• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01S
管理番号 1312980
審判番号 不服2015-12667  
総通号数 197 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-05-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-07-03 
確定日 2016-03-30 
事件の表示 特願2012- 22808「インデックスガイド型埋め込みヘテロ構造窒化物レーザダイオード構造」拒絶査定不服審判事件〔平成24年 5月10日出願公開、特開2012- 89895〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯・本願発明
本願は、平成12年9月22日(パリ条約による優先権主張1999年9月29日、アメリカ合衆国)に出願した特願2000-287812号の一部を平成24年2月6日に新たな特許出願としたものであって、平成26年7月11日付けの拒絶理由通知に対して、同年9月16日に意見書及び手続補正書が提出されたが、平成27年2月23日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年7月3日に審判請求がされ、同年8月10日に手続補正書(方式)が提出され、請求の理由が補正されたものであり、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのものと認める。

「【請求項1】
窒化物光放出ダイオード構造であって、
上面及びエッチングされた側面を有するリッジ構造(111)であって、当該リッジ構造(111)は、1?5ミクロンの幅を有する、当該リッジ構造(111)と、
活性領域(145)と、
前記活性領域(145)上の上側クラッド層(125)と、
前記リッジ構造(111)中でありかつ前記上側クラッド層(125)上のキャップ層(185)と、
前記リッジ構造(111)を囲む埋め込み層(155、255)と、
を備え、
前記キャップ層(185)は、<1100>面を有する六角形の結晶を有し、
前記リッジ構造(111)の長さ方向の軸は、前記キャップ層(185)の前記結晶の前記<1100>面に垂直な方向に配向された
窒化物光放出ダイオード構造。」

2 引用例の記載と引用発明
(1)引用例1:特開平11-74605号公報
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である特開平11-74605号公報(公開日:平成11年3月16日。以下「引用例1」という。)には、「窒化物系化合物半導体レーザ」(発明の名称)に関して、図4とともに以下の記載がある。

ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、化合物半導体材料を用いた半導体素子に係わり、特にGaN,AlGaN,InGaNなど窒素を含む化合物半導体からなる窒化物系化合物半導体レーザに関する。」

イ 「【0008】
【発明が解決しようとする課題】このように従来、GaN系材料を用いた横モード制御レーザにおいては、メサ幅を極めて狭くする必要があり、プロセスが非常に困難であるという問題点があった。また、メサ幅を広くするために、埋め込み層として発振光に対して損失を持つ材料を用いると、しきい値が上昇する問題があった。
【0009】本発明は、上記の事情を考慮してなされたもので、その目的とするところは、メサ幅を極端に狭くすることなく特性の優れた横モード制御を実現することができ、かつしきい値の低減をはかり得る窒化物系化合物半導体レーザを提供することにある。」

ウ 「【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細を図示の実施形態によつて説明する。
(第1の実施形態)図1は、本発明の第1の実施形態に係わる青色半導体レーザの概略構成を示す断面図である。
【0019】各窒化物層は全てMOCVD法(有機金属気相成長法)により成長を行った。成長条件に関して、圧力は常圧、バッファ層以外のGaN,AlGaN層の成長は、基本的には窒素,水素,アンモニアを混合した雰囲気で1000℃から1100℃の範囲、活性層を含む成長は、窒素とアンモニア雰囲気で700℃から850℃の範囲とした。
【0020】図中11はサファイア基板であり、12は低温成長(550℃)のGaNバッファ層(厚さ0.03μm)である。13は高温(1100℃)で成長したn-GaNコンタクト層(Siドープ;5×10^(18)cm^(-3)、厚さ3μm)、14はAl/Ti/Auからなるn側電極、15はn-Al_(0.15)Ga_(0.85)Nクラッド層(Siドープ;1×10^(18)cm^(-3)、厚さ0.32μm)である。16は多重量子井戸構造(MQW)と光ガイド層を含む活性層部であり、厚さ0.05μmのGaNからなる光ガイド層を有し、井戸層は3nm厚のIn_(0.20)Ga_(0.80)Nの5層からなり、バリヤ層は厚さ6nmのIn_(0.03)Ga_(0.97)Nから構成される。
【0021】17はp-Al_(0.15)Ga_(0.85)Nクラッド層(Mgドープ;5×10^(19)cm^(-3)、厚さ0.35μm)、18はp-GaN再成長用キャップ層(Mgドープ;5×10^(19)cm^(-3)、厚さ0.3μm)である。19は再成長により形成したpーGaN埋め込みコンタクト層(Mgドープ;8×10^(19)cm^(-3)、厚さ0.8μm)であり、最上部を高濃度化(Mgドープ;2×10^(20)cm^(-3)、厚さ0.1μm)している。20はPt/Ti/Pt/Auからなるp側電極、21はSiO_(2 )誘電体膜、22はAu電極パッド。なお、サファイア基板11には(0001)c面を用いており、レーザミラーはへき開により形成している。
【0022】本構造を実現するには、図中12から18までの結晶成長後、光リソグラフィ技術とドライエッチング技術を用いて図中16?18が示すような第1のメサを形成後、19,20の層を再成長した。その後、光リソグラフィ技術とドライエッチング技術を繰り返し用いて、第1のメサの外側に第2のメサを形成し、さらに開口部を有する誘電体膜21上に電極パッド22を形成し、コンタクト層13上にn側電極14を形成した。
【0023】ここで、接合面と平行な方向において、第1及び第2のメサ、即ち第1のメサと埋め込みコンタクト層19で第1の導波構造が形成され、電極パッド22で第2の導波構造が形成されることになる。第1の導波構造における第1のメサの幅、即ち残した活性層の幅は3μm、外側のメサ(第2のメサ)の幅は6μmとした。第2のメサの外側には電極パッド22としてのAuが接触している。」

