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審決分類 |
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 H04Q 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04Q 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04Q |
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管理番号 | 1314824 |
審判番号 | 不服2015-11835 |
総通号数 | 199 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2016-07-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2015-06-23 |
確定日 | 2016-05-17 |
事件の表示 | 特願2010-186287「ネットワークを介して作動状態変更お知らせが可能なデバイス及びその通信方法」拒絶査定不服審判事件〔平成23年 3月 3日出願公開,特開2011- 45083〕について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は,平成22年8月23日(パリ条約による優先権主張 2009年8月21日 大韓民国,2009年10月30日 大韓民国)の出願であって,平成26年7月4日付けで拒絶理由が通知され,同年10月8日付けで手続補正され,平成27年2月18日付けで拒絶査定がなされ,これに対し,同年6月23日に拒絶査定不服の審判が請求されるとともに,同日付けで手続補正されたものである。 第2 補正却下の決定 [補正却下の決定の結論] 平成27年6月23日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.本願補正と補正後の発明 上記手続補正(以下「本件補正」という。)は,本件補正前の平成26年10月8日付けで手続補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された 「 ユーザが使用することができ,ネットワーク通信が可能な第1デバイス及び少なくとも1つのデバイスを含むデバイス間のネットワークを形成する段階と, 前記第1デバイスの作動状態が変更されれば,前記第1デバイスから,前記デバイス間のネットワークのうち,前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つのデバイスを検索する信号を受信する段階と, 前記ユーザが現在使用中であることを表す信号を前記第1デバイスに伝送する段階と, 前記第1デバイスから,前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つのデバイスが,前記第1デバイスの作動状態変更についての情報を受信する段階と, 前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つのデバイスのそれぞれのディスプレイ部に,前記第1デバイスの作動状態変更についての情報を表示する段階と,を含むことを特徴とする他デバイス状態変更お知らせ方法。」 という発明(以下「本願発明」という。)を 「 ユーザが使用することができ,ネットワーク通信が可能な第1デバイス及び少なくとも1つのデバイスを含むデバイス間のネットワークを形成する段階と, 前記第1デバイスの作動状態が変更されれば,前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つの第2デバイスを検索する段階と, 前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つの第2デバイスが,前記第1デバイスの作動状態変更についての情報を受信する段階と, 前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つの第2デバイスのそれぞれのディスプレイ部に,前記第1デバイスの作動状態変更についての情報を表示する段階と,を含み, 前記少なくとも1つの第2デバイスを検索する段階は,前記第1デバイスの作動状態が変更された後所定時間の間前記ユーザからの入力を待機する段階と, 前記所定時間後,前記デバイス間のネットワークのうち,前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つの第2デバイスを検索する段階を含むことを特徴とする他デバイス状態変更お知らせ方法。」 という発明(以下「補正後の発明」という。)に変更する補正(以下「請求項1補正」という。)を含むものである。 2.補正の適否 (1)新規事項の有無及びシフト要件 本件補正は,願書に最初に添付した明細書,特許請求の範囲及び図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり,特許法第17条の2第3項の規定に適合する。 また,本件補正は,その補正前に受けた拒絶理由通知において特許をすることができないものか否かについての判断が示された発明と,その補正後の特許請求の範囲に記載される事項により特定される発明とが,特許法第37条の発明の単一性の要件を満たしていないとまではいえないので,特許法第17条の2第4項の規定に適合する。 (2)補正の目的要件 請求項1補正は,補正前の 「前記第1デバイスの作動状態が変更されれば,前記第1デバイスから,前記デバイス間のネットワークのうち,前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つのデバイスを検索する信号を受信する段階」 を,補正後の 「前記第1デバイスの作動状態が変更されれば,前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つの第2デバイスを検索する段階」,及び 「前記少なくとも1つの第2デバイスを検索する段階は,前記第1デバイスの作動状態が変更された後所定時間の間前記ユーザからの入力を待機する段階と, 前記所定時間後,前記デバイス間のネットワークのうち,前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つの第2デバイスを検索する段階を含む」 に変更する補正(以下「補正1」という。)