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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1312850
審判番号 不服2015-14631  
総通号数 197 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-08-04 
確定日 2016-03-24 
事件の表示 特願2013-82770号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成26年10月30日出願公開、特開2014-204778号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯の概要
本件に係る出願(以下「本願」という。)は、平成25年4月11日の特許出願であって、平成27年5月27日付けで拒絶査定がなされ(発送日:同年6月2日)、これに対し、同年8月4日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。
これに対して、当審にて同年9月30日付けで拒絶理由を通知したところ、同年12月1日に意見書及び手続補正書が提出されたものである。
そして、上記平成27年9月30日付け拒絶理由通知は、本願の請求項1に係る発明が、「刊行物1?3に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものである。」とするものであって、本願の請求項1に係る発明の「回転リールを前記第一の態様で作動させているときに、所定の操作手段のうちのいずれかの操作手段の操作信号を入力した場合には、回転リールの作動態様を第一の態様とは異なる第二の態様に切り変え」る構成、及び、「第一の態様は、通常時の回転リールの作動態様と同様の通常回転態様であり、記第二の態様は、回転リールが一定角度の範囲で正転逆転を繰り返すことにより回転リールの図柄が振動して見えるように当該回転リールが作動する振動態様であ」る構成に関して、刊行物1に記載されているとすると共に、刊行物2?3にも記載されているように、本願出願前に周知の技術事項であるとしたものである。

2 本願発明
本願の請求項1?3に係る発明は、平成27年12月1日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?3に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりのものである。
「表面に複数種類の図柄を表示した複数の回転リールと、
前記複数の回転リールの回転を開始させるためのスタートスイッチと、
回転中の前記回転リールを個々に停止させるための複数のストップスイッチと、
前記スタートスイッチ及びストップスイッチの操作信号に基づき前記回転リールの作動を制御するリール制御手段と、
役の当否を決定する役抽選手段と、を少なくとも備え、
前記役抽籤手段により所定の役が当選し、かつストップスイッチの操作順序が所定の操作順序であった場合に、遊技の進行が停止した状態となるフリーズをその後の遊技で実行可能に形成された遊技機において、
前記リール制御手段は、
前記フリーズの実行中において、前記回転リールを第一の態様で作動させ、
前記回転リールを前記第一の態様で作動させているときに、所定のストップスイッチの操作信号を入力した場合には、前記回転リールの作動態様を前記第一の態様とは異なる第二の態様に切り変え、
前記第一の態様は、通常時の回転リールの作動態様と同様の通常回転態様であり、
前記第二の態様は、前記回転リールが一定角度の範囲で正転逆転を繰り返すことにより前記回転リールの図柄が振動して見えるように当該回転リールが作動する振動態様であり、
前記フリーズは、前記所定条件に該当した場合において前記スタートスイッチの操作信号の入力を契機に開始され、
前記リール制御手段は、
前記フリーズが開始された場合には、前記第一の態様である前記各回転リールを前記通常回転態様で作動させるとともに、
前記回転リールを前記通常回転態様で作動させているときに、前記ストップスイッチの操作信号を入力した場合には、操作信号を入力したストップスイッチに対応する回転リールについて、前記操作信号の入力のタイミングであらかじめ設定された特定位置に停止可能ないずれかの図柄を前記特定位置に位置させた状態で、前記第二の態様である当該回転リールの作動態様を前記振動態様に切り替えるように形成されていることを特徴とする遊技機。」

3 刊行物の記載
(1)当審における平成27年9月30日付け拒絶理由に刊行物1として提示した特開2012-200306号公報(以下「刊行物」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は審決で付した。以下同じ。)。
ア 「【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に複数種類の図柄が配列されている複数のリールと、
遊技開始操作に基づいて役の当否を決定する内部抽選を行う内部抽選手段と、
前記遊技開始操作に基づいて前記複数のリールの回転を開始させ、停止操作を契機として、前記内部抽選の結果に応じた態様で回転中のリールを停止させる制御を行うリール制御手段とを備えた遊技機であって、
前記リール制御手段が、
前記遊技開始操作が行われてから前記停止操作が有効化されるまでの期間を調整し、所定条件下で前記遊技開始操作が行われると、前記複数のリールを第1動作態様で動作させ、特定期間を経過した後に前記停止操作を有効化することにより遊技の進行を遅延させる制御を行い、
前記特定期間において行われた特定操作に基づいて、第1動作態様で動作しているリールを仮停止させてから第1動作態様とは異なる第2動作態様で動作させる制御を行うことを特徴とする遊技機。」

イ 「【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。」

ウ 「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、遊技の進行遅延を利用する演出の実行中に遊技者の操作によって遊技者が任意に演出を終了させることができるようにしてしまうと、遊技の進行管理に支障をきたすおそれがある。一方で、演出の実行期間を固定しようとすると、遊技者に演出を煩わしいものと感じられてしまうことおそれがあるために、長期間の実行期間を確保することが難しい。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、演出の実行期間として長期間を確保した場合であっても遊技者の遊技意欲を低下させずに演出を体験させることができる遊技機を提供することにある。」

