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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09G |
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管理番号 | 1313504 |
審判番号 | 不服2014-25485 |
総通号数 | 198 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-06-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2014-12-12 |
確定日 | 2016-04-06 |
事件の表示 | 特願2012-279243「ディスプレイ装置および方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 7月18日出願公開、特開2013-140355〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成24年12月21日(パリ条約による優先権主張 2011年12月30日 韓国 2012年7月16日 韓国)に出願したものであって、平成25年11月21日付けの拒絶理由通知に対して平成26年2月26日付けで手続補正がなされたが、平成26年8月13日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成26年12月12日付けで拒絶査定不服審判が請求されたものである。 第2 本願発明 1 本願発明 本願の請求項1に係る発明は、(以下「本願発明」という。)は次のとおりである。 「第1メガネ装置を着用した第1ユーザおよび第2メガネ装置を着用した第2ユーザが異なるビデオコンテンツを同時視聴するデュアルビューモードで動作可能なディスプレイ装置において、 第1ビデオコンテンツおよび第2ビデオコンテンツを含む複数の異なるコンテンツを受信可能な複数の受信部と、 第1ビデオコンテンツおよび第2ビデオコンテンツを処理する信号処理部と、 第1ビデオコンテンツに対応する第1ビューと第2ビデオコンテンツに対応する第2ビューとをディスプレイするディスプレイパネルを含む出力部と、 オンスクリーンディスプレイ(OSD)表示命令が受信されると、前記第1および第2ビューのうち、OSD情報を表示するビューを決定し、決定されたビューに前記OSD情報を表示して、他のビューには前記OSD情報を非表示にするように前記出力部を制御する制御部と、 を含み、 前記第1ビューに対応するイメージが前記第1メガネ装置によって視聴可能であり、前記第2ビューに対応するイメージが前記第2メガネ装置によって視聴可能になるように、前記OSD情報が表示されるビューおよび前記OSD情報が非表示のビューが前記ディスプレイパネル上に表示され、 前記OSD情報は、 前記OSD表示命令を伝送したメガネ装置に対応するビューに表示される ディスプレイ装置。」 2 引用例及びその記載事項 (1)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開2006-184916号公報(平成18年7月13日公開、以下「引用例1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(なお、下線は当審で付した。)。 a「【0006】 本発明は、従来のマルチビュー表示装置における上記の欠点を解決する目的でなされたもので、表示パネル上に同時に表示される複数の映像に対して、個々に独立した画質調整を行うことが可能な表示装置を提供することを課題とする。」 b「【0014】 図2は、表示パネル1において同時に表示される2種類の画面11、12がどのようにユーザに観察されるかを示す図である。図示する様に、表示パネル1の左側から見るユーザには、画面11が観察され、右側から見るユーザには画面12が観察される。左側のユーザには画面12は観察されず、右側のユーザには画面11は観察されない。そのため、左側のユーザは、右側のユーザの視線を気にすることなく自身の好みの映像を見ることができ、右側のユーザは左側のユーザの視線を気にすることなく自身の好みの映像を見ることができる。 