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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H05B
管理番号 1314116
審判番号 不服2014-12044  
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-06-25 
確定日 2016-05-06 
事件の表示 特願2012-109496「ピクセル再生方法及びそれを利用したピクセル再生装置」拒絶査定不服審判事件〔平成24年12月 6日出願公開、特開2012-238597〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯・本願発明
(1)手続の経緯
本願は、平成24年5月11日(パリ条約による優先権主張2011年5月12日、韓国)の出願であって、平成25年12月27日に手続補正がなされ、平成26年2月19日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年6月25日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がなされ、当審において、平成27年7月21日付けで拒絶の理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年10月23日に手続補正がなされたものである。
なお、請求人は、当審拒絶理由に対して平成27年10月23日に意見書を提出している。

(2)本願発明
ア 本願の請求項1ないし6に係る発明は、平成27年10月23日になされた手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載の事項により特定されるものであるところ、請求項1及び3に係る発明は、その特許請求の範囲に記載されたとおりの次のものであると認める。

「 【請求項1】
基板上に有機発光層を挟んで互いに交差するように形成された第1の電極と第2の電極とを含む有機発光素子をステージ上にアラインする第1のステップと、
前記第1の電極及び前記第2の電極間の有機発光層に存在する導電性異物存在領域に、前記レーザビームのサイズを変換するビームサイズ調節部を備えるピクセル再生装置を用いてレーザを照射する第2のステップと、
を含み、
前記第2のステップは、前記導電性異物に直接レーザを照射して前記導電性異物そのものを粉砕して微細な異物粒子に再配列し、または、前記導電性異物のサイズよりも大きくレーザを照射して前記導電性異物を有機発光層から隔離して、ピクセルを正常動作させるステップであり、
前記ピクセル再生装置から照射されるレーザは、10ns以下のパルス幅を有するものを用いており、
前記ビームサイズ調節部は、
モータで駆動される、スリットと、
前記スリットのサイズ及び位置を確認することができる、スリット照明光源と、
レーザ照射時に光経路から離脱するように構成されている、前記スリット照明光源から入射される光の進路を変更させるための、スリット照明用ハーフミラーと、
を具備する、
ことを特徴とする有機発光素子のピクセル再生方法。」
「 【請求項3】
前記第2のステップに代えて、前記導電性異物存在領域の周辺電極にレーザを照射して電極を切断し、前記導電性異物を電気的に隔離して正常動作を行うようにするステップであることを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子のピクセル再生方法。」

イ 請求項3に係る発明についてみると、請求項3に「前記第2のステップに代えて、前記導電性異物存在領域の周辺電極にレーザを照射して電極を切断し、前記導電性異物を電気的に隔離して正常動作を行うようにするステップである・・・」(以下「請求項3のステップ」という。)と記載されていることからみて、該請求項3のステップが、請求項3が引用する請求項1の「前記第1の電極及び前記第2の電極間の有機発光層に存在する導電性異物存在領域に、前記レーザビームのサイズを変換するビームサイズ調節部を備えるピクセル再生装置を用いてレーザを照射する第2のステップ」(以下「第2のステップA」という。)及び「前記第2のステップは、前記導電性異物に直接レーザを照射して前記導電性異物そのものを粉砕して微細な異物粒子に再配列し、または、前記導電性異物のサイズよりも大きくレーザを照射して前記導電性異物を有機発光層から隔離して、ピクセルを正常動作させるステップであり」(以下「第2のステップB」という。)の双方に換えてなされるものであるのか、それとも、第2のステップA及び第2のステップBのうち、いずれか一方に換えてなされるものであるのかが特定されていないため、請求項3に係る発明がいずれの意味であるのか、以下検討する。

ウ 請求項3のステップが、第2のステップA及び第2のステップBの双方に換えてなされるものであるとすると、「第1の電極及び第2の電極間の有機発光層に存在する導電性異物存在領域に、レーザビームのサイズを変換するビームサイズ調節部を備えるピクセル再生装置を用いてレーザを照射する」という「ビームサイズ調節部を備えるピクセル再生装置」を用いるという第2のステップの前提が存在しなくなり、請求項1の「前記ピクセル再生装置から照射されるレーザは、・・・前記ビームサイズ調節部は、・・・を具備する、」という構成との整合がとれなくなるから、請求項3のステップは、第2のステップAの構成を有していることを前提に、第2のステップBに換えてなされるものであると解される。

エ 上記イ及びウからみて、引用関係を整理した請求項3に係る発明は、次のとおりのものと認められる(下線は審決で付した。以下同様。)。
「基板上に有機発光層を挟んで互いに交差するように形成された第1の電極と第2の電極とを含む有機発光素子をステージ上にアラインする第1のステップと、
前記第1の電極及び前記第2の電極間の有機発光層に存在する導電性異物存在領域に、前記レーザビームのサイズを変換するビームサイズ調節部を備えるピクセル再生装置を用いてレーザを照射する第2のステップと、
を含み、
前記第2のステップは、前記導電性異物存在領域の周辺電極にレーザを照射して電極を切断し、前記導電性異物を電気的に隔離して正常動作を行うようにするステップであり、
前記ピクセル再生装置から照射されるレーザは、10ns以下のパルス幅を有するものを用いており、
前記ビームサイズ調節部は、
モータで駆動される、スリットと、
前記スリットのサイズ及び位置を確認することができる、スリット照明光源と、
レーザ照射時に光経路から離脱するように構成されている、前記スリット照明光源から入射される光の進路を変更させるための、スリット照明用ハーフミラーと、
を具備する、
ことを特徴とする有機発光素子のピクセル再生方法。」(以下、「本願発明」という。)

オ なお、本願の請求項3に係る発明は、当審拒絶理由の時点では、平成27年10月23日付けでなされた手続補正前(以下単に「補正前」という。)の平成26年6月25日付けで補正された請求項4に係る発明であり、当審拒絶理由では、補正前の請求項4に係る発明は拒絶の対象となっているから、請求項3に係る発明を上記のように本願発明と認定し、この審決において、請求項3に係る発明に対する当審拒絶理由が妥当であるか否かを以下判断する。

2 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由は概ね次のとおりである。

「本件出願の請求項1?7に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


引用例1.特開2009-266917号公報
引用例2.特開2010-2543号公報
引用例3.特開2008-221237号公報
引用例4.特開2008-142747号公報
引用例5.特開2007-326132号公報
引用例6.特開2006-272416号公報
引用例7.特開2005-276600号公報
引用例8.特開2006-221982号公報
引用例9.特開平11-204815号公報」

3 引用例の記載事項
(1)本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に頒布され、当審拒絶理由で引用例1として引用された刊行物である特開2009-266917号公報には、次の事項が図とともに記載されている。

