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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F |
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管理番号 | 1313563 |
審判番号 | 不服2015-14221 |
総通号数 | 198 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-06-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-07-29 |
確定日 | 2016-04-26 |
事件の表示 | 特願2013-131609「ユーザインターフェースに基づいてファイル処理を行う方法及び端末装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 1月23日出願公開、特開2014- 13567、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成25年6月24日(パリ条約による優先権主張2012年7月4日、中国)の出願であって、平成26年2月27日付けで拒絶理由が通知され、同年5月9日付けで手続補正がされ、同年10月24日付けで拒絶理由が通知され、平成27年1月19日付けで手続補正がされ、同年5月12日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年7月29日に拒絶査定不服審判が請求されると共に手続補正がされたものである。 第2 平成27年7月29日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)の適否 1.補正の内容 本件補正は、補正前の特許請求の範囲の請求項1を、補正後の特許請求の範囲の請求項1に変更する補正事項(以下、「補正事項1」という。)を含むものである。 そして、補正前の請求項1及び補正後の請求項1の各記載は、それぞれ、以下のとおりである。 なお、〈補正後の特許請求の範囲〉における下線は補正箇所を表している。 〈補正前の特許請求の範囲〉 「【請求項1】 ユーザインターフェースに基づいてファイルを処理する方法であって、 前記ユーザインターフェースにおいて前記ファイルをドラッグするための操作命令が生成されているかどうかを検出し; 前記操作命令が生成されていれば、前記操作命令に基づいて、外部インターフェースに対応する前記ユーザインターフェースの位置に、前記外部インターフェースに対応するアイコンを表示し; 前記外部インターフェースに対応するアイコンが、前記ファイルを該アイコンにドラッグすることによりトリガーされているかどうかを検出し;及び、 前記アイコンがトリガーされていれば、ドラッグされた前記ファイルを、前記アイコンに対応する前記外部インターフェースの機能を用いて処理することを含み、 ドラッグされた前記ファイルを、前記アイコンに対応する前記外部インターフェースの機能を用いて処理することは、 前記外部インターフェースがユニバーサルシリアルバスインターフェースであれば、ドラッグされた前記ファイルを伝送し;又は、 前記外部インターフェースが赤外線伝送インターフェースであれば、ドラッグされた前記ファイルを伝送し;又は、 前記外部インターフェースがWi-Fiインターフェースであれば、ドラッグされた前記ファイルを伝送し;又は、 前記外部インターフェースが近接場型無線通信インターフェースであれば、ドラッグされた前記ファイルを伝送し;又は、 前記外部インターフェースがイヤホンインターフェースであれば、ドラッグされた前記ファイルを再生し;又は、 前記外部インターフェースがスピーカーインターフェースであれば、ドラッグされた前記ファイルを再生することを含む、方法。」 