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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09G
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G09G
管理番号 1314760
審判番号 不服2015-11370  
総通号数 199 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2015-06-17 
確定日 2016-05-12 
事件の表示 特願2011- 66393「頭部装着型表示装置および頭部装着型表示装置の制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成24年10月22日出願公開、特開2012-203128〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年3月24日の出願であって、平成26年10月20日付け(発送日:同年同月28日)で拒絶理由が通知され、同年12月12日付けで明細書及び特許請求の範囲についての補正(以下、「補正1」という。)がなされ、平成27年3月12日付け(送達日:同年同月17日)で拒絶査定がなされた。
これに対し、平成27年6月17日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に、明細書及び特許請求の範囲についての補正(以下、「本件補正」という。)がなされた。


第2 補正却下の決定
[結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲を次のとおり補正するものである。

(本件補正前)
「 【請求項1】
頭部装着型表示装置であって、
画像を表す画像光を生成し射出させる画像光生成部と、射出された前記画像光を使用者の眼に導く導光部と、を有し、使用者に虚像を視認させるための画像表示部と、
前記画像表示部と接続され、前記画像表示部による画像表示を制御する制御部と、
前記画像表示部の向きの変化を示す変化情報を取得し、前記変化情報を用いて、前記画像表示部を装着した使用者の一定量を超える頭の動きを検知する検知部と、
を備え、
前記検知部は、
予め定められたトリガーの発生に応じて、前記画像表示部の向きの変化を検出する際の基準となる位置である初期位置を設定し、前記初期位置に対する前記変化情報を取得し、前記変化情報を用いて、前記一定量を超える頭の動きを検知し、
前記制御部は、
前記一定量を超える頭の動きが検知された場合に、前記虚像の視認性を低下させるように、前記画像光生成部の輝度を調整し、または、前記画像光生成部により生成される前記画像光を調整する、頭部装着型表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の頭部装着型表示装置であって、
前記検知部は、前記初期位置および前記変化情報を、前記画像表示部を装着した使用者の鉛直方向の頭の動きに対応する頭の角度と、水平方向の顔の動きに対応する顔の方向と、の組合せによって特定する、頭部装着型表示装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の頭部装着型表示装置であって、さらに、
前記画像表示部は、前記画像表示部の角速度を検出する角速度検出部を備え、
前記検知部は、
前記変化情報として検出された前記角速度を取得し、前記角速度から求めた角度が予め定められた第1の閾値を超え、かつ、前記角速度が予め定められた第2の閾値を超えている場合に、前記一定量を超える頭の動きを検知したと判定する、頭部装着型表示装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項記載の頭部装着型表示装置であって、さらに、
前記画像表示部は、前記画像表示部の加速度を検出する加速度検出部を備え、
前記検知部は、さらに、
前記変化情報として検出された前記加速度を取得し、前記加速度から求めた前記画像表示部の傾きを併用して、前記一定量を超える頭の動きを検知したかを判定する、頭部装着型表示装置。
【請求項5】
請求項1または2記載の頭部装着型表示装置であって、
前記画像表示部は、さらに、
地磁気を用いて前記画像表示部の方位を検出する地磁気検出部と、
前記画像表示部の加速度を検出する加速度検出部と、
を備え、
前記検知部は、
前記変化情報として、検出された前記方位と、検出された前記加速度とを取得し、前記方位から求めた角度が予め定められた第1の閾値を超え、かつ、前記加速度が予め定められた第2の閾値を超えている場合に、前記一定量を超える頭の動きを検知したと判定する、頭部装着型表示装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一項記載の頭部装着型表示装置であって、
前記予め定められたトリガーは、前記頭部装着型表示装置への電源の投入と、所定のアプリケーションの起動の検出と、所定のボタン押下の検出と、のうちの少なくともいずれか1つである、頭部装着型表示装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか一項記載の頭部装着型表示装置であって、
前記画像光生成部は、
前記画像を生成する表示素子と、
生成された前記画像を表す画像光を射出させる光源と、
を含み、
前記制御部は、
前記一定量を超える頭の動きが検知された場合に、前記光源の照明光を消灯または減光させることで、前記画像光生成部の輝度を調整する、頭部装着型表示装置。
【請求項8】
請求項1ないし6のいずれか一項記載の頭部装着型表示装置であって、
前記制御部は、
前記一定量を超える頭の動きが検知された場合に、前記画像光生成部による前記画像光の生成を一時的に停止させることで、前記画像光生成部により生成される前記画像光を調整する、頭部装着型表示装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか一項記載の頭部装着型表示装置であって、さらに、
前記画像表示部は、使用者の眼球画像を撮像する撮像部を備え、
前記検知部は、さらに、
撮像された前記眼球画像を解析することで、使用者の虹彩の中心位置に対する移動量を
示す視線移動量を取得し、
前記制御部は、さらに、
前記視線移動量が予め定められた第3の閾値を超えた場合に、前記虚像の視認性を低下させるように、前記画像光生成部の輝度を調整し、または、前記画像光生成部により生成される前記画像光を調整する、頭部装着型表示装置。
【請求項10】
頭部装着型表示装置の制御方法であって、
(a)画像を表す画像光を生成し射出させる画像光生成部と、射出された前記画像光を使用者の眼に導く導光部と、を用いて、使用者に虚像を視認させる工程と、
(b)前記工程(a)による画像表示を制御する工程と、
(c)前記頭部装着型表示装置の向きの変化を示す変化情報を取得し、前記変化情報を用いて、前記頭部装着型表示装置を装着した使用者の一定量を超える頭の動きを検知する工程と、
(d)前記一定量を超える頭の動きが検知された場合に、前記虚像の視認性を低下させるように、前記画像光生成部の輝度を調整し、または、前記画像光生成部により生成される前記画像光を調整する工程と、
を備え、
前記工程(c)は、
予め定められたトリガーの発生に応じて、前記頭部装着型表示装置の向きの変化を検出する際の基準となる位置である初期位置を設定し、前記初期位置に対する前記変化情報を取得し、前記変化情報を用いて、前記一定量を超える頭の動きを検知する、頭部装着型表示装置の制御方法。」