ア 「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来知られているすべてのリペア方法は、レーザーのパルス幅(パルス時間)がナノ秒オーダーの長いパルス幅であり、欠陥箇所にレーザーを照射して被照射部を加熱し、アブレーション破壊により欠陥除去を行っている。このリペア方法は、液晶表示装置やプラズマディスプレイに適用した場合には、レーザーリペア時の熱的な影響はほとんど問題にならないが、有機発光素子の場合には有機層が熱的な影響を受けやすい。
【0005】
特に、有機発光素子の場合、封止法が缶封止(ハーメチック封止)では、放熱空間が有るためレーザーリペア時の熱的な影響はある程度緩和されるが、電極で挟まれた有機発光層を接着剤などの封止材で封止する固体封止した構造では欠陥救済箇所にレーザーを照射すると熱が放散されずに蓄積されるため、熱的な影響が非常に大きくなる。具体的には、YAGレーザーを照射した箇所で、Al電極薄膜が気泡状に浮き上がったり、有機発光層
と電極との界面に剥離が発生したり、有機発光層が熱で変質するなどのため、リペアに伴い欠陥領域が拡大してしまうという問題がある。
【0006】
加えて、上述の従来のリペア方法では、導電性異物によって電極間がショートしている有機EL照明装置では、全面的に発光しないため、欠陥領域を検出することができないものであった。
【0007】
そこで、本発明の主たる目的は、異物などによる電流リークおよびショートに起因する発光欠陥の発生を抑制した耐久性の高い有機発光素子を提供することにある。
【0008】
また、本発明の他の目的は、有機発光素子における、電流リークおよびショートの発生する欠陥領域を検出し、この欠陥領域を広げることなく最小限の範囲でリペアすることができる有機発光素子のリペア装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の特徴は、有機発光素子であって、基板と、この基板上に形成された第1電極と、この第1電極上に形成された有機発光層と、この有機発光層上に形成された第2電極と、基板上の第1電極、有機発光層、および第2電極を封止する封止材と、を備え、第1電極と第2電極との少なくとも一方に、局部的に素子内部の空洞領域となるリペア用の貫通孔が形成されていることを要旨とする。なお、有機発光層とは、正孔輸送層、発光層、電子輸送層などを含むものでもよいし、正孔および電子の輸送機能を備えた発光層のみであってもよい。
【0010】
貫通孔は、有機発光層における前記第1電極と前記第2電極との間の抵抗の面内均一性を阻害する欠陥領域に対応する領域に形成されており、例えば導電性異物が存在する領域である。導電性異物は、この貫通孔が形成された電極と電気的に遮断されるように部分的に破壊・除去されている。
【0011】
貫通孔は導電性異物(欠陥領域)に直接レーザーを照射せずに、導電性異物の周辺近傍を取り囲むように環状にアノード膜(ITO膜)を加工する構成としてもよい。このような構成にすることにより、第1電極と第2電極との間ショートを取り除く事ができる。
【0012】
欠陥領域は、第1電極と第2電極との間に存在した導電性異物が破壊・除去された除去空間であってもよく、この除去空間は貫通孔とともに素子内部の空洞領域を形成している構成であってもよい。
【0013】
また、貫通孔の周囲の電極の膜状態は、成膜時と変化していないことが特徴であり、具体的には、熱的な変形を起こしていない構成であることが好ましい。
【0014】
さらに、貫通孔ならびに導電性異物の破壊・除去は、貫通孔が形成された電極および有機発光層における熱の伝播するよりも短い、数十ピコ秒以下のパルス時間に設定した超短パルスレーザー照射で行われたことにより達成されていることが好ましい。このような超短パルスレーザーを用いることで、部材の熱的な影響を抑制できるからである。

・・・略・・・

【発明の効果】
【0018】
本発明の第1の特徴に係る発明によれば、異物などによる電流リークおよびショートに起因する発光欠陥の発生を抑制した耐久性の高い有機発光素子を実現することができる。
【0019】
また、本発明の第2の特徴に係る発明によれば、有機発光素子における、電流リークおよびショートの発生する欠陥領域を検出し、この欠陥領域を広げることなく最小限の範囲で確実にリペアすることができるリペア装置を実現することができる。」

イ 「【0021】
[有機発光素子]
(第1の実施の形態)
図1および図2は、本発明の第1の実施の形態に係る有機発光素子10を示している。図1は有機発光素子10を示す図2のI-I断面図、図2は有機発光素子10の平面図である。
【0022】
本実施の形態に係る有機発光素子10は固体封止構造を有する有機EL照明装置に本発明を適用したものである。
【0023】
図1に示すように、有機発光素子10は、基板としての第1透明基板11と、第1透明基板11上に形成された第1電極としての透明なアノード12と、アノード12上に形成された有機発光層13と、この有機発光層13上に形成された第2電極としてのカソード14と、第1透明基板11上に積層されたアノード12、有機発光層13、およびカソード14を封止する封止材としての接着剤層15と、接着剤層15上に重ねられた第2透明基板16と、を備えて大略構成されている。
【0024】
本実施の形態の有機発光素子10において、第1透明基板11および第2透明基板16は透明なガラスでなる。アノード12はITO(Indium Tin Oxide)でなる。有機発光層13は、図示しない正孔輸送層、発光層、電子輸送層を含んでなる。カソード14はアルミニウム(Al)でなる。接着剤層は、例えばエポキシ樹脂でなる。

