• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04J
管理番号 1314160
審判番号 不服2015-1894  
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-01-30 
確定日 2016-05-06 
事件の表示 特願2012-508793「マルチ・キャリア動作のためのPCFICH設計」拒絶査定不服審判事件〔平成22年11月 4日国際公開,WO2010/127292,平成24年10月22日国内公表,特表2012-525801〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は,2010年4月30日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2009年4月30日 米国,2010年4月21日 米国)であって,平成26年10月16日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,平成27年1月30日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。

2 本願発明
本願発明は,平成26年7月11日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものと認める。
「【請求項1】
1または複数のダウンリンク成分キャリアのための制御情報を伝送することを容易にする,無線通信システムで使用される方法であって,
1または複数の成分キャリアを評価して,前記1または複数の成分キャリアに関連する物理制御フォーマット・インジケータ・チャネル(PCFICH)情報を識別することと,
前記1または複数の成分キャリアからアンカ成分キャリアを識別することと,
専用シグナリングによって,前記アンカ成分キャリアに,および,前記1または複数の成分キャリアのおのおのに関連する,パッケージされたPCFICH情報を通信することとを備える方法。」
と認める。

3 引用発明及び周知技術
[引用発明]
原査定の拒絶の理由に引用されたFujitsu,Anchor component carrier and preferred control signal structure([当審仮訳]:アンカーコンポーネントキャリア及び好ましい制御信号構造),3GPP TSG-RAN WG1#56b R1-091503,(会合が実施された2009年1月23日には公になっていたと認められる。)(以下,「引用例」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。

(1)「2.1. Anchor component carrier for RRC-Connected LTE-A UE
Our views on anchor component carrier for RRC-Connected LTE-A UE (hereinafter shortened to “LTE-A UE”) are as follows:
△In principle, a UE-specific anchor component carrier is assigned to each LTE-A UE. In order to alleviate CCE resource starvation in one component carrier, an LTE-A UE may be configured on two or more anchor component carriers according to the seriousness of CCE resource starvation. The multiple assigned anchor component carriers can be either contiguous or non-contiguous in the frequency domain.
△All the PDCCHs for an LTE-A UE are transmitted only on the UE’s anchor component carrier(s). The UE has to monitor PDCCHs only on its anchor component carrier(s). (中略)
△Basically, when the data traffic for an LTE-A UE is low (how low is FFS), the data to the UE is only transmitted on the anchor component carrier. When the traffic is not low, in contrast, the data to the UE is transmitted on multiple component carriers. A single PDCCH carrying DL scheduling assignment for all the component carriers used for the data transmission is transmitted on the anchor component carrier(s). Note that new DCI formats for the single PDCCH should be defined in the specification.
(中略)
The way how the LTE-A network assigns an anchor component carrier to each LTE-A is FFS. However, our current preference is as follows.
△The component carrier on which an LTE-A UE receives Msg 4 in its initial access process is the initial anchor component carrier for the UE. 」(1/5?2/5ページ)
([当審仮訳]:
2.1 RRC接続LTE-A UEのためのアンカーコンポーネントキャリア
RRC接続LTE-A UE(以下,「LTE-A UE」に短縮。)のためのアンカーコンポーネントキャリアについての我々の見解は以下のとおり。
△原則として,UE特有のアンカーコンポーネントキャリアが各LTE-A UEに割り当られる。1つのコンポーネントキャリアにおけるCCEリソース不足を緩和するために,CCEリソース不足の深刻さに応じて1つのLTE-A UEが2つ以上のアンカーコンポーネントキャリアに設定されてもよい。複数の割り当てられたアンカーコンポーネントキャリアは,周波数領域で連続又は非連続のいずれかであり得る。
△1つのLTE-A UEのための全てのPDCCHがアンカーコンポーネントキャリア(単数又は複数)上でのみ送信される。UEは,そのアンカーコンポーネントキャリア(単数又は複数)上でのみPDCCHを監視しなければならない。(中略)
△基本的に,LTE-A UEのためのデータトラフィックが低い場合(どの程度低いかは今後の検討課題),UEへのデータは,アンカーコンポーネントキャリア上でのみ送信される。対照的に,トラフィックが低くない場合には,UEへのデータは,複数のコンポーネントキャリア上で送信される。データ伝送に使用される全てのコンポーネントキャリアのためのDLスケジューリング割り当てを搬送する単一のPDCCHは,アンカーコンポーネントキャリア(単数または複数)上で送信される。当該単一のPDCCHのための新しいDCIフォーマットが仕様で定義されるべきであることに注意されたい。
(中略)
LTE-Aネットワークがどのようにして各LTE-Aにアンカーコンポーネントキャリアを割り当てるかは,今後の検討課題である。しかしながら,我々の現時点での好ましいものは以下のとおり。
△LTE-A UEが初期アクセスプロセスにおいてメッセージ4を受信するコンポーネントキャリアが,当該UEのための初期アンカーコンポーネントキャリア。 )