エ 「【0035】(第4の実施形態)図4は、本発明の第4の実施形態に係わる青色半導体レーザの概略構成を示す断面図である。なお、図1と同一部分には同一符号を付して、その詳しい説明は省略する。
【0036】本実施形態が第1の実施形態と異なる点は、第1のメサの埋め込みをGaNコンタクト層19ではなく、p-Al_(0.07)Ga_(0.93)N層24(Mgドープ;5×10^(19)cm^(-3)、厚さ0.45μm)で行ったことにある。このp-AlGaN埋め込み層24はp-GaNコンタクト層19を成長する前に第1のメサ上にSiO_(2 )ストライプを残し、選択成長を行うことで形成した。
【0037】また、p-AlGaN埋め込み層24を形成したことにより、p-GaNコンタクト層19の厚さは0.5μmと第1の実施形態よりも薄くした。さらに、第1の導波構造における第1のメサの幅、即ち残した活性層16の幅は1.5μm、外側のメサ(第2のメサ)の幅は3μmとした。
【0038】本実施形態では、活性層部分のクラッドを含む実効屈折率は第1のメサの埋め込み層であるAlGaNよりも大きい、導波構造となっている。そしてこの場合、しきい値25mAで室温連続発振した。発振波長は415nm、動作電圧は5.5Vであった。ビーム特性は単峰であり、非点隔差は3μmと十分小さな値が得られた。最高光出力は連続発振で10mWまで得られ、信頼性に関しても室温で1000時間以上安定に動作した。
【0039】これらの特性は、基板は下のままヒートシンクにボンディングした構造で得られた。本実施形態では、埋め込み層をp-AlGaNとしたためn-AlGaNとの接合でのビルトインポテンシャルが大きくなり、活性層外側でのリーク電流を低減できる。また、埋め込み層のAlGaNはZnなどをドープした高抵抗層としても良い。」

オ 図4の「第4の実施形態に関わる青色半導体レーザの概略構成を示す断面図」には、活性層部16、活性層部16上のp-Al_(0.15)Ga_(0.85)Nクラッド層17、及びp-Al_(0.15)Ga_(0.85)Nクラッド層17上のp-GaN再成長用キャップ層18が示されており、青色半導体レーザは、サファイア基板11上に形成されている。

(2)引用発明
上記摘記事項「ウ」の段落【0022】、「エ」の段落【0035】の記載及び「カ」を勘案すると、図4には、ドライエッチング技術を用いて形成された図中16?18が示すような第1のメサであって、活性層部16、p-Al_(0.15)Ga_(0.85)Nクラッド層17、及びp-GaN再成長用キャップ層18を備える第1のメサが示されているといえ、また、図4を参照すると、当該第1のメサは、上面及び側面を有し、かつp-GaN再成長用キャップ層18は、第1のメサ中の層であることは明らかである。

そうすると、引用例1には、図4に示される「第4の実施形態」として、以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「メサ幅を極端に狭くすることなく特性の優れた横モード制御を実現することができ、かつしきい値の低減をはかり得る窒化物系化合物半導体レーザであって、
上面及び側面を有し、ドライエッチング技術を用いて形成された第1のメサであって、第1の導波構造における第1のメサの幅、即ち残した活性層16の幅は1.5μmである、第1のメサと、
多重量子井戸構造(MQW)と光ガイド層を含む活性層部であり、井戸層は3nm厚のIn_(0.20)Ga_(0.80)Nの5層からなり、バリヤ層は厚さ6nmのIn_(0.03)Ga_(0.97)Nから構成される活性層部16、
活性層部16上のp-Al_(0.15)Ga_(0.85)Nクラッド層17、
及び第1のメサ中でありかつp-Al_(0.15)Ga_(0.85)Nクラッド層17上のp-GaN再成長用キャップ層18と、
第1のメサの埋め込みを行うp-Al_(0.07)Ga_(0.93)N層24と、
を備え、
サファイア基板11上に形成され、サファイア基板11には(0001)c面を用いており、レーザミラーはへき開により形成している、
窒化物系化合物半導体レーザ。」

