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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  H01Q
管理番号 1315110
審判番号 無効2014-800193  
総通号数 199 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-07-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2014-11-21 
確定日 2016-05-20 
事件の表示 上記当事者間の特許第4798721号発明「車両用ルーフアンテナ」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 第1.手続の経緯

本件の特許第4798721号についての手続の経緯の概要は、以下のとおりである。

平成20年5月26日 出願(特願2008-136177号)
平成23年8月12日 設定登録
平成26年11月21日 本件無効審判請求
平成27年2月20日 審判事件答弁書
平成27年3月12日 上申書(被請求人)
平成27年3月18日 審理事項通知
平成27年4月14日 口頭審理陳述要領書(被請求人)
平成27年4月17日 口頭審理陳述要領書(被請求人)
平成27年4月23日 口頭審理陳述要領書(請求人)
平成27年5月15日 口頭審理
平成27年5月18日 上申書(被請求人)
平成27年5月25日 上申書(請求人)


第2.本件発明

口頭審理で被請求人は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1における「前記ループパネル」との記載は「前記ルーフパネル」の誤記であることを認めている(この点について争いはない。)ので、本件特許の請求項1乃至3に係る発明(以下、各請求項の番号に対応して「本件発明1」、「本件発明2」、及び「本件発明3」という。)は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1乃至3の記載より以下のとおりのものと認める。

・本件発明1
「【請求項1】
内部にコイルアンテナを配設した合成樹脂製のカバーを、車両のルーフパネルに装着するようにした車両用ルーフアンテナにおいて、
前記カバーの底面開口の周縁部に形成した接合面を、両面粘着テープにより車両のルーフパネルに貼り付けて該カバーを前記ルーフパネルに装着するとともに、
保持筒を前記カバーの天井部から下向きに突設し、前記コイルアンテナの下端部が、前記底面開口より上部に位置するように前記保持筒で前記コイルアンテナを保持したことを特徴とする車両用ルーフアンテナ。」

・本件発明2
「【請求項2】
前記コイルアンテナの下端に接続するブースターアンプ又はアンテナケーブルを係止する係止突部を、前記底面開口より上部に位置するように前記カバーの内側壁部に一体成形したことを特徴とする請求項1に記載の車両用ルーフアンテナ。」

・本件発明3
「【請求項3】
前記カバーは、車両の前方部及び天井部に向かって先細りに形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用ルーフアンテナ。」


第3.請求人の主張

請求人は、「特許4798721号の特許請求の範囲の請求項1?3項に記載された発明についての特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、次のような無効理由を主張している。

1.無効理由1
本件発明1は,甲第1号証に記載された発明に,甲第2号証に記載の先行技術発明,甲第3ないし6号証に記載の先行技術発明,及び甲第8ないし10号証に記載の先行技術発明を組み合わせることにより,出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

2.無効理由2
本件発明2は,本件特許の請求項1に係る発明と同様の理由により,又は,これに加えて甲第7号証に記載された先行技術発明を組み合わせることにより,出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

3.無効理由3
本件発明3は,本件特許の請求項1に係る発明と同様の理由により,又は,これに加えて甲第2号証,甲第8号証及び甲第10号証に記載された先行技術発明を組み合わせることにより,出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。


また、請求人は、証拠方法として甲第1号証?甲第16号証を提出している。

甲第1号証:特開2006-310954号公報

甲第2号証:特表2008-515304号公報

甲第3号証:特開平7-240616号公報

甲第4号証:特開2000-269714号公報

甲第5号証:実開平6-23312号公報

甲第6号証:特開2001-237626号公報

甲第7号証:特開平10-276021号公報

甲第8号証:電子技術情報による2007年10月7日の公知技術情報(甲第8号証のアドレス:http://minkara.carview.co.jp/userid/318926/car/224432/1031547/parts.aspx)

甲第9号証:特許審決公報 無効2011-800054

甲第10号証:次のアドレスをプリントアウトした電子的技術情報
http://minkara.carview.co.jp/userid/318926/car/224432/1031547/parts.aspx

甲第11号証:本件被請求人が平成23年5月16日付にて提出した意見書を補正した手続補正書。

甲第12号証:本件特許第4798721号特許公報

甲第13号証:本件特許第4798721号特許権原簿

甲第14号証の1:本件被請求人による本件特許権行使の事実を示す有限会社グラージオ・シーオー宛て通知書

甲第14号証の2:本件被請求人による本件特許権行使の事実を示す有限会社グラージオ・シーオー宛て通知書への本件請求人発信の回答書

甲第15号証:甲第14号証に示す特許権主張対象である本件請求人実施品の特許第5406795号特許公報

甲第16号証:当該特許出願の審査過程での平成23年7月27日作成「特許メモ」


第4.被請求人の主張

被請求人は審判事件答弁書において、「本審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めている。


第5.当審の判断

1.無効理由1について

(1)本件発明1

上記「第2.」の項で本件発明1として認めたものである。

(2)引用発明及び周知技術

以下の各甲号証に記載された事項から認定される発明、及び周知技術には、無効理由1に用いられていないものもあるが、無効理由1?3において複数の甲号証が重複して用いられるため、当節において各甲号証に記載された事項から、引用発明及び周知技術を纏めて認定する。

ア 甲第1号証に記載された発明について

本件特許出願の日前に頒布された刊行物である甲第1号証(特開2006-310954号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。(下線は当審において付加した。以下、同じ。)

(ア)「【請求項1】
自動車用ラジオの魚鰭式アンテナ装置であって、該魚鰭式アンテナ装置は自動車ラジオの無線電波受信回路の前に使用されて、ラジオの無線周波数信号を受信するのに用いられ、該魚鰭式アンテナ装置は、
内部に内部空間が形成された魚鰭状カバーと、
該魚鰭状カバーに結合されて自動車の車体に螺子止めされる金属ベースと、
該魚鰭状カバーの内部空間中に設置されるAMアンテナと、
該金属ベースの上方に配設されてAMアンテナに接続されたAM信号増幅回路、FM共振アンテナ回路、及びFM信号増幅回路が配設された信号増幅回路板と、
を具え、該FM共振アンテナ回路は複数のインダクタとAM信号増幅回路でFM共振回路を形成し、該FM共振アンテナ回路が該金属ベースにより無線周波数帯の信号受信が強化されたことを特徴とする、自動車用ラジオの魚鰭式アンテナ装置。」(2ページ2?13行)

(イ)「【技術分野】
【0001】
本発明は一種の自動車用ラジオの魚鰭式アンテナ装置に係り、特に、自動車のAM/FMラジオに使用される魚鰭式アンテナ装置であって、自動車のルーフトップに設置され、ラジオの無線電波周波数信号の受信能力を増強するアンテナ装置に関する。」(2ページ36?40行)

