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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1313006 |
審判番号 | 不服2014-24120 |
総通号数 | 197 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-05-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-11-27 |
確定日 | 2016-03-31 |
事件の表示 | 特願2011-112072号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成24年12月10日出願公開、特開2012-239618号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成23年5月19日の出願であって、平成25年7月31日付けで手続補正がなされたが、平成26年1月24日付けで拒絶理由通知がなされ、これに対し平成26年3月28日付けで手続補正がなされたが、平成26年8月21日付けで補正の却下の決定がなされるとともに拒絶査定がなされ、これに対して、平成26年11月27日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。 第2 本件補正についての補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1.本件補正の概要 平成26年3月28日付けの手続補正は既に補正却下の決定がなされている。そして、本件補正は特許請求の範囲の請求項1の記載を含む補正であり、平成25年7月31日付けの手続補正と本件補正の特許請求の範囲の請求項1の記載はそれぞれ、以下のとおりである(下線部は補正箇所を示す。)。 (補正前:平成25年7月31日付け手続補正) 「【請求項1】 各々を識別可能な複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示手段を備え、該可変表示手段において導出表示された識別情報の組み合わせがあらかじめ定められた特定表示結果となったときに遊技者に有利な特定遊技状態とする遊技機であって、 前記特定遊技状態とするか否かを前記可変表示手段に表示結果が導出表示される前に決定する事前決定手段と、 前記事前決定手段の決定結果にもとづいて、複数種類の可変表示パターンから1の可変表示パターンを決定する可変表示パターン決定手段と、 前記可変表示パターン決定手段により決定された可変表示パターンにもとづいて、識別情報の可変表示を実行する可変表示制御手段とを備え、 前記可変表示パターン決定手段は、 可変表示パターンとして、識別情報の可変表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまでに一旦複数種類の特殊表示態様のうちいずれかで仮停止表示させた後に可変表示を再度実行する再可変表示を所定回実行する再可変表示パターンを決定可能であるとともに、 前記事前決定手段によって前記特定遊技状態とすると決定されている場合には、前記事前決定手段によって前記特定遊技状態としないと決定されている場合と比較して、再可変表示回数が多い再可変表示パターンを高い割合で決定し、 前記可変表示制御手段は、 前記可変表示パターン決定手段により再可変表示パターン以外の可変表示パターンが決定された場合には、第1の演出態様で識別情報の可変表示を実行し、 前記可変表示パターン決定手段により再可変表示パターンが決定され、複数種類の特殊表示態様のうち特定の特殊表示態様で仮停止表示される場合には、前記第1の演出態様で識別情報の可変表示を開始し、特定の特殊表示態様で仮停止表示された後に前記第1の演出態様とは異なる第2の演出態様で識別情報の可変表示を実行する ことを特徴とする遊技機。」 (補正後:本件補正である平成26年11月27日付け手続補正) 「【請求項1】 各々を識別可能な複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示手段を備え、該可変表示手段において導出表示された表示結果があらかじめ定められた特定表示結果となったときに遊技者に有利な特定遊技状態とする遊技機であって、 前記特定遊技状態とするか否かを前記可変表示手段に表示結果が導出表示される前に決定する事前決定手段と、 前記事前決定手段の決定結果にもとづいて、複数種類の可変表示パターンから1の可変表示パターンを決定する可変表示パターン決定手段と、 前記可変表示パターン決定手段により決定された可変表示パターンにもとづいて、識別情報の可変表示を実行する可変表示制御手段とを備え、 前記可変表示パターン決定手段は、 可変表示パターンとして、識別情報の可変表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまでに一旦複数種類の特殊表示態様のうちいずれかで仮停止表示させた後に可変表示を再度実行する再可変表示を所定回実行する再可変表示パターンを決定可能であるとともに、 前記事前決定手段によって前記特定遊技状態とすると決定されている場合には、前記事前決定手段によって前記特定遊技状態としないと決定されている場合と比較して、再可変表示回数が多い再可変表示パターンを高い割合で決定し、 前記可変表示制御手段は、 前記可変表示パターン決定手段により再可変表示パターン以外の可変表示パターンが決定された場合には、第1の演出態様で識別情報の可変表示を実行し、 前記可変表示パターン決定手段により再可変表示パターンが決定され、複数種類の特殊表示態様のうち特定の特殊表示態様で仮停止表示される場合には、前記第1の演出態様で識別情報の可変表示を開始し、特定の特殊表示態様で仮停止表示された後に前記第1の演出態様とは異なる第2の演出態様で識別情報の可変表示を実行するとともに、仮停止表示した特定の特殊表示態様の種類に対応した前記第2の演出態様で識別情報の可変表示を実行可能である ことを特徴とする遊技機。」 