と,補正前の 「前記第1デバイスから,前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つのデバイスが,前記第1デバイスの作動状態変更についての情報を受信する段階」 を,補正後の 「前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つの第2デバイスが,前記第1デバイスの作動状態変更についての情報を受信する段階」 に変更する補正(以下「補正2」)と,補正前の 「前記ユーザが現在使用中であることを表す信号を前記第1デバイスに伝送する段階」 を,削除する補正(以下「補正3」という。)とを含む。 上記補正1は,「第1デバイスの作動状態が変更され」た場合における動作が,補正前は,「第1デバイスから前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つのデバイスを検索する信号を受信する」ものであり,「検索」の手段を特定する事項として「前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つのデバイスを検索する信号」を受信することが具体的に特定されていたのに対し,補正後は,当該「検索」の手段を特定する事項が削除されている。 また,上記補正2は,「前記第1デバイスの作動状態変更についての情報」の受信元として,補正前は,「第1デバイス」が特定されていたのに対し,補正後は,当該受信元を特定するための事項が削除されている。 また,上記補正3は,補正前の「前記ユーザが現在使用中であることを表す信号を前記第1デバイスに伝送する段階」との事項を削除するものである。 よって,請求項1補正は,発明特定事項を削除することにより発明を拡張するものであって,特許請求の範囲の限定的減縮を目的としたものではなく,かつ,誤記の訂正,明りょうでない記載の釈明又は請求項の削除のいずれをも目的としたものでもないことは明らかである。 したがって,請求項1補正を含む本件補正は,特許法第17条の2第5項(補正の目的)のいずれの規定にも適合していない。 (3)独立特許要件 仮に,請求項1補正を含む本件補正が,特許請求の範囲の限定的減縮を目的としたものである場合に,補正後の発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかどうかについても検討する。 ア 補正後の発明 上記「1.本願補正と補正後の発明」の項で認定したとおりである。 イ 引用発明 (ア)引用発明1 原審の拒絶理由に引用された,本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開2002-369257号公報(以下「引用例1」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。(下線部は,強調のために合議体が付加した。以降の記載においても同様。) a.「【0029】図3において,携帯電話機100に公衆網からの着信がなされると,公衆無線制御部103は着信信号を制御部120に出力する(1)。その着信信号を取得した制御部120は,着信通知の出力が可能な外部機器の探索を要求するための機器要求情報を機器発見部115に出力する(2)。すると,機器発見部115は外部機器を探索するための処理を行う。 【0030】この処理により,短距離無線制御部110及び発信器111を介して機器問い合わせ情報が,例えば,Bluetoothのプロトコルに従って当該携帯電話機100の周囲に送信される(3)。この携帯電話機100の周囲に存在するステレオ装置201及びテレビ装置202(実際にはそれらのオーディオ装置に搭載された無線機器)がその機器問い合わせ情報を受信すると,それらのオーディオ装置201,202は,Bluetoothのプロトコルに従って機器応答情報を携帯電話機100に送信する(4)。 【0031】この機器応答情報には,例えば,そのオーディオ機器が出力可能なメディアの種類(画像,映像,音声,文字,光,振動等)に関する情報,そのオーディオ機器の現在の動作状態(オン状態,オフ状態,再生中,停止中など)に関する情報,及びそのオーディオ機器で再生されるメディアの品質(低品質,中品質,高品質)に関する情報が含まれる。 【0032】このようにステレオ装置201及びテレビ装置202からの機器応答情報を受信器112が受信すると,その機器応答情報は短距離無線制御部110及び機器発見部115を介して制御部120に供給される(5)。制御部120は,各オーディオ装置(ステレオ装置201,テレビ装置202)からの機器応答情報に基づいて着信通知を出力するための機器を選択する(6)。この機器選択のための処理は,例えば,図4に示す手順に従って行われる。 【0033】図4において,まず,各オーディオ装置から送信された機器応答情報に含まれる動作状態に関する情報に基づいて,メディア(音楽,映像など)の再生状態(オン状態で,再生中)にある機器が選択される(S61)。次に,このように選択された各機器のうちから,機器応答情報に含まれるメディアの種類に関する情報に基づいて,ユーザプロファイル123に設定されたメディアの優先度に従って,より優先度の高いメディアの出力が可能となる機器が選択される(S62)。更に,上記のようにして選択された機器のうちから,機器応答情報に含まれるメディアの品質に関する情報に基づいて,メディアの再生品質のより良好な機器が選択される(S63)。 【0034】なお,上記のように異なった基準に従って3段階の外部機器選択の処理(S61,S62,S63)が行われるが,その途中で選択された外部機器が1つとなったときには,その時点でその選択の処理は終了される。また,3段階の外部機器選択の処理が終了した時点で選択された外部機器が複数ある場合,更に,その中から,任意の1つが選択される。 【0035】上記のような手順に従って単一の外部機器,例えば,ステレオ装置201が着信通知を出力すべき外部機器として選択されると,制御部120は,短距離無線制御部110及び発信器111を介してその選択されたステレオ装置201に対して接続要求を行う(7)。