(本件補正後)
「 【請求項1】
頭部装着型表示装置であって、
画像を表す画像光を生成し射出させる画像光生成部と、射出された前記画像光を使用者の眼に導く導光部と、を有し、使用者に虚像を視認させるための画像表示部と、
前記画像表示部と接続され、前記画像表示部による画像表示を制御する制御部と、
前記画像表示部の向きの変化を示す変化情報を取得し、前記変化情報を用いて、前記画像表示部を装着した使用者の一定量を超える頭の動きを検知する検知部と、
を備え、
前記検知部は、
前記画像表示部の加速度に基づいて、前記画像表示部を叩く動作を検知した場合に、前記画像表示部の向きの変化を検出する際の基準となる位置である初期位置を設定し、前記初期位置に対する前記変化情報を取得し、前記変化情報を用いて、前記一定量を超える頭の動きを検知し、
前記制御部は、
前記一定量を超える頭の動きが検知された場合に、前記虚像の視認性を低下させるように、前記画像光生成部の輝度を調整し、または、前記画像光生成部により生成される前記画像光を調整する、頭部装着型表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の頭部装着型表示装置であって、
前記検知部は、前記初期位置および前記変化情報を、前記画像表示部を装着した使用者の鉛直方向の頭の動きに対応する頭の角度と、水平方向の顔の動きに対応する顔の方向と、の組合せによって特定する、頭部装着型表示装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の頭部装着型表示装置であって、さらに、
前記画像表示部は、前記画像表示部の角速度を検出する角速度検出部を備え、
前記検知部は、
前記変化情報として検出された前記角速度を取得し、前記角速度から求めた角度が予め定められた第1の閾値を超え、かつ、前記角速度が予め定められた第2の閾値を超えている場合に、前記一定量を超える頭の動きを検知したと判定する、頭部装着型表示装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項記載の頭部装着型表示装置であって、さらに、
前記画像表示部は、前記画像表示部の加速度を検出する加速度検出部を備え、
前記検知部は、さらに、
前記変化情報として検出された前記加速度を取得し、前記加速度から求めた前記画像表示部の傾きを併用して、前記一定量を超える頭の動きを検知したかを判定する、頭部装着型表示装置。
【請求項5】
請求項1または2記載の頭部装着型表示装置であって、
前記画像表示部は、さらに、
地磁気を用いて前記画像表示部の方位を検出する地磁気検出部と、
前記画像表示部の加速度を検出する加速度検出部と、
を備え、
前記検知部は、
前記変化情報として、検出された前記方位と、検出された前記加速度とを取得し、前記方位から求めた角度が予め定められた第1の閾値を超え、かつ、前記加速度が予め定められた第2の閾値を超えている場合に、前記一定量を超える頭の動きを検知したと判定する、頭部装着型表示装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか一項記載の頭部装着型表示装置であって、
前記予め定められたトリガーは、前記頭部装着型表示装置への電源の投入と、所定のアプリケーションの起動の検出と、所定のボタン押下の検出と、のうちの少なくともいずれか1つである、頭部装着型表示装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか一項記載の頭部装着型表示装置であって、
前記画像光生成部は、
前記画像を生成する表示素子と、
生成された前記画像を表す画像光を射出させる光源と、
を含み、
前記制御部は、
前記一定量を超える頭の動きが検知された場合に、前記光源の照明光を消灯または減光させることで、前記画像光生成部の輝度を調整する、頭部装着型表示装置。
【請求項8】
請求項1ないし6のいずれか一項記載の頭部装着型表示装置であって、
前記制御部は、
前記一定量を超える頭の動きが検知された場合に、前記画像光生成部による前記画像光の生成を一時的に停止させることで、前記画像光生成部により生成される前記画像光を調整する、頭部装着型表示装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか一項記載の頭部装着型表示装置であって、さらに、
前記画像表示部は、使用者の眼球画像を撮像する撮像部を備え、
前記検知部は、さらに、
撮像された前記眼球画像を解析することで、使用者の虹彩の中心位置に対する移動量を示す視線移動量を取得し、
前記制御部は、さらに、
前記視線移動量が予め定められた第3の閾値を超えた場合に、前記虚像の視認性を低下させるように、前記画像光生成部の輝度を調整し、または、前記画像光生成部により生成される前記画像光を調整する、頭部装着型表示装置。
【請求項10】
頭部装着型表示装置の制御方法であって、
(a)画像を表す画像光を生成し射出させる画像光生成部と、射出された前記画像光を使用者の眼に導く導光部と、を用いて、使用者に虚像を視認させる工程と、
(b)前記工程(a)による画像表示を制御する工程と、
(c)前記頭部装着型表示装置の向きの変化を示す変化情報を取得し、前記変化情報を用いて、前記頭部装着型表示装置を装着した使用者の一定量を超える頭の動きを検知する工程と、
(d)前記一定量を超える頭の動きが検知された場合に、前記虚像の視認性を低下させるように、前記画像光生成部の輝度を調整し、または、前記画像光生成部により生成される前記画像光を調整する工程と、
を備え、
前記工程(c)は、
前記画像光生成部と前記導光部とを有する画像表示部の加速度に基づいて、前記画像表示部を叩く動作を検知した場合に、前記頭部装着型表示装置の向きの変化を検出する際の基準となる位置である初期位置を設定し、前記初期位置に対する前記変化情報を取得し、前記変化情報を用いて、前記一定量を超える頭の動きを検知する、頭部装着型表示装置の制御方法。」
(下線は補正箇所。)

