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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 A23L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A23L
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A23L
管理番号 1314653
審判番号 不服2014-15069  
総通号数 199 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-07-31 
確定日 2016-05-11 
事件の表示 特願2011-511860号「塩組成物および塩の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成21年12月23日国際公開、WO2009/155113、平成23年7月28日国内公表、特表2011-521650号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、2009年5月29日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2008年5月30日、米国)を国際出願日とする出願であって、平成25年5月30日付けの拒絶理由に対して成25年9月18日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成26年3月28日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、平成26年7月31日付けで拒絶査定不服審判の請求がなされるとともに、同時に手続補正がなされたものである。その後、平成27年2月17日付けで上申書が提出された。

2.平成26年7月31日付け手続補正についての補正却下の決定
【補正却下の決定の結論】
平成26年7月31日付け手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

【理由】
2-1.本件補正
本件補正は、補正前の請求項1に、
「組成物の製造方法であって、
(a)塩と成分とを混合する工程であって、追加の水を加えることなく混合を行い、そして前記成分は水を含まない;
(b)凝塊組成物を形成させるために塩と前記成分とを一緒に押圧する工程であって、追加の水を加えることなく押圧する;および
(c)凝塊組成物の大きさを、実質的に一様な塩と前記成分とのブレンドからなる微粒子を含む組成物にまで粉砕する工程;
を含む、製造方法。」
とあるのを、
「組成物の製造方法であって、
(a)塩と成分とを混合する工程であって、追加の水を加えることなく混合を行い、そして前記成分は水を含まない;
(b)凝塊組成物を形成させるために塩と前記成分とを一緒に押圧する工程であって、追加の水を加えることなく押圧する;および
(c)凝塊組成物の大きさを、実質的に一様な塩と前記成分とのブレンドからなる微粒子を含む組成物にまで粉砕する工程;
を含み、
前記塩が、精製海塩または顆粒塩である、製造方法。」
とする補正を含むものである。

本件補正後の請求項1は、補正前の請求項1の記載において、塩が「精製海塩または顆粒塩である」ことの限定を付加するものである。また、この補正により、発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題を変更するものでもないことは明らかである。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2-2.本願補正発明
本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)は、本件補正後の明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項(上記「2-1.本件補正」の補正後の請求項1参照)により特定されたとおりのものと認める。

2-3.引用例
原査定の拒絶の理由に引用された、本願優先日前に頒布された刊行物である特開平11-239461号公報(以下「引用例1」という。)及び特開平6-116127号公報(以下「引用例2」という。)には、以下の各事項が記載されている(下線は、当審が付与。)。

[引用例1について]
(1a)「【請求項2】 風味成分のエキス粉末を10%以上含む粉末原料を用い、該粉末原料中の水分含有量を1?5%として水を添加しないで圧縮造粒することを特徴とする即席顆粒だし食品の製造方法。」

(1b)「【0016】
【発明の実施の形態】本発明者らは、上記課題を解決するべく様々な角度から鋭意研究を重ねた。その結果、一番だし様風味を有する風味成分のエキス粉末を所定量以上含むだし微粉末品(粉末原料)を用い、該粉末原料中の水分含有量を1?5%として水を添加しないで圧縮造粒すれば、風味を損なうことなく顆粒化でき、これによって経済的な充填・包装が可能になり、また水に溶解したときに澄明な一番だし様汁を生成することを見出し、本発明を完成した。」

(1c)「【0022】本発明の即席顆粒だし食品には、上記各風味原料の他に必要によって下記の様な副原料を併用することができる。この様な副原料としては、食塩、糖類、蛋白質分解物、酵母エキス粉末、旨味調味料、有機酸およびその塩類等が挙げられる。・・・
【0023】これらの副原料の全重量に対する重量配合比は、食塩で約0?60%程度(好ましくは約0?40%程度)、糖類では約0?90%程度(好ましくは約0?60%程度)、蛋白質分解物では約0?40%程度(好ましくは約0?15%程度)、酵母エキス粉末では約0?40%程度(好ましくは約0?15%程度)、旨味調味料では約0?50%程度(好ましくは約0?40%程度)、有機酸およびその塩類では約0?10%程度(好ましくは約0?5%程度)である。」

(1d)「【0026】次いで、各原料は混合されるが、混合時に混合物の水分含量が増加しない条件とする必要があり、温度20?25℃、湿度50%以下の環境下でこの作業を行うことが推奨される。また混合方法および混合装置については、均一の混合できるものであれば良い。
【0027】上記の様にして混合された原料は、水を添加しないで圧縮造粒することによって顆粒化される。またこの造粒の際には、加熱は行わない。この圧縮造粒は、均一な粉末原料にロールやプレス型で1トン(ロール圧力またはプレス圧力)以上の高圧で造粒することによって、連続的に数mmから数十mmの成形体をを得ることにより行われる。この成形体は、破砕され、破砕物は、分級機にかけられて篩い別される。」