その接続要求をステレオ装置201が受信すると,ステレオ装置201はその接続要求に対する応答を送信する(8)。ステレオ装置201からの上記応答を受信器112及び短距離無線制御部110を介して制御部120が受信すると,携帯電話機100とステレオ装置201とは,所定の短距離無線プロトコル(例えば,Bluetooth)に従ったデータ通信が可能な状態となる。 【0036】上記のように着信通知を出力すべき外部機器としてステレオ装置201を選択した制御部120は,そのステレオ装置201からの機器応答情報に含まれる出力可能なメディアの種類(音声)に関する情報に基づいてその着信通知のための情報の種類を決定する。この場合,その種類として音声が決定される。すると,制御部120は,着信信号に含まれる発信者番号(電話番号)に対応して着信データ管理部121にて管理される各種着信通知のための情報(着信メロディ,発信者の名前,発信者の写真等)から上記のように決定された種類(音声)に対応した着信メロディを着信データ蓄積部122から読み出す。そして,制御部120は,その着信メロディを着信データとして短距離無線制御部110及び発信器111を介してステレオ装置201に送信する(9)。 【0037】このように携帯電話機100から送信される着信データをステレオ装置201が受信すると,ステレオ装置201は,現在再生中の音楽に重畳させて着信メロディーの再生を行う。このステレオ装置201にて音楽を聞いていたユーザは,その音楽に重畳される着信メロディーによって携帯電話機100に着信があったことを知ることができる。 【0038】なお,上記の例では,発信者の電話番号に対応して管理される着信メロディーを着信データとして外部機器に転送するようにしたが,発信者の電話番号にかかわらず常に同じ着信メロディーや着信音信号を着信データとして外部機器に転送するようにしてもよい。 【0039】更に,着信通知の出力機器として図1に示すテレビ装置202が選択されると,携帯電話機100から,例えば,発信者の電話番号,発信者の名前,発信者の写真が着信データとしてそのテレビ装置202に送信される。この場合,テレビ装置202は,その着信データを受信すると,表示中の映像に重畳させて,発信者の電話番号,発信者の名前,発信者の写真を表示する(図1参照)。これにより,テレビ装置202の映像を観ていたユーザは,その表示情報により携帯電話機100への着信を知ることができる。 【0040】上記のような携帯電話機100の着信通知方法によれば,携帯電話機100の周囲に存在するオーディオ装置(ステレオ装置201,テレビ装置202)から着信通知を出力すべきオーディオ装置を決定し,その決定されたオーディオ装置に着信通知に係るデータを転送することから,そのオーディオ装置にて再生できるメディア(音声,画像,映像,文字)にて着信を通知することができる。 【0041】このように,携帯電話機100の周囲に存在する機器を利用して着信通知の出力を行うようにしているので,携帯電話機100の周囲の状況に応じて種々の態様にて着信通知を行うことができるようになる。 【0042】また,着信通知を出力すべき外部機器を決定するための条件が記述された上記ユーザプロファイル123の内容を変更することにより,ユーザの希望に即した機器からの着信通知を行うことが可能となる。 【0043】更に,メディアの再生中となるオーディオ装置が着信通知を出力すべき機器として選択されることから(図4のステップS61),ユーザは,そのオーディオ装置から再生されるメディア(音声,映像など)を鑑賞している際でも,確実に携帯電話に対する着信を知ることができる。」(第5?6ページ) 以下,前記a.の記載及びこの分野における技術常識を考慮しつつ,引用例1に記載された技術事項について検討する。 (a)前記a.の【0029】及び【0030】において,携帯電話機と,ステレオ装置及びテレビ装置等のオーディオ装置が,ユーザが使用することができるデバイスであることは自明であり,携帯電話機を「第1デバイス」,オーディオ装置を「少なくとも1つの(第2)デバイス」などと称することは任意である。また,上記a.の【0029】,【0030】および【0035】より,これらのデバイスは,Bluetoothのプロトコルにより通信が可能である。そして,Bluetoothのプロトコルにより通信を開始するためには,最初にデバイス間でデバイス間で通信リンクを形成する必要があることは技術常識である。 すると,引用例1には,「ユーザが使用することができ,通信が可能な第1デバイス及び少なくとも1つのデバイスを含むデバイス間の通信リンクを形成する段階」が記載されているといえる。 (b)前記a.の【0029】からして,携帯電話機である第1デバイスは,着信がなされると,着信通知を出力する外部機器の探索を行っている。また,上記a.の【0030】,【0033】及び【0043】からして,携帯電話機が探索している,着信通知を出力する外部機器は,オーディオ装置である少なくとも1つの(第2)デバイスであって,かつ,メディアの再生状態にあるものである。 また,前記a.の【0039】の記載「これにより,テレビ装置202の映像を観ていたユーザは,その表示情報により携帯電話機100への着信を知ることができる。」及び【0043】の記載「更に,メディアの再生中となるオーディオ装置が着信通知を出力すべき機器として選択されることから(図4のステップS61),ユーザは,そのオーディオ装置から再生されるメディア(音声,映像など)を鑑賞している際でも,確実に携帯電話に対する着信を知ることができる。」,並びに,メディアが再生されているときには,ユーザは,当該再生されているメディアを現在鑑賞している可能性が高いことは明らかであることを考慮すると,引用発明1において,メディアの再生状態にある少なくとも1つの第2デバイス」は,ユーザが現在使用中であることが期待されているものといえる。よって,引用例1において,携帯電話機が探索しているものは,「ユーザが現在使用中である少なくとも1つの第2デバイス」であるといえる。すると,引用例1には,「第1デバイスに着信がなされると,ユーザが現在使用中である少なくとも1つの第2デバイスを探索する段階」が記載されているといえる。 (c)前記a.の【0036】及び【0039】には,着信通知を出力する外部機器としてテレビ装置が選択されると,着信通知のための着信データ(例えば,発信者の電話番号,発信者の名前,発信者の写真)が,携帯電話機からテレビ装置に送信されることが記載されており,前記(b)を考慮すると,引用例1には,「ユーザが現在使用中である少なくとも1つの第2デバイスが,前記第1デバイスの着信通知のための着信データを受信する段階」が記載されているといえる。 (d)前記a.の【0039】には,テレビ装置が,着信データを受信すると,表示中の映像に重畳させて,着信データ(発信者の電話番号,発信者の名前,発信者の写真)を表示することが記載されている。そして,テレビ装置が,表示を行うための表示手段を備え,当該表示手段に,表示を行うことは自明であり,かつ,表示手段を「ディスプレイ部」と称することは任意である。 すると,引用例1には,前記(b)を考慮すると,「前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つの第2デバイスのそれぞれのディスプレイ部に,前記第1デバイスの着信通知のための着信データを表示する段階」が記載されている。 (e)前記a.の【0030】,【0031】及び【0033】からして,オーディオ装置は,携帯電話機から,機器問い合わせ情報をBluetoothのプロトコルにより受信した場合に,機器応答情報をBluetoothのプロトコルにより携帯電話機に送信し,携帯電話機は,オーディオ装置から受信した機器応答情報に含まれる動作状態に関する情報に基づいて,メディアの再生状態にある機器を選択している。 前記(a)及び(b)を考慮すると,携帯電話機(第1デバイス)は,自身との間でリンクが形成されたオーディオ装置(第2デバイス)のうち,ユーザが現在使用中である少なくとも1つの第2デバイスを探索しているといえる。 すると,引用例1には,「前記少なくとも1つの第2デバイスを探索する段階は,第1デバイスとの間で通信リンクが形成された少なくとも1つの第2デバイスのうち,ユーザが現在使用中である少なくとも1つの第2デバイスを探索する段階」が記載されている。 (f)前記(b)及び(e)から,引用例1には,「第1デバイスにおける着信を第2デバイスに通知する方法」が記載されている。 したがって,前記(a)ないし(f)より,引用例1には,以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認める。 「 ユーザが使用することができ,通信が可能な第1デバイス及び少なくとも1つのデバイスを含むデバイス間の通信リンクを形成する段階と, 第1デバイスに着信がなされると,前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つの第2デバイスを探索する段階と, 前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つの第2デバイスが,前記第1デバイスの着信通知のための着信データを受信する段階と, 前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つの第2デバイスのそれぞれのディスプレイ部に,前記第1デバイスの着信通知のための着信データを表示する段階と,を含み, 前記少なくとも1つの第2デバイスを探索する段階は,第1デバイスとの間で通信リンクが形成された少なくとも1つの第2デバイスのうち,前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つの第2デバイスを探索する段階を含むことを特徴とする第1デバイスにおける着信を第2デバイスに通知する方法。」 (イ)引用発明2 本願の優先権主張の日前に頒布された刊行物である特開2005-33635号公報(以下「引用例2」という。)には,図面とともに以下の事項が記載されている。 a.「【0007】 本発明の目的は,面倒な設定をすることなく,携帯電話機でも近傍の固定電話機でも着信および呼び出しが可能で,さらに,携帯電話機の設定や状況に応じて固定電話機で呼び出すかどうかの判別を行い,不必要に固定電話機に転送することがないようにした携帯電話機,固定電話機および電話システムならびにその呼出方法を提供することにある。」(第4ページ) b.「【0022】 本発明の第1の実施の形態を示す図1を参照すると,携帯電話機110は基地局100と無線回線で接続され,固定電話機120は有線電話網130と有線回線で接続されている。携帯電話機110は,基地局100と無線信号の送受信を行う無線部A111と,固定電話機120と無線通信を行う無線部B112と,ユーザが外部から操作を行う操作部114と,ユーザに呼び出しを知らせる手段であるスピーカ115,LED116,バイブレータ117と,これら各部を制御する中央制御部113とを有する。固定電話機120は,有線電話網と接続を行う接続部121と,携帯電話機110と無線通信を行う無線部C122と,ユーザが外部から操作を行う操作部124と,ユーザに呼び出しを知らせる手段であるスピーカ125と,これら各部を制御する中央制御部123とを有する。携帯電話機110の無線部B112と固定電話機120の無線部C122間は,例えば自宅内で,無線LANやBluetoothなどの近距離無線伝送方式でデータの送受信を行う。 【0023】 図1において,携帯電話機110は,基地局100より着信が入ると,無線部A111を介し中央制御部113へ着信信号を送信する。中央制御部113は,着信音やバイブレータ,LED(発光ダイオード)点滅など,予め設定された手段で呼び出しを行う。このとき,中央制御部113はユーザが呼び出しに気付きにくい状況,例えばバイブレータのみまたはLED点滅のみの設定や,呼出回数が所定回数を超えることを検出した場合,携帯電話機110に着信が入ったことを知らせる信号を,無線部B112を介して固定電話機120に送信する。それを受けた固定電話機120は,携帯電話機に着信が入ったことを中央制御部123へ伝える。中央制御部123はスピーカ125で呼出音を鳴らす。」(第6?7ページ) c.「【0025】 図2(b)は図1における固定電話機の中央制御部の本発明関連部分を示すブロック図である。