【0015】 図1において、2および3は第1および第2の外部映像ソースを示す。4は、表示パネル駆動部であり、第1、第2の外部映像ソース2、3から入力された映像信号のデータを処理して表示パネル1を駆動する信号を生成する。表示パネル駆動部4は、左側画面11のための画質調整回路41、右側画面12のための画質調整回路42および表示パネル駆動回路43を含んでいる。画質調整回路41は、第1の映像ソース2の画質を、例えばブライトネス、コントラスト、シャープネス等について調整する機能を有する。同様に、画質調整回路42は、第2の映像ソース3の画質を、ブライトネス、コントラスト、シャープネス等について調整する。調整後の信号は表示パネル駆動回路43に入力され、表示パネル1上で画面11、12を表示すべく信号処理される。 【0016】 上記図1に示す装置では、外部映像ソース2および3に対してそれぞれ画質調整回路41、42が設けられているので、異なるソース2、3からの映像信号に対して独立に画質調整が可能である。そのため、画面11、12において、個々に最適調整された画質を有する映像が表示され、ユーザは快適に映像を見ることができる。」 c「【0023】 図4は、画質調整しようとする画面11上に、ユーザの設定情報を表示させた場合のパネル画面を示している。今、表示パネル1の左側に位置するユーザが、自身が見ている画面をリモコン等を介して画質調整しようとする場合、左側画面11上にユーザの設定情報、即ちコントラスト50、ブライトネス50が表示される。これによって、ユーザは自身の設定の詳細を確認しながら画質調整を行うことができる。この表示は、設定を行うユーザが見ることができる画面11上にのみ表示され、他方の画面上には表示されないので、他画面を視聴中のユーザは画質設定中のユーザの行為に影響を受けず、自身の視聴を続けることができる。」 ア 上記a(段落【0006】)から、「表示パネル上に同時に表示される複数の映像に対して、個々に独立した画質調整を行うことが可能な表示装置」が記載されているということができる。 イ 上記b(段落【0014】)から、「表示パネルにおいて同時に表示される2種類の画面11、12について、表示パネルの左側から見るユーザには、画面11が観察され、右側から見るユーザには画面12が観察され、左側のユーザには画面12は観察されず、右側のユーザには画面11は観察されない」ことが記載されているということができる。 ウ 上記b(段落【0015】)から、「第1、第2の外部映像ソース2、3から入力された映像信号のデータを処理して表示パネル1を駆動する信号を生成し、 表示パネル駆動部4は、左側画面11のための画質調整回路41、右側画面12のための画質調整回路42および表示パネル駆動回路43を含み、 画質調整回路41は、第1の映像ソース2の画質を、例えばブライトネス、コントラスト、シャープネス等について調整する機能を有し、同様に、画質調整回路42は、第2の映像ソース3の画質を、ブライトネス、コントラスト、シャープネス等について調整し、 調整後の信号は表示パネル駆動回路43に入力され、表示パネル1上で画面11、12を表示すべく信号処理される」ことが記載されているということができる。 エ 上記c(段落【0023】)から、「左側に位置するユーザが、自身が見ている画面をリモコン等を介して画質調整しようとする場合、左側画面11上にユーザの設定情報、即ちコントラスト50、ブライトネス50が表示され、 この表示は、設定を行うユーザが見ることができる画面11上にのみ表示され、他方の画面上には表示されないので、他画面を視聴中のユーザは画質設定中のユーザの行為に影響を受けず、自身の視聴を続けることができる」ことが記載されているということができる。 したがって、上記引用例1に記載された事項、図面の記載、及び上記アないしエを総合すると、引用例1には、次の事項が記載されている(以下、引用発明という。)。 