーム及び前記第2フレームを介して前記印刷回路基板に支持され」という構成を追加して、補正前の請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項を限定する補正であって、補正前の発明と補正後の発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、特許法第17条の2第5項に規定する要件を満たしている。

また、補正事項2により追加された構成は、当初明細書等に記載されており、補正事項2は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、補正事項2は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてなされたものであるから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしている。

(ウ)補正事項3について
補正事項3は、補正前の請求項7における「発光素子」について、補正事項1に伴い、さらに、「前記第1発光素子と前記第2発光素子は、第3ワイヤを介して連結され」と限定し、補正前の「第3ワイヤ」及び「第4ワイヤ」を、それぞれ「第4ワイヤ」及び「第5ワイヤ」とするとともに、補正前の請求項7における「前記ツエナーダイオード」について、「前記キャビティに配置され」という構成を追加して、補正前の請求項7に記載された発明を特定するために必要な事項を限定する補正であって、補正前の発明と補正後の発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当し、特許法第17条の2第5項に規定する要件を満たしている。

また、補正事項3により追加された構成は、当初明細書等に記載されており、補正事項3は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものではない。
したがって、補正事項3は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてなされたものであるから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしている。

(エ)補正の目的の適否及び新規事項の追加の有無についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第3項及び第5項に規定する要件を満たすものである。
また、補正事項1?3は、特許法第17条の2第4項に規定する要件を満たすものである。
そして、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とする補正を含むものであるから、補正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について検討する。

(2)独立特許要件について
ア 本件補正後の発明
本件補正後の請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)は、本件補正により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されている事項により特定される上記「1 本件補正の内容」の「(補正後)」の箇所に記載したとおりのものである。

イ 引用例の記載と引用発明
(ア)引用例1:特開2004-342791号公報
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である特開2004-342791号公報(以下「引用例1」という。)には、「LEDランプおよびLED照明具」(発明の名称)に関して、図1?図10とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付加した。以下同じ。)。

a 「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱による発光効率の低下、および発光波長の変動を抑えた、信頼性の高いLED照明具に関するものである。」

b 「【0010】
【課題を解決するための手段】LED素子を熱伝導度の大きい材料に搭載し、LED素子の接合部で発生する熱を最短距離である裏面から放熱フィン等に伝導させLED素子の温度上昇を抑えることで、電流値変化による特性の変動を最小限に抑え、特に大電流での発光効率の低下および寿命の短縮を防止する。」

c 「【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施態様を図に基づいて説明する。図4は本発明にかかるLEDランプに使用するフレームの一例を示す斜視図である。表面側に底辺がフラット404aで傾斜した反射面404bを備えた窪みと裏面側に本体403より小さい径の凸部を形成した熱伝導性材料と給電のためのワイヤーボンド可能なフレーム402を接着剤で一体化する。
…(略)…
【0015】
次に、本発明の図1について説明する。放熱プレート103の窪み部底辺のフラット部104aにLEDチップ106を接着樹脂で搭載固定し、LEDチップ106の電極パターンと給電フレームをワイヤーボンドする。上記LEDチップの搭載された放熱フレームを、LEDチップ搭載面がレンズ側になるようモールド用型にセットする。なお、望ましくはLEDチップを搭載した窪み部分に事前にシリコン系柔軟樹脂またはモールド材と同じ樹脂を充填しておくと気泡の混入防止に有効である。
【0016】
続いて、放熱プレ-トの凸部103aが露出するよう透明樹脂を充填する。なお、充填する樹脂は熱硬化、熱可塑のどちらの樹脂を使ってもよい。また、樹脂と凸部段差は、使用する放熱プレートと使用する樹脂の熱膨張係数を考慮し、LED点灯時に放熱プレートの凸部が常に水平、または突出するよう、樹脂充填量を調節しておく。
【0017】
また、図7は上記本発明のLEDランプを使った一例であり、詳細に説明する。穴を開けたエポキシ回路基板713の穴に本発明のLEDランプを配置し、基板の回路とLEDランプの給電フレーム(「給電フレーム712」は「給電フレーム」の誤記と認定した。)を半田等、導電性材料で接続固定する。次にLEDランプ裏面側の放熱プレートの突出部に熱伝導性樹脂を塗布し、塗布面をヒートシンク等放熱器のフラット面と接触させる。LEDランプを搭載した基板と放熱器は、熱伝導性樹脂の厚みが薄くなるようネジ、またはリベットにより固定する。」

d 「【0018】
【実施例1】厚さ2mm、直径5.8mmの銅(還元銅)円板を、表面側に底面104aの直径が0.8mm、反射面104bの角度が60°、深さ0.5mmの窪み、裏面側に直径5.0mm、段差0.6mmの凸部103aになるようプレス加工した放熱プレートの表面ドーナツ状フラット面に非導電性接着材ムロマックボンドH-333Cを薄く塗布し、プレスで打ち抜き下地に0.3μmのニッケルめっき、表面に3μmの銀メッキした給電フレーム102を1.0Kg/cm^(2)の加重を掛けた状態で150℃の雰囲気で30分間硬化した。
【0019】
なお、本実施例では接着強度240Kg/cm^(2)を使用したが、硬化後の接着強度が150Kg/cm^(2)以上が望ましい。また、非導電性接着剤の塗布はスタンピング方式で行ったが、スクリーン印刷、ディスペンス方式でもよい。硬化時の加重は2.0?0.5Kg/cm^(2)が望ましく、加重を大きくすると電気絶縁されない場合が生じやすくなる。また、加重をかけない場合には接着材の厚みが不均一となり硬化後の接着強度にバラツキが生じ信頼性が落ちる原因となる。」

e 「【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるLEDランプの斜視図である。
【図2】本発明にかかるLEDランプの断面図である。
…(略)…
【図7】本発明のLEDランプを搭載したLED照明具の断面図である。
…(略)…
【符号の説明】
…(略)…
709ヒートシンク
712防湿樹脂
713エポキシ回路基板
718放熱コンパウンド」

f 図7から、ヒートシンク709の上に配置されたエポキシ回路基板713が見てとれる。

(イ)引用発明
ここにおいて、引用例1の段落【0018】において行われている「表面側に窪み、裏面側に凸部103aになるようにプレス加工した放熱プレートの表面ドーナツ状フラット面に非導電性接着材を薄く塗布し、給電フレーム102を硬化」することは、段落【0011】において行われている「表面側に窪みと裏面側に凸部を形成した熱伝導性材料と給電のためのワイヤーボンド可能なフレーム402を接着剤で一体化」することに対応する工程であることは明らかであるから、引用例1には、「表面側に窪みと裏面側に凸部を形成した熱伝導性材料からなる放熱プレートとワイヤーボンド可能な給電フレーム402を非導電性接着剤で一体化」することが開示されている。