エ 「【0030】
また前面下扉DDには、各種の操作手段が設けられている。操作手段としては、クレジット(貯留)されたメダルを投入する操作を行うためのベットボタン(投入操作手段)B0、第1リールR1?第3リールR3を回転させて遊技を開始する契機となる操作を行うためのスタートレバー(遊技開始操作手段)SL、ステップモータにより回転駆動されている第1リールR1?第3リールR3のそれぞれを停止させる契機となる操作を行うためのストップボタン(停止操作手段)B1?B3などが設けられている。なお本実施形態では、リールの停止に関して、後述するフリーズ期間中のストップボタンの押下操作によって回転中のリールが停止する場合を「仮停止」と呼び、フリーズ期間以外でのストップボタンの押下操作によって回転中のリールが停止する場合には単なる「停止」と呼ぶことにする。」

オ 「【0057】
またリール制御手段130は、所定条件下でフリーズ抽選を行って、フリーズ抽選の結果に基づいて、フリーズ処理Aの実行、フリーズ処理Bの実行、あるいはフリーズ処理Aおよびフリーズ処理Bをいずれも実行しないことのいずれかを決定し、フリーズ抽選においてフリーズ処理Aあるいはフリーズ処理Bの実行が選択された場合には、選択されたフリーズ処理の実行を予約する。特に本実施形態の遊技機では、内部抽選でビッグボーナス(BB)に当選したことに基づいてフリーズ抽選が行われる。
【0058】
そしてリール制御手段130は、フリーズ処理Aあるいはフリーズ処理Bの実行が予約されている場合、ビッグボーナス(BB)が入賞した遊技の次の遊技、すなわちボーナス状態での最初の遊技において、スタートレバーSLの押下操作に基づき第1リールR1?第3リールR3の回転駆動が開始されたことを契機としてフリーズ期間(例えば、60秒)の計測を開始し、フリーズ期間(特定期間の一例)が経過するまでは第1リールR1?第3リールR3が定常回転に達していてもストップボタンB1?B3の有効化を保留するフリーズ処理Aあるいはフリーズ処理Bを実行する。なお第1リールR1?第3リールR3の回転駆動が開始されてから定常回転に達したことを契機にフリーズ期間の計測を開始するようにしてもよいし、スタートレバーSLの押下操作を契機にフリーズ期間の計測を開始するようにしてもよい。そして本実施形態では、フリーズ処理Aやフリーズ処理Bが行われる場合、第1リールR1?第3リールR3が定常回転に達してもストップボタンB1?B3の有効化が保留されているため、通常の回転駆動処理において第1リールR1?第3リールR3が定常回転に達した場合に即座にストップボタンB1?B3が有効化される場合に比べて、第1リールR1?第3リールR3の回転駆動が開始されてからストップボタンB1?B3の押下操作が有効化されるまでの期間が長期化して遊技の進行が遅延することになる。
・・・
【0062】
またリール制御手段130は、フリーズ処理Bの実行中であって、第1リールR1?第3リールR3が定常回転に達している場合に、ストップボタンB1?B3の押下操作(特定操作の一例)が行われると、定常回転中の第1リールR1?第3リールR3のうち押下操作が行われたストップボタンに対応するリールをストップボタンの押下時点から所与の期間内(例えば、190ms以内)に仮停止させ、全てのリールが仮停止したことに基づいて第1リールR1?第3リールR3を略同時に逆回転で回転駆動させる制御を行う。なお本実施形態では、フリーズ処理Bの実行中に回転中のリールを仮停止させる場合にも、メインメモリ190Mの停止制御テーブル記憶手段193Mに記憶されている仮停止制御テーブルを参照してリールの停止位置を決定する。ただし回転中のリールを仮停止させる場合に、後述するロジック演算によって停止位置を決定したり、フリーズ処理Bの終了後に回転中のリールを停止させる場合に参照される停止制御テーブルを用いて停止位置を決定したりするようにしてもよい。またフリーズ処理Bの実行中にストップボタンの押下によりリールを仮停止させる場合には、引き込み範囲に相当する期間(ストップボタンが押下されてから仮停止するまでの期間)を通常の停止制御と同等する必要はなく、引き込み範囲に相当する期間を通常の停止制御の実行時より狭くしてもよいし、また引き込み範囲に相当する期間を通常の停止制御の実行時より拡大してもよい。
【0063】
そして本実施形態の遊技機では、フリーズ処理Bの実行中にストップボタンの押下操作が受け付けられるとストップボタンの押下に伴うリールの仮停止に要する最大期間(例えば、190ms:最大引き込み期間)を考慮して、リールの仮停止に要する最大期間より長い間隔(例えば、200ms)を空けてフリーズ処理Bの実行中における次のストップボタンの押下操作を受け付けており、フリーズ期間の開始から所与の期間(例えば、29000ms:29秒)を経過した後のマージン期間(例えば、31000ms:31秒)では全てのストップボタンの押下操作の受け付けを拒否することによりストップボタンB1?B3の押下操作を無効化する制御を行っている。そして本実施形態の遊技機では、フリーズ期間の開始から所与の期間(例えば、29000ms:29秒)を経過しても回転中のリールが存在している場合、リール制御手段130は、回転中のリールをストップボタンの押下操作によらずに仮停止(自動仮停止)させ、全てのリールが仮停止したことに基づいて各リールを略同時に逆回転で回転駆動する。すなわちフリーズ処理Bが実行される場合には、逆回転での回転駆動期間が所定期間以上(例えば、30000ms以上:30秒以上)確保されるようになっている。
【0064】
そしてリール制御手段130は、フリーズ処理Bが実行されている場合に、フリーズ期間が経過したことに基づいて第1リールR1?第3リールR3を正回転にて回転速度が所定速度(約80rpm)に達するように回転駆動させ、各リールの回転速度が所定速度に達することにより定常回転していることに基づいて、ストップボタンB1?B3の押下操作を有効化する。
【0065】
このように本実施形態の遊技機では、リール制御手段130が、スタートレバーSLが押下されてからストップボタンB1?B3が有効化されるまでの期間を調整し、フリーズ処理Aやフリーズ処理Bの実行が予約されているボーナス状態の最初の遊技においてスタートレバーSLが押下されると、第1リールR1?第3リールR3を正回転(第1動作態様)で動作させ、フリーズ期間を経過した後にストップボタンB1?B3を停止操作として有効化することにより遊技の進行を遅延させる制御を行っている。特にフリーズ処理Bが実行される場合には、リール制御手段130が、フリーズ期間において行われたストップボタンB1?B3の押下操作に基づいて、正回転(第1動作態様)で動作しているリールを仮停止させてから逆回転(第2動作態様)で動作させる制御を行う。
【0066】
またリール制御手段130は、フリーズ処理Bにおけるフリーズ期間において第1リールR1?第3リールR3の全てが仮停止したことに基づいて、第1リールR1?第3リールR3を逆回転で動作させ、フリーズ期間が開始されてから所定期間(例えば、30000ms)を経過すると、正回転で動作しているリールをストップボタンの押下操作によらずに仮停止させる制御を行う。
【0067】
またリール制御手段130は、フリーズ期間が開始されてからの経過時間に基づいてストップボタンの押下操作をリールの仮停止のための操作として受け付けるか否かを判断し、フリーズ期間の開始から所与の期間(例えば、29000ms)を経過した後であって、フリーズ期間の開始から所定期間(例えば、30000ms)を経過するまでの一定期間(例えば、1000ms)においては、ストップボタンの押下操作を受け付けないようにすることによって、リールを仮停止させるための操作を無効化する制御を行う。」