「表示パネル上に同時に表示される複数の映像に対して、個々に独立した画質調整を行うことが可能な表示装置であって、 表示パネルにおいて同時に表示される2種類の画面11、12について、表示パネルの左側から見るユーザには、画面11が観察され、右側から見るユーザには画面12が観察され、左側のユーザには画面12は観察されず、右側のユーザには画面11は観察されず、 第1、第2の外部映像ソース2、3から入力された映像信号のデータを処理して表示パネル1を駆動する信号を生成し、 表示パネル駆動部4は、左側画面11のための画質調整回路41、右側画面12のための画質調整回路42および表示パネル駆動回路43を含み、 画質調整回路41は、第1の映像ソース2の画質を、例えばブライトネス、コントラスト、シャープネス等について調整する機能を有し、同様に、画質調整回路42は、第2の映像ソース3の画質を、ブライトネス、コントラスト、シャープネス等について調整し、 調整後の信号は表示パネル駆動回路43に入力され、表示パネル1上で画面11、12を表示すべく信号処理され、 左側に位置するユーザが、自身が見ている画面をリモコン等を介して画質調整しようとする場合、左側画面11上にユーザの設定情報、即ちコントラスト50、ブライトネス50が表示され、 この表示は、設定を行うユーザが見ることができる画面11上にのみ表示され、他方の画面上には表示されないので、他画面を視聴中のユーザは画質設定中のユーザの行為に影響を受けず、自身の視聴を続けることができる、 表示装置。」 (2)原査定の拒絶の理由に引用され、本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開2011-118351号公報(平成23年6月16日公開、以下「引用例2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている(なお、下線は当審で付した。)。 「【0001】 本発明は、シャッタ式眼鏡を用いて複数人で映像視聴が可能な映像表示装置及びその制御方法に関する。」 「【0013】 映像時分割出力処理部104は、制御部A102の制御によりメモリ103から読み出した映像データを時分割処理して表示部105に出力する。複数人で映像を視聴できるように、映像データは表示する映像コンテンツの数に応じたフレームレートで時分割多重化された上で、表示部105に出力される。その際、制御部A102は、前記操作情報に基づいて表示すべき映像コンテンツの数を決定し、映像時分割出力処理部104に対して時分割表示のフレームレートを設定する。また制御部A102は、時分割多重化する映像コンテンツの表示順序も決定し、これを映像時分割出力処理部104に設定する。この設定により、時分割多重化する映像コンテンツの表示順序が変更される。 【0014】 表示部105は、映像時分割出力処理部104により生成された、時分割多重化処理の施された映像データを受けて、変更後のフレームレートに従ったリフレッシュレートで映像表示を行う。 受信部A106及び送信部A108は、後述するシャッタ式眼鏡200a乃至cとの間で赤外光による無線通信インターフェース部を構成している。送信部A108は、各シャッタ式眼鏡の受信部B201に対し、シャッタ駆動部203を制御するためのシャッタ制御信号と、音声信号を送信する。 【0015】 次に、シャッタ式眼鏡200aについて説明する。なおシャッタ式眼鏡200b、200cについてもシャッタ式眼鏡200aと同じ構成であるため、それらの説明は省略する。各シャッタ式眼鏡の動作は映像表示装置100の動作と連動して制御される。シャッタ式眼鏡200aは、時分割制御を実現するためのシャッタ部204と、視聴者が音声を個別に聞くためのヘッドホン206と、操作を行うための操作入力部207を備える。また、各シャッタ式眼鏡と映像表示装置100との通信時には、各眼鏡に割り当てられた固有のID(識別情報)を用いて、個々の眼鏡の識別が可能である。 受信部B201は、映像表示装置100の送信部A108からシャッタ制御信号と音声信号を受信し、制御部B202に送る。 【0016】 シャッタ式眼鏡200aを制御する制御部B202は、操作入力部207からの電源ON/OFFボタンの操作信号に従って、シャッタ式眼鏡200aの電源制御を行う。また制御部B202は、映像表示装置100との通信において、上記した固有のIDを用いて自身に向けて送出された信号を選別する。また送信時に制御部B202は、固有のIDをデータに付加することにより、送信元がどの眼鏡をかけた使用者であるかを映像表示装置100に通知する。制御部B202は、受信部B201が受信したシャッタ制御信号をシャッタ駆動部203に伝え、受信部B201で受信した音声データを音声復号部205に伝える。