2.補正の適否 審判請求時の補正によって、請求項1の記載は、上記1.の下線部のように補正された。すなわち、補正後の請求項1は、補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「識別情報の組み合わせ」を「表示結果」と単に表現を変えるとともに、同発明特定事項である「第2の演出態様」について「とともに、仮停止表示した特定の特殊表示態様の種類に対応した前記第2の演出態様で識別情報の可変表示を実行可能である」という限定をするものである。 そして、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とする補正に該当する。 そして、本件補正は、新規事項を追加するものではない。 3.独立特許要件 そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か、すなわち、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか否か、について以下に検討する。 (1)本件補正後の請求項1に係る発明 補正後の請求項1に係る発明(以下、「本願補正発明」という。)は、上記1の補正の概要において示した次のとおりのものである(A?Hは本願補正発明を分説するため当審で付与した。)。 「A.各々を識別可能な複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示手段を備え、該可変表示手段において導出表示された表示結果があらかじめ定められた特定表示結果となったときに遊技者に有利な特定遊技状態とする遊技機であって、 B.前記特定遊技状態とするか否かを前記可変表示手段に表示結果が導出表示される前に決定する事前決定手段と、 C.前記事前決定手段の決定結果にもとづいて、複数種類の可変表示パターンから1の可変表示パターンを決定する可変表示パターン決定手段と、 D.前記可変表示パターン決定手段により決定された可変表示パターンにもとづいて、識別情報の可変表示を実行する可変表示制御手段とを備え、 E.前記可変表示パターン決定手段は、 可変表示パターンとして、識別情報の可変表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまでに一旦複数種類の特殊表示態様のうちいずれかで仮停止表示させた後に可変表示を再度実行する再可変表示を所定回実行する再可変表示パターンを決定可能であるとともに、 F.前記事前決定手段によって前記特定遊技状態とすると決定されている場合には、前記事前決定手段によって前記特定遊技状態としないと決定されている場合と比較して、再可変表示回数が多い再可変表示パターンを高い割合で決定し、 G.前記可変表示制御手段は、 前記可変表示パターン決定手段により再可変表示パターン以外の可変表示パターンが決定された場合には、第1の演出態様で識別情報の可変表示を実行し、 H.前記可変表示パターン決定手段により再可変表示パターンが決定され、複数種類の特殊表示態様のうち特定の特殊表示態様で仮停止表示される場合には、前記第1の演出態様で識別情報の可変表示を開始し、特定の特殊表示態様で仮停止表示された後に前記第1の演出態様とは異なる第2の演出態様で識別情報の可変表示を実行するとともに、仮停止表示した特定の特殊表示態様の種類に対応した前記第2の演出態様で識別情報の可変表示を実行可能であることを特徴とする遊技機。」 (2)刊行物に記載された事項 (2-1)刊行物1 原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願前に頒布された刊行物である「特開2010-178885号公報」(以下、「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。 (ア)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 複数種類の識別情報を可変表示する可変表示部を有する可変表示装置を備え、該可変表示装置における識別情報の表示結果があらかじめ定められた特定表示結果となったときに遊技状態を遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御する遊技機であって、 可変表示の開始条件が成立したことにもとづいて、識別情報の可変表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまでに一旦非特定表示結果となる停止識別情報を仮停止させた後に可変表示を再度実行する再可変表示を1回または複数回実行する再可変表示パターンを含むあらかじめ定められた複数種類の識別情報の可変表示パターンの中から1つの可変表示パターンを選択する可変表示パターン選択手段と、 前記可変表示パターン選択手段により可変表示パターンとして前記再可変表示パターンが選択されたことにもとづいて、仮停止させる識別情報を選択する仮停止識別情報選択手段と、 識別情報が再可変表示された後に、前記可変表示装置で所定の演出を実行する再可変表示時演出実行手段とを備え、 前記再可変表示時演出実行手段は、前記所定の演出として、演出態様が異なる複数種類の演出を実行可能であり、 前記仮停止識別情報選択手段は、前記仮停止させる識別情報として、前記所定の演出に対応した複数の特殊識別情報を選択可能であり、 前記再可変表示時演出実行手段は、前記仮停止識別情報選択手段により前記仮停止させる識別情報として前記複数の特殊識別情報が選択されたときに、該複数の特殊識別情報を異なるタイミングで仮停止させ、該特殊識別情報が仮停止された後の再可変表示において、前記所定の演出として、異なるタイミングで仮停止された前記特殊識別情報に対応する演出を各々異なるタイミングで実行する ことを特徴とする遊技機。 