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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 F16L
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F16L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F16L
管理番号 1314165
審判番号 不服2015-3807  
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-02-27 
確定日 2016-05-06 
事件の表示 特願2013- 97678号「バサルト連続フィラメント断熱および耐火材料およびスリーブならびにその構成方法」拒絶査定不服審判事件〔平成25年10月31日出願公開、特開2013-224739号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2007年(平成19年)5月1日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2006年5月1日、米国(US)、2007年4月30日、米国(US))を国際出願日とする特願2009-510008号の一部を平成25年5月7日に新たな特許出願としたものであって、平成25年6月6日に手続補正書が提出され、平成26年3月14日付けで拒絶理由が通知され、同年6月17日に意見書及び手続補正書が提出され、同年10月21日付けで拒絶査定がされ、平成27年2月27日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出され、同年4月30日に審判請求書を補正する手続補正書が提出されたものである。

第2 平成27年2月27日付け手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成27年2月27日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
平成27年2月27日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲について補正をするものであって、補正前の請求項1と、補正後の請求項1の記載を補正箇所に下線を付して示すと以下のとおりである。
(補正前の請求項1)
「難燃性の断熱材料であって、
複数の連続バサルトヤーンフィラメントから、少なくとも部分的に構成され、織られ、編まれ、または組まれた繊維布地の少なくとも1つの層を備え、。
前記連続バサルトヤーンフィラメントは、織地化される、耐火性断熱材料」
(合議体注:「備え、。」は「備え、」の、「耐火性断熱材料」は「耐火性断熱材料。」の誤記と認める。」)

(補正後の請求項1)
「難燃性の断熱材料であって、
複数の連続バサルトヤーンフィラメントから、少なくとも部分的に構成され、織られ、編まれ、または組まれた繊維布地の複数の層を備え、
前記連続バサルトヤーンフィラメントは、織地化される、耐火性断熱材料」
(合議体注:「耐火性断熱材料」は「耐火性断熱材料。」の誤記と認める。」)

2 補正の適否
(1)新規事項の追加の有無及び補正の目的の適否について
上記補正は、本願明細書の段落【0016】等の記載に基いて、「繊維布地」の「層」に関し、補正前の「少なくとも1つ」から「複数」とするものであり、発明特定事項を限定するものであって新規事項を追加するものではない。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に適合するものであり、また、その補正前の請求項1に記載された発明とその補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げられた特許請求の範囲を減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載されている事項により特定される発明(以下、「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下検討する。

(2)独立特許要件
ア 刊行物の記載事項
原査定の拒絶の理由に「引用文献1」として示され、本願の優先日前に頒布された特開2004-293500号公報(以下、「刊行物」という。)には、以下の事項が記載されている。
(1a)「【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、玄武岩を溶解し長繊維状としたバサルトヤーンを用いることで、800℃を超える高温に十分に耐え得る優れた耐熱性が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。」

(1b)「【0010】
本発明で用いるバサルトヤーンは、玄武岩を溶解し、それを多孔のブッシングより引き出してフィラメント状の長繊維のヤーンとしたものである。」

(1c)「【0011】
本発明の内燃機関排気管用断熱材を製造するには、先ず、この長繊維状のバサルトヤーンを多数本束ね、収束剤を使用して長尺のバサルトヤーンの束とする。・・・」

(1d)「【0012】
次いで、上記のバサルトヤーンの束を解繊してバルキー状となし、得られたバルキー状物を複数本拠り合わせて編糸とする。尚、バサルトヤーンの束の解繊は、周知の繊維状物の解繊方法、並びにバルキー状物を編糸状に編組する方法は、何れも公知の方法により行うことができる。・・・」

(1e)「【0013】
そして、上記の如くして得られた編糸を、周知の方法で筒状(スリーブ状)または平布上に編祖して本発明の内燃機関排気管用断熱材が得られる。・・・」
(合議体注:「平布上に編祖」は「平布状に編組」の誤記と認める。)