(1e)「【0030】
【実施例】実施例1
鰹節抽出液を膜濃縮した後、デキストリンを加えて噴霧乾燥した鰹節エキス粉末を得た。そして上記鰹節エキス粉末:10%、精製塩:20%、L-グルタミン酸ナトリウム:40%、イノシン酸ナトリウム:1%、コハク酸二ナトリウム:1%、および乳酸:28%となる様に均一混合した。この混合粉末のカールフィッシャー法によって測定した水分含量は、3.6%であった。(以下、水分含量の測定値はいずれもカールフィッシャー法による)。
【0031】上記混合粉末を原料とし、これに水を加えずに圧縮造粒を行い、嵩比重が0.65の顆粒だし(即席顆粒だし食品)を得た。このとき圧縮造粒は、ローラコンバクター「ミニTF-MINI」(商品名:フロイント産業株式会社製)を用い、ロール回転数:5rpm、ロール圧力:50kg/cm^(2) 、スクリュー回転数:10rpmの条件で行った。・・・」

以上の記載によると、引用例1には、
「風味成分のエキス粉末に副原料として食塩を併用し、
各原料は混合されるが、混合時に混合物の水分含量が増加しない条件とする必要があり、
混合された原料は、水を添加しないで圧縮造粒し、
ここで、圧縮造粒は、均一な粉末原料にロールやプレス型で高圧で造粒することによって成形体を得、
この成形体は、破砕され、破砕物は、分級機にかけられて篩い別されることによって顆粒化される、
即席顆粒だし食品の製造方法。」の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

[引用例2について]
(2a)「【請求項1】 食塩粒子と融点が30℃以上の水不溶性物質とを混合して押し出し造粒機にかけた後、造粒物を破砕することを特徴とする食塩顆粒の製造方法。」

(2b)「【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる実情に鑑み鋭意検討した結果、食塩粒子と融点が30℃以上の水不溶性物質とを混合して押し出し造粒機にかけ、造粒物を破砕すれば、不快な塩辛さが低減され、かつ歯周疾患の治療・予防に優れる歯磨剤配合用食塩顆粒が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。」

(2c)「【0009】本発明の食塩顆粒の製造方法について以下に説明する。まず、食塩粒子と水不溶性物質とを混合し、混合物を後述する押し出し造粒機にかける。次いで、得られる造粒物を破砕するか、又は造粒物をただちに整粒機に仕込み破砕するとともに球形状に整粒して目的の食塩顆粒を得ることができる。食塩粒子と水不溶性物質とを押し出し造粒機にかける際には、水不溶性物質の軟化点以上でこれらを混合した後供給することが、押し出し造粒がより良好に行われるので、好ましい。また、、造粒物の破砕においては、造粒物の性状に応じて冷却してもよい。」

(2d)「【0013】押し出し造粒機にかけることにより得られる造粒物の冷却は、室温で放置する方法、冷風をあてる方法、流動層等により強制的に冷却する方法等により行うことができる。
【0014】有機溶剤の乾燥除去は、押し出し造粒機にかけて得られた造粒物を棚乾燥機、流動層等に仕込み、空気、不活性ガス等を通風する方法によることが好ましい。また、乾燥効率を上げるため、加熱した空気、不活性ガス等を通風してもよい。
【0015】押し出し造粒機にかけて得られる造粒物の破砕は、ハンマーミル、ピンミル等公知の高速回転粉砕機を使用して行うことができる。
【0016】本発明に使用できる整粒機としては、マルメライザー(不二パウダル(株)製)等の公知の機器が挙げられる。
【0017】上記いずれかの方法により得られた食塩顆粒は、所望の粒径のものを得るため、必要に応じ分級してもよい。分級は、例えば振動ふるい法、風力分級法等の公知の方法により行うことができる。」

(2e)「【0019】本発明に使用される水不溶性物質は、その融点が30℃以上、好ましくは30?130℃のものである。融点が30℃未満では、夏場等、気温が30℃を超える場合に水不溶性物質が軟化あるいは溶融するため食塩顆粒が崩壊し、期待する効果が得られない。また、融点が130℃を超えると、水不溶性物質が固化しやすいため、押し出し機のスクリーンからの押し出しが困難になる場合がある。
・・・
【0021】本発明の方法により得られる食塩顆粒中の水不溶性物質の含有量は5?95重量%(以下、単に%という)、好ましくは5?70%である。5%未満では、十分に塩辛さを低減させることができず、一方、95%を超えて配合してももはや効果の増大は得られない。」