(ウ)「【背景技術】
【0002】
無線電波技術の進歩により、多くの製品はワイヤレス化され、無線電波技術中、最も困難であるのはアンテナ設計であり、アンテナと無線電波の周波数、方向及び電波強度は関係があり、一般にアンテナの設計はいずれも無線電波により1/4λを計算して一定長さの金属製長棒形態とされ、相当に空間を占有し、またこれにより自動車のラジオのAM/FMアンテナは長棒状伸縮型に設計され、且つAM及びFMで一つのアンテナを共用し、起動時に伸出させ、切断時に縮入させる。しかし長く使用すると故障が発生して伸縮不能となりやすく、相当に不便である。
【0003】
ゆえに業者は螺旋状アンテナを開発し、それは長棒金属を螺旋状に曲げてなるが、螺旋状アンテナの無線電波受信能力は理想的でなく、これによりいわゆるガラスアンテナの設計が提供され、それは軟性導電材料を自動車のガラスに貼り付けてなり、このようなガラスアンテナはAMとFMの共用のアンテナ設計とされる。しかし、その材質は相当に高価である。また、プリント回路板上にレイアウトされた特殊曲げ度の平面アンテナが提供され、このような平面アンテナの非常に大きな欠点は、金属面を有する物質を接近させられないことであり、なぜなら金属が無線電波を吸収するためであるが、自動車のボデーは金属製であるため、平面アンテナは信号を受信できない。」(2ページ41行?3ページ8行)

(エ)「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上述の自動車用ラジオの無線電波アンテナの有する不便と欠点を解決するため、一種の自動車用ラジオの魚鰭式アンテナ装置を提供するものであり、それは、自動車のルーフトップに取り付け可能で、ルーフトップに新規な美観を与えるのみならず、ラジオの無線電波周波数信号受信能力を高められるものとする。
【0005】
本発明の自動車用ラジオの魚鰭式アンテナ装置は無線電波受信回路の前に接続されて少なくとも一つの無線電波周波数帯の信号を受信し、該アンテナ装置は、魚鰭状カバー、AMアンテナ、信号増幅回路板、該信号増幅回路板に設けられたFM共振アンテナ回路、及び金属ベースを具え、そのうちAMアンテナとFM共振アンテナ回路が分離設計であり、FM共振アンテナ回路が複数のインダクタで共振回路を形成し、並びに該金属ベースに接続され、該金属ベースによりFM共振アンテナ回路の信号受信能力が強化され、自動車用ラジオの無線電波周波数帯上、最良の信号受信能力を達成する。」(3ページ10?23行)

(オ)「【0008】
図1は本発明の自動車用ラジオの魚鰭式アンテナ装置の実施例の外観立体図である。図2は図1の立体分解図である。本発明の魚鰭式アンテナ装置20は自動車ラジオの無線電波受信回路の前に使用されて、ラジオの無線周波数信号を受信するのに用いられる。図1のように、魚鰭式アンテナ装置20の造形は魚鰭に酷似し、車体上に取り付け可能で、車体を美化し、また自動車のラジオの信号受信を強化し、伝統的な伸縮式アンテナ或いはガラスアンテナに代わって用いられる。」(4ページ13?19行)

(カ)「【0009】
図2に示されるように、本発明の魚鰭式アンテナ装置20は魚鰭状カバー21、磁心捲線式コイルのAMアンテナ22、信号増幅回路板23、信号増幅回路板23上に位置するFM共振アンテナ回路24、及び金属ベース25が組み合わされてなる。」(4ページ20?23行)

(キ)「【0010】
図1に図3及び図4を併せて参照されたい。図3は本発明の回路ブロック図、図4は本発明の実施例電気回路図である。図3に示されるように、本発明の魚鰭式アンテナ装置20は無線電波受信回路51のアンテナ信号入力端に接続され、該AMアンテナ22は魚鰭状カバー21の内側に取り付けられ、並びに魚鰭の突出する内部空間の上部に置かれる。
【0011】
該信号増幅回路板23は該金属ベース25の上方に配設され、その上にAMアンテナ22とAM信号増幅回路231、該FM共振アンテナ回路24とFM信号増幅回路232、及び、電源電圧安定化回路233が配設されている。本発明の該FM共振アンテナ回路24は複数のインダクタにFM信号増幅回路232を組み合わせて形成したFM共振回路を形成し、無線電波受信回路の受信する無線周波数と抵抗マッチングを形成し、良好なFM周波数信号を受信でき、伝統的なFMアンテナの代わりとなる。」(4ページ24?35行)

(ク)「【0012】
図4に示されるように、本発明はAMアンテナとFMアンテナが分離された設計とされ、一般の自動車用ラジオのAMとFMが一つのアンテナを共用する設計とは異なり、本発明のAMアンテナ22は非平衡式アンテナ回路とされ、FMアンテナは平衡式アンテナとされる。電源電圧安定化回路233は車用電源を導入し、安定化電源をAM信号増幅回路231とFM信号増幅回路232に提供する。」(4ページ36?41行)

(ケ)「【0013】
また図2に示されるように、本発明の魚鰭式アンテナ装置20の底部に金属ベース25が取り付けられ、その機能は魚鰭式アンテナ装置20を自動車のルーフトップに螺子止めするのに供されることのほか、FMアンテナと結合され、FMアンテナの信号受信能力を該金属ベース25の補助により強化することにある。本発明の魚鰭式アンテナ装置20は無線電波受信回路51と極めて良好な抵抗マッチングを形成し、本実施例の抵抗マッチング値はほぼ50オームとされる。」(4ページ42?48行)

上記各記載及び図面並びにこの技術分野の技術常識を考慮すると、

a.上記(ア)、(オ)、(ケ)の記載によれば、甲第1号証には、自動車用ラジオの魚鰭式アンテナ装置であって、該魚鰭式アンテナ装置は自動車ラジオの無線電波受信回路の前に使用されて、ラジオの無線周波数信号を受信するのに用いられ、自動車のルーフトップに螺子止めされる、魚鰭式アンテナ装置が記載されているといえる。

b.上記(ア)、(キ)の段落【0010】の記載、及び図1、及び図2によれば、甲第1号証には、 内部に内部空間が形成された魚鰭状カバーが記載されているといえる。

c.上記(ア)、(ケ)の記載によれば、金属ベースに魚鰭状カバーが取り付けられ、金属ベースは自動車のルーフトップに螺子止めされるものである。また、図1、及び図2によれば、魚鰭状カバーの底面の開口部の周縁が金属ベースに取り付けられている。
したがって、甲第1号証には、魚鰭状カバーの底面の開口の周縁部が結合されて自動車のルーフトップに螺子止めされる金属ベースが記載されているといえる。

d.上記(ア)、(キ)の段落【0010】の記載によれば、魚鰭状カバーの突出する内部空間中の上部に設置されるAMアンテナが、また、上記(カ)の記載によれば、AMアンテナは磁心捲線式コイルであり、甲第1号証には、魚鰭状カバーの突出する内部空間中の上部に設置される磁心捲線式コイルのAMアンテナが記載されているといえる。

e.上記(ア)、(キ)の段落【0011】の記載によれば、甲第1号証には、金属ベースの上方に配設されてAMアンテナに接続されたAM信号増幅回路、FM共振アンテナ回路、及びFM信号増幅回路が配設された信号増幅回路板が記載されている。

f.上記(ア)、(キ)の段落【0011】、(ケ)の記載によれば、甲第1号証には、FM共振アンテナ回路は複数のインダクタとFM信号増幅回路でFM共振回路を形成し、該金属ベースにより該FM共振アンテナ回路の無線周波数帯の信号受信能力が強化されることが記載されている。
(但し、上記(ア)に記載の「AM信号増幅回路でFM共振回路を形成し」は、上記(キ)の記載、図3、4の記載から、「FM信号増幅回路でFM共振回路を形成し」の誤記と認められる。)

