• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G02B
管理番号 1314281
審判番号 不服2014-22635  
総通号数 198 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-06-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-11-06 
確定日 2016-05-02 
事件の表示 特願2012-109709「粘着剤層付偏光フィルムおよび画像表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 1月10日出願公開、特開2013- 8019〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯・本願発明
(1)手続の経緯
本願は、平成24年5月11日(優先権主張平成23年5月26日)の出願であって、平成26年3月27日及び同年6月13日に手続補正がなされ、同年8月1日付けで同年6月13日になされた手続補正が却下されるとともに、同日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成26年11月6日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がなされ、当審において、平成27年9月24日付けで拒絶の理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、同年11月24日に手続補正がなされたものである。
なお、請求人は、当審拒絶理由に対して平成27年11月24日に意見書を提出している。

(2)本願発明
本願の請求項1ないし11に係る発明は、平成27年11月24日になされた手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載の事項により特定されるものであるところ、請求項1に係る発明は、その特許請求の範囲に記載されたとおりの次のものであると認める。

「偏光フィルムと、当該偏光フィルムに設けられた粘着剤層を有する粘着剤層付偏光フィルムであって、
前記偏光フィルムは、厚みが10μm以下の偏光子の片側または両側に透明保護フィルムを有し、かつ
前記粘着剤層は、(メタ)アクリル系ポリマー(A)、イオン性化合物(B)および架橋剤(C)(但し、(メタ)アクリル系ポリマー(A)100重量部に対してヘキサメチレンジイソシアネート系架橋剤0.05?5重量部を含有する場合を除く)を含有し、
かつ、前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、モノマー単位として、直鎖状または分岐鎖状の炭素数1?18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートおよび芳香族環を含有するアルキル(メタ)アクリレートを含み、前記イオン性化合物(B)がカチオン成分としてピロリジニウムカチオンを含む有機カチオン-アニオン塩を含有し、前記架橋剤(C)が過酸化物を含有する粘着剤組成物から形成されたものであることを特徴とする粘着剤層付偏光フィルム。」(以下「本願発明」という。)

2 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由のうち理由1は概ね次のとおりである。
「本件出願の請求項1?11に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


引用文献
1.特開2009-79205号公報
2.特開2011-37930号公報
3.国際公開第2007/034533号
4.特開2008-32852号公報
5.国際公開第2010/064551号
6.特開2010-152334号公報」