・・・略・・・

【0028】
特に、本実施の形態の有機発光素子10の特徴は、アノード12における、有機発光層13に混入している導電性異物17に対応する位置に導電性異物17と略同径寸法または導電性異物17よりもやや大きな径寸法のリペア用の貫通孔12aが形成されていることである。また、導電性異物17は、貫通孔12aの外、すなわち有機発光層13側に後退するように加工されている。貫通孔12a内の空隙と、貫通孔12aの外側で導電性異物17の端面までの僅かな空隙とで、空洞領域18が構成されている。
【0029】
ここで、有機発光層13内に混入されている導電性異物17として、カーボンや金属などのパーティクルなどがある。このような導電性異物17は、完全に混入しないようにすることは現実的に困難であり、従来より有機発光層13に混入している。この導電性異物17が存在する領域は、アノード12とカソード14との間の抵抗の面内均一性を阻害する欠陥領域である。このため、本実施の形態のように空洞領域18を設けない場合は、有機発光素子20の発光輝度の面内均一性をさらに悪化させたり、有機発光素子20全体が発光(点灯)不能になるという不都合が生じる。
【0030】
本実施の形態の有機発光素子10は、第1透明基板11上に、順次、アノード12、有機発光層13、カソード14、接着剤層15、第2透明基板16を重ね合わせて作製したものに対して、導電性異物17が混入している欠陥領域を検出する工程と、この欠陥領域に、数十ピコ秒以下のパルス時間に設定した超短パルスレーザー(例えば、ピコ秒レーザーやフェムト秒レーザー)を照射して空洞領域18を加工する工程と、を経て上記の特徴的構造に作製されたものである。
【0031】
因みに、従来用いられていたナノ秒のYAGレーザーでは、被加工物の光吸収特性を利用し、最も吸収し易い加工部材料に合せて波長レーザー(1064/532/354/266nm)を選択することは有効である。ただし、フェムト秒レーザーのように、非常にパルス幅が小さい場合には、非加工物の光吸収特性に依存しない多光子吸収特性により従来非常に加工が困難であった透明材料でもレーザー光の吸収作用が現れ加工することが可能である。また、本実施の形態のように、超精密レーザー加工を目的とする場合は、対物レンズの高倍率化もしくはレーザー波長の短波長化で対応が可能となる。
【0032】
また、フェムト秒レーザーのパルス幅は、貫通孔12aが形成されたアノード12および有機発光層13において熱が伝播するよりも短い時間であるため、熱が伝播する間もなく加工を終了させるため、加工部分の周囲への熱的な影響がほとんどない。具体的には、フェムト秒レーザー照射された部分を確実な形状に加工でき、加工部分の周囲に熱的変形、すなわち有機発光層13の劣化、アノード12やカソード14の熱による剥がれや盛り上がりなどの変形が起きることを抑制できる。このため、本実施の形態では、有機発光素子20における貫通孔12aの周囲のアノード12の膜状態が製造工程における成膜時とほぼ変化ない状態に保たれており、この部分(貫通孔の周辺)における発光特性を劣化させることも抑制できる。
【0033】
このような作用は、パルス幅が、貫通孔12aが形成されたアノード12および有機発光層13において熱が伝播するよりも短い時間数十ピコ秒レーザーにおいても同様の作用を有する。
【0034】
本実施の形態によれば、貫通孔12aを含む空洞領域18がアノード12と導電性異物17を電気的に遮断しているため、この部分でリーク電流やショートが発生することがない。また、上記したような超短パルスレーザーを用いて空洞領域18が加工されているため、超短パルスレーザーの照射に伴い、従来のような加熱加工でのジュール熱は発生せず、また従来のように発生したジュール熱の蓄積も起こらない。この理由は、貫通孔12aが形成されたアノード12および有機発光層13において熱が伝播するよりも短い時間、数十ピコ秒以下のパルス時間に設定した超短パルスレーザーが照射されているからである。
【0035】
本実施の形態に係る有機発光素子10の空洞領域18を含めた構成は独特なものであり、このような構成により、導電性異物17による電流リークおよびショートに起因する発光欠陥の発生を抑制できる。したがって、本実施の形態に係る有機発光素子10は、経時的に導電性異物17に起因した欠陥が発生しやすくなるという従来の問題を解決しており、高い耐久性を実現している。
【0036】
なお、空洞領域18は、極微細な大きさであるため、有機EL照明装置の発光面全体としては無視できる大きさである。このように、極微細な空洞領域18を形成した構成とすることで、有機発光素子10の高い耐久性を実現するとともに、導電性異物17によりショートを起こす構造の有機発光素子10の不良品化を防止でき、パネル品質および歩留まりを向上させることができる。」

ウ 「【0041】
(第3の実施の形態)
図5および図6は、本発明の第3の実施の形態に係る有機発光素子30を示している。
図5は有機発光素子30の図6におけるV-V断面図、図6は有機発光素子30の平面図である。なお、本実施の形態において、上記第1の実施の形態と同一部分は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0042】
本実施の形態の有機発光素子30は、導電性異物17には直接レーザーを照射せずに、アノード12に、導電性異物17の外側を周回するように取り囲む環状貫通孔12bを、数十ピコ秒以下のパルス時間に設定した超短パルスレーザー(例えば、ピコ秒レーザーやフェムト秒レーザー)を照射して加工されたものである。この環状貫通孔12bは、環状の空洞領域19を形成している。
【0043】
また、本実施の形態では、封止材として、接着剤層15に加えて、接着剤層15の下に、第1電極であるアノード12、有機発光層13、および第2電極であるカソード14でなる積層構造を覆う、薄膜保護膜15aを含む構成である。この薄膜保護膜15aは、単層無機膜、積層無機膜、単層有機膜、積層無機膜、有機膜/無機膜の積層膜などを挙げることができる。
【0044】
本実施の形態では、カソード14や有機発光層13には殆ど溝が及ばないように加工されている。アノード12は、透明膜であるため、環状貫通孔12bを形成しても更に目立ちにくいという利点がある。
【0045】
以上、有機発光素子について述べたが、上記した第1?第3の実施の形態では、基板としてガラス基板を用いたが、可撓性を有する樹脂基板を適用してよい。この場合は、超短パルスレーザー照射を行うため樹脂基板の変質や変形も抑制できる。
【0046】
また、上記した第1?第3の実施の形態では、貫通孔12aや環状貫通孔12bをアノード12に形成したが、カソード14に形成する構成としても勿論よい。」

エ 「【0047】
[有機発光素子のリペア装置]
(リペア装置の構成)
次に、図7?図11を用いて本発明の実施の形態に係る有機発光素子のリペア装置100を説明する。なお、図7はリペア装置100の概略構成を示すブロック図、図8および図9はリペア方法を示すフローチャート、図10は導電性異物が混入した有機発光素子10Aの断面図、図11は超短パルスレーザーを導電性異物に照射している状態を示す断面図である。なお、図10および図11において、図1に示した第1の実施の形態の有機発光素子10と同一部分には、同一の符号を付して説明を省略する。
【0048】
図7に示すように、本実施の形態に係る有機発光素子のリペア装置100は、有機発光素子10Aを載置する載置台101と、有機発光素子10Aのアノード12およびカソード14に図示しないプローブにて接続されるテスト駆動電力供給部102と、発光表示検出部103と、温度分布検出部104と、超短パルスレーザー照射部105と、制御部106と、表示部107と、を備えて大略構成されている。
【0049】
載置台101は、図示しないXYZ操作部を備えていて、発光表示検出部103と温度分布検出部104と超短パルスレーザー照射部105とに対して相対的に移動可能に設けられている。
【0050】
制御部106は、テスト駆動電力供給部102と、発光表示検出部103と、温度分布検出部104と、超短パルスレーザー照射部105とを制御する。
【0051】
テスト駆動電力供給部102は、制御部106からの制御信号により所定の電圧を図示しないプローブを介して有機発光素子10Aに印加するとともに、有機発光素子10Aの電圧電流特性を測定してそのデータを制御部106に出力する。
【0052】
発光表示検出部103は、図示しないCCD撮像素子と光学系とを備えており、有機発光素子10Aにテスト駆動電力供給部102から電力が供給されている間に有機発光素子10Aの表面の撮像データを制御部106に出力する。制御部106は、この撮像データに基づいて撮像された像を表示部107に出力する。
【0053】
温度分布検出部104は、サーモグラフィーを備えてなり、発光面の面内温度分布検出を行い検出データを制御部106に出力する。
【0054】
制御部106は、発光表示検出部103および温度分布検出部104からの検出データに基づいて、有機発光素子10Aの欠陥領域の位置を算出する。
【0055】
超短パルスレーザー照射部105は、制御部106からの制御信号に基づき、有機発光素子10Aにおける電極および有機発光層13における熱の伝播するよりも短い、数十ピコ秒以下のパルス時間に設定した超短パルスレーザーを有機発光素子10Aの表面に照射する。
【0056】
このとき、載置台101は、制御部106からの指令により駆動制御される図示しないXYZ操作部によって、発光表示検出部103または温度分布検出部104の検出データにより得られた有機発光素子10Aの欠陥領域を超短パルスレーザー照射部105の直下に配置させることができる。」