操作入力部207を用いた使用者操作情報、例えば眼鏡の電源ON/OFF情報、放送チャンネルの選局、入力切り替えの操作情報は、制御部B202から送信部B208を介して映像表示装置100に無線伝送される。 【0017】 シャッタ駆動部203は、制御部B202からのシャッタ制御信号に従ってシャッタ部204を駆動する。シャッタ部204は、シャッタ駆動部203からの駆動信号を受けて、表示部105の表示動作に同期して、シャッタ式眼鏡200aをかけた使用者が選択している映像コンテンツのみを見られるように動作する。シャッタ部204には例えば液晶式シャッタが用いられ、駆動信号のON/OFF状態に応じて光の透過及び遮断が制御される。 【0018】 音声復号部205は、制御部B202からの符号化された音声データをアナログ音声データに復号する。音声復号部205は操作入力部207からのボリューム調整の操作指示に応じて音量調整を行う。ヘッドホン206は、音声復号部205から出力されるアナログ音声信号を音に変換して出力する。 操作入力部207は、使用者が操作に用いる複数の操作ボタンやスイッチを備える。例えば、シャッタ式眼鏡200aの電源ON/OFF状態を切り替える電源ボタンや、放送受信のための放送の選局用ボタン、外部入力端子の入力切り替え用ボタン、音量調整用ボタン等が設けられている。 送信部B208は、シャッタ式眼鏡200aの電源ON/OFF状態を示す情報、放送チャンネルの選局操作情報、入力切り替えの操作情報等を、映像表示装置100の受信部A106に対して無線送信する。」 上記記載から、次の事項(1)(2)が記載されているということができる。 ア「シャッタ式眼鏡を用いて複数人で映像視聴が可能な映像表示装置であって、(【0001】) 複数人で映像を視聴できるように、映像データは表示する映像コンテンツの数に応じたフレームレートで時分割多重化された上で、表示部105に出力され、(【0013】) 各シャッタ式眼鏡の動作は映像表示装置100の動作と連動して制御され、シャッタ式眼鏡200aは、時分割制御を実現するためのシャッタ部204と、操作を行うための操作入力部207を備え、(【0015】) シャッタ部204は、表示部105の表示動作に同期して、シャッタ式眼鏡200aをかけた使用者が選択している映像コンテンツのみを見られるように動作する、(【0017】) 技術。」(以下、「周知技術」という。) イ「シャッタ式眼鏡を用いて複数人で映像視聴が可能な映像表示装置であって、(【0001】) 複数人で映像を視聴できるように、映像データは表示する映像コンテンツの数に応じたフレームレートで時分割多重化された上で、表示部105に出力され、(【0013】) 各シャッタ式眼鏡の動作は映像表示装置100の動作と連動して制御され、シャッタ式眼鏡200aは、時分割制御を実現するためのシャッタ部204と、操作を行うための操作入力部207を備え、(【0015】) シャッタ部204は、表示部105の表示動作に同期して、シャッタ式眼鏡200aをかけた使用者が選択している映像コンテンツのみを見られるように動作し、(【0017】) 操作入力部207は、使用者が操作に用いる複数の操作ボタンやスイッチを備え、例えば、放送受信のための放送の選局用ボタン、外部入力端子の入力切り替え用ボタン、音量調整用ボタン等が設けられ、放送チャンネルの選局操作情報、入力切り替えの操作情報等を、映像表示装置100に対して無線送信する、(【0018】) 映像表示装置。」 3 対比 本願発明と引用発明とを対比する。 (1)引用発明は「表示装置であって」、「表示パネルにおいて同時に表示される2種類の画面11、12について、表示パネルの左側から見るユーザには、画面11が観察され、右側から見るユーザには画面12が観察され、左側のユーザには画面12は観察されず、右側のユーザには画面11は観察され」ないものであるから、「表示パネルの左側から見るユーザ」、「右側から見るユーザ」は、それぞれ、第1のユーザ、第2のユーザと捉えることができる。 