(2)「There are some problems with the use of anchor component carrier.
●With the anchor component carrier, an LTE-A UE has to monitor PDCCHs only on its anchor component carrier. This means the UE is not supposed to receive and decode PCFICHs on other component carriers (i.e. non-anchor component carriers).
レ A solution to this is that CFI value is coordinated among all the component carriers of an LTE-A cell. Another possible but a little bit worse solution is that an LTE-A UE doesn’t decode PDCCH but decode PCFICH on non-anchor component carriers from which the UE may expect to receive PDSCH.
●Many CCE are consumed by an LTE-A UE scheduled multiple component carriers. In addition, the anchor component carrier of the UE sometimes runs out of CCE resource available for the UE. Solutions to this are as follows:
レ DL scheduling information blocks for all the component carriers scheduled for an LTE-A UE are jointly coded. The jointly coded PDCCH may have a different size according to the number of scheduled component carriers. This is referred to dynamic-size joint PDCCH [4]. To further reduce the amount of consumed CCE, DL scheduling assignment and UL grant for the UE could be jointly coded when possible.
レ Many number of component carriers are scheduled to LTE-A UE only when the UE is in a good SNR region. A UE experiencing good SNR only requires high coding rate and thus low level of CCE aggregation.」(2/5ページ)
([当審仮訳]:
アンカーコンポーネントキャリアの使用にはいくつかの問題がある。
●アンカーコンポーネントキャリアでは,LTE-A UEは当該アンカーコンポーネントキャリア上でのみPDCCHを監視しなければならない。これは,UEが他のコンポーネントキャリア(すなわち,非アンカーコンポーネントキャリア)上ではPCFICHを受信及びデコードしていないと仮定されていることを意味する。
レ 1つの解決策は,CFIの値がLTE-A-セルのすべてのコンポーネントキャリア間で調整されていることである。別のややよろしくない解決策は,LTE-A UEが,PDSCHを受信することが期待される非アンカーコンポーネントキャリア上で,PDCCHはデコードしないがPCFICHはデコードすることである。
●多くのCCEは,複数のコンポーネントキャリアがスケジュールされた1つのLTE-A UEによって消費される。さらに,UEのアンカーコンポーネントキャリアは,時々,UEのために利用可能なCCEリソースを使い果たす。この解決策は以下のとおり。
レ LTE-A UEのためにスケジュールされているすべてのコンポーネントキャリアのためのDLスケジューリング情報ブロックは,一緒に符号化される。一緒に符号化されたPDCCHは,スケジュールされたコンポーネントキャリアの数に応じて異なるサイズを有する。これは,動的なサイズのジョイントPDCCHと呼ばれる[4] 。さらに消費されるCCEの量を減らすために,可能であれば,UEのためのDLスケジューリング割り当て及びULグラントが一緒に符号化され得る。
レ UEが良いSNR領域にある場合にのみ,LTE-A UEに多数のコンポーネントキャリアがスケジュールされる。良いSNRのUEは高い符号化レートのみを要求し,このためCCEアグリゲーションのレベルは低い。 )

(3)「If the PDCCH for an LTE-A UE is a jointly coded one, when the UE fails to receive and decode the PDCCH, all the scheduled resource for the UE becomes useless. There seem be no direct effective solutions. However, a UE scheduled multiple component carrier is often located in a good SNR region. Therefore, the occurrence rate of such a failure may be relatively low.
We understand that the use of anchor component carrier doesn’t always save UE power consumption. An LTE-A UE, monitoring PDCCHs only on its anchor component carrier, knows the number and position of component carriers scheduled for the UE right after the successful decoding of PDCCH. Thus, the UE has to be ready to receive PDSCH on all the component carriers in each sub-frame. As a result, in our view, an LTE-A UE configured anchor component carrier consumes almost the same power as an LTE-A UE not configured anchor component carrier does. This could be solved by defining active component carriers per UE in addition to using the anchor component carrier concept. All the PDSCHs for an LTE-A UE are transmitted only on its active component carriers. The configuration of UE-specific active component carrier may be done semi-statically. Each UE is informed which component carriers are active by either higher layer signalling or special PDCCH. All the active component carriers for an LTE-A UE could simultaneously serve the UE as its anchor component carriers.」(2/5?3/5ページ)
([当審仮訳]:
LTE-A UEのためのPDCCHが一緒に符号化されたものである場合,UEがPDCCHの受信及びデコードに失敗したすると,UEのためにスケジュールされたすべてのリソースが無駄になる。直接的な効果的解決策は見当たらない。しかしながら,複数のコンポーネントキャリアがスケジュールされるUEは,多くの場合,良好なSNR領域にいる。したがって,そのような失敗の発生率は比較的低い。
我々は,アンカーコンポーネントキャリアの使用は,UEの電力消費を常には節約しないことを理解している。LTE-A UEは,アンカーコンポーネントキャリア上でのみPDCCHを監視し,PDCCHの復号に成功した後では,UEのためにスケジュールされたコンポーネントキャリアの数と位置を知っている。したがって,UEは,各サブフレーム内で全てのコンポーネントキャリア上でPDSCHを受信する準備をしなければならない。その結果,我々の見解では,アンカーコンポーネントキャリアが設定されたLTE-A UEは,アンカーコンポーネントキャリアが設定されていないLTE-A UEとほぼ同じ電力を消費する。これは,アンカーコンポーネントキャリアの概念を使用することに加えて,UE毎にアクティブなコンポーネントキャリアを定義することによって解決することができる。LTE-A UEのためのすべてのPDSCHチャネルは,アクティブなコンポーネントキャリア上でのみ送信される。UE特有のアクティブなコンポーネントキャリアの設定は,半静的に行われてもよい。各UEは,どのコンポーネントキャリアがアクティブかを,高いレイヤのシグナリング又は特別なPDCCHにより通知される。LTE-A UEのためのすべてのアクティブなコンポーネントキャリアは,アンカーコンポーネントキャリアとして,UEを同時にサーブすることができる。 )