オ 「【0057】
(リペア方法)
次に、上記リペア装置100を用いたリペア方法について図8および図9を用いて説明する。なお、このリペア方法は、発光表示検出部103による検出結果に基づくリペア方法(1)と、温度分布検出部104による検出結果に基づくリペア方法(2)とに分けて説明する。
【0058】
リペア方法(1)
リペア方法(1)について以下に説明する。まず、図8に示すように、最初に、リペアの対象である有機発光素子10Aを載置台101の上に載置して、制御部106は、テスト駆動電力供給部102から有機発光素子10Aにテスト電圧を印加させ電圧電流特性を取得する。この電圧電流特性を正常な有機発光素子の電圧電流特性に基づいて特定した基準電圧電流特性と比較してリペアの対象である有機発光素子にリーク電流が発生しているか否かを判定してリーク電流値を取得する(ステップS1)。リーク電流が発生している場合は、有機発光素子10Aに欠陥領域が有ると考えられる。
【0059】
次に、制御部106は、テスト駆動電力供給部102に、有機発光素子10Aに発光を開始する閾値電圧を印加するように指令信号を出力する。そして、有機発光素子10Aの発光状態を、発光表示検出部103で撮像して正常発光像を取得する(ステップS2)。
【0060】
次に、閾値未満の電圧をテスト駆動電力供給部102から印加させて、有機発光素子10Aの閾値未満素子画像を取得する(ステップS3)。
【0061】
次に、閾値未満素子画像の中に周囲に比べて輝度が高い部分があるか否かを制御部106で判定する(ステップS4)。このとき、有機発光素子10Aにリーク電流が発生していない場合は、閾値未満の電圧であるため発光箇所はない。しかし、リーク電流が発生している場合は、その部分が微弱な電流であっても発光して他の部分よりも輝度が高くなり、その結果輝点となって検出される。この工程でリーク電流に起因する発光像が無い場合は、終了する。図10に示すように、導電性異物17が存在して、リーク電流に起因する発光像が有る場合は、表示部107に表示されている発光像と制御部106で算出した欠陥領域の位置情報とを比較し、欠陥位置が一致していない場合は、マウスなどのインターフェイスを用いてリペア位置の情報を制御部106に取得させる(ステップS5)。
【0062】
次に、制御部106は、リペア位置の情報に基づいて載置台101の位置を制御する信号を図示しないXYZ操作部へ出力して有機発光素子10Aの位置決めを行う。そして、図11に示すように、超短パルスレーザー照射部105を駆動制御してリペア位置に向けてレーザー照射を行う(ステップS6)。なお、図11中、符号105aは、リペア位置の焦点深度や照射面積を設定するためのレンズを示している。この結果、リペアが成功すると図1に示すような構造の空洞領域18が形成される。
【0063】
次に、有機発光素子10Aに再度閾値未満の電圧を印加して、閾値未満素子像を取得する(ステップS7)。
【0064】
次に、ステップS7で取得した閾値未満素子像にリーク発光像が有るか否かを判定する(ステップS8)。
【0065】
次に、閾値未満素子像にリーク発光像が発見されない場合は、閾値電圧を印加して正常発光画像を取得する(ステップS9)。一方、リーク発光像が発見された場合は、ステップS5に戻って再度レーザー照射を行う。
【0066】
ステップS9にて正常発光像を取得した後、正常発光像に異常がないかどうかの判定を行う(ステップS10)。ここで、異常があると判定されるとステップS3に戻る。異常が無いと判定されると、有機発光素子10Aの電圧電流特性を計測してリーク電流値を取得する(ステップS11)。
【0067】
次に、このリーク電流値を、レーザー照射前に取得したリーク電流値と比較する(ステップS12)。リーク電流値が減少している場合は正しくリペアされたものとして終了する。リーク電流値が減少していない場合は、再度ステップS3に戻って再度欠陥領域の検出とリペアを行う。」

カ 「【0080】
また、上述の各実施の形態では、有機発光素子として、有機EL照明装置を適用したが、多数の画素領域を有する有機EL表示装置に適用しても勿論よい。」

キ ここで、引用例1の段落【0021】ないし【0067】の記載は、有機発光素子として、有機EL照明装置を適用した場合に関するものであるところ、引用例1の段落【0080】には、「上述の各実施の形態では、有機発光素子として、有機EL照明装置を適用したが、多数の画素領域を有する有機EL表示装置に適用しても勿論よい。」と記載されている。したがって、引用例1には、有機発光素子として多数の画素領域を有する有機EL表示装置を適用した場合の発明も実質的に記載されている。
そこで、上記アないしオに記載された事項を、有機発光素子として多数の画素領域を有する有機EL表示装置を適用した場合に読み替えてみると、引用例1には次の発明が記載されているものと認められる。
「第1透明基板と、第1透明基板上に形成された第1電極としての透明なアノードと、アノード上に形成された有機発光層と、この有機発光層上に形成された第2電極としてのカソードと、第1透明基板上に積層されたアノード、有機発光層、およびカソードを封止する封止材としての接着剤層と、接着剤層上に重ねられた第2透明基板とを備えて構成されている有機発光素子のリペア方法であって、
有機発光素子を載置する載置台と、有機発光素子のアノードおよびカソードにプローブにて接続されるテスト駆動電力供給部と、発光表示検出部と、温度分布検出部と、超短パルスレーザー照射部と、制御部と、表示部と、を備えて構成されているリペア装置を用い、
有機発光素子をリペア装置の載置台の上に載置し、
リペア位置の情報に基づいて載置台の位置を制御する信号をXYZ操作部へ出力して有機発光素子の位置決めを行い、
リペア装置の超短パルスレーザー照射部を駆動制御してリペア位置に向けてレーザー照射を行い、導電性異物には直接レーザーを照射せずに、アノードに、導電性異物の外側を周回するように取り囲む環状貫通孔を、数十ピコ秒以下のパルス時間に設定した超短パルスレーザー、例えば、ピコ秒レーザーやフェムト秒レーザーを照射して加工することにより、第1電極と第2電極との間のショートを取り除く、
有機発光素子のリペア方法。」(以下「引用発明」という。)

(2)本願の優先日前に頒布され、当審拒絶理由で引用例2として引用された刊行物である特開2010-2543号公報には、次の事項が図とともに記載されている。

ア 「【背景技術】
【0002】
従来、レーザ加工によりフォトマスクやFPD(Flat Panel Display)などの修正を行うレーザ加工装置等には、レーザ光の光路内にモータ駆動の可変スリットが設けられており、その可変スリットのXY方向の幅を調整して、レーザカットしたい範囲にスリット形状を一致させておくことで、レーザ光を出射させると、一致させたスリット形状の範囲のみがレーザカット出来るスリット幅調整装置が備えられていることが知られている。
【0003】
このようなスリット幅調整装置として、スリット部材が接触して、スリット幅が零の時に原点信号を発生する原点信号発生電極をステッピングモータ駆動の可変スリットに取り付けることにより、その原点に基づいて可変スリットを所定の幅に調整できる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。」