3 引用例の記載事項
(1)本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に頒布され、当審拒絶理由の理由1で引用文献3として引用された刊行物である国際公開第2007/034533号(以下「引用例1」という。)には、次の事項が図とともに記載されている(下線は当審で付した。以下同様。)。
ア 「発明が解決しようとする課題
[0006] 本発明は、液晶セルに大型の偏光板を貼り付けた際に顕著な接着不良、とくに高温および湿熱環境下での偏光板のハガレや浮きを防止しうる偏光板用粘着剤組成物、ならびに該粘着剤組成物から得られた粘着剤層を有する粘着剤層付き偏光板を提供することを課題としている。
課題を解決するための手段
[0007] 本発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意検討した結果、常温で液体の有機溶融塩(以下、イオン性液体ともいう。)と特定の(メタ)アクリル系ポリマーとイソシアネート系架橋剤とを特定量で含有してなる粘着剤組成物から得られる粘着剤層では、イオン性液体によって、粘着剤層の適度な可塑化と被着体に対する馴染み性の向上とが起こり、偏光板の貼り付け時に生じる自重による撓みを緩和して、撓みに起因する経時でのハガレや浮きを抑制できること、また、液晶セル基板(被着体)であるガラス表面の微細な凹凸に粘着剤層が追従することにより、高温および湿熱環境下でも偏光板のハガレや浮きを防止できることを見出して本発明を完成するに至った。
[0008] すなわち、本発明は以下の事項に関する。
本発明に係る偏光板用粘着剤組成物は、
(A)少なくとも、(a1)水酸基含有モノマーと、(a2)カルボキシル基、アミノ基、アミド基の少なくとも1つを含有するモノマーと、(a3)前記(a1)および(a2)以外の置換および/または無置換のアルキル(メタ)アクリレートとを、共重合して得られた重量平均分子量100万以上の(メタ)アクリル系ポリマー(ただし、(a2)モノマーの仕込み量は全モノマー量の0.5重量%以下である)100重量部に対して、
(B)常温で液体の有機溶融塩を0.1?8重量部の量で、
(C)イソシアネート系架橋剤を0.03?1重量部の量で、
含有してなることを特徴としている。
[0009] 前記(B)常温で液体の有機溶融塩は、4級窒素原子を含有する炭素数6?50のカチオンと、フッ素原子含有アニオンとからなるオニウム塩であることが好ましい。
さらに、前記4級窒素原子を含有する炭素数6?50のカチオンは、4級アンモニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオンから選ばれ、かつ
前記フッ素原子含有アニオンは、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミダートイオン、トリフルオロメタンスルホネートイオン、テトラフルオロボラートイオン、またはヘキサフルオロホスファートイオンであることがより好ましい。
[0010] さらに、本発明では、前記(a1)モノマーはヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートであり、前記(a3)モノマーは、アルキル(メタ)アクリレートであるか、アルキル(メタ)アクリレートとアルコキシアルキル(メタ)アクリレートとの組合せであるか、アルキル(メタ)アクリレートとアリールオキシアルキル(メタ)アクリレートとの組合せであるか、あるいはアルキル(メタ)アクリレートとアリールアルキル(メタ)アクリレートとの組合せであり、かつ(a2)モノマーの仕込み量が0.2重量%以下であることが好ましい。
[0011] また、前記アルキル(メタ)アクリレートはn-ブチルアクリレートを含有してなり、前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)の合成の際における該n-ブチルアクリレートの仕込み量は全モノマー量の70重量%以上を占めることが望ましい。
なお、本発明に係る粘着剤層付き偏光板は、偏光板の片面に前記偏光板用粘着剤組成物から得られた粘着剤層を有してなることを特徴としている。」
イ 「発明の効果
[0012] 本発明によれば、偏光板の片面に設けられた粘着剤層において、粘着剤層の適度な可塑化と馴染み性の向上とが起こり、大型の偏光板で顕著な、貼り付け時における偏光板の自重による撓みを緩和して、撓みに起因する経時でのハガレや浮きを解消できる上に、粘着剤層が、液晶セル基板であるガラス表面の微細な凹凸に追従することによって、高温および湿熱環境下でも液晶セルからの偏光板のハガレや浮きを確実に防止できる。
[0013] また、本発明の粘着剤層付き偏光板は、180°引張り剥離強度が通常400?600g/25mmの範囲にあり、経時でのハガレや浮きを生じさせない密着性と再剥離性という相反する要求を同時に満たす。」
ウ 「[0015] <(A)(メタ)アクリル系ポリマー>
本発明に用いることのできる(メタ)アクリル系ポリマーは、少なくとも、(a1)水酸基含有モノマーと、(a2)カルボキシル基、アミノ基、アミド基の少なくとも1つを含有するモノマーと、(a3)前記(a1)および(a2)以外の置換および/または無置換のアルキル(メタ)アクリレートとを、共重合して得ることができ(ただし、(a2)モノマーの仕込み量は全モノマー量の0.5重量%以下である)、その重量平均分子量は、通常100万以上、好ましくは130万?180万である。すなわち、該(メタ)アクリル系ポリマーは、(a1)および(a3)モノマーを必須原料とし、さらに必要に応じて任意原料としての(a2)モノマーや後述する(a4)モノマーを用いて、これらを特定量で共重合して得ることができる。」
エ 「[0031] ・・・略・・・
<(B)常温で液体の有機溶融塩>
本発明に用いることのできる常温で液体の有機溶融塩、いわゆるイオン性液体は、1atmにおいて25℃以下の融点を有する公知の有機溶融塩であり、4級窒素原子を含有する炭素数6?50、好ましくは炭素数10?30のカチオンと、フッ素原子含有アニオンとからなるオニウム塩であることが望ましい。
[0032] 具体的には、前記4級窒素原子を含有する炭素数6?50のカチオンは、4級アンモニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオンから選ばれ、かつ
前記フッ素原子含有アニオンは、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミダートイオン、トリフルオロメタンスルホネート、テトラフルオロボラートイオン、またはヘキサフルオロホスファートイオンであることがより好ましい。
・・・略・・・
[0034] また、前記ピロリジニウムカチオンの例としては、N-ブチル-N-メチル-ピロリジニウムイオン、N-プロピル-N-N-メチルピロリジニウムイオン、N-ヘキシル-N-Nメチルピロリジニウムイオン、N-メトキシエチル-N-メチルピロリジニウムイオン、N-エトキシエチル-N-メチルピロリジニウムイオン、N-プロポキシエチル-N-メチルピロリジニウムイオン、N-(2-ヒドロキシエチル)-N-メチルピリジニウムイオンなどが挙げられる。
[0035] また、前記ピリジニウムカチオンの例としては、N-エチルピリジニウムイオン、N-ブチルピリジニウムイオン、N-(2-ヒドロキシエチル)-ピリジニウムイオン、1-ヘキシル-4-メチルピリジニウムイオンなどが挙げられる。
また、前記ピペリジニウムカチオンの例としては、N-メチル-N-ブチル-ピペリジニウムイオン、N-オクチル-N-メチルピペリジニウムイオン、N-ヘキシル-N-メチルピペリジニウムイオンなどが挙げられる。
[0036] より具体的には、イオン性液体である好ましいオニウム塩としては、
・・・略・・・
N-ブチル-N-メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、N-プロピル-N-N-メチルピロリジニウムトリフルオロメタンスルホネート、N-ヘキシル-N-N-メチルピロリジニウムヘキサフルオロホスファート;
N-ブチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1-ヘキシル-4-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、N-ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1-ヘキシル-4-メチルピリジニウムヘキサフルオロホスファート;
N-ブチル-N-メチルピペリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、N-オクチル-N-メチルピペリジニウムヘキサフルオロホスファート、N-ヘキシル-N-メチルピペリジニウムトリフルオロメタンスルホネート;などが挙げられる。
[0037] 該イオン性液体は、(A)(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、通常0.1?8重量部、好ましくは1?4重量部の量で含まれるように用いられる。
該イオン性液体が上記範囲内の量で偏光板用粘着剤組成物に含まれていると、偏光板用粘着剤組成物中の上記(メタ)アクリル系ポリマーとの相溶性が良く、偏光板の片面に粘着剤層を形成した場合には、該粘着剤層を適度に可塑化するとともに被着体に対する馴染み性を向上し、液晶表示装置の製造における偏光板貼り付け工程の問題点であった、偏光板の自重による撓みを緩和し、経時でのハガレや浮きを解消できる。さらに、粘着剤層が被着体である液晶セルのガラス基板表面の微細な凹凸に追従することで、被着体との密着性が向上し、耐久性があがる。その結果、高温および湿熱環境下でも液晶セルからの偏光板のハガレや浮きを防止できる。
[0038] イオン性液体の含有量が、上記下限値未満では上記効果が達成できず、その一方、上記上限値を超えると粘着剤層が過度に可塑化され、密着性が大幅に低下し、高温および湿熱環境下で液晶セルからの偏光板のハガレや浮きが生じる。・・・略・・・」
オ 「[0043] ・・・略・・・
<粘着剤層付き偏光板>
本発明の粘着剤層付き偏光板は、偏光板の片面に前記偏光板用粘着剤組成物から得られた粘着剤層を有してなる。
[0044] 使用できる偏光板としては、特に限定されず、公知のものを適宜採用できるが、本発明の効果をより発揮できる点からは大型の偏光板、すなわち大面積を有する偏光板を採用するのが好ましい。たとえば、2枚のトリアセチルセルロースフィルムで、ポリビニルアルコール系、ポリエステル系あるいはポリビニルブチラール系の偏光子を挟持した3層構造の偏光板であって、液晶セルとの接着面積が300mm×380mm以上であるものなどが挙げられる。近年の液晶表示装置の大型化に伴い、液晶セルおよび偏光板も大型化の傾向にあるが、現在、その大きさの上限は偏光板では、液晶セルとの接着面積が1000mm×1340mm以下程度である。なお、該偏光板は、通常130?200μmの厚さを有している。
[0045] 粘着剤層を偏光板の片面に形成する方法は、特に限定されず、上記偏光板用粘着剤組成物をドクターブレード、ナイフコーター、コンマコーター、リバースロールコーターまたはグラビアコーターなどで偏光板に塗布し、溶剤を除去することにより、偏光板の片面に粘着剤層を設けてもよく、予め別の支持体に上記手段で粘着剤組成物を塗布し溶剤を除去して粘着剤層を該支持体上に設けた後、該粘着剤層を偏光板上にラミネーターロールなどを用いて転写することによってもよい。
[0046] このようにして、通常5?50μm、好ましくは15?30μmの厚さの粘着剤層を偏光板上に形成し、粘着剤層付き偏光板を得ることができる。
得られた粘着剤層付き偏光板は、高温および湿熱環境下で長時間使用した場合でも、粘着剤層の発泡、被着体である液晶セルからのハガレや浮きが生じず耐久性に優れる。
さらに、該粘着剤層付き偏光板は、被着体である液晶セルのガラス基板との優れた密着性を有するとともに、再剥離性の観点からも好ましい、適度な粘着力を有している。具体的には、下記実施例の手順に従い測定した粘着剤層付き偏光板の180°引張り剥離力は、通常400?600g/25mmの範囲にある。」
カ 「[0047] 従来の粘着剤組成物の場合、粘着力を上記範囲内に調整すると、粘着剤層の耐久性が不充分となり、高温および湿熱環境下で偏光板のハガレや浮きを生じるおそれがあり、熱時の収縮が大きい大型の偏光板ではその傾向が顕著であった。しかしながら、本発明では、このような範囲の粘着力を有することで再剥離性を確保しつつも、特定量のイオン性液体の働きにより被着体との優れた密着性をも有するため、大型の偏光板用途に用いた場合であっても、さらに高温および湿熱環境下であってもハガレや浮きを防止できる。」
キ 「[0048] 以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、以下の例中、重量平均分子量(Mw)は、GPC(HLC-8120;東ソー(株)製)を用い、ポリスチレンを標準物質として、下記の条件で測定した。
使用カラム;G7000HXL×1本、GMHXL×2本、G2000HXL×1本
溶媒;THF(テトラヒドロフラン)
流速;1.0ml/min
測定温度;40℃
[合成例1]
BA/4HBAポリマーの合成1
n-ブチルアクリレート(BA)99重量部、4-ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)1重量部、酢酸エチル100重量部、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2重量部を反応容器に入れ、この反応容器内の空気を窒素ガスで置換した。
[0049] その後、窒素雰囲気中で撹拌しながら、この反応容器を60℃に昇温させ、6時間反応させた。
反応終了後、酢酸エチルで希釈し、BA/4HBAポリマー溶液を得た。該溶液に含まれるBA/4HBAポリマーの重量平均分子量は160万であった。