本件補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「予め定められたトリガーの発生に応じて」を、「前記画像表示部の加速度に基づいて、前記画像表示部を叩く動作を検知した場合に」と具体的に限定し、また、本件補正前の請求項10に係る発明を特定するために必要な事項である「予め定められたトリガーの発生に応じて」を、「前記画像光生成部と前記導光部とを有する画像表示部の加速度に基づいて、前記画像表示部を叩く動作を検知した場合に」と具体的に限定するものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下に検討する。

2 引用例記載の事項・引用発明
(1)引用例1
ア 記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開平8-328512号公報(以下、「引用例1」という。)には、次の事項(a)ないし(c)が記載されている。なお、下線は当審が引いた。

(a)
「【0007】
【実施例】図1は本発明の実施例によるHMDを用いたコンピュータシステムの概略構成を示すブロック図である。図において、点線で囲まれた部分1が本発明による頭部装着型表示装置(HMD)である。HMD1において、検出手段101は装置の方向や姿勢等の位置を検出する。その検出信号はコントローラ102に送られ、大きく分けて次の3つの部分の制御を行う。その一つ目はシャッタ103であり、外界光104を透過させるか遮断するかを制御する。二つ目は表示制御回路105であり、コンピュータ2からの映像信号106を制御して、表示部109で表示するか否かを制御する。三つ目はバックライトドライブ回路107であり、複数のバックライト108の点灯/非点灯を制御する。
【0008】表示部109は2次元液晶ディスプレイ素子などが用いられる。この表示部109には表示制御回路105で制御された映像信号が加えられ、その全部または一部の映像信号を表示する。また、バックライト108の光は表示部109を通過してハーフミラー110で反射され、HMDの装着者の目4に到達する。また、シャッタ103で制限された外界光104もハーフミラー110を通過して装着者の目4に到達する。尚、表示部109とシャッタ103とハーフミラー110とにより表示手段が構成される。また、3はコンピュータ2のキーボードである。尚、本発明においては上記の3つの制御が全て必要なわけではない。」