イ 「【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図を参照して、本発明に係るスリット幅調整装置及び顕微鏡レーザ加工装置の具体的な態様を詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0013】
図1は、本発明のスリット幅調整装置30を適用した顕微鏡レーザリペア装置1(顕微鏡レーザ加工装置)を示す断面図であり、図2は、スリット幅調整装置30を示す平面図であり、図3は、図2のIII-III線断面図を示しており、図4は、第1組幅調整機構30及びABS原点センサ101を示す斜視図であり、図5は、第2組幅調整機構40及びABS原点センサ111を示す斜視図であり、図6はスリット幅調整装置30のブロック図であり、図7は同上実施形態の駆動指令値とスリット幅の関係を示す図である。ここで、図1における顕微鏡レーザリペア装置1の左右方向をX方向とし、前後方向をY方向とし、上下方向をZ方向とする。
【0014】
顕微鏡レーザリペア装置1は、試料Wを載置するステージ20と、このステージ20に対して三次元方向(X、Y,Z方向)へ相対移動可能に設けられた筐体10と、筐体10の下端部に備え付けられ、倍率の異なる対物レンズ12A(12B,12C)が選択的に取り付けられるように構成された対物レンズ交換装置11と、を備えている。
【0015】
図1に示すように、筐体10の内部には、X方向左側であってZ方向下側に配置されたレーザ光出射装置18と、レーザ光出射装置18のZ方向上側に配置されたミラー17と、ミラー17のX方向右側に配置されたミラー16と、ミラー16のZ方向下側に配置されたスリット幅調整装置30と、ミラー16とスリット幅調整装置30との間に配置されたビームスプリッタ15と、ビームスプリッタ15のX方向右側に配置されたスリット用照明22と、スリット幅調整装置30のZ方向下側に配置されたビームスプリッタ13と、ビームスプリッタ13のX方向右側に配置された観察用照明21と、スリット幅調整装置30とビームスプリッタ13との間に配置されたビームスプリッタ14と、ビームスプリッタ14のX方向のX方向右側に配置されたミラー23と、ミラー23のZ方向上側に配置された観察用カメラ24と、を備えて構成される。
【0016】
レーザ光出射装置18は、例えば、YAGレーザ等のレーザ加工用のレーザ光を出射する光源であり、Z方向端部に備えられたビームエクスパンダ(図示省略)により、レーザ光を平行光束として拡大して、ミラー17に向けて出射する。
【0017】
ミラー17及びミラー16は、レーザ光出射装置18より出射されたレーザ光が、光路Lを辿り試料Wへ照射されるように、所定の方向へ反射させる。
具体的には、ミラー17は、レーザ光出射装置18より出射されたZ方向上向きのレーザ光をX方向左向きに反射させ、ミラー16は、ミラー17により反射されたレーザ光をZ方向下向きに反射させる。
【0018】
スリット幅調整装置30は、ミラー16にて反射したレーザ光を、所定の幅に調整されるスリット開口部にのみ通過させる装置であり、このスリット幅調整装置30を通過させることで、試料Wをスリット開口部の大きさに応じてレーザカット出来るようになっている。このスリット幅調整装置30の構造については後に詳述する。
【0019】
ビームスプリッタ15は、光路(光軸線)L上に配置され、スリット用照明22より照射される照明光をZ方向下向きに反射させるとともに、ミラー16を反射したレーザ光を透過させて、スリット幅調整装置30のスリット開口部を通過させる。
【0020】
ビームスプリッタ13は、光路(光軸線)L上に配置され、観察用照明21より照射される照明光をZ方向下向きに反射させるとともに、スリット幅調整装置30のスリット開口部を通過したレーザ光を透過させて、対物レンズ12Aに入射させる。
【0021】
ビームスプリッタ14は、光路(光軸線)L上に配置され、スリット用照明22又は観察用照明21より試料Wに照射された照明光の反射光を、X方向右側に反射させるとともに、スリット幅調整装置30のスリット開口部を通過したレーザ光を透過させて、ビームスプリッタ13に入射させる。
ミラー23は、ビームスプリッタ14により反射された照明光の反射光を、Z方向上側に配置された観察用カメラ24に向けて反射させる。
【0022】
観察用カメラ24は、上記スリット用照明22及び観察用照明21より試料Wに照射された照明光の反射光が、ビームスプリッタ14及びミラー23を介して観察用カメラ24に到達するように配置されている。
つまり、ユーザは観察用カメラ24により試料W及びそのレーザカット対象部を見ながら、スリット幅調整装置30にてスリット開口部をレーザカットしたい範囲に調整し、レーザ光出射装置18によりレーザ光を出射させて、調整したスリット開口部の範囲のみをレーザカットすることができる。
さらに、観察用カメラ24は、スリット幅調整装置30のスリット開口部の画像(以下、スリット画像)を撮像することが出来るため、撮像手段として機能している。」

ウ 「【図1】



エ 上記アないしウから、引用例2には、以下の事項が記載されている。
「試料Wを載置するステージ20と、このステージ20に対して三次元方向(X、Y,Z方向)へ相対移動可能に設けられた筐体10と、筐体10の下端部に備え付けられ、倍率の異なる対物レンズ12A(12B,12C)が選択的に取り付けられるように構成された対物レンズ交換装置11と、を備え、
筐体10の内部には、X方向左側であってZ方向下側に配置されたレーザ光出射装置18と、レーザ光出射装置18のZ方向上側に配置されたミラー17と、ミラー17のX方向右側に配置されたミラー16と、ミラー16のZ方向下側に配置されたスリット幅調整装置30と、ミラー16とスリット幅調整装置30との間に配置されたビームスプリッタ15と、ビームスプリッタ15のX方向右側に配置されたスリット用照明22と、スリット幅調整装置30のZ方向下側に配置されたビームスプリッタ13と、ビームスプリッタ13のX方向右側に配置された観察用照明21と、スリット幅調整装置30とビームスプリッタ13との間に配置されたビームスプリッタ14と、ビームスプリッタ14のX方向のX方向右側に配置されたミラー23と、ミラー23のZ方向上側に配置された観察用カメラ24と、を備えて構成された、顕微鏡レーザリペア装置において、
ビームスプリッタ15は、光路(光軸線)L上に配置され、スリット用照明22より照射される照明光をZ方向下向きに反射させるとともに、ミラー16を反射したレーザ光を透過させて、スリット幅調整装置30のスリット開口部を通過させていること。」(以下「引用例2の記載事項」という。)