【請求項2】 仮停止識別情報選択手段は、遊技状態を特定遊技状態に制御する場合と特定遊技状態に制御しない場合とで、仮停止させる特殊識別情報の数の選択割合を異ならせる 請求項1記載の遊技機。・・・」 (イ)「【0113】 図8は、各乱数を示す説明図である。各乱数は、以下のように使用される。 (1)ランダムR:大当りとするか否か決定する(大当り判定用) (2)ランダム2(MR2):大当りの種類(確変大当たり、突然確変大当り(突確大当りまたは2ラウンド(2R)大当りともいう。)、通常大当り)を決定する(大当り種別判定用) (3)ランダム3(MR3):変動パターンの種類(種別)を決定する(変動パターン種別判定用) (4)ランダム4(MR4):変動パターン(変動時間)を決定する(変動パターン判定用) (5)ランダム5(MR5):普通図柄にもとづく当りを発生させるか否か決定する(普通図柄当り判定用) (6)ランダム6(MR6):ランダム5の初期値を決定する(ランダム5初期値決定用)」 (ウ)「【0117】 CPU56は、所定の時期に、乱数回路503のカウント値を抽出して抽出値を大当り判定用乱数(ランダムR)の値とするのであるが、大当り判定用乱数値が図9(A)に示すいずれかの大当り判定値に一致すると、特別図柄に関して大当り(確変大当り、通常大当りもしくは突確大当り)にすることに決定する。なお、図9(A)に示す「確率」は、大当りになる確率(割合)を示す。また、大当りにするか否か決定するということは、大当り遊技状態に移行させるか否か決定するということであるが、特別図柄表示器8における停止図柄を大当り図柄にするか否か決定するということでもある。 ・・・ 【0119】 図10(A),(B),(C)は、大当り用変動パターン種別判定テーブルを示す説明図である。大当り用変動パターン種別判定テーブルは、可変表示結果を大当り図柄にする旨の判定がなされたときに、大当り種別の判定結果に応じて、変動パターン種別を、変動パターン種別判定用乱数(ランダム3)にもとづいて複数種類のうちのいずれかに決定するために参照されるテーブルである。なお、この実施の形態では、遊技状態の相違に関わらず、大当りの種類に応じて、それぞれ1つの大当り用変動パターン種別判定テーブルが使用されるが、遊技状態(確変状態、時短状態を除く通常状態、時短状態)に応じて、異なる大当り用変動パターン種別判定テーブルを使用してもよい。 ・・・ 【0124】 図11(A),(B)は、ROM54に記憶されているはずれ時変動パターン種別判定テーブルを示す説明図である。はずれ時変動パターン種別判定テーブルは、可変表示結果を「はずれ」にする旨の判定がなされたときに、変動パターン種別を、変動パターン種別判定用乱数(ランダム3)にもとづいて複数種類のうちのいずれかに決定するために参照されるテーブルである。CPU56は、遊技状態が通常状態であるときには図11(A)に示すはずれ時変動パターン種別判定テーブルを使用し、確変状態または時短状態であるときには図11(B)に示すはずれ時変動パターン種別判定テーブルを使用する。なお、確変状態と時短状態とで別のはずれ時変動パターン種別判定テーブルを使用するようにしてもよい。 ・・・ 【0127】 図12および図13は、ROM54に記憶されている大当り変動パターン判定テーブルを示す説明図である。大当り変動パターン判定テーブルは、可変表示結果を「大当り」にする旨の判定がなされたときに、変動パターン種別の決定結果に応じて、変動パターン判定用乱数(ランダム4)にもとづいて、変動パターンを複数種類のうちのいずれかに決定するために参照されるテーブルである。大当り変動パターン判定テーブルには、変動パターン種別毎に、変動パターン判定用乱数(ランダム4)の値と比較される数値(判定値)であって、飾り図柄の可変表示結果が「大当り」である場合に対応した複数種類の変動パターンのいずれかに対応するデータ(判定値)が設定されている。なお、突然確変大当りにすることに決定されている場合には、図13に示す大当り変動パターン判定テーブルが使用され、それ以外の種類の大当りの場合には、図12に示す大当り変動パターン判定テーブルが使用される。 ・・・ 【0130】 図14(A),(B)は、ROM54に記憶されているはずれ変動パターン判定テーブルを示す説明図である。はずれ変動パターン判定テーブルは、可変表示結果を「はずれ」にする旨の判定がなされたときに、リーチ状態にするか否かと変動パターン種別の決定結果とに応じて、変動パターン判定用の乱数(ランダム4)にもとづいて、変動パターンを複数種類のうちのいずれかに決定するために参照されるテーブルである。」 (エ)「【0135】 図15?図17は、擬似連の変動パターンを説明するための説明図である。図15(A)は、擬似連A(または、B、CもしくはE)の変動パターンを説明するための説明図である。