以上を総合すると、甲第1号証には以下の発明(以下、「甲1発明」とい。)が記載されていると認める。

「自動車用ラジオの魚鰭式アンテナ装置であって、該魚鰭式アンテナ装置は自動車ラジオの無線電波受信回路の前に使用されて、ラジオの無線周波数信号を受信するのに用いられ、自動車のルーフトップに螺子止めされる、該魚鰭式アンテナ装置は、
内部に内部空間が形成された魚鰭状カバーと、
該魚鰭状カバーの底面の開口の周縁部が結合されて自動車のルーフトップに螺子止めされる金属ベースと、
該魚鰭状カバーの突出する内部空間中の上部に設置される磁心捲線式コイルのAMアンテナと、
該金属ベースの上方に配設されて該AMアンテナに接続されたAM信号増幅回路、FM共振アンテナ回路、及びFM信号増幅回路が配設された信号増幅回路板と、
を具え、該FM共振アンテナ回路は複数のインダクタとFM信号増幅回路でFM共振回路を形成し、該金属ベースにより該FM共振アンテナ回路の無線周波数帯の信号受信能力が強化されたことを特徴とする、自動車用ラジオの魚鰭式アンテナ装置。」


イ 甲第2号証に記載された周知技術1について

本件特許出願の日前に頒布された刊行物である甲第2号証(特表2008-515304号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(ア)「【0002】
通常、特にモバイルテレコミュニケーションのための車両アンテナのためのこのようなアンテナハウジングは、車両ルーフ上に取り付けられる。従来のアンテナハウジングは主として剛性的に形成されており、主として、基本プレート、単数又は複数のプリント配線板、並びに必要な構成部分及びケーブルを有している。プリント配線板上には通常、導電的な材料から成るアウトラインが形成されていて、これらのアウトラインがアンテナの電気的な部分を成している。」(2ページ41?47行)

(イ)「【0004】
従来のアンテナハウジングの大きさとジオメトリとは事故防止規定により制限されている。先行技術によれば、アンテナハウジングは、材料脆弱部の形で目標破断シームを有している。この目標破断シームはアンテナの側でアンテナキャップの基部を取り囲んで環状に延びている。これにより露出した鋭いエッジによりけがする危険は回避されるようになっている。アンテナハウジングの通常の構造では、アンテナハウジングはプラスチックから製造されており、目標破断シームはハウジングと一緒に1つの作業過程で製造され、例えば射出成形される。プロセス的な条件に基づき、この場合、外部から見えるハウジング表面上における「光沢個所」として品質が損なわれ、そのうえ美的な印象全体が損なわれる。さらに、このようなアンテナハウジングの製造方法は、目標破断シームの必要な構成により輪郭の形状に関して比較的手間がかかり複雑である。」(3ページ4?14行)

(ウ)「【0007】
本発明によるアンテナハウジングの基体は、有利には剛性的な材料、例えば硬質のプラスチックから形成されていて、アンテナのキャップはフレキシブルな材料、例えば軟質のプラスチックから形成されている。フレキシブルなキャップの形状は、事故防止規定に関して有利である。キャップが、組み付け面上に形状接続的に載置されている環状のシール縁部を有していて良い。有利にはこれにより大きな手間をかけず、解離可能な形状接続的な結合が車体とアンテナハウジングとの間に得られる。」(3ページ38?44行)

上記(ア)?(ウ)の記載及び当業者の技術常識によれば「車両用ルーフアンテナのカバーを合成樹脂で形成すること」は周知であるといえる。(以下、「周知技術1」という。)


ウ 甲第3?5号証に記載された周知技術2について

本件特許出願の日前に頒布された刊行物である甲第3号証(特開平7-240616号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(ア)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、通信機器等に用いられるヘリカルアンテナ及び無線電話機に関するものである。」(2ページ2欄)

(イ)「【0017】また、本実施例では、アンテナ素子6のすべてを外装体8にて固定しているが、アンテナ素子6の一部を外装体8にて固定しても良い。例えば、最も屈曲される可能性の高いアンテナ素子6の中央部を外装体8にて固定し、アンテナ素子6の両端は固定しない様に構成しても良いし、さらには、アンテナ素子6の所定角度毎にアンテナ素子6の軸方向に沿って固定してもよい(例えば120度毎にアンテナ素子6の軸方向に沿ってアンテナ素子6を外装体8を固定する事によって実質的に3カ所でアンテナ素子6は外装体8に固定される)。」(3ページ4欄)

本件特許出願の日前に頒布された刊行物である甲第4号証(特開2000-269714号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(ウ)「【要約】
【課題】 携帯無線機で使用されるホイップアンテナの先端部分すなわちホイップアンテナ収納時にも無線機筐体の外に残り、筐体から突出するコイルアンテナ部分を、収納時の利得特性を損ねることなく小型にする。
【解決手段】 ホイップアンテナ引出し時に使用する直線状アンテナ3の上方先端部に樹脂部2を介して設ける先端コイル1と、無線機筐体内上部に設ける固定コイル4を有し、アンテナ収納時には先端コイル1と固定コイル4が接続されて1つのコイルアンテナが形成されるようにする。」(1ページ)

本件特許出願の日前に頒布された刊行物である甲第5号証(実開平6-23312号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(エ)「【要約】
【目的】 携帯用無線電話機のアンテナをワンタッチ的な操作で引出し、収納し得るようにする。
【構成】 アンテナ1を4分の1波長コイルアンテナとするとともに、ハウジング2内に同アンテナ1をその引出し位置に向けて付勢するバネ5と、アンテナ1に対する押込み操作によって同アンテナをハウジング2内に収納した位置にロックするアンテナロック手段10と、アンテナ1に対する給電端子3とを設け、アンテナ1側にその引出し位置と収納位置とにおいてそれぞれ給電端子3に接触する2つの給電点1c,1dとを設けてなる。」(1ページ)