〈補正後の特許請求の範囲〉 「【請求項1】 タッチパネルに表示されているユーザインターフェースに基づいてファイルを処理する方法であって、 前記ユーザインターフェースにおいて前記ファイルをドラッグするための操作命令が生成されているかどうかを検出し; 前記操作命令が生成されていれば、前記操作命令に基づいて、外部インターフェースに対応する前記ユーザインターフェースの位置に、前記外部インターフェースに対応するアイコンを表示し; 前記外部インターフェースに対応するアイコンが、前記ファイルを該アイコンにドラッグすることによりトリガーされているかどうかを検出し;及び、 前記アイコンがトリガーされていれば、ドラッグされた前記ファイルを、前記アイコンに対応する前記外部インターフェースの機能を用いて処理することを含み、 ドラッグされた前記ファイルを、前記アイコンに対応する前記外部インターフェースの機能を用いて処理することは、 前記外部インターフェースがユニバーサルシリアルバスインターフェースであれば、ドラッグされた前記ファイルを伝送し;又は、 前記外部インターフェースが赤外線伝送インターフェースであれば、ドラッグされた前記ファイルを伝送し;又は、 前記外部インターフェースがWi-Fiインターフェースであれば、ドラッグされた前記ファイルを伝送し;又は、 前記外部インターフェースが近接場型無線通信インターフェースであれば、ドラッグされた前記ファイルを伝送し;又は、 前記外部インターフェースがイヤホンインターフェースであれば、ドラッグされた前記ファイルを再生し;又は、 前記外部インターフェースがスピーカーインターフェースであれば、ドラッグされた前記ファイルを再生することを含む、方法。」 2.補正の適否 本件補正の内の補正事項1は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である、「ユーザインターフェース」について、「タッチパネルに表示されている」との限定を付加するものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。 そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下に検討する。 (1)引用例の記載事項と引用例記載の発明 原査定で引用された、本願の優先日前に頒布された刊行物である、特開2003-152615号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面と共に以下の記載がある。 a)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はデータ通信装置、データ通信方法、データ通信プログラム及びデータ通信プログラム媒体に関し、ブルートゥース(Bluetooth:登録商標)に準拠した複数の通信装置によって構築されるデータ通信システムに適用して好適なものである。」(【0001】の記載。下線は、当審で付与。以下、同様。) b)「【0024】図2に示すように、PDA21は筐体ケース30を有し、当該筐体ケース30の正面30Aには、例えば液晶ディスプレイでなる表示部31が設けられている。」(【0024】の記載。) c)「【0030】さらに表示部31の下側には、透明な感圧フィルムでなるタッチパッド35が設けられ、当該タッチパッド35には、メインメニュー(選択項目)画面を表示部31に表示させるホームキー35A、サブメニュー画面を表示させるメニューキー35B、検索画面を表示させる検索キー35C、文字入力画面を表示させるキーボードキー35D、文字等の入力や所定の操作を行うための仮想パッド35(審判注:「仮想パッド35」は「仮想パッド35E」の誤記と認める。)及び、当該文字に対する各種操作を行う各種文字操作キー35Fが設けられている。 【0031】この仮想パッド35Eは、通常モード時、スライラスと呼ばれる専用ペンにより押圧されると、表示部31に表示される所定画面上における例えばアイコンを選択する選択命令を入力し得ると共に、当該専用ペンにより表面をなぞられると、表示部31に表示される所定画面上にあたかも文字や線等を書き込む書込命令を入力し得るようになされている。 【0032】かかる構成に加えて、筐体ケース30の正面30Aにおける下端部には、PDA21に対しておよそ数[m] 四方の空間内に存在する通信対象装置とピコネットを形成させてデータ通信を行わせるためのネットワークボタン36が設けられている。 【0033】このネットワークボタン36が押下された場合、表示部31には、仮想パッド35Eの操作に追従して表示画面上を移動するカーソルが表示されるようになされており、このとき仮想パッド35Eは、通常モードから操作入力モードに移行し、専用ペンに応動して表示画面上のカーソルを移動させる移動命令を入力し得るようになされている。」(【0030】?