(b)
「【0009】次に検出手段101について種々のタイプのものを説明する。
[ジャイロを用いて頭の角度を検出する検出手段]角度検出手段の1つとしての方位検出手段を図2を用いて説明する。これは、振動ジャイロ等の角度センサを用いた方法である。図2において、200はジャイロセンサ201に加わる角度変化を模式的に描いたもので、その変位の角速度に比例した電圧が検出信号としてジャイロセンサ201から出力される。このジャイロセンサ201の出力電圧には現状ではある程度のオフセット電圧成分が重畳されているため、この不要成分を除去する目的で高域通過フィルタ(HPF)203に検出信号を通す必要がある。さらに現状ではジャイロセンサ201の出力振幅が微小であるため、十分な振幅電圧を得るために適当な倍率の増幅回路203により検出信号を増幅する。次に角速度の検出信号を角度情報に変換するために、検出信号は積分回路204に加えられる。積分回路204の出力は初期化信号206が入力された時にゼロとなり、その後角度変位に応じた検出信号205を出力する。」

(c)
「【0017】以上に説明した各構成要素を組み合わせて次のような本発明によるHMDを構成することができる。図11はバックライトと液晶表示パネルと液晶シャッタとの3つの構成による表示動作を説明する図である。バックライトはバックライトドライブ回路によって全面点灯、上半分の点灯、全面消灯の3つの切り替えが行える。また表示パネルは表示制御回路によって全面表示、上半分の表示、全面非表示の3つの切り替えが行える。シャッタは全面遮蔽、下半分透過、全面透過の3つの切り替えが行える。
【0018】それぞれの動作はうつむき角度検出手段の検出結果が、図12に示すように、「正面視」、「ややうつむき」、「かなりうつむき」の3つの姿勢状態に対応しており、各々の状態が組み合わされて図11の一番下に示されているような見える映像の状態になる。即ち、「正面視」に対しては表示画面、例えばコンピュータの画面が全面見える。「ややうつむき」の状態に対しては、表示は上半分だけで下半分は素通しになり、例えばコンピュータのキーボードが覗ける。「かなりうつむき」の状態に対しては表示は完全にされなくなり、外界の例えばキーボードが完全に素通しで見えるようになる。即ち、使用者の頭部の位置に応じて表示画面の映像表示部分と外光の透過部分との割合いが変化することになる。」

・上記記載(a)より、
(ア)「検出手段101は装置の方向や姿勢等の位置を検出し、その検出信号はコントローラ102に送られ、大きく分けて次の3つの部分の制御を行い、一つ目はシャッタ103であり、外界光104を透過させるか遮断するかを制御し、二つ目は表示制御回路105であり、コンピュータ2からの映像信号106を制御して、表示部109で表示するか否かを制御し、三つ目はバックライトドライブ回路107であり、複数のバックライト108の点灯/非点灯を制御し、表示部109には表示制御回路105で制御された映像信号が加えられ、その全部または一部の映像信号を表示し、バックライト108の光は表示部109を通過してハーフミラー110で反射され、HMDの装着者の目4に到達し、シャッタ103で制限された外界光104もハーフミラー110を通過して装着者の目4に到達し、表示部109とシャッタ103とハーフミラー110とにより表示手段が構成される、頭部装着型表示装置。」との技術的事項が読み取れる。

・上記記載(b)より、
(イ)「ジャイロを用いて頭の角度を検出する検出手段は、変位の角速度に比例した電圧が検出信号としてジャイロセンサ201から出力され、角速度の検出信号を角度情報に変換するために、検出信号は積分回路204に加えられ、積分回路204の出力は初期化信号206が入力された時にゼロとなり、その後角度変位に応じた検出信号205を出力する」との技術的事項が読み取れる。

・上記記載(c)より、
(ウ)「バックライトと液晶表示パネルと液晶シャッタとの3つの構成による表示動作で、バックライトはバックライトドライブ回路によって全面点灯、上半分の点灯、全面消灯の3つの切り替えが行え、表示パネルは表示制御回路によって全面表示、上半分の表示、全面非表示の3つの切り替えが行え、シャッタは全面遮蔽、下半分透過、全面透過の3つの切り替えが行え、うつむき角度検出手段の検出結果が「ややうつむき」の状態に対しては、表示は上半分だけで下半分は素通しになり、例えばコンピュータのキーボードが覗け、うつむき角度検出手段の検出結果が「かなりうつむき」の状態に対しては表示は完全にされなくなり、外界の例えばキーボードが完全に素通しで見えるようになり、使用者の頭部の位置に応じて表示画面の映像表示部分と外光の透過部分との割合いが変化する」との技術的事項が読み取れる。