カ 「【0136】
2.本実施形態の制御手法
以下では、図11?図14を参照しながら、本実施形態の遊技機において採用されている各種の制御手法を具体的に説明する。
【0137】
図11および図12は、通常状態におけるメイン基板10での遊技の進行を制御する処理の一例を示すフローチャートである。
【0138】
まず遊技を行うために必要なメダルの投入を受け付ける投入受付処理が行われる(ステップS100)。投入受付処理では、遊技者がメダル投入口MIにメダルを投入することにより投入されたメダルを投入状態に設定し、遊技者がベットボタンB0を押下してベットスイッチ220が作動することにより予め遊技機内にクレジットされたメダルを投入状態に設定する。また、前回の遊技でリプレイが入賞した場合には、遊技者の手持ちのメダルを要さずに、遊技機側で自動的に前回の遊技と同じ投入数のメダルを投入状態に設定する。そして遊技開始条件として設定されている規定投入数(例えば、3枚)のメダルの投入が完了すると(ステップS101でY)、スタートレバーSLの押下操作を待機する(ステップS102)。
【0139】
そして遊技者がスタートレバーSLを押下してスタートスイッチ230が作動すると(ステップS102でY)、内部抽選が行われる(ステップS103)。内部抽選では、スタートスイッチ230の作動に伴って取得した乱数値に基づいて、遊技状態およびリプレイの抽選状態に応じて選択される抽選テーブルを参照することによって役の当否を決定し、当選した役(当選役)のフラグを内部当選状態に設定する。
【0140】
そして本実施の形態では、内部抽選の結果に基づいて、ビッグボーナス(BB)が当選したか否かをチェックし(ステップS104)、内部抽選でビッグボーナス(BB)が当選していた場合には(ステップS104でY)、フリーズ処理に関する割り込み処理を実行する。
【0141】
具体的に説明すると、まずフリーズ抽選を行ってフリーズ処理の実行の有無を決定し(ステップS105)、フリーズ抽選に当選した場合には(ステップS106でY)、フリーズ処理Aおよびフリーズ処理Bのうちフリーズ抽選で当選したフリーズ処理の実行予約を行う(ステップS107)。
・・・
【0146】
続いて、図13および図14を参照しながら、ボーナス状態におけるメイン基板10での遊技の進行を制御する処理の一例を説明する。
【0147】
まず遊技を行うために必要なメダルの投入を受け付ける投入受付処理が行われる(ステップS200)。投入受付処理では、遊技者がメダル投入口MIにメダルを投入することにより投入されたメダルを投入状態に設定し、遊技者がベットボタンB0を押下してベットスイッチ220が作動することにより予め遊技機内にクレジットされたメダルを投入状態に設定する。また、前回の遊技でリプレイが入賞した場合には、遊技者の手持ちのメダルを要さずに、遊技機側で自動的に前回の遊技と同じ投入数のメダルを投入状態に設定する。そして遊技開始条件として設定されている規定投入数(例えば、3枚)のメダルの投入が完了すると(ステップS201でY)、スタートレバーSLの押下操作を待機する(ステップS202)。
【0148】
そして遊技者がスタートレバーSLを押下してスタートスイッチ230が作動すると(ステップS202でY)、内部抽選が行われる(ステップS203)。内部抽選では、スタートスイッチ230の作動に伴って取得した乱数値に基づいて、遊技状態およびリプレイの抽選状態に応じて選択される抽選テーブルを参照することによって役の当否を決定し、当選した役(当選役)のフラグを内部当選状態に設定する。
【0149】
次に、前回の遊技における第1リールR1?第3リールR3の回転駆動の開始タイミングからウェイト期間を経過しているか否かがチェックされ(ステップS204)、ウェイト期間が経過していない場合には、第1リールR1?第3リールR3の回転駆動の開始が保留される。一方、前回の遊技における第1リールR1?第3リールR3の回転駆動の開始タイミングからウェイト期間を経過している場合には(ステップS204でY)、第1リールR1?第3リールR3の回転駆動が開始されるとともに(ステップS205)、ウェイト期間の計測が開始される(ステップS206)。
【0150】
続いてボーナス状態における最初の遊技(初回遊技)であるか否かをチェックし(ステップS207)、ボーナス状態における最初の遊技に該当する場合には(ステップS207でY)、フリーズ処理(フリーズ処理Aあるいはフリーズ処理B)の実行予約がされているか否かをチェックする(ステップS208)。そして本実施の形態では、フリーズ処理(フリーズ処理Aあるいはフリーズ処理B)の実行予約がされている場合には(ステップS208でY)、図14に示すフローチャートに従ったフリーズ処理に関する割り込み処理を実行する。
【0151】
具体的に説明すると、まずフリーズ期間の計測を開始してフリーズ処理Aあるいはフリーズ処理Bの実行が開始され(ステップS220)、フリーズ期間における残り期間に基づいてマージン期間に該当していないと判断される場合には(ステップS221でN)、ストップボタンB1?B3のいずれかが押下されると(ステップS222でY)、ストップボタンの押下操作(停止操作)が受け付け可能であるか否かをチェックする(ステップS223)。本実施の形態では、ストップボタンの押下操作が受け付けられてから所定期間(例えば、200ms)を経過すると次のストップボタンの押下操作を受け付けることができ、また既に仮停止しているリールに対応するストップボタンの押下操作は受け付けられないようになっている。そしてストップボタンの押下操作が受け付け可能である場合には(ステップS223でY)、次のストップボタンの押下操作が受け付け可能となるまでの間隔についての計測を開始するとともに(ステップS224)、押下されたストップボタンに対応する回転中のリールを所与の態様で仮停止させる(ステップS225)。そして本実施の形態では、第1リールR1?第3リールR3のうち回転中のリールが存在している場合には(ステップS226でN)、フリーズ期間における残り期間がマージン期間(フリーズ期間の開始から例えば、29000ms経過後)に該当していなければ(ステップS221でN)、ステップS222?ステップS225の処理が繰り返し実行される。
・・・
【0154】
そしてステップS220で計測が開始されたフリーズ期間が満了すると(ステップS230でY)、第1リールR1?第3リールR3を正回転にて回転駆動を開始させて、割り込み処理を終了して図13に示すフローチャートに復帰して遊技を進行させる。」