【0033】の記載。) d)「【0035】さらに仮想パッド35Eは、操作入力モードにおいて、専用ペンをクリック操作された後に当該仮想パッド35Eから離すことなくなぞられる(以下、これをドラッグ操作と呼ぶ)と、選択されたアイコン等を移動するドラッグ命令を入力し得るようになされている。」(【0035】の記載。) e)「【0057】そしてCPU40は、図6について上述した個人カード画面dis1が表示部31に表示されている際にネットワークボタン36が押下されている場合、例えば図8に示すように、PDA22の方角Dr1に対応づけたデバイス特定領域dis3と、PDA22(審判注:「PDA22」は「PDA23,25」の誤記と認める。)の方角Dr2及びDr3に対応づけたデバイス特定領域dis4と、PDA22(審判注:「PDA22」は「PDA24」の誤記と認める。)の方角Dr1(審判注:「Dr1」は「Dr4」の誤記と認める。)に対応づけたデバイス特定領域dis2とを表示部31の周端に表示する。 【0058】その際、CPU40は、PDA22?25からそれぞれ取得した種別データに基づくデバイスアイコン22A、23A、24A、25Aと、距離設定情報及び赤外線送受信部37K、37L、37N、37Dに基づいて算出された中心点31AからPDA22?25までの距離22B、23B、24B、25BとをPDA22?25の方角Dr1?Dr4に対応させてデバイス特定領域dis2?dis4に表示する。 【0059】これによりCPU40は、カーソルCLの移動し得る表示部31における周端のデバイス特定領域dis2?dis4内に、ピコネットを形成したPDA22?25を対応付けるのみならず、その距離及び種別をも使用者に視覚的に把握させ得るようになさている。 【0060】このときCPU40は、仮想パッド35Eによりクリック操作、ドラッグ操作及びドロップ操作されると、当該操作により仮想パッド35Eから入力される各種命令に応じてカーソルCLを介して個人カード画面dis1を表示部31上で移動させ得るようになされている。 【0061】ここで、CPU40は、例えば図9に示すように、仮想パッド35Eにより例えば個人カード画面dis1上にカーソルCLが位置している状態でクリック操作されると、そのカーソルCLの位置を移動開始位置X1として検出する。 【0062】さらにCPU40は、クリック操作されたまま例えばデバイス特定領域dis3上までドラッグ操作された後にドロップ操作されると、当該ドロップ操作された際のカーソルCLの位置を移動終了位置X2として検出する。 【0063】この場合CPU40は、PDA22の方角Dr1に対応づけたデバイス特定領域dis3内に移動終了位置X2(すなわちカーソルCL)が含まれていることにより、個人カード画面dis1の移動が当該PDA22の存在する方角側であると判定する。 【0064】そしてCPU40は、フラッシュROM41に格納されている個人カードデータを読み出し、これをデバイス特定領域dis3に対応付けた方角Dr1に存在するPDA22にブルートゥースモジュール44を介して送信する。」(【0057】?【0064】の記載。) f)「【0066】また、CPU40は、例えば個人カード画面dis1が複数のデバイスアイコン23A及び25Aを有するデバイス特定領域dis4上までドラッグ操作された後にドロップ操作されると、図10に示すような通信装置選択画面dis5を表示部31に表示して使用者に送信希望のPDA23又は25を選択させることにより、当該使用者の所望とする通信装置へ確実にデータを送信し得るようになされている。 【0067】これに対して、CPU40は、通常のメニュー画面(例えばメインメニュー画面等)が表示部31に表示されている際にネットワークボタン36が押下された場合、例えば図8との対応部分に同一符号を付して示す図11のように、PDA22?25の方角Dr1?Dr4に基づいてデバイス特定領域dis2?dis4と、フラッシュROM41に格納されている各種個人データを表示するデータ表示画面dis6とを表示部31に表示する。 【0068】その際、CPU40は、デバイスアイコン22A、23A、24A、25Aと、距離22B、23B、24B、25BとをPDA22?25の方角Dr1?Dr4に対応させてデバイス特定領域dis2?dis4に表示すると共に、各種個人データの階層構造に応じてファイルアイコンD1又はフォルダアイコンD2としてデータ表示画面dis6内に表示する。 【0069】ここで、CPU40は、図8及び図9について上述した場合と同様に、仮想パッド35Eにより例えばフォルダアイコンD2を移動開始位置X1からデバイス特定領域dis2上までドラッグ操作された後にドロップ操作されると、当該個人カード画面dis1のドロップ位置を移動終了位置X3として検出する。 