(3)引用例2:特開平9-186404号公報
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である特開平9-186404号公報(以下「引用例2」という。)には、「GaN堆積ウエーハ及び光半導体装置」(発明の名称)に関して、図1?3とともに以下の記載がある。

ア 「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,AlN基板上にGaN又はその混晶からなる薄膜が堆積されたGaN堆積ウエーハ,及びAlN基板上に堆積されたGaN又はその混晶からなる薄膜を有する光半導体装置に関する。
【0002】基板上に堆積されたGaN又はGaNの混晶系薄膜は,短波長の光素子,例えば青色光から紫外光に至る光の発光素子及び受光素子に使用されている。しかし,GaN系薄膜を光素子として利用するには,優れた結晶性を有する薄膜が堆積され,かつダイシング又は光学的平面を形成するに便利な劈開を利用できる基板上に堆積することが好ましい。
【0003】このため,優れた結晶性を有しかつ劈開による加工ができるGaN堆積ウエーハが,並びに結晶性が良いGaN薄膜を用いることで光素子特性のばらつきが少ない光半導体装置,加えて劈開による加工を利用することで製造容易な光半導体装置が要望されている。」

イ 「【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述したように,従来のGaN堆積ウエーハでは,劈開性を有しないサファイア基板又は多結晶AlN基板を用いるため,劈開による精密な加工を利用することができず,素子特性がばらつくという問題がある。また,SiC基板又はGaN基板を用いるものは,基板の化学的研磨が難しいため,基板上に堆積したGaN薄膜の表面に溝が発生して素子特性が大きくばらつくという問題がある。
【0010】本発明は,GaN系薄膜を堆積する基板として劈開を有しかつ化学的研磨も容易であるAlN単結晶基板を用いることにより,優れた結晶性を有するGaN系薄膜が堆積されたGaN堆積ウエーハの提供,及び優れた結晶性を有するGaN系薄膜が堆積されかつ劈開による加工ができるGaN堆積ウエーハの提供,並びに素子特性のばらつきが小さくかつ製造容易な光半導体装置の提供を目的としている。」

ウ 「【0011】
【課題を解決するための手段】図2は本発明の実施例GaN堆積ウエーハ使用説明図であり,図2(a)は斜視図によりGaN堆積ウエーハを使用した半導体レーザの製造工程におけるダイシング及び劈開の方向を表しており,また図2(b)はAB断面図によりGaN堆積ウエーハの積層構造を表している。図3は,本発明の実施例半導体レーザ斜視図であり,GaN堆積ウエーハ上に作製され,劈開面を利用して製造された半導体レーザを表している。
【0012】上記課題を解決するために本発明の第一の構成は,図2を参照して,AlN単結晶からなる基板1と,該基板1上に堆積された,GaN又はGaN混晶からなる薄膜2とを有するGaN堆積ウエーハ3として構成し,及び,第二の構成は,第一の構成のGaN堆積ウエーハ3において,該基板1の堆積面は,(0001)面又は(1120)面に垂直な面からなることを特徴として構成し,及び,第三の構成は,図3を参照して,AlN単結晶の(0001)面又は(1120)面を堆積面とする基板1と,該堆積面上に堆積されたGaN又はGaN混晶からなる薄膜2と,該堆積面に垂直に劈開された該薄膜の劈開面4aとを有する光半導体装置として構成し,及び,第四の構成は,第三の構成の光半導体装置において,該薄膜の劈開面4aからなる光学的平面を有することを特徴として構成する。
【0013】…(略)…
【0014】本発明の第二の構成に係るGaN堆積ウエーハは,第一の構成に係るAlN基板の主面を(0001)面又は(1120)面に垂直な面とし,この主面上にGaN系薄膜が堆積されている。かかる構成のウエーハでは,上記の第一の構成による効果の他,次に説明するように劈開によるウエーハの分割が容易になる。
【0015】図1は,AlN結晶の劈開面を表す図であり,AlN単結晶の主要な劈開面を表している。図1(a)を参照して,AlNの最も容易に劈開する劈開面4aは(1100)面であり,この劈開面4aはC軸,即ち<0001>方位に平行な六角柱の柱面をなす。AlNの他の劈開面4bは,図1(b)を参照して,(1120)面であり,C軸に平行しかつ(1100)面に垂直である。また,(1120)面に垂直な(1100)面が存在する。従って,(0001)面又は(1120)面に垂直な面を主面とする本構成のウエーハでは,主面に垂直方向に劈開することができるので,ウエーハを劈開により容易に分割することができる。なお,基板上に堆積する層の劈開方向は基板の劈開方向に一致するので,劈開による分割の妨げとはならない。
【0016】本発明の第三の構成に係る光半導体装置では,(0001)面又は(1120)面を主面とするAlN単結晶基板上に堆積されたGaN薄膜を有する。かかる主面を有するAlN単結晶基板は,主面に垂直な劈開面を有する。従って,基板を主面に垂直な劈開面で劈開して方形のチップに分割することができるから,チップの製造が容易である。また,かかる劈開面は平坦であるから優れた光学面として利用することができる。さらに,AlN基板の化学研磨により良質のGaN薄膜を堆積できる。このため本構成の光半導体装置は,素子特性のばらつきが小さい。
【0017】本発明の第四の構成では,第三の構成に係る光半導体装置の劈開面を光学的平面とする面,例えば光の入出射用窓又は光共振器の反射面とした面を有する。この光学的平面は劈開面で形成されるから,製作が容易でかつ平坦な光学面となる。従って,優れた光部品,例えば光共振器が形成されるから,光半導体装置の素子特性のばらつきが少ない。」