キ 「【0176】
3-5.変形例5
上記実施形態ではフリーズ処理Aやフリーズ処理Bの実行中にストップボタンが押下されると、回転中のリールを仮停止させてからリールの回転方向を変更する場合について説明をしたが、ストップボタンの押下操作に対応するリールの動作態様は必ずしも仮停止を経由して回転方向を変更するものに限定されるものではなく、仮停止した後は定常回転よりも低速あるいは高速でリールを正回転させるようにしたり、仮停止した後は正回転と逆回転を短期間で繰り返すことによって揺れ動いたりするような挙動であってもよい。」

ク 上記オの【0057】、及び、上記カの【0140】、【0141】、【0150】の記載事項によれば、所定条件下(内部抽選でビッグボーナス(BB)が当選していた場合)にフリーズ抽選を行って、フリーズ抽選の結果に基づいて、フリーズ処理Aの実行、フリーズ処理Bの実行、あるいはフリーズ処理Aおよびフリーズ処理Bをいずれも実行しないことのいずれかを決定し、フリーズ抽選においてフリーズ処理Aあるいはフリーズ処理Bの実行が選択された場合には、選択されたフリーズ処理の実行を予約し、ボーナス状態における最初の遊技に該当し(ステップS207でY)、かつ、フリーズ処理(フリーズ処理Aあるいはフリーズ処理B)の実行予約がされている場合にはフリーズ処理に関する割り込み処理を実行することが記載されている。