図15(A)に示すように、擬似連A(または、B、CもしくはE)の変動パターンでは、変動(可変表示)中における仮停止表示時に、特殊図柄としての図柄A(または、B、CもしくはE)が仮停止表示され、続く再変動において、図柄A(または、B、CもしくはE)に関連する演出が実行される。この実施の形態では、図柄A(または、B、C)に関連する演出は、図柄A(または、B、C)をキャラクタ画像とするリーチ演出である。また、図柄Eに関連する演出は、図柄Eをキャラクタ画像とする演出である。 ・・・ 【0139】 また、図柄Aが仮停止表示され、続く再変動中に、図柄Aに関連するリーチ演出が実行された後に、通常図柄によるリーチの組合せが仮停止表示され、続く再変動後に図柄Bが仮停止表示され、続く再変動中に、図柄Bに関連するリーチ演出が実行されるような演出態様を設けてもよい。具体的には、後述する演出制御用マイクロコンピュータ100による飾り図柄変動中処理(図44および図45参照)において、演出制御用CPU101は、第1仮停止時に実行されるステップS853の処理で、図柄Aを仮停止表示する制御を行う。次いで、ステップS855の処理で、図柄Aに関連する演出に対応するプロセステーブルを選択し、選択したプロセステーブルに設定されているプロセスデータに従って制御を実行することによってリーチ演出を実行し、その後、ステップS860の処理で設定した仮停止待ちタイマがタイムアウトしたら実行される第2仮停止時のステップS852の処理で、リーチの組合せの通常図柄(図40に示すステップS830の処理で決定されている。)を仮停止表示する制御を行う。この場合には、特殊図柄を仮停止表示しないので、ステップS853の処理を実行しない。その後、ステップS860の処理で設定した仮停止待ちタイマがタイムアウトしたら実行される第3仮停止時のステップS853の処理で、図柄Bを仮停止表示する制御を行う。次いで、ステップS855の処理で、図柄Bに関連する演出に対応するプロセステーブルを選択し、選択したプロセステーブルに設定されているプロセスデータに従って制御を実行することによってリーチ演出を実行する。」 (オ)「【0193】 また、CPU56は、保存領域からランダム3を読み出し(ステップS101)、ステップS92の処理またはステップS93の処理で選択した大当り時変動パターン種別判定テーブルまたははずれ時変動パターン種別判定テーブルにおける保留記憶数(保留記憶数カウンタの値)に応じた領域において、ランダム3の値と一致する値に対応した変動パターン種別を決定する(ステップS102)。 ・・・ 【0196】 そして、CPU56は、決定した変動パターンに対応する(変動パターンコマンド)を、演出制御用マイクロコンピュータ100に送信する制御を行う(ステップS106)。 【0211】 次に、演出制御手段の動作を説明する。図28は、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段としての演出制御用マイクロコンピュータ100(具体的には、演出制御用CPU101)が実行するメイン処理を示すフローチャートである。演出制御用CPU101は、電源が投入されると、メイン処理の実行を開始する。メイン処理では、まず、RAM領域のクリアや各種初期値の設定、また演出制御の起動間隔(例えば、2ms)を決めるためのタイマの初期設定等を行うための初期化処理を行う(ステップS701)。その後、演出制御用CPU101は、所定の乱数を生成するためのカウンタのカウンタ値を更新する乱数更新処理を実行する(ステップS702)。そして、タイマ割込フラグの監視(ステップS703)を行う。タイマ割込フラグがセットされていない場合には、ステップS702に移行する。なお、タイマ割込が発生すると、演出制御用CPU101は、タイマ割込処理においてタイマ割込フラグをセットする。タイマ割込フラグがセットされていたら、演出制御用CPU101は、そのフラグをクリアし(ステップS704)、ステップS705?S706の演出制御処理を実行する。」 (カ)【図12】及び【図14】は、大当り変動パターン判定テーブル及びはずれ変動パターン判定テーブルであり、非リーチ、ノーマルリーチ、スーパーリーチ、1回又は複数回の擬似連リーチ等の変動パターンが開示されている。そして、上記(エ)【0135】によれば、擬似連の変動パターンでは、特殊図柄としての図柄Aが仮停止表示後は「図柄Aをキャラクターとするリーチ演出」となるが、図柄Aが仮停止表示する前は、「図柄Aをキャラクターとするリーチ演出」でないことは明らかである。したがって、擬似連の変動パターン以外の変動パターンの時は上記の非リーチ、ノーマルリーチ、スーパーリーチにおいて、「図柄Aをキャラクターとするリーチ演出」でないことは明らかである。 (キ)上記(ウ)よりCPU56が大当たりか否かの判定をした後、判定結果に基づいて変動パターンが決定されることは明らかであり、CPUは可変表示結果の表示前に大当たりの判定をする判定手段といえる。そして、この判定手段の判定は、上記(ア)の可変表示の開始条件の成立に相当することは明らかである。 (ク)上記(エ)の演出制御用マイクロコンピュータ100は、上記(ア)の「可変表示パターン」に基づいて識別情報の可変表示を実行するものであり、上記(オ)の演出制御手段でもある。そして、この演出制御手段は、「再可変表示時演出実行手段」を含むことは明らかであり、また、上記(カ)の擬似連の変動パターン以外の変動パターンの時は、非リーチ、ノーマルリーチ、スーパーリーチにおいて識別情報の可変表示を実行するものである。 (ケ)上記(ア)の「可変表示の開始条件が成立したことにもとづいて、識別情報の可変表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまでに一旦非特定表示結果となる停止識別情報を仮停止させた後に可変表示を再度実行する再可変表示を1回または複数回実行する再可変表示パターンを含むあらかじめ定められた複数種類の識別情報の可変表示パターンの中から1つの可変表示パターンを選択する可変表示パターン選択手段」を言い換えると、「可変表示の開始条件が成立したことにもとづいて、あらかじめ定められた複数種類の識別情報の可変表示パターンの中から1つの可変表示パターンを選択する可変表示パターン選択手段」であって、「可変表示パターン選択手段は、可変表示パターンとして、識別情報の可変表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまでに一旦非特定表示結果となる停止識別情報を仮停止させた後に可変表示を再度実行する再可変表示を1回または複数回実行する再可変表示パターンを含む」といえる。そして、この停止識別情報は複数の特殊識別情報を含むことは明らかである。 (コ)上記(ア)における「複数の特殊識別情報」、「前記特殊識別情報に対応する演出」は、上記(エ)によれば、「図柄A、B、C等」と「図柄A、B、C等をキャラクタ画像とするリーチ演出」である。したがって、上記(ア)の「再可変表示時演出実行手段」について、上記(エ)の記載にしたがって書き改めると、「再可変表示時演出実行手段は仮停止させる識別情報として前記複数の特殊識別情報(図柄A、B、C等)から特定の特殊識別情報が選択されたときに、該特殊識別情報を仮停止させた後の再可変表示において、前記所定の演出として、仮停止された前記特殊識別情報に対応する演出(図柄A、B、C等をキャラクタ画像とするリーチ演出)を実行する」ものである。 (サ)上記(ア)の請求項2において「仮停止させる特殊識別情報の数」は「再可変表示回数」に対応した数であるから、(ア)における「遊技状態を特定遊技状態に制御する場合と特定遊技状態に制御しない場合とで、仮停止させる特殊識別情報の数の選択割合を異ならせる」は、「遊技状態を特定遊技状態に制御する場合と特定遊技状態に制御しない場合とで、再可変表示回数の選択割合を異ならせる」ということができる。 したがって、上記(ア)から(サ)の記載事項、認定事項を総合すると、上記刊行物1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている(a?hは引用発明を分説するため当審で付与した。)。 「a.複数種類の識別情報を可変表示する可変表示部を有する可変表示装置を備え、該可変表示装置における識別情報の表示結果があらかじめ定められた特定表示結果となったときに遊技状態を遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御する遊技機であって、 b.可変表示結果の表示前に大当たりの判定をする判定手段と、 c.可変表示の開始条件が成立(判定手段の判定)にもとづいて、あらかじめ定められた複数種類の識別情報の可変表示パターンの中から1つの可変表示パターンを選択する可変表示パターン選択手段と、 d.前記可変表示パターンに基づいて識別情報の可変表示を実行する演出制御手段を備え、 e.前記可変表示パターン選択手段は、可変表示パターンとして、識別情報の可変表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまでに一旦非特定表示結果となる複数の特殊識別情報を含む停止識別情報を仮停止させた後に可変表示を再度実行する再可変表示を1回または複数回実行する再可変表示パターンを含み、 f.遊技状態を特定遊技状態に制御する場合と特定遊技状態に制御しない場合とで、再可変表示回数の選択割合を異ならせ、 g.演出制御手段は、擬似連の変動パターン以外の変動パターンの時は、非リーチ、ノーマルリーチ、スーパーリーチにおいて、識別情報の可変表示を実行し、 h.演出制御手段は、再可変表示時演出実行手段を含み、再可変表示時演出実行手段は識別情報が仮停止された後、前記可変表示装置で所定の演出として、演出態様が異なる複数種類の演出を実行可能であり、 前記再可変表示時演出実行手段は、仮停止させる識別情報として前記複数の特殊識別情報(図柄A、B、C等)から特定の特殊識別情報が選択されたときに、該特殊識別情報を仮停止させた後の再可変表示において、前記所定の演出として、仮停止された前記特殊識別情報に対応する演出(図柄A、B、C等をキャラクタ画像とするリーチ演出)を実行する 遊技機。」 (2-2)刊行物2 原査定の拒絶の理由に引用された本願の出願前に頒布された刊行物である「特開2010-188087号公報」(以下、「刊行物2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。 (ア)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 複数種類の図柄を変動させてから図柄を確定停止表示するまでを1回とする図柄変動ゲームを表示する表示手段を備え、前記図柄変動ゲームにおいて予め定めた大当り表示結果が表示された場合には、遊技者に有利となる大当り遊技が生起され、前記図柄変動ゲーム中に前記大当り表示結果が表示されるか否かの可能性を示唆する予告演出を前記表示手段に表示可能な遊技機において、 前記予告演出は、1回の図柄変動ゲームにおいて図柄の変動開始から図柄の変動停止までを1回とする変動サイクルを1回実行する通常予告演出と、1回の図柄変動ゲームにおいて、少なくとも1回の図柄の変動開始から図柄の変動停止までを1回の変動サイクルとして演出を実行し、複数回の変動サイクルを連続して実行することで前記演出が複数回、連続して実行可能であって、前記演出の実行回数が多いほど前記大当り表示結果が表示されるか否かの可能性を示唆する大当り期待度が上昇する連続予告演出を含み、 前記図柄変動ゲームで前記連続予告演出を実行させるか否かを決定する実行決定手段と、 前記実行決定手段で前記連続予告を実行する決定がなされた場合に、前記連続予告演出の演出内容を決定し、該演出内容として少なくとも最後の変動サイクルにおける演出の展開を決定する一方で、前記連続予告演出を実行する決定がなされない場合に、前記通常予告演出の演出内容を決定する演出内容決定手段と、 前記演出内容決定手段によって決定された演出内容で、前記変動サイクルにおいて演出を実行させる演出実行制御手段と、を備え、・・・」 (イ)「【発明の詳細な説明】 【技術分野】 【0001】 本発明は、1回の図柄変動ゲームにおいて、図柄の変動開始から図柄の変動停止までを1回とする変動サイクルを複数回、連続して実行可能な遊技機に関するものである。」 (ウ)「【0068】 また、本実施形態では、図柄変動ゲームにて、リーチ演出が行われる場合、変動パターンにより特定される演出時間が長いほど大当り期待度(大当り信頼度)が高くなるように設定されている。すなわち、メインCPU30aは、大当り遊技の中でも15R系大当り遊技の付与を決定している場合、演出時間が短い変動パターンよりも長い変動パターンを決定し易くなっている。一方、メインCPU30aは、大当り判定の判定結果が否定であって、リーチ判定の判定結果が肯定の場合、演出時間が長い変動パターンよりも短い変動パターンを決定し易くなっている。したがって、メインCPU30aは、大当り遊技の中でも15R系大当り遊技の付与を決定する場合において、特定する演出内容(リーチ演出の種類など)を同じに設定している条件下で、擬似連回数を多く設定することで変動時間が長く設定されている擬似連回数の多い変動パターンをはずれリーチ演出を決定する場合よりも決定し易くなっている。また、メインCPU30aは、大当り遊技の中でも15R系大当り遊技の付与を決定する場合において、擬似連回数を同じに設定している条件下で、第3種リーチ演出の演出内容を特定する変動パターンをはずれリーチ演出を決定する場合よりも決定し易くなっている。 【0069】 したがって、本実施形態では、擬似連回数が多くなるほど、すなわち、演出内容を同じに設定している条件下で、擬似連なし(1回)<擬似連回数2回<3回<4回の順に大当り期待度が高まる。また、本実施形態では、演出時間が長くなるリーチ演出ほど、すなわち、擬似連回数を同じに設定している条件下で、第1種リーチ演出<第2種リーチ演出<第3種リーチ演出の順に大当り期待度が高まるようになっている。このため、遊技者は、図柄変動ゲームにおいて擬似連回数によって大当りに対する期待感を変化し得る。また、遊技者は、図柄変動ゲームにおいてリーチ演出の種類によって大当りに対する期待感を変化し得る。なお、擬似連回数と演出内容が異なる条件下における比較では、擬似連回数の少ない場合に大当り期待度が高くなるときや、演出時間が短い場合に大当り期待度が高くなっている場合もある。」 (3)対比 本願補正発明と引用発明とを対比する。 (a)引用発明の「複数種類の識別情報を可変表示する可変表示部を有する可変表示装置」は、本願補正発明の「各々を識別可能な複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示手段」に相当する。 (b)引用発明の「可変表示結果の表示前に大当たりの判定をする判定手段」は、本願補正発明の「前記特定遊技状態とするか否かを前記可変表示手段に表示結果が導出表示される前に決定する事前決定手段」に相当する。 (c)引用発明の「可変表示の開始条件が成立(判定手段の判定)にもとづいて、あらかじめ定められた複数種類の識別情報の可変表示パターンの中から1つの可変表示パターンを選択する可変表示パターン選択手段」は、本願補正発明の「前記事前決定手段の決定結果にもとづいて、複数種類の可変表示パターンから1の可変表示パターンを決定する可変表示パターン決定手段」に相当する。 (d)引用発明の「前記可変表示パターンに基づいて識別情報の可変表示を実行する演出制御手段」は、本願補正発明の「前記可変表示パターン決定手段により決定された可変表示パターンにもとづいて、識別情報の可変表示を実行する可変表示制御手段」に相当する。 (e)引用発明の「複数の特殊識別情報」は、仮停止の後に再可変表示を所定回行うから、本願発明の「複数種類の特殊表示態様」に相当する。したがって、引用発明の「前記可変表示パターン選択手段は、可変表示パターンとして、識別情報の可変表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまでに一旦非特定表示結果となる複数の特殊識別情報を含む停止識別情報を仮停止させた後に可変表示を再度実行する再可変表示を1回または複数回実行する再可変表示パターンを含み」は、本願補正発明の「前記記可変表示パターン決定手段は、可変表示パターンとして、識別情報の可変表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまでに一旦複数種類の特殊表示態様のうちいずれかで仮停止表示させた後に可変表示を再度実行する再可変表示を所定回実行する再可変表示パターンを決定可能である」に相当する。 (f)引用発明の「遊技状態を特定遊技状態に制御する場合と特定遊技状態に制御しない場合とで、再可変表示回数の選択割合を異ならせ」と、本願補正発明の「前記事前決定手段によって前記特定遊技状態とすると決定されている場合には、前記事前決定手段によって前記特定遊技状態としないと決定されている場合と比較して、再可変表示回数が多い再可変表示パターンを高い割合で決定し」は、前記事前決定手段によって前記特定遊技状態とすると決定されている場合には、前記事前決定手段によって前記特定遊技状態としないと決定されている場合と比較して、再可変表示回数が多い再可変表示パターンの選択割合を異ならせる点で共通している。 (g)引用発明の「演出制御手段は、疑似連の変動パターン以外の変動パターンの時は、非リーチ、ノーマルリーチ、スーパーリーチにおいて、識別情報の可変表示を実行し」は、本願補正発明の「前記可変表示制御手段は、前記可変表示パターン決定手段により再可変表示パターン以外の可変表示パターンが決定された場合には、第1の演出態様で識別情報の可変表示を実行し、」に相当する。 (h)引用発明において、複数の特殊識別情報(図柄A、B、C等)のうち特定の特殊識別情報(例えば、A)が選択されれば、仮停止した特殊識別情報に対応する演出(図柄Aをキャラクタ画像とするリーチ演出)が行われ、この「特定の特殊識別情報に対応する演出」は本願補正発明の「第1の演出態様とは異なる第2の演出態様」に相当する。 そして、引用発明において、可変表示パターン選択手段により可変表示パターンが選択されて、特定の特殊識別情報が仮停止するまでは、上記(g)における「第1の演出態様で識別情報の可変表示」が行われることは明らかである。 以上より、引用発明の「演出制御手段は、再可変表示時演出実行手段を含み、再可変表示時演出実行手段は識別情報が仮停止された後、前記可変表示装置で所定の演出として、演出態様が異なる複数種類の演出を実行可能であり、前記再可変表示時演出実行手段は、仮停止させる識別情報として前記複数の特殊識別情報(図柄A、B、C等)から特定の特殊識別情報が選択されたときに、該特殊識別情報を仮停止させた後の再可変表示において、前記所定の演出として、仮停止された前記特殊識別情報に対応する演出(図柄A、B、C等をキャラクタ画像とするリーチ演出)を実行する」は、 本願補正発明の「前記可変表示パターン決定手段により再可変表示パターンが決定され、複数種類の特殊表示態様のうち特定の特殊表示態様で仮停止表示される場合には、前記第1の演出態様で識別情報の可変表示を開始し、特定の特殊表示態様で仮停止表示された後に前記第1の演出態様とは異なる第2の演出態様で識別情報の可変表示を実行するとともに、仮停止表示した特定の特殊表示態様の種類に対応した前記第2の演出態様で識別情報の可変表示を実行可能である」に相当する。 そうすると、両者は、 「A.各々を識別可能な複数種類の識別情報を可変表示可能な可変表示手段を備え、該可変表示手段において導出表示された表示結果があらかじめ定められた特定表示結果となったときに遊技者に有利な特定遊技状態とする遊技機であって、 B.前記特定遊技状態とするか否かを前記可変表示手段に表示結果が導出表示される前に決定する事前決定手段と、 C.前記事前決定手段の決定結果にもとづいて、複数種類の可変表示パターンから1の可変表示パターンを決定する可変表示パターン決定手段と、 D.前記可変表示パターン決定手段により決定された可変表示パターンにもとづいて、識別情報の可変表示を実行する可変表示制御手段とを備え、 E.前記可変表示パターン決定手段は、 可変表示パターンとして、識別情報の可変表示が開始されてから表示結果が導出表示されるまでに一旦複数種類の特殊表示態様のうちいずれかで仮停止表示させた後に可変表示を再度実行する再可変表示を所定回実行する再可変表示パターンを決定可能であるとともに、 F’.前記事前決定手段によって前記特定遊技状態とすると決定されている場合には、前記事前決定手段によって前記特定遊技状態としないと決定されている場合と比較して、再可変表示回数が多い再可変表示パターンの選択割合を異ならせ、 G.前記可変表示制御手段は、 前記可変表示パターン決定手段により再可変表示パターン以外の可変表示パターンが決定された場合には、第1の演出態様で識別情報の可変表示を実行し、 H.前記可変表示パターン決定手段により再可変表示パターンが決定され、複数種類の特殊表示態様のうち特定の特殊表示態様で仮停止表示される場合には、前記第1の演出態様で識別情報の可変表示を開始し、特定の特殊表示態様で仮停止表示された後に前記第1の演出態様とは異なる第2の演出態様で識別情報の可変表示を実行するとともに、仮停止表示した特定の特殊表示態様の種類に対応した前記第2の演出態様で識別情報の可変表示を実行可能である遊技機。」 である点で一致しており、次の点で相違する。 (相違点) 前記事前決定手段によって前記特定遊技状態とすると決定されている場合に、前記事前決定手段によって前記特定遊技状態としないと決定されている場合と比較して、本願補正発明は「再可変表示回数が多い再可変表示パターンを高い割合で決定し」たのに対し、引用発明は、再可変表示回数が多い再可変表示パターンの選択割合を異ならせ」た点。 (4)判断 そこで、前記相違点について検討する。 上記(2-2)(ウ)の「大当り遊技の付与」の「決定」は、図柄変動ゲームの前に行われることは明らかである。そして、(2-2)(ア)、(ウ)には、大当り遊技の付与が決定されている場合、変動ゲームにおいて擬似連回数が多い変動パターンを決定し易くすることが記載されている。