エ 「【0018】
【発明の実施の形態】本発明を,半導体レーザに適用した実施例を参照して説明する。本発明の第一実施形態は,AlN単結晶基板上にGaN系薄膜が堆積されたGaNウエーハに関する。
【0019】図2を参照して,AlN単結晶からなるAlN基板1の(0001)面からなる主面を,機械的研磨により平坦面とする。…(略)…
【0021】…(略)…なお,本実施形態に係るGaN堆積ウエーハは,ウエーハ表面に垂直な(1100)面又は(1120)面で劈開することができる。
【0022】上述した本発明の第一実施形態において,(0001)を主面とするAlN基板に代えて,(1120)面を主面とすることもできる。この場合にも主面に垂直な劈開面が存在するため,ウエーハの分割又は加工が容易である。
【0023】なお,第一実施形態では主面を(0001)としたが,ウエーハの劈開が問題とされない用途では他の結晶面を主面とすることもでき,この場合にも結晶性が優れたGaN系薄膜が堆積されたGaN堆積ウエーハが製造される。
【0024】本発明の第二実施形態は,劈開面を光学的平面として利用する光半導体装置に関し,光共振器の反射面を劈開面とする半導体レーザに関する。本実施形態では,図2を参照して,主面を(0001)とするAlN基板1上に,N型導電層8,発光層9,及びP型導電層5を積層してなるGaN系薄膜2を堆積して製造されたGaN堆積ウエーハ3を用いる。先ず,GaN系薄膜2のP型導電層5上に,<1100>方向に延在ずるストライプ電極6を形成する。次いで,GaN堆積ウエーハ3の表面に<1100>方向のダイシングライン11の溝を形成し,この溝に沿って(1120)劈開面を利用してGaN堆積ウエーハ3を薄板条状に分割する。次いで,ダイシングライン11に垂直な(1100)劈開面に沿って劈開し,図3を参照して,この劈開面4aを反射面とするストライプ半導体レーザを製造する。次いで,AlN基板1の裏面に裏面電極7を形成し,半導体レーザを製造する。 かかる半導体レーザは,劈開面を光学的面とするから製造後の素子特性のばらつきが小さい。」


【図1】


【図3】


(4)引用例3:特開平10-93198号公報
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先日前に日本国内において頒布された刊行物である特開平10-93198号公報(以下「引用例3」という。)には、「窒化ガリウム系化合物半導体レーザ及びその製造方法」(発明の名称)に関して、図1、10とともに以下の記載がある。