したがって、図1、2、7を参酌してまとめると、引用例1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「LEDランプを搭載したLED照明具であって、
前記LEDランプに使用するフレームは、表面側に窪みと裏面側に凸部が形成された熱伝導性材料からなる放熱プレートとワイヤーボンド可能な給電フレーム402が非導電性接着剤で一体化され、
前記LEDランプは、放熱プレート103の窪み部底辺のフラット部104aにLEDチップ106が接着樹脂で搭載固定され、LEDチップ106の電極パターンと給電フレームがワイヤーボンドされ、前記放熱プレートの凸部103aが露出するよう透明樹脂が充填され、
穴を開けたエポキシ回路基板713の穴に前記LEDランプが配置され、基板の回路とLEDランプの給電フレームが半田等、導電性材料で接続固定され、LEDランプ裏面側の放熱プレートの突出部に熱伝導性樹脂が塗布され、塗布面がヒートシンク等放熱器のフラット面と接触し、
エポキシ回路基板713がヒートシンク709等放熱器の上に配置された、LED照明具。」

ウ 対比
補正発明と引用発明とを対比する。

(ア)引用発明の「ヒートシンク等放熱器」、「穴」、「LEDランプ」、「給電フレーム」、「放熱プレート」、「LEDチップ」、「窪み部」、「ワイヤー」、及び「LED照明具」は、それぞれ補正発明の「支持部材」、「開口」、「発光素子パッケージ」、「第1フレーム及び第2フレーム」、「第3フレーム」、「発光素子」、「キャビティ」、「『第1ワイヤ』及び『第2ワイヤ』」、及び「発光装置」に相当する。

(イ)引用発明において、「穴を開けたエポキシ回路基板713の穴に前記LEDランプが配置され、基板の回路とLEDランプの給電フレーム712が半田等、導電性材料で接続固定され、LEDランプ裏面側の放熱プレートの突出部に熱伝導性樹脂が塗布され、塗布面がヒートシンク等放熱器のフラット面と接触」するものであるから、ここにおいて、「LEDランプ」は、基板(エポキシ回路基板713)と電気的に連結されたものであることは明らかであり、また、「LEDランプ」は、エポキシ回路基板713の穴を通じてヒートシンク等放熱器と接続するものであるといえる。
また、「基板」の回路は給電フレーム712と接続されているから、引用例1の図7も参照すると、引用発明において、「給電フレーム712」は、エポキシ回路基板713の上面と接するものであることは明らかである。
以上から、補正発明と引用発明とは、「前記回路基板と電気的に連結され、前記開口を通じて前記支持部材と接続する発光素子パッケージ」を含む点、及び「前記第1フレーム及び前記第2フレームは、前記回路基板の上面と接」する点で一致する。

(ウ)引用発明において、「エポキシ回路基板713がヒートシンク709等放熱器の上に配置された」ものであり、「エポキシ回路基板713」は、「穴を開けた」ものであるから、補正発明と引用発明とは、「前記支持部材の上に配置され、開口が形成された回路基板」を含む点で一致する。

(エ)引用発明において、「前記LEDランプは、放熱プレート103の窪み部底辺のフラット部104aにLEDチップ106が接着樹脂で搭載固定され、LEDチップ106の電極パターンと給電フレームがワイヤーボンドされ」るものであるから、引用例1の図7も参照すると、「前記LEDランプ」は、給電フレームと、放熱プレートと、放熱プレートの上に配置されるLEDチップと、を含むものであるといえる。
したがって、補正発明と引用発明とは、「前記発光素子パッケージは、第1フレーム及び第2フレームと、第3フレームと、前記第3フレームの上に配置される発光素子と、を含み」、「前記発光素子は、キャビティに配置され、前記発光素子は、第1ワイヤを介して前記第1フレームに電気的に連結され、第2ワイヤを介して前記第2フレームに電気的に連結され」るものである点で一致する。

(オ)引用発明において、「前記LEDランプに使用するフレーム」は、放熱プレートと給電フレーム402が「非導電性接着剤」で一体化されたものであり、引用例1の段落【0018】?【0019】の記載を勘案すると、放熱プレートと給電フレーム402は電気的に分離されるものであるといえる。
したがって、補正発明と引用発明とは、「前記第3フレームは、前記第1フレーム及び前記第2フレームと電気的に分離される」ものである点で一致する。

(カ)以上をまとめると、補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

<一致点>
「支持部材と、
前記支持部材の上に配置され、開口が形成された回路基板と、
前記回路基板と電気的に連結され、前記開口を通じて前記支持部材と接続する発光素子パッケージと、を含み、
前記発光素子パッケージは、
第1フレーム及び第2フレームと、
第3フレームと、
前記第3フレームの上に配置される発光素子と、を含み、
前記第1フレーム及び前記第2フレームは、前記回路基板の上面と接し、
前記発光素子は、キャビティに配置され、
前記発光素子は、第1ワイヤを介して前記第1フレームに電気的に連結され、第2ワイヤを介して前記第2フレームに電気的に連結され、
前記第3フレームは、前記第1フレーム及び前記第2フレームと電気的に分離される、発光装置。」

<相違点1>
回路基板について、補正発明では、「印刷回路基板」であるのに対し、引用発明では、「エポキシ回路基板713」であり、「印刷回路基板」であるとは特定されていない点。

<相違点2>
発光素子パッケージについて、補正発明では、「前記開口を通じて前記支持部材と接触する発光素子パッケージ」であるのに対し、引用発明では、「LEDランプ裏面側の放熱プレートの突出部に熱伝導性樹脂が塗布され、塗布面がヒートシンク等放熱器のフラット面と接触」するものであり、「LEDランプ」(発光素子パッケージ)は、「ヒートシンク等放熱器」(支持部材)と「接触する」ものではない点。