(2f)「【0027】
【実施例】以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各実施例において重量平均粒子径はJIS Z 8801の標準フルイを用いて測定した。
【0028】実施例1
食塩粒子(重量平均粒子径;50μm)2100g、ソルビタントリステアレート(融点;54℃)600gをニーダーにて加熱混合後、混合物を0.7mmのスクリーンを装着した押し出し造粒機(不二パウダル(株)製、型式;TDG-100)にかけ造粒物を得た。室温まで冷却した造粒物を解砕整粒機で破砕した後分級することにより食塩顆粒を製造した。得られた食塩顆粒組成は、食塩78.3%及びステアリン酸モノジグリセライド21.7%であり、また、重量平均粒子径は300μmであった。」

以上の記載より、引用例2には、
「食塩粒子と融点が30℃以上の水不溶性物質とを混合して押し出し造粒機にかけた後、造粒物を破砕する食塩顆粒の製造方法。」の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。

2-4.対比・判断
2-4-1.引用発明1との対比・判断
本願補正発明と引用発明1とを対比する。
引用発明1の「食塩」、「エキス粉末」、「圧縮造粒」した「成形体」及び「即席顆粒だし食品」は、それぞれ本願補正発明の「塩」、「成分」、「凝塊組成物」及び「組成物」に相当し、
引用発明1の「各原料を混合」する工程は、本願補正発明の「塩と成分とを混合する工程」に相当し、また、混合時に混合物の水分含量が増加しない条件とする必要があるとされることから、水を添加しないことは明らかであり、
引用発明1の混合された原料を「圧縮造粒」する工程は、本願補正発明の塩と成分とを一緒に「押圧する工程」に相当し、
引用発明1の「破砕」する工程は、本願補正発明の「粉砕する工程」に相当する。
そして、これらの工程により、引用発明1の「即席顆粒だし食品」は、一様な「食塩」と「エキス粉末」とのブレンドからなる微粒子を含むことは明らかである。
よって、両者は、
「組成物の製造方法であって、
(a)塩と成分とを混合する工程であって、追加の水を加えることなく混合を行い、そして前記成分は水を含まない;
(b)凝塊組成物を形成させるために塩と前記成分とを一緒に押圧する工程であって、追加の水を加えることなく押圧する;および
(c)凝塊組成物の大きさを、実質的に一様な塩と前記成分とのブレンドからなる微粒子を含む組成物にまで粉砕する工程;
を含む製造方法。」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点1;本願補正発明では、塩が精製海塩または顆粒塩であるのに対し、引用発明1では、食塩がそのように特定されていない点。

そこで、上記相違点1を検討すると、
引用例1には、食塩として精製塩を使用する実施例が記載され(記載事項(1e)参照)、また、精製塩として精製海塩は、普通に用いられているごく一般的な食塩であることから、
引用発明1の食塩として、精製海塩を用い、上記相違点1の本願補正発明のようになすことは、当業者が容易になし得たことである。

したがって、本願補正発明は、引用発明1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

なお、請求人は、平成27年2月17日付け上申書において、「引用文献2(引用例1)における課題を解決するためには、だしエキスおよび旨味調味料の含有量が極めて高い一方で、食塩の含有量は多くないことが必須であることは明らかであります。また、そのような構成でなければ、引用文献2の発明に係る「即席顆粒だし食品」は得られるはずがありません。
これに対して本願発明は、組成物を調理に用いた際に、不均一な味覚が与えられることを回避し、さらに、フレーバー・バーストといわれる、口の中で塩そして香味成分に由来する味覚がはじけるように認知されることを特徴としています([0032]段落など)。そして本願発明の組成物におけるこの特徴は、引用文献2の即席顆粒だし食品によって呈される「水に溶解したときに澄明な一番だし様汁を生成する」特徴とは、明らかに異なります。」と主張するが、
本願補正発明において、「塩」及び「成分」それぞれの含有量、並びに「組成物」の用途は何ら特定されていないことから、請求人の上記主張は、特許請求の範囲の記載に基づかないものであり、かつ、引用例1の実施例1のものは「鰹節エキス粉末:10%、精製塩:20%」(記載事項(1e)参照)と「鰹節エキス粉末より精製塩の含有量が多いこと、及び副原料の全重量に対する重量配合比は、「食塩で約0?60%程度(好ましくは約0?40%程度)」(記載事項(1c)参照)と上限として60%も示されていることから、上記請求人の「だしエキスおよび旨味調味料の含有量が極めて高い一方で、食塩の含有量は多くないことが必須である」との認識は、引用例1の記載に基づかないものである。