【0070】この場合CPU40は、PDA24の方角Dr4に対応づけたデバイス特定領域dis2内に個人カード画面dis1の移動終了位置X3が含まれていることにより、フォルダアイコンD2の移動が当該PDA24の存在する方角側であると判定する。 【0071】そしてCPU40は、フォルダアイコンD2に対応するデータをフラッシュROM41から読み出してPDA22、23、24又は25にブルートゥースモジュール44を介して送信し得るようになされている。」(【0066】?【0071】の記載。) g)「【0073】このようにCPU40は、実際のPDA22?25との対応関係を使用者に視覚的に把握させるのみならず、所望のデータに対してドラッグ操作及びドロップ操作するだけで実際のPDA22?25に送信し得るデバイス特定領域dis2?dis4を表示し得るようになされている。」(【0073】の記載。) 上記下線部及び関連箇所の記載によれば、引用例1には以下の発明(以下、「引用例1記載の発明」という。)が記載されている。 「PDA21は筐体ケース30を有し、当該筐体ケース30の正面30Aには、例えば液晶ディスプレイでなる表示部31が設けられており、 表示部31の下側には、透明な感圧フィルムでなるタッチパッド35が設けられ、当該タッチパッド35には、文字等の入力や所定の操作を行うための仮想パッド35Eが設けられており、 この仮想パッド35Eは、通常モード時、押圧されると、表示部31に表示される所定画面上における例えばアイコンを選択する選択命令を入力し得ると共に、表面をなぞられると、表示部31に表示される所定画面上にあたかも文字や線等を書き込む書込命令を入力し得るようになされており、 筐体ケース30の正面30Aにおける下端部には、PDA21に対しておよそ数[m] 四方の空間内に存在する通信対象装置とデータ通信を行わせるためのネットワークボタン36が設けられており、 このネットワークボタン36が押下された場合、表示部31には、仮想パッド35Eの操作に追従して表示画面上を移動するカーソルが表示され、このとき仮想パッド35Eは、通常モードから操作入力モードに移行し、表示画面上のカーソルを移動させる移動命令を入力し得るようになされており、 さらに仮想パッド35Eは、操作入力モードにおいて、クリック操作された後に当該仮想パッド35Eから離すことなくなぞられる(以下、これをドラッグ操作と呼ぶ)と、選択されたアイコン等を移動するドラッグ命令を入力し得るようになされており、 個人カード画面dis1が表示部31に表示されている際にネットワークボタン36が押下されている場合、例えばPDA22の方角Dr1に対応づけたデバイス特定領域dis3と、PDA23,25の方角Dr2及びDr3に対応づけたデバイス特定領域dis4と、PDA24の方角Dr4に対応づけたデバイス特定領域dis2とを表示部31の周端に表示し、 PDA22?25からそれぞれ取得した種別データに基づくデバイスアイコン22A、23A、24A、25AをPDA22?25の方角Dr1?Dr4に対応させてデバイス特定領域dis2?dis4に表示し、 カーソルCLの移動し得る表示部31における周端のデバイス特定領域dis2?dis4内に、PDA22?25を対応付け、 このとき、仮想パッド35Eによりクリック操作、ドラッグ操作及びドロップ操作されると、当該操作により仮想パッド35Eから入力される各種命令に応じてカーソルCLを介して個人カード画面dis1を表示部31上で移動させ得るようになされており、 仮想パッド35Eにより例えば個人カード画面dis1上にカーソルCLが位置している状態でクリック操作されると、そのカーソルCLの位置を移動開始位置X1として検出し、 さらに、クリック操作されたまま例えばデバイス特定領域dis3上までドラッグ操作された後にドロップ操作されると、当該ドロップ操作された際のカーソルCLの位置を移動終了位置X2として検出し、 PDA22の方角Dr1に対応づけたデバイス特定領域dis3内に移動終了位置X2(すなわちカーソルCL)が含まれていることにより、個人カード画面dis1の移動が当該PDA22の存在する方角側であると判定し、 個人カードデータを読み出し、これをデバイス特定領域dis3に対応付けた方角Dr1に存在するPDA22にブルートゥースモジュール44を介して送信し、 