イ 引用発明
以上の技術的事項(ア)ないし(ウ)を総合勘案すると、引用例1には次の発明が記載されているものと認められる。

「検出手段101は装置の方向や姿勢等の位置を検出し、その検出信号はコントローラ102に送られ、大きく分けて次の3つの部分の制御を行い、一つ目はシャッタ103であり、外界光104を透過させるか遮断するかを制御し、二つ目は表示制御回路105であり、コンピュータ2からの映像信号106を制御して、表示部109で表示するか否かを制御し、三つ目はバックライトドライブ回路107であり、複数のバックライト108の点灯/非点灯を制御し、表示部109には表示制御回路105で制御された映像信号が加えられ、その全部または一部の映像信号を表示し、バックライト108の光は表示部109を通過してハーフミラー110で反射され、HMDの装着者の目4に到達し、シャッタ103で制限された外界光104もハーフミラー110を通過して装着者の目4に到達し、表示部109とシャッタ103とハーフミラー110とにより表示手段が構成され、
ジャイロを用いて頭の角度を検出する検出手段は、変位の角速度に比例した電圧が検出信号としてジャイロセンサ201から出力され、角速度の検出信号を角度情報に変換するために、検出信号は積分回路204に加えられ、積分回路204の出力は初期化信号206が入力された時にゼロとなり、その後角度変位に応じた検出信号205を出力し、
バックライトと液晶表示パネルと液晶シャッタとの3つの構成による表示動作で、バックライトはバックライトドライブ回路によって全面点灯、上半分の点灯、全面消灯の3つの切り替えが行え、表示パネルは表示制御回路によって全面表示、上半分の表示、全面非表示の3つの切り替えが行え、シャッタは全面遮蔽、下半分透過、全面透過の3つの切り替えが行え、うつむき角度検出手段の検出結果が「ややうつむき」の状態に対しては、表示は上半分だけで下半分は素通しになり、例えばコンピュータのキーボードが覗け、うつむき角度検出手段の検出結果が「かなりうつむき」の状態に対しては表示は完全にされなくなり、外界の例えばキーボードが完全に素通しで見えるようになり、使用者の頭部の位置に応じて表示画面の映像表示部分と外光の透過部分との割合いが変化する、
頭部装着型表示装置。」(以下、「引用発明」という。)

(2)引用例2
ア 記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された特開2004-96224号公報(以下、「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。なお、下線は当審が引いた。

「【0030】
また、ヘッドマウントディスプレイ100に設けられたリセットボタン15と、電源ボタン16の操作を、中央制御ユニット14で検出する構成としてある。中央制御ユニット14では、リセットボタン15が操作されたときの位置を基準位置として、ジャイロセンサ11と加速度センサ12との出力に基づいて、その基準位置からの装着者の頭部の動きを検出する構成としてある。頭部の正面が向く方向であるヨウ角については、ジャイロセンサ11の出力に基づいて算出するようにしてある。但し、傾斜センサ12の出力に基づいて算出されたロール角及びピッチ角を使用して、ジャイロセンサ11の出力に基づいて算出されたヨウ角を補正するようにしても良い。具体的には、例えば頭部がいずれかの方向に比較的大きく傾斜した状態でヨウ角の動きがあった場合に、ジャイロセンサ11の出力から検出されるヨウ角に誤差が生じる可能性があり、そのような場合に、算出されたロール角及びピッチ角を使用して、ヨウ角を補正しても良い。」

イ 上記記載により、引用例2には「ヘッドマウントディスプレイ100に設けられたリセットボタン15の操作を中央制御ユニット14で検出し、リセットボタン15が操作されたときの位置を基準位置とする」ことが記載されていると認められる。

(3)引用例3
ア 記載事項
特開2008-147864号公報(以下、「引用例3」という。)には、次の事項(a)及び(b)が記載されている。なお、下線は当審が引いた。

(a)
「【0011】
[1.撮像表示装置、撮像装置、表示装置の外観例]
図1に実施の形態の撮像表示装置1の外観例を示す。この撮像表示装置1は眼鏡型ディスプレイカメラとしてユーザが装着できるものとしている。
撮像表示装置1は、例えば両側頭部から後頭部にかけて半周回するようなフレームの構造の装着ユニットを持ち、図のように両耳殻にかけられることでユーザに装着される。
そしてこの撮像表示装置1は、図1のような装着状態において、ユーザの両眼の直前、即ち通常の眼鏡におけるレンズが位置する場所に、左眼用と右眼用の一対の表示パネル部2a、2bが配置される構成とされている。この表示パネル部2a、2bには、例えば液晶パネルが用いられ、透過率を制御することで、図のようなスルー状態、即ち透明又は半透明の状態とできる。表示パネル部2a,2bがスルー状態とされることで、眼鏡のようにユーザが常時装着していても、通常の生活には支障がない。」

