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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C12N
管理番号 1314137
審判番号 不服2014-20472  
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-10-09 
確定日 2016-05-06 
事件の表示 特願2010-529137「糖タンパク質のシアリル化を改善するための組成物および方法」拒絶査定不服審判事件〔平成21年 4月16日国際公開、WO2009/049284、平成23年 1月 6日国内公表、特表2011-500032〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.出願の経緯・本願発明
本願は、平成20年(2008)10月13日を国際出願日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2007年10月12日 米国)とする出願であって、その請求項1に係る発明は、平成26年2月26日付手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された、以下のとおりのものである。

「染色体に組み込まれた、非細胞質シアリダーゼをコードする少なくとも1つの核酸配列の発現が破壊されており、該非細胞質シアリダーゼのアミノ酸配列が、配列番号4と少なくとも80%同一であり、および/または配列番号2と少なくとも95%同一である、細胞株。」(以下、「本願発明」という。)

2.引用例
原査定の拒絶の理由で引用文献1として引用された本願優先日前の2007年9月13日に頒布された刊行物である国際公開第2007/102432号(以下、「引用例1」という。)には、
(i)「本発明は、シアリダーゼ活性を抑制する低分子干渉RNA(small interfering RNA;以下、siRNAと略記する。)を導入させた細胞、該細胞を用いる糖蛋白質分子の製造方法、および該製造方法により得られる糖蛋白質組成物に関する。本発明は、また、siRNAを用いた、シアリダーゼ活性を抑制する方法に関する。
背景技術
シアリダーゼは糖蛋白質に付加した糖鎖の非還元末端からシアル酸を除去することによって糖鎖分解の初発反応を触媒するエキソ型α-グリコシダーゼの一種である。シアリダーゼによって糖蛋白質に付加した糖鎖の非還元末端からシアル酸残基が除去されると多くの糖蛋白質分子の機能が変化する。これまで、シアリダーゼの機能を解明するには、細菌やウイルス由来のシアリダーゼが用いられてきたため、哺乳動物の生体内でシアル酸がどのように脱離されるのかについては詳しい解析がなされていなかった。しかしながら、近年、哺乳動物の内在性シアリダーゼが、糖鎖分解の最初の反応をつかさどることによって、糖鎖修飾されている生体分子の異化分解を調節し、立体構造や受容体による認識機構、細胞接着や免疫機構などに影響を与えるなどの、多くの重要な細胞機能を制御することが明らかとなった(非特許文献1)。
哺乳動物には、細菌やウイルスのシアリダーゼとは異なる、少なくとも4種のシアリダーゼが存在する(非特許文献2、3)。哺乳動物の内在性シアリダーゼは、細胞質(非特許文献4)、リソソーム内腔(非特許文献5)、リソソーム膜(非特許文献6)および形質膜(非特許文献6)に局在し、互いに基質特異性などの酵素学的な性状が異なっている。
最初の哺乳動物シアリダーゼとして細胞質シアリダーゼ遺伝子(NEU2シアリダーゼ)の構造が明らかになり(非特許文献7)、次いでリソソームシアリダーゼ(NEU1)(非特許文献8)と形質膜シアリダーゼ(NEU3)(非特許文献9)の遺伝子がクローニングされた。微生物が起源であるシアリダーゼ含め、各種シアリダーゼのアミノ酸配列の相同性はそれほど高くないが、複数のアスパラギン酸ボックス(Ser-X-Asp-X-Gly-X-Thr-Trp)配列の存在や、N末端付近のPhe-Arg-Ile-Pro配列、および2つのアスパラギン酸ボックス配列の間に位置するVal-Gly-X-Gly配列など、共通に見出されるアミノ酸配列が保存されている。さらに、シアリダーゼ活性に関与するアミノ酸残基が高度に保存されており、アミノ酸立体構造に高い類似性がある。例えば、サルモネラLT2由来シアリダーゼの結晶構造(非特許文献10)は、ヒトNEU2シアリダーゼの結晶構造(非特許文献11)と類似している。
NEU2シアリダーゼ遺伝子は、1679塩基長からなり379アミノ酸残基からなる一本鎖ポリペプチドをコードしている。NEU2シアリダーゼには、2個のアスパラギン酸ボックス配列が存在し、システイン残基やβシート構造に富み、微生物由来シアリダーゼと類似した立体構造をとることが知られている。本酵素は細胞質に存在し、中性pH付近で働き、オリゴ糖、ガングリオシド、糖蛋白質を基質としている。特に、精巣や骨格筋に高発現し、骨格筋細胞の分化に重要な役割を果たすことが報告されている(非特許文献12)。NEU2シアリダーゼについては、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(非特許文献13)、ヒト骨格筋(非特許文献14)、マウス脳(非特許文献15)およびマウス胸腺(非特許文献16)から遺伝子が単離されている。
一般に、医薬への応用が考えられている糖蛋白質の多くは、遺伝子組換え技術を用いて作製され、哺乳動物由来の細胞、例えばチャイニーズハムスター卵巣組織由来のCHO細胞やマウスミエローマ細胞などを宿主細胞として用い製造されている。しかしながら、発現させた糖蛋白質の糖鎖構造は宿主細胞や培養方法によって異なるため、現状では、必ずしも最適な薬理活性が発揮できるような糖鎖が付加されているとは限らない。特に、糖鎖の非還元末端シアル酸の付加は、投与した糖蛋白質の薬理活性に大きな影響を与える場合があるため、シアル酸修飾を制御した糖蛋白医薬品を製造し提供することが重要である。」(第1頁第4行?第2頁下から第5行:下線は当審により付与した。以下同じ。)、