上記(ア)?(エ)の記載、甲第4号証の第1図、甲第5号証の第1図、及び当業者の技術常識によれば「無線通信機においてコイルアンテナを筒状の保持筒で保持すること」は周知であるといえる。(以下、「周知技術2」という。)


エ 甲第6号証に記載された発明について

本件特許出願の日前に頒布された刊行物である甲第6号証(特開2001-237626号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両のエントリーシステムなどのように、携帯機と本体機との間の無線通信によって例えば認証コードの照合確認(いわゆるID認証)等を行い、乗物に搭載した機器や装置或いはシステムなどの制御を使用者のめんどうな操作を要することなく実現する制御装置に関する。」(2ページ2欄)

(イ)「【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述したような本体機側のアンテナでは、以下のような課題を有していた。即ち、送信出力を低く抑えつつ適正な広さのもれのない(部分的な不感領域のない)通信可能範囲を確保することが困難であった。このため、携帯機を携帯した使用者が乗物に対して同程度の距離範囲に居るのに(或いは車内に居るのに)、その所在位置(特に乗物の床面方向の位置)によっては無線通信が不能となって所定の制御処理が実行されないという不具合が生じる可能性が高かった。また、例えば携帯機の所在位置を無線通信の成否で判断するといった高度な処理が的確にできないという問題があった。というのは、上述したスマートエントリーシステムのような高度なシステムを実用化しようとする場合には特に、本体機と携帯機との間で無線通信(特に、起動信号としての電力伝送の送受信)が可能となる範囲(即ち、通信可能範囲)を精度良く設定する必要がある(或いは、そのように設定できた方が好ましい場合がある)。なぜなら、携帯機(或いは、それを携帯した使用者)が車両の周囲から所定距離離れた位置よりも内側に存在するのか外側に存在するのか、或いは携帯機が車内にあるか否かなどの判定(即ち、携帯機の所在位置判定を行う携帯機探知機能)が無線通信の成否によって正確にできると、例えば携帯機を携帯した使用者が車両から所定距離以上離れるだけで解錠状態にあるドアの錠を自動的に施錠するといった動作や、或いは携帯機を携帯した使用者が車内に乗り込むだけでエンジン始動が許可されるなどの動作が、別個の高価なセンサを設けることなく的確に可能となるからである。」(3ページ3?4欄)

(ウ)「【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の一例を図面に基づいて説明する。本形態例は、車両1(図2等に示す)のエントリーシステム及びエンジン始動システムの制御装置に本発明を適用した例である。この装置は、図1(a)に示すように、携帯機10と、車両1に搭載された本体機20(周辺機器としてのアンテナやセンサ類含む)とよりなる。・・・(略)・・・」(5ページ8欄)

(エ)「【0021】一方、本体機20は、図1(a)に示すように、コントロールユニット21と、車室外アンテナ22,23と、車室内アンテナ24,25と、ドアノブセンサ26,27や、ドアロックノブスイッチ28などのセンサ類とを備える。車室外アンテナ22,23は、車両1の室外の左右両側(例えば、各ドアミラー内)にそれぞれ設けられたコイルアンテナである。また、車室内アンテナ24,25は、図1(b)及び図3に示すように、車両1の室内における中央近くの前後位置にそれぞれ設けられたコイルアンテナである。なお、携帯機10を携帯する使用者は運転席(或いは少なくとも助手席)に座る場合が通常であるので、車室内アンテナとしては、図2に示すように、フロント側の車室内アンテナ24のみを設けた構成でもよい。・・・(略)・・・」(6ページ9?10欄)

(オ)「【0022】ここで、車室内アンテナ24,25による通信可能範囲は車室内のみとされ、車室外アンテナ22,23による通信可能範囲は車両1の外側で車両1から所定距離範囲とされている。そして、上記コイルアンテナ(この場合、少なくとも車室内アンテナ24,25)は、図1(b)に示すように、車両1の床面に平行な平面1aに対してその軸線がほぼ直角になるような姿勢で配設されている。なお、車室内アンテナ24,25は、乗物の床面からの影響を低減するために、床面からある程度上方(例えば、床面から10cm程度の高さ)に配置するのが好ましい。このような姿勢で配設すると、各コイルアンテナによる通信可能範囲(携帯機10と車載機20間で起動信号等の送受信が可能なエリア)が車両1の床面方向(通常は地表面方向)に沿って十分な広がりを持ったもれのないものとなり、しかも送信出力を高めることなくこのような良好な通信可能範囲が設定できる。特に、車室内アンテナ24,25に関しては、図3又は図2に示すように、車内の隅部まで十分な広さでもれなく通信可能範囲が広がる。・・・(略)・・・」(6ページ10欄)

(カ)「【0037】以上説明した本形態例の制御装置では、以下のような実用上優れた効果が得られる。即ち、本体機側の無線通信用アンテナ22?25(少なくとも起動信号を送信するもの)を、コイル状のものとし、その軸線方向が車両1(乗物)の床面に対して直角になるように配置したから、アンテナの数や送信出力を増やすことなく、通信可能範囲(特に起動信号の送受信可能範囲)を格段に広い適正なもの(全体としてもれの少ないもの)とすることが可能となる。これにより、適正な携帯機10を携帯した使用者が車両1に対して同程度の距離範囲に居るのに(或いは車内に居るのに)、その携帯機10(使用者)の位置(特に車両1の床面方向の位置)によっては無線通信が不能となって所定の制御処理(前述したようなドアの施錠又は解錠動作やエンジン始動の許可等)が実行されないといった不具合の可能性を低減すること(即ち、動作信頼性の向上)が、消費電力増やコスト増或いは不必要な通信可能範囲の拡大による弊害(不必要に通信可能範囲が広がって無線信号に含まれる認証コードが盗難される恐れなど)を伴わずに可能となる。・・・(略)・・・」(10ページ18欄)

(キ)「【0043】・・・(略)・・・。また、この試験結果から、ドアミラー等に配置される車室外アンテナに対して本発明の思想を適用しても、同様の効果が得られることが分かる。なぜなら、上記実施例(図8)では、上記比較例(図10)に対して、同一の送信出力にもかかわらず、通信可能範囲が明らかに広く歪みや窪みのほとんどない形状で良好に広がっているからである。」(12ページ21欄)

