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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H01L
管理番号 1314732
審判番号 不服2014-9603  
総通号数 199 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-05-23 
確定日 2016-05-12 
事件の表示 特願2013- 46047「表示装置及びそれに用いられる光源モジュール」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 8月15日出願公開、特開2013-157326〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成21年3月31日に特許出願された特願2009-87031号の一部を分割して、平成25年3月8日に新たな特許出願として出願したものであって、出願後の手続の経緯は以下のとおりである。

平成25年 3月 8日 上申書
平成25年11月 8日 拒絶理由通知(同年11月12日発送)
平成26年 1月 9日 意見書・手続補正書
平成26年 2月17日 拒絶査定(同年2月25日謄本の送達)
平成26年 5月23日 審判請求書・手続補正書
平成27年 3月17日 拒絶理由通知(同年3月24日発送
以下「当審拒絶理由通知」という。)
平成27年 6月18日 意見書・手続補正書・実験成績証明書

2 本願発明
本願の請求項に係る発明は、平成27年6月18日付け手続補正により補正された請求項1乃至2に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項2は以下のとおりである。
「発光素子と、
前記発光素子から放射される光を入射する入射面、前記入射面から入射した光を全反射するように形成された反射面、及び前記反射面で反射した光を側面方向へ出射する出射面を、有する透明材料からなる光方向変換素子と、
前記透明材料に含有され、前記入射面に入射した光のうち、一部の光の光路を変更することで前記一部の光を前記反射面における全反射条件から外すことにより、前記一部の光を前記反射面の裏側から表側に向けて透過させる光拡散剤とを備え、
前記光拡散剤の含有量は、前記透明材料100重量%に対して0.01重量%以上0.1重量%以下とすることを特徴とする光源モジュール。」(以下「本願発明」という。)

3 当審拒絶理由通知
当審拒絶理由通知で通知した拒絶理由の概要は、本件出願の特許請求の範囲の請求項に係る発明は、その遡及出願前日本国内または外国において頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その遡及出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。



国際公開第2008/007492号(以下「引用例1」という。)
特開2007-227791号公報(以下「引用例2」という。)
特開2007-227590号公報(以下「引用例3」という。)
特開2001-77427号公報(以下「引用例4」という。)
特開2008-159394号公報(以下「引用例5」という。)

4 引用発明
(1)引用例1には、以下の事項が記載されている(当審注:下線は当審が付加した。)。
ア 「[0001] 本発明は、光源モジュール、面発光ユニット及び面発光装置に関し、特に発光部として発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)を用いた光源モジュール、面発光ユニット及び面発光装置に関する。
[0002] 周知のように、映像・看板等の表示や店舗用の照明に利用される面発光装置には、光源として蛍光灯が多用されている。…」

イ 「[0010] 従って、本発明の目的は、取付作業の簡素化及び製造コストの低廉化を図ることができるとともに、発光むら及び色むらの発生を十分に抑制することができ、かつ汎用性のある光源モジュール、面発光ユニット及び面発光装置を提供することにある。」

ウ 「[0015] [第1の実施の形態]

[0025]<発光ランプ7,7,…の構成>
発光ランプ7,7,…は、図8に示すように、それぞれが光取出側に白色光を出射する発光部としてのLED28及びこのLED28からの出射光を入射して側方に出射する光方向変換部としての光方向変換用光学素子29を有し、回路基板6のランプ搭載側に実装されている。発光ランプ7,7,…のうち互いに隣り合う2つの発光ランプ7,7間の寸法は間隔は100mm程度に設定されている。

[0028] 光方向変換用光学素子29は、図8に示すように、LED28から出射される光を入射する光入射面29Aと、この光入射面29Aから入射した光を反射する光反射面29Bと、この光反射面29Bで反射した光を側方(斜め前後方向)に出射する光出射面29Cとを有し、回路基板6のランプ搭載側に配置され、全体がPMMA(ポリメタクリル酸メチル)樹脂等の透明材料によって形成されている。そして、LED28から出射された光が光入射面29Aに入射すると、その大部分の光を屈折させ、これら屈折光を光反射面29Bで全反射し、さらに光出射面29Cから屈折させて斜め前方及び斜め後方・側方に、また光反射面29B(界面)からそれぞれ出射するように構成されている。

