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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F28D
管理番号 1313609
審判番号 不服2014-22802  
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-11-07 
確定日 2016-04-20 
事件の表示 特願2011-538020「コイル形熱交換器と,このコイル形熱交換器を備えている空調装置」拒絶査定不服審判事件〔平成22年6月10日国際公開,WO2010/063897,平成24年5月10日国内公表,特表2012-510600〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 経緯
本願は,2009年11月30日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2008年12月1日,仏国)を国際出願日としたものであって,平成25年9月11日付けで拒絶の理由が通知され,平成26年2月17日付けで意見書の提出がなされたが,平成26年7月1日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,平成26年11月7日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願発明について
本願の請求項1?請求項29に係る発明は,特許請求の範囲の請求項1?請求項29に記載された事項により特定されるとおりのものであるが,そのうち請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は以下の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
熱交換器(3)が,扁平チューブ(7)を渦巻状に巻いた連続コイル(11,11a,11b)を収容している本体(13)を備えており,互いに面している2つの連続コイル(11,11a,11b)が,コイル間の隙間(12)により分離されており,前記コイル間の隙間(12)が,0.5?5mmの間隔Dで,2つの連続コイル(11,11a,11b)間を伸長していることを特徴とする熱交換器(3)。」

第3 引用例及び引用例に記載された事項
1 引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例のうち,引用例1及び引用例2は次のとおりである。
引用例1:特開平5-196377号公報
引用例2:特開平7-116759号公報