・・・略・・・

[0052] [合成例5]
BA/POA/4HBAポリマーの合成
BAを79重量部、フェノキシエチルアクリレート(POA)を20重量部、4HBAを1重量部使用したほかは合成例1と同様にして、BA/POA/4HBAポリマー溶液を得た。該溶液に含まれるBA/POA/4HBAポリマーの重量平均分子量は160万であった。
[0053] [合成例6]
BA/Bz/4HBAポリマーの合成
BAを89重量部、ベンジルアクリレート(Bz)を10重量部、4HBAを1重量部使用したほかは合成例1と同様にして、BA/Bz/4HBAポリマー溶液を得た。該溶液に含まれるBA/Bz/4HBAポリマーの重量平均分子量は160万であった。」
ク 「実施例 1
[0056] 合成例1で得たBA/4HBAポリマー溶液の固形分100重量部に対して、イオン性液体として1-ヘキシル-4-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド2重量部、イソシアネート架橋剤としてトリメチロールプロパン付加キシリレンジイソシアネート(XDI)0.15重量部を混合し、粘着剤組成物を得た。
得られた粘着剤組成物を用いて、以下の方法で、(1)高温環境下での耐久性、(2)湿熱環境下での耐久性、(3)180°引張り剥離力、(4)濡れ性について評価した。
[0057] 結果を表1に示す。
(1)高温環境下での耐久性および(2)湿熱環境下での耐久性
得られた粘着剤組成物を、550mm幅の剥離処理したポリエステルフィルム(商品名;PET3811、製造元;リンテック株式会社)の剥離剤層上に塗工後、90℃で4分間乾燥させ、厚さ25μmの粘着剤層を設けた。
[0058] これを偏光板の片面に転写し、温度23℃、湿度65%の条件で7日間熟成させて粘着剤層付き偏光板を得た。
得られた粘着剤層付き偏光板を19インチサイズに裁断し、剥離処理したポリエステルフィルムを剥離した後、315mm×390mmのアルカリガラス板(旭硝子社製)上に粘着剤層が接触するようにして、まず粘着剤層の端部を貼着した後、全体をラミネーターロールを用いて貼着した。次いで、50℃、5気圧に調整されたオートクレーブ内で20分間保持して、試験板を作成した。
[0059] 試験板は2枚作成し、85℃(高温環境下)、60℃×RH95%(湿熱環境下)の条件で500時間放置し、ハガレ、浮き、発泡の発生を目視で観察し、下記の評価基準で評価した。
〇: ハガレ、浮き、発泡などの外観不良がない
△: ハガレ、浮き、発泡が僅かに見られる
×: ハガレ、浮き、発泡が明らかに見られる
(3)180°引張り剥離力
得られた粘着剤組成物を、550mm幅の剥離処理したポリエステルフィルム(商品名;PET3811、製造元;リンテック株式会社)の剥離剤層上に塗工後、90℃で4分間乾燥させ、厚さ25μmの粘着剤層を設けた。これを偏光板の片面に転写し、温度23℃、湿度65%の条件で7日間熟成させて粘着剤層付き偏光板を得た。
[0060] 得られた粘着剤層付き偏光板を2.5cm×15cmに裁断し、剥離処理したポリエステルフィルムを剥離した後、70mm×150mmのアルカリガラス板(旭硝子社製)上に粘着剤層が接触するようにして、貼着した。
貼着20分後に粘着剤層付き偏光板の方端を引き剥がし速度300cm/minで180°方向に引っ張り、剥離開始から剥離完了までの力(g/25mm)を測定し、その平均値を180°引張り剥離力とした。
[0061] (4)濡れ性
得られた粘着剤組成物を、550mm幅の剥離処理したポリエステルフィルム(商品名;PET3811、製造元;リンテック株式会社)の剥離剤層上に塗工後、90℃で4分間乾燥させ、厚さ25μmの粘着剤層を設けた。この粘着剤層面に500mm幅のポリエステルフィルム(商品名;ルミラー25、製造元;東レ株式会社)を貼り合せて、温度23℃、湿度65%の条件で7日間熟成させて粘着シートを得た。
[0062] 得られた粘着シートを30mm×150mmに裁断し、試験片を作成した。作成した試験片から剥離処理されたポリエステルフィルムを剥離した後、露出した粘着剤層を外側にして試験片の長手方向の両端が最上部となるように曲げ、長手方向の両端を1箇所にまとめて指で挟持した。試験片の中央部(曲げて挟持した場合の最下部)の粘着剤層をアルカリガラス板(旭硝子社製)に当接させて、手を離し、試験片がガラス板表面になじむまでの時間を測定した。