ア 「【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細を図示の実施形態によって説明する。
(第1の実施形態)図1は、本発明の第1の実施形態に係わる窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図である。
【0020】サファイア基板101上に、GaNバッファ層102を介してn型GaNコンタクト層103が形成されている。コンタクト層103上には、n型AlGaNクラッド層104,n型GaNガイド層105,多重量子井戸構造(MQW)の活性層106,p型GaNガイド層107,p型AlGaNクラッド層108からなるメサ型構造が形成され、このメサ型構造の両側には活性層106よりも屈折率の小さい高抵抗GaN電流ブロック層110が埋め込み形成されている。ここで、MQW活性層106は、障壁層としてIn組成5%のInGaN、井戸層としてIn組成15%のInGaNを用いている。そして、メサ型構造及び電流ブロック層110上には、p型GaNコンタクト層109が形成されている。
【0021】また、電流ブロック層110はコンタクト層103上の全面に形成されるのではなく、コンタクト層103の一部が露出するように形成されている。そして、コンタクト層103の露出部上には、n側電極111が形成されている。さらに、p型GaNコンタクト層109上にはp側電極112が形成されている。
【0022】なお、メサ型構造は紙面表裏方向にストライプ状となっており、ストライプ幅は0.5?3μm、ストライプ方向の長さ500μmとした。また、メサ型構造及び電流ブロック層のストライプと直交する方向の長さは200μm、n型GaNコンタクト層103の露出部分のストライプと直交する方向の長さは200μmとした。
【0023】製造工程としては、周知の有機金属気相成長法(MOCVD法)を用い、サファイア基板101上に厚さ50nmのGaNバッファ層102を成長し、その上に厚さ4μmのn型GaNコンタクト層103,厚さ1μmのn型AlGaNクラッド層104,厚さ0.5μmのn型GaNガイド層105,厚さ0.3μmのMQW活性層106,厚さ0.5μmのp型GaNガイド層107,厚さ1μmのp型AlGaNクラッド層108までを順次成長形成する。
【0024】次いで、上記の積層膜をn型GaNコンタクト層103が露出するまでメサ状に選択エッチングし、メサ型構造を形成する。エッチングの方法としては、マスク材にSiO_(2 )を用い、塩素ガスなどを用いたドライエッチング法や、300℃程度に昇温したNaOH溶液中に浸漬することによるウェットエッチングなどを用いるのが望ましい。ここで、メサ型構造の下地となるGaN層103の表面は(0001)面であり、メサの側面は(11'00)面又は(112'0)面となっている。但し、x'はxの反転記号を意味している。
【0025】このようにして作成されたメサ型構造について、メサ部を保護し、高抵抗GaNブロック層110を選択成長させる。高抵抗GaN層110の作成は、亜鉛を添加することによって行うことができる。p型AlGaNクラッド層108と高抵抗GaN層110とをほぼ同一平面内になるように調整した後、厚さ0.3μmのp型GaNコンタクト層109を成長する。このコンタクト層109には、横方向に電流を広げるために不純物が高濃度(1×10^(19)cm^(-3)程度)にドープされている。」

イ 「【0066】(第5の実施形態)図10は、本発明の第5の実施形態に係わる窒化ガリウム系化合物半導体レーザの素子構造を示す断面図である。基本構造は図1に示した第1の実施形態と同じである。
【0067】図中301はサファイア基板であり、この基板301上にGaNバッファ層302,n型GaNコンタクト層303,n型AlGaNクラッド層304,n型GaN導波層305,InGaNからなるMQW活性層306,p型GaN導波層307,p型AlGaNクラッド層308,AlGaN電流ブロック層310,p型GaNコンタクト層309が形成されている。これらの結晶成長は、MOCVD法或いはMBE法によって行われる。
【0068】p型AlGaNクラッド層308からn型AlGaNクラッド層304まではメサ部を除いてエッチング除去され、この両側に高抵抗のAlGaN電流ブロック層310が形成される。p型GaNコンタクト層309からn型GaNコンタクト層303までが部分的に除去され、n型GaNコンタクト層303上にはn側電極311、p型GaNコンタクト層309上にはp側電極312が形成される。
【0069】このレーザの活性層部は、In_(c )Ga_(1-c )N井戸層/In_(d )Ga_(1-d )N障壁層(c>d)からなる多重量子井戸、及びGaN導波層を設けたSCH構造となっている。
【0070】具体的な組成及び各層の膜厚の例を示すと、多重量子井戸はIn0.2 Ga0.8N井戸層(2nm)/In_(0.05)Ga_(0.95)N障壁層(4nm)の5対からなり、GaN導波層の厚さはそれぞれ0.1μmである。また、両クラッド層は、n型Ga_(0.85)Al_(0.15)N(0.3μm)、p型Ga_(0.85)Al_(0.15)N(0.3μm)からなる。
【0071】ここで重要なのは、安定な基本横モード発振を得るためのメサ幅と活性層部/埋込み層の屈折率差ΔNである。活性層部の構造が決まれば、ΔNは埋込み層の組成で決まる。本実施形態の例では、埋込み層をGa_(0.94)Al_(0.06)Nとし、ストライプ幅を1μmとした。」

3 対比
本願発明と引用発明とを対比する。

ア 引用発明の「窒化物系化合物半導体レーザ」、「活性層部16」、「p-Al_(0.15)Ga_(0.85)Nクラッド層17」、及び「p-GaN再成長用キャップ層18」は、それぞれ本願発明の「窒化物光放出ダイオード構造」、「活性領域」、「上側クラッド層」、及び「キャップ層」に相当する。

イ 引用発明の「第1のメサ」は「上面及び側面を有し、ドライエッチング技術を用いて形成された」ものであるから、「上面及びエッチングされた側面を有する」ものであるといえる。また、引用発明の「第1のメサ」と本願発明の「リッジ構造」とは、いずれも凸状構造である。
したがって、本願発明と引用発明とは、「上面及びエッチングされた側面を有する凸状構造」を備える点で一致するものであるといえる。
さらにまた、引用発明の「p-Al_(0.07)Ga_(0.93)N層24」は、「『第1のメサの埋め込みを行う』層」であるから、「第1のメサを囲む埋め込み層」であるといえる。
したがって、本願発明と引用発明とは、「凸状構造を囲む埋め込み層」を備える点で一致する。