2 引用例に記載された事項
(1) 引用例1
ア 引用例1には,「熱交換器に関し,特に,蒸発,圧縮,凝縮及び膨脹の通常の冷凍サイクルにおいて蒸気圧縮を受ける第1冷媒と,該第1冷媒によって冷却される液体である第2冷媒との間で熱を交換する働きをする蒸発器に関(し)」(【0001】),次の事項が記載されている。
(ア) 「開放中心部と,外周面と,両側面を有する巻き体を構成するように,各隣接する巻きと巻きの間に隙間が画定されるようにして巻回されており,内部に流体チャンネルを有する扁平な断面形状の押出成形物と,
該押出成形物を収容するものであり,該押出成形物の外周面を囲繞する湾曲壁と,該押出成形物の巻き体の前記両側面に近接しているが,それから離隔しており,該湾曲壁に結合された両端壁とを含む流体密ハウジングと,
該ハウジングに連結され,前記流体チャンネルのそれぞれ対応する一端と他端に流体連通状態に接続された1対の第1流体ポートと,
前記押出成形物の巻き体の開放中心部にほぼ整合するようにして前記ハウジングの一方の端壁の中央に接続された,該ハウジング内への第2流体入口と,
前記押出成形物の巻き体の開放中心部にほぼ整合するようにして前記ハウジングの他方の端壁の中央に設けられた開口を含む,該ハウジング内からの第2流体出口と,
前記入口から出口へ流れる第2流体が前記巻き体の各隣接する巻きと巻きの間の隙間を通って流れるようにするために前記開放中心部を実質的に閉鎖する,じゃま板を含む手段と,から成る熱交換器。」(【特許請求の範囲】【請求項1】)
(イ) 「図1及び2を参照すると,本発明の一実施例による熱交換器が示されている。この熱交換器は,2つの基本的な部材から成っている。1つは,円筒体として例示された液密の,即ち密封されたハウジング10であり,他の1つは,このハウジング10内に収容されたコア12である。図2にみられるように,コア12は,任意の適当な材料(通常は,アルミニウム)で押出成形された細長い押出成形物14から成っている。押出成形物14は,各隣接する回旋即ち巻き16,18,20,24の間に狭い隙間26が画定されるように巻回され,巻き体として形成されている。これらの隙間26を設定するために任意の適当なスペーサ(図示せず)を用いることができる。
図1にみられるように,押出成形物14は,断面扁平であり,ウエブ34によって互いに分離された複数の通路32によって構成された内部流体チャンネル30を有している。内部流体チャンネル(以下,単に「チャンネル」とも称する)30は,押出成形物14の一端36から他端38にまで延長しており,該両端36,38において筒状の継手40,42に流体連通状態に開口している。・・・
好ましい実施例では,コア12は,押出成形物14を,図2にみられるように,らせん状に巻回した巻き体によって構成する。・・・一方の熱伝達流体は,図1に矢印で示されるように,入口ポート60を通ってハウジング10内に流入し,じゃま板58によって半径方向外方へ導かれ,押出成形物14の隣接する巻きと巻きの間の隙間26を通って押出成形物14の反対側に流れ,中心に向かって半径方向内方へ流れ,出口ポート62を通ってハウジング10から流出する。この熱交換器が蒸発器として用いられる場合は,この流れ経路を流れるのは,通常,第2熱伝達流体即ち第2冷媒である。第1冷媒は,押出成形物14の継手40又は42の一方から押出成形物14の内部流体チャンネル30に通され,他方の継手から導出される。(【0010】?【0014】,図1,図2)
(ウ) 「図3及び4を参照すると,・・・向流型熱交換器に適用するための本発明の変型実施例が示されている。・・・この実施例では,第1冷媒をポート40又は42のどちらかを通して押出成形物14の内部即ち流体チャンネル30に導入し,第2冷媒を入口ポート80に導入することが望ましい。押出成形物14の側面48,50がハウジング10の内部に対して密封されているので,入口ポート80を通って流入してきた第2冷媒は,出口ポート62を通って流出するには,押出成形物14の各隣接する巻きの間に画定される隙間26によって形成されるらせん状の経路を通らなければならない。第2冷媒をポート80からポート62に向けて通流させるとすると,この熱交換器において向流流れを得るためには,第1冷媒は,押出成形物14の継手42に流入させ継手40から流出させればよい。」(【0015】?【0017】,図3,図4)
(エ) 「図1及び2の実施例は,極めて能率的で,かつ,安価に製造することができる直交流型熱交換器を提供する。又,第1冷媒を通すための手段として押出成形物14を使用することにより,高い効率を達成することができることに注目すべきである。周知のように,今日,空気/冷媒型蒸発器の多くは,主として自動車用空調装置として使用するためにアルミニウムで製造されている。従って,第1冷媒側(蒸気側)の効率の高い熱伝達を達成するために流体チャンネル30を構成する通路32及びウエブ34を最適化するための技術自体は,熱交換器産業において周知である。同様にして,図3及び4の実施例は,極めて能率的で,かつ,安価に製造することができる向流型熱交換器を提供する。この実施例の場合も,その熱交換器の蒸気側即ち第1冷媒側の熱交換を最大限にするための周知の技術を利用することができる。」(【0025】)
イ 以上の記載及び図面の記載からみて,引用例1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているといえる。
(引用発明)
「熱交換器が,内部に流体チャンネル30を有する断面扁平な押出成形物14をらせん状に巻回したコア12を収容しているハウジング10を備えており,該押出成形物14は各隣接する巻きと巻きの間に狭い隙間26が画定されるように巻回されている熱交換器。」