<相違点3>
補正発明では、「前記発光素子パッケージは、
貫通孔が設けられたパッケージ胴体と、
前記パッケージ胴体の側壁を貫通して配置される第1フレーム及び第2フレームと、
前記パッケージ胴体の前記貫通孔に配置される第3フレームと、
前記第3フレームの上に配置される第1発光素子及び第2発光素子と、を含み」、
「前記第1発光素子及び前記第2発光素子は、前記パッケージ胴体及び前記第3フレームによって構成されるキャビティに配置され」、
「前記第1発光素子は、第1ワイヤを介して前記第1フレームに電気的に連結され、
前記第2発光素子は、第2ワイヤを介して前記第2フレームに電気的に連結され」るのに対し、
引用発明では、上記(エ)における検討を勘案すると、「前記発光素子パッケージは、第1フレーム及び第2フレームと、第3フレームと、前記第3フレームの上に配置される発光素子と、を含み」、
「前記発光素子は、キャビティに配置され、前記発光素子は、第1ワイヤを介して前記第1フレームに電気的に連結され、第2ワイヤを介して前記第2フレームに電気的に連結され」るものであるものの、補正発明の上記の特定はなされていない点。

<相違点4>
発光素子パッケージについて、補正発明では、「前記第1フレーム及び前記第2フレームを介して前記印刷回路基板に支持され」るものであるのに対し、引用発明では、LEDランプ(発光素子パッケージ)は、給電フレーム(第1フレーム及び第2フレーム)を介してエポキシ回路基板713に支持されるものであるか否かが不明である点。

エ 判断
上記相違点1?相違点4について検討する。
(ア)相違点1について
一般に、発光素子パッケージを含む発光装置に用いる回路基板として、印刷回路基板を用いることは、例えば、下記の周知例1に記載されているように、当業者における慣用技術であり、しかも、印刷回路基板であるエポキシ回路基板も、下記の周知例2、3に記載されているように、当業者における周知技術である。
したがって、引用発明において、エポキシ回路基板713に替えて、「印刷回路基板」を採用することは、当業者であれば適宜なし得たことである。
よって、引用発明において、相違点1に係る補正発明の構成を採用することは、当業者が容易になし得たことである。

a 周知例1:特表2007-500448号公報(原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1)
・「【背景技術】
【0002】
多くの現代の電子デバイスは、いわゆる表面実装型パッケージ内にしばしば封入される。すなわち、そのパッケージとは、配線板に着座する、または配線板の上方に位置するように一般に意図されたものであって、且つ、導線を有するパッケージである。その導線は、配線板の表面の接触領域に容易に取り付けられる(例えば、半田付けによって)。これは、配線板を貫通する接触穴内に挿入されるのとは対照的である。例示として挙げると(限定の意図ではない)、図1Aは表面実装型パッケージ12を有する高電力発光ダイオード(LED)10の上面図であり、図1Bはその側面図である。パッケージ12内のLED10は、LEDパッケージ12の側面18-19から横に突き出た電気導線または接点14-17を有する。パッケージ12の導線14-15は、導線14-15の足部分20、21がパッケージ12の基部22にほぼ平行になるように、下方かつ外方に形成される。LED10は、パッケージ基部22とは反対側のレンズ24を介して光を都合よく放射するが、しかし、これは本質的なことではない。デバイス10がここではLEDとして認識されているが、当業者であれば、これは単なる説明の便宜上のためであり限定の意図ではないことを理解するであろう。ここで説明される問題および本発明は、総体的に表面実装型である導線形態と、吸熱部に接触するための実質的に平らな下面とを有する任意の形式の電子デバイスに適用される。
【0003】
ほとんどの表面実装型パッケージにおいて、内部電子回路または半導体チップによって発生される熱は、主として、パッケージ12の基部22を介して抜き出されまたは消散される。したがって、パッケージ12の基部22に対して良好な熱的接触がなされることが、特に高電力消散デバイスにとっては重要である。図2Aおよび図2Bは、熱的接触をパッケージ12の基部22に与えるための従来技術構造を示す部分断面図である。図2Aにおいて、デバイス10は、例えば、配線板26の上面25にある電気的接触領域(図示せず)に導線14、15を半田付けすることによって配線板26上に表面実装される。配線板26は、「プリント回路板(PCB)」または「プリント配線板(PWB)」と呼ばれることが多い。説明の便宜上、略語のPWBがここでは使われる。PWBは一般に絶縁材料(例えば、プラスチック含浸ガラス繊維)からなるコアを有する。電子デバイス10の導線14、15が半田付けされる表面25上の接触領域を含めて、コアの上に銅(またはその他の高伝導金属)箔「配線」が形成される。PWBは、当該技術においては周知である。簡明のために、PWB26上に存在する導電金属導線および接触領域は、図2Aおよび図2Bにおいて省略されている。しかし、当業者であれば、図2Aおよび図2BのPWB26(ならびに図3A、図3B、および図4のPWB42)は、実装されるべき回路に適した位置および配置されるべきデバイスの位置に適した位置に、このような導電金属導線および接点を有することを理解するであろう。」

・「【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図3Aおよび図3Bは、図1Aおよび図1Bのデバイス10を、配線板42およびこれに関連した吸熱部46に装着するための、本発明に基づく構造40の部分断面図である。図3Aは部分組立図(矢印39の方向に分解されている)を示し、図3Bは完全組立図を示す。構造40は、導線14-15、レンズ24、パッケージ本体12および熱消散下面22を備えた、図1Aおよび図1Bのデバイス10を有する。導線14-15は、PWB42の下面または下側43上の適切な接触領域(図示せず)に(例えば、半田付けによって)取り付けられる。PWB42は、デバイス10のパッケージ本体12を受ける貫通穴44を有する。レンズ24は、PWB42の上面および吸熱部46から離れる方向を向いている。望ましくは導線14-15は、デバイス本体12が貫通穴44に設置されたときに、導線14-15がPWB42の下面43に設けられた電気接点(図示せず)に取り付けられ且つパッケージ本体12の基部22がPWB42の下面のわずかに下方まで延びるように、形成される。
【0010】
熱伝導層48が、PWB42およびパッケージ本体12の下面22と、吸熱部46の上面45との間に設けられることが好ましいが、このことは必須ではない。熱伝導層48を設けるのは、パッケージ12の下面22と吸熱部46の上面45との間の界面熱インピーダンスを増加させるかも知れない気泡またはその他の界面異常を避けるためである。熱伝導層48は、弾性体(例えば、熱伝導ゴム)とすべきであり、且つ、できるだけ薄くて、電気絶縁性でもあるという要求を満たすものとされる。熱伝導層48が省略された場合、PWB42の下面にある露出された導線は電気絶縁層で被覆される必要があり、または代案として、吸熱部46の上面45はその上に絶縁層を有するべきとされる。アルミニウム吸熱部に対しては、アルミナ層または酸化物含有塗料が、有用な熱伝導ではあるが電気絶縁層の例として挙げられる。吸熱部46は押出しアルミニウムからなるものとするのが都合がよいが、他の熱伝導材料が用いられてもよい。…(略)…PWB42、層48および吸熱部46からなる組立体は、ネジ(例えば、図4参照)、リベット、クランプ、またはこれらの均等物によって一体に都合よく保持されて、導線14-15およびデバイス本体表面12の下面22が層48および下にある吸熱部46に対してしっかりと押し付けられる。本発明の構造によれば、導線14-15はPWB42と層48および下にある吸熱部46との間に締め付けられることに注意されたい。これは、(1)それがより強固な構造を作り、(2)それが吸熱部46へのデバイス20の熱的結合を改善するので、極めて有利である。当業者であれば、導線14-15は熱がデバイス10から取り除かれる重要な熱的通路であること、本構造が図2Aおよび図2Bの従来構造よりも導線14-15を吸熱部46によりよい熱的結合を与えることを理解するであろう。」