また、例えば個人カード画面dis1が複数のデバイスアイコン23A及び25Aを有するデバイス特定領域dis4上までドラッグ操作された後にドロップ操作されると、通信装置選択画面dis5を表示部31に表示して使用者に送信希望のPDA23又は25を選択させることにより、当該使用者の所望とする通信装置へ確実にデータを送信し得るようになされ、 通常のメニュー画面(例えばメインメニュー画面等)が表示部31に表示されている際にネットワークボタン36が押下された場合は、 PDA22?25の方角Dr1?Dr4に基づいてデバイス特定領域dis2?dis4と、各種個人データを表示するデータ表示画面dis6とを表示部31に表示し、 デバイスアイコン22A、23A、24A、25AをPDA22?25の方角Dr1?Dr4に対応させてデバイス特定領域dis2?dis4に表示すると共に、各種個人データの階層構造に応じてファイルアイコンD1又はフォルダアイコンD2としてデータ表示画面dis6内に表示し、 仮想パッド35Eにより例えばフォルダアイコンD2を移動開始位置X1からデバイス特定領域dis2上までドラッグ操作された後にドロップ操作されると、当該個人カード画面dis1のドロップ位置を移動終了位置X3として検出し、 PDA24の方角Dr4に対応づけたデバイス特定領域dis2内に個人カード画面dis1の移動終了位置X3が含まれていることにより、フォルダアイコンD2の移動が当該PDA24の存在する方角側であると判定し、 フォルダアイコンD2に対応するデータをフラッシュROM41から読み出してPDA22、23、24又は25にブルートゥースモジュール44を介して送信する データ通信方法。」 (2)対比 本願補正発明と引用例1記載の発明とを対比する。 ア.引用例1記載の発明の「タッチパッド35」は、「表示部31」に設けられたものであるから、本願補正発明の「タッチパネル」に相当する。 また、引用例1記載の発明の「データ通信方法」は、「各種個人データを」「ファイルアイコンD1又はフォルダアイコンD2としてデータ表示画面dis6内に表示し」、「例えばフォルダアイコンD2を移動開始位置X1からデバイス特定領域dis2上までドラッグ操作された後にドロップ操作されると」、「フォルダアイコンD2に対応するデータをフラッシュROM41から読み出してPDA22、23、24又は25にブルートゥースモジュール44を介して送信する」ものであり、「ファイルアイコンD1」についても「フォルダアイコンD2」と同様に処理が行われるのは明らかであるから、「ファイルアイコン」の操作に基づいて「ファイルアイコン」に対応するデータを処理する方法ともいい得るものであり、「ファイルアイコン」は「ユーザインターフェース」の一部であることを考慮すれば、本願補正発明の「タッチパネルに表示されているユーザインターフェースに基づいてファイルを処理する方法」に相当する。 イ.上記ア.に述べたように、引用例1記載の発明は、「ファイルアイコン」の「ドラッグ操作」及び「ドロップ操作」により、「ファイルアイコン」に対応するデータを処理するものであるから、引用例1記載の発明が「ファイルアイコン」に対する「ドラック命令」の入力を検出していることは明らかであり、引用例1記載の発明は、本願補正発明の「前記ユーザインターフェースにおいて前記ファイルをドラッグするための操作命令が生成されているかどうかを検出」することに相当する構成を有するといえる。 ウ.引用例1記載の発明は「PDA21に対しておよそ数[m] 四方の空間内に存在する通信対象装置とデータ通信を行わせるためのネットワークボタン36が」「押下されている場合、」「デバイスアイコン22A、23A、24A、25AをPDA22?25の方角Dr1?Dr4に対応させてデバイス特定領域dis2?dis4に表示」するものである。 ここで、「通信対象装置」である「PDA22?25」は、ネットワークを介して「PDA21」接続されるものであるから、「外部インターフェース」を介して接続される機器といい得るものであり、引用例1記載の発明が、「PDA22?25の方角Dr1?Dr4に対応させて」「デバイスアイコン22A、23A、24A、25A」を「デバイス特定領域dis2?dis4」に表示することは、本願補正発明の「外部インターフェースに対応する前記ユーザインターフェースの位置に、前記外部インターフェースに対応するアイコンを表示」することに相当する。 