中央制御部123は,呼出制御部1235と,応答端末判定部1236と,応答信号送受信制御部1237と,通話路設定部1238とを備える。呼出制御部1235は携帯電話機からの着信通知を受信した場合には自固定電話機を呼び出す。応答端末判定部1236はこの呼出時に携帯電話機側および固定電話機側のいずれが応答したかを判定する。応答信号送受信制御部1237は,応答端末判定部1236の判定結果で固定電話機が応答した場合には無線部C122を介し携帯電話機に対しそのことを示す応答信号を送信しあるいは携帯電話機が応答した場合にはそのことを示す応答信号を受信すると共に呼び出しを停止させる。通話路設定部1238は応答信号の送受信が完了した後に発信者との通話路を設定する。 【0026】 図3は本発明の第1の実施の形態における呼出動作を説明するためのフローチャートである。以下に,図1および図3を参照して動作を説明する。 【0027】 携帯電話機110において,着信を受けたときの呼出方法は携帯電話機のユーザにより任意に設定されている。また,数種の呼出方法の中で,「手元に携帯電話機がない場合,呼び出しに気付きにくい」とする呼出方法を「固定呼出設定」として予め携帯電話機110に設定しておく。基地局100より携帯電話機110へ着信が入ると,無線部A111を介し,中央制御部113へ着信信号を送信する。着信信号を受けた中央制御部113は,それを検出し(ステップ31:S31と略称,以下同様),スピーカ115,LED116,バイブレータ117など予め設定された手段により呼び出しを行う(S32)。このとき中央制御部113は,呼出方法が「固定呼出設定」であるかどうかを判別する(S33)。「固定呼出設定」であると判断した場合,次に,呼出回数が所定回数(あるいは所定時間でもよい)以上であるかどうかを中央制御部113で判断する(S34)。呼出回数が所定回数(時間)以上であった場合,携帯電話機110に着信が入ったことを知らせる信号を,無線部B112を介して固定電話機120の無線部C122に送信する。携帯電話機110の無線部B112と固定電話機120の無線部C122が通信圏内であると(S35),固定電話機120は上述した携帯着信の信号を受信し,固定電話機120の中央制御部123へ携帯の着信を伝える(S36)。中央制御部123は,スピーカ125で呼出音を鳴らし携帯電話機110の着信を知らせる。一方,携帯電話機の呼出方法が「固定呼出設定」でない場合や,呼び出しが所定回数(時間)に満たない場合,外出時など固定電話機120が通信圏外であった場合は,携帯電話機110のみで呼び出しを行う(S38)。このとき,固定電話機120は有線回線と接続された通常の固定電話機の待ち受け状態となる。 【0028】 次に,呼び出しを確認し応答する場合の動作を図4のフローチャートを参照して説明する。携帯電話機のみの呼び出しの場合は,通常の携帯電話機の着信応答と同様である。このとき,固定電話機120は通常の有線電話網の待ち受け状態となる。携帯電話機110の着信を受け,携帯電話機110および固定電話機120の両方で呼び出している場合(S401),携帯電話機110で着信応答すると,中央制御部113がそれを検出し(S402),無線部B112を介して固定電話機120へ着信応答したことを知らせる応答信号を送信する(S403)。固定電話機120の中央制御部123が携帯電話機110での応答信号を受信すると,固定電話機120での呼び出しを終了し(S404),無線部B112-C122の通信を終了する(S405)。そして,携帯電話機110で発信者との通話を行う(S406)。このとき,固定電話機120は通常の有線回線の待ち受け状態となる。一方,固定電話機120で応答すると,中央制御部123が固定電話機で応答したことを検出し,無線部C122を通して携帯電話機へ応答信号を送信する(S407)。携帯電話機110の中央制御部113がこの応答信号を受信すると,携帯電話機での呼び出しを終了する(S408)。そして,無線部B112-C122を介して,基地局100と固定電話機120の間で通信を行い(S409),固定電話機120で発信者との通話を行う(S410)。」(第7?8ページ) 前記a.ないしc.及びこの分野における技術常識を考慮すると,引用例2には,以下の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認める。 「携帯電話機が,着信を受けたとき,予め設定された手段により呼び出しを行い,呼び出しが所定時間以上となると,着信が入ったことを知らせる信号(携帯着信の信号)をBluetoothなどの近距離無線伝送方式で固定電話機に送信し,固定電話機は,携帯着信の信号を受信すると,スピーカから呼出音を鳴らして携帯電話機の着信を知らせる,不必要に固定電話機を呼び出さないようにした,呼出方法」 ウ 対比・判断 (ア)対比 a.通信の技術分野において,「ネットワーク」は,通信を行う主体間の通信リンクから構成されていることは技術常識であるから,補正後の発明において,「ネットワーク通信」及び「デバイス間のネットワークを形成する」ことは,「通信」及び「デバイス間の通信リンクを形成する」ことを含んでいる。 よって,引用発明1の「ユーザが使用することができ,通信が可能な第1デバイス及び少なくとも1つのデバイスを含むデバイス間のリンクを形成する段階」と,補正後の発明の「ユーザが使用することができ,ネットワーク通信が可能な第1デバイス及び少なくとも1つのデバイスを含むデバイス間のネットワークを形成する段階」とは,「ユーザが使用することができ,通信が可能な第1デバイス及び少なくとも1つのデバイスを含むデバイス間の通信リンクを形成する段階」である点において共通する。 b.引用発明1において,「第1デバイスに着信がなされる」ときには,着信がない状態から,着信がある状態に,第1デバイスの状態が変化することを意味している。また,第1デバイスは,着信がない状態においては,着信を待ち受けたり,その他の処理を実行するように作動し,着信がある状態には,着信音を鳴動させたり,その旨の表示をするように作動することは技術常識であるから,着信により,作動状態が変化しているといえる。そうすると,引用発明1において,「第1デバイスに着信がなされると」は,補正後の発明の「第1デバイスの作動状態が変更されれば」に対応している。 c.「検索」と「探索」は同義である。 よって,前記b.