(2)周知の事項
ア 特開2008-221237号公報の記載
当審拒絶理由で引用例3として引用された特開2008-221237号公報(以下「周知例1」という。)は、本願の優先日前に頒布された刊行物であって、当該周知例1には次の記載がある。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工装置に関する。例えば、液晶基板、半導体基板やプリント基板等において、パターンの一部が欠落したオープン欠陥を修復するレーザ加工(リペア加工)を行うレーザ加工装置に関する。」
(イ)「【0015】
空間変調素子6は、レーザ光源部30のコリメートユニット4から投射されたレーザ光31を空間変調する反射型空間変調素子である。本実施形態では、微小ミラーアレイであるDMD(Digital Micro mirror Device)を採用している。すなわち、図1の紙面奥行き方向に延在された基準平面内に、例えばMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術などで形成された複数の微小ミラー6aが2次元的に配列され、図2(a)に示すように、長辺W×短辺Hの矩形状の変調領域Mが形成されている。
各微小ミラー6aの裏面側には、図2(b)に示すように、微小ミラー6aに電界を加えるミラー駆動部6bが設けられており、各微小ミラー6aは、空間変調素子6に電気的に接続された空間変調素子駆動部77からの制御信号によって発生する静電電界によって、オン状態では、例えば、基準平面から+12°回転され、オフ状態では、基準平面から-12°回転される。以下では、オン状態の微小ミラー6aによって反射された光をオン光32、オフ状態の微小ミラー6aによって反射された光をオフ光35と称する。
本実施形態では、コリメートユニット4から投射されたレーザ光31は、反射ミラー5aによって偏向され、空間変調素子6の基準平面に対して一定の入射角で照射されるようになっている。
【0016】
結像レンズ7、対物レンズ10は、空間変調素子6で空間変調され、一定方向に向けて反射されたオン光32による像を、基板11の被加工面11a上に結像するレンズまたはレンズ群からなる光学素子である。本実施形態では、対物レンズ10は無限遠設計とされている。
結像レンズ7は、本実施形態では、光軸が基板11と平行となる姿勢に設けられており、空間変調素子6と結像レンズ7との間に、空間変調素子6のオン光32を結像レンズ7の光軸に沿って入射させる反射ミラー5bが配置されている。
【0017】
対物レンズ10は、その光軸が被加工面11aの法線方向に沿うように配置され、結像レンズ7と対物レンズ10との間には、結像レンズ7の光軸を、対物レンズ10の光軸に折り曲げるビームスプリッタ8が設けられている。
ビームスプリッタ8は、オン光32の波長光を反射し、後述する観察用光33の波長光を透過させるビームスプリッタ面を備えている。
また、対物レンズ10は、倍率に応じた複数セットが、不図示のレボルバ機構などによって切り替え可能に設けられ、各対物レンズ10の鏡筒10aは、対物レンズ10が光軸上にセットされた状態で光軸方向に沿って移動可能とされている。
このような対物レンズ10の切り替え、および光軸方向の移動は、制御ユニット60の対物レンズ制御部73(図4参照)に電気的に接続された対物レンズ移動機構15(結像位置移動機構)によって行われる。
【0018】
結像レンズ7、対物レンズ10からなる結像光学系の投影倍率は、被加工面11a上での必要な加工精度に応じて適宜設定される。例えば、変調領域M全体のW×Hの大きさの画像が、被加工面11a上で、倍率βで、W’×H’の大きさに投影されるように設定する。すなわち、被加工面11a上のW’×H’の範囲の領域が加工可能領域Rとなる。
ここで、結像レンズ7のNAは、加工に必要な分解能を満たし、かつオフ光(不図示)として反射された光が、入射しない大きさとされる。
【0019】
ビームスプリッタ8と対物レンズ10との間の光路上には、対物レンズ10を通して被加工面11aを落射照明するために、照明光源14によって出射され、照明用レンズ14aによって略平行光に集光された観察用光33を光路上に合成するハーフミラー9が設けられている。
照明光源14は、加工形状を決定したり、加工結果を確認するために被加工面11a上の加工可能領域内を照明する光源である。例えば、可視光を発生するキセノンランプやLEDなど適宜の光源を採用することができる。
ハーフミラー9は、オン光32を透過させ、観察用光33の一部を反射する反射透過率特性を有するハーフミラーからなる。また、ハーフミラー9の反射透過率特性は、波長特性が付与されていてもよく、この場合、オン光32の波長に対して高透過率、好ましくは略100%の透過率にするとよい。このようにすれば、結像光学系での光量損失を低減することができる。また、レーザ光31の照射時にはね上げや移動による光路から退避可能な構成としてもよい。」

イ 特開2007-326132号公報の記載
当審拒絶理由で引用例5として引用された特開2007-326132号公報(以下「周知例2」という。)は、本願の優先日前に頒布された刊行物であって、当該周知例2には次の記載がある。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工装置に関する。例えば、レーザ光を照射することにより被加工物の指定領域の除去、切断などを行うレーザ加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザ光を被加工物の所望領域に照射することにより加工を行うレーザ加工装置が知られている。例えば、液晶ディスプレイなどの製造において、ガラス基板上の配線パターンや、露光に用いるフォトマスクに存在する不要な残留物などの欠陥部を修正する手段として、レーザリペア装置が知られている。
このレーザ加工装置は、レーザ光の照射領域の大きさを可変の矩形開口などで規定していたが、近年、マイクロミラーアレイなどの空間変調素子を用いた装置も知られている。
例えば、特許文献1には、レーザ源と、被加工物を載置する加工テーブルと、微小ミラーアレイ(マイクロミラーアレイ)とを備え、微小ミラーアレイの複数のミラー片の角度を、ON/OFF制御することで切り換えて、被加工物に任意のパターン形状を形成するレーザ加工装置が記載されている。
このレーザ加工装置に使用されるレーザの波長は、加工対象によって適切な波長が選択される。例えば、レーザリペア装置では、金属膜の修正には可視?赤外帯、透明膜には紫外帯、というように被加工物に吸収されやすい波長が使用される。波長を切り換えるために、複数のレーザを備えた装置や、1つの基本波長のレーザの複数の高調波をきりかえられるようにした装置などが存在する。」
(イ)「【0026】
微小ミラーアレイ3と結像レンズ7との間の光路中には、被加工面10aの像を取得するために、投影光学系51を透過した光の光路を分岐するビームスプリッタ6が配置されている。
ビームスプリッタ6は、例えばハーフミラーでもよいが、ビームスプリッタ面にレーザ光L2、L3の波長光を透過し、それらの波長光を除く光を反射するような波長特性を有するコーティングが施されたものを採用してもよい。
また、結像レンズ7と対物レンズ9との間の光路中には、その光路の側方に配置された観察用光源11からの光を反射して対物レンズ9に導き、被加工面10a上に照射するとともに、被加工面10aで反射された観察用光源11からの光を透過して結像レンズ7に導くビームスプリッタ8が配置されている。
ビームスプリッタ8は、例えばハーフミラーや偏光ビームスプリッタなどを採用することができる。
ビームスプリッタ6、8は、常時光路中に配置してもよいが、例えば、それぞれを適宜の進退機構によって、光路上に進退可能に保持しておき、レーザ加工時に光路外に退避するようにしてもよい。」