(4)「2.2. DL control signal structure
We may accept an argument that Rel’8 control signal structure nicely fits to Option-1 PHY-to-MAC mapping (i.e. one TB and one HARQ entity per scheduled component carrier for non spatial multiplexing [5]). That is, a PDCCH for DL scheduling assignment and its associated PDSCH are transmitted on the same component carrier. However, if we implement the concept of UE-specific anchor component carrier, we will use new control signal structure (exemplified in Figures 2 and 3) which are used to be pointed to PDSCHs in multiple component carriers, in addition to Rel’8 control signal structure (Figure 1).
(Figure 1は省略。)


When an LTE UE is assigned on multiple anchor component carriers, one PDCCH for the UE is spread over all the anchor component carriers of the UE as shown in Figure 3. Spreading one PDCCH over multiple component carriers provides some frequency diversity gain which is beneficial especially when the total eNodeB Tx power is kept constant but the number of component carriers is increased and/or the cell is indoor or small.」(3/5?4/5ページ)
([当審仮訳]:
2.2 DL制御信号構造
我々はRel’8の制御信号構造がうまくオプション-1のPHY-MACマッピング(すなわち,非空間多重化のためにスケジュールされたコンポーネントキャリア毎に1つのTBと1つのHARQエンティティ[5] )に適合するという考えを受け入れることができる。すなわち,DLスケジューリング割り当てのためのPDCCHとそれに関連するPDSCHとが同じコンポーネントキャリア上で送信される。しかしながら,UE特有のアンカーコンポーネントキャリアの概念を実装する場合は,Rel’8の制御信号構造(図1)に加えて,複数のコンポーネントキャリアにおけるPDSCHを指すために使用される新たな制御信号構造(例えば図2及び3)を使用する。
LTE UEが複数のアンカーコンポーネントキャリアに割り当てられている場合,図3に示されるように,UEのための1つのPDCCHがUEのすべてのアンカーコンポーネントキャリアの上に拡散している。複数のコンポーネントキャリア上に1つのPDCCHを拡散することは,いくらかの周波数ダイバーシティ利得を提供し,これは,総eNodeBの送信電力が一定であるがコンポーネントキャリアの数が増加し及び/又はセルが屋内又は小さい場合に,特に有益である。)

上記(1)?(4)の記載及び図面の記載並びに当該技術分野の技術常識を考慮すると,
ア 上記(1)の記載によれば,引用例には,複数のコンポーネントキャリアのためのPDCCHを伝送することに関する,LTE-Aで使用される方法が記載されていると認められる。

イ 上記(2)には,UEが非アンカーコンポーネントキャリア上ではPCFICHを受信及びデコードしていないと仮定されていることによる問題を解決するために,CFIの値をLTE-A-セルのすべてのコンポーネントキャリア間で調整すること,又はLTE-A UEが非アンカーコンポーネントキャリア上でPDCCHはデコードしないがPCFICHはデコードすること,が記載されている。ここで,上記CFIの値はPCFICHの値を含むと解するのが自然である。また,CFIの値をすべてのコンポーネントキャリア間で調整するのであるから,その前提として,各コンポーネントキャリアから当該コンポーネントキャリアにおける各CFIの値(PCFICHの値)が取得されていることは自明である。
したがって,引用例には,「複数のコンポーネントキャリアから,前記複数のコンポーネントキャリアに関連する物理制御フォーマット・インジケータ・チャネル(PCFICH)の値を取得することと」が記載されていると認められる。

ウ 上記(1)の末段落の記載によれば,LTE-Aネットワークが何らかの方法で各LTE-Aにアンカーコンポーネントキャリアを割り当てていることが読み取れ,割り当てるためには複数のコンポーネントキャリアからアンカーコンポーネントキャリアが識別されていることは明らかである。
したがって,引用例には「前記複数のコンポーネントキャリアからアンカコンポーネントキャリアを識別すること」が記載されていると認められる。

エ 上記(1)の記載によれば,データ伝送に使用される全てのコンポーネントキャリアのためのPDCCHは,アンカーコンポーネントキャリア上で送信され,上記(2)の記載によれば,当該アンカーコンポーネントキャリア上で送信されるPDCCHには,各コンポーネントキャリア間で調整されたCFIの値(PCFICHの値)が含まれるといえる。したがって,引用例には,「アンカーコンポーネントキャリアのPDCCHによって,各コンポーネントキャリア間で調整されたPCFICHの値を通信すること」が記載されていると認められる。