を考慮すると,引用発明1の「第1デバイスに着信がなされると,前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つの第2デバイスを探索する段階」は,補正後の発明の「第1デバイスの作動状態が変更されれば,前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つの第2デバイスを検索する段階」に相当する。 d.引用発明1の「第1デバイスの着信通知のための着信データ」は,第1デバイスに着信があったこと,すなわち,着信がない作動状態から着信がある作動状態に変更したことを通知するためのデータであるから,前記b.を考慮すると,補正後の発明の「第1デバイスの作動状態変更についての情報」に相当する。 よって,引用発明1の「前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つの第2デバイスが,前記第1デバイスの着信通知のための着信データを受信する段階」は,補正後の発明の「前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つの第2デバイスが,前記第1デバイスの作動状態変更についての情報を受信する段階」に相当する。 e.前記d.を考慮すると,引用発明1の「前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つの第2デバイスのそれぞれのディスプレイ部に,前記第1デバイスの着信通知のための着信データを表示する段階」は,補正後の発明の「前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つの第2デバイスのそれぞれのディスプレイ部に,前記第1デバイスの作動状態変更についての情報を表示する段階」に相当する。 f.補正後の発明に係る「前記デバイス間のネットワークのうち,前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つの第2デバイスを検索する段階」において,第2デバイスの探索範囲が,第1デバイスと直接又は間接的に通信リンクが形成された第2デバイスであることは自明である。 そうすると,前記a.及びc.を考慮すると,引用発明1の「第1デバイスの間でリンクが形成された少なくとも1つの第2デバイスのうち,前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つの第2デバイスを探索する段階」と,補正後の発明の「前記デバイス間のネットワークのうち,前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つの第2デバイスを検索する段階」とは,「第1デバイスの間で通信リンクが形成された少なくとも1つの第2デバイスのうち,前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つの第2デバイスを探索する段階」である点で共通している。 g.「第1デバイス」からみて「第2デバイス」は,「他デバイス」であるから,前記d.を考慮すると,引用発明1に係る「第1デバイスにおける着信を第2デバイスに通知する方法」は,補正後の発明の「他デバイス状態変更お知らせ方法」に相当する。 (イ)一致点・相違点 前記(ア)から,補正後の発明と引用発明1とは,以下の点で一致ないし相違している。 a.一致点 「 ユーザが使用することができ,通信が可能な第1デバイス及び少なくとも1つのデバイスを含むデバイス間の通信リンクを形成する段階と, 前記第1デバイスの作動状態が変更されれば,前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つの第2デバイスを検索する段階と, 前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つの第2デバイスが,前記第1デバイスの作動状態変更についての情報を受信する段階と, 前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つの第2デバイスのそれぞれのディスプレイ部に,前記第1デバイスの作動状態変更についての情報を表示する段階と,を含み, 前記少なくとも1つの第2デバイスを検索する段階は,第1デバイスの間で通信リンクが形成された少なくとも1つの第2デバイスのうち,前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つの第2デバイスを探索する段階を含むことを特徴とする他デバイス状態変更お知らせ方法。」 b.相違点 (a)相違点1 「デバイス間の通信リンクを形成する段階」が,補正後の発明は,各デバイスが「ネットワーク通信が可能」であることを前提に,「デバイスを含むデバイス間のネットワークを形成する段階」であるのに対し,引用発明1は,各デバイスが単に「通信が可能」であり,かつ,「デバイス間のネットワーク」を形成しているかどうか具体的に言及がない点,これに伴い,「第2デバイス」の探索の範囲である「第1デバイスの間で通信リンクが形成された少なくとも1つの第2デバイス」が,補正後の発明は,「デバイス間のネットワーク」を形成するものであるのに対し,引用発明1は,この点について具体的な言及がない点。 (b)相違点2 補正後の発明は,「前記少なくとも1つの第2デバイスを検索する段階」を行うタイミングが,「前記第1デバイスの作動状態が変更された後所定時間の間前記ユーザからの入力を待機」して「前記所定時間後」であるのに対し,引用発明1では,そのような限定がない点。 (ウ)判断 前記(イ)のb.の各相違点について検討する。 a.相違点1について ネットワーク通信が可能なデバイス間でネットワークを形成し,当該ネットワーク内で通信を行うシステムは周知技術である(例えば,特開2004-48280号公報(【0054】,【0079】,図4,図7。)及び特開2003-179545号公報(【0019】,図1。)参照。)から,引用発明1において,上記周知技術を参酌し,各デバイスを「ネットワーク通信」が可能であるものとして,「デバイス間の通信リンク」を,「デバイス間のネットワーク」と称することあるいはそのように構成することは当業者にとって適宜なし得ることである。