以上をまとめると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は次のとおりである。
<一致点>
「窒化物光放出ダイオード構造であって、
上面及びエッチングされた側面を有する凸状構造と、
活性領域と、
前記活性領域上の上側クラッド層と、
前記凸状構造中でありかつ前記上側クラッド層上のキャップ層と、
前記凸状構造を囲む埋め込み層と、
を備える、
窒化物光放出ダイオード構造。」

<相違点1>
リッジ構造について、本願発明では、「上面及びエッチングされた側面を有するリッジ構造(111)であって、当該リッジ構造(111)は、1?5ミクロンの幅を有する」のに対し、引用発明では、「第1の導波構造における第1のメサの幅、即ち残した活性層16の幅は1.5μmである」ものの、「第1のメサ」が、「リッジ構造」であるとの特定はなされていない点。

<相違点2>
キャップ層について、本願発明は、「<1100>面を有する六角形の結晶を有」するのに対し、引用発明では、「p-GaN再成長用キャップ層18」について、そのような特定はなされていない点。
<相違点3>
リッジ構造について、本願発明は、「前記リッジ構造(111)の長さ方向の軸は、前記キャップ層(185)の前記結晶の前記<1100>面に垂直な方向に配向された」ものであるのに対し、引用発明では、「第1のメサ」について、そのような特定はなされていない点。

4 相違点についての当審の判断
(1)相違点1について
引用発明の窒化物系化合物半導体レーザは、「メサ幅を極端に狭くすることなく特性の優れた横モード制御を実現することができ」る半導体レーザであり、引用発明は、「第1の導波構造における第1のメサの幅、即ち残した活性層16の幅」を発明特定事項とし、かつ、引用発明において、「レーザミラーはへき開により形成して」いるので、上記「2(1)引用例1」の「ウ」の段落【0023】の「第1のメサと埋め込みコンタクト層19で第1の導波構造が形成され」との記載も勘案すると、引用発明の窒化物系化合物半導体レーザは、「第1のメサ」を導波構造の一部とし、「第1のメサの幅」の方向と直交する方向(図4に示される断面に垂直な方向)を共振方向とする、端面発光レーザであることは当業者には明らかである。
したがって、引用発明の「第1のメサ」は、実質的には「リッジ構造」(尾根構造)であるといえ、引用発明においても、本願発明の「上面及びエッチングされた側面を有するリッジ構造(111)」を備えるという構成を実質的に備えているといえる。
また、仮に、引用発明において、本願発明の「上面及びエッチングされた側面を有するリッジ構造(111)」を備えるという構成を実質的に備えているといえないとしても、リッジ構造の半導体レーザは、文献を示すまでもなく、一般によく知られた構成であるから、引用発明において、第1のメサをリッジ構造とすることは、当業者であれば格別困難なことではない。

よって、引用発明において、相違点1に係る本願発明の構成を採用することは、当業者が容易になし得たことである。

(2)相違点2について
ア 本願の明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本願明細書等」という。)において、本願発明の「前記キャップ層(185)は、<1100>面を有する六角形の結晶を有し」、または「リッジ構造」の結晶構造に関連して、以下のように記載されている。
「【0011】
…(略)…層185はオーミック接触を容易にするためのキャップ層として働く。一般的にGaN:Mgであるキャップ層185の上に、埋め込み層155が配置され、埋め込み層155には、p型電極190をGaN:Mg層185と接触させるとともにn型電極195をGaN:Si層115と接触させるためのウィンドウが貫通している。」
「【0023】
…(略)…フォトレジストのストライプは、GaN層185の<1100>結晶方向に沿って揃うように、リソグラフィーでパターン形成される。次に、このストライプをエッチングし、一般的に1から5μmの幅を有するリッジ構造111を作る。リッジ構造111は、層185、125、145を通って短周期超格子n型クラッド構造121に至るCAIBEエッチングによって形成される。エッチングの前のフォトレジストストライプの配向によって、リッジ構造111の長さ方向の軸が{1100}平面の組に対して垂直に配向され、<1100>結晶方向に沿って揃っていることに注目されたい。この向きは表面のピッチング(点食)を低減することがわかっている。」
「【0028】
自己整合インデックスガイド型埋め込みヘテロ構造AlGaInNレーザダイオード構造300(図3参照)及び500(図5参照)のプロセシングは、レーザダイオード構造100及び200のプロセシングと類似している。自己整合インデックスガイド型埋め込みヘテロ構造AlGaInNレーザダイオード構造300及び500の主な違いは、蒸着されたp型ドープ層325及び525が、p型クラッド層及び埋め込み層の両方として働くことである。レーザダイオード300及び500の自己整合構造に起因して、個々の埋め込み層325及び525を貫通するエッチングもない。表面のピッチングを低減するために、リッジ構造311(図3参照)及びリッジ構造511(図5参照)の両方の長さ方向の軸が<1100>結晶方向に沿って揃うようにプロセシングが行われることに注目されたい。」