したがって,引用例には以下の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認める。
「複数のコンポーネントキャリアのためのPDCCHを伝送することに関する,LTE-Aで使用される方法であって,
複数のコンポーネントキャリアから,前記複数のコンポーネントキャリアに関連する物理制御フォーマット・インジケータ・チャネル(PCFICH)の値を取得することと,
前記複数のコンポーネントキャリアからアンカコンポーネントキャリアを識別することと,
アンカーコンポーネントキャリアのPDCCHによって,各コンポーネントキャリア間で調整されたPCFICHの値を通信することとを備える方法。」

[周知技術]
同じく原査定の拒絶の理由に引用されたPanasonic,PDCCH coding and mapping for carrier aggregation([当審仮訳]:キャリア・アグリゲーションのためのPDCCH符号化及びマッピング),3GPP TSG-RAN WG1#56 R1-090682(会合が実施された2009年2月9日には公になっていたと認められる。)(以下,「周知例1」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。

(5)「2 PDCCH coding
In this section the two baseline coding schemes, i.e. separate and joint coding, are discussed.

2.1 Separate coding
Control information for each CC is separately coded, i.e. one PDCCH contains control information of one CC. The number of PDCCHs indicating control information for DL unicast PDSCH data for a UE is identical to the number of CC transmitted to the UE. For separate coding, we observe the following properties:
・Definition of the DCI is similar (or same) to Rel8 LTE.
・Limited variation of payload sizes (i.e. PDCCH payload size is not affected by number of CCs)
・Some fields (e.g. UE-ID, TPC for PUCCH) are duplicated among PDCCHs.
・PDCCH overhead scales with number of allocated CCs, i.e. no overhead reduction for multiple CC allocations
・The total number of blind decodings scales with number of CCs which are configured to the UE to monitor.

2.2 Joint coding
Control information for multiple CCs is jointly coded. The PDCCH comprises some common fields which are applied for all CCs and some separate fields. The overhead depends on the way of splitting the fields. For the scenario where control overhead reduction is more important, having more common fields would be useful.
Further, following three options could be considered.
・Full joint coding
Control information for all CCs (all CCs semi-statically configured to the UE) is jointly coded regardless of the number of CCs actually assigned to the UE in a given subframe. The UE monitors only one fixed-size PDCCH.
(中略)
・Partial joint coding
Control information for a part of the CCs is jointly coded. For example, one PDCCH contains control information for up to two CCs. UE monitors a single PDCCH payload size. When the eNodeB assigns more than two CCs to the UE, eNodeB transmits two or more PDCCHs to the UE. This scheme can efficiently signal even if only a few CCs are assigned to the UE in a subframe.
Alternatively, UE monitors multiple PDCCH payload sizes in a subframe. Each corresponds to PDCCH containing control information for different number of CCs. For example, UE monitors two PDCCH payload sizes: one PDCCH contains control information for up to two CCs and the other contains control information for up to five CCs. The overhead can be reduced. However, the number of blind decodings and possible false detection are increased compared to full joint coding.」(1/5?2/5ページ)
([当審仮訳]:
2 PDCCH符号化
このセクションでは2つのベースライン符号化方式,すなわちセパレート符号化及びジョイント符号化が議論される。

2.1 セパレート符号化
各CCの制御情報はセパレート符号化される,すなわち,1つのPDCCHは1つのCCの制御情報を含む。UEのためのDLユニキャストPDSCHのデータに対する制御情報を示すPDCCHの数は,UEに送信されたCCの数と同一である。セパレート符号化のために,私たちは次のプロパティを認める。
・DCIの定義は,Rel’8 LTEに類似(または同じ)。
・ペイロードサイズの限られた変動(すなわち,PDCCHのペイロードサイズは,CCの数に影響されない)
・いくつかのフィールド(例えば,UE-ID,PUCCHのためのTPC)がPDCCH間で重複する。
・PDCCHオーバーヘッドは割り当てられたCCの数に比例する,すなわち,複数のCC割り当てのオーバーヘッド削減はない。
・ブラインドデコーディングの総数は,UEに設定されている監視するCCの数に比例する。

2.2 ジョイント符号化
複数のCCのための制御情報は,ともに符号化される。PDCCHは,すべてのCCに適用されるいくつかの共通フィールドと,いくつかの別々のフィールドを含む。オーバーヘッドは,フィールドを分割する方法に依存する。制御オーバーヘッドの低減がより重要であるシナリオでは,より多くの共通フィールドを持つことは有用である。
さらに,次の3つの選択肢が考えられる。
・フルジョイント符号化
すべてのCCの制御情報(すべてのCCはUEに半静的に設定される)は,所与のサブフレーム内でUEに実際に割り当てられたCCの数に関わらず,一緒に符号化される。UEは,1つの固定サイズのPDCCHのみを監視する。
(中略)
・部分的なジョイント符号化
CCの一部分のための制御情報が一緒に符号化される。例えば,1つのPDCCHは,最大2つのCCの制御情報を含んでいる。UEは,単一のPDCCHペイロードサイズを監視する。eNodeBがUEへ2つ以上のCCを割り当てるとき,eNodeBはUEに2つ又はそれ以上のPDCCHを送信する。この手法は,サブフレーム内でUEに割り当てられているCCがわずかである場合にも,効率的にシグナルできる。
代替的に,UEは,サブフレーム内の複数のPDCCHペイロードサイズを監視する。それぞれが異なる数のCCの制御情報を含むPDCCHに対応する。例えば,UEは,2PDCCHペイロードサイズを監視する:1つのPDCCHは,最大2つのCCのための制御情報を含んでおり,他のPDCCHは最大5つのCCのための制御情報を含んでいる。オーバーヘッドを低減することができる。しかしながら,ブラインドデコーディングの数及び誤検出の可能性は,フルジョイント符号化と比較して増加する。 )

(6)「3 PDCCH mapping
Two baseline mapping schemes are discussed below.