そして、「擬似連回数」は「再可変表示回数」であり、「大当り遊技の付与決定」をする手段は「事前決定手段」、ということができるから、表現を変えれば、刊行物2には、事前決定手段によって特定遊技状態とすると決定されている場合に、再可変表示回数が多い再可変表示パターンを高い割合で決定することが記載されているといえる。 そして、引用発明も刊行物2に記載されたものも共に、再可変表示を複数回実行し、遊技の興趣を高めた遊技機に関するものであるから、引用発明において、刊行物2に記載された事項に基づき、事前決定手段によって特定遊技状態とすると決定されている場合に、特定遊技状態としないと決定されている場合と比較して、再可変表示回数が多い再可変表示パターンを高い割合で決定するようにすること、すなわち前記相違点に係る本願補正発明の構成にすることは当業者が容易に想到できることである。 そして、本願補正発明の作用効果は引用発明、刊行物2に記載された事項からみて格別なものではない。 なお、請求人は平成27年2月19日付けの上申書において、次の主張をしている。 「これに対して、引用文献1(特開2010-178885号公報)では、例えば、段落[0135]に「続く再変動において図柄A・・・に関連する演出が実行される。・・・図柄A・・・に関連する演出は、図柄A・・・をキャラクタ画像とするリーチ演出である。」と記載されていることや、図18の記載を見れば分かるように、再変動自体の演出態様を変化させるものではなく、単に再変動中に実行されるリーチ演出の演出態様を仮停止された図柄に応じて異ならせているにすぎず、仮停止される図柄と再変動の演出態様とをリンクさせることができるものではありません。 以上のことから、たとえ引用文献1に記載された発明を適用したとしても、特殊表示態様と第2の演出態様とをリンクさせることによって、どのような特殊表示態様が仮停止表示されるかに注目させることができるという本願発明の構成に想到することはできないものと思料いたします。」 この主張について検討すると、上記(2-1)(エ)には、「仮停止表示時に、特殊図柄としての図柄A(または、B、CもしくはE)が仮停止表示され、続く再変動において、図柄A(または、B、CもしくはE)に関連する演出が実行される。この実施の形態では、図柄A(または、B、C)に関連する演出は、図柄A(または、B、C)をキャラクタ画像とするリーチ演出である。」と記載され、仮停止される図柄(例えば、図柄A)と再変動の演出態様(例えば、図柄Aをキャラクタ画像とするリーチ演出)とは関連した演出態様であり、リンクした演出であることは当業者からみて明らかなことである。なお、本願補正発明の第2の演出態様は実施例では、「山」や「海」を背景画面として可変表示が行われるものであるが、本願補正発明の発明特定事項では背景画面までは特定されていない。 よって、請求人の主張は採用できない。 したがって、本願補正発明は引用発明及び刊行物2に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明できたものであり、特許法第29条第2項の規定に基づいて特許出願の際独立して特許を受けることができない。 (5)むすび よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明 本件補正(平成26年11月27日付け手続補正)は、上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成25年7月31日付けの手続補正書により補正された、上記第2の1.で前述した特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである。 1.刊行物 原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1、2の記載事項は、上記第2の3.(2)に記載したとおりである。 2.対比・判断 本願発明は、本願補正発明の発明特定事項から、上記第2の1.の下線部の「とともに、仮停止表示した特定の特殊表示態様の種類に対応した前記第2の演出態様で識別情報の可変表示を実行可能である」という構成を省くとともに、「表示結果」を単に「識別情報の組み合わせ」という表現に変えたものである。 そうすると、本願発明の発明特定事項を実質的にすべて含み、さらに、他の発明特定事項を付加したものに相当する本願補正発明が、前記第2で検討したとおり、引用発明と刊行物2に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、本願発明も、同様に、引用発明と刊行物2に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明できたものである。 3.むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定に基づいて特許を受けることができないものである。 したがって、本願は拒絶すべきである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2016-01-20 |
結審通知日 | 2016-01-26 |
審決日 | 2016-02-16 |
出願番号 | 特願2011-112072(P2011-112072) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 藤脇 沙絵 |
特許庁審判長 |
長崎 洋一 |
特許庁審判官 |
本郷 徹 平城 俊雅 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 岩壁 冬樹 |
代理人 | 眞野 修二 |
代理人 | 塩川 誠人 |