これに伴い,引用発明1における「第2デバイス」の探索の範囲を,「デバイス間のネットワークのうち」とすることも当業者が自ずとなし得ることである。 b.相違点2について 引用発明1において,第1デバイスに着信がなされたときに,ユーザが,当該着信を直ちに認識できる場合があり,そのような場合には,第2デバイスに着信データを送信することが不必要となることは当業者にとって自明なことである。そして,引用発明2にあるように,「携帯電話機が,着信を受けたとき,予め設定された手段により呼び出しを行い,呼び出しが所定時間以上となると,着信が入ったことを知らせる信号(携帯着信の信号)をBluetoothなどの近距離無線伝送方式で固定電話機に送信し,固定電話機は,携帯着信の信号を受信すると,スピーカから呼出音を鳴らして携帯電話機の着信を知らせる,不必要に固定電話機を呼び出さないようにした,呼出方法」は周知である。 よって,引用発明1において,不必要な着信データの送信を防止するために,引用発明2にあるような周知技術を適用することにより,「第1デバイスの作動状態が変更された後所定時間の間」「ユーザからの入力を待機」して「所定時間後」に「少なくとも1つの第2デバイスを検索する」よう構成することは,当業者が容易に想到し得たことである。 したがって,相違点2を克服することは,当業者にとって格別困難なことではない。 そして,補正後の発明の作用効果も,引用発明1及び引用発明2並びに周知技術から当業者が容易に予測できる範囲のものである。 エ 小括 以上のとおり,補正後の発明は,引用発明1及び引用発明2に基づいて周知技術を勘案することにより当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (3)結語 したがって,本件補正は,特許法第17条の2第5項の規定,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 平成27年6月23日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので,本願発明は,上記「第2 補正却下の決定」の「1.本願発明と補正後の発明」の項で「本願発明」として認定したとおりのものである。 2 引用発明 上記「第2 補正却下の決定」の「2.補正の適否」の「(3)独立特許要件」の「イ 引用発明」の「(ア)引用発明1」の項の,a.及び(a)ないし(f)(以下,この項では「上記(a)」…「上記(f)」と称する。)の検討を援用し,この分野における技術常識を考慮しつつ,引用例1に記載された技術事項についてさらに検討する。 (g)引用例1の【0029】ないし【0031】には,携帯電話機に着信がなされると,着信通知の出力が可能な機器を探索するために,機器問い合わせ情報を携帯電話機の周囲に送信し,機器問い合わせ情報を受信したオーディオ機器は,メディアの再生状態を含む機器応答情報を携帯電話機に送信することが記載されている。当該機器問い合わせ情報は,メディアの再生状態にあるオーディオ機器を探索するためのものであって,信号として周囲に送信されるものであるから,「デバイスを検索する信号」といえる。 また,引用発明1において,「第2デバイス」と認定したもの(引用例1のオーディオ機器)を単に「デバイス」と称することは任意である。 すると,引用例1には,上記(a)及び(e)を考慮すると,「第1デバイスに着信がなされると,前記第1デバイスから,前記第1デバイスとの間で通信リンクが形成された少なくとも1つのデバイスのうち,前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つのデバイスを検索する信号を受信する段階」が記載されている。そして,上記(b)を考慮すると,「ユーザが現在使用中である少なくとも1つのデバイス」は,機器応答情報に含まれるメディアの再生状態として,メディアが再生中であること表す情報,すなわち,ユーザが現在使用中である情報を第1デバイスに伝送しているといえる。よって,引用例1には,「前記ユーザが現在使用中であることを表す信号を前記第1デバイスに伝送する段階」が記載されている。 したがって,上記「第2 補正却下の決定」の「2.補正の適否」の「(2)独立特許要件」の「イ 引用発明」の「(ア)引用発明1」の項並びに前記(g)より,引用例1には,以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認める。 「 ユーザが使用することができ,通信が可能な第1デバイス及び少なくとも1つのデバイスを含むデバイス間の通信リンクを形成する段階と, 前記第1デバイスから,前記第1デバイスとの間で通信リンクが形成された少なくとも1つのデバイスのうち,前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つのデバイスを探索する信号を受信する段階と, 前記ユーザが現在使用中であることを表す信号を前記第1デバイスに伝送する段階と, 前記第1デバイスから,前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つのデバイスが,前記第1デバイスの着信通知のための着信データを受信する段階と, 前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つのデバイスのそれぞれのディスプレイ部に,前記第1デバイスの着信通知のための着信データを表示する段階と,を含むことを特徴とする第1デバイスにおける着信をデバイスに通知する方法。」 3 対比・判断 (1)対比 上記「第2 補正却下の決定」の「2.補正の適否」の「(3)独立特許要件」の「ウ 対比・判断」の「(ア)対比」の項のa.ないしg.(以下,この項では「上記a.」…「上記g.」と称する。)を援用して,本願発明と引用発明とを対比する。 ア 上記a.を考慮すると,引用発明の「ユーザが使用することができ,通信が可能な第1デバイス及び少なくとも1つのデバイスを含むデバイス間の通信リンクを形成する段階」と,本願発明の「ユーザが使用することができ,ネットワーク通信が可能な第1デバイス及び少なくとも1つのデバイスを含むデバイス間のネットワークを形成する段階」とは,「ユーザが使用することができ,通信が可能な第1デバイス及び少なくとも1つのデバイスを含むデバイス間の通信リンクを形成する段階」である点において共通する。 