• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正しない A63F
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正しない A63F
管理番号 1312895
審判番号 訂正2015-390121  
総通号数 197 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-05-27 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2015-11-09 
確定日 2016-03-28 
事件の表示 特許第5771580号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本件審判の請求に係る特許第5771580号(以下、「本件特許」という。)は平成24年8月22日に出願され、平成27年7月3日に特許権の設定登録がなされ、平成27年11月9日に本件訂正審判が請求され、その後、当審において、平成27年12月10日付けで訂正拒絶理由を通知したところ、請求人からは何らの応答もない。

第2 請求の趣旨

本件審判請求の趣旨は、本件特許の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求めるものである。

第3 訂正の内容

1.訂正事項1
本件特許請求の範囲の請求項1に
「前記第2の演出パターンによる演出の実行を決定した場合には、前記リーチ演出実行手段に、前記リーチ演出を実行させた後に前記特定の図柄の組合せとは異なる図柄の組合せを一旦停止表示させ、その後該一旦停止表示された図柄の組合せが再度変動表示されて前記特定の図柄の組合せにて停止表示される可能性が夫々異なるように設定された複数の示唆演出のうち一つの示唆演出を実行させ、前記示唆演出の実行後に、前記一旦停止表示された図柄の組合せを再度変動表示させて前記特定の図柄の組合せを停止表示させる第2リーチ演出を実行させ、」
とあるのを、
「前記第2の演出パターンによる演出の実行を決定した場合には、前記リーチ演出実行手段に、前記リーチ演出を実行させた後に前記特定の図柄の組合せとは異なる図柄の組合せを一旦停止表示させ、前記特定の図柄の組合せにて停止表示される可能性が夫々異なるように設定された複数の示唆演出のうち一つの示唆演出を実行させ、前記示唆演出の実行後に、前記一旦停止表示された図柄の組合せを再度変動表示させて前記特定の図柄の組合せを停止表示させる第2リーチ演出を実行させ、」
に訂正する(以下、下線部は訂正箇所を意味する。)。

2.訂正事項2
本件特許明細書の段落【0006】に
「前記第2の演出パターンによる演出の実行を決定した場合には、前記リーチ演出実行手段に、前記リーチ演出を実行させた後に前記特定の図柄の組合せとは異なる図柄の組合せを一旦停止表示させ、その後該一旦停止表示された図柄の組合せが再度変動表示されて前記特定の図柄の組合せにて停止表示される可能性が夫々異なるように設定された複数の示唆演出のうち一つの示唆演出を実行させ、前記示唆演出の実行後に、前記一旦停止表示された図柄の組合せを再度変動表示させて前記特定の図柄の組合せを停止表示させる第2リーチ演出を実行させ、」
とあるのを、
「前記第2の演出パターンによる演出の実行を決定した場合には、前記リーチ演出実行手段に、前記リーチ演出を実行させた後に前記特定の図柄の組合せとは異なる図柄の組合せを一旦停止表示させ、前記特定の図柄の組合せにて停止表示される可能性が夫々異なるように設定された複数の示唆演出のうち一つの示唆演出を実行させ、前記示唆演出の実行後に、前記一旦停止表示された図柄の組合せを再度変動表示させて前記特定の図柄の組合せを停止表示させる第2リーチ演出を実行させ、」
に訂正する。

第4 当審の判断

1 訂正事項1
(1)訂正の目的について
訂正前の本件特許請求の範囲の請求項1には、「その後該一旦停止表示された図柄の組合せが再度変動表示されて前記特定の図柄の組合せにて停止表示される可能性が夫々異なるように設定された複数の示唆演出のうち一つの示唆演出を実行させ、」と記載されている。
そして、当該構成について、審判請求人は、審判請求書(第4頁下から第2行?第6頁第16行)において、「訂正前の請求項1記載の特許発明では、この構成要素に係る記載(「第2リーチ演出」)について以下に示すように2通りの解釈がされ得るため、不明瞭な記載となっている。

[解釈例1]願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内の記載に則した上記構成要素(「第2リーチ演出」)の解釈]

リーチ演出実行

ハズレ図柄の組合せで一旦停止

示唆演出を実行

一旦停止させたハズレ図柄の組合せを再度変動表示

当たり図柄の組合せで停止表示させる

[解釈例2]願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲に記載されていない上記構成要素(「第2リーチ演出」)の解釈]
上記構成要素に係る記載における、
「その後該一旦停止表示された図柄の組合せが再度変動表示されて前記特定の図柄の組合せにて停止表示される可能性が夫々異なるように設定された複数の示唆演出のうち一つの示唆演出を実行させ、」との記載が、
「その後該一旦停止表示された図柄の組合せが再度変動表示されて」で区切られて、
「前記特定の図柄の組合せにて停止表示される可能性が夫々異なるように設定された複数の示唆演出のうち一つの示唆演出を実行させ、」と読まれた場合、以下のような解釈となる。