・・・略・・・

実施例 9
[0070] 合成例5で得たBA/POA/4HBAポリマー溶液を使用したほかは実施例1と同様にして粘着剤組成物を得て、実施例1と同様に上記(1)?(4)の項目について評価した。
結果を表1に示す。
実施例 10
[0071] 合成例6で得たBA/Bz/4HBAポリマー溶液を使用したほかは実施例1と同様にして粘着剤組成物を得て、実施例1と同様に上記(1)?(4)の項目について評価した。
結果を表1に示す。」
ケ 実施例9又は実施例10は、実施例1におけるポリマー溶液を変えて得た粘着剤組成物であるところ、上記オ、キ及びクから、引用例1には次の発明が記載されているものと認められる。
「偏光板の片面に偏光板用粘着剤組成物から得られた粘着剤層を有してなる粘着剤層付き偏光板であって、
前記偏光板は、2枚のトリアセチルセルロースフィルムで、ポリビニルアルコール系、ポリエステル系あるいはポリビニルブチラール系の偏光子を挟持した3層構造であり、
前記偏光板用粘着剤組成物は、n-ブチルアクリレート(BA)/フェノキシエチルアクリレート(POA)/4-ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)ポリマー溶液又はn-ブチルアクリレート(BA)/ベンジルアクリレート(Bz)/4-ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)ポリマー溶液の固形分100重量部に対して、イオン性液体として1-ヘキシル-4-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド2重量部、イソシアネート架橋剤としてトリメチロールプロパン付加キシリレンジイソシアネート(XDI)0.15重量部を混合して得られたものである、
粘着剤層付き偏光板。」(以下「引用発明」という。)

(2)本願の優先日前に頒布され、当審拒絶理由の理由1で引用文献6として引用された刊行物である特開2010-152334号公報(以下「引用例2」という。)には、次の事項が図とともに記載されている。
ア 「【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス板に、厚み1μm?7μmの偏光子を基材に積層してなる偏光板を貼り合わせるに際し、前記ガラス板と前記偏光板との間隙に、水を主成分とする液体を充填して、前記偏光板を前記ガラス板に貼り合せることを特徴とする、偏光板付ガラス板の製造方法。」
イ 「【0018】
[偏光板]
図2に、本発明に用いられる偏光板20の一例を、従来の偏光板30と共に模式的に示す。図2(a)は本発明に用いられる偏光板20である。本発明に用いられる偏光板20は、基材21の表面に偏光子22が積層されてなる。
【0019】
基材21は、代表的には、厚み40μmのノルボルネン系樹脂フィルムである。偏光子22は、代表的には、厚み3μmのポリビニルアルコール膜である。このため、以後、偏光子22をポリビニルアルコール系偏光子と呼ぶことにする。」
ウ 「【0024】
本発明に用いられる偏光板20は、従来の偏光板30に比べ熱や湿度による伸縮が小さいため、それに伴なう浮きや剥がれが生じにくい。そのため偏光板20とガラス板との接着強度は、従来ほど強くなくてもよい。従って、従来のような強力な粘着剤を使う必要は無く、水を主成分とする液体12を用いて貼り合せることが可能である。水を主成分とする液体12による貼り合わせは、従来の粘着剤に比べて接着力が弱いため、貼り合せる際、気泡を防ぐことが容易であり、また位置ずれの際のリワークも容易である。
【0025】
本発明に用いられる偏光板20は、高温で長時間保管しても、従来の偏光板30に比べて寸法変化が少ない。例えば80℃で500時間保管したときの寸法変化率(線収縮率)の絶対値は、0.1%以下である。これに対し従来の偏光板30は、高温で長時間保管すると、大きな寸法変化を示す。例えば80℃で500時間保管したときの寸法変化率(線収縮率)の絶対値は、代表的には0.4%程度である。
【0026】
本発明に用いられる偏光板20が、高温での寸法変化の少ない理由は、次のように考えられる。
(1)ポリビニルアルコール系偏光子22の厚みが薄いため、寸法変化が少ない。従来の偏光子32は厚みが30μm程度であるが、本発明に用いられるポリビニルアルコール系偏光子22の厚みは1μm?7μmである。一般的に、薄い膜やフィルムは厚いものに比べて、高温による寸法変化が少ない。
(2)基材21として、高温による寸法変化がポリビニルアルコール系偏光子22に比べて非常に少ない材質のものを選択することができる。本発明に用いられる偏光板20では、ポリビニルアルコール系偏光子22の収縮応力が発生しても、基材21がポリビニルアルコール系偏光子22よりも厚くて剛性が大きいため、ポリビニルアルコール系偏光子22の応力の影響が少なく、偏光板20は収縮しにくい。」
エ 上記アないしウから、引用例2には、以下の事項が記載されている。
「厚み1μm?7μmのポリビニルアルコール系偏光子を基材に積層してなる偏光板は、前記偏光子が、従来の偏光子より薄く、高温による寸法変化が少なく、熱や湿度による偏光板の伸縮が小さいため、それに伴なう浮きや剥がれが生じにくいこと。」(以下「引用例2の記載事項」という。)

4 周知の事項
(1)特開2009-79205号公報の記載
本願の優先日前に頒布され、当審拒絶理由の理由1で引用文献1として引用された刊行物である特開2009-79205号公報(以下「周知例1」という。)には次の記載がある。
「【0005】
また、上記したような粘着剤付き光学フィルムは、その粘着剤層側で液晶セルに貼合して液晶表示装置とされるが、この状態で高温又は高温高湿条件に置かれたり、加熱と冷却が繰り返されたりした場合、光学フィルムの寸法変化に伴って、粘着剤層に発泡を生じたり、光学フィルムと粘着剤層の間、又は粘着剤層と液晶セルガラスの間に浮きや剥れなどを生じたりすることがあるため、このような不具合を生じず、耐久性に優れることも求められる。さらに、高温にさらされた場合に、光学フィルムに作用する残留応力の分布が不均一となり、光学フィルムの外周部に応力集中が起こる結果、黒表示時に外周部が白っぽくなる白ヌケと呼ばれる現象を生じたり、色ムラを生じたりすることがあるため、このような白ヌケや色ムラの抑制も求められる。さらにまた、粘着剤付き光学フィルムを液晶セルに貼合する際、不備があった場合には、その光学フィルムを一旦剥がしてから、再度新しいフィルムを貼り直すことになるが、その剥離のときに粘着剤層が光学フィルムに伴って引き剥がされ、セルガラス上に粘着剤が残らず、曇り等も生じないような、いわゆるリワーク性も求められる。」

