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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04W 審判 査定不服 特29条の2 特許、登録しない。 H04W |
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管理番号 | 1312679 |
審判番号 | 不服2014-26054 |
総通号数 | 197 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-05-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-12-19 |
確定日 | 2016-03-23 |
事件の表示 | 特願2012-548177「複数キャリアのチャネル状態情報の伝送」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 7月14日国際公開、WO2011/085230、平成25年 5月13日国内公表、特表2013-516921〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本願は、平成23年1月7日(パリ条約による優先権主張 平成22年1月8日 米国、平成22年4月30日 米国、平成22年6月18日 米国、平成22年6月18日 米国、平成22年10月1日 米国)の国際出願であって、平成25年11月5日付けで拒絶理由が通知され、平成26年5月8日付けで手続補正がなされ、平成26年8月13日付けで拒絶査定がされ、平成26年12月19日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がなされ、平成27年4月15日付けで上申書が提出されたものである。 第2.平成26年12月19日付けの手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成26年12月19日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.補正の内容 平成26年12月19日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、平成26年5月8日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲(以下、「補正前の特許請求の範囲」という。)について、以下のとおりの特許請求の範囲(以下、「補正後の特許請求の範囲」という。)に補正することを含むものである。 (補正前の特許請求の範囲) 「【請求項1】 キャリア・アグリゲーションにおいてチャネル状態情報(CSI)を報告する方法であって、 非周期的なCSI報告を送信するためのインジケーションを受信するステップと、 前記インジケーションから復号されたアップリンクグラントに基づいて、CSIを報告するためのサービング・セルを決定するステップであって、前記サービング・セルが、複数の統合されたサービング・セルの一部である、ステップと、 前記決定されたサービング・セルに対する前記非周期的なCSI報告を送信するステップと を含むことを特徴とする方法。 【請求項2】?【請求項20】 (省略) 」 (補正後の特許請求の範囲) 「【請求項1】 キャリア・アグリゲーションにおいてチャネル状態情報(CSI)を報告する方法であって、 非周期的なCSI報告を送信するためのインジケーションを受信するステップと、 前記インジケーションからCSI要求フィールドを決定するステップであって、前記CSI要求フィールドは、どのように無線送受信ユニット(WTRU)がサービング・セルを決定するべきかを表示する、ステップと、 前記CSI要求フィールドを用いてCSIを報告するための前記サービング・セルを決定するステップであって、前記サービング・セルが、複数の統合されたサービング・セルの一部である、ステップと、 前記決定されたサービング・セルに対する前記非周期的なCSI報告を送信するステップと を含むことを特徴とする方法。 【請求項2】?【請求項12】 (省略) 」 2.本件補正の目的 本件補正は、本件補正前の請求項1に記載した発明に係る「インジケーション」について、「前記インジケーションからCSI要求フィールドを決定するステップであって、前記CSI要求フィールドは、どのように無線送受信ユニット(WTRU)がサービング・セルを決定するべきかを表示する、ステップと、」と限定し、同様に、本件補正前の請求項1に記載した発明に係る「前記インジケーションから復号されたアップリンクグラントに基づいて」を「前記CSI要求フィールドを用いて」と限定する補正事項を含むものであるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法17条の2第6項において準用する同法126条第7項の規定に適合するか)について検討する。 