ケ 上記オの【0062】の記載事項、及び、上記キの変形例5に関する記載事項によれば、リール制御手段130は、フリーズ処理Bの実行中であって、第1リールR1?第3リールR3が定常回転に達している場合に、ストップボタンB1?B3の押下操作(特定操作の一例)が行われると、定常回転中の第1リールR1?第3リールR3のうち押下操作が行われたストップボタンに対応するリールをストップボタンの押下時点から所与の期間内(例えば、190ms以内)に仮停止させ、仮停止した後は正回転と逆回転を短期間で繰り返すことによって揺れ動いたりするように挙動させる制御を行うことが示されていると認められる。」

コ 上記ア?キの記載事項、上記ク?ケの認定事項、及び、図面の図示内容を総合すると、刊行物には、次の発明が記載されていると認められる(以下「刊行物発明」という。)。
「外周面に複数種類の図柄が配列されている複数のリールと、
第1リールR1?第3リールR3を回転させて遊技を開始する契機となる操作を行うためのスタートレバー(遊技開始操作手段)SLと、
回転駆動されている第1リールR1?第3リールR3のそれぞれを停止させる契機となる操作を行うためのストップボタン(停止操作手段)B1?B3と、
遊技開始操作に基づいて複数のリールの回転を開始させ、停止操作を契機として、内部抽選の結果に応じた態様で回転中のリールを停止させる制御を行うリール制御手段と、
遊技開始操作に基づいて役の当否を決定する内部抽選を行う内部抽選手段と、を備え、
所定条件下(内部抽選でビッグボーナス(BB)が当選していた場合)にフリーズ抽選を行って、フリーズ抽選の結果に基づいて、フリーズ処理Aの実行、フリーズ処理Bの実行、あるいはフリーズ処理Aおよびフリーズ処理Bをいずれも実行しないことのいずれかを決定し、フリーズ抽選においてフリーズ処理Aあるいはフリーズ処理Bの実行が選択された場合には、選択されたフリーズ処理の実行を予約し、ボーナス状態における最初の遊技に該当し(ステップS207でY)、かつ、フリーズ処理(フリーズ処理Aあるいはフリーズ処理B)の実行予約がされている場合にはフリーズ処理に関する割り込み処理を実行する遊技機において、
フリーズ処理Aやフリーズ処理Bが行われる場合、第1リールR1?第3リールR3が定常回転に達してもストップボタンB1?B3の有効化が保留されているため第1リールR1?第3リールR3の回転駆動が開始されてからストップボタンB1?B3の押下操作が有効化されるまでの期間が長期化して遊技の進行が遅延することになり、
リール制御手段130は、フリーズ処理Bの実行中であって、第1リールR1?第3リールR3が定常回転に達している場合に、ストップボタンB1?B3の押下操作(特定操作の一例)が行われると、定常回転中の第1リールR1?第3リールR3のうち押下操作が行われたストップボタンに対応するリールをストップボタンの押下時点から所与の期間内(例えば、190ms以内)に仮停止させ、仮停止した後は正回転と逆回転を短期間で繰り返すことによって揺れ動いたりするように挙動させる制御を行い、
リール制御手段130は、フリーズ処理Aあるいはフリーズ処理Bの実行が予約されている場合、ビッグボーナス(BB)が入賞した遊技の次の遊技、すなわちボーナス状態での最初の遊技において、スタートレバーSLの押下操作に基づき第1リールR1?第3リールR3の回転駆動が開始されたことを契機としてフリーズ期間(例えば、60秒)の計測を開始させ、
フリーズ処理Bの実行中に回転中のリールを仮停止させる場合に、メインメモリ190Mの停止制御テーブル記憶手段193Mに記憶されている仮停止制御テーブルを参照してリールの停止位置を決定する
遊技機。」

4 対比
本願発明と刊行物発明とを対比する。
ア 刊行物発明における「外周面に複数種類の図柄が配列されている複数のリール」は、本願発明における「表面に複数種類の図柄を表示した複数の回転リール」に相当する。

イ 刊行物発明における「第1リールR1?第3リールR3を回転させて遊技を開始する契機となる操作を行うためのスタートレバー(遊技開始操作手段)SL」は、本願発明における「複数の回転リールの回転を開始させるためのスタートスイッチ」に相当する。

ウ 刊行物発明における「回転駆動されている第1リールR1?第3リールR3のそれぞれを停止させる契機となる操作を行うためのストップボタン(停止操作手段)B1?B3」は、本願発明における「回転中の回転リールを個々に停止させるための複数のストップスイッチ」に相当する。

エ 刊行物発明における「遊技開始操作に基づいて複数のリールの回転を開始させ、停止操作を契機として、内部抽選の結果に応じた態様で回転中のリールを停止させる制御を行うリール制御手段」は、本願発明における「スタートスイッチ及びストップスイッチの操作信号に基づき回転リールの作動を制御するリール制御手段」に相当する。