[0034] …光出射面29Cには、光拡散性をもたせるために、粗面加工を施してもよい。この粗面加工を施す代わりに、光方向変換用光学素子29に光拡散剤を混入しても光拡散性を高めることができる。
…」

エ 「[0062][第3の実施の形態]
図18は、本発明の第3の実施の形態に係る面発光ユニットの発光ランプにおける光方向変換部を説明するために示す断面図である。この第3の実施の形態の光方向変換用光学素子は、第1の実施の形態の光方向変換用光学素子29において、上部の光反射面29Bと側面の光出射面29Cとの間に傾斜した光反射面29Dを設けたものである。
[0063] LED28から出射された光を光方向変換用光学素子29の底面の第2光入射面29cから入射した光を、上面の光反射面29Bで反射させ、側面の光出射面29Cからほとんど出射させるが、光反射面29Bと光出射面29Cとの間に概円錐の一部形状の光反射面29Dを設けることにより、光反射面29Bで反射した光の一部を光反射面29Dで反射させ、さらに底面の微細な凹凸からなる拡散面29Eで拡散反射させて、上部の光反射面29Bから光を出射させる。なお、光方向変換用光学素子29に拡散面29Eを設けずに基板6の上面に拡散面を設けてもよい。
[0064] これにより、第1の実施の形態では、光を全面的に側面出射させているため、厚さが特に薄い面光源に使用した場合に光源直上が暗くなってしまう。光源上方向にも光を出射させることにより、超薄型の場合においても均一の面光源を得ることができる。」

オ 図8は、以下のとおりのものである。


(2) 引用発明の認定
ア 上記(1)ウの[0025]によれば、白色光を出射する発光部としてのLED28及びこのLED28からの出射光を入射して側方に出射する光方向変換部としての光方向変換用光学素子29を有する発光ランプ7が記載されている。

イ 上記(1)ウ[0028]によれば、光方向変換用光学素子29は、「LED28から出射される光を入射する光入射面29Aと、この光入射面29Aから入射した光を反射する光反射面29Bと、この光反射面29Bで反射した光を側方(斜め前後方向)に出射する光出射面29Cとを有」すること、「全体がPMMA(ポリメタクリル酸メチル)樹脂等の透明材料によって形成されている」こと、そして、「LED28から出射された光が光入射面29Aに入射すると、その大部分の光を屈折させ、これら屈折光を光反射面29Bで全反射し、さらに光出射面29Cから屈折させて斜め前方及び斜め後方・側方に、また光反射面29B(界面)からそれぞれ出射するように構成されている」ことが記載されている。

ウ 以上によれば、引用例1には、以下の発明が記載されている。
「白色光を出射する発光部としてのLED及びこのLEDからの出射光を入射して側方に出射する光方向変換部としての光方向変換用光学素子を有する発光ランプであって、
前記光方向変換用光学素子は、
(ア)前記LEDから出射される光を入射する光入射面と、この光入射面から入射した光を反射する光反射面と、この光反射面で反射した光を側方(斜め前後方向)に出射する光出射面とを有し、
(イ)全体がPMMA(ポリメタクリル酸メチル)樹脂等の透明材料によって形成され、
(ウ)LEDから出射された光が光入射面に入射すると、その大部分の光を屈折させ、これら屈折光を光反射面で全反射し、さらに光出射面から屈折させて斜め前方及び斜め後方・側方に、また光反射面(界面)からそれぞれ出射するように構成されている、
発光ランプ。」(以下「引用発明」という。)