・「【0013】
図5Aおよび図5Bは、図3Bに類似した部分断面図であるが、本発明のさらに別の実施例に基づいている。同様な要素について同様な番号が用いられている。図5Aにおいて、組立体60は、図3Bの組立体40と同じ構造を有しているが、上張り部材62がPWB42の上に加えられている。上張り部材62は、デバイス10の上方部分(例えば、レンズ24)が突き出るかまたは露出される穴64を有する。穴64は、穴44よりも小さく、レンズ24(またはデバイス10の他の部分)を矢印23の方向に露出されるようにする寸法になっているが、すべてのパッケージ本体12が通過できない程度に小さい。上張り部材62は、デバイス10のパッケージ12に接触する肩領域66を有していて、上張り部材62が吸熱部46または熱伝導層48に対して締め付けられた(例えば、図4のネジまたは均等物を用いて)とき、上張り部材62はパッケージ本体12を下方に押し付け、それにより基部22を介して(合議体注:「して」は「介して」の誤記と認定した。)吸熱部46または熱層48と緊密な接触をさせる。導線14-15は、この圧縮力をデバイス10に加えるために利用される必要はない。上張り部材62は、任意の都合の良い材料から作ることができる。上張り部材62に必要なのは、デバイス10が配置される任意の場所に穴64を設けることと、吸熱部46に対して締め付けられるための手段、例えば、ネジ54と均等なネジまたはその他の手段とだけである。上張り部材62は、ここではPWB42から分離した別個の層として示されているが、それは単なる説明のためであり、これに限定することを意図していない。PWB42および上張り部材62は互いに組み合わされてもよい。図5Bは図5Aに類似しているが、違う点は、組立体60におけるデバイス10の導線14、15が、PWB42′の上面41′の接触パッド(図示せず)に、またはこれと同等に、上張り部材62の下面63の接触パッド(図示せず)に取り付けられるように修正されていることである。いずれの構成も有用である。矢印70の方向に上張り部材62に加えられるべき締付け力をより均一に分布させるように、挟み金(シム)68が選択的に設けられる。図5Aおよび図5Bにおいて、パッケージ本体12は吸熱部46に関して圧縮状態にあり、導線14-15は応力を受ける必要はないが、それらが取り付けられろところの、すなわちPWB42または上張り部材62と吸熱部46との間に捕捉されるところの接触領域に押しつけられるように圧縮されることに注意されたい。この構成は、熱特性が改善された状態で、より強固な全体構造を与えるので、望ましい。特許請求の範囲において、「配線板」の語は、PWB42、42′単独、または、PWB42、42′および上張り部材62の組み合わせ、および、これらの均等構造体を含むように意図されている。」

b 周知例2:特開平7-283440号公報
・「【0013】
ここで、用いられるプリント基板7は、通常のガラスエポキシ樹脂系基板であっても、セラミックの基板でも良いが、反射効率の観点から言えば白色系樹脂(例えば、BT(ビスマレイミド トリアジン)レジン)を材質とするプリント基板を用いることが好ましい。また、比較的光を透過しやすいガラスエポキシ樹脂系基板であっても、LEDランプ1の発光面と対向する位置にあるプリント基板7の表面に白色系の光反射塗料10(斜線部分)を塗布することにより、反射効率の向上を図ることができる。」

c 周知例3:特開平8-129344号公報
・「【0010】
【実施例】図1?図10に、各実施例を示す。図1?図3に最初の実施例を示すと、2は第1の基板,4は第2の基板である。基板2,4には、ガラスエポキシ基板等の安価な硬質プリント基板,あるいは熱膨張率が小さく成型時の収縮が小さいため形状精度が高い液晶ポリマー基板,透明で画像アレイをフリップチップ接続した場合の光の取り出しが容易なガラスやポリカーボネート等の透明基板、を用いることが好ましい。…(略)…」

・「【0025】
【実施例4】図7,図8に、小基板70を用いた実施例を示す。この実施例は特に指摘した点以外は実施例2と同様で、小基板70にはガラスエポキシ等の硬質プリント基板や熱膨張率の小さな液晶ポリマー等を用い、小基板70には個別電極配線34を2列に所定の個数だけ設け、小基板70当たり例えば2個?8個等のLEDアレイ10を搭載する。…(略)…」

(イ)相違点2について
上記「イ(ア)引用例1」「b」の段落【0010】を参照すると、引用例1には、熱伝導度の大きい材料に搭載したLED素子で発生する熱を裏面から放熱フィン等に伝導させる旨が記載されている。
他方、上記周知例1の段落【0009】、【0010】並びに図3Aおよび図3Bには、配線板42および熱伝導材料からなる吸熱部46に装着された、パッケージ本体12を備えたデバイス10を有する発光装置において、熱伝導材料からなる吸熱部46の上面45に熱伝導層48を設けることは必須ではない旨、及びデバイス本体表面12の熱消散下面22が下にある吸熱部46に対してしっかりと押しつけられる旨が記載されており、段落【0013】には、図5Aおよび図5Bに示された発光装置において、基部22を介して吸熱部46と緊密な接触をさせる旨が記載されている。
引用例1の上記記載事項から、引用発明において、LEDランプは、「LEDチップ106」で発生する熱を、「LEDランプ裏面側の放熱プレートの突出部」から、「ヒートシンク等放熱器」に伝導させるように構成されたものであることが明らかであるから、引用発明のLED照明具のLEDランプと上記周知例1に記載の発光装置のデバイス10とは、発光素子で発生する熱を裏面から「ヒートシンク等放熱器」に伝導させるように構成されたものである点で共通する。
したがって、上記周知例1を参照した当業者であれば、引用発明において、LEDランプを「ヒートシンク等放熱器」と接触するものに替えることは適宜なし得たことである。
よって、引用発明において、上記相違点2に係る補正発明の構成を採用することは、当業者が容易になし得たことである。