上記各記載及び図面並びにこの技術分野の技術常識を考慮すると、

a.上記(ウ)の記載によれば、甲第6号証には、携帯機と、車両に搭載された周辺機器としてのアンテナやセンサ類含む本体機とよりなる、車両のエントリーシステム及びエンジン始動システムの制御装置が記載されているといえる。

b.上記(エ)の記載によれば、車室外アンテナは、車両の室外の左右両側(例えば、各ドアミラー内)にそれぞれ設けられたコイルアンテナであり、車室内アンテナは、車両の室内における中央近くの前後位置にそれぞれ設けられたコイルアンテナであり、また、上記(オ)の記載によれば、車室内アンテナによる通信可能範囲は車室内のみとされ、車室外アンテナによる通信可能範囲は車両の外側で車両から所定距離範囲とされているから、甲第6号証には、車室外アンテナは、コイルアンテナであり、通信可能範囲は車両の外側で車両から所定距離範囲とされ、各ドアミラー内にそれぞれ設けられ、車室内アンテナは、コイルアンテナであり、通信可能範囲は車室内のみとされ、車両の室内における中央近くの前後位置にそれぞれ設けられることが記載されているといえる。

c.上記(カ)の記載によれば、無線通信用アンテナ(少なくとも起動信号を送信するもの)を、コイル状のものとし、その軸線方向が車両(乗物)の床面に対して直角になるように配置したことで、アンテナの数や送信出力を増やすことなく、通信可能範囲(特に起動信号の送受信可能範囲)を格段に広い適正なもの(全体としてもれの少ないもの)とすることが可能となるから、甲第6号証には、車室外アンテナ、及び車室内アンテナをコイル状のものとし、その軸線方向が車両(乗物)の床面に対して直角になるように配置することで、アンテナの数や送信出力を増やすことなく、通信可能範囲(特に起動信号の送受信可能範囲)を格段に広い適正なもの(全体としてもれの少ないもの)とすることが可能となることが記載されているといえる。

以上を総合すると、甲第6号証には以下の発明(以下、「甲6発明」とい。)が記載されていると認める。

「携帯機と、車両に搭載された周辺機器としてのアンテナやセンサ類含む本体機とよりなる、車両のエントリーシステム及びエンジン始動システムの制御装置において、
車室外アンテナは、コイルアンテナであり、通信可能範囲は車両の外側で車両から所定距離範囲とされ、各ドアミラー内にそれぞれ設けられ、車室内アンテナは、コイルアンテナであり、通信可能範囲は車室内のみとされ、車両の室内における中央近くの前後位置にそれぞれ設けられ、
車室外アンテナ、及び車室内アンテナを、その軸線方向が車両の床面に対して直角になるように配置することで、アンテナの数や送信出力を増やすことなく、通信可能範囲(特に起動信号の送受信可能範囲)を格段に広い適正なもの(全体としてもれの少ないもの)とすることが可能な、
車両のエントリーシステム及びエンジン始動システムの制御装置。」


オ 甲第7号証に記載された発明について

本件特許出願の日前に頒布された刊行物である甲第7号証(特開平10-276021号公報)には、図面とともに以下の事項が記載されている。


(ア)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はGPS(グローバルポジショニングシステム)に使用される平面アンテナに係り、特に密閉された樹脂製ケース内に平面アンテナ素子を収容し、樹脂製ケースを磁力により所定取付位置に吸着させるよう構成された平面アンテナの改良に関する。」(2ページ1欄)

(イ)「【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解決するために、以下のような特徴を有する。上記請求項1記載の発明は、電波による信号を受信する受信部と、該受信部が収納されるトップケースと、該トップケースの底部に装着されるボトムケースと、該ボトムケースと前記トップケースとの間をシールするシール部材とを有する平面アンテナにおいて、前記トップケースの底部開口の内壁に前記ボトムケースの周縁部を係止する係止部を設け、前記トップケースの内部に前記ボトムケースを貫通するボスを設け、前記ボトムケースは、下面側に突出する前記ボスの端部が熱変形されて前記トップケースに固定されることを特徴とするものである。」(3ページ3欄)

(ウ)「【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面と共に本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明になる平面アンテナの一実施例を示す分解図、図2は平面アンテナの縦断面図、図3は平面アンテナの外観図である。平面アンテナ11は、偏平四角形状のトップケース12の内部に後述するアンテナ素子が収納され、底部にはアルミ製のグランドシート13が貼着されている。また、グランドシート13の四隅には、平面アンテナ11が装着される際、ゴム脚14が突出するための開口13aが設けられている。トップケース12は、4辺の一つにケーブル15が挿通される逆U字状の溝16が設けられている。」(3ページ3?4欄)

(エ)「【0016】ボトムプレート22は、ステンレス材等の磁性材よりなる金属板をプレス加工したものであり、後述するようにボトムケースと磁石取付部とを一体化したものである。また、ボトムプレート22は、トップケース12の内部から起立したボス37がボトムプレート22の挿通孔25に挿通されると共に、周縁部分がトップケース12の底部開口の内壁に形成された係止溝(係止部)23に嵌合係止されてトップケース12の底部開口を閉塞するように取り付けられる。」(3ページ4欄)

(オ)「【0018】図4(A)(B)及び図5(A)?(F)に示すように、ボトムプレート22は、ゴムパッキン20に当接する四角形のシート部24と、シート部24の外側に設けられトップケース12の内部から起立したボス37が挿通される4個の挿通孔25と、シート部24の外側の四隅に設けられゴム脚14が挿通される四角形の挿通孔26と、車両のボデーに磁力で吸着される一対の永久磁石27(27a,27b),28(28a,28b)が取り付けられる磁石取付部29,30とを有する。」(3ページ4欄)

(カ)「【0026】図7はトップケース12の構成を説明するための図、図8は図7中E-E線に沿う縦断面図、図9は図7中F-F線に沿う縦断面図である。トップケース12は、内部中央に平面アンテナ素子17、LNA基板18、シールドケース19が収納される正方形状の収納室35と、収納室35の周囲を囲むように2重に形成されたシート部33(33a,33b)と、ゴム脚14を支持する支持部20dに当接してゴム脚14がグランドシート13より下方に突出するように支持するリブ36と、ボトムプレート22の挿通孔25に挿通されるボス37と、ケーブル15が挿通されるシール部材21が装着されると共にケーブル15が引き抜けないように係止する係止部38とを有する。」(4ページ6欄)

上記各記載及び図面並びにこの技術分野の技術常識を考慮すると、

a.上記(イ)、(エ)の記載によれば、甲第7号証には、トップケースと、該トップケースの底部開口を閉塞するように取り付けられるボトムケースと、該ボトムケースと前記トップケースとの間をシールするシール部材とを有する平面アンテナが記載されているといえる。

b.上記(カ)の記載によれば、トップケースは平面アンテナ素子を収納し、ケーブルが引き抜けないように係止する係止部とを有するものである。

c.上記(エ)、(オ)の記載によれば、甲第7号証には、前記ボトムプレートは、車両のボデーに磁力で吸着される一対の永久磁石が取り付けられる磁石取付部を有することが記載されているといえる。

以上を総合すると、甲第7号証には以下の発明(以下、「甲7発明」とい。)が記載されていると認める。

「トップケースと、該トップケースの底部開口を閉塞するように取り付けられるボトムケースと、該ボトムケースと前記トップケースとの間をシールするシール部材とを有する平面アンテナであって、
前記トップケースは平面アンテナ素子を収納し、ケーブルが引き抜けないように係止する係止部とを有し、
前記ボトムプレートは、車両のボデーに磁力で吸着される一対の永久磁石が取り付けられる磁石取付部を有する。」