リーチ実行

ハズレ図柄の組合せで一旦停止

一旦停止させたハズレ図柄の組合せを再度変動表示

示唆演出を実行

一旦停止させたハズレ図柄の組合せを再度変動表示

当たり図柄の組合せで停止表示させる

これに対して、訂正後の請求項1記載の特許発明では、願書に添付した明細書等に記載した事項の範囲内に記載されている上記解釈例1の発明であると一義的に解釈され得る。
したがって、上記訂正事項1は、特許法第126条第1項但書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。」と主張している。

上記主張について検討するに、本件特許明細書の段落【0470】における「図23に示した演出パターン指定コマンド(MODE=A1H、DATA=04H)に対応し、大当りに当選した状態でエンドカード表示が行われる場合には、図42(a)→図42(b)→図42(c)→図43(a)→図43(b)→図43(c)→図44(a)→図45(a)→図45(b)→図45(c)→図46(a)→図46(b)→図46(c)→図47(a)→図47(b)→図47(c)の順で画像表示装置31に画像が表示される。」という記載、段落【0471】における「大当りに当選した状態でエンドカード表示が行われる場合には、図42(a)→図42(b)→図42(c)→図43(a)→図43(b)→図43(c)→図44(a)の期間、大当りに当選しなかった場合と同様の表示が行われた後、図45(a)に示す第2のエンドカード表示が行われる。第2のエンドカード表示では、画像表示装置31の表示領域に背景として第2のキャラクタ(主役)304aと作品のタイトル303bが表示された静止画像304が表示されるとともに、画像表示装置31の表示領域の右上コーナーに小型の数字のみで構成された左中右用の演出図柄36-3a、36-3b、36-3cがリーチハズレの組合せで並べて停止表示される。このような第2のエンドカード表示は、特別遊技への非当選を示唆する示唆演出であるとともに、復活当選の期待値が高い演出になっている。このような第2のエンドカード表示の後、図45(b)に示すように、画像表示装置31では、表示領域の中央に左中右用の演出図柄36-1a、36-1b、36-1cがリーチハズレの組合せで並べて停止表示されとともに、元の都市背景画像300が表示される。」という記載、【図46】(a)の演出図柄36-4a、36-4b、36-4cは「872」であり、【図46】(a)の演出図柄36-4a、36-4b、36-4cは「227」であり、【図46】(c)の演出図柄36-4a、36-4b、36-4cは「321」であるから、これらの状況において演出図柄が再変動しているといえること、段落【0476】における「この後、画像表示装置31の表示領域では、図47(a)の画像がズームアップされ、枠画像306が消えて、図47(b)に示すように、大当りの組合せの左中右用の演出図柄36-1a、36-1b、36-1cと都市背景画像300が図45(b)と同じサイズで表示される。この表示により、大当りで当選したことが遊技者に確定報知される。この後、特別図柄の変動時間の経過時には、図47(c)に示すように、画像表示装置31の表示領域に、「大当り」という文字画像309が表示されている。尚、本実施形態において、図47(c)の表示画面は、演出図柄36の変動表示の演出指示コマンドに対応する演出時間の終了後を行われるものであり、大当り遊技の演出時間に含まれる。」という記載から、「示唆演出」(【図45】(a))は、「一旦停止表示された図柄の組合せ図」(【図44】(a))が「再度変動表示」(【図46】(a)?【図46】(c))されて「前記特定の図柄の組合せにて停止表示される」(【図47】(a))可能性を示唆する演出であるといえ、訂正前の本件特許請求の範囲の請求項1の「その後該一旦停止表示された図柄の組合せが再度変動表示されて前記特定の図柄の組合せにて停止表示される可能性が夫々異なるように設定された複数の示唆演出」という記載は、当該本件特許明細書の記載に則したものである。そして、当該記載について、「その後該一旦停止表示された図柄の組合せが再度変動表示されて」と「前記特定の図柄の組合せにて停止表示される可能性が夫々異なるように設定された複数の示唆演出のうち一つの示唆演出を実行させ、」との間に読点等の区切りを示すものがないのに、敢えてこれを区切ることで、[解釈例2]のように解釈して、訂正前の訂正事項1に係る記載が、本件特許明細書に記載されていないものと解することは合理的でない。
すなわち、訂正前の本件特許請求の範囲の請求項1における「その後該一旦停止表示された図柄の組合せが再度変動表示されて前記特定の図柄の組合せにて停止表示される可能性が夫々異なるように設定された複数の示唆演出のうち一つの示唆演出を実行させ、」という記載は、請求人が主張する[解釈例2]のように解釈されるような不明瞭なものとは認められず、明瞭な記載であることは明らかである。
以上のことから、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正には該当しない。