3.引用例 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、特願2012-523237号(以下、「先願」という。)は、平成22年8月2日(パリ条約による優先権主張 平成21年8月4日 欧州、出願番号09010053.8号、平成21年12月10日 欧州、出願番号09015319.8号)を国際出願日とする特許法第184条の4第1項の外国語特許出願であるところ、先願の国際出願日における国際出願の明細書、特許請求の範囲(国際公開第2011/015331号参照)、及びこれらの書類の特許法第184条の4第4項の出願翻訳文(特表2013-501441号公報参照)(以下「先願当初明細書」という。)、及び優先権基礎出願(欧州 出願番号09010053.8号、欧州 出願番号09015319.8号)の明細書には、実質同一の内容が記載されているから、先願当初明細書の記載から認定される発明(後記「先願明細書に記載された発明」)は、パリ条約に基づく優先権主張が認められる。 そして、前記先願当初明細書の記載から認定される発明の優先権主張日である平成21年8月2日、及び平成21年12月10日は、本願発明のパリ条約による優先権主張日のうち最先である平成22年1月8日よりも前であり、先願は、本願発明のパリ条約による優先権主張日のうちの最遅の優先日後に国際公開(平成23年2月10日公開)されたものである。 そこで、先願当初明細書には、以下の事項が記載されている。(なお、記載箇所の表示は、前記国内公表公報の記載に基づくものであり、下線は当審にて付した。) (ア)「本発明は、端末(例えば移動端末またはユーザ機器)が経験する下りリンクチャネル品質の報告(チャネル品質フィードバック)をトリガーし、通信システムの複数のコンポーネントキャリアのうち、端末への下りリンク送信に利用可能な少なくとも1つのコンポーネントキャリアのチャネル品質情報によって、報告する方法、に関する。」(【0001】) (イ)「したがって、セルの中心において低速で移動する端末の能力を利用する目的で、このような端末を、少なくとも下りリンク送信においてコンポーネントキャリアのアグリゲーションを使用するように設定する、すなわち複数のコンポーネントキャリアを使用するように設定することが有利である。一般的には、ネットワーク側が上位層の設定または半静的な設定を利用できるものと想定することができ、したがって、アクセスネットワークにおけるノードは、単一または複数のコンポーネントキャリアの送信/受信モードで動作するように端末を設定することができる。このため、端末は、下りリンクにおいて複数のコンポーネントキャリアが利用可能であるか否かを認識しており、したがって、上りリンク送信のための個別制御情報(CQI要求フラグがセットされている)の解釈として、1つの下りリンクコンポーネントキャリアのチャネル品質フィードバックを提供する要求(1つのみのコンポーネントキャリアが利用可能である)として解釈するべきか、複数の下りリンクコンポーネントキャリアのうち、個別制御情報の中で識別される1つまたは複数のコンポーネントキャリアのチャネル品質フィードバックの要求(複数のコンポーネントキャリアが利用可能である)として解釈するべきかを、自身で判定することができる。したがって端末は、自身に対して設定されている下りリンクコンポーネントキャリアの数に応じて、個別制御情報を異なって解釈する。」(【0071】) (ウ)「アクセスネットワークのノードの動作は、図18の左側に示してある。ノードは、最初に、端末への下りリンク送信に利用可能な1つまたは複数のコンポーネントキャリアのうち、チャネル品質フィードバックを受信する必要のあるコンポーネントキャリア、を選択する(1801)。さらに、ノードは、(1つまたは複数の)コンポーネントキャリアの選択に基づいて、端末がチャネル品質フィードバックを提供するべき(1つまたは複数の)選択されたコンポーネントキャリアの指示情報を含んだ個別制御情報を、端末に送信する(1802)。選択された(1つまたは複数の)コンポーネントキャリアを端末に示す方法は、後からさらに詳しく説明するように、数多く存在する。個別制御情報は、端末がチャネル品質フィードバックを送るための上りリンクリソース割当ても含んでいる。したがって、個別制御情報は、上りリンクグラントと称することもできる。 図18では、例示を目的として以下を想定している。