(2) 引用例2
引用例2には,「渦巻管式熱交換器の伝熱部を構成する渦巻形伝熱管体の製作方法に関(し)」(【0001】),以下の事項が記載されている。
ア 「横列する複数本の金属製伝熱管と縦方向厚さを伝熱管径より大きくした金属棒材からなる少なくとも二本のダミー管とを,二本のダミー管を伝熱管群の両側に配して,溶接により分離不能に連結し,これら伝熱管及びダミー管からなる横列管群を,ダミー管のみが成形ドラムの周面に接触し且つ渦巻状に密着重合せしめられる状態に,ドラム周面に順次巻き付けていくようにすることを特徴とする,渦巻形伝熱管体の製作方法。」(【特許請求の範囲】【請求項1】)
イ 「かかる渦巻形伝熱管体は,一般に,複数本の銅製伝熱管を一本づつ人為的に渦巻形状に成形した上,これらを密接横列状に束ねるようにしているのが普通である。
しかし,このような製作方法によっては,伝熱管を一定ピッチの渦巻形状に正確に成形することが困難である上,・・・同一形状の渦巻形伝熱管を得ることが極めて困難である。その結果,・・・伝熱管群に沿って形成される流体通路の断面形状が一定となり難い。そのため,・・・流体が円滑に流動せず,所定の熱交換器機能を期待し得ない。・・・流体通路の断面形状を一定とした高精度の渦巻形伝熱管を効率よく製作することができない。
本発明は,このような点に鑑みてなされたもので,複数本の伝熱管を高精度且つ同一の渦巻形状に効率良く容易に成形し得る渦巻形伝熱管体の製作方法を提供することを目的とするものである。」(【0003】?【0005】)
ウ 「横列管群をドラム周面に巻き付けていくことによって,すべての伝熱管が同時に同一の渦巻形状に成形されることになる。
・・・伝熱管群は,ドラム周面との間及び渦巻層間にダミー管の縦方向厚さと伝熱管径との差に相当する寸法の隙間を有した状態で,巻き付けられていくことになる。したがって,伝熱管が変形し易い薄肉管であっても,ドラム周面への巻き付けによって凹んだりすることがなく,複数本の伝熱管を一括して良好且つ同一の渦巻形状に成形することができる。
しかも,伝熱管群の渦巻層間に形成される渦巻状の隙間つまり流体通路の断面形状は,上記した如くダミー管の縦方向厚さによって決定され,変化することがない。つまり,断面形状が一定の流体通路を形成することができる。この流体通路の断面形状は,成形後も,少なくとも伝熱管群の両側に位置するダミー管の渦巻層によって保持されることになる。」(【0010】?【0012】)
エ 「まず,図3に示す如く,横列する複数本の金属製伝熱管11…と縦方向厚さH(図5参照)を伝熱管径Dより大きくした金属棒材からなる二本のダミー管12,12とを,ダミー管12,12を伝熱管群11…の両側に配して,溶接により分離不能に連結すると共に(同図(A)),これら伝熱管11…とダミー管12,12とからなる横列管群10の先端部を第1ヘッダ管23に連通状に溶着する(同図(B))。
ところで,伝熱管11は外径6.35mmの薄肉ステンレス鋼管であり,ダミー管12はステンレス鋼製のものであって,伝熱管径Dと略同一径(6mm)の断面一様の丸棒材からなるダミー管部分12aと断面一様の角棒材(5mm×5mm)からなる通路形成部分12bとに分離構成されている。伝熱管11…とダミー管部分12a,12aとは同一平面上に密接状に横列配置されており,各ダミー管部分12aとこれに隣接する伝熱管11との間及び隣接する伝熱管11,11間は,夫々,軸線方向において所定間隔毎にスポット溶接することによって連結されている。各通路形成部分12bは,ダミー管部分12aの下面に添接させた状態で,横列管群10の先端側においてのみダミー管部分12aないし第1ヘッダ管23の周面に溶着されている。・・・」(【0016】?【0017】,図3)
オ 「次に,横列管群10の先端部分を成形ドラム30に取外可能に取付ける(図1(A))。・・・
次に,・・・成形ドラム30を上記回転機器によりドラム周面36の・・・始端部36a方向(A方向)に回転させて,横列管群10を,・・・ドラム周面36にその始端部36aから終端部36bへと漸次巻き付けていく。・・・
更に,成形ドラム30の回転に伴って,横列管群10は,各ダミー管12が渦巻状に密着重合されながら,ドラム周面36の回りに渦巻状に湾曲されていく(図2(D))。・・・各伝熱管11は,既に湾曲された伝熱管11との間に通路形成部分12bの厚みに相当する隙間15を形成しつつ,ダミー管部分12a,12aと同一形態で渦巻状に湾曲されていくことになる(図5参照)。・・・」(【0018】?【0023】,図1?図5)
カ 「伝熱管11やダミー管12の形状(肉厚等),材質は,所望する渦巻形伝熱管体10´の形状や流体条件(温度,性状等)に応じて適宜に選定することができる。」(【0032】)