(ウ)相違点3について
a 上記<相違点3>を、次のように、「発光素子パッケージ」それ自体の構成についての<相違点3-1>、及び発光素子についての<相違点3-2>に分けて、以下で検討する。

<相違点3-1>
補正発明では、「前記発光素子パッケージは、
貫通孔が設けられたパッケージ胴体と、
前記パッケージ胴体の側壁を貫通して配置される第1フレーム及び第2フレームと、
前記パッケージ胴体の前記貫通孔に配置される第3フレームと、
前記第3フレームの上に配置される発光素子と、を含み」、
「前記発光素子は、前記パッケージ胴体及び前記第3フレームによって構成されるキャビティに配置され」、
「前記発光素子は、第1ワイヤを介して前記第1フレームに電気的に連結され、第2ワイヤを介して前記第2フレームに電気的に連結され」るのに対し、
引用発明では、上記「ウ 対比」(エ)における検討を勘案すると、「前記発光素子パッケージは、第1フレーム及び第2フレームと、第3フレームと、前記第3フレームの上に配置される発光素子と、を含み」、
「前記発光素子は、キャビティに配置され、前記発光素子は、第1ワイヤを介して前記第1フレームに電気的に連結され、第2ワイヤを介して前記第2フレームに電気的に連結され」るものであるものの、パッケージ胴体を含むのではなく、補正発明の上記の特定はなされていない点。

<相違点3-2>
補正発明では、第3フレームの上に配置される発光素子が、「第1発光素子及び第2発光素子」であるのに対し、引用発明では、放熱プレート103(第3フレーム)に搭載固定されるLEDチップ106(発光素子)は、そのようなものではない点。

b 先ず、相違点3-1について、検討する。
一般に、発光素子への給電用の第1端子及び第2端子と、放熱部材からなる発光素子搭載部材とを備えた発光素子パッケージにおいて、第1端子及び第2端子並びに搭載部材として、フレームを用い、かつ「貫通孔が設けられたパッケージ胴体と、前記パッケージ胴体の側壁を貫通して配置される第1フレーム及び第2フレームと、前記パッケージ胴体の前記貫通孔に配置される第3フレームと、前記第3フレームの上に配置される発光素子と、を含み」、「前記発光素子は、前記パッケージ胴体及び前記第3フレームによって構成されるキャビティに配置され」、「前記発光素子は、第1ワイヤを介して前記第1フレームに電気的に連結され、第2ワイヤを介して前記第2フレームに電気的に連結され」るものは、例えば、下記の周知例4、5に記載されているように、当業者における周知技術である。
引用発明において、「前記LEDランプ」(発光素子パッケージ)は、「放熱プレート103の窪み部底辺のフラット部104aにLEDチップ106が接着樹脂で搭載固定され」たものであるから、上記周知技術の発光素子パッケージと同様に、放熱部材からなる発光素子搭載部材を備えたものであるといえる。
したがって、引用発明において、「LEDランプ」(発光素子パッケージ)として、上記周知技術を採用することは当業者であれば適宜なし得たことである。
よって、引用発明において、上記相違点3-1に係る補正発明の構成を採用することは、当業者が容易になし得たことである。

(a)周知例4:特開2007-95797号公報(原査定で周知例として提示された文献。)
・「【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光素子チップを電気的に接続する対の電気系リードフレームと、半導体発光素子チップを載置する載置リードフレームとを有して、載置リードフレームは対の電気系リードフレームの間に並ぶとともに半導体発光素子チップの載置部分として電気系リードフレームよりも低く半導体発光素子チップの高さまたは厚さと略同等の深さの凹部を設けたり、電気系リードフレームよりも高く半導体発光素子チップの高さまたは厚さと略同等の高さの凸部を設けるとともに半導体発光素子チップを載置する面の反対側面を外部に露出させて半導体発光素子チップを電気的に接続する電気系リードフレームとは無関係に半導体発光素子チップからのジュール熱を半導体発光素子チップを載置した載置リードフレームに放出することができ、より多くの電流を流すことができるために高輝度な出射光を得ることができる光源装置に関する。」

・「【0048】
このように、光源装置1(1A)は、載置リードフレーム3を対になっている電気系リードフレーム4aと電気系リードフレーム4bとの間に同一面位置に設け、半導体発光素子チップ5を載置する載置リードフレーム3の略中央部分を半導体発光素子チップ5の厚さ程度に電気系リードフレーム4a,4b等よりも低く凹部30を設け、さらにこの凹部30の半導体発光素子チップ5を載置する反対側が外部に露出するようにパッケージ2をインサートモールド成形等を行って光源装置1(1A)の裏面側7に載置リードフレーム3の凹部30が直接露出するようにして半導体発光素子チップ5からのジュール熱を放出することができる。さらに、パッケージ2から外部に出た載置リードフレーム3を放熱端子3として基板(放熱)等に取り付けることができる。」