5 対比
本願発明と引用発明を対比する。
(1)引用発明の「LED」は本願発明の「発光素子」に相当し、以下同様に、「光方向変換用光学素子」は「光方向変換素子」に、「発光ランプ」は、「光源モジュール」に、それぞれ相当する。

(2)引用発明の「光方向変換用光学素子」が有する「光入射面」、「光反射面」、「光出射面」は、本願発明の「光方向変換素子」が有する「入射面」、「反射面」、「出射面」に、それぞれ、相当する。

(3)してみると、両者は
「発光素子と、
前記発光素子から放射される光を入射する入射面、前記入射面から入射した光を全反射するように形成された反射面、及び前記反射面で反射した光を側面方向へ出射する出射面を、有する透明材料からなる光方向変換素子とを備える、
光源モジュール。」
の点で一致し、以下の点で相違する。

相違点:本願発明の光源モジュールは、「前記透明材料に含有され、前記入射面に入射した光のうち、一部の光の光路を変更することで前記一部の光を前記反射面における全反射条件から外すことにより、前記一部の光を前記反射面の裏側から表側に向けて透過させる光拡散剤」を備え、「前記光拡散剤の含有量は、前記透明材料100重量%に対して0.01重量%以上0.1重量%以下」であるのに対し、引用発明は、そのようなものでない点。

6 判断
以下、上記相違点について検討する。
(1)発光装置において、光源から放射される光を入射し外部へ出射する材料に対して、材料内に光拡散剤を含有させ、全反射面から一部光を通過させて光を出射するように構成し、配光特性を滑らかにすることは、例えば下記a?eのように、当業者にとって従来周知の技術と認められる。

a 当審拒絶理由通知で引用した引用例2(特開2007-227791号公報)に記載された下記(a)乃至(d)によれば、発光装置の発光素子を封止する透光性樹脂内に、拡散剤であるTiO_(2)を添加すると、透光性樹脂中をほぼ均一に分散して光拡散層を形成し、光を吸収して異なる波長の光とし、蛍光物質からの光を良好に屈折及び反射させて乱反射させることで、配光特性が改善されることが開示されている。
(a)「【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置の製造方法および発光装置に係り、特に発光素子を透光性樹脂で封止する構造の発光装置の樹脂封止方法および透光性樹脂内の含有物分布構造に関する。」
(b)「【0013】
<第1の実施形態>
支持体上に実装されて外部端子に電気的に接続された発光素子を透光性樹脂により封止した発光装置を製造する際、透光性樹脂に発光素子からの光を吸収して異なる波長を有する光を発する蛍光物質および拡散剤を含ませておき、前記蛍光物質を前記発光素子に近い部分に偏在するように沈降させ、当該蛍光物質の沈降部分よりも前記発光素子から離れた部分に拡散剤を分散させることにより、配光特性および量産性に優れた発光装置を実現した。
【0014】
図4は、第1の実施形態の樹脂封止方法により得られた発光装置の一例を概略的に示す側断面図である。図4中、発光素子(例えばLEDチップ)409は、支持体上に実装され、外部端子に電気的に接続されている。本例では、支持体は上端部にカップ部を有するマウントリード405であり、外部端子としてマウントリード405およびインナーリード406が設けられている。そして、本例では、カップ部底部に発光素子409がフェースアップ状態でダイボンディングされ、発光素子409の2つの電極が導電性ワイヤ407によりマウントリード405の先端部とインナーリード406の先端部に接続されている。さらに、カップ部内の発光素子409および導電性ワイヤ407は、蛍光物質および拡散剤を含む透光性樹脂411により封止されている。
【0015】
ここで、蛍光物質は透光性樹脂411内で主に発光素子に近い部分に偏在しており、拡散剤は蛍光物質が偏在する部分よりも発光素子409から離れた上方部分に分散して光拡散層を形成している。さらに、発光素子409の実装部を含むように樹脂モールドにより凸レンズ404が配設されることによってランプ型または砲弾型の発光装置が得られる。」
(c)「【0022】
上記配光特性の測定は、発光素子403上でマウントリード405とインナーリード406を結ぶ直線上(0°方向)において、出射光の出射角度θの中心を0°として-90°?+90°の範囲において配光色度を測定した。そして、配光色度の変化(色ムラ)として色度図のy軸の数値の最大値と最小値との差Δyを表1に示している。このΔyが小さいほど色ムラが少ないといえる。
【表1】