オ 刊行物発明における「遊技開始操作に基づいて役の当否を決定する内部抽選を行う内部抽選手段」は、本願発明における「役の当否を決定する役抽選手段」に相当する。

カ 刊行物発明における「所定条件下(内部抽選でビッグボーナス(BB)が当選していた場合)にフリーズ抽選を行って、フリーズ抽選の結果に基づいて、フリーズ処理Aの実行、フリーズ処理Bの実行、あるいはフリーズ処理Aおよびフリーズ処理Bをいずれも実行しないことのいずれかを決定し、フリーズ抽選においてフリーズ処理Aあるいはフリーズ処理Bの実行が選択された場合には、選択されたフリーズ処理の実行を予約し、ボーナス状態における最初の遊技に該当し(ステップS207でY)、かつ、フリーズ処理(フリーズ処理Aあるいはフリーズ処理B)の実行予約がされている場合にはフリーズ処理に関する割り込み処理を実行する遊技機」と、本願発明における「役抽籤手段により所定の役が当選し、かつストップスイッチの操作順序が所定の操作順序であった場合に、遊技の進行が停止した状態となるフリーズをその後の遊技で実行可能に形成された遊技機」とを対比する。

刊行物発明における「所定条件下(内部抽選でビッグボーナス(BB)が当選していた場合)」は、本願発明における「役抽籤手段により所定の役が当選」することに相当する。
そして、刊行物発明における「フリーズ抽選を行って、フリーズ抽選の結果に基づ」くことと、本願発明における「ストップスイッチの操作順序が所定の操作順序であった場合」とは、共に、「役抽籤手段により所定の役が当選」するという条件に付加される条件であるから、両者は、「所定の第2条件が成立した場合」で共通する。
また、刊行物発明における「フリーズ抽選においてフリーズ処理Aあるいはフリーズ処理Bの実行が選択された場合には、選択されたフリーズ処理の実行を予約」することは、フリーズ処理Bを含む「フリーズ処理」が、「第1リールR1?第3リールR3が定常回転に達してもストップボタンB1?B3の有効化が保留されているため第1リールR1?第3リールR3の回転駆動が開始されてからストップボタンB1?B3の押下操作が有効化されるまでの期間が長期化して遊技の進行」を「遅延する」処理、すなわち、ストップボタンの処理を無効とし、遊技を進行させない状態にする処理のことであり、予約されたフリーズ処理は、後に実行されるものであるから、本願発明における「遊技の進行が停止した状態となるフリーズをその後の遊技で実行可能に形成された」ことに相当する。

したがって、両者は、「役抽籤手段により所定の役が当選し、かつ所定の第2条件が成立した場合に、遊技の進行が停止した状態となるフリーズをその後の遊技で実行可能に形成された遊技機」である点で共通する。

キ 刊行物発明における「リール制御手段130は、フリーズ処理Bの実行中であって、第1リールR1?第3リールR3が定常回転に達している場合に、ストップボタンB1?B3の押下操作(特定操作の一例)が行われると、定常回転中の第1リールR1?第3リールR3のうち押下操作が行われたストップボタンに対応するリールをストップボタンの押下時点から所与の期間内(例えば、190ms以内)に仮停止させ、仮停止した後は正回転と逆回転を短期間で繰り返すことによって揺れ動いたりするように挙動させる制御を行」うことは、フリーズ処理に含まれるフリーズ処理Bに関して、リール制御手段130が、フリーズ処理Bの実行中に、第1リールR1?第3リールR3を定常回転させ、定常回転中にストップボタンの押下操作が行われると、押下操作されたストップボタンに対応するリールを正回転と逆回転を短期間で繰り返すことによって揺れ動いたりするように挙動させ、振動状態に制御することであるから、本願発明における「リール制御手段は、フリーズの実行中において、回転リールを第一の態様で作動させ、回転リールを第一の態様で作動させているときに、所定のストップスイッチの操作信号を入力した場合には、回転リールの作動態様を第一の態様とは異なる第二の態様に切り変え、第一の態様は、通常時の回転リールの作動態様と同様の通常回転態様であり、第二の態様は、回転リールが一定角度の範囲で正転逆転を繰り返すことにより回転リールの図柄が振動して見えるように当該回転リールが作動する振動態様」であることに相当する。

ク 刊行物発明における「リール制御手段130は、フリーズ処理Aあるいはフリーズ処理Bの実行が予約されている場合、ビッグボーナス(BB)が入賞した遊技の次の遊技、すなわちボーナス状態での最初の遊技において、スタートレバーSLの押下操作に基づき第1リールR1?第3リールR3の回転駆動が開始されたことを契機としてフリーズ期間(例えば、60秒)の計測を開始させる」こと、すなわち、フリーズ処理Bを含むフリーズ処理に関する記載事項と、本願発明における「フリーズは、前記所定条件に該当した場合においてスタートスイッチの操作信号の入力を契機に開始され」ることとを対比する。