第4 対比及び判断
1 対比
本願発明と引用発明とを,その有する機能に照らして対比すると,引用発明の「熱交換器」,「押出成形物14」,「コア12」,「ハウジング10」は,それぞれ,本願発明の「熱交換器(3)」,「扁平チューブ(7)」,「連続コイル(11,11a,11b)」,「本体(13)」に相当する。
そして,引用発明の「押出成形物14」の「各隣接する巻きと巻き」は,「押出成形物14」からなる「コア12」の「各隣接する巻きと巻き」でもあるから,本願発明の「互いに面している2つの連続コイル(11,11a,11b)」に相当し,「各隣接する巻きと巻きの間に・・・画定される」「狭い隙間26」は,本願発明の「コイル間の隙間(12)」に相当する。
そうすると,本願発明と引用発明とは,以下の点で一致し,相違する。
(一致点)
「熱交換器(3)が,扁平チューブ(7)を渦巻状に巻いた連続コイル(11,11a,11b)を収容している本体(13)を備えており,互いに面している2つの連続コイル(11,11a,11b)が,コイル間の隙間(12)により分離されており,前記コイル間の隙間(12)が,2つの連続コイル(11,11a,11b)間を伸長している熱交換器(3)。」
(相違点)
本願発明は,「コイル間の隙間(12)が,0.5?5mmの間隔Dで,2つの連続コイル(11,11a,11b)間を伸長している」のに対し,引用発明においては,狭い隙間26の間隔が不明である点。

2 判断
(1) 上記相違点について検討する。
引用例2には,横列する複数本の金属製伝熱管を渦巻き形に配設した熱交換器が記載されており,ダミー管部分12aと通路形成部分12bよりなるダミー管12を横列する伝熱管群の両側に配置することにより,伝熱管の間に通路形成部分12bの厚みに相当する隙間15を形成し,渦巻層間に一定の流路を形成する点が記載されるとともに(前記第3・2(2)ウ?オ),当該「通路形成部分12b」を5mmとする点が記載されている(前記第3・2(2)エ)。その技術的な趣旨に鑑みれば,渦巻層間に5mm程度の一定の隙間を形成する点が記載されているといえる。
一般的に,熱交換器の幾何学的構造は,熱効率,圧力損失といったその特性に影響を及ぼすものである。また,用途により熱交換器の大きさに制限があることも通常のことであるから,熱交換器の設計にあたり,その用途に応じて,その大きさ,流路の形状・寸法などについて最適化や好適化を図ることは当然である。
この点に関し,引用例1に「第1冷媒側(蒸気側)の効率の高い熱伝達を達成するために流体チャンネル30を構成する通路32及びウエブ34を最適化するための技術自体は,熱交換器産業において周知である。」(前記第3・2(1)ア(エ))と記載され,流路の構造の最適化や好適化が通常行われていることがわかる。
また,引用例2には,断面形状が一定しないと所定の機能を期待し得ない旨(前記第3・2(2)イ)記載され,流路の断面形状が性能に影響を及ぼすことが記載されていることや,「伝熱管11やダミー管12の形状(肉厚等),材質は,所望する渦巻形伝熱管体10´の形状や流体条件(温度,性状等)に応じて適宜に選定することができる。」(前記第3・2(2)カ)と,熱交換器に求められる特性に応じて隙間15を適宜に設定することが記載されている。
このように,流路の形状・寸法などについての最適化や好適化を図ることは,本願発明,引用発明,引用例2に係る熱交換器のように,流路が渦巻き形式のものにおいても事情は同様で,流路の間隔などがその特性に関わることは明らかであるから,その熱効率,圧力損失,熱交換器の大きさなどとの関係で,検討すべきことは,当業者であれば容易に理解できる。
加えて,引用例1に「押出成形物14は,各隣接する回旋即ち巻き16,18,20,24の間に狭い隙間26が画定されるように巻回され,巻き体として形成されている。これらの隙間26を設定するために任意の適当なスペーサ(図示せず)を用いることができる。」(前記第3・2(1)ア(イ))と記載され,引用発明においても当該「狭い隙間26」の間隔を適宜に設定することについて示唆がされている。
そうすると,引用発明において,具体的に設計するにあたり,引用例2に記載された事項を参考に,当該狭い隙間の間隔を5mm程度(5mmを含むその近傍の値)に設定することは当業者にとって格別困難なことではない。また,このような値をおよそ設定し得ないとすべき事情も認められない。
したがって,引用発明において,当該隙間の間隔を本願発明が規定するような値(0.5?5mm)に設定することは,当業者が容易に想到できたことである。
本願発明の奏する効果をみても,引用発明,引用例2に記載された事項から予測し得る範囲内のものであって,格別ではない。