すなわち、個別制御情報は所定のフォーマットを有し、CQI要求フラグおよびCQI制御情報(CQI control info)を備えており、CQI要求フラグは、端末からの非周期的チャネル品質フィードバックをトリガーする目的でセットされており、CQI制御情報は、端末が報告するべき選択された(1つまたは複数の)コンポーネントキャリアを示している。後からさらに詳しく説明するように、選択されたコンポーネントキャリアを、個別制御情報に含まれるCQI制御情報によって端末に示す方法は、数多く存在する。 端末は、アクセスネットワークのノードから、個別制御情報の下りリンク送信を受信する(1803)。個別制御情報は、端末への制御チャネルを介して送信することができる。この例では、端末は、個別制御情報の中のCQI要求フラグがセットされているかを確認する。CQI要求フラグがセットされていない場合、端末は、個別制御情報の内容を、使用されている個別制御チャネル情報フォーマットの標準的な定義を用いて解釈する。 CQI報告フラグがセットされている、すなわち端末からのチャネル品質フィードバックが要求されている場合、端末は、個別制御情報の内容を、CQI要求フラグがセットされていない場合とは異なって解釈する。具体的には、CQI報告フラグがセットされている場合、端末は、個別制御情報の中の、制御情報を含んでいる少なくとも1つのさらなるフィールド(第2の制御情報フィールド)の少なくとも一部/1ビットを、CQI制御情報として解釈し、このCQI制御情報が、チャネル品質フィードバックを提供するべき、アクセスネットワークノードによって選択された(1つまたは複数の)コンポーネントキャリア、を示しているものと判定する(1804)。次に、端末は、アクセスネットワークノードから受信された個別制御情報の中に示されている、選択された(1つまたは複数の)コンポーネントキャリアについて、自身が経験したチャネル品質を示すチャネル品質フィードバックメッセージを生成する(1805)。この場合、端末は、例えば選択された(1つまたは複数の)コンポーネントキャリアに対して何らかのチャネル品質測定を実行することができる。より詳細な例示的な実施例においては、端末は、選択された(1つまたは複数の)コンポーネントキャリアにおいて、例えばいわゆる基準シンボルの受信に基づいてSINRまたはチャネル共分散測定値(channel covariance measurement)を求め、さらにオプションとして、測定結果をチャネル品質フィードバック(例えば、LTEまたはLTE-Aの仕様におけるMCSIまたはチャネル品質インジケータ(CQI)、あるいはPMI、RIなど)に変換することができる。チャネル品質フィードバックは、直接測定されたメトリックまたは測定値から導かれたメトリック(例えば、チャネル共分散行列または要素、チャネル係数、または他の適切なメトリック)の形で、提供することもできる。 端末は、選択された(1つまたは複数の)コンポーネントキャリアのチャネル品質フィードバックを含んだメッセージを、アクセスネットワークにおけるノードに送信し(1806)、ノードは、メッセージを受信してチャネル品質フィードバック情報を取り出す。このとき端末は、個別制御情報の中で示された、選択された(1つまたは複数の)コンポーネントキャリアのチャネル品質フィードバックを、同じく個別制御情報の中で示された上りリンクリソースで送信する。オプションとして、端末は、この送信において、チャネル品質フィードバックと、さらなる制御データまたはユーザデータとを多重化することができる。ノードは、取得したチャネル品質フィードバックを格納しておき、(ノードの中に配置することのできる)スケジューラからそのチャネル品質フィードバックを利用できるようにすることができ、したがって、端末のスケジューリングを行うとき、すなわち、端末への下りリンク物理リソースまたは上りリンク物理リソースの割当てを決定するプロセスにおいて、選択された(1つまたは複数の)コンポーネントキャリアにおいて端末側が経験する下りリンクチャネル品質を考慮することができる。」(【0075】?【0079】) したがって、上記摘記事項(ア)?(ウ)の記載から先願明細書には、 「下りリンク送信においてコンポーネントキャリアのアグリゲーションを使用し、下りリンクチャネル品質の報告(チャネル品質フィードバック)をチャネル品質情報によって、報告する方法であって、 端末は、アクセスネットワークのノードから、個別制御情報の下りリンク送信を受信し、 個別制御情報は所定のフォーマットを有し、CQI要求フラグおよびCQI制御情報(CQI control info)を備えており、CQI要求フラグは、端末からの非周期的チャネル品質フィードバックをトリガーする目的でセットされており、CQI制御情報は、端末が報告するべき選択された(1つまたは複数の)コンポーネントキャリアを示し、 