そして、「表示パネルにおいて同時に表示される2種類の画面11、12」のコンテンツは、「表示パネル上に同時に表示される複数の映像」であり、「第1、第2の外部映像ソース2、3から入力された映像信号」から得られたものであるから、「異なる」「映像」、すなわち「異なる」「ビデオコンテンツ」であるということができ、また、「他画面を視聴中のユーザは画質設定中のユーザの行為に影響を受けず、自身の視聴を続けることができる」ことから、ビデオコンテンツを「視聴」しているということができる。 したがって、引用発明の「表示装置」は、本願発明の「第1メガネ装置を着用した第1ユーザおよび第2メガネ装置を着用した第2ユーザが異なるビデオコンテンツを同時視聴するデュアルビューモードで動作可能なディスプレイ装置」と、「第1ユーザおよび第2ユーザが異なるビデオコンテンツを同時視聴するデュアルビューモードで動作可能なディスプレイ装置」である点で共通する。 (2)引用発明は「第1、第2の外部映像ソース2、3から入力された映像信号のデータを処理して表示パネル1を駆動する信号を生成」するものであって、「第1、第2の外部映像ソース2、3から入力された映像信号」は、上記(1)の記載を踏まえれば、「第1ビデオコンテンツおよび第2ビデオコンテンツを含む複数の異なるコンテンツ」と捉えることができる。 そして、引用発明は「第1、第2の外部映像ソース2、3」を入力することから、外部映像ソース2、3からの映像信号を受信する「複数の受信部」を有することは明らかである。 したがって、引用発明は、本願発明の「第1ビデオコンテンツおよび第2ビデオコンテンツを含む複数の異なるコンテンツを受信可能な複数の受信部」を含むものということができる。 (3)引用発明は「第1、第2の外部映像ソース2、3から入力された映像信号のデータを処理して表示パネル1を駆動する信号を生成」するものであるから、第1、第2の外部映像ソース2、3から入力された映像信号のデータを処理する「信号処理部」を有するものといえる。したがって、引用発明は、本願発明の「第1ビデオコンテンツおよび第2ビデオコンテンツを処理する信号処理部」を含むということができる。 (4)引用発明は、「表示パネル上に同時に表示される複数の映像」を「表示装置」に表示するものであって、「表示パネルにおいて同時に表示される2種類の画面11、12について、表示パネルの左側から見るユーザには、画面11が観察され、右側から見るユーザには画面12が観察され、左側のユーザには画面12は観察されず、右側のユーザには画面11は観察されず、第1、第2の外部映像ソース2、3から入力された映像信号のデータを処理して表示パネル1を駆動する信号を生成」するものである。すなわち、「第1、第2の外部映像ソース2、3から入力された映像信号」にそれぞれ対応した「第1ビデオコンテンツ」および「第2ビデオコンテンツ」を、「表示パネル」に「画面11」、「画面12」として表示するものであるといえるから、引用発明の「画面11」および「画面12」は、本願発明の「第1ビデオコンテンツに対応する第1ビュー」および「第2ビデオコンテンツに対応する第2ビュー」に相当する。 そして、引用発明の「第1、第2の外部映像ソース2、3から入力された映像信号」を表示する「表示パネル」も、「出力部」内に含まれるものといえるから、引用発明は、本願発明の「第1ビデオコンテンツに対応する第1ビューと第2ビデオコンテンツに対応する第2ビューとをディスプレイするディスプレイパネルを含む出力部」を有しているということができる。 (5)引用発明は、「左側に位置するユーザが、自身が見ている画面をリモコン等を介して画質調整しようとする場合、左側画面11上にユーザの設定情報、即ちコントラスト50、ブライトネス50が表示され、この表示は、設定を行うユーザが見ることができる画面11上にのみ表示され、他方の画面上には表示されない」ものである。そして、リモコンにより画質調整を行う際には、コントラスト50、ブライトネス50が表示されることから、リモコンからはコントラスト50等を表示する命令を出力すると捉えられ、また、「この表示は、設定を行うユーザが見ることができる画面11上にのみ表示され」るから、コントラスト50等の情報を表示する画面を画面11に決定し、画面12には、非表示とするよう表示パネルを制御しているということができる。 ここで、「表示パネル」は、「出力部」内に含まれるものといえ(上記(4))、また、表示パネルの表示制御を行うために「制御部」を設けることは常套手段であり、さらに、「画面11」、「画面12」は、「ビュー」と捉えることができる(上記(4))。 