カ 甲第8号証に記載された発明について

(ア)はじめに、甲第8号証の公知日について検討する。

甲第8号証はインターネット掲載事項であって、インターネット掲載日が不明であるが、
甲第8号証の電子的技術情報のアドレスhttp://minkara.carview.co.jp/userrid/318926/car/224432/1031547/parts.aspxには、株式会社カービューが運営するソーシャルネットワーキングサービスである「みんカラ」上に掲載された記事があり、その掲載された記事中には、日時情報として、「評価:★★★★★」の表記の下に「2007年10月7日」との表記があり(後記の摘記事項a参照)、また、「コメントする」の表記の下方に「2007/10/08 00:14:53」(後記の摘記事項c参照)との表記があり、また、「コメントへの返答」の表記の下に「2007/10/08 19:10:19」(後記の摘記事項d参照)との表記等があるのが見てとれる。
上記「みんカラ」は、公的機関や学術機関等の運営するホームページのように掲載日時情報が確実に保証されているとは言えないものの、上記「みんカラ」では、無料で会員登録をした多数のユーザーが自動車に関する情報を公開し、不特定多数のユーザがそれらの情報に対して発言を行っており、各記事の掲載の日時情報や掲載の内容を特定の者が故意に改変するのは非常に困難であると認められる。
したがって、甲第8号証の摘記事項bにおける写真および「BMW等に装着されている・・・(中略)・・・空気抵抗も軽減!? (外国製)」の記事は、本件特許出願前の2007年10月7日にインターネット上で公開された情報であり、また、甲第8号証の摘記事項cにおける「こんばんは。このパーツを取り付ける際は、やはり、天井(内装)を剥がさなきゃならないんでしょうか?」の記事は、本件特許出願前の2007年10月8日0時14分53秒にインターネット上で公開された情報であり、また、甲第8号証の摘記事項dにおける「ガオさん、こんばんは(^^)/^ ・・・(中略)・・・よく確かめてから購入されることをお勧めします(_ _)」の記事は、本件特許出願前の2007年10月8日19時10分19秒にインターネット上で公開された情報であるとすることができる。

以上のように判断されるので、甲第8号証の電子技術情報における他の日時も同様にインターネット上で公開された日時を示すものとすることができる。

そして、甲第8号証のアドレスにおける掲載記事は、インターネットを利用する不特定多数のユーザーが閲覧可能な情報であるから、上記各日時のうち、本件出願前の日時においてインターネット上で公開された記事は、その日時を公知日とした公然知られた電子技術情報とすることできる。

(イ)次に、甲第8号証に記載された発明について検討する

請求人が証拠方法として提出したアドレス(http://minkara.carview.co.jp/userrid/318926/car/224432/1031547/parts.aspx)には、株式会社カービューが運営するソーシャルネットワーキングサービス「みんカラ」において、2007年10月7日に投稿されたパーツレビューと、その投稿に対するコメント及びコメントへの返答が掲載された電子的技術情報があり、以下の記事が掲載されている。


a「トヨタ プリウス プロフィール (愛車ログ)|パーツレビュー (13)|整備手帳|フォト(5)|燃費記録 ■Visual Garage Shark Fin Antenna

評価:★★★★★

2007年10月07日」

b「





BMW等に装着されている流線型のアンテナ
PRIUSマニアの間では「フカヒレ」と呼ばれています。

棒状のアンテナは、今ではKカーにも使われていますのでグレードアップしました。
感度は若干純正品より落ちますが、実用上まったく問題ありません。
カッコ良さ抜群!
空気抵抗も軽減!?
(外国製)

関連情報URL : http://www.sharkfinantenna.com/ 」

c「■この記事へのコメント
コメントする
ガオ2007/10/08 00:14:53
こんばんは。
このパーツを取り付ける際は、やはり、天井(内装)を剥がさなきゃならないんでしょうか?」

d「コメントへの返答
2007/10/08 19:10:19
ガオさん、こんばんは(^^)/^
コメント、ありがとうございます(_ _)
取り付けは、いたって簡単(^^;
純正のねじ込み式のロッドアンテナを手でクルクル回して外し、フカヒレのアンテナ端子を取り外したねじ穴を利用してねじ止め…
後は、フカヒレを底面の両面テープを剥がして上から押し付けて…
おしまい(^^)
ものの5分で出来上がります(^^;
天井(内装)を剥がす必要はまったくありません。
ただし、位置決めは事前に仮止めしてプリウスのルーフに目印になるものを貼っておくと良いと思います(^^)
是非トライしてみてください!

(注意事項)
類似品がオークションなどに出回っていますが、単にカバーの役目しかない物も見受けられます。
よく確かめてから購入されることをお勧めします(_ _)」

e「ガオ2007/10/08 20:18:31
ありがとうございます。
アンテナの台座みたいなやつの上から被せる形ですね。
物品には説明書も付いていますでしょうか? 貼ってあるリンクから購入でOKですよね?
質問ばかりでスミマセン。。 これやりたかったので。」

f「コメントへの返答
2007/10/08 20:57:49
ガオさん、どうもです(^^)
説明書の有無は、定かではないのですが…(^^;
感で誰でも取り付けられますよ!
このリンクから購入できると思います。
わたしの場合は、共同購入の形で入手しました。」

g「コップンカ?
2007/10/20 01:07:47
こんにちははじめまして。
かっこいいですね。
ぜひともわがプリにも採用したいです。
ラジオの感度とかは大丈夫ですか?」

h「コメントへの返答
2007/10/20 01:23:50
coffeecupさん、はじめまして(^^;
お尋ねの感度ですが…
若干感度は落ちますが、実用範囲で問題ないと思います。
気にしなければ気が付かないかもしれません(^^;
以上、参考になれば幸いです(^^)」

上記各記載及び図面並びにこの技術分野の技術常識を考慮すると、

(a)上記aの記載によれば、甲第8号証のアドレスに掲載された記事は、トヨタ自動車社製のプリウスに用いられる「Visual Garage Shark Fin Antenna」というパーツに関して2007年10月7日に行われた評価に関するものである。

(b)上記bに掲載された写真および掲載記事から、「Visual Garage Shark Fin Antenna」は、流線型でフカヒレ形状に成形されたものであり、装着される車両(プリウス)の前方に相当する一端方が先細りの形態であることが見てとれる。

(c)上記dの「純正のねじ込み式のロッドアンテナを手でクルクル回して外し、フカヒレのアンテナ端子を取り外したねじ穴を利用してねじ止め…」の記事から、甲第8号証には、「Visual Garage Shark Fin Antenna」は、純正のねじ込み式のロッドアンテナを外したねじ穴と「Visual Garage Shark Fin Antenna」に設けられたアンテナ端子とが接続されて用いられることが記載されているといえる。