イ 刊行物に記載された発明
ここで、上記(1e)の、編糸を編組して製作したものは、「繊維布地」といえるものであるし、それにより「層」が構成されているともいえる。
以上のことから、刊行物には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認める。
「800℃を超える高温に十分耐え得る内燃機関排気管用断熱材であって、
複数のフィラメント状の長繊維のバサルトヤーンのバルキー状物からなる編糸から構成され、編組された繊維布地の層を備え、
前記フィラメント状の長繊維のバサルトヤーンは、平布状にされる、内燃機関排気管用断熱材。」

ウ 対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。
(ア)引用発明の「フィラメント状の長繊維のバサルトヤーン」は、本願補正発明の「連続バサルトヤーンフィラメント」に相当する。また、本願補正発明においては、「複数の連続バサルトヤーンフィラメント」を用いたものであるなら、「織られ、編まれ、または組まれた繊維布地」にするにあたっての「複数の連続バサルトヤーンフィラメント」の具体的構成は問わないのであるから、引用発明の「複数のフィラメント状の長繊維のバサルトヤーンのバルキー状物からなる編糸から構成され」ということは、本願補正発明の「複数の連続バサルトヤーンフィラメントから、」「構成され」ということに相当するといえる。

(イ)引用発明の「800℃を超える高温に十分耐え得る」ということは、少なくとも当該温度で燃焼はしないということであり、内燃機関排気管に用いる断熱材であるなら、難燃性であることは常識的なことであって、さらに、引用発明も本願補正発明と同様に、その材料としてバサルトヤーンからなるフィラメントを用いていることから、引用発明の当該事項は、本願補正発明の「難燃性」ということに相当するといえる。

(ウ)本願補正発明の「断熱材料」は、その用途を問わないのであるから、引用発明の「内燃機関排気管用断熱材」は、本願補正発明の「断熱材料」に相当するといえる。そして、それは、上記(イ)で述べたように「難燃性」であるので、引用発明の「耐火性断熱材料」に相当するともいえる。

(エ)本願補正発明の「織地化される」ということは、「織られ、編まれ、または組まれた」という手段による結果、繊維布地とすることを示すものであるから(合議体注:平成27年11月11日に実施した請求人代理人との面接において当該事項の意図を確認済み。)、結局のところ、引用発明の「平布状にされる」ということは、本願補正発明の「織地化される」ということに相当するといえる。

以上のことから、本願補正発明と引用発明とは以下の点で一致する。
「難燃性の断熱材料であって、
複数の連続バサルトヤーンフィラメントから、構成され、
繊維布地の層を備え、
前記連続バサルトヤーンフィラメントは、織地化される、耐火性断熱材料。」

そして、両者は以下の点で一応相違ないし相違する。
[相違点1]
本願補正発明の「繊維布地」の「層」は、複数の連続バサルトヤーンフィラメントから、「少なくとも部分的に構成され」たものであるのに対し、引用発明の「繊維布地」の「層」は、そのような特定がない点。

[相違点2]
本願補正発明の「繊維布地」の「層」は、「織られ、編まれ、または組まれた」ものであるのに対し、引用発明の「繊維布地」の「層」は、「編組された」ものである点。

[相違点3]
本願補正発明の「繊維布地」の「層」は、「複数」であるのに対し、引用発明の「繊維布地」の「層」は、そのような特定がない点。

エ 判断
[相違点1]について
本願補正発明の「少なくとも部分的に構成され」という事項は、複数の連続バサルトヤーンフィラメントから、部分的に構成されているものから全体が構成されているものまで全て含むものであるから、この意味において、引用発明とは相違しないといえる。
また、複数の連続バサルトヤーンフィラメントから、部分的に構成することも全体を構成することも、当業者であれば所望により適宜なし得た設計的事項といえる。
したがって、相違点1は実質的な相違点とはいえないか、あるいは、引用発明において、相違点1に係る本願補正発明の事項を有するものとすることは、当業者であれば容易になし得たことともいえる。