(2)特開2011-37930号公報の記載
本願の優先日前に頒布され、当審拒絶理由の理由1で引用文献2として引用された刊行物である特開2011-37930号公報(以下「周知例2」という。)には次の記載がある。
「【0007】
しかし、粘着剤に要求される帯電防止能は年々高くなっており、上記のイオン性液体では帯電防止能を上げるために、粘着剤中のイオン性液体濃度を高くしなくてはならない。しかし、イオン性液体の濃度を高くすると、粘着剤への溶解性が低下し透明性が悪化したり、湿熱環境下で被着体からの剥がれなどの不具合も発生するという問題が起こっていた。
【0008】
このような状況に鑑み、良好な耐湿熱性及び光学特性等を維持しつつ、フィルムラベル用途から電気、光学用途に至るまで使用可能な、高い帯電防止能を付与できる帯電防止用粘着剤が望まれていた。」

(3)特開2008-32852号公報の記載
本願の優先日前に頒布され、当審拒絶理由の理由1で引用文献4として引用された刊行物である特開2008-32852号公報(以下「周知例3」という。)には次の記載がある。
「【0002】
液晶表示装置の部材である偏光板と液晶セルとの貼合に用いる粘着剤に対しては、様々な環境下にあっても偏光板に剥がれや浮きが生じることのない耐久性と、液晶セルにおける光漏れを防止し得る性能が求められている。この光漏れは、特に高温高湿環境下において、偏光板の収縮・膨張といった寸法変化に伴う応力を粘着剤層で吸収することができない場合に、偏光板における残留応力が不均一になる結果生じる。
このような光漏れの問題を解決するために、例えば粘着剤に可塑剤などの低分子量体を添加することで、適度に軟らかくして応力緩和性を付与する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、低分子量体の添加は、偏光板を剥離した際に被着体を汚染する原因となる上、保持力を低下させることとなり、経時による浮きや剥がれが発生しやすくなる。
したがって、接着耐久性と光漏れ防止性を両立することが課題であった。」

(4)国際公開第2010/064551号の記載
本願の優先日前に頒布され、当審拒絶理由の理由1で引用文献5として引用された刊行物である国際公開第2010/064551号(以下「周知例4」という。)には次の記載がある。
「[0104] 画面表示装置は、一般に前記した複数の光学フィルムの積層体から構成されている。光学フィルムをガラス基板などに貼り合わせたり、異なる種類の光学フィルムを貼り合わせたりするのに使用する粘着剤としては、光学フィルムとガラス基板との間の熱膨張率(温度上昇に伴う寸法変化)の差、または異なる種類の光学フィルム間における熱膨張率(温度上昇に伴う寸法変化)の差に追従して接着できることが望ましい。光学フィルムの中でも特に偏光板の場合は、延伸されたPVAに熱ストレスが加わることで偏光板が元の状態(延伸前の状態)に戻ろうとするため、熱条件下にて大きく収縮する場合があり、このため、偏光板を液晶セルに貼着する粘着剤、または偏光板に対して貼着される他の光学フィルムに用いる粘着剤としては、応力緩和による寸法変化に対する追従性が求められ、さらに、偏光板では、偏光板に応力がかかると、応力複屈折(位相差)が発生し、液晶ディスプレイに搭載した際に光学ムラ(液晶ディスプレイを黒表示した際に画面周辺部で白く光が漏れてくる現象)の不具合を生じる場合があり、この場合には、光学ムラを低減するために寸法変化に対して高い追従性を有することが求められるが、本発明の粘着剤組成物は、それらの要求を十分に満足する特性を有している。・・(略)・・」

(5)上記(1)ないし(4)及び引用例1の[0047](上記3(1)カ)の記載から、
「粘着剤層付偏光フィルムにおいては、高温または高湿下での液晶セルからの偏光フィルムの剥がれという課題があり、高温高湿下で偏光フィルムが収縮することが、偏光フィルムの剥がれや、偏光フィルムが貼り付けられた液晶ディスプレイ等の光学特性の低下の要因になっていること。」は、本願の優先日前に周知の事項(以下「周知事項」という。)である。

(6)特開2007-114581号公報の記載
特開2007-114581号公報(以下「周知例5」という。)は、本願の優先日前に頒布された刊行物であって、当該周知例5には次の記載がある。
ア 「【特許請求の範囲】

・・・略・・・

【請求項4】
粘着型位相差層付偏光板(4)における、アクリル系粘着剤層が、(メタ)アクリル系ポリマー(A)および架橋剤を含有してなるアクリル系粘着剤を架橋反応させて形成したものであることを特徴とする請求項1?3のいずれかに記載の粘着型位相差層付偏光板。

・・・略・・・

【請求項8】
アクリル系粘着剤が、(メタ)アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して、架橋剤として、過酸化物(B)0.02?2重量部およびイソシアネート系化合物(C)0.001?2重量部を含有してなることを特徴とする請求項4または5記載の粘着型位相差層付偏光板。」
イ 「【0032】
また本発明の粘着型位相差層付偏光板は、粘着剤層として、(メタ)アクリル系ポリマー(A)および架橋剤を含有してなるアクリル系粘着剤を架橋反応させて形成したアクリル系粘着剤層が好適に用いられる。前記アクリル系粘着剤として、架橋剤として、過酸化物(B)とイソシアネート系化合物(C)を併用した場合には、熱衝撃試験においても、外観上の不具合を抑制できる高度な耐久性を満足できる。」
ウ 「【0101】
架橋剤としては、(メタ)アクリル系ポリマー(A)との反応性を有するものが好適に用いられる。架橋剤としては、過酸化物、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤、メラミン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属塩、などが挙げられる。その他、紫外線や電子線を用いて、架橋することができる。これら架橋剤は、1種を単独で、または2種以上を併用できるが、過酸化物、イソシアネート系架橋剤が好ましい。特に過酸化物とイソシアネート系架橋剤を併用するのが好ましい。過酸化物による架橋は、架橋後の経時での安定性の観点から好ましく、イソシアネート系架橋剤は光学部材との接着性の観点から好ましい。架橋剤は、(メタ)アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して、通常、0.001?10重量部程度、好ましくは0.001?5重量部の範囲で用いられる。」