(2)ア 請求人は,平成26年12月25日付け手続補正書により補正された審判請求書において,概略以下のように主張している。
(ア) 引用例1は,巻き間の隙間を調節することを記載していない。巻き間の隙間を調節することにより,圧力損失を大幅に低下させることができ,最小値まで低下させる隙間値があることを示唆しておらず,巻き間の隙間を調節することにより,熱交換器の熱出力,効率,流体動力,圧力損失及び熱交換器のサイズのバランスをとることを開示も示唆もしていない。
(イ) 引用例2の渦巻形伝熱管体は,本願発明の扁平チューブとは形状が異なるし,流体通路の高さ(対向する伝熱管同士の間隔)は平均的に見れば5mmを超えている。
(ウ) 本願は,扁平チューブからなる渦巻形コイル間の隙間を0.5?5mmとすることにより,圧力損失の大幅な低下を図ることができ,特に最小値が得られることを見出したものであり,このことは当業者にとって自明ではなく,単なる設計的事項ではない。
イ しかし,すでに述べたとおり,熱交換器の設計にあたり,その用途に応じて,その大きさ,流路の形状・寸法などについて最適化や好適化を図ることは当然である。引用発明において,流路となる巻きと巻きとの間の隙間の間隔について,熱効率,圧力損失,熱交換器の大きさなどとの関係で検討すべきことは明らかであるとともに,引用例1にはその点に関する示唆もある。
引用例2に記載された横列する伝熱管は,全体としてみれば扁平チューブといえ,引用発明の押出成形物14と同様のものと解して差し支えない。その技術的な趣旨に鑑みれば,渦巻層間に5mm程度(5mmを含むその近傍の値)の隙間を形成する点が記載されているといえ,引用発明において寸法の設定に当たり十分参考になるものである。
また,圧力損失は発明の具体化に際し当然検討すべき事項であるから,その観点で当該隙間の最適・好適な範囲を特定することも,当業者が適宜なし得ることである。
よって,請求人の主張は採用することができない。

3 以上を総合すると,本願発明は,引用発明及び引用例2に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものである。

第5 むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明及び引用例2に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により,特許を受けることができない。
そして,本願発明が特許を受けることができない以上,その余の請求項に係る発明について検討するまでもなく,本願は拒絶すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-11-18 
結審通知日 2015-11-24 
審決日 2015-12-07 
出願番号 特願2011-538020(P2011-538020)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F28D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 柿沼 善一  
特許庁審判長 千壽 哲郎
特許庁審判官 窪田 治彦
山崎 勝司
発明の名称 コイル形熱交換器と、このコイル形熱交換器を備えている空調装置  
代理人 中馬 典嗣  
代理人 竹沢 荘一  

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