ウ 特開2006-272416号公報の記載
当審拒絶理由で引用例6として引用された特開2006-272416号公報(以下「周知例3」という。)は、本願の優先日前に頒布された刊行物であって、当該周知例3には次の記載がある。
(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光を加工対象物に照射して該加工対象物を加工するレーザ加工装置に関するものである。」
(イ)「【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明を具体化した一実施の形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施の形態のレーザ加工装置10の構成ブロック図である。本実施の形態のレーザ加工装置10は、加工対象物Wの表面に文字・記号・図形などをマーキング加工するものである。
【0030】
レーザ加工装置10は、加工用のレーザ光を出射するレーザ光源11を備えている。レーザ光源11は、レーザ発振器からなり、制御回路12にてその発振が制御される。
レーザ光源11の後段には、ビームエキスパンダ13が配設されている。ビームエキスパンダ13は、レーザ光源11から出射されたレーザ光を一定の倍率、より詳しくは入射ビーム径(幅)に対する出射ビーム径(幅)の比率の平行光に拡大するために設けられている。因みに、後段の収束レンズ16に入射するレーザ光のビーム径が大きいほど収束レンズ16から出射されたレーザ光のスポットが微小となるため、ビームエキスパンダ13を用いてレーザ光のビーム径を一旦拡大する。

・・・略・・・

【0033】
また、上記したビームエキスパンダ13は、具体的に、レーザ光を一定の倍率まで拡大するための入射レンズ17と出射レンズ18とを有している。ここで、ビームエキスパンダ13の倍率(性能)は、入射レンズ17及び出射レンズ18の両レンズの焦点距離により決定されるため、これら両レンズ17,18間の距離縮小に限界がある。換言すれば、これら両レンズ17,18間には所定距離以上の空間が必要である。本実施の形態では、このように入射レンズ17と出射レンズ18との間に生じる空間に着目し、その空間にガイド光照射装置21の一部を構成するダイクロイックミラー22と、モニタ装置25の一部を構成するハーフミラー26とを収容する構成としている。
【0034】
ガイド光照射装置21は、上記したダイクロイックミラー22と、ガイド用レンズ23と、可視光光源24とを備えている。ダイクロイックミラー22は、ビームエキスパンダ13の入射レンズ17の後段に配置されて固定されている。ダイクロイックミラー22は、レーザ光の光路上(光軸上)において、その光軸に対して所定角度(本実施の形態では45°)傾斜させて配置されている。このようなダイクロイックミラー22は、レーザ光を透過する一方、ガイド光を反射するように構成されている。」
(ウ)「【0051】
・上記実施の形態では、ダイクロイックミラー22をビームエキスパンダ13内に固定したが、ハーフミラー26をアクチュエータ28にて進退可能に作動させたように、ガイド光入射手段であるダイクロイックミラー22を進退駆動手段を用いてレーザ光の光路に進退可能に構成してもよい。この場合、ダイクロイックミラー22に替えてハーフミラーや全反射ミラーを用いることもできる。
【0052】
因みに、制御回路12の制御により、レーザ光による加工時にダイクロイックミラー22等のガイド光入射手段をレーザ光の光路外に退避させ、ガイド光による投射時にガイド光入射手段をレーザ光の光路上に進入させるように制御してもよい。このようにすれば、レーザ光による加工時においてガイド光入射手段をレーザ光の光路上から確実に退避することができるため、ガイド光入射手段でのレーザ光の損失をより確実に低減することができる。」

エ 周知例1ないし3から把握される周知技術
上記アないしウからみて、本願の優先日前に、「レーザ加工装置において、レーザ光の損失を低減するために、光路上に設けられたハーフミラーやダイクロイックミラーをレーザ光の照射時に退避させること」は周知であったと認められる(以下「周知技術」という。)。

4 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「第1透明基板」、「有機発光層」、「第1電極としての透明なアノード」、「第2電極としてのカソード」、「有機発光素子」、「載置台」、「導電性異物」及び「レーザー」は、それぞれ、本願発明の「基板」、「有機発光層」、「第1の電極」、「第2の電極」、「有機発光素子」、「ステージ」、「導電性異物」及び「レーザ」に相当する。

(2)引用発明の有機発光素子が各画素を含むことは当業者に自明であるから、引用発明の「有機発光素子」の画素は、本願発明の「ピクセル」に相当する。そして、引用発明の「リペア装置」及び「有機発光素子のリペア方法」は、それぞれ、本願発明の「ピクセル再生装置」及び「有機発光素子のピクセル再生方法」に相当する。

(3)ア 引用発明は、「基板(第1透明基板)」(引用発明の用語を本願発明の用語に置き換えた。()内は置き換え前の引用発明の用語。以下同様。)と、「基板」上に形成された「第1の電極(第1電極としての透明なアノード)」と、「第1の電極」上に形成された「有機発光層(有機発光層)」と、この「有機発光層」上に形成された「第2の電極(第2電極としてのカソード)」と、「基板」上に積層された「第1の電極」、「有機発光層」、および「第2の電極」を封止する封止材としての接着剤層と、接着剤層上に重ねられた第2透明基板とを備えて構成されている「有機発光素子」の「ピクセル再生方法(リペア方法)」である。
イ 引用発明の「有機発光素子」は、「基板(第1透明基板)」と、「基板」上に形成された「第1の電極(第1電極としての透明なアノード)」と、「第1の電極」上に形成された「有機発光層(有機発光層)」と、この「有機発光層」上に形成された「第2の電極(第2電極としてのカソード)」とを備えて構成されている。
ウ 引用発明は、「有機発光素子」を「ピクセル再生装置(リペア装置)」の「ステージ(載置台)」の上に載置するものであり、有機発光素子をステージの上に載置する際に、位置合わせを一切せずに載置することは考えられないから、有機発光素子をステージ上に調整、すなわち、「アライン」して載置していることは当業者に自明である。
エ 上記アないしウからみて、引用発明の「有機発光素子のピクセル再生方法(有機発光素子のリペア方法)」と、本願発明の「有機発光素子のピクセル再生方法」とは、「基板上に有機発光層を挟んで形成された第1の電極と第2の電極とを含む有機発光素子をステージ上にアラインする第1のステップ」を含む点で一致する。