(7)特開2009-292869号公報の記載
特開2009-292869号公報(以下「周知例6」という。)は、本願の優先日前に頒布された刊行物であって、当該周知例6には次の記載がある。
ア 「【0137】
(粘着剤層)
本発明の偏光板は、最外層の少なくとも一方として粘着剤層を有していても良い(このような偏光板を粘着型偏光板と称することがある)。特に好ましい形態として、前記アクリルフィルムの偏光子が接着されていない側に、他の光学フィルムや液晶セル等の他部材と接着するための粘着剤層を設けることができる。
【0138】
粘着剤層の形成には、粘着剤層の25℃相対湿度60%で1kgの加重を1時間かけるクリープ試験のズレ量が100μm?800μmとなるような適宜な粘着剤を用いることができ、その種類について特に制限はない。粘着剤としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、ポリビニルアルコール系粘着剤、ポリビニルピロリドン系粘着剤、ポリアクリルアミド系粘着剤、セルロース系粘着剤などがあげられる。
【0139】
粘着剤層のクリープズレ量を制御するには、例えば、ベースモノマー、共重合モノマーの種類、その配合割合、架橋剤の種類、その配合量、添加剤の種類、その配合量等を制御することにより行うことができる。例えば、粘着剤ベースポリマーの分子量を調整したり、ガラス転移温度や凝集性などが異なるモノマーを共重合したり、架橋剤の添加量による架橋度を制御することなどが効果的に適用される。
【0140】
これら粘着剤のなかでも、光学的透明性に優れ、適宜な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく使用される。このような特徴を示すものとしてアクリル系粘着剤が好ましく使用される。特に、アクリル系ポリマーおよび架橋剤を含む粘着剤により形成されているものを好適に用いることができる。」
イ 「【0149】
また前記粘着剤は、架橋剤を含有する粘着剤組成物とするのが好ましい。粘着剤に配合できる多官能化合物としては、有機系架橋剤や多官能性金属キレートがあげられる。有機系架橋剤としては、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、イミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、などがあげられる。これら架橋剤は1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。有機系架橋剤としてはイソシアネート系架橋剤が好ましい。また、イソシアネート系架橋剤は過酸化物系架橋剤と組み合わせて好適に用いられる。多官能性金属キレートは、多価金属が有機化合物と共有結合または配位結合しているものである。多価金属原子としては、Al、Cr、Zr、Co、Cu、Fe、Ni、V、Zn、In、Ca、Mg、Mn、Y、Ce、Sr、Ba、Mo、La、Sn、Ti等があげられる。共有結合または配位結合する有機化合物中の原子としては酸素原子等があげられ、有機化合物としてはアルキルエステル、アルコール化合物、カルボン酸化合物、エーテル化合物、ケトン化合物等があげられる。
【0150】
アクリル系ポリマー等のベースポリマーと架橋剤の配合割合は特に限定されないが、通常、ベースポリマー(固形分)100重量部に対して、架橋剤(固形分)0.001?20重量部程度が好ましく、さらには0.01?15重量部程度が好ましい。前記架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、過酸化物系架橋剤が好ましい。過酸化物系架橋剤は、ベースポリマー(固形分)100重量部に対して、0.01?3重量部程度が好ましく、0.02?2.5重量部程度が好ましく、さらには0.05?2.0重量部程度が好ましい。イソシアネート系架橋剤は、ベースポリマー(固形分)100重量部に対して、0.001?2重量部程度が好ましく、さらには0.01?1.5重量部程度が好ましい。また、イソシアネート系架橋剤および過酸化物系架橋剤は、前記範囲で用いることができる他、これらを併用して好ましく用いることができる。」

(8)特開2011-13684号公報の記載
特開2011-13684号公報(以下「周知例7」という。)は、本願の優先日前に頒布された刊行物であって、当該周知例7には次の記載がある。
ア 「【特許請求の範囲】

・・・略・・・

【請求項4】
粘着型位相差層付偏光板(4)における、アクリル系粘着剤層が、(メタ)アクリル系ポリマー(A)および架橋剤を含有してなるアクリル系粘着剤を架橋反応させて形成したものであることを特徴とする請求項1?3のいずれかに記載の粘着型位相差層付偏光板。

・・・略・・・

【請求項8】
アクリル系粘着剤が、(メタ)アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して、架橋剤として、過酸化物(B)0.02?2重量部およびイソシアネート系化合物(C)0.001?2重量部を含有してなることを特徴とする請求項4または5記載の粘着型位相差層付偏光板。」
イ 「【0032】
また本発明の粘着型位相差層付偏光板は、粘着剤層として、(メタ)アクリル系ポリマー(A)および架橋剤を含有してなるアクリル系粘着剤を架橋反応させて形成したアクリル系粘着剤層が好適に用いられる。前記アクリル系粘着剤として、架橋剤として、過酸化物(B)とイソシアネート系化合物(C)を併用した場合には、熱衝撃試験においても、外観上の不具合を抑制できる高度な耐久性を満足できる。」
ウ 「【0102】
架橋剤としては、(メタ)アクリル系ポリマー(A)との反応性を有するものが好適に用いられる。架橋剤としては、過酸化物、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、金属キレート系架橋剤、メラミン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属塩、などが挙げられる。その他、紫外線や電子線を用いて、架橋することができる。これら架橋剤は、1種を単独で、または2種以上を併用できるが、過酸化物、イソシアネート系架橋剤が好ましい。特に過酸化物とイソシアネート系架橋剤を併用するのが好ましい。過酸化物による架橋は、架橋後の経時での安定性の観点から好ましく、イソシアネート系架橋剤は光学部材との接着性の観点から好ましい。架橋剤は、(メタ)アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して、通常、0.001?10重量部程度、好ましくは0.001?5重量部の範囲で用いられる。」

(9)上記(6)ないし(8)からみて、
「粘着型偏光板におけるアクリル系粘着剤層が、(メタ)アクリル系ポリマーおよび架橋剤を含有してなるアクリル系粘着剤を架橋反応させて形成したものであり、前記架橋剤として、イソシアネート系架橋剤および過酸化物系架橋剤を併用して用いること。」は、本願の優先日前に周知であったと認められる(以下「周知技術」という。)。

5 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
(1)引用発明の「粘着剤層」、「偏光子」、「偏光板用粘着剤組成物」及び「『フェノキシエチルアクリレート』又は『ベンジルアクリレート』」は、それぞれ、本願発明の「粘着剤層」、「偏光子」、「粘着剤組成物」及び「芳香族環を含有するアルキル(メタ)アクリレート」に相当する。

(2)本願明細書に「【背景技術】【0002】液晶表示装置等は、その画像形成方式から液晶セルの両側に偏光素子を配置することが必要不可欠であり、一般的には偏光フィルムが貼着されている。前記偏光フィルムを液晶セルに貼着する際には、通常、粘着剤が使用される。・・・」、「【0021】・・・また、通常の厚みの偏光子(例えば、厚み20μm)を用いた偏
光フィルムでは、・・・」と記載されているように、本願発明の「偏光フィルム」とは、偏光子を用い、液晶セルの両側に偏光素子として配置されるものであり、技術常識に照らしても、本願発明の「偏光フィルム」が一般的には「偏光板」と呼ばれているものに相違ないことは明らかである。
また、引用発明の「偏光板」は、2枚のトリアセチルセルロースフィルムでポリビニルアルコール系、ポリエステル系あるいはポリビニルブチラール系の偏光子を挟持した3層構造のものであり、「フィルム」と呼んでも何ら差し支えないものである。これらのことからみて、引用発明の「偏光板」は、本願発明の「偏光フィルム」に相当するといえる。そうすると、引用発明の「粘着剤層付き偏光板」は、本願発明の「粘着剤層付偏光フィルム」に相当する。