(b)周知例5:特開2007-214522号公報(原査定で周知例として提示された文献)
・「【実施例1】
【0019】
図1は本発明による光源装置の実施例1による構成を説明する上方から見た要部平面図であり、レンズを除いてある。図2は図1の矢印A方向から見た側面図、図3は図1のB-B′線に沿って切断した断面図、図4は図1のC-C′線に沿って切断した断面図、図5は図1の樹脂成型体を裏面から見た平面図である。
【0020】
参照符号1は、樹脂成型体であり、この樹脂成型体1は、高耐熱、且つ高光反射性を有するPPA樹脂等の射出成形により形成されている。この樹脂成型体1には、上方に向かって略擂鉢状に広がり、底部が貫通する開口部1aが一体的に形成され、外形が略円形状に形成されている。なお、この開口部1a内の内面は、光反射性を持たせるために鏡面仕上げが施されている。
【0021】
また、参照符号2は、後述する発光ダイオード素子を実装する台座部も兼ね備えた放熱板であり、この放熱板2は、開口部1aの底部に後述する発光ダイオード素子を実装する台座部2a及びこの台座部2aに連結し、樹脂成型体1内を貫通して一部を外部方向に略放射状に突出させた複数の放熱片2bが一体的に形成されている。
【0022】
この台座部2aは樹脂成型体1の開口部1aの底部に形成された開口を塞ぐように、さらに複数の放熱片2bは樹脂成型体1の内部にこの樹脂成型体1の成型と同時に嵌入され、台座部2aの背面は樹脂成型体1の背面(底面)側に露出して放熱機能をもたせる構造となっている。この台座部2a及び放熱片2bを一体的に有する放熱板3は、例えば板厚が約0.25mmの銅合金板のプレス成型により形成され、その表面には銀メッキ処理が施されている。
【0023】
また、参照符号3a,3bは、一対のリードフレームであり、このリードフレーム3a,3bは、放熱板2と同一部材の銅合金板の成型体により形成され、その表面には銀メッキ処理が施されている。また、このリードフレーム3a,3bと、台座部2a及び放熱片2bを有する放熱板2とは、ロール状に巻かれた帯状の銅合金板をプレス成型法により同時に一体成型され、多数個連続してフレーム枠内に組み込まれてリードフレーム組み立て体として一体形成される。
【0024】
そして、このリードフレーム組み立て体は、樹脂成型体1の射出成形時に組み合わせて成型することにより、台座2a,放熱片2b及びリードフレーム3a,3bが樹脂成型体1内のそれぞれの所定位置に設置されて一体化されて成形されることになる。
【0025】
また、参照符号4は、フェイスアップ型の発光ダイオード素子であり、この発光ダイオード素子4は、表面側に発光面及びその一部に複数の電極端子を有し、その背面側が台座部2a上に熱伝導性の高い例えばシリコン樹脂接着材を介して密着配置されて実装されている。なお、この発光ダイオード素子4は、赤色発光素子と緑色発光素子と青色発光素子と白色発光素子とから選択された少なくとも一個の発光素子であれば良い。
【0026】
また、参照符号5は、ボンディングワイヤであり、このボンディングワイヤ5は、例えば直径約30μm程度の金線により形成され、一方は発光ダイオード素子4の電極とリードフレーム3aの端子部との間に、他方は発光ダイオード素子4の電極とリードフレーム3bの端子部との間にそれぞれワイヤボンダにより電気的に接続され、さらに一方のリードフレーム3aの端子部と他方のリードフレーム3bの端子との間にリードフレーム3b上に接続されたZD素子(ツェナーダイオード素子)6を介して電気的に接続されている。このZD素子6は、リードフレーム3a側に正極が接続され、リードフレーム3b側に負極が接続されている。つまり、発光ダイオード素子4と逆並列に接続されて静電破壊防止機能を持たせている。
【0027】
また、参照符号7は、封止材であり、この封止材7は、樹脂成型体1の開口部1a内に例えば透光性のシリコン樹脂材のポッティング法により充填して形成され、発光ダイオード素子4及びボンディングワイヤ5を開口部1a内に保持固定させている。また、参照符号8は、レンズであり、このレンズ8は、例えば透光性の耐熱性シリコン樹脂材の成型体により凸状に突出して外形が円形状に形成されて樹脂成型体1の開口部1aを塞ぐようにその周縁部に形成されたリング状の隙間に嵌合させ、シール材により保持固定されている。
【0028】
このように構成された発光装置は、発光ダイオード素子4が樹脂成型体1の背面に露出した放熱板2の台座部2a上に密着配置されて実装されるので、発光ダイオード素子4の発熱が直接的に放熱板2の台座部2aから外部に放熱されるとともに、この台座部2aを介して放熱片2bに伝導して外部に効率よく放熱されることになる。つまり、樹脂成型体1から外部に露出している放熱板2から効率よく放熱される。
【0029】
また、このように構成された発光装置は、樹脂成型体1が上方に向かって略擂鉢状に広がる鏡面を有する開口部1aを有しているので、発光ダイオード素子4からの放射光が高い反射率で効率よく反射され、レンズ8を介して外部に向かって高輝度で投射させることができる。」

c 次に、相違点3-2について検討する。
一般に、発光素子への給電用の第1端子及び第2端子を備えたLEDランプやLED照明装置の発光装置において、発光素子が第1発光素子及び第2発光素子からなり、第1発光素子は、第1ワイヤを介して第1端子に電気的に連結され、あるいは/及び第2発光素子は、第2ワイヤを介して第2端子に電気的に連結されるものは、例えば、下記の周知例6?8に記載されているように、当業者における周知技術である。
引用発明において、「LEDチップ106の電極パターンと給電フレームがワイヤーボンドされ」るものであり、また、発光素子を個数を増やし、例えば直列接続することによりLEDランプの光度を増やせることは明らかである。
したがって、引用発明において、上記周知技術の発光装置と同様に、発光素子が、第1発光素子及び第2発光素子からなり、第1発光素子が、第1ワイヤを介して第1端子に電気的に連結され、第2発光素子が、第2ワイヤを介して第2端子に電気的に連結されるものを採用することは当業者であれば適宜なし得たことである。
よって、引用発明において、上記相違点3-2に係る補正発明の構成を採用することは、当業者が容易になし得たことである。

(a)周知例6:特開2006-313808号公報
・「【0010】
以下、図面に基づき、本発明に係る発光ダイオードランプの実施形態を説明する。
図1は、本発明に係る発光ダイオードランプ10の平面図、図2は、要部縦断面図である。
本発明の発光ダイオードランプ10は、複数個のLEDチップ12が配置された円盤状の基板14と、該基板14上のLEDチップ12を覆う内部が中空と成された半球状の透明なカバーレンズ16と、上記基板14を支持するシンク18と、該シンク18と接合され外部電源(図示せず)との接続を行うための外部端子22,22が形成された口金24とを備えている。
【0011】
上記基板14は例えばガラエポ樹脂で構成され、基板14上の中央部には熱伝導性が良好なアルミニウムより成る放熱部材26が、基板14上方に向かって突出状態で配置されている。該放熱部材26は、その下端から上端に向かって径が徐々に縮小する裁頭円錐形状と成されている。
また、上記放熱部材26の周囲に、8個のLEDチップ12が、銅箔等より成る導体パターン28を介して基板14上に配置されている。各LEDチップ12の導体パターン28は、高放熱性樹脂等より成る絶縁材30(図2参照)を介して、放熱部材26と接続されている。尚、上記高放熱性樹脂としては、例えば、フィラー(金属粒子)入りエポキシ樹脂が該当する。
この結果、放熱部材26と各LEDチップ12とは、導体パターン28及び絶縁材30を介して接続されることとなり、上記導体パターン28及び絶縁材30はLEDチップ12の発熱を放熱部材26へ伝える伝熱部材として機能する。
【0012】
上記基板14には、一対の貫通孔が形成されると共に、該貫通孔に一対のリード端子32,32が挿通接続されており、これらリード端子32,32間において、導体パターン28及びボンディングワイヤ34を介して上記8個のLEDチップ12が直列接続されている。
【0013】
上記シンク18は、アルミニウム等の熱伝導性が良好な材料より成り、該シンク18及び口金24内に収納された抵抗(図示せず)等の発熱性電子部品の熱を外部へ放熱できるようになっている。尚、シンク18の表面積を拡大して放熱性能を向上させるため、シンク18表面に溝や凸部を形成しても良い。」