(4)ア 引用発明は、「有機発光素子」のリペア位置に向けてレーザー照射を行い、「導電性異物(導電性異物)」には直接レーザーを照射せずに、「第1の電極(アノード)」に、「導電性異物」の外側を周回するように取り囲む環状貫通孔を数十ピコ秒以下のパルス時間に設定した超短パルス「レーザ(レーザー)」を照射して加工するのであり、前記環状貫通孔が加工される部分も導電性異物が存在する箇所の周辺領域であり、本願発明においても、「導電性異物存在領域に・・・レーザを照射する」としつつも、結局のところ「前記導電性異物存在領域の周辺電極にレーザを照射」しているものである。
イ また、引用発明は、「導電性異物」の外側を周回するように取り囲む環状貫通孔を超短パルス「レーザ(レーザー)」を照射して加工することにより、第1電極と第2電極との間のショートを取り除くのであるから、ショートを取り除くことにより、「ピクセル(有機発光素子)」を正常動作させていることは当業者に自明である。
ウ 上記ア及びイからみて、引用発明の「有機発光素子のピクセル再生方法(有機発光素子のリペア方法)」と、本願発明の「有機発光素子のピクセル再生方法」とは、「前記第1の電極及び前記第2の電極間の有機発光層に存在する導電性異物存在領域に、ピクセル再生装置を用いてレーザを照射する第2のステップ」を含み、該「第2のステップ」が「導電性異物のサイズよりも大きくレーザを照射して前記導電性異物を有機発光層から隔離してピクセルを正常動作させ」ている点で一致する。

(5)引用発明において、照射する超短パルス「レーザ(レーザー)」が数十ピコ秒以下のパルス時間に設定したものであるから、引用発明の「有機発光素子のピクセル再生方法(有機発光素子のリペア方法)」と、本願発明の「有機発光素子のピクセル再生方法」とは、「ピクセル再生装置から照射されるレーザは、10ns以下のパルス幅を有するものを用いて」いる点で一致する。

(6)上記(1)ないし(5)からみて、本願発明と引用発明とは、
「基板上に有機発光層を挟んで形成された第1の電極と第2の電極とを含む有機発光素子をステージ上にアラインする第1のステップと、
前記第1の電極及び前記第2の電極間の有機発光層に存在する導電性異物存在領域に、ピクセル再生装置を用いてレーザを照射する第2のステップと、
を含み、
前記第2のステップは、前記導電性異物存在領域の周辺電極にレーザを照射して電極を切断し、前記導電性異物を電気的に隔離して正常動作を行うようにするステップであり、
前記ピクセル再生装置から照射されるレーザは、10ns以下のパルス幅を有するものを用いている、
有機発光素子のピクセル再生方法。」の点で一致し、次の点で相違する。

相違点1:
本願発明では、第1の電極と第2の電極とが有機発光層を挟んで互いに交差するように形成されたものであるのに対し、
引用発明では、有機発光層を挟んで形成されたものであるが、互いに交差するように形成されたものであるかどうかが明らかでない点。

相違点2:
前記「ピクセル再生装置」が、
本願発明では、レーザビームのサイズを変換するビームサイズ調節部を備え、前記ビームサイズ調節部は、モータで駆動される、スリットと、前記スリットのサイズ及び位置を確認することができる、スリット照明光源と、レーザ照射時に光経路から離脱するように構成されている、前記スリット照明光源から入射される光の進路を変更させるための、スリット照明用ハーフミラーと、を具備するのに対し、
引用発明では、所定のビームサイズ調節部を備えているかどうかが不明な点。

5 判断
(1)上記相違点1について検討する。
ア 本件出願の明細書の段落【0020】には、「本発明にかかるピクセル再生方法に適用される有機発光素子は、受動型のPM OLEDと能動型のAM OLEDの両方に適用できる」と記載されているから、本願発明の要旨には、有機発光素子が、受動型のPM OLEDである場合が含まれるものである。
イ ところで、多数の画素領域を有する有機EL表示装置として、互いに交差するように形成された第1の電極と第2の電極を具備する、いわゆるパッシブマトリクス型の有機EL表示装置は例示するまでもなく周知である。また、引用例1の段落【0018】に記載された「異物などによる電流リークおよびショートに起因する発光欠陥の発生を抑制した耐久性の高い有機発光素子を実現することができる」という発明の効果は、パッシブマトリクス型の有機EL表示装置においても好適に奏されるものである。
ウ そうしてみると、引用発明の適用対象をパッシブマトリクス型の有機EL表示装置とすることは、単なる用途限定にすぎないものであり、また、そのようにしてなる引用発明の第1のステップは、「基板上に有機発光層を挟んで互いに交差するように形成された第1の電極と第2の電極とを含む有機発光素子をステージ上にアラインする第1のステップ」に他ならない。
エ してみると、引用発明において、上記相違点1に係る本願発明の構成となすことは当業者が適宜なし得たことである。

(2)上記相違点2について検討する。
ア 引用例2の記載事項は、レーザ光出射装置18と、レーザ光出射装置18のZ方向上側に配置されたミラー17と、ミラー17のX方向右側に配置されたミラー16と、ミラー16のZ方向下側に配置されたスリット幅調整装置30と、ミラー16とスリット幅調整装置30との間に配置されたビームスプリッタ15と、ビームスプリッタ15のX方向右側に配置されたスリット用照明22と、を備えた顕微鏡レーザリペア装置において、ビームスプリッタ15は、光路(光軸線)L上に配置され、スリット用照明22より照射される照明光をZ方向下向きに反射させるとともに、ミラー16を反射したレーザ光を透過させて、スリット幅調整装置30のスリット開口部を通過させているというものである。
イ レーザ加工装置において、レーザ光の損失を低減するために、光路上に設けられたハーフミラーやダイクロイックミラーをレーザ光の照射時に退避させることは周知である。
ウ 引用発明の「有機発光素子のリペア方法」(有機発光素子のピクセル再生方法)に用いられる「有機発光素子のリペア装置」(ピクセル再生装置)は、引用例1の【0062】(上記3(1)オ)に記載されているように、リペア位置の焦点深度や照射面積を設定するためのレンズを備えるものであるから、引用発明において、リペア位置の照射面積を設定する際に、引用例2の記載事項の「顕微鏡レーザリペア装置」のスリット幅調整装置等の構成を適用することは、上記アからみて、当業者が容易になし得ることである。
エ そして、引用発明に引用例2の記載事項を適用した際に、レーザ光の照射時における該レーザ光のビームスプリッタの通過による損失をできるだけ減らすこと(上記イ)が当業者にとって自明な課題であるところ、当該課題を解決するために、レーザ光の照射時にビームスプリッタを光路から退避するようになすことは、上記イからみて、当業者が周知技術に基づいて適宜なし得たことである。
オ してみると、引用発明において、上記相違点2に係る本願発明の構成となすことは、当業者が引用例2の技術事項及び周知技術に基づいて適宜なし得た程度のことである。

(3)本願発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果、引用例2の記載事項の奏する効果及び周知技術の奏する効果から当業者が予測することができた程度のことである。

(4)したがって、本願発明は、当業者が引用例1、2に記載された発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものである。

6 むすび
本願発明は、当業者が引用例1、2に記載された発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-12-01 
結審通知日 2015-12-03 
審決日 2015-12-15 
出願番号 特願2012-109496(P2012-109496)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H05B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 本田 博幸  
特許庁審判長 藤原 敬士
特許庁審判官 樋口 信宏
鉄 豊郎
発明の名称 ピクセル再生方法及びそれを利用したピクセル再生装置  
代理人 吉澤 弘司  
代理人 岡部 讓  
代理人 吉澤 弘司  
代理人 岡部 讓  

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