(b)
「【0041】
またユーザの挙動を検知する構成とする場合は、加速度センサ、角速度センサ、振動センサ、圧力センサ等を設けることが考えられる。
例えばユーザが撮像表示装置1を側面側からコツコツと軽く叩くといったことを、加速度センサ、振動センサ等で検知し、例えば横方向の加速度が一定値を越えたときにシステムコントローラ10がユーザの操作として認識するようにすることができる。また、加速度センサや角速度センサによりユーザが右側から側部(眼鏡のツルに相当する部分)を叩いたか、左側から側部を叩いたかを検出できるようにすれば、それらを、それぞれ所定の操作として判別することもできる。」

イ 上記記載(a)及び(b)より、引用例3には「ユーザの頭部に装着される撮像表示装置1を側面側からコツコツと軽く叩くといったことを、加速度センサで検知し、横方向の加速度が一定値を越えたときにユーザの操作として認識する」ことが記載されていると認められる。


(4)引用例4
ア 記載事項
特開2008-185609号公報(以下、「引用例4」という。)には、次の事項(a)及び(b)が記載されている。なお、下線は当審が引いた。

(a)
「【0012】
[1.表示装置の外観例]
実施の形態として、図1に眼鏡型ディスプレイとした表示装置1の外観例を示す。表示装置1は、例えば両側頭部から後頭部にかけて半周回するようなフレームの構造の装着ユニットを持ち、図1のように両耳殻にかけられることでユーザに装着される。
そしてこの表示装置1は、装着状態において、ユーザの両眼の直前、即ち通常の眼鏡におけるレンズが位置する場所に、左眼用と右眼用の一対の表示パネル部2a、2aが配置される構成とされている。この表示パネル部2aには、例えば液晶パネルが用いられ、透過率を制御することで、図のようなスルー状態、即ち透明又は半透明の状態とできる。表示パネル部2aがスルー状態とされることで、眼鏡のようにユーザが常時装着していても、通常の生活には支障がない。」

(b)
「【0035】
まずセンサ部11について説明する。
センサ部11においてユーザの挙動を検知する構成とする場合は、センサ部11として加速度センサ、角速度センサ、振動センサ、圧力センサ等を設けることが考えられる。
例えばユーザが表示装置1を側面側からコツコツと軽く叩くといったことを、加速度センサ、振動センサ等で検知し、例えば横方向の加速度が一定値を越えたときにシステムコントローラ10がユーザの操作(例えば透過率可変操作)として認識するようにすることができる。
また、加速度センサや角速度センサによりユーザが右側から側部(眼鏡のツルに相当する部分)を叩いたか、左側から側部を叩いたかを検出できるようにすれば、それらを、それぞれ所定の操作として判別することもできる。」

イ 上記記載(a)及び(b)より、引用例4には「ユーザの頭部に装着される表示装置1を側面側からコツコツと軽く叩くといったことを、加速度センサで検知し、横方向の加速度が一定値を越えたときにユーザの操作として認識する」ことが記載されていると認められる。

3 対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。

ア 引用発明における、「複数のバックライト108」及び「表示制御回路105で制御された映像信号が加えられ、その全部または一部の映像信号を表示」する「表示部109」は、画像である映像を表す光を生成しハーフミラー110に射出するから、本願補正発明における「画像を表す画像光を生成し射出させる画像光生成部」に相当する。

イ 引用発明において、「バックライト108の光は表示部109を通過してハーフミラー110で反射され、HMDの装着者の目4に到達」するから、引用発明における「ハーフミラー110」は、本願補正発明における「射出された前記画像光を使用者の眼に導く導光部」に相当する。

ウ 引用発明における、「複数のバックライト108」、「表示制御回路105で制御された映像信号が加えられ、その全部または一部の映像信号を表示」する「表示部109」、及び「ハーフミラー110」は、使用者である装着者に外部の様子ではない映像を視認させるためのものであるから、本願補正発明における「使用者に虚像を視認させるための画像表示部」に相当する。

エ 引用発明における「コンピュータ2からの映像信号106を制御して、表示部109で表示するか否かを制御」する「表示制御回路105」、及び「複数のバックライト108の点灯/非点灯を制御」する「バックライトドライブ回路107」は、「表示部109」及び「複数のバックライト108」に接続され、映像の表示を制御するから、本願補正発明における「前記画像表示部と接続され、前記画像表示部による画像表示を制御する制御部」に相当する。