CQI報告フラグがセットされている、すなわち端末からのチャネル品質フィードバックが要求されている場合、端末は、個別制御情報の内容を、CQI要求フラグがセットされていない場合とは異なって解釈し、具体的には、CQI報告フラグがセットされている場合、端末は、個別制御情報の中の、制御情報を含んでいる少なくとも1つのさらなるフィールド(第2の制御情報フィールド)の少なくとも一部/1ビットを、CQI制御情報として解釈し、このCQI制御情報が、チャネル品質フィードバックを提供するべき、アクセスネットワークノードによって選択された(1つまたは複数の)コンポーネントキャリア、を示しているものと判定し、次に、端末は、アクセスネットワークノードから受信された個別制御情報の中に示されている、選択された(1つまたは複数の)コンポーネントキャリアについて、自身が経験したチャネル品質を示すチャネル品質フィードバックメッセージを生成し、 端末は、選択された(1つまたは複数の)コンポーネントキャリアのチャネル品質フィードバックを含んだメッセージを、アクセスネットワークにおけるノードに送信すること を含む方法。」(以下、「先願明細書に記載された発明」という。)が開示されているものと認められる。 4.対比・判断 本願補正発明と先願明細書に記載された発明とを比較する。 4-1.先願明細書に記載された発明は、「下りリンク送信においてコンポーネントキャリアのアグリゲーションを使用」して「下りリンクチャネル品質の報告(チャネル品質フィードバック)をチャネル品質情報によって、報告する方法」であるから、キャリアアグリゲーションを前提とした発明であることは明らかである。また、先願明細書に記載された発明の「チャネル品質情報」は、チャネル状態情報の下位概念であることは明らかであるので、本願補正発明に係る「チャネル状態情報(CSI)」に相当する。 4-2.先願明細書に記載された発明に係る「個別制御情報」は、「所定のフォーマットを有し、CQI要求フラグおよびCQI制御情報(CQI control info)を備えており、CQI要求フラグは、端末からの非周期的チャネル品質フィードバックをトリガーする目的でセットされており、CQI制御情報は、端末が報告するべき選択された(1つまたは複数の)コンポーネントキャリアを示」すものであるから、本願補正発明に係る「非周期的なCSI報告を送信するためのインジケーション」に相当する。 4-3.先願明細書に記載された発明において、「CQI報告フラグがセットされている、すなわち端末からのチャネル品質フィードバックが要求されている場合、端末は、個別制御情報の内容を、CQI要求フラグがセットされていない場合とは異なって解釈し、具体的には、CQI報告フラグがセットされている場合、端末は、個別制御情報の中の、制御情報を含んでいる少なくとも1つのさらなるフィールド(第2の制御情報フィールド)の少なくとも一部/1ビットを、CQI制御情報として解釈」するのであるから、先願明細書に記載された発明に係る「制御情報を含んでいる少なくとも1つのさらなるフィールド(第2の制御情報フィールド)」は、本願補正発明に係る「CSI要求フィールド」に相当する。 そして、先願明細書に記載された発明に係る「CQI報告フラグがセットされている、すなわち端末からのチャネル品質フィードバックが要求されている場合、端末は、個別制御情報の内容を、CQI要求フラグがセットされていない場合とは異なって解釈し、具体的には、CQI報告フラグがセットされている場合、端末は、個別制御情報の中の、制御情報を含んでいる少なくとも1つのさらなるフィールド(第2の制御情報フィールド)の少なくとも一部/1ビットを、CQI制御情報として解釈」するとの事項は、本願補正発明に係る「前記インジケーションからCSI要求フィールドを決定するステップ」に相当する。 4-4.本願補正発明において、「前記CSI要求フィールドは、どのように無線送受信ユニット(WTRU)がサービング・セルを決定するべきかを表示する」とは、本願明細書の【0094】の「例示的な方法では、DLサービング・セルまたはDLサービング・セルのセットは、DCIフォーマットの中の、または、サブフレームnで受信され得るCQI要求を有するランダム・アクセス応答グラントの中の、インジケーションに基づいて決定され得る。たとえば、このインジケーションは、キャリアインジケーションフィールド(CIF)および/またはCSI要求フィールドであってよい。インジケーションと、DLサービング・セルまたはDLサービング・セルのセットとのマッピングは、上位層により提供され得る。たとえば、DLサービング・セルは、CIFフィールドを介して直接示され得る。DLサービング・セルは、CIFにより示されるULキャリアと関連する、DLサービング・セルであってよい。特定のコードポイントが、報告すべきDLサービング・セルのセットは別の方法を用いて決定され得るということを示し得る。たとえば、特定のコードポイントを受信すると、WTRU102は、サブフレームのタイミングに基づいて、DLサービング・セルのセットを決定することができる。