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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C12N
管理番号 1314662
審判番号 不服2014-24174  
総通号数 199 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-11-27 
確定日 2016-05-11 
事件の表示 特願2009-174584「核酸の製造方法、デリバリー対象物質を臓器特異的にデリバリー可能なデリバリー用タグ核酸およびその用途」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 2月10日出願公開、特開2011- 24499〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成21年7月27日の出願であって、その請求項1?15に係る発明は、平成27年12月25日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?15に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明は、次のとおりのものと認める(以下、「本願発明」という。)。
「【請求項1】細胞が移植され、且つ免疫反応が抑制された非ヒト動物に候補核酸を投与する投与工程、および、前記非ヒト動物の前記細胞を移植した臓器から、前記臓器に特異的に集積した候補核酸を、目的の核酸として採取する採取工程を含む、核酸の製造方法。」

2.当審における拒絶理由
一方、当審において平成27年11月2日付けで通知した拒絶理由の概要は、本願請求項1?17に係る発明は、本願出願日前に頒布された刊行物である引用例2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

3.引用例の記載事項
当審の拒絶理由で引用例2として引用した、本願出願日前に頒布された刊行物であるCancer Res.(2005.May)Vol.65,No.9 Suppl.,p.547(Abs.2331)(以下、「引用例」という。)には、以下の事項が記載されている(英語で記載されているため、日本語訳で摘記する。下線は合議体による。)。

ア.「SELEXのインビボ適用が腫瘍特異的RNAアプタマーを同定する」(表題)

イ.「背景:最近の報告書は、腫瘍および/またはそれを維持する血管系に特異的な分子改変を目標とすることができる戦略が、臨床環境において抗腫瘍反応をもたらすことができることを実証している。著者は、腫瘍組織を特異的に認識するRNAアプタマーを作製するSELEX(Systematic Evolution of Ligands by Exponential Enrichment)のインビボ適用を利用する新規で強力な技術について述べる。これらのアプタマーのタンパク質標的は、よく定められた方法を通して同定することができる。さらに、これらのアプタマーは、治療試薬として直接的あるいは間接的に(有毒な分子のエスコートとして)利用することができる。」(第1行?第8行)

ウ.「方法:10日目の肝臓内腫瘍(CT26)を担持するBalb Cマウスに、長さ40塩基の可変配列を有するランダムヌクレアーゼ耐性RNAオリゴヌクレオチドライブラリーを全身接種した。20分の循環時間の後に、マウスを屠殺し、肝臓内腫瘍を取り出した。全RNAを採取し、アプタマー特異的プライマーでRT-PCRを行った。増幅及び転写の後に、アプタマーの濃縮された集合体を腫瘍を担持するマウスに接種した。このサイクルを合計14回繰り返した。その後、限定された数のアプタマークローンを配列決定した。作製されたアプタマーの腫瘍臓器及び正常臓器に対する結合特異性を、蛍光ラベル、P32親和性結合およびゲルシフトアッセイを通して確認した。」(第8行?第17行)

エ.「結果:ラウンド14の後に単離された20クローンから、共有の配列を有する2つの主要なアプタマーファミリーが同定された。各ファミリー(apt14-8およびapt14-16)からの1つのアプタマーを、次のように腫瘍組織特異的結合によって検査した。」(第17行?第20行)

オ.「結論:SELEXのインビボ適用を通して、腫瘍組織を特異的に認識するRNAアプタマーを作製することができる。ランダムRNAライブラリー(10^(16)以上)の複雑さに従えば、この技術は標的治療薬を開発する有望なアプローチである。」(第30行?第32行)

上記記載事項ウ.、エ.及びオ.によると、引用例には、「肝臓内腫瘍(CT26)を担持するマウスにRNAオリゴヌクレオチドを接種し、前記マウスの前記肝臓内腫瘍から、腫瘍組織を特異的に認識するRNAアプタマーを採取する、RNAアプタマーの製造方法」の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

4.対比
本願発明と引用発明とを対比すると、引用発明における「マウス」は、本願発明における「非ヒト動物」に相当し、引用発明における「RNAオリゴヌクレオチド」は、本願発明における「候補核酸」に相当し、引用発明における「接種」は、本願発明における「投与」に相当し、引用発明における「RNAアプタマー」は、本願発明における「核酸」に相当する。また、引用発明における「肝臓内腫瘍」は、腫瘍が肝臓内にあるものであるから、本願発明における「臓器」に該当するといえる。
また、引用例には、全身接種したRNAオリゴヌクレオチドのうちの、肝臓内腫瘍中のRNAオリゴヌクレオチドを採取すると記載されている(上記記載事項ウ.)ので、肝臓内腫瘍から採取されるRNAオリゴヌクレオチドは、肝臓内腫瘍に特異的に集積したものであるといえる。
そうすると、本願発明と引用発明とは、「非ヒト動物に候補核酸を投与する投与工程、および、前記非ヒト動物の臓器から、前記臓器に特異的に集積した候補核酸を、目的の核酸として採取する採取工程を含む、核酸の製造方法」である点で一致し、両者は以下の点で相違する。