まず、本願発明における「前記所定条件」について検討する。
本願の請求項1には、この記載箇所より前に、「所定条件」という記載がないが、平成27年12月1日付け手続補正書により「所定条件に該当することを契機に」とあったものを「前記役抽籤手段(本願の請求項1の記載において、当該記載よりも前の記載箇所に「役抽籤手段」に関連する記載として、「役抽選手段」という記載しか見当たらない。したがって、「前記役抽籤手段」は「前記役抽選手段」の誤記と認められる。)により所定の役が当選し、かつストップスイッチの操作順序が所定の操作順序であった場合に」と補正した経緯からみて、「所定条件」は、「役抽籤手段により所定の役が当選し、かつストップスイッチの操作順序が所定の操作順序で」あることと推認できる。
そこで、「前記所定条件」とは、「役抽籤手段により所定の役が当選し、かつストップスイッチの操作順序が所定の操作順序で」あることと解する。

そうすると、上記カにおいて検討したように、両者は、「フリーズは、役抽選手段により所定の役が当選し、ある条件が成立した場合においてスタートスイッチの操作信号の入力を契機に開始され」ることで共通する。

ケ 刊行物発明における「リール制御手段130」は、上記キにおいて検討したように、フリーズ処理Bの実行中に、第1リールR1?第3リールR3を定常回転させ、定常回転中にストップボタンの押下操作が行われると、ストップボタンに対応するリールを正回転と逆回転を短期間で繰り返すことによって揺れ動いたりするように挙動させ、振動状態にする制御を行うものである。
そして、刊行物発明は、フリーズ処理のうち、フリーズ処理Bに関して、「フリーズ処理Bの実行中に回転中のリールを仮停止させる場合に、メインメモリ190Mの停止制御テーブル記憶手段193Mに記憶されている仮停止制御テーブルを参照してリールの停止位置を決定する」ものであり、フリーズ処理Bにおいて、リールに配列されたいずれかの図柄を、予め決定された停止位置に仮停止された状態とし、その後、当該停止位置を振動の中心として振動する振動状態に制御するものである。

したがって、刊行物発明における「リール制御手段130」は、本願発明における「回転リールを通常回転態様で作動させているときに、ストップスイッチの操作信号を入力した場合には、操作信号を入力したストップスイッチに対応する回転リールについて、操作信号の入力のタイミングであらかじめ設定された特定位置に停止可能ないずれかの図柄を特定位置に位置させた状態で、第二の態様である当該回転リールの作動態様を振動態様に切り替える」手段に相当する。

コ 上記ア?ケより、刊行物発明と本願発明とは、
「表面に複数種類の図柄を表示した複数の回転リールと、
前記複数の回転リールの回転を開始させるためのスタートスイッチと、
回転中の前記回転リールを個々に停止させるための複数のストップスイッチと、
前記スタートスイッチ及びストップスイッチの操作信号に基づき前記回転リールの作動を制御するリール制御手段と、
役の当否を決定する役抽選手段と、を少なくとも備え、
前記役抽籤手段により所定の役が当選し、かつ所定の第2条件が成立した場合に、遊技の進行が停止した状態となるフリーズをその後の遊技で実行可能に形成された遊技機において、
前記リール制御手段は、
前記フリーズの実行中において、前記回転リールを第一の態様で作動させ、
前記回転リールを前記第一の態様で作動させているときに、所定のストップスイッチの操作信号を入力した場合には、前記回転リールの作動態様を前記第一の態様とは異なる第二の態様に切り変え、
前記第一の態様は、通常時の回転リールの作動態様と同様の通常回転態様であり、
前記第二の態様は、前記回転リールが一定角度の範囲で正転逆転を繰り返すことにより前記回転リールの図柄が振動して見えるように当該回転リールが作動する振動態様であり、
前記フリーズは、前記役抽籤手段により所定の役が当選し、かつ所定の第2条件が成立した場合において前記スタートスイッチの操作信号の入力を契機に開始され、
前記リール制御手段は、
前記フリーズが開始された場合には、前記第一の態様である前記各回転リールを前記通常回転態様で作動させるとともに、
前記回転リールを前記通常回転態様で作動させているときに、前記ストップスイッチの操作信号を入力した場合には、操作信号を入力したストップスイッチに対応する回転リールについて、前記操作信号の入力のタイミングであらかじめ設定された特定位置に停止可能ないずれかの図柄を前記特定位置に位置させた状態で、前記第二の態様である当該回転リールの作動態様を前記振動態様に切り替えるように形成されていることを特徴とする遊技機。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点]
「遊技の進行が停止した状態となるフリーズをその後の遊技で実行可能」とするための条件に関して、
本願発明は、役抽籤手段により所定の役が当選し、かつストップスイッチの操作順序が所定の操作順序であった場合であるのに対し、
刊行物発明は、役抽籤手段により所定の役が当選し、かつフリーズ抽選を行って、フリーズ抽選の結果に基づくことである点。