(ii)「これまでに開発されたシアル酸付加率の低下を防止するための培養工学的な手法としては、各種培養パラメーターの最適化(非特許文献25、特許文献1)や、シアリダーゼ阻害活性を有する物質を培地成分に添加する手法(非特許文献24、特許文献2)などが挙げられる。 ・・・(途中省略)・・・
糖蛋白質を生産する細胞から漏出するシアリダーゼを制御する細胞工学的な手法としては、アンチセンスによってNEU2シアリダーゼ mRNAのスプライシングやmRNAの翻訳を阻害する方法、相同組換えによってゲノム上NEU2遺伝子座を破壊することが知られている(特許文献3)。アンチセンスによってNEU2 シアリダーゼmRNAのスプライシングや翻訳を阻害する方法については、クローニングされたCHO細胞のNEU2シアリダーゼ cDNA配列(非特許文献13)をもとに、NEU2シアリダーゼ mRNAと特異的にハイブリダイズするアンチセンスRNAを設計し、このアンチセンスRNAを安定発現させるためのDNAコンストラクトを糖蛋白質生産細胞に導入し、NEU2シアリダーゼの発現を抑制することができる方法が開発されている(非特許文献26)。具体的には、NEU2シアリダーゼアンチセンスRNA発現ベクターを、組換えDNaseを生産するCHO細胞に安定的に導入することにより、細胞質シアリダーゼ活性を40%まで抑制し、生産物DNaseのシアル酸付加率を最大で37%上昇させたが、細胞質シアリダーゼ活性の抑制率が不充分である。」(第3頁第20行?第4頁第21行)、

(iii)「3.組み換え蛋白質生産CHO/DG44細胞へのシアリダーゼ標的siRNA発現プラスミドの安定導入
WO2005/035563に記載したMS705 pKAN-ATIII27株(工技院寄託番号FERM BP-08472)に本項2.で取得したシアリダーゼ標的siRNA発現プラスミドpSi5、pSi17、pSi28、pSi34をそれぞれ導入し、安定に細胞のシアリダーゼ活性の抑制された細胞株を取得した。本株はアンチトロンビンを安定に生産するCHO/MS705由来株である。細胞株へのプラスミドの導入は下記の方法で行った。」(第59頁第15行?第21行)、