ある実施形態では、CSI要求フィールドのための第1の特定のコードポイントを受信すると、WTRU102は、DLサービング・セルが、たとえばアップリンクDCIフォーマットまたはランダム・アクセス応答グラントの中に、ULグラントにより示されるPUSCH送信のサービング・セルを含み得ると判定することができる。ある実施形態では、CSI要求フィールドに対する特定のコードポイントを受信すると、WTRU102は、サービング・セルのセットが上位層により構成された対応するセットを含み得ると判定することができる。」なる記載を参酌するに、上位層により提供されるマッピングを用いるとはいえ、『CSI要求フィールドには、無線送受信ユニット(WTRU)がDLサービング・セルまたはDLサービング・セルのセットを決定するために必要な情報が示されている』と解することができ、そして、その具体例として「たとえば、DLサービング・セルは、CIFフィールドを介して直接示され得る。」ことが記載されている。 また、キャリアインジケーションフィールド(CIF)とCSI要求フィールドとは、「DLサービング・セルまたはDLサービング・セルのセットは、DCIフォーマットの中の、または、サブフレームnで受信され得るCQI要求を有するランダム・アクセス応答グラントの中の、インジケーションに基づいて決定され得る。たとえば、このインジケーションは、キャリアインジケーションフィールド(CIF)および/またはCSI要求フィールドであってよい。」と記載されているように、「キャリアインジケーションフィールド(CIF)」と「CQI要求フィールド」とは機能上、互いに等価なものであると認められる。 一方、先願明細書に記載された発明において、端末は「このCQI制御情報が、チャネル品質フィードバックを提供するべき、アクセスネットワークノードによって選択された(1つまたは複数の)コンポーネントキャリア、を示しているものと判定する」のであるから、「CQI制御情報」には「チャネル品質フィードバックを提供するべき、アクセスネットワークノードによって選択された(1つまたは複数の)コンポーネントキャリアが示されている」と言える。また、「CQI制御情報」は「制御情報を含んでいる少なくとも1つのさらなるフィールド(第2の制御情報フィールド)」に含まれているものである。 してみると、先願明細書に記載された発明に係る「(端末は、個別制御情報の中の、制御情報を含んでいる少なくとも1つのさらなるフィールド(第2の制御情報フィールド)の少なくとも一部/1ビットを、CQI制御情報として解釈し、)このCQI制御情報が、チャネル品質フィードバックを提供するべき、アクセスネットワークノードによって選択された(1つまたは複数の)コンポーネントキャリア、を示しているものと判定し」は、本願補正発明に係る「前記CSI要求フィールドは、どのように無線送受信ユニット(WTRU)がサービング・セルを決定するべきかを表示する、ステップ」に相当する。 4-5.先願明細書に記載された発明においては、「端末は、アクセスネットワークノードから受信された個別制御情報の中に示されている、選択された(1つまたは複数の)コンポーネントキャリアについて、自身が経験したチャネル品質を示すチャネル品質フィードバックメッセージを生成」するのであるから、チャネル品質フィードバックメッセージを生成するに際して、フィードバックすべきコンポーネントキャリアを決定することは自明である。 そして、コンポーネントキャリアは個別制御情報の中に示されているものであり、個別制御情報はCQI要求フラグおよびCQI制御情報(CQI control info)を備えており、CQI制御情報には「チャネル品質フィードバックを提供するべき、アクセスネットワークノードによって選択された(1つまたは複数の)コンポーネントキャリア」が示されているから、CQI制御情報には「制御情報を含んでいる少なくとも1つのさらなるフィールド(第2の制御情報フィールド)」を含んでいる(上記4-4参照。)。よって、先願明細書に記載された発明は、「制御情報を含んでいる少なくとも1つのさらなるフィールド(第2の制御情報フィールド)に含まれるCQI制御情報を用いてフィードバックすべきコンポーネントキャリアを決定している」と言える。 また、本願補正発明において、『コンポーネントキャリア』と『サービング・セル』との用語は、本願明細書の【0069】に「2つ以上のコンポーネント・キャリア(CC)が統合(aggregate)されるキャリア・アグリゲーションは、より広い伝送の帯域幅、たとえば最大で100MHzの帯域幅をサポートすることができる。CCはまた、サービング・セルと呼ばれることもあり、これらの用語は本明細書では交換可能に用いられる。ある実施形態では、CCは、1つまたは複数のサービング・セルを含み得る。