また、訂正事項1は、本件特許請求の範囲の請求項1の発明特定事項を削除するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正には該当しない。
さらに、本件特許請求の範囲の請求項1には、誤記が存在するものとはいえないから、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とする訂正にも該当しない。
加えて、訂正事項1は、請求項間の引用関係の解消を目的とするものではないことは明らかであるから、訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第4号に規定する他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とする訂正にも該当しない。

(2)特許請求の範囲の拡張又は変更の存否について

上記第4 1(1)において既に検討したとおり、訂正事項1は、特許法第126条第1項各号に規定するいずれの目的にも該当しない。
しかし、仮に、訂正事項1が、特許法第126条第1項第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものであるとして、訂正事項1が、特許法第126条第6項に規定する要件に適合するものであるかについて以下検討する。
訂正事項1は、訂正前の「その後該一旦停止表示された図柄の組合せが再度変動表示されて前記特定の図柄の組合せにて停止表示される可能性が夫々異なるように設定された複数の示唆演出」という発明特定事項から、「その後該一旦停止表示された図柄の組合せが再度変動表示されて」という発明特定事項を削除するものである。
ここで、訂正前の本件特許請求の範囲の請求項1は、第3の演出パターンに関して、「前記第3の演出パターンによる演出の実行を決定した場合には、前記リーチ演出実行手段に、前記リーチ演出を実行させた後に前記特定の図柄の組合せとは異なる図柄の組合せを一旦停止表示させ、その後前記複数の示唆演出のうち一つの示唆演出を実行させ、前記示唆演出の実行後に、前記一旦停止表示された図柄の組合せを再度変動表示させることなくそのまま停止表示させる第3リーチ演出を実行させ」という発明特定事項を備えており、訂正前の当該発明特定事項における「前記複数の示唆演出」は、「前記」という文言から「その後該一旦停止表示された図柄の組合せが再度変動表示されて前記特定の図柄の組合せにて停止表示される可能性が夫々異なるように設定された複数の示唆演出」と同じものであるところ、訂正事項1によって「その後該一旦停止表示された図柄の組合せが再度変動表示されて」という発明特定事項が削除されることで、訂正後の当該発明特定事項における「前記複数の示唆演出」は、「前記特定の図柄の組合せにて停止表示される可能性が夫々異なるように設定された複数の示唆演出」というより広い技術的意味を有する「複数の示唆演出」であって、「前記特定の図柄の組合せにて停止表示される」タイミングが「その後該一旦停止表示された図柄の組合せが再度変動表示され」たものに限らない「複数の示唆演出」と同じものとなる。
よって、訂正事項1は、本件特許請求の範囲の請求項1を実質上拡張し、又は変更する訂正であるといえ、特許法第126条第6項に規定する要件に適合しない。

2 訂正事項2

訂正事項2は、本件特許請求の範囲の請求項1において、訂正事項1の訂正を行った結果、記載が一致しなくなった本件特許明細書の段落【0006】の記載を、訂正後の請求項1の記載に整合させるための訂正である。
しかしながら、訂正事項1は、上記4 1において既に検討したとおり、特許法第126条第1項ただし書各号、及び、同条第6項の規定に適合しないから、訂正事項2は、同様に、特許法第126条第1項ただし書各号、及び、同条第6項の規定に適合せず、特許法第126条第1項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正に該当しない。
したがって、訂正事項2は、訂正事項1と同様に、特許法第126条第1項ただし書各号に規定する事項を目的とするものに該当しない。
 
審理終結日 2016-01-29 
結審通知日 2016-02-02 
審決日 2016-02-15 
出願番号 特願2012-183601(P2012-183601)
審決分類 P 1 41・ 853- Z (A63F)
P 1 41・ 854- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 鹿戸 俊介  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 瀬津 太朗
関 博文
登録日 2015-07-03 
登録番号 特許第5771580号(P5771580)
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人 エビス国際特許事務所  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