(iv)「図8に示す通り、各試料についてシアリダーゼ活性(蛍光強度;RU値)をLDH活性(nmol/hr/mL)で除した値を比較した結果、pSi28を導入した形質転換株より、シアリダーゼ活性が親株であるMS705 pKAN-ATIII27株の10%以下まで抑制された28-17株を単離した。
4.siRNA発現プラスミドを安定に導入したCHO株による糖蛋白質の生産
本項3.で樹立した、シアリダーゼsiRNA発現プラスミドを安定に導入することによりシアリダーゼ活性が抑制されたアンチトロンビン生産細胞である28-17株を用い、以下の手順で無血清フェドバッチ培養を行うことができる。
・・・(途中省略)・・・
28-17株は、シアリダーゼsiRNA導入細胞未導入株であるMS705 pKAN-ATIII27株に比べ、14日間の培養期間を通して培養上清中のシアリダーゼ活性が抑制され、その結果、生産されたATIIIのシアル酸数は高い値を維持することができる。以上のことは、シアリダーゼsiRNA導入細胞が、実際の工業的製造法を模倣したスピナーリアクターを用いた培養においても、シアリダーゼ活性を抑制することにより、糖蛋白質からのシアル酸の脱離を抑制する効果があることを示している。」(第61頁第1行?第62頁下から第8行)、と記載されている。

上記引用例1記載事項(iv)に記載された「シアリダーゼsiRNA発現プラスミドを安定に導入することによりシアリダーゼ活性が抑制されたアンチトロンビン生産細胞である28-17株」は、上記引用例1記載事項(iii)に記載のように、アンチトロンビンを安定に生産する、siRNAによりシアリダーゼ活性が抑制されたCHO/MS705由来株であり、28-17株で活性が抑制されたシアリダーゼは、上記引用例1記載事項(i)に記載のように、CHO細胞の内在性NEU2細胞質シアリダーゼであるから、引用例1には、「内在性NEU2細胞質シアリダーゼ活性がsiRNAで抑制されたCHO細胞株」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

また、原査定の拒絶の理由で引用文献2として引用された本願優先日前の1996年10月29日に頒布された刊行物である特表平8-510133号公報(以下、「引用例2」という。)は、上記引用例1記載事項(ii)で特許文献3として参照された特許文献であり、上記引用例1記載事項(ii)の下線部のとおりの事項が記載されている。

3.対比
本願発明の「核酸配列の発現の破壊」について、本願明細書の段落【0024】?【0026】には、
「(b)発現破壊
一般的に、本発明の細胞株のシアリダーゼ発現は減少している。該発現は、遺伝子発現中のいくつかの異なるステップで破壊されてもよい。
・・・(途中省略)・・・
(i)RNA干渉
シアリダーゼの発現は、標的mRNAまたは転写物の発現を阻害するRNA干渉(RNAi)剤を使用して破壊されてもよい。該RNAi剤は、標的転写物を切断してもよい。または、該RNAi剤は、標的転写物のタンパク質への転写を防止または破壊してもよい。
いくつかの実施形態において、該RNAi剤は、短鎖干渉RNA(siRNA)剤を使用して破壊されていてもよい。」と記載されている。