オ 引用発明の「ジャイロを用いて頭の角度を検出する検出手段」が取得する、「ジャイロセンサ201から出力され」る「角速度」の情報は、頭に装着される頭部装着型表示装置に設けられた「複数のバックライト108」、「表示部109」、及び「ハーフミラー110」の向きの変化を示す情報であるともいえる。また、引用発明の「ジャイロを用いて頭の角度を検出する検出手段」は、「角速度の検出信号を角度情報に変換」し、「ややうつむき」、「かなりうつむき」の状態を検出するから、変化を示す情報である角速度を用いて、頭部装着型表示装置(に設けられた「複数のバックライト108」、「表示部109」、及び「ハーフミラー110」)を装着した者の一定量を超える頭の動きを検知するといえる。そうすると、引用発明における「ジャイロを用いて頭の角度を検出する検出手段」は、本願補正発明における「前記画像表示部の向きの変化を示す変化情報を取得し、前記変化情報を用いて、前記画像表示部を装着した使用者の一定量を超える頭の動きを検知する検知部」に相当する。

カ 引用発明の「ジャイロを用いて頭の角度を検出する検出手段」において、「積分回路204の出力は初期化信号206が入力された時にゼロとなり、その後角度変位に応じた検出信号205を出力」し、初期化信号206が入力された時を基準としてその後の角度変位を検出するから、「初期化信号206」は頭の角度・向きの変化を検出する際の基準となる初期位置を設定するための信号であり、その後初期位置に対する変化を示す情報を取得しているといえる。そして、上記オで検討したことも踏まえると、引用発明における「ジャイロを用いて頭の角度を検出する検出手段」と、本願補正発明における「前記画像表示部の加速度に基づいて、前記画像表示部を叩く動作を検知した場合に、前記画像表示部の向きの変化を検出する際の基準となる位置である初期位置を設定し、前記初期位置に対する前記変化情報を取得し、前記変化情報を用いて、前記一定量を超える頭の動きを検知」する「検知部」とは、共に、「前記画像表示部の向きの変化を検出する際の基準となる位置である初期位置を設定し、前記初期位置に対する前記変化情報を取得し、前記変化情報を用いて、前記一定量を超える頭の動きを検知」する「検知部」である点で共通する。

キ 引用発明においては、「うつむき角度検出手段の検出結果が「ややうつむき」の状態に対しては、表示は上半分だけで下半分は素通しになり、例えばコンピュータのキーボードが覗け、うつむき角度検出手段の検出結果が「かなりうつむき」の状態に対しては表示は完全にされなくなり、外界の例えばキーボードが完全に素通しで見えるようになり、使用者の頭部の位置に応じて表示画面の映像表示部分と外光の透過部分との割合いが変化する」から、「ややうつむき」の状態、「かなりうつむき」の状態という一定量を超える頭の動きが検知された場合に、「複数のバックライト108」、「表示部109」、及び「ハーフミラー110」が視認させる映像が見えなくなる、すなわち、映像の視認性を低下させるといえる。また、引用発明においては、映像の視認性が低下させるために、「バックライトはバックライトドライブ回路によって全面点灯、上半分の点灯、全面消灯の3つの切り替えが行え、表示パネルは表示制御回路によって全面表示、上半分の表示、全面非表示の3つの切り替えが行え」るから、「表示制御回路105」及び「バックライトドライブ回路107」は、「複数のバックライト108」及び「表示部109」の輝度を調整し、又は、「複数のバックライト108」及び「表示部109」により生成される映像である画像の光を調整するといえる。そうすると、引用発明における「表示制御回路105」及び「バックライトドライブ回路107」は、本願補正発明における「前記一定量を超える頭の動きが検知された場合に、前記虚像の視認性を低下させるように、前記画像光生成部の輝度を調整し、または、前記画像光生成部により生成される前記画像光を調整する」「制御部」に相当する。

以上の関係を整理すると、両者の一致点及び相違点は、以下の通りである。

(一致点)
「頭部装着型表示装置であって、
画像を表す画像光を生成し射出させる画像光生成部と、射出された前記画像光を使用者の眼に導く導光部と、を有し、使用者に虚像を視認させるための画像表示部と、
前記画像表示部と接続され、前記画像表示部による画像表示を制御する制御部と、
前記画像表示部の向きの変化を示す変化情報を取得し、前記変化情報を用いて、前記画像表示部を装着した使用者の一定量を超える頭の動きを検知する検知部と、
を備え、
前記検知部は、
前記画像表示部の向きの変化を検出する際の基準となる位置である初期位置を設定し、前記初期位置に対する前記変化情報を取得し、前記変化情報を用いて、前記一定量を超える頭の動きを検知し、
前記制御部は、
前記一定量を超える頭の動きが検知された場合に、前記虚像の視認性を低下させるように、前記画像光生成部の輝度を調整し、または、前記画像光生成部により生成される前記画像光を調整する、頭部装着型表示装置。」