5 当審の判断
(1)相違点について
上記相違点について検討する。
遊技機の技術分野において、フリーズを実行可能とするための条件を、役抽籤手段により所定の役が当選し、かつ、所定の役に当選したときに遊技者により操作されるストップスイッチの操作順序が所定の操作順序であり、前記所定の役に入賞することとすることは、本願出願前に周知の技術事項(例えば、特開2013-139号公報には、「AT(アシストタイム)遊技とは、ストップスイッチ42の押し順又は操作タイミングによって有利な遊技結果を得ることができる場合とできない場合とを設けるとともに、非AT遊技中は、偶然でしか有利な遊技結果を得ることができないが、AT遊技中は、遊技者にとって有利となるストップスイッチ42の押し順又は操作タイミング(有効ラインに狙う図柄等)が報知されることで、遊技者は、その報知に従ってストップスイッチ42を操作すれば、最も有利な遊技結果を得ることができる(例えば、最も有利となる図柄の組合せを有効ラインに停止させることができる、あるいは当選した役を確実に有効ラインに停止させることができる)遊技をいう。RT遊技中にAT遊技が実行されると、RT遊技かつAT遊技(ART遊技)となる。」(【0051】)こと、及び、「メイン遊技状態制御手段69は、RT3遊技(ART遊技)でリプレイFが入賞すると、次遊技から、ART遊技中のフリーズ高確率状態に移行するように制御する」(【0131】)こと、すなわち、リプレイFに当選し、遊技者が報知されたとおりの押し順でストップスイッチ4を操作したことにより入賞となると、フリーズ高確率状態に移行してフリーズを実行可能とすることが記載され、同様に、特開2013-52028号には、「ART遊技中に役抽選手段61でリプレイFに当選すると、操作スイッチの操作態様が決定され、このとき決定された操作態様で操作スイッチを操作すると、フリーズ高確率モードに移行する。」【0183】ことが記載されている。以下「周知の技術事項1」という。)である。
そして、刊行物発明と上記周知の技術事項1とは、所定の条件を満たしたときにフリーズを実行可能にする遊技機という同一の技術分野に属するものである。
したがって、刊行物発明において、フリーズ処理Bを実行可能とする条件を、上記周知のフリーズ実行可能条件を適用して、所定の役(「BB」)に当選することに加えて、所定の役(「BB」)に当選したときに操作されるストップスイッチの操作順序が所定の操作順序であることとし、上記相違点に係る本願発明の構成とすることは当業者が容易になし得たものである。

(2)請求人の主張について
請求人は、平成27年12月1日の意見書において、「フリーズ開始の前提が、「偶然」と「遊技者の操作順序」にあることを限定し、「偶然」に頼るだけでなく、「遊技種の操作手順」にも工夫を凝らすとの解決課題が提起されたものである。
前記したように、このような課題及び解決手段は、いずれの引用文献にも記載されていないのであるから、本願発明は各引用文献から容易想到であるとはいえない。」(第7頁下2行?第8頁1行。「遊技種」は「遊技者」の誤記。)と主張する。

しかしながら、上記(1)において検討したように、役抽籤手段により所定の役が当選するという「偶然」と、その際に、遊技者によるストップスイッ チの操作順序が所定の操作順序であるという「遊技者の操作順序」とを、フリーズを実行可能条件とすることは、本願出願前に周知の技術事項であるから、請求人の意見書における上記主張は採用できない。

(3)小括
上記(1)?(2)において検討したように、本願発明は、当業者が刊行物発明及び周知の技術事項1に基づいて容易に発明をすることができたものである。
そして、当審による平成27年9月30日付け拒絶理由通知において、本願の請求項1に係る発明の「回転リールを前記第一の態様で作動させているときに、所定の操作手段のうちのいずれかの操作手段の操作信号を入力した場合には、回転リールの作動態様を第一の態様とは異なる第二の態様に切り変え」る構成、及び、「第一の態様は、通常時の回転リールの作動態様と同様の通常回転態様であり、記第二の態様は、回転リールが一定角度の範囲で正転逆転を繰り返すことにより回転リールの図柄が振動して見えるように当該回転リールが作動する振動態様であ」る構成に関して、刊行物1に記載されているとすると共に、刊行物2?3に記載されているように、本願出願前に周知の技術事項であるとした(前記1を参照。)。
この点に関して、上記「4 キ」において検討したように、本願の請求項1に係る発明の「回転リールを前記第一の態様で作動させているときに、所定の操作手段のうちのいずれかの操作手段の操作信号を入力した場合には、回転リールの作動態様を第一の態様とは異なる第二の態様に切り変え」る構成、及び、「第一の態様は、通常時の回転リールの作動態様と同様の通常回転態様であり、記第二の態様は、回転リールが一定角度の範囲で正転逆転を繰り返すことにより回転リールの図柄が振動して見えるように当該回転リールが作動する振動態様であ」る構成は、刊行物1に記載されているものであるから、合議体において、刊行物2?3に例示されている周知の技術事項を用いるまでもないと判断した。
したがって、合議体は、上記(1)における判断において、平成27年9月30日付け当審拒絶理由通知書において提示された刊行物2?3に例示されている周知の技術事項を用いることなく、刊行物1のみを用いて判断を行った。

また、本願発明により奏される効果は、当業者が、刊行物発明及び周知の技術事項1から予測し得る範囲内のものであって、格別のものではない。

6 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は他の請求項について検討するまでもなく拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-01-21 
結審通知日 2016-01-26 
審決日 2016-02-08 
出願番号 特願2013-82770(P2013-82770)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中槙 利明  
特許庁審判長 本郷 徹
特許庁審判官 長崎 洋一
遠藤 孝徳
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人太陽国際特許事務所  

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