そこで、本願願発明と引用発明とを対比すると、引用発明の「内在性NEU2細胞質シアリダーゼ」は、本願発明の「染色体に組み込まれた、シアリダーゼ」に相当し、引用発明の「シアリダーゼ活性がsiRNAで抑制され」は、本願発明の「シアリダーゼをコードする核酸配列の発現が破壊され」に相当するから、両者は、「染色体に組み込まれた、シアリダーゼをコードする少なくとも1つの核酸配列の発現が破壊されている、細胞株」である点で共通する。
しかしながら、両者は、シアリダーゼをコードする少なくとも1つの核酸配列が、本願発明では、「非細胞質シアリダーゼをコードする少なくとも1つの核酸配列であって、該非細胞質シアリダーゼのアミノ酸配列が、配列番号4と少なくとも80%同一であり、および/または配列番号2と少なくとも95%同一である」のに対して、引用発明では、「NEU2細胞質シアリダーゼをコードする核酸配列であり、該シアリダーゼのアミノ酸配列が、配列番号4と少なくとも80%同一ではなく、配列番号2と少なくとも95%同一ではない」点、で相違する。

4.当審の判断
上記引用例1記載事項(i)に記載のように、哺乳動物には少なくとも4種のシアリダーゼが存在し、哺乳動物の内在性シアリダーゼは、細胞質、リソソーム内腔、リソソーム膜及び形質膜に局在し、互いに基質特異性などの酵素学的な性状が異なることは、本願優先日前既に周知の技術的事項である。
また、引用例1のみならず上記引用例2にも記載のように、CHO細胞等で生産される医薬用途の糖蛋白質において、糖鎖へのシアル酸付加率の低下を防止すること、及び、そのために内在性シアリダーゼ遺伝子を破壊することは、本願優先日前既に自明の技術的課題であり、また、周知の手段であった。
このような本願優先日当時の技術水準の下、医薬用途の糖蛋白質を生産する代表的な哺乳動物細胞であるCHO細胞株である引用発明において、NEU2遺伝子以外の非細胞質シアリダーゼを破壊して、そのようなCHO細胞で生産される糖蛋白質の糖鎖構造を、NEU2遺伝子を破壊したCHO細胞からのものと比較してみることは、当業者の自然な発想である。そしてその際、本願優先日前既に周知のマウスNEU1シアリダーゼ及びラットNEU1及びNEU3シアリダーゼ遺伝子の核酸配列の一部又は全部をプローブにするという本願優先日前既に周知の手段により、CHO cDNAライブラリーからCHOのNEU1及びNEU3シアリダーゼ遺伝子をスクリーニングして配列決定し、これを破壊すること、あるいは、上記引用例1記載事項(i)に記載の「複数のアスパラギン酸ボックス(Ser-X-Asp-X-Gly-X-Thr-Trp)配列」に対する縮重プライマーを作成してPCR法により、CHO cDNAライブラリーを増幅して、CHOのNEU1及びNEU3シアリダーゼ遺伝子をクローニングし、これを破壊することは、当業者であれば格別の困難なくなし得たことであり、このようにして、本願発明の「配列番号4と少なくとも80%同一であり、および/または配列番号2と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列をコードする核酸配列」は、破壊されるものである。

そして、本願発明において奏される効果については、生産された糖蛋白質の増大したシアル酸含量において、引用発明の細胞株から生産された糖蛋白質に比べ有利なものとはいえず、引用例1及び上記周知事項から予測できないない程の格別なものとはいえない。

したがって、本願発明は、引用例1の記載及び上記周知事項から当業者が容易になし得たものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

5.審判請求人の主張
審判請求人は、平成26年10月9日付審判請求書において、(イ)「本願出願の時点における技術知識では、CHO細胞は単一のシアリダーゼしか有しないと考えられていたため、CHO細胞中にさらに別のシアリダーゼが存在すると信ずる理由は無く、当業者がCHO細胞中のさらなるシアリダーゼを探索する動機付けは存在しておりませんでした。」、及び(ロ)「例えば、当該配列が相同性を基にしたハイブリダイゼーション処理を成功裏に行えるほどの類似性を有しているのかについても、当業者は知りようがありませんでした。さらに、CHO細胞における非細胞質シアリダーゼについて何ら知識が無く、ましてその配列についての情報も無い状況では、配列番号2または配列番号4をコードする配列を成功裏にスクリーニングあるいは同定できるプライマーやプローブを設計することについて、当業者は引用文献からは何の導きも得ることができません。本願請求項に規定の特定の配列をスクリーニングできるプライマーやプローブを設計するための教示や導き無しには、当業者はどのプライマーを用いることができるのか、相同性を基にしたハイブリダイゼーションをどのように行えばよいのかについて知りようがありません。実際、1993年以降本願出願までにこの系で新たなシアリダーゼが同定されなかったという事実は、本願発明の配列が相同性に基づいた標準の技術を用いても容易には得られなかったものであることを証明しています。配列番号2および配列番号4(およびこれらをコードする核酸)は本願出願前には知られていなかったものであり、これら未知であったタンパク質の発現を破壊する分子(例えばRNAi分子)を設計することは当業者にとっても至難のことでありました。」と主張している。