(3)引用発明の「トリアセチルセルロースフィルム」は、その2枚で「偏光子」を挟持して3層構造の「偏光板」としており、引用発明の「トリアセチルセルロースフィルム」は、偏光板の技術常識を考慮すれば、透明で且つ「偏光子」の保護機能を有することは自明であるから、「透明保護フィルム」に相当することは明らかである。

(4)引用発明の「n-ブチルアクリレート」は、直鎖状の炭素数4のアルキル基を有するアルキルアクリレートであるから、本願発明の「直鎖状または分岐鎖状の炭素数1?18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート」に相当する。

(5)引用発明の「粘着剤層付き偏光板」(粘着剤層付偏光フィルム:以下、引用発明の構成に続く括弧書き内は、対応する本願発明の構成である。)は、「偏光板」(偏光フィルム)の片面に「偏光板用粘着剤組成物」(粘着剤組成物)から得られた「粘着剤層」を有しているから、本願発明の「粘着剤層付偏光フィルム」とは、「偏光フィルムと、当該偏光フィルムに設けられた粘着剤層を有」し、該「粘着剤層」が「粘着剤組成物から形成されたものである」点で一致する。

(6)引用発明の「偏光板」(偏光フィルム)は、2枚の「トリアセチルセルロースフィルム」(透明保護フィルム)で、「偏光子」を挟持した3層構造であるから、本願発明の「偏光フィルム」とは、「偏光子の片側または両側に透明保護フィルムを有」する点で一致する。

(7)ア 引用発明の「偏光板用粘着剤組成物」(粘着剤組成物)は、「n-ブチルアクリレート」(直鎖状または分岐鎖状の炭素数1?18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート)/「フェノキシエチルアクリレート」(芳香族環を含有するアルキル(メタ)アクリレート)/4-ヒドロキシブチルアクリレートポリマー溶液の固形分100重量部に対して、又は、n-ブチルアクリレート(直鎖状または分岐鎖状の炭素数1?18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート)/「ベンジルアクリレート」(芳香族環を含有するアルキル(メタ)アクリレート)/4-ヒドロキシブチルアクリレートポリマー溶液の固形分100重量部に対して、イオン性液体として1-ヘキシル-4-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド2重量部、イソシアネート架橋剤としてトリメチロールプロパン付加キシリレンジイソシアネート(XDI)0.15重量部を混合して得られたものである。
イ 引用発明の「イソシアネート架橋剤」としての「トリメチロールプロパン付加キシリレンジイソシアネート」は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対してヘキサメチレンジイソシアネート系架橋剤0.05?5重量部を含有するとはいえないから、引用発明の「イソシアネート架橋剤」としての「トリメチロールプロパン付加キシリレンジイソシアネート」と、本願発明の「架橋剤」とは、「架橋剤(但し、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対してヘキサメチレンジイソシアネート系架橋剤0.05?5重量部を含有する場合を除く)」である点で一致する。
ウ 引用発明は、ポリマー溶液が「n-ブチルアクリレート」(直鎖状または分岐鎖状の炭素数1?18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート)/「フェノキシエチルアクリレート」(芳香族環を含有するアルキル(メタ)アクリレート)/4-ヒドロキシブチルアクリレート、又は、n-ブチルアクリレート(直鎖状または分岐鎖状の炭素数1?18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート)/「ベンジルアクリレート」(芳香族環を含有するアルキル(メタ)アクリレート)/4-ヒドロキシブチルアクリレートからなり、「n-ブチルアクリレート」、「フェノキシエチルアクリレート」及び「ベンジルアクリレート」がそれぞれ各ポリマー溶液における「モノマー単位」であるといえるから、引用発明の「偏光板用粘着剤組成物」(粘着剤組成物)と、本願発明の「粘着剤組成物」とは、「前記(メタ)アクリル系ポリマーは、モノマー単位として、直鎖状または分岐鎖状の炭素数1?18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートおよび芳香族環を含有するアルキル(メタ)アクリレートを含」む点で一致する。
エ 引用例1には、「[0031] ・・・常温で液体の有機溶融塩、いわゆるイオン性液体は、1atmにおいて25℃以下の融点を有する公知の有機溶融塩であり、4級窒素原子を含有する炭素数6?50、好ましくは炭素数10?30のカチオンと、フッ素原子含有アニオンとからなるオニウム塩である」(上記3(1)エ)、「[0036] より具体的には、イオン性液体である好ましいオニウム塩としては、・・・1-ヘキシル-4-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、・・・などが挙げられる。」(上記3(1)エ)と記載されており、当該記載からみて、引用発明の「1-ヘキシル-4-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド」は、オニウム塩である有機溶融塩、すなわち「有機カチオン-アニオン塩」であるといえるから、引用発明の「イオン性液体」と、本願発明の「イオン性化合物」とは、「有機カチオン-アニオン塩を含有」する「イオン性化合物」である点で一致する。
オ 上記アないしエからみて、引用発明の「偏光板用粘着剤組成物」(粘着剤組成物)と、本願発明の「粘着剤組成物」とは、「(メタ)アクリル系ポリマー、イオン性化合物および架橋剤(但し、(メタ)アクリル系ポリマー(A)100重量部に対してヘキサメチレンジイソシアネート系架橋剤0.05?5重量部を含有する場合を除く)を含有し、」、かつ、「前記(メタ)アクリル系ポリマーは、モノマー単位として、直鎖状または分岐鎖状の炭素数1?18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートおよび芳香族環を含有するアルキル(メタ)アクリレートを含み、前記イオン性化合物が有機カチオン-アニオン塩を含有する」点で一致する。

(8)上記(1)ないし(7)から、本願発明と引用発明とは、
「偏光フィルムと、当該偏光フィルムに設けられた粘着剤層を有する粘着剤層付偏光フィルムであって、
前記偏光フィルムは、偏光子の片側または両側に透明保護フィルムを有し、かつ
前記粘着剤層は、(メタ)アクリル系ポリマー、イオン性化合物および架橋剤(但し、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対してヘキサメチレンジイソシアネート系架橋剤0.05?5重量部を含有する場合を除く)を含有し、
かつ、前記(メタ)アクリル系ポリマーは、モノマー単位として、直鎖状または分岐鎖状の炭素数1?18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートおよび芳香族環を含有するアルキル(メタ)アクリレートを含み、前記イオン性化合物が有機カチオン-アニオン塩を含有する粘着剤組成物から形成されたものである、粘着剤層付偏光フィルム。」の点で一致し、次の点で相違する。