もっとも、本願補正発明は、「ファイルをドラッグするための操作命令が生成されていれば、前記操作命令に基づいて」、アイコンを表示するのに対し、引用例1記載の発明は「ネットワークボタン36が押下された場合」にデバイスアイコンを表示するものであり、この点において両者は相違する。 エ.引用例1記載の発明は「デバイスアイコン22A、23A、24A、25AをPDA22?25の方角Dr1?Dr4に対応させてデバイス特定領域dis2?dis4に表示」し、「例えばフォルダアイコンD2を移動開始位置X1からデバイス特定領域dis2上までドラッグ操作された後にドロップ操作されると、当該個人カード画面dis1のドロップ位置を移動終了位置X3として検出し、PDA24の方角Dr4に対応づけたデバイス特定領域dis2内に個人カード画面dis1の移動終了位置X3が含まれていることにより、フォルダアイコンD2の移動が当該PDA24の存在する方角側であると判定」するものであるから、引用例1記載の発明は、「フォルダアイコン」のドラッグの「デバイス特定領域」に応じて、当該「デバイス特定領域」に含まれる「デバイスアイコン」に対応する「PDA」をフォルダ移動先として判定するものである。 そして、上記ア.に記載したように、「ファイルアイコン」についても「フォルダアイコン」と同様の処理が行われることは明らかであるから、引用例1記載の発明は、「ファイルアイコン」のドラッグ先の「デバイス特定領域」に応じて、当該「デバイス特定領域」に含まれる「デバイスアイコン」に対応する「PDA」をファイル移動先として判定するものであり、当該判定することは、「ファイルアイコン」のドラッグにより、移動先である「PDA」を表す「デバイスアイコン」をトリガーするともいい得ることであるから、引用例1記載の発明は、本願補正発明の「前記外部インターフェースに対応するアイコンが、前記ファイルを該アイコンにドラッグすることによりトリガーされているかどうかを検出」することに相当する構成を有するといえる。 オ.引用例1記載の発明は、上記エ.に記載された「判定」に基づいて、「対応するデータをフラッシュROM41から読み出し」「ブルートゥースモジュール44を介して送信する」ものであるから、判定結果に応じて「ファイルアイコン」に対応するデータを読み出し、移動先となる「PDA」へ「ブルートゥースモジュール44」を介して送信するものであり、移動先である「PDA」を表す「デバイスアイコン」がトリガーされる場合に、ドラッグされた「ファイルアイコン」に対応するデータを前記「デバイスアイコン」に対応する「ブルートゥースモジュール」の機能を用いて処理するともいい得るものであり、引用例1記載の発明は、本願補正発明の「前記アイコンがトリガーされていれば、ドラッグされた前記ファイルを、前記アイコンに対応する前記外部インターフェースの機能を用いて処理する」ことに相当する構成を有するといえる。 カ.引用例1記載の発明が、上記エ.に記載された「判定」に基づいて、「対応するデータを」「ブルートゥースモジュール44を介して送信」することは、「近接場型無線通信インターフェース」により「ドラッグされた前記ファイルを伝送」するともいい得ることであるから、引用例1記載の発明は、本願補正発明の「ドラッグされた前記ファイルを、前記アイコンに対応する前記外部インターフェースの機能を用いて処理することは、 前記外部インターフェースがユニバーサルシリアルバスインターフェースであれば、ドラッグされた前記ファイルを伝送し;又は、 前記外部インターフェースが赤外線伝送インターフェースであれば、ドラッグされた前記ファイルを伝送し;又は、 前記外部インターフェースがWi-Fiインターフェースであれば、ドラッグされた前記ファイルを伝送し;又は、 前記外部インターフェースが近接場型無線通信インターフェースであれば、ドラッグされた前記ファイルを伝送し;又は、 前記外部インターフェースがイヤホンインターフェースであれば、ドラッグされた前記ファイルを再生し;又は、 前記外部インターフェースがスピーカーインターフェースであれば、ドラッグされた前記ファイルを再生することを含む」ことに相当する構成を有するといえる。 したがって、両者は以下の一致点と相違点を有する。 