3.1 PDCCH mapped within a single component carrier
One PDCCH is always mapped within a CC. The same (or similar) structure for PDCCH-CCE-RE mapping as Rel8 LTE can be reused. In this case use of a CQI per CC for the link adaptation is beneficial, since the SINR per CC may vary significantly and a CQI across all configured CCs may not be sufficiently accurate.
In case of separate coding, following two alternatives could be considered.
Alt1: PDCCH indicate the PDSCH on the same CC where the PDCCH is transmitted.
The PDCCH CC position implicitly indicates the assigned CC for the PDSCH. No explicit indication field in PDCCH is necessary.
Alt2: PDCCH can indicate a PDSCH on any CC. PDCCH may be transmitted only from “anchor CC” or any other CC.

Assigned CC for the PDSCH needs to be indicated. This may be done explicitly by a PDCCH field or implicitly, e.g. by the UE-ID (CRC masking). (中略)
In case of joint coding, the PDCCH may be transmitted on a semi-statically configured CC (“anchor CC”) or on a selected CC in each subframe. In this case the following alternatives are envisaged:
Alt1: PDCCH is mapped onto one of the CCs on which the PDSCHs are mapped
Alt2. PDCCH may be mapped on any configured CC


3.2 PDCCH mapped across component carriers
(中略)
It may be preferable to align the PCFICH values of the CCs on which the PDCCH is mapped, because a PCFICH error in any CC causes a PDCCH error. 」(3/5ページ)
([当審仮訳]:
3 PDCCHマッピング
2つのベースラインマッピング方式が,以下に議論される。

3.1 単一のコンポーネントキャリア内PDCCHマッピング
一つのPDCCHが常に1つのCC内にマッピングされる。Rel’8と同じ(又は類似の)PDCCH-CCE-REマッピング構造を再利用することができる。この場合,CC当たりのSINRが大きく変化すると可能性があり,設定されたすべてのCCにわたるCQIは十分に正確ではないかもしれないので,リンク適応のためのCC毎のCQIの使用は有益である。セパレート符号化の場合,次の2つの選択肢が考えられる。
ALT1:PDCCHは,PDCCHが送信されているのと同じCCのPDSCHを示す。
PDCCH CCの位置は,暗黙のうちに,PDSCHに割り当てられたCCを示す。PDCCHには明示的な指示フィールドは必要ない。
ALT2:PDCCHは,任意のCC上でPDSCHを示すことができる。PDCCH「アンカーCC」又は他の任意のCCのみから送信され得る。
PDSCHに割り当てられたCCが示される必要がある。これは,PDCCHフィールドによって明示的に行われてもよいし,例えば,UE-ID(CRCマスキング)により暗黙的に行われてもよい。(中略)

ジョイント符号化の場合には,PDCCHは,半静的に設定されたCC(「アンカーCC」),又は各サブフレーム内の選択されたCCで送信されてもよい。この場合,次の選択肢が考えられる:
ALT1:PDCCHは,PDSCHがマッピングされているCCのうちの一つにマッピングされる。
ALT2:PDCCHは,任意に設定されるCCにマッピングされ得る。

(図は省略)

3.2 複数のコンポーネントキャリアにわたってマッピングされたPDCCH
任意のCCでのPCFICHエラーはPDCCHエラーを引き起こすため,PDCCHがマッピングされているCCのPCFICHの値を揃えることが好ましいかもしれない。 )

同じく原査定の拒絶の理由に引用されたEricsson,Characterization of downlink control signaling for LTE-Advanced([当審仮訳]:LTE-Advancedのためのダウンリンク制御シグナリングの特徴付け),3GPP TSG-RAN WG1#56 R1-090907(会合が実施された2009年2月9日には公になっていたと認められる。)(以下,「周知例2」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。

(7)「Appendix A - Control signaling for Carrier Aggregation
(中略)
A.1 PCFICH
Two alternatives can be envisioned for the size of the control region on each component carrier:
●same control region size (same PCFICH value enforced) across all component carriers
○may improve PCFICH error probabilities
○scheduling restrictions imposed on (Rel-8) terminals
○may lead to inefficient resource utilization (excessively large control region on some component carriers)」(3葉目)
([当審仮訳]:
付録A- キャリアアグリゲーションのための制御シグナリング
(中略)
A.1 PCFICH
各コンポーネントキャリア上の制御領域のサイズについて,2つの選択肢が想定することができる。
●すべてのコンポーネントキャリアにわたって同じ制御領域のサイズ(同じPCFICH値が強制される)
○PCFICH誤り確率を改善することができる。
○Rel’8端末にスケジューリングの制限が課せられる。
○非効率的なリソース利用(いくつかのコンポーネントキャリアに過剰な制御領域)につながる。 )