相違点1:
前記「偏光子」は、
本願発明では、厚みが10μm以下であるのに対し、
引用発明では、厚みが10μm以下であるどうかが明らかでない点。

相違点2:
前記「イオン性化合物」が、
本願発明では、カチオン成分としてピロリジニウムカチオンを含む有機カチオン-アニオン塩を含有しているのに対し、
引用発明では、1-ヘキシル-4-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドを含有している点。

相違点3:
前記「架橋剤」が、
本願発明では、過酸化物を含有するのに対し、
引用発明では、イソシアネート架橋剤であり、トリメチロールプロパン付加キシリレンジイソシアネートを含み、過酸化物を含有するかどうか明らかでない点。

6 判断
(1)上記相違点1について検討する。
ア 上記4(5)のように、粘着剤層付偏光フィルムは、高温または高湿下での液晶セルからの剥がれという課題があり、高温高湿下で偏光フィルムが収縮することが、偏光フィルムの剥がれや、偏光フィルムが貼り付けられた液晶ディスプレイ等の光学特性の低下の要因になっていることは周知事項である。
イ 上記アからみて、引用発明においても、高温高湿下で偏光フィルム(偏光板)が収縮して液晶セルから剥がれるということは潜在する課題であり、該課題を解決するために、偏光フィルムの収縮を低減させようとすることは当業者にとって自明な事項である。
ウ したがって、引用発明において、偏光フィルム(偏光板)の収縮を低減するために、引用例2の記載事項(上記3(2)エ)を採用して偏光子の厚さを1μm?7μmとし、もって上記相違点に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

(2)上記相違点2について検討する。
ア 引用発明は、イオン性液体(イオン性化合物)として、1-ヘキシル-4-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドを含み、カチオン成分がピリジニウムカチオンであるが、引用例1の[0031]及び[0032](上記3(1)エ)には、イオン性液体(イオン性化合物)のカチオンがピロリジニウムカチオン、ピリジニウムカチオン等から選ばれることが記載されており、引用発明で特定されるイオン性液体が、カチオン成分がピリジニウムカチオンである1-ヘキシル-4-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドに限定されるものではないことは明らかである。
したがって、引用発明において、1-ヘキシル-4-メチルピリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドに換えて、カチオン成分がピロリジニウムカチオンであるイオン性液体を用いること、すなわち、相違点2に係る本願発明の構成となすことは、当業者が適宜なし得たことである。
イ 本願明細書には、次の記載がある。
(ア)「【0050】
<有機カチオン-アニオン塩>
本発明で用いられる有機カチオン-アニオン塩は、カチオン成分とアニオン成分とから構成されており、前記カチオン成分は有機物からなるものである。カチオン成分として、具体的には、ピリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、ピロリン骨格を有するカチオン、ピロール骨格を有するカチオン、イミダゾリウムカチオン、テトラヒドロピリミジニウムカチオン、ジヒドロピリミジニウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、ピラゾリニウムカチオン、テトラアルキルアンモニウムカチオン、トリアルキルスルホニウムカチオン、テトラアルキルホスホニウムカチオンなどが挙げられる。」
(イ)「【0123】
【表1】

【0124】
表1において、イオン性化合物(B)における、「B-1」は日本カーリット社製のリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、「B-2」は日本カーリット社製の過塩素酸リチウム、「B-3」は関東化学社製の1-ヘキシル-4-メチルピリジニウムヘキサフルオロリン酸塩、「B-4」は1-メチル-1-プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、「B-5」はトリメチルブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、を示す。
架橋剤(C)における、「C-1」は三井武田ケミカル社製のイソシアネート架橋剤(タケネートD110N,トリメチロールプロパンキシリレンジイソシアネート)、「C-2」は日本油脂社製のベンゾイルパーオキサイド(ナイパーBMT)、を示す。
シランカップリング剤(D)における「D-1」は信越化学工業社製のKBM403を示す。」
ウ 上記イからみて、カチオン成分がピロリジニウムカチオンであるイオン性化合物「B-4」を用いた実施例13,14(表1)が本願発明の実施例であると認められるところ、この「B-4」をカチオン成分がピリジニウムカチオンであるイオン性化合物「B-3」にそれぞれ換えただけの実施例8,9の評価(表面抵抗値、静電気ムラ、耐久性)を、実施例13,14の評価と比較すると、実施例13,14が実施例8,9に比べて格別顕著な効果を奏するものとはいえない。
なお、上記イを考慮すれば、カチオンがピロリジニウムカチオン、ピリジニウムカチオンのいずれであっても効果に顕著な差は見出せない。

(3)上記相違点3について検討する。
ア 上記4(9)のように、粘着型偏光板におけるアクリル系粘着剤層が、(メタ)アクリル系ポリマーおよび架橋剤を含有してなるアクリル系粘着剤を架橋反応させて形成したものであり、前記架橋剤として、イソシアネート系架橋剤および過酸化物系架橋剤を併用して用いることは周知技術である。
イ 引用発明は、偏光板用粘着剤組成物にイソシアネート架橋剤としてのトリメチロールプロパン付加キシリレンジイソシアネートを含むものであるところ、他の架橋剤を混在させてはいけないとの技術的課題を有しているものでもない。
したがって、上記アからみて、引用発明において、イソシアネート架橋剤に加え、さらに過酸化物系架橋剤をも含有させるようになすこと、すなわち、相違点3に係る本願発明の構成となすことは、当業者が周知技術に基づいて適宜なし得たことである。

(4)本願発明の奏する効果は、引用発明の奏する効果、引用例2の記載事項の奏する効果、周知事項の奏する効果及び周知技術の奏する効果から当業者が予測することができた程度のことである。

(5)したがって、本願発明は、当業者が引用例1に記載された発明、引用例2の記載事項、周知事項及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものである。

7 むすび
本願発明は、当業者が引用例1に記載された発明、引用例2の記載事項、周知事項及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-03-03 
結審通知日 2016-03-08 
審決日 2016-03-22 
出願番号 特願2012-109709(P2012-109709)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G02B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大隈 俊哉後藤 亮治  
特許庁審判長 西村 仁志
特許庁審判官 藤原 敬士
鉄 豊郎
発明の名称 粘着剤層付偏光フィルムおよび画像表示装置  
代理人 特許業務法人 ユニアス国際特許事務所  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