ある実施形態では、サービング・セルは、1つまたは複数のCCを含み得る。キャリア・アグリゲーションはまた、サービング・セル・アグリゲーションと呼ばれることもあり、これらの用語は本明細書では交換可能に用いられる。」と記載されているように、交換可能に用いられるものである。 してみると、先願明細書に記載された発明においては、本願補正発明でいうところの「前記CSI要求フィールドを用いてCSIを報告するための前記サービング・セルを決定するステップ」が備わっていると言える。 4-6.上記4-1で言及したように、先願明細書に記載された発明はキャリアアグリゲーションを前提とした発明であるので、「コンポーネントキャリアが複数の統合されたサービング・セルの一部である」であることは自明である。 4-7.先願明細書に記載された発明において、「端末は、選択された(1つまたは複数の)コンポーネントキャリアのチャネル品質フィードバックを含んだメッセージを、アクセスネットワークにおけるノードに送信する」のであるから、当該事項は、本願補正発明に係る「前記決定されたサービング・セルに対する前記非周期的なCSI報告を送信するステップ」に相当する。 したがって、両者は 「キャリア・アグリゲーションにおいてチャネル状態情報(CSI)を報告する方法であって、 非周期的なCSI報告を送信するためのインジケーションを受信するステップと、 前記インジケーションからCSI要求フィールドを決定するステップであって、前記CSI要求フィールドは、どのように無線送受信ユニット(WTRU)がサービング・セルを決定するべきかを表示する、ステップと、 前記CSI要求フィールドを用いてCSIを報告するための前記サービング・セルを決定するステップであって、前記サービング・セルが、複数の統合されたサービング・セルの一部である、ステップと、 前記決定されたサービング・セルに対する前記非周期的なCSI報告を送信するステップと を含むことを特徴とする方法。」で一致しており、両者の間に格別な相違点は認められない。 したがって、本願補正発明は、その出願の日前の外国語特許出願(特許法第184条の4第3項の規定により取り下げられたものとみなされたものを除く。)であって、その出願後に国際公開がされた上記の外国語特許出願(特願2012-523237号)の国際出願日における国際出願の明細書、請求の範囲又は図面に記載された発明と同一であり、しかも、この出願の発明者がその出願前の外国語特許出願に係る上記の発明をした者と同一ではなく、またこの出願の時において、その出願人が上記外国語特許出願の出願人と同一でもないので、特許法第29条の2の規定により、特許を受けることができない(同法第184条の13参照)。 5.むすび 以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3.本願発明について 平成26年12月19日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成25年5月8日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項(上記「第2 1.」における(補正前の特許請求の範囲)の【請求項1】参照。)により特定されるものである。 1.引用発明 原査定の拒絶の理由に引用された先願明細書に記載された発明は、前記「第2 3.」に記載したとおりである。 2.対比・判断 本願発明は、前記「第2 2.」で検討した本願補正発明における限定事項を省いたものであるから、本願補正発明を包含する本願発明は、前記「第2 4.」で示したように、先願明細書に記載された発明と同一のものである。 3.むすび 以上のとおり、本願発明は、先願明細書に記載された発明と同一であり、しかも、本願発明の発明者が上記先願明細書に記載された発明の発明者と同一であるとも、また、本願の出願時に、その出願人が上記他の出願の出願人と同一であるとも認められないので、本願補正発明は,特許法29条の2第1項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2015-10-20 |
結審通知日 | 2015-10-27 |
審決日 | 2015-11-09 |
出願番号 | 特願2012-548177(P2012-548177) |
審決分類 |
P
1
8・
16-
Z
(H04W)
P 1 8・ 575- Z (H04W) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 石田 昌敏 |
特許庁審判長 |
水野 恵雄 |
特許庁審判官 |
佐藤 智康 吉田 隆之 |
発明の名称 | 複数キャリアのチャネル状態情報の伝送 |
復代理人 | 柿沼 健一 |
復代理人 | 濱中 淳宏 |
代理人 | 特許業務法人 谷・阿部特許事務所 |