本願の最先の優先日より前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となったHuawei,PDCCH design for carrier aggregation([当審仮訳]:キャリアアグリゲーションのためPDCCH設計),3GPP TSG-RAN WG1#55bis R1-090127(会合が実施された2009年1月12日には公になっていたと認められる。)(以下,「周知例3」という。)として図面とともに以下の事項が記載されている。

(8)「1 Introduction
Control channel design is one important open issue when introducing carrier aggregation in LTE-A. With carrier aggregation, there will be multiple PDSCH and/or PUSCH for each UE and therefore also multiple PDCCH and/or PUCCH. For PDCCH, there are mainly two issues, the encoding issue and mapping issue and these will be discussed in the following sections.
These solutions are the most reasonable candidates for the multiple PDCCH transmission, as shown in Fig. 1:
☆Basic solution: Each PDCCH related to a PDSCH in a component carrier is separately encoded and transmitted in the control symbols of the same component carrier.
☆Alternative solution 1: Multiple PDCCHs related to the multiple PDSCH are jointly encoded and distributed in the control symbols of the component carriers of the corresponding multiple PDSCH.
☆Alternative solution 2: Multiple PDCCHs related to the multiple PDSCH are jointly encoded and transmitted in the control symbols of one UE specific component carrier (i.e. the anchor carrier).
☆Alternative solution 3: Each PDCCH related to a PDSCH in a component carrier is separately encoded and transmitted in the control symbols of one UE specific component carrier (i.e. the anchor carrier).

」(1葉目)
([当審仮訳]:
1 はじめに
LTE-Aでキャリアアグリゲーションを導入する際に,制御チャネル設計は1つの重要な未解決の問題である。キャリアアグリゲーションでは,各UEのために複数のPDSCH及び/又はPUSCHが存在し,そのため,複数のPDCCH及び/又はPUCCHが存在する。PDCCHは,符号化の問題とマッピングの問題という,主に2つの問題がある。これらは以下のセクションで説明される。
図1に示されるように,これらの解決策は,複数のPDCCH送信のための最も合理的な候補である:
☆基本的解決策:コンポーネントキャリアのPDSCHに関連する各PDCCHは,同じコンポーネントキャリアの制御シンボルに別々に符号化され送信される。
☆代替的解決策1:複数のPDSCHに関連する複数のPDCCHは,一緒に符号化され,対応する複数のPDSCHの複数のコンポーネントキャリアの制御シンボルに分布される。
☆代替的解決策2:複数のPDSCHに関連する複数のPDCCHは,一緒に符号化され,1つの端末特有のコンポーネントキャリア(すなわちアンカーキャリア)の制御シンボルで伝送される。
☆代替的解決策3:コンポーネントキャリアのPDSCHに関連する各PDCCHは別々に符号化され,1つの端末特有のコンポーネントキャリア(すなわちアンカーキャリア)の制御シンボルで伝送される。
(図は省略。) )

上記(5)?(7)の記載及び図面の記載並びに当該技術分野の技術常識を考慮すると,
「PDCCHのサイズをすべてのコンポーネントキャリア(CC)に共通の固定値とすること。」は周知であると認められる(以下,「周知技術1」という。)。
また,例えば上記(6),(8)にも記載されているように,ジョイント符号化及びセパレート符号化はよく知られているものであり,セパレート符号化に関して「1つのコンポーネントキャリアのPDCCHおいて,複数のコンポーネントキャリアにおいて使用するそれぞれの制御情報をまとめて送信すること。」は周知であると認められる(以下,「周知技術2」という。)。


4 対比・判断
本願発明と引用発明とを対比すると,
(1)引用発明の「複数のコンポーネントキャリア」は,PDCCH(物理ダウンリンク制御チャネル)を備えるから,ダウンリンクに係るものであることは明らかである。また,「アンカ」と「アンカー」,「成分キャリア」と「コンポーネントキャリア」とは,それぞれ表記が異なるのみであって実質的に差異は無い。また,引用発明の「・・・ためのPDCCHを伝送することに関する」「方法」を,「・・・ための制御情報を伝送することを容易にする」「方法」と称することは任意である。また,引用発明の「LTE-A」は,明らかに「無線通信システム」といえる。更に,本願発明の「1または複数」は,「1」又は「複数」が択一的に選択され得るものであるから,引用発明の「複数」との間に差異はない。
したがって,引用発明の「複数のコンポーネントキャリアのためのPDCCHを伝送することに関する,LTE-Aで使用される方法」は,「複数のダウンリンク成分キャリアのための制御情報を伝送することを容易にする,無線通信システムで使用される方法」といえる。

(2)引用発明の「複数のコンポーネントキャリアから,前記複数のコンポーネントキャリアに関連する物理制御フォーマット・インジケータ・チャネル(PCFICH)の値を取得すること」は,明らかに本願発明の「複数の成分キャリアを評価して,前記複数の成分キャリアに関連する物理制御フォーマット・インジケータ・チャネル(PCFICH)情報を識別すること」に相当する。