(b)周知例7:特開2005-247160号公報
・「【0029】
[実施形態1]
本発明のLED信号電球および色灯信号機の実施形態1について、LED信号電球のLEDランプ部の具体的な構成を、図面を引用して説明する。図1は、(a)がその斜視図、(b)が縦断面図、(c)が発光波長特性図である。
【0030】
このLEDランプ部10は、青色発光ダイオードチップ11を樹脂モールドしたものであり(図1(a),(b)参照)、点灯時に赤色と黄色と青色の三種類の波長成分を含む光を出させるため(図1(c)参照)、波長変換材料を樹脂に混入するとともに、放熱の効率向上のため、熱伝導性材料からなる支持部材12に青色発光ダイオードチップ11を搭載し(図1(b)参照)更に支持部材12を給電用リード部材13,14から電気的に絶縁している。モールド用樹脂は、第1樹脂部17と第3樹脂部18と第2樹脂部15の三層からなる。青色発光ダイオードチップ11は電気絶縁体のサファイアを基板に採用しているので、青色発光ダイオードチップ11の片面の接合には、例えば銀ろう等の熱伝導性接着剤19aが用いられている。絶縁性接着材19bによるリード部材13,14の固定には、電気絶縁が必要なので、非導電性接着剤が用いられている。リード部材13,14は何れもボンディングワイヤー16で青色発光ダイオードチップ11と給電可能に接続されている。
【0031】
青色発光ダイオードチップ11は、市販の青色発光ダイオードに搭載されている公知のベアチップと同じものか或いは可能範囲でサイズアップしたものである。
支持部材12は、熱伝導性に優れた例えばアルミニウム等の短い丸棒を切削加工して作られ、その一端面の中央には表面を彫り込んで窪み12bが形成されている。支持部材12の他端部には、露出端12aになる凸部が形成されており、その形成は本体より少し小さい。
…(略)…
【0035】
次に、窪み12bの外縁部すなわち支持部材12の一端面にリード部材13,14を絶縁性接着材19bで固定し、窪み12b内の青色発光ダイオードチップ11の電極パターンとリード部材13,14とをボンディングワイヤー16で接続する。その際、リード部材13,14は、給電のため、アノード電極(正極)とカソード電極(陰極)とに分けて接続する。…(略)…」

・「【0055】
[実施形態2]
本発明のLED信号電球および色灯信号機の実施形態2について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図7は、G形のLED信号電球および色灯信号機の構造を示し、(a)が対比用フィラメント電球の横断面図、(b)が本発明のLED信号電球におけるLED搭載部の平面図、(c)が色灯信号機の目視状態を示す模式図である。また、図8は、(a)が電力変換回路の回路図、(b)がLED信号電球の等価回路の回路図である。
【0056】
鉄道信号機に従来より使用されているG形フィラメント電球46では(図7(a)参照)、二本のフィラメント46aが並列に配設されており、その幅Hは約3mmで長さW1は約6mmである。
本発明のLED信号電球70は(図7(b)参照)、そのようなフィラメントの配置に対応させて多数個の青色発光ダイオードチップ11を配置したものである。具体的には、複数の青色発光ダイオードチップ11(図では四個ずつ)が二列に並んで支持部材12の窪み12bの底面に配設されている。その二列分の幅Hも約3mmで長さW1も約6mmである。
…(略)…
【0060】
この実施形態2のLED信号電球および色灯信号機について、その使用態様及び動作を、図面を引用して説明する。図9は、(a)がG形LED信号電球の記号の説明図、(b)が三灯の色灯信号機の内部配線例、(c)が四灯の色灯信号機の内部配線例である。
図9(b),(c)における内部配線例の図示に際しては(図9(a)参照)、第1リード部材81に電力変換回路80を介して給電する給電端子31には符号「S」を付し、第2リード部材82に接続された給電端子31には符号「C」を付し、第3リード部材83に電力変換回路80を介して給電する給電端子31には符号「M」を付している。」

・「【実施例1】
【0062】
本発明のLED信号電球の実施例1について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図10は発光波長変動特性図、図11は発光強度特性図である。
…(略)…
【0065】
上記の放熱プレート(支持部材12)の窪み12bの底面に青色発光ダイオードチップ11(チップサイズ1.0mm角、チップ高さ0.075mm、材質GaN/サファイヤ)6個を非導電性接着剤ムロマックボンドH-333Cで配置固定し、青色発光ダイオードチップ11表面の電極および給電フレーム(リード部材13,14)をφ25μmの金線(ボンディングワイヤー16)で接続した。青色発光ダイオードチップ11の固定に使用する非導電性樹脂は、透明または白色樹脂がより望ましく、着色樹脂は光の吸収によりレンズ面への光の取り出し効率が低下する。また、樹脂の色によっては本来の青色発光ダイオードチップ11の発光色と異なる色度となる不具合が生じる。」

(c)周知例8:特開2009-259768号公報
・「【0031】
ボンディングワイヤ11,12は金属細線例えばAuの線材からなる。前記電極パターン5間に配設されて基板2の左右方向に列をなした並べられたLED7同士は、その素子電極にワイヤボンディングにより接続されるボンディングワイヤ11で電気的に直列に接続されている。
【0032】
このようにボンディングワイヤ11で直列接続された複数のLED7がなすLED列の一端に位置されたLED7の素子電極と一方の電極パターン5の櫛歯部分は、ボンディングワイヤ12により電気的に接続されている。同様に、各LED列の他端に位置されたLED7の素子電極と他方の電極パターン5の櫛歯部分も、ボンディングワイヤ12により電気的に接続されている。」

d 以上のとおり、引用発明において、相違点3-1に係る補正発明の構成を採用すること、及び相違点3-2に係る補正発明の構成を採用することは、いずれも当業者が容易になし得たことであるから、引用発明において、相違点3に係る補正発明の構成を採用することは、当業者が容易になし得たことである。