【0023】
表1によれば、TiO_(2)を0.1%添加すると配光特性が改善され、TiO_(2)の添加量をさらに増やすとさらに改善されることが分かる。
【0024】
図1(a)?(e)は、変成シリコーン樹脂/YAGの重量を一定とし、TiO_(2)の添加量を0%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%に変化させた場合にそれぞれ硬化後の透光性樹脂中におけるYAGの沈降状態(YAG、TiO_(2)の分布状態)を観察した結果を模式的に示した。ここで、11はカップ部の側壁、12は主にYAGの沈降層を含む樹脂層、13は樹脂層、14はTiO_(2)、403はカップ部の凹部内に配置された発光素子、407は発光素子403とリードとの間をボンディング接続した導電性ワイヤである。
【0025】
これらの結果から、透光性樹脂中において、YAGは、その重量により樹脂硬化前に沈降し、LEDチップ近傍の底部に偏在していることが分かる。また、TiO_(2)は、YAGが偏在する部分よりもLEDチップから離れた部分(上方)にほぼ均一に分散して光拡散層を形成していることが分かる。このような構造によれば、発光装置の配光特性が改善していることが判明した。また、透光性樹脂に蛍光物質および拡散剤を予め含ませておくだけで配光特性を改善できるので、量産性に優れ、低コストで発光装置を実現することができる。また、光利用効率が良く、小電力駆動が可能になる。」
(d)「【0045】
[拡散剤]
本明細書において拡散剤とは、中心粒径が1nm以上5μm未満のものをいう。1nm以上5μm未満の拡散剤は、蛍光物質からの光を良好に乱反射させ、大きな粒径の蛍光物質を用いることにより生じやすい色ムラを抑制することができ好ましい。拡散剤の光拡散作用により、発光装置の色度ばらつきが改善される。1nm以上1μm未満が特に好ましい。また、本発明における拡散剤は、従来の拡散剤に比べて、透光性樹脂との屈折率差が大きいため拡散作用が高い。このため、本発明における拡散剤は、含有量を少量としても色ムラの少ない光を得ることができる。これに対し、従来の拡散剤が本発明の拡散剤と同等な拡散効果を得るには、光を屈折及び反射させる回数を増やす必要がある。このため、従来の拡散剤では含有量を増やすしかなく、光度も低下してしまう。」

b 当審拒絶理由通知で引用した引用例3(特開2007-227590号公報)に記載された下記(a)乃至(d)によれば、従来技術として、発光装置の発光素子を透光性樹脂により覆い、透光性樹脂内に混入させた粉体状の拡散剤により、拡散性の高い配光を得られることが開示されている。
(a)「【請求項1】
発光素子は透光性樹脂により覆われており、
前記透光性樹脂とは材質が異なり、かつ、発光素子より大きさの大きい拡散物が複数含有されている発光装置。」
(b)「【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。また、特に装飾用の照明に使用される発光装置に関する。」
(c)「【背景技術】
【0002】
従来存在する発光装置は拡散性の高い配光を得るため、粉体状の拡散剤を透光性樹脂内に混入させている。」
(d)「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術により得られる発光装置は、粉体状の拡散剤により発光素子からの光を拡散して発光装置から出射するものである。このような発光装置は特定の用途には有効な発光装置であった。」