したがって、引用発明と本願発明とは「表示命令が受信されると、前記第1および第2ビューのうち、情報を表示するビューを決定し、決定されたビューに前記情報を表示して、他のビューには前記情報を非表示にするように前記出力部を制御する制御部と、を含」む点で共通する。 (6)引用発明は、「左側に位置するユーザが、自身が見ている画面をリモコン等を介して画質調整しようとする場合、左側画面11上にユーザの設定情報、即ちコントラスト50、ブライトネス50が表示され、この表示は、設定を行うユーザが見ることができる画面11上にのみ表示され、他方の画面上には表示されない」ものである。 そして、上記(4)、(5)の記載を踏まえると、引用発明と、本願発明の「前記第1ビューに対応するイメージが視聴可能であり、前記第2ビューに対応するイメージが視聴可能になるように、前記OSD情報が表示されるビューおよび前記OSD情報が非表示のビューが前記ディスプレイパネル上に表示され」ることとは、「前記第1ビューに対応するイメージが視聴可能であり、前記第2ビューに対応するイメージが視聴可能になるように、前記情報が表示されるビューおよび前記情報が非表示のビューが前記ディスプレイパネル上に表示され」る点で共通する。 (7)引用発明は、「左側に位置するユーザが、自身が見ている画面をリモコン等を介して画質調整しようとする場合、左側画面11上にユーザの設定情報、即ちコントラスト50、ブライトネス50が表示され」るものであって、リモコンにより画質調整を行う際には、コントラスト50、ブライトネス50が表示されることから、コントラスト50等の情報は画面11、すなわち、対応する画面に表示されるということができる。 したがって、引用発明と本願発明とは、「前記情報は、対応するビューに表示される」点で共通する。 すると、本願発明と引用発明とは、次の<一致点>及び<相違点>を有する。 <一致点> 「第1ユーザおよび第2ユーザが異なるビデオコンテンツを同時視聴するデュアルビューモードで動作可能なディスプレイ装置において、 第1ビデオコンテンツおよび第2ビデオコンテンツを含む複数の異なるコンテンツを受信可能な複数の受信部と、 第1ビデオコンテンツおよび第2ビデオコンテンツを処理する信号処理部と、 第1ビデオコンテンツに対応する第1ビューと第2ビデオコンテンツに対応する第2ビューとをディスプレイするディスプレイパネルを含む出力部と、 表示命令が受信されると、前記第1および第2ビューのうち、情報を表示するビューを決定し、決定されたビューに前記情報を表示して、他のビューには前記情報を非表示にするように前記出力部を制御する制御部と、 を含み、 前記第1ビューに対応するイメージが視聴可能であり、前記第2ビューに対応するイメージが視聴可能になるように、前記情報が表示されるビューおよび前記情報が非表示のビューが前記ディスプレイパネル上に表示され、 前記情報は、 対応するビューに表示される ディスプレイ装置。」 <相違点> (ア)本願発明は、表示命令が「オンスクリーンディスプレイ(OSD)」表示命令であるとともに、表示、または非表示とする情報が「OSD」情報であるのに対し、引用発明は、「オンスクリーンディスプレイ(OSD)」及び「OSD」である点について特定がない点。 (イ)本願発明は、第1ユーザ、第2ユーザが、それぞれ「第1メガネ装置を着用した」ユーザ、「第2メガネ装置を着用した」ユーザであり、前記第1ビューに対応するイメージが「前記第1メガネ装置によって」視聴可能であり、前記第2ビューに対応するイメージが「前記第2メガネ装置によって」視聴可能になるのに対し、引用発明は、「メガネ装置」によるものではない点。 (ウ)本願発明は、前記OSD情報は、「前記OSD表示命令を伝送したメガネ装置に」対応するビューに表示されるのに対し、引用発明は、「前記OSD表示命令を伝送したメガネ装置」に関する特定がない点。 4 判断 <相違点>(ア)について 引用発明は、「ユーザが、自身が見ている画面をリモコン等を介して画質調整しようとする場合、左側画面11上にユーザの設定情報、即ちコントラスト50、ブライトネス50が表示され」るものであって、画面上に、設定情報を表示する場合に、オンスクリーンディスプレイ(OSD)表示することは周知慣用手段である。 したがって、上記<相違点> (ア)の本願発明に係る構成のようにすることは格別なことではない。 <相違点>(イ)について シャッタ式眼鏡を用いて複数人で映像視聴が可能な映像表示装置は、周知技術であり(上記2(2)ア)、一方、引用発明の「表示パネル上に同時に表示される複数の映像」を表示する「表示装置」も周知な表示装置である。 そして、引用発明は、複数のユーザのうちの一方のユーザがブライトネス等の画質を調整した場合、当該ユーザが見ることができる画面上にのみ、ユーザの設定情報、すなわち、ブライトネス等の情報を表示するものであるところ、このような表示は、シャッタ式眼鏡であるか否かに関わらずなし得ることは、当業者が普通に理解することができるものである。 したがって、引用発明の、「表示パネル上に同時に表示される複数の映像」を表示する周知な「表示装置」に代えて、同じく周知な「シャッタ式眼鏡を用いて複数人で映像視聴が可能な映像表示装置」(上記2(2)ア)を適用することは、当業者が容易に想到し得る事項である。 なお、請求人は、審判請求書2.(2)において、「(2)引用文献1に記載のマルチビュー表示装置は、「3次元画像を見るために必要なメガネを用いることなく、パネルの左側および右側から別個の映像を観察することが可能である。そのため、複数のユーザによって異なる映像が同時に観察される」(段落0002)ものであります。そのため、引用文献1は、「3次元画像を見るために必要なメガネを用いることなく」(段落0002)、「表示パネル上に同時に表示される複数の映像に対して、個々に独立した画質調整を行うことが可能な表示装置を提供すること」(段落0006)を目的としています。このようなマルチビュー表示装置にとっては、3次元画像を見るためにメガネを必要としないことが、シャッタ式メガネを用いたマルチビュー装置との技術的差別化の最大のポイントとなっています。このような背景を考慮すれば、当業者は、引用文献1に記載の発明において、「3次元画像を見るために必要なメガネを用いることなく、パネルの左側および右側から別個の映像を観察することが可能である」との利益を捨ててまで、引用文献1に記載のマルチビュー表示装置に、「シャッタ式メガネ」を採用することは、決して容易ではないと思量いたします。」と、主張している。 しかしながら、引用例1には、【背景技術】として、「【背景技術】【0002】左右の観察者に対して別個の映像を同一の表示パネルを介して提供することが可能な、いわゆるマルチビュー表示装置が実現されている。特許文献1に、このような装置の一例が記載されている。この装置では、3次元画像を見るために必要なメガネを用いることなく、パネルの左側および右側から別個の映像を観察することが可能である。そのため、複数のユーザによって異なる映像が同時に観察される。」と記載されており、また、引用例1には、【発明が解決しようとする課題】として、「【0005】マルチビュー表示装置では、上述したように、各画面にナビゲーション情報とDVD映像のようなそれぞれ性質の異なる映像を表示するのが一般的な使用方法である。したがって、各画面に表示される映像の色調はそれぞれに異なり、ユーザは各画面を自身が見る映像に応じて任意に設定することを望む。ところが従来のマルチビュー表示装置では、画質調整回路は表示パネル全体の色調を調整するものであり、画質を調整するための各種の表示設定(ブライトネス、コントラスト、シャープネス等)を1つの表示パネルに対して1つしか行うことができない。その結果、例えば運転席と助手席側で別個に観察される映像ソースに対して、それぞれに最適なあるいは好みの表示画質の設定を行うことができない。【0006】本発明は、従来のマルチビュー表示装置における上記の欠点を解決する目的でなされたもので、表示パネル上に同時に表示される複数の映像に対して、個々に独立した画質調整を行うことが可能な表示装置を提供することを課題とする。」と記載され、ここで、「ナビゲーション情報」と「DVD映像」や「運転席」、「助手席」に関する事項は、例示にすぎないから、【発明が解決しようとする課題】としては、「マルチビュー表示装置」において、「別個に観察される映像ソースに対して、それぞれに最適なあるいは好みの表示画質の設定を行い」、「表示パネル上に同時に表示される複数の映像に対して、個々に独立した画質調整を行うことが可能な表示装置を提供する」ことといえる。