2-4-2.引用発明2との対比・判断
本願補正発明と引用発明2とを対比する。
引用発明2の「食塩粒子」、「水不溶性物質」、「造粒物」及び「食塩顆粒」は、それぞれ本願補正発明の「塩」、「成分」、「凝塊組成物」及び「組成物」に相当し、
引用発明2の「食塩粒子と融点が30℃以上の水不溶性物質とを混合」する工程は、本願補正発明の「塩と成分とを混合する工程」に相当し、
引用発明2の上記混合したものを「押し出し造粒機」にかける工程は、本願補正発明の塩と成分とを一緒に「押圧する工程」に相当し、
引用発明2の「破砕」する工程は、本願補正発明の「粉砕する工程」に相当し、
そして、上記引用発明2の上記各工程は、本願補正発明でいう「追加の水を加えることなく」行われることは明らかであり、また、これらの工程により、引用発明2の「食塩顆粒」は、一様な「食塩粒子」と「水不溶性物質」とのブレンドからなる微粒子を含むことは明らかである。
よって、両者は、
「組成物の製造方法であって、
(a)塩と成分とを混合する工程であって、追加の水を加えることなく混合を行い、そして前記成分は水を含まない;
(b)凝塊組成物を形成させるために塩と前記成分とを一緒に押圧する工程であって、追加の水を加えることなく押圧する;および
(c)凝塊組成物の大きさを、実質的に一様な塩と前記成分とのブレンドからなる微粒子を含む組成物にまで粉砕する工程;
を含む製造方法。」である点で一致し、以下の点で相違する。

相違点2;本願補正発明では、塩が精製海塩または顆粒塩であるのに対し、引用発明2では、食塩粒子がそのように特定されていない点。

そこで、上記相違点2を検討すると、
引用発明2の食塩粒子として、普通に用いられているごく一般的な食塩である精製海塩を用い、上記相違点2の本願補正発明のようになすことは、当業者が容易になし得たことである。

したがって、本願補正発明は、引用発明2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

なお、請求人は、平成27年2月17日付け上申書において、「引用文献3(引用例2)においては、食塩と混合される物質は液状物であります。
これに対して、本願発明においては、水、つまり液体状物質を加えることなく、混合を行うことを特徴としています。」と主張しているが、「液体状物質を加えることなく、混合を行うこと」は、特許請求の範囲に記載されていないことから、請求人の上記主張は、特許請求の範囲の記載に基づかないものである。

2-4-3.まとめ
よって、本願補正発明は、引用発明1または引用発明2に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

なお、請求人は、平成27年2月17日付け上申書において、請求項1を下記のように補正する補正案を提示している。
「組成物の製造方法であって、
(a)乾燥顆粒塩と成分とを混合し、第1の、乾燥非液体混合物を得る工程であって、ここで追加の水を加えることなく混合を行い、そして前記成分は非液体香味成分である;
(b)凝塊組成物を形成させるために、得られた第1の混合物である、塩と前記成分とを一緒に押圧する工程であって、追加の水を加えることなく押圧する;および
(c)凝塊組成物の大きさを、実質的に一様な塩と前記成分とのブレンドからなる微粒子を含む組成物にまで粉砕する工程;
を含み、
前記塩が、精製海塩または顆粒塩である、製造方法。」
しかし、乾燥顆粒塩についても、普通に用いられているごく一般的な食塩であり、また、顆粒のものとしたことに格別な技術的意義があるとも認められないこと、及び引用発明1の「風味成分のエキス粉末」は、上記「非液体香味成分」に相当することは明らかであるから、上記補正がなされたとしても、引用発明1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとの結論は変わらない。

2-5.むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するもので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成25年9月18日付け手続補正書により補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された事項(上記「2-1.本件補正」の補正前の請求項1参照。)により特定されるとおりのものと認める。

4.引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された各引用例、それらの記載事項及び各引用発明は、前記「2-3.引用例」に記載したとおりである。

5.対比・判断
本願発明は、前記「2-2.本願補正発明」で検討した本願補正発明から、塩が「精製海塩または顆粒塩である」ことの限定を省いたものである。

そうすると、上記2-4-1.における引用発明1との対比及び2-4-2.における引用発明2との対比での相違点1及び相違点2は、本願発明との対比においては、それぞれ相違点ではなくなる。
よって、本願発明は、引用例1または引用例2に記載された発明である。

6.むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。
よって、原査定は妥当であり、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-12-07 
結審通知日 2015-12-08 
審決日 2015-12-21 
出願番号 特願2011-511860(P2011-511860)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A23L)
P 1 8・ 575- Z (A23L)
P 1 8・ 113- Z (A23L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 長谷川 茜  
特許庁審判長 千壽 哲郎
特許庁審判官 山崎 勝司
鳥居 稔
発明の名称 塩組成物および塩の製造方法  
代理人 佐藤 剛  
代理人 山崎 宏  
代理人 後藤 裕子  
代理人 田中 光雄  

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