(ウ)相違点4について
先ず、「支持」とは、「ささえもつこと。ささえてもちこたえること。」を意味する(必要であれば、「デジタル大辞泉」等を参照のこと。)。
引用発明は、「穴を開けたエポキシ回路基板713の穴に前記LEDランプ730が配置され、基板の回路とLEDランプの給電フレームが半田等、導電性材料で接続固定され」るものであるから、給電フレームを介してエポキシ回路基板713に支持されるLEDランプ730という構成を実質的に備えているといえる。
したがって、相違点4は実質的なものではない。
また、仮に相違点4が実質的なものであったとしても、上記周知例1の段落【0013】には、導線14、15が、プリント配線板(PWB)42′の上面41′の接触パッドに取り付けられ、パッケージ本体12は、吸熱部46に関して圧縮状態にあり、導線14-15が吸熱部46との間に捕捉されるところの接触領域に押しつけられるように圧縮される旨が記載されているので、引用発明において、LEDランプにおける給電フレーム及びエポキシ回路基板713の構成として、上記周知例1に記載のような構成のものとすること、すなわち、給電フレームがエポキシ回路基板の回路と接続固定され、かつ、LEDランプは、給電フレームがヒートシンク等放熱器との間に捕捉されるところ接触領域に押しつけられるように構成されたものとすることは当業者であれば適宜なし得たことである。
したがって、引用発明において、上記相違点4に係る補正発明の構成を採用することは、当業者が容易になし得たことである。

(オ)判断についてのまとめ
以上検討したとおり、引用発明において、相違点1?相違点4に係る補正発明の構成、それぞれを採用することは、いずれも当業者が容易になし得たことである。
よって、補正発明は、引用例1に記載された発明並びに慣用技術及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

オ 独立特許要件についてのまとめ
以上のとおり、補正発明が特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、請求項1についての補正を含む本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合しない。

3 補正却下の決定についてのむすび
以上検討したとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合しないので、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?15に係る発明は、平成27年2月3日に提出された手続補正書により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1?15に記載されている事項により特定されるとおりのものであり、そのうちの請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記「第2[理由]1 本件補正の内容」の(補正前)に記載したとおりのものである。

第4 引用例に記載された発明
引用例1に記載されている事項及び引用例1に記載された発明(引用発明)は、「第2[理由]2(2)イ 引用例の記載と引用発明」に記載したとおりである。

第5 対比
本願発明と引用発明とを対比すると、両者の一致点は、「第2[理由]2(2)ウ 対比」に記載のとおりであり、両者の相違点は、次のとおりである。

<相違点5>
回路基板について、本願発明では、「印刷回路基板」であるのに対し、引用発明では、「エポキシ回路基板713」であり、「印刷回路基板」であるとは特定されていない点。

<相違点6>
発光素子パッケージについて、本願発明では、「前記開口を通じて前記支持部材と接触する発光素子パッケージ」であるのに対し、引用発明では、「LEDランプ裏面側の放熱プレートの突出部に熱伝導性樹脂が塗布され、塗布面がヒートシンク等放熱器のフラット面と接触」するものであり、「LEDランプ」(発光素子パッケージ)は、「ヒートシンク等放熱器」(支持部材)と「接触する」ものではない点。

<相違点7>
本願発明では、「前記発光素子パッケージは、
貫通孔が設けられたパッケージ胴体と、
前記パッケージ胴体の側壁を貫通して配置される第1フレーム及び第2フレームと、
前記パッケージ胴体の前記貫通孔に配置される第3フレームと、
前記第3フレームの上に配置される発光素子と、を含み」、
「前記発光素子は、前記パッケージ胴体及び前記第3フレームによって構成されるキャビティに配置され」、
「前記発光素子は、第1ワイヤを介して前記第1フレームに電気的に連結され、且つ、前記発光素子は、第2ワイヤを介して前記第2フレームに電気的に連結され」るのに対し、
引用発明では、上記「第2[理由]2(2)ウ 対比」の(エ)における検討を勘案すると、「前記発光素子パッケージは、第1フレーム及び第2フレームと、第3フレームと、前記第3フレームの上に配置される発光素子と、を含み」、
「前記発光素子は、キャビティに配置され、前記発光素子は、第1ワイヤを介して前記第1フレームに電気的に連結され、第2ワイヤを介して前記第2フレームに電気的に連結され」るものであるものの、本願発明の上記の特定はなされていない点。

<相違点8>
発光素子パッケージについて、本願発明では、「前記第1フレーム及び前記第2フレームを介して前記印刷回路基板に支持され」るものであるのに対し、引用発明では、LEDランプ(発光素子パッケージ)は、給電フレーム(第1フレーム及び第2フレーム)を介してエポキシ回路基板713に支持されるものであるか否かが不明である点。

第6 当審の判断
上記相違点5?相違点8について検討する。
(ア)相違点5、相違点6及び相違点8について
相違点5、相違点6及び相違点8は、「第2[理由]2(2)ウ 対比」における検討から、それぞれ、相違点1、相違点2及び相違点4と同一な相違点である。
したがって、相違点5、相違点6及び相違点8については、それぞれ「第2[理由]2(2)エ 判断」における「(ア)相違点1について」、「(イ)相違点2について」及び「(エ)相違点4について」で検討したとおりである。

(イ)相違点7について
「第2[理由]2(2)エ 判断」の「(ウ)相違点3について」の「a」における相違点3-1に係る補正発明の特定事項「前記発光素子は、第1ワイヤを介して前記第1フレームに電気的に連結され、第2ワイヤを介して前記第2フレームに電気的に連結され」に対応する本願発明の特定事項が、「前記発光素子は、第1ワイヤを介して前記第1フレームに電気的に連結され、且つ、前記発光素子は、第2ワイヤを介して前記第2フレームに電気的に連結され」である点を除くと、相違点7は相違点3-1と同一である。
当該補正発明の特定事項と当該本願発明の特定事項とは、実質的に一致する発明特定事項であることは明らかであるから、相違点7は相違点3-1と実質的に同一である。
したがって、相違点7については、上記「(ウ)相違点3について」の「b」で相違点3-1について検討したとおりである。

(ウ)判断についてのまとめ
したがって、本願発明は、引用例1に記載された発明並びに慣用技術及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

第7 むすび
以上のとおりであるから、本願は、請求項2?請求項15に係る発明について検討するまでもなく、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-10-19 
結審通知日 2015-10-20 
審決日 2015-11-04 
出願番号 特願2011-4106(P2011-4106)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
P 1 8・ 575- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 吉岡 一也  
特許庁審判長 恩田 春香
特許庁審判官 山口 裕之
近藤 幸浩
発明の名称 発光装置、照明システム  
代理人 岩瀬 吉和  
代理人 重森 一輝  
代理人 市川 英彦  
代理人 金山 賢教  
代理人 小野 誠  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