c 当審拒絶理由通知で引用した引用例4(特開2001-77427号公報)に記載された下記(a)、(b)によれば、発光ダイオードの発光素子(LEDチップ)をモールドする透光性のモールド部材に拡散剤を添加して、配光特性をなめらかにすることが開示されている。
(a)「【0017】(発光素子の配置)形成されたマウントリード105上に上述のLEDチップ101を2個用いてそれぞれAgを含有させたエポキシ樹脂であるAgペースト104により、ダイボンド固着させる。ダイボンド固着されたLEDチップ101はカップの中心に対して、それぞれほぼ左右対称に配置される。各LEDチップ間の距離が短くなればなるほど正面光度が高くなる。」
(b)「【0019】(モールド部材102)発光素子101とリード電極105、106とが電気的に接続されたものに発光観測面側から見て楕円状レンズを形成すべく、楕円状の凹形状をしたキャスティングケース内を用いる。キャスティングケース内には、エポキシ樹脂を流し込むとと共にLEDチップが配置された上述のリードフレーム先端を差し込み、150℃1時間で仮硬化させる。キャスティングケースからリードフレームを取り出し120℃5時間で本硬化させ発光ダイオードを形成させる。なお、モールド部材102は、エポキシ樹脂、イミド樹脂などの透光性、耐光性に優れた樹脂のほか、低融点ガラスなどを利用することもできる。また、モールド部材には、所望に応じて発光素子から放出される波長の一部をカットするフィルター効果を持つ着色剤や、劣化を防止させるための紫外線吸収剤、配光特性を滑らかにする拡散剤など種々の添加剤を含有させることもできる。」

d また、特開2005-167091号公報に記載された下記(a)乃至(e)によれば、光半導体装置において、光半導体素子の表面に第1樹脂と光散乱粒子を含有する第1樹脂層を有し、該第1樹脂より屈折率が小さい第2樹脂からなる第2樹脂層で第1樹脂層が封止されて構成し、第1樹脂層に光散乱粒子を含有させたことで第1樹脂層と第2樹脂層との界面での全反射を低減させることが記載されている。
(a)「【技術分野】
【0001】
本発明は、光半導体装置に関する。」
(b)「【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記光半導体装置においても、第1の封止樹脂と第2の封止樹脂の屈折率差により、その界面において光が全反射して外部に取り出せない光が依然多く存在する。
【0004】
本発明の目的は、光取り出し効率の高い光半導体装置を提供することにある。」
(c)「【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の光半導体装置は、以下の態様を有する。
第1の態様: 光半導体素子の表面に、第1樹脂と光散乱粒子を含有する第1樹脂層を有し、該第1樹脂より屈折率が小さい第2樹脂からなる第2樹脂層で第1樹脂層が封止されてなることを特徴とする光半導体装置
第2の態様: 光半導体素子の表面に、第1樹脂と光散乱粒子を含有する第1樹脂層を有し、該第1樹脂より屈折率が小さい樹脂からなる複数の樹脂層で第1樹脂層が封止されてなり、かつ前記複数の樹脂層の樹脂の屈折率が最外の樹脂層に向かって、順次小さいことを特徴とする光半導体装置
【0008】
いずれの態様においても、本発明では、光半導体素子を封止する第1樹脂層に光散乱粒子が含有されているため、第1樹脂層と第2樹脂層(第2の態様においても、第1樹脂層を封止する樹脂層を第2樹脂層という)との界面での全反射を低減することができ、光取り出し効率を格段に向上させることができる。
【0009】
光散乱粒子としては、ポリスチレン等の樹脂粒子、シリカ等の無機粒子等が挙げられるが、これらの中でも、屈折率が1.54?2.50の、高屈折率を有する無機粒子が好ましい。かかる無機粒子としては、チタン、ジルコニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモン等の酸化物等が挙げられる。
【0010】
光散乱粒子の平均粒径は、散乱効果を効率的に得、透過率を低減させないようにするためには、100nm?2μmが好ましい。」
(d)「【0078】
1 光半導体素子
2a リードフレーム
2b 基板
2c 導電層
3 ワイヤ
4 光散乱粒子
5 第1樹脂層
6 第2樹脂層
7 第3樹脂層」
(e)図1、図2は、以下のとおりのものである。