(d)上記dの「後は、フカヒレを底面の両面テープを剥がして上から押し付けて…」、「ただし、位置決めは事前に仮止めしてプリウスのルーフに目印になるものを貼っておくと良いと思います(^^)」の記事、及び、上記eの「アンテナの台座みたいなやつの上から被せる形ですね。」の記事から、甲第8号証には、「Visual Garage Shark Fin Antenna」はロッドアンテナを外したアンテナの台座の上から被せて用いられるものであり、「Visual Garage Shark Fin Antenna」の底面の両面テープを剥がして車両のルーフに対して上から押し付けて設置されるものであることが記載されているといえる。

上記dの「類似品がオークションなどに出回っていますが、単にカバーの役目しかない物も見受けられます。」の記事、上記gの「ラジオの感度とかは大丈夫ですか?」、上記hの「お尋ねの感度ですが… 若干感度は落ちますが、実用範囲で問題ないと思います。気にしなければ気が付かないかもしれません(^^;」の記事から、甲第8号証には、「Visual Garage Shark Fin Antenna」は、単なるカバーではなく、アンテナを有するものであり、既設の純正のロッドアンテナと交換できるから、「交換用アンテナ」が記載されているといえる。

以上を総合すると、甲第8号証には以下の発明(以下、「甲8発明」とい。)が記載されていると認める。

(甲8発明)

「流線型でフカヒレ形状に成形され、装着される車両の前方に相当する一端方が先細りの形態を有し、アンテナを有するカバーを、車両のルーフに装着された純正のロッドアンテナの台座に被せるとともに、前記アンテナのアンテナ端子を前記台座に形成した純正のロッドアンテナのねじ穴に接続し、前記カバーの底面を、前記ルーフに両面テープにより装着し、既設の純正のロッドアンテナと交換できるようにした交換用アンテナ。」


(3)本件発明と甲1号証との対比
(ア)甲1発明の「磁心捲線式コイルのAMアンテナ」は、本件発明1の「コイルアンテナ」に相当する。また、甲1発明では「魚鰭状カバーの突出する内部空間中の上部に」「磁心捲線式コイルのAMアンテナ」が設置されているから、甲1発明の「魚鰭状カバー」と、本件発明1の「内部にコイルアンテナを配設した合成樹脂製のカバー」は、「内部にコイルアンテナを配設したカバー」で共通する。
甲1発明の「自動車用ラジオの魚鰭式アンテナ装置」は「魚鰭状カバー」、及び「金属ベース」を「具え」、該「魚鰭状カバーの底面の開口の周縁部が結合され」た「金属ベース」によって「自動車のルーフトップに螺子止めされ」るものであるから、甲1発明の「自動車用ラジオの魚鰭式アンテナ装置」と、本件発明1の「カバーを、車両のルーフパネルに装着するようにした車両用ルーフアンテナ」は、「カバーを、車両のルーフパネルに取り付けるようにした車両用ルーフアンテナ」で共通する。

(イ)また、甲1発明における「自動車のルーフトップに螺子止め」は、「魚鰭状カバーの底面の開口の周縁部」が「結合され」た「金属ベース」を「自動車のルーフトップに螺子止め」するものであり、さらに、「魚鰭状カバーの底面の開口の周縁部」が「金属ベース」に結合されることより、「魚鰭状カバーの底面の開口の周縁部」における「金属ベース」との結合部分は面と認められるので、甲1発明の「自動車のルーフトップに螺子止め」と、本件発明1の「カバーの底面開口の周縁部に形成した接合面を、両面粘着テープにより車両のルーフパネルに貼り付けて該カバーを前記ルーフパネルに装着する」は、「カバーの底面開口の周縁部に形成した面を用いて、該カバーを前記ルーフパネルに取り付ける」点で共通する。

(ウ)甲1発明の「魚鰭状カバーの突出した内部空間中の上部に設置される磁心捲線式コイルのAMアンテナ」は、磁心捲線式コイルのAMアンテナが魚鰭状カバーの内部空間中の上部に設置されるものであるから、磁心捲線式コイルのAMアンテナは魚鰭状カバーの底面より上位に位置して設置されるものといえ、甲1発明の「魚鰭状カバーの内部空間中に設置される磁心捲線式コイルのAMアンテナ」と、本件発明1の「保持筒を前記カバーの天井部から下向きに突設し、前記コイルアンテナの下端部が、前記底面開口より上部に位置するように前記保持筒で前記コイルアンテナを保持した」は、「前記コイルアンテナの下端部が、カバーの底面開口より上部に位置するように前記コイルアンテナが保持されている」点で共通する。

したがって、両者は以下の点で一致し、また、相違する。

a.一致点
「内部にコイルアンテナを配設したカバーを、車両のルーフパネルに取り付けるようにした車両用ルーフアンテナにおいて、
前記カバーの底面開口の周縁部に形成した面を用いて、該カバーを前記ルーフパネルに取り付けるとともに、
前記コイルアンテナの下端部が、前記底面開口より上部に位置するように前記コイルアンテナが保持されている、車両用ルーフアンテナ。」

b.相違点
・相違点1
上記カバーが、本件発明1では、合成樹脂製であるのに対して、甲1発明では、材質について明記されていない点。

・相違点2
前記カバーの底面開口の周縁部に形成した面を用いたカバーのルーフパネルへの取り付けについて、本件発明1では、 前記カバーの底面開口の周縁部に形成した面が接合面であり、接合面の両面粘着テープにより車両のルーフパネルに貼り付けられるのに対して、甲1発明では、魚鰭状カバーの底面の開口の周縁に金属ベースを結合し、この金属ベースが自動車のルーフトップに螺子止めされる点。

・相違点3
コイルアンテナの保持が、本件発明1では、保持筒を前記カバーの天井部から下向きに突設し、前記保持筒で前記コイルアンテナを保持するのに対して、甲1発明では、魚鰭状カバーの突出する内部空間中の上部に設置されるものの、どのように保持されるか明らかではない点。


(4)相違点についての検討
(ア)相違点1について
a.当審の判断
上記(2)イより、車両用ルーフアンテナのカバーを合成樹脂で形成することは、周知の技術(周知技術1)であるから、甲1発明において、「魚鰭状カバー」を合成樹脂で形成すること、すなわち、相違点1に係る構成とすることは周知技術1に基づいて、当業者が容易に想到し得ることである。