まず、(イ)の主張については、上記4.で述べたとおり、上記引用例1記載事項(i)に、「哺乳動物には、細菌やウイルスのシアリダーゼとは異なる、少なくとも4種のシアリダーゼが存在する(非特許文献2、3)。哺乳動物の内在性シアリダーゼは、細胞質(非特許文献4)、リソソーム内腔(非特許文献5)、リソソーム膜(非特許文献6)および形質膜(非特許文献6)に局在し、互いに基質特異性などの酵素学的な性状が異なっている。」と記載されているように、哺乳動物細胞であるCHO細胞に4種類の内在性シアリダーゼが存在することは、本願優先日当時の技術常識であり、しかも4種類のシアリダーゼは、それぞれ基質特異性等の酵素としての特性が異なることも技術常識であった。
そうすると、有用糖蛋白質を生産させるための代表的な哺乳動物細胞であるCHO細胞において、細胞質以外のシアリダーゼをスクリーニングし、それを破壊することによって、その機能を特定したり、シアル酸付加率の低下を防止するという動機付けは、本願優先日当時存在しているといえ、審判請求人の上記(イ)の主張は採用できない。

次に、(ロ)の主張については、CHOのNEU2シアリダーゼのアミノ酸配列は、マウス、ラットの対応するものと80%以上の同一性を有することは、本願優先日前既に知られていたから、NEU1シアリダーゼ及びNEU3シアリダーゼについても、同程度のアミノ酸配列の同一性を期待して、上記4.で述べたとおり、マウスNEU1シアリダーゼ及びラットNEU1及びNEU3シアリダーゼ遺伝子の核酸配列の一部又は全部をプローブにするという、本願優先日前既に周知の手段により、CHO cDNAライブラリーからCHOのNEU1及びNEU3シアリダーゼ遺伝子をスクリーニングすること、あるいは、複数のアスパラギン酸ボックス(Ser-X-Asp-X-Gly-X-Thr-Trp)配列に対する縮重プライマーを作成して、PCR法によりCHO cDNAライブラリーを増幅して、CHOのNEU1及びNEU3シアリダーゼ遺伝子をクローニングすることにより、本願発明の配列番号4および/または配列番号2のアミノ酸配列を有する遺伝子は、当業者が容易に取得できたものである。
そして、いったん遺伝子がクローニングされ、配列決定されれば、相同組換え、アンチセンスRNA、siRNA等の本願優先日前既に周知の手段により、当該遺伝子を破壊することは、当業者であれば何ら工夫なくなし得たことであるから、審判請求人の上記(ロ)の主張も採用できない。

6.むすび
以上のとおりであるから、本願請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明については検討するまでもなく、本願は拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-11-27 
結審通知日 2015-12-01 
審決日 2015-12-14 
出願番号 特願2010-529137(P2010-529137)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (C12N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松田 芳子川合 理恵  
特許庁審判長 鈴木 恵理子
特許庁審判官 高堀 栄二
小堀 麻子
発明の名称 糖タンパク質のシアリル化を改善するための組成物および方法  
代理人 加藤 和詳  
代理人 中島 淳  

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