e さらに、特開2008-108582号公報に記載された下記(a)乃至(d)によれば、面光源装置において、光源より発せられた光が導光板のエッジ部より入射し、導光板表面に対して臨界角以下の角度で進むほとんどの光は、表面で反射を繰り返して導光板内部を進んで行き導光板の出射面からはほとんど出射しないため、導光板内部へ屈折率の異なる拡散剤を添加することで、導光板内部を臨界角以下の角度で進む光を導光板外部に出射させることが開示されている。
(a)「【技術分野】
【0001】
本発明は、面光源装置に関する。」
(b)「【背景技術】
【0002】
液晶表示装置等に用いる面光源装置の方式としては、光源を導光板のエッジ部に取り付けるエッジライト方式と、光源を拡散板の直下に配置し、拡散板により光を拡散させる直下型方式があり、比較的画面サイズの小さい液晶表示装置ではエッジライト方式を採用することが主流となっている。
【0003】
エッジライト方式では、導光板のエッジ部に取り付けられた光源より発せられた光が導光板のエッジ部より入射し、導光板表面に対して臨界角以上で進む一部の光が導光板の外に出射する。エッジ部より入射した臨界角以下の角度で進むほとんどの光は、表面で反射を繰り返して導光板内部を進んで行き、導光板の出射面からはほとんど出射しない。このような導光板内部を臨界角以下の角度で進む光を導光板外部に出射させるために、導光板内部へ屈折率の異なる拡散剤を添加したり、導光板表面上に拡散反射層を構成させることが行われている。」
(c)「【0047】
【図1】冷陰極管光源を用いた面光源装置の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0048】
1 導光板
2、2’ 冷陰極管
3 反射板
5、5’ ランプリフレクター
6、6’ 拡散フィルム
7 プリズムシート
8 拡散反射層」
(d)図1は、以下のとおりのものである。


(2)上記周知の技術手段を踏まえて検討する。上記4(1)エによれば、引用発明の光方向変換用光学素子は、厚さが特に薄い面光源に使用した場合に光源直上が暗くなる旨の技術事項が開示されている。そうすると、引用発明の発光ランプにおいて、光源上方に出射する光量が多くなる配光にして輝度を均一にすることは、適用する面光源の特性に応じて当業者が適宜なし得ることであり、その際、材料内に光拡散剤を含有させ、全反射面から一部光を通過させて光を出射するように構成し、配光特性を滑らかにする上記周知の技術を採用することに困難性は無い。そして、必要とする上方への出射光量(配光特性)に応じ、光拡散剤の含有量を設定することは、当業者が適宜なし得る設計事項と認められるから、光拡散剤の含有量を透明材料100重量%に対して0.01重量%以上0.1重量%以下とする数値範囲も格別のものとは認められない。
してみると、引用発明において、厚さが特に薄い面光源に使用した場合にも光源直上が暗くならないよう上記周知の技術を採用し、透明材料に透明材料100重量%に対して0.01重量%以上0.1重量%以下の光拡散剤を含有させ、上記相違点に係る本願発明の発明特定事項と為すことは、当業者が容易に為し得たことと認められる。

(3)以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用例1に記載された技術事項と上記周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認める。

(4)そして、本願発明が奏する作用効果は、引用発明、引用例1に記載された技術事項と上記周知の技術に基いて当業者が容易に予測しうる程度のものであって、格別のものとは認められない。

7 むすび
したがって、本願発明は、当業者が引用発明、引用例1に記載された技術事項と上記周知の技術に基いて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、上記結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-03-07 
結審通知日 2016-03-08 
審決日 2016-03-29 
出願番号 特願2013-46047(P2013-46047)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 高橋 学栗山 卓也  
特許庁審判長 河原 英雄
特許庁審判官 星野 浩一
小松 徹三
発明の名称 表示装置及びそれに用いられる光源モジュール  
代理人 伊勢 京介  
代理人 平田 忠雄  
代理人 遠藤 和光  

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