イ 上記c.及びf.を考慮すると,引用発明の「前記第1デバイスから,前記第1デバイスとの間で通信リンクが形成された少なくとも1つのデバイスのうち,前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つのデバイスを探索する信号を受信する段階」と本願発明の「前記第1デバイスの作動状態が変更されれば,前記第1デバイスから,前記デバイス間のネットワークのうち,前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つのデバイスを検索する信号を受信する段階」とは,「前記第1デバイスから,前記第1デバイスとの間で通信リンクが形成された少なくとも1つのデバイスのうち,前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つのデバイスを検索する信号を受信する段階」である点で共通している。 ウ 上記d.より,引用発明の「前記第1デバイスから,前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つのデバイスが,前記第1デバイスの着信通知のための着信データを受信する段階」は,本願発明の「前記第1デバイスから,前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つのデバイスが,前記第1デバイスの作動状態変更についての情報を受信する段階」に相当する。 エ 上記e.より,引用発明の「前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つのデバイスのそれぞれのディスプレイ部に,前記第1デバイスの着信通知のための着信データを表示する段階」は,本願発明の「前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つのデバイスのそれぞれのディスプレイ部に,前記第1デバイスの作動状態変更についての情報を表示する段階」に相当する。 オ 上記g.より,引用発明に係る「第1デバイスにおける着信をデバイスに通知する方法」は,補正後の発明の「他デバイス状態変更お知らせ方法」に相当する。 (2)一致点・相違点 前記(1)から,本願発明と引用発明とは,以下の点で一致ないし相違している。 ア 一致点 「 ユーザが使用することができ,通信が可能な第1デバイス及び少なくとも1つのデバイスを含むデバイス間の通信リンクを形成する段階と, 前記第1デバイスから,前記第1デバイスとの間で通信リンクが形成された少なくとも1つのデバイスのうち,前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つのデバイスを検索する信号を受信する段階と, 前記ユーザが現在使用中であることを表す信号を前記第1デバイスに伝送する段階と, 前記第1デバイスから,前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つのデバイスが,前記第1デバイスの作動状態変更についての情報を受信する段階と, 前記ユーザが現在使用中である少なくとも1つのデバイスのそれぞれのディスプレイ部に,前記第1デバイスの作動状態変更についての情報を表示する段階と,を含むことを特徴とする他デバイス状態変更お知らせ方法。」 イ 相違点 「デバイス間の通信リンクを形成する段階」が,本願発明は,各デバイスが「ネットワーク通信が可能」であることを前提に,「デバイスを含むデバイス間のネットワークを形成する段階」であるのに対し,引用発明は,各デバイスが単に「通信が可能」であり,かつ,「デバイス間のネットワーク」を形成しているかどうか具体的に言及がない点,これに伴い,「デバイス」の探索の範囲である「第1デバイスの間で通信リンクが形成された少なくとも1つのデバイス」が,本願発明は,「デバイス間のネットワーク」を形成するものであるのに対し,引用発明は,この点について具体的な言及がない点。 (3)判断 前記相違点について検討するに,ネットワーク通信が可能なデバイス間でネットワークを形成し,当該ネットワーク内で通信を行うシステムは周知技術である(例えば,特開2004-48280号公報(【0054】,【0079】,図4,図7。)及び特開2003-179545号公報(【0019】,図1。)参照)。 よって,引用発明において,上記周知技術を参酌し,各デバイスを「ネットワーク通信」が可能であるものとして,「デバイス間の通信リンク」を,「デバイス間のネットワーク」と称することあるいはそのように構成することは当業者にとって容易に適宜なし得ることである。これに伴い,引用発明における「デバイス」の探索の範囲を,「デバイス間のネットワークのうち」とすることも当業者が自ずとなし得ることである。 そして,本願発明の作用効果も,引用発明及び周知技術から当業者が容易に予測できる範囲のものである。 4 むすび 以上のとおり,本願発明は,引用発明に基づいて周知技術を参酌することにより当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって,本願は,その余の請求項に論及するまでもなく拒絶すべきものである。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2015-12-15 |
結審通知日 | 2015-12-21 |
審決日 | 2016-01-05 |
出願番号 | 特願2010-186287(P2010-186287) |
審決分類 |
P
1
8・
572-
Z
(H04Q)
P 1 8・ 121- Z (H04Q) P 1 8・ 575- Z (H04Q) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 保田 亨介、須藤 竜也 |
特許庁審判長 |
菅原 道晴 |
特許庁審判官 |
萩原 義則 林 毅 |
発明の名称 | ネットワークを介して作動状態変更お知らせが可能なデバイス及びその通信方法 |
代理人 | 崔 允辰 |
代理人 | 阿部 達彦 |
代理人 | 実広 信哉 |
代理人 | 木内 敬二 |