そして、このことは、マルチビュー表示装置を前提とするものの「3次元画像を見るためにメガネを必要としない」か必要とするかには無関係なものであって、これを必須の前提とする課題であるということはできない。 したがって、請求人の、「「3次元画像を見るために必要なメガネを用いることなく、パネルの左側および右側から別個の映像を観察することが可能である」との利益を捨ててまで、引用文献1に記載のマルチビュー表示装置に、「シャッタ式メガネ」を採用することは、決して容易ではない」との主張を採用することができない。 また、引用例1の段落【0011】ないし段落【0012】には、発明の効果として、「【発明の効果】【0011】 上記本発明の装置によれば、画質調整部は、それぞれの方向に表示する映像データに対して独立した画質設定が可能であるため、ユーザは、他画面の画質に影響を及ぼすことなく自身が見ている映像に適した画質を選択し設定することができる。‥‥‥その結果、よりユーザフレンドリーな表示装置が実現される。【0012】また、映像の画質設定情報をそれぞれの画面上で表示すること、‥‥‥等により、より使い勝手の良い表示装置を実現することができる。」と記載されている。そして、映像の画質設定情報をそれぞれの画面上で表示することにより、より使い勝手の良い表示装置を実現することができるといった効果は、マルチビュー表示装置のタイプ、すなわち、視差バリアタイプの表示装置やシャッタ式眼鏡方式の表示装置に関わらず、如何なるタイプのマルチビュー表示装置においても適用可能であるということができるから、この点からも、請求人の前記主張を採用することができず、引用発明に前記周知技術を用いることに格別の困難性を有しない。 よって、本願発明の<相違点>(イ)に係る構成のようにすることは格別なことではない。 <相違点>(ウ)について 引用例2には、「‥‥‥シャッタ式眼鏡200aは、‥‥‥操作を行うための操作入力部207を備え、‥‥‥操作入力部207は、使用者が操作に用いる複数の操作ボタンやスイッチを備え、例えば、放送受信のための放送の選局用ボタン、外部入力端子の入力切り替え用ボタン、音量調整用ボタン等が設けられ、放送チャンネルの選局操作情報、入力切り替えの操作情報等を、映像表示装置100に対して無線送信する」ことが記載されており(上記2(2)イ)、シャッタ式眼鏡200aには、放送の選局用ボタン、外部入力端子の入力切り替え用ボタン、音量調整用ボタン等が設けられ、このような操作情報等を、映像表示装置100に対して無線送信するものといえるから、シャッタ式眼鏡200aは、映像表示装置100に対してリモコンとしての機能を備えるものである。してみれば、引用発明に、周知な「シャッタ式眼鏡を用いて複数人で映像視聴が可能な映像表示装置」(上記2(2)ア)を適用するにあたり、リモコンとしての機能を備えるシャッタ式眼鏡を用いることに格別の困難性を有しない。 したがって、シャッタ式眼鏡から、各種命令を伝送するようにすることに格別の困難性はない。 そして、OSD表示については、上記<相違点>(ア)について の項に記載したとおりである。 よって、本願発明の<相違点>(ウ)に係る構成のようにすることは格別なことではない。 そして、上記相違点を総合的に判断しても、本願発明が奏する効果は引用発明及び周知な事項から当業者が十分に予測できたものであって格別なものとはいえない。 よって、本願発明は、引用発明及び周知な事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 5 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2015-10-20 |
結審通知日 | 2015-10-27 |
審決日 | 2015-11-19 |
出願番号 | 特願2012-279243(P2012-279243) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G09G)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 山崎 仁之 |
特許庁審判長 |
清水 稔 |
特許庁審判官 |
関根 洋之 酒井 伸芳 |
発明の名称 | ディスプレイ装置および方法 |
代理人 | 大貫 進介 |
代理人 | 伊東 忠彦 |
代理人 | 伊東 忠重 |