(3)引用発明の「前記複数のコンポーネントキャリアからアンカコンポーネントキャリアを識別すること」は,明らかに本願発明の「前記複数の成分キャリアからアンカ成分キャリアを識別すること」に相当する。

(4)引用発明の「各コンポーネントキャリア間で調整されたPCFICHの値」は,アンカーコンポーネントキャリア及び非アンカーコンポーネントキャリアにて利用されるものであることは明らかであるから,「前記アンカ成分キャリアに,および,前記複数の成分キャリアのおのおのに関連するPCFICH情報」といえる。
したがって,本願発明の「専用シグナリングによって,前記アンカ成分キャリアに,および,前記1または複数の成分キャリアのおのおのに関連する,パッケージされたPCFICH情報を通信すること」と,引用発明の「アンカーコンポーネントキャリアのPDCCHによって,各コンポーネントキャリア間で調整されたPCFICHの値を通信すること」とは,下記の相違点は別として,「前記アンカ成分キャリアに,および,前記複数の成分キャリアのおのおのに関連するPCFICH情報を通信すること」の点で共通する。

以上を総合すると,本願発明と引用発明とを対比すると,両者は,以下の点で一致し,また,相違している。
(一致点)
「複数のダウンリンク成分キャリアのための制御情報を伝送することを容易にする,無線通信システムで使用される方法であって,
複数の成分キャリアを評価して,前記複数の成分キャリアに関連する物理制御フォーマット・インジケータ・チャネル(PCFICH)情報を識別することと,
前記複数の成分キャリアからアンカ成分キャリアを識別することと,
前記アンカ成分キャリアに,および,前記複数の成分キャリアのおのおのに関連するPCFICH情報を通信することとを備える方法。」

(相違点1)
一致点の「前記アンカ成分キャリアに,および,前記複数の成分キャリアのおのおのに関連するPCFICH情報」に関し,本願発明は「パッケージされたPCFICH情報」であるのに対し,引用発明は「パッケージされた」なる事項が明らかにされていない点。

(相違点2)
一致点の「・・・PCFICH情報を通信すること」に関し,本願発明は「専用シグナリングによって」通信するのに対し,引用発明は「アンカーコンポーネントキャリアのPDCCHによって」通信する点。

以下,上記各相違点についての検討する。
(相違点1について)
本願明細書の【0032】,【0033】,【0037】の記載によれば,PCFICH情報のパッケージはおのおののキャリアのPCFICH情報の復号を省くために生成され,アンカ・キャリア(アンカ成分キャリア)へパッケージされるものであることに鑑みれば,「パッケージされた」とは,アンカ成分キャリアに関連するPFICH情報(アンカ成分キャリアにおいて利用されるPFICH情報)及び1または複数の成分キャリアのおのおのに関連するPFICH情報(1または複数の成分キャリアにおいておのおの利用されるPFICH情報)が,アンカ成分キャリアのみから得られるようにすることを含むと解される。
そして,本願の特許請求の範囲の請求項7を参酌すれば,本願発明の「パッケージされたPCFICH情報」は,「ともに符号化される」(jointly coded)ものを含んでおり,また,本願の特許請求の範囲の請求項2を参酌すれば,本願発明の「前記1または複数の成分キャリアのおのおのに関連する,パッケージされたPCFICH情報」は,「固定されたPCFICH情報値」を包含していることは明らかである。
そして,本願明細書の【0041】の記載によれば,固定されたPCFICH値(上記「固定されたPCFICH情報値」に相当。)は,非アンカ成分キャリアが対応するPCFICHを明示的に復号することなく,仮定されうるものであるが,【0041】の前半の記載に鑑みれば,当該固定されたPCFICH値は「共通のPCFICH」に係るものである。そして,同【0040】の記載によれば,「共通のPCFICH」によって,全ての成分キャリアが同じサイズのPDCCHを有するようになるものである。してみると,固定されたPCFICH値は,アンカ成分キャリアに関連するPFICH情報(アンカ成分キャリアにおいて利用されるPFICH情報)といえると同時に,1または複数の成分キャリアのおのおのに関連するPFICH情報(1または複数の成分キャリアにおいておのおの利用されるPFICH情報)ともいえる。そして,当該固定されたPCFICH値は,アンカ成分キャリアのみからも得ることができるものである。したがって,当該固定されたPCFICH値は,「前記アンカ成分キャリアに,および,前記1または複数の成分キャリアのおのおのに関連する,パッケージされたPCFICH情報」といえる。
ここで,異なるLTE-A UEにはアンカ成分キャリアとして異なる成分キャリアが割り当てられ得ることは自明である。そうすると,あるLTE-A UEにとってのアンカ成分キャリアは,他のLTE-A UEにとっての非アンカ成分キャリアとなり得るところ,PDCCHが使用するOFDMシンボルの数(すなわち,PCFICH情報)は成分キャリア毎に設定されるものであってLTE-A UE毎に設定されるものではないから,上記請求項2のように共通の固定されたPCFICH値を用いる場合は,アンカ成分キャリア/非アンカ成分キャリアの別なく,また,LTE-A UEの別なく,全ての成分キャリアが共通の固定されたPCFICH値を用いることは明らかである。そして,このことは,本願明細書の【0040】,【0041】の開示内容とも整合するものである。また,このことは,「専用シグナリング」については,本願明細書の【0040】に非アンカ成分キャリアの固定されたPCFICH値についてのみしか開示されていないところ,本願発明は「専用シグナリングによって,前記アンカ成分キャリアに,および,前記1または複数の成分キャリアのおのおのに関連する,パッケージされたPCFICH情報を通信する」と規定していることとも,整合的に解釈できるものである。
一方,引用発明の「アンカーコンポーネントキャリアのPDCCHによって,各コンポーネントキャリア間で調整されたPCFICHの値」は,「PDCCHのサイズをすべてのコンポーネントキャリア(CC)に共通の固定値とすること。」との周知技術1に照らせば,アンカーコンポーネントキャリア及び非アンカーコンポーネントキャリアを含む複数のコンポーネントキャリアに共通の固定されたPCFICHの値と解することができる。そして,当該共通の固定された値は,アンカーコンポーネントキャリアに関連するPFICH情報(アンカーコンポーネントキャリアにおいて利用されるPFICH情報)といえ,また,非アンカーコンポーネントキャリアに関連するPFICH情報(非アンカーコンポーネントキャリアにおいておのおの利用されるPFICH情報)ともいえる。そして,当該調整されたPCFICHの値は,アンカーコンポーネントキャリアのみからも得ることができるものである。してみると,引用発明の「各コンポーネントキャリア間で調整されたPCFICHの値」も,「前記アンカ成分キャリアに,および,前記1または複数の成分キャリアのおのおのに関連する,パッケージされたPCFICH情報」といえることは明らかである。
したがって,上記相違点1には,実質的な差異はない。