(相違点)
本願補正発明では、「検知部」が「前記画像表示部の加速度に基づいて、前記画像表示部を叩く動作を検知した場合に、前記画像表示部の向きの変化を検出する際の基準となる位置である初期位置を設定」するのに対し、引用発明では、「ジャイロを用いて頭の角度を検出する検出手段」が「初期化信号206が入力された時に」「積分回路204の出力」を「ゼロと」するが、初期化信号が表示装置を叩く動作を検知した場合に入力されるのかが明らかでない点。

4 判断
上記相違点について検討する。
(1)周知技術
引用例3には「ユーザの頭部に装着される撮像表示装置1を側面側からコツコツと軽く叩くといったことを、加速度センサで検知し、横方向の加速度が一定値を越えたときにユーザの操作として認識する」ことが記載されている(上記「2 引用例記載の事項・引用発明」「(3)引用例3」「イ」参照。)。また、引用例4には「ユーザの頭部に装着される表示装置1を側面側からコツコツと軽く叩くといったことを、加速度センサで検知し、横方向の加速度が一定値を越えたときにユーザの操作として認識する」ことが記載されている(上記「2 引用例記載の事項・引用発明」「(4)引用例4」「イ」参照。)。
そうすると、「ユーザの頭部に装着される表示装置の加速度に基づいて、表示装置を叩く動作を検知した場合に、ユーザの操作があったと認識すること」は、本願出願前の周知技術であると認められる。

(2)基準となる位置であるなど特定の状態であることを人間の操作により装置に認識させることは、本願出願前から広く一般に行われている(必要であれば、引用例2の記載(上記「2 引用例記載の事項・引用発明」「(2)引用例2」「イ」)を参照されたい。)から、引用発明においても、基準となる初期位置を装置に設定し、認識させる初期化信号206を人間の操作により発生させることは、当業者であれば普通に行うことである。また、上記(1)のように、「ユーザの頭部に装着される表示装置の加速度に基づいて、表示装置を叩く動作を検知した場合に、ユーザの操作があったと認識すること」は、本願出願前の周知技術であるところ、引用発明において、当該周知技術を適用し、表示装置の加速度に基づいて、表示装置を叩く動作を検知した場合に、人間であるユーザの操作があったと認識し、初期化信号206を発生するようにすることは、いずれもユーザの頭部に装着される表示装置に関する技術であるから、当業者であれば容易になし得ることである。
また、本願補正発明の作用効果も、引用発明及び周知技術から当業者が予測可能なものであって格別のものではない。

したがって、本願補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5 むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし10に係る発明は、補正1によって補正された明細書、特許請求の範囲及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に係る発明は次のとおりである。

「頭部装着型表示装置であって、
画像を表す画像光を生成し射出させる画像光生成部と、射出された前記画像光を使用者の眼に導く導光部と、を有し、使用者に虚像を視認させるための画像表示部と、
前記画像表示部と接続され、前記画像表示部による画像表示を制御する制御部と、
前記画像表示部の向きの変化を示す変化情報を取得し、前記変化情報を用いて、前記画像表示部を装着した使用者の一定量を超える頭の動きを検知する検知部と、
を備え、
前記検知部は、
予め定められたトリガーの発生に応じて、前記画像表示部の向きの変化を検出する際の基準となる位置である初期位置を設定し、前記初期位置に対する前記変化情報を取得し、前記変化情報を用いて、前記一定量を超える頭の動きを検知し、
前記制御部は、
前記一定量を超える頭の動きが検知された場合に、前記虚像の視認性を低下させるように、前記画像光生成部の輝度を調整し、または、前記画像光生成部により生成される前記画像光を調整する、頭部装着型表示装置。」(以下、「本願発明」という。)

2 引用例記載の事項・引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された発明は、上記「第2 補正却下の決定」「2 引用例記載の事項・引用発明」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、本願補正発明の「前記画像表示部の加速度に基づいて、前記画像表示部を叩く動作を検知した場合に」という具体的に限定されていた事項を「予め定められたトリガーの発生に応じて」としたものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項をすべて含み、さらに他の発明特定事項で限定したものに相当する本願補正発明が、上記「第2 補正却下の決定」「3 対比」及び「4 判断」に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-03-10 
結審通知日 2016-03-15 
審決日 2016-03-28 
出願番号 特願2011-66393(P2011-66393)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G09G)
P 1 8・ 121- Z (G09G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 橋本 直明  
特許庁審判長 酒井 伸芳
特許庁審判官 堀 圭史
関根 洋之
発明の名称 頭部装着型表示装置および頭部装着型表示装置の制御方法  
代理人 特許業務法人明成国際特許事務所  

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