[相違点2]について
引用発明の「編組された」ということは、本願補正発明の「編まれ」ということに相当する。
そして、本願補正発明の「繊維布地」の「層」が「織られ、編まれ、または組まれた」ものであるということは、それら手段のいずれかであればよいということであるので、「編まれ」という手段を含むという限度において、引用発明とは相違しないといえる。
また、他の手段についても、繊維布地を作成する上でのごく一般的な手段にすぎないことから、当業者であれば所望により適宜なし得た設計変更といえる。
したがって、相違点2は実質的な相違点とはいえないか、あるいは、引用発明において、相違点2に係る本願補正発明の事項を有するものとすることは、当業者であれば容易になし得たことともいえる。

[相違点3]について
耐火性断熱材料において、繊維からなる層を複数とすることは、本願の優先日前に周知の技術的事項(例えば、特開平11-311396号公報(特に、段落【0014】-【0018】、図5-10参照。)、実願昭60-32969号(実開昭61-148987号)のマイクロフィルム(特に、実用新案登録請求の範囲、産業上の利用分野、明細書第4ページ第7行参照。)等。)であり、引用発明の「繊維布地」の「層」においても、このような周知の技術的事項を採用することは、所望とする断熱性能等の要求に応じて当業者であれば適宜なし得たことである。
したがって、引用発明において、相違点3に係る本願補正発明の事項を有するものとすることは、当業者であれば容易に想到し得たことといえる。

そして、本願補正発明の作用効果も、引用発明及び周知の技術的事項から当業者が予測できる範囲のものといえる。

オ 審判請求書での主張の検討
請求人は、平成27年4月30日付け手続補正により補正された審判請求書の「4.(1)」において、
「上記刊行物1に記載の発明では、単純に玄武岩から得た長繊維状のバサルトヤーンを編糸とし、この編糸を用いて平布を編組しているだけであり、本願発明でいう「織地化」されているとはいえない。」
と主張する。
しかしながら、「織地化」ということについては、上記「ウ(エ)」で述べたとおりであって、引用発明も同様事項を有しているといえる。
また、
「刊行物1には、断熱材が複数の層を備えることは全く記載も示唆もされていない。」
とも主張する。
しかしながら、この主張については、上記「[相違点3]について」で述べたとおりであって、複数の層とすることは、当業者であれば容易になし得たことである。
よって、上記主張はいずれも採用できない。

カ まとめ
したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。
よって、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものではない。

3 むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

第3 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成26年6月17日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記「第2 1(補正前の請求項1)」に記載されたとおりである。

第4 刊行物とその記載事項等
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物とその記載事項は、上記「第2 2(2)ア」に記載したとおりであり、その刊行物に記載された発明は、上記「第2 2(2)イ」に記載したとおりである。

第5 当審の判断
本願発明は、上記「第2」で検討した本願補正発明から、「繊維布地」の「層」が「複数」であることの限定事項を省き、当該「層」が「少なくとも1つ」であるとしたものである。
そうすると、本願発明と引用発明とは、上記「第2 2(2)ウ」で述べた相違点1及び相違点2と、次に示す相違点4とで一応相違する。
[相違点4]本願発明の「繊維布地」の「層」は、「少なくとも1つ」であるのに対し、引用発明の「繊維布地」の「層」は、そのような特定がない点。
しかしながら、相違点1、2については、上記「第2 2(2)エ」の「[相違点1]について」と「[相違点2]について」で述べたとおり、実質的な相違点とはいえない。
相違点4について検討しても、「少なくとも1つ」ということは、1つ以上ものを全て含むものであるから、この意味において、引用発明とは相違しないといえる。

第6 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明(刊行物に記載された発明)であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-11-25 
結審通知日 2015-12-01 
審決日 2015-12-14 
出願番号 特願2013-97678(P2013-97678)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (F16L)
P 1 8・ 121- Z (F16L)
P 1 8・ 575- Z (F16L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 土屋 正志  
特許庁審判長 島田 信一
特許庁審判官 一ノ瀬 覚
櫻田 正紀
発明の名称 バサルト連続フィラメント断熱および耐火材料およびスリーブならびにその構成方法  
代理人 深見 久郎  
代理人 仲村 義平  
代理人 森田 俊雄  
代理人 野田 久登  
代理人 荒川 伸夫  
代理人 堀井 豊  
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