その他、本願明細書等全般を精査しても、「キャップ層」または「リッジ構造」の結晶構造に関連して、上記以外に、「<1100>面」または「六角形の結晶」との記載は見出せない。

イ 引用発明において、「p-GaN再成長用キャップ層18」は、「『GaN』キャップ層」であり、また、半導体レーザに用いられる「GaN」は、ウルツ鉱型結晶構造、すなわち、六角形のc面((0001)面)を底面とし、m面({1100}面)からなる6つの側面を有する結晶構造であることは技術常識である。

ウ 上記のように、引用発明の「p-GaN再成長用キャップ層18」は、本願の明細書の上記段落【0011】に記載の「キャップ層185」と同じようにGaNキャップ層であること、及び上記技術常識を勘案すると、本願発明と同様に、「<1100>面を有する六角形の結晶」を有するものであるといえる。

エ 念のため、本願発明の「前記キャップ層(185)は、<1100>面を有する六角形の結晶を有し」について、さらに検討する。
本願発明における「前記キャップ層(185)は、<1100>面を有する六角形の結晶を有」することについて、審判請求人は、平成26年9月16日に提出された意見書において、次のように説明している。
「1.理由2
「<1100>面を有する六角形の結晶」
(1) 明細書段落0023(審決注:「段落0021」は誤記と認定した。以下同様。)における「GaN層185の<1100>結晶」及び「{1100}平面」に基づきます。
ここで、記号<1100>が割り当てられるものは、六角形の結晶の側面の内のm面であることは本願発明の属する技術分野では一般的であるので、上記明細書段落0023には、「<1100>面を有する六角形の結晶」が開示されています。
(2)上記補正により、キャップ層(185)は、<1100>面を有する六角形の結晶を有することが明確になりました。」

さらに、審判請求人は、平成27年8月10日に提出された「手続補正書(方式)」において、次のように説明している。
「次に、<1100>面について説明する。
<1100>面は、以下の参考図1(Fig.3)に示されているように、1つの六角形の結晶の6つのm-平面(垂直側面)(91)?(96)の内の1つを意味する。(1つの六角形の結晶は、1つの結晶を形成するようにエピタキシャルを介して共に積み重なる多くのクリスタルユニットの1つである。)」

したがって、「意見書」及び上記「手続補正書(方式)」における審判請求人の説明を勘案したとしても、引用発明の「p-GaN再成長用キャップ層18」は、「GaN層」であるから、本願発明と同様に、「<1100>面を有する六角形の結晶」を有するものであるといえる。

オ 以上のとおりであるから、相違点2は、実質的なものではない。

(3)相違点3について
ア 上記「(2)相違点2について」の「エ」で検討したように、審判請求人は、上記「手続補正書(方式)」において、<1100>面は、「六角形の結晶」の「6つのm-平面」の内の1つを意味する旨説明している。
当該説明から、本願発明の「前記リッジ構造(111)の長さ方向の軸は、『前記キャップ層(185)の前記結晶の前記<1100>面に垂直な方向』に配向された」における「前記キャップ層(185)の前記結晶の前記<1100>面に垂直な方向」は、「m面({1100}面)に垂直な方向」のことであると認められる。

イ 一方、引用発明の窒化物系化合物半導体レーザは、「サファイア基板11上に形成され、サファイア基板11には(0001)c面を用いており、レーザミラーはへき開により形成している」ものである。
ここにおいて、「サファイア基板11には(0001)c面を用いて」いるものの、「へき開により形成」した「レーザミラー」面に垂直な方向は不明である。
ところで、一般に、劈開面をレーザミラーとする端面発光半導体レーザは、レーザミラーを、活性層部(発光層)の延在方向に垂直な端面を少なくとも含む面に形成することが技術常識であり、かつ、引用発明において、活性層部が含む井戸層及びバリヤ層は、GaN系化合物半導体から構成されていることから、引用例1には、レーザミラーは、GaN系化合物半導体がへき開されることにより形成されたものであることが示唆されているといえる。