〈一致点〉 「タッチパネルに表示されているユーザインターフェースに基づいてファイルを処理する方法であって、 前記ユーザインターフェースにおいて前記ファイルをドラッグするための操作命令が生成されているかどうかを検出し; 外部インターフェースに対応する前記ユーザインターフェースの位置に、前記外部インターフェースに対応するアイコンを表示し; 前記外部インターフェースに対応するアイコンが、前記ファイルを該アイコンにドラッグすることによりトリガーされているかどうかを検出し;及び、 前記アイコンがトリガーされていれば、ドラッグされた前記ファイルを、前記アイコンに対応する前記外部インターフェースの機能を用いて処理することを含み、 ドラッグされた前記ファイルを、前記アイコンに対応する前記外部インターフェースの機能を用いて処理することは、 前記外部インターフェースがユニバーサルシリアルバスインターフェースであれば、ドラッグされた前記ファイルを伝送し;又は、 前記外部インターフェースが赤外線伝送インターフェースであれば、ドラッグされた前記ファイルを伝送し;又は、 前記外部インターフェースがWi-Fiインターフェースであれば、ドラッグされた前記ファイルを伝送し;又は、 前記外部インターフェースが近接場型無線通信インターフェースであれば、ドラッグされた前記ファイルを伝送し;又は、 前記外部インターフェースがイヤホンインターフェースであれば、ドラッグされた前記ファイルを再生し;又は、 前記外部インターフェースがスピーカーインターフェースであれば、ドラッグされた前記ファイルを再生することを含む、方法。」 〈相違点〉 本願補正発明は、「ファイルをドラッグするための操作命令」が生成されていれば、「前記操作命令に基づいて、外部インターフェースに対応する前記ユーザインターフェースの位置に、前記外部インターフェースに対応するアイコンを表示」するものであるのに対し、引用例1記載の発明は、「ネットワークボタン36が押下された場合」に「デバイスアイコン」(外部インターフェースに対応するアイコン)を表示するものである点。 (3)判断 〈相違点についての判断〉 引用例1自体には、引用例1記載の発明において、ドラッグ操作が行われたことに基づいて「デバイスアイコン」(外部インターフェースに対応するアイコン)を表示するものとすることを示唆する記載はない。 また、原査定で提示された、国際公開第2011/125831号(以下、「引用例2」という。)にも、前置報告書で新たに提示されたいずれの文献にも、ドラッグ操作が行われたことに基づいて「デバイスアイコン」(外部インターフェースに対応するアイコン)を表示することは、記載されておらず、また、そのようにすることを示唆する記載も見当たらない。 したがって、引用例1,2及び前置報告書で提示された文献によっては、上記相違点の克服が容易であったとはいえない。 よって、本願補正発明は、引用例1記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 他に、本願補正発明を、特許出願の際独立して特許を受けることができないものというべき理由も発見しない。 よって、本件補正の補正事項1は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。 本件補正のその余の補正事項についても、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に違反するところはない。 3.むすび 以上のとおり本件補正は、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合する。 第3 本願発明について 本件補正は上記のとおり、特許法第17条の2第3項ないし第6項の規定に適合するから、本願の請求項1?10に係る発明は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?10に記載された事項により特定されるとおりのものである。 そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶するべき理由を発見しない。 |
審決日 | 2016-04-12 |
出願番号 | 特願2013-131609(P2013-131609) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06F)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 高瀬 勤、岩崎 志保 |
特許庁審判長 |
小曳 満昭 |
特許庁審判官 |
山田 正文 千葉 輝久 |
発明の名称 | ユーザインターフェースに基づいてファイル処理を行う方法及び端末装置 |
代理人 | 伊東 忠彦 |
代理人 | 大貫 進介 |
代理人 | 伊東 忠重 |