相違点1:本願発明の非ヒト動物は、細胞が移植され、且つ免疫反応が抑制された非ヒト動物であるのに対し、引用発明の非ヒト動物は、肝臓内腫瘍(CT26)を担持するマウスである点で相違する。

相違点2:本願発明は、非ヒト動物の細胞を移植した臓器から、候補核酸を採取するのに対し、引用発明は、マウスの肝臓内腫瘍から、RNAオリゴヌクレオチドを採取する点で相違する。

5.当審の判断
そこで、上記相違点について検討する。
(1)相違点1について
上記記載事項ウ.中の「CT26」がマウス由来の結腸直腸癌細胞系であり、「肝臓内腫瘍(CT26)を担持するマウス」が、マウス由来の結腸直腸癌細胞系であるCT26細胞をマウスの肝臓内に移植したマウスであることは、本願出願日前周知の事項である(例えば、特表2008-521405号公報の【0125】?【0127】、J.Surg.Res.(2006)Vol.131,No.1,p.97-104の要約、World J.Gastroenterol.(2006)Vol.12,No.6,p.858-867の要約、参照。)から、引用発明における「肝臓内腫瘍(CT26)を担持するマウス」は、「細胞が移植された非ヒト動物」に該当するといえる。
そして、引用例には、作製する腫瘍特異的RNAアプタマーを治療薬として使用することが記載されている(上記記載事項イ.及びオ.)から、ヒト由来の腫瘍細胞をRNAアプタマーの標的とすることは、当業者にとって自明の技術的課題であるといえる。
また、ヒト由来の腫瘍細胞を非ヒト動物に移植する際に、ヌードマウスなどの免疫反応が抑制された非ヒト動物を用いることは、本願出願日前周知技術である(例えば、特表2008-543864号公報の【0012】、国際公開第2008/028534号の第25頁第2行?第6行、特表2003-505111号公報の【0077】、参照。)から、引用発明において、ヒト由来の腫瘍細胞をRNAアプタマーの標的とすることを目的とした、ヒト腫瘍細胞を移植させる非ヒト動物として、ヌードマウスなどの免疫反応が抑制された非ヒト動物を用いることは、当業者が容易に想到し得ることである。
そして、本願発明が、引用例の記載から当業者が予測出来ない程の格別顕著な効果を奏するとは認められない。
(2)相違点2について
(1)で述べたように、引用発明において、RNAオリゴヌクレオチドを採取するマウスの肝臓内腫瘍は、CT26細胞をマウスの肝臓内に移植したものであるから、引用発明の「マウスの肝臓内腫瘍」は「非ヒト動物の細胞を移植した臓器」に該当するといえるので、相違点2は、実質的な相違点とはいえない。

6.審判請求人の主張
審判請求人は、平成27年12月25日付け意見書において、「本発明は、組織片や各種腫瘍細胞、または分化誘導前や誘導後のiPS細胞またはES細胞等の細胞が移植され、且つヌードマウスなどの免疫反応が抑制された非ヒト動物を用いることにより、移植細胞や組織に特異的に集積する核酸を取得することができます(出願当初の明細書0012段落等)。 また、前記移植細胞として、ヒト由来の組織片や細胞を用いることにより、これらに特異的に集積する核酸を取得することができます(出願当初の明細書0012段落等)。」と主張しているのが、上記5.(1)で述べたように、引用例には、腫瘍細胞であるCT26細胞が移植されたマウスを用いて、腫瘍組織を特異的に認識するRNAアプタマーを取得することが記載されており(上記記載事項ア.、イ.、ウ.、エ.及びオ.)、また、上記5.(1)で述べたように、移植細胞として、ヒト由来の腫瘍細胞を選択することも、当業者が容易に想到し得ることであるから、審判請求人の主張は採用できない。

7.むすび
以上のとおりであるから、本願請求項1に係る発明は、引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-03-18 
結審通知日 2016-03-22 
審決日 2016-03-30 
出願番号 特願2009-174584(P2009-174584)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (C12N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 伊達 利奈  
特許庁審判長 鈴木 恵理子
特許庁審判官 小堀 麻子
高堀 栄二
発明の名称 核酸の製造方法、デリバリー対象物質を臓器特異的にデリバリー可能なデリバリー用タグ核酸およびその用途  
代理人 伊佐治 創  
代理人 中山 ゆみ  
代理人 辻丸 光一郎  
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