ウ 次に、引用例2及び引用例3に記載された事項について検討する。
上記「2(3)引用例2」の「ウ」、「エ」に記載した内容を参照すると、引用例2には、AlN基板1上にGaN系薄膜2を堆積してなるGaN堆積ウエーハ3を用い、<1100>方向に延在するストライプ電極6を形成し、(1100)劈開面に沿って劈開し、この劈開面4aを反射面とするストライプ半導体レーザが開示されている。
したがって、引用例2には、劈開面をレーザミラーとする端面発光半導体レーザであって、レーザミラーに垂直な方向、すなわち、ストライプの方向が、<1100>方向であるストライプ半導体レーザが開示されているといえる。

上記「2(4)引用例3」の「ア」、「イ」に記載した内容及び引用例3の図10を参照すると、引用例3に記載の第5の実施形態の窒化ガリウム系化合物半導体レーザでは、段落【0067】の記載から、「メサ型構造」は窒化ガリウム系化合物半導体からなることが明らかであるとともに、第1の実施形態の記載を勘案すると、引用例3には、第5の実施形態として、メサ型構造の下地となるGaN層303の表面は(0001)面であり、メサの側面は(112'0)面となっており、p型AlGaNクラッド層308からn型AlGaNクラッド層304まではメサ部を除いてエッチング除去され、この両側に高抵抗のAlGaN電流ブロック層310が形成される窒化ガリウム系化合物半導体レーザが開示されているといえる。
ここで、半導体レーザに用いられる「窒化ガリウム系化合物半導体」は、ウルツ鉱型結晶構造であること、及び、第5の実施形態のように、メサの側面が(112'0)面である場合、半導体レーザのストライプの方向は、<1100>方向であることは技術常識である(必要であれば、引用例2の図1(b)を参照のこと。)。
したがって、引用例3には、端面発光半導体レーザであって、レーザミラーに垂直な方向、すなわち、ストライプの方向が、<1100>方向であり、かつ、メサ型構造をエッチングによって形成したストライプ半導体レーザが開示されているといえる。

エ 上記「イ」で検討したように、引用例1には、レーザミラーは、GaN系化合物半導体がへき開されることにより形成されたものであることが示唆されているといえ、かつ、上記「ウ」における検討を勘案すると、引用例2には、GaN系薄膜2の(1100)劈開面4aをレーザミラーとし、この(1100)面に垂直な方向である<1100>方向をストライプの方向とするストライプ半導体レーザが開示されているといえ、引用例3には、端面発光半導体レーザであって、レーザミラーに垂直な方向、すなわち、ストライプの方向が、<1100>方向であり、かつ、メサ型構造をエッチングによって形成したストライプ半導体レーザが開示されているといえるから、引用発明において、引用例1、引用例2、及び引用例3に記載された技術に基づき、「『へき開により形成』した『レーザミラー』面」として、へき開面である(1100)面を選択すること、すなわち、レーザミラーに垂直な方向として、<1100>方向を選択することは、当業者であれば適宜なし得たことである。
したがって、引用発明において、引用例1、引用例2、及び引用例3に記載された技術に基づき、「第1のメサの長さ方向の軸」が配向された方向として、m面({1100}面)に垂直な方向を選択することは、当業者が適宜なし得たことである。
よって、引用発明において、引用例1、引用例2、及び引用例3に記載された技術に基づき、相違点3に係る本願発明の構成を採用することは、当業者が容易になし得たことである。

また、本願発明が奏する作用効果について、本願の明細書の段落【0023】、【0028】(上記「(2)相違点2について」の「ア」を参照のこと。)には、表面のピッチングを低減するために、リッジ構造の長さ方向の軸が<1100>結晶方向に沿って揃うようにプロセシングが行われる旨が記載されているものの、引用例3に記載の半導体レーザは、メサ型構造をエッチングによって形成し、かつストライプの方向が<1100>方向であるものであるから、本願発明が奏する作用効果についても、引用発明、並びに、引用例1、引用例2、及び引用例3に記載の技術から当業者が予測できる範囲のものであり、格別顕著なものとは認められない。

(4)判断についてのまとめ
以上検討したとおり、引用発明において、相違点1に係る本願発明の構成を採用することは、当業者が容易になし得たことであり、相違点2は、実質的なものではなく、また、引用発明において、引用例1、引用例2、及び引用例3に記載された技術に基づき、相違点3に係る本願発明の構成を採用することは、当業者が容易になし得たことである。
したがって、本願発明は、引用発明並びに引用例1、引用例2、及び引用例3に記載された技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

5 むすび
以上のとおりであるから、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-10-29 
結審通知日 2015-11-04 
審決日 2015-11-18 
出願番号 特願2012-22808(P2012-22808)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01S)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 古田 敦浩  
特許庁審判長 恩田 春香
特許庁審判官 近藤 幸浩
▲高▼ 芳徳
発明の名称 インデックスガイド型埋め込みヘテロ構造窒化物レーザダイオード構造  
代理人 西元 勝一  
代理人 加藤 和詳  
代理人 中島 淳  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