なお,仮に,「前記アンカ成分キャリアに,および,前記1または複数の成分キャリアのおのおのに関連する,パッケージされたPCFICH情報」が,それぞれ別々の独立した情報である,アンカ成分キャリアに関連するPCFICH情報,および,1または複数の成分キャリアのおのおのに関連するPCFICH情報からなるものであるとしても,周知技術2のとおり「1つコンポーネントキャリアのPDCCHおいて,複数のコンポーネントキャリアにおいて使用するそれぞれの制御情報をまとめて送信すること。」は例えば周知例1にも記載されているように周知であるから,当該まとめて送信される制御情報としてPCFICH情報を適用することは格別困難なことではなく,当業者が容易になし得ることに過ぎない。

(相違点2について)
「専用シグナリング」については,本願明細書の【0041】に「PDSCH復号のための固定されたPCFICH値は,ブロードキャストされ,専用シグナリングによってシグナルされるか,あるいは,1つの値でハード符号化されうる。」との記載があるのみであって,その具体的な定義については明らかにされていない。そして,「専用シグナリング」なる文言からは,「専用」とは,UE専用とも,PCFICH値専用とも解し得るものである。
そして,上記「(相違点1について)」にて述べたように,固定されたPCFICH値を用いる場合は,アンカ成分キャリア/非アンカ成分キャリアの別なく,また,全てのLTE-A UEに共通に,共通の固定されたPCFICH値が利用されるものである。これは,固定されたPCFICH値が「ブロードキャスト」され得ることにも合致するものである。
してみると,「専用シグナリング」とは,各UEに専用のシグナリングというよりは,「固定されたPCFICH情報」を専用にシグナリングすることと解する方がより自然である。
一方,引用発明は,「各コンポーネントキャリア間で調整されたPCFICHの値」を「アンカーコンポーネントキャリアのPDCCH」によって通信するものであるところ,PDCCH情報を送信するリソースにPCFICHが含まれることはLTEの標準仕様にもあるように技術常識(必要であれば,原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第2008/084624号の[0006],[0007],同じく原査定の拒絶の理由に引用された国際公開第2009/041779号の[62]参照。)であり,PCFICHは「PCFICH情報」を専用にシグナリングするチャネルであるから,引用発明は,アンカーコンポーネントキャリアにおいて,PCFICH情報を専用にシグナリングするPCFICHにて固定されたPCFICH情報をシグナリングしているということができる。そして,これを「専用シグナリング」と称することは任意であるから,相違点2には実質的な差異はないというべきである。
仮に,「専用シグナリング」が各UEに専用のシグナリングであるとしても,各UEに対して通知を行うことは普通に行われている(例えば,引用例の「higher layer signalling」,「special PDCCH」(上記3(3)参照。)ことであり,通知手段として周知の「各UEに専用のシグナリング」を用いることは格別困難なことではなく,当業者が適宜採用し得ることにすぎない。

5 むすび
以上のとおり,本願発明は,引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-11-24 
結審通知日 2015-12-01 
審決日 2015-12-17 
出願番号 特願2012-508793(P2012-508793)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中木 努藤江 大望  
特許庁審判長 大塚 良平
特許庁審判官 ▲高▼橋 真之
菅原 道晴
発明の名称 マルチ・キャリア動作のためのPCFICH設計  
代理人 福原 淑弘  
代理人 井関 守三  
代理人 奥村 元宏  
代理人 蔵田 昌俊  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