(イ)相違点2について
a.当審の判断
上記(2)カのとおり、甲第8号証には、以下の発明(甲8発明)が記載されている。
「流線型でフカヒレ形状に成形され、装着される車両の前方に相当する一端方が先細りの形態を有し、アンテナを有するカバーを、車両のルーフに装着された純正のロッドアンテナの台座に被せるとともに、前記アンテナのアンテナ端子を前記台座に形成した純正のロッドアンテナのねじ穴に接続し、前記カバーの底面を、前記ルーフに両面テープにより装着し、既設の純正のロッドアンテナと交換できるようにした交換用アンテナ。」
他方、上記(2)ア(エ)によれば、甲第1号証には、甲1発明が解決しようとする課題について「自動車のルーフトップに取り付け可能で、ルーフトップに新規な美観を与えるのみならず、ラジオの無線電波周波数信号受信能力を高められる」(段落【0004】)ことが記載されている。
そして、上記(2)ア(ケ)によれば、甲第1号証には、甲1発明における「金属ベース」の機能について「魚鰭式アンテナ装置20を自動車のルーフトップに螺子止めするのに供されることのほか、FMアンテナと結合され、FMアンテナの信号受信能力を該金属ベース25の補助により強化する」(段落【0013】)と記載されている。
上記のとおり、甲8発明においてアンテナを有するカバーの車両への取り付け手段として、アンテナを有するカバーの底面を車両のルーフに両面テープにより装着する構成が開示されている。そして、甲8発明の上記の構成を甲1発明に適用するに当たっては、金属ベースを除外する必要がある。
しかし、上記のとおり甲1発明において、金属ベースは、魚鰭状カバーを自動車のルーフトップに取り付けるためだけでなく、FM共振アンテナ回路が受信能力を強化するためにも必要なものであるから、甲1発明において金属ベースを除外すると、FM共振アンテナ回路の受信能力は低下し、「ラジオの無線電波周波数信号受信能力を高められる」との甲1発明の課題解決が妨げられるものと認められる。
そうすると、甲1発明に甲8発明を組み合わせることには、阻害要因があると認められるから、甲1発明において相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得た事項ということはできない。


b.請求人の主張について
請求人は、相違点2に関して、請求人の口頭審理陳述要領書にて、甲8号証には、螺子止めに替えて両面テープで行うことの優位性が記載されており、甲1発明と甲第8号証を組み合わせる動機付けがある旨を主張している。 確かに、甲第8号証には、螺子止めに替えて両面テープで行うことの優位性は記載されていると認められるが、上記a.のとおり、甲8発明を甲1発明に適応することには阻害要因があると認められるから、請求人の上記の主張は採用できない。
さらに、請求人は、口頭審理陳述要領書にて、金属ベースには開口部があり、金属ベースを残したままカバーをルーフパネルに取り付けられる旨を主張している。
しかし、金属ベースを残したままカバーをルーフパネルに取り付けを行っても、金属ベースが車両のルーフパネルに取り付けられるものであり、カバーの底面開口の周縁部に形成した面を車両のルーフパネルに取り付けるものとはいえないから、請求人の上記の主張は採用できない。


(ウ)相違点3について
a.当審の判断
上記(2)ウより、無線通信機において、コイルアンテナを筒状の保持筒で保持することは周知の技術(周知技術2)である。
また、上記(2)エより、甲第6号証には、以下の発明(甲6発明)が記載されていると認められる。
「携帯機と、車両に搭載された周辺機器としてのアンテナやセンサ類含む本体機とよりなる、車両のエントリーシステム及びエンジン始動システムの制御装置において、
車室外アンテナは、コイルアンテナであり、通信可能範囲は車両の外側で車両から所定距離範囲とされ、各ドアミラー内にそれぞれ設けられ、車室内アンテナは、コイルアンテナであり、通信可能範囲は車室内のみとされ、車両の室内における中央近くの前後位置にそれぞれ設けられ、
車室外アンテナ、及び車室内アンテナを、その軸線方向が車両の床面に対して直角になるように配置することで、アンテナの数や送信出力を増やすことなく、通信可能範囲(特に起動信号の送受信可能範囲)を格段に広い適正なもの(全体としてもれの少ないもの)とすることが可能な、
車両のエントリーシステム及びエンジン始動システムの制御装置。」
他方、甲1発明においては、カバーに信号増幅回路板、金属ベースが設けられており、カバーの内部空間の上部と信号増幅回路板との間隔は狭く、AMコイルアンテナを下向きに保持すると、AMコイルアンテナと信号増幅回路板が干渉するとの問題点が生じると認められる。また、甲1発明では、逆に、間隔が狭いために、AMアンテナを突出した内部空間の上部に設置し、アンテナの長さを確保しているとも認められ、甲1発明において、AMコイルアンテナをそのままの長さで下向きに保持するには、構造上の問題点が存在することも認められる。
さらに、周知技術2は無線通信機のアンテナに関するもの、甲6発明は車両のエントリーシステム及びエンジン始動システムの制御装置のアンテナに関するものであり、いずれも甲1発明の自動車用のAMアンテナとは、アンテナの利用分野が異なっており、このような周知技術2や甲6発明を甲1発明に適用することについての動機付けがあるとも認められない。
したがって、甲1発明において、AMアンテナを保持筒でカバーの天井部から下向きに突設することについて、甲1発明の構成からみても、甲1発明と周知技術2及び甲6発明との間におけるアンテナの利用分野の違いからみても、動機付けがあるとは認められず、甲1発明において相違点3に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得た事項ということはできない。

b.請求人の主張について
請求人は、相違点3に関して、請求人の口頭審理陳述要領書にて、甲第3号証から甲第5号証にも記載されるように、保持筒でコイルアンテナを保持することは常套手段であり、さらに、横置きされたコイルアンテナを縦置きにすることで感度が上がることが甲第6号証に示されており、甲1発明に甲第6号証を適用することは容易である旨を主張している。
しかしながら、上記a.のとおり、甲1発明において相違点3に係る構成とすることは、甲第3号証ないし甲第5号証にみられるような周知技術2や、甲6発明に基づいて、当業者が容易に想到し得たものとはいえないから、請求人の上記の主張は採用できない。
また、請求人は、口頭審理陳述要領書にて、保持筒でAMアンテナを天井部から下向きに突設すると干渉してしまうことに関して、アンテナの長さは、コイルの巻き数や断面積で調整できる旨を主張している。
しかし、コイルの巻き数や断面積でAMアンテナの長さを調整できるとしても、そのことと甲1発明において相違点3に係る構成とする動機付けの有無との間に、因果関係があるとは認められないから、請求人の上記の主張は採用できない。

以上のとおり、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明、及び甲第2?6、8?10号証に記載された先行技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたとはいえない。


(4)まとめ

以上のとおりであるから,本件発明1についての特許は,特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものではない。


したがって,無効理由1に理由はない。


2.無効理由2、3について

本件発明2、3は、本件発明1を含むものであり、本件発明1と同様に、甲1発明とは少なくとも<相違点1>?<相違点3>において相違する。

上記(2)オより、甲第7号証には、以下の発明(甲7発明)が記載されていると認められる。
「トップケースと、該トップケースの底部開口を閉塞するように取り付けられるボトムケースと、該ボトムケースと前記トップケースとの間をシールするシール部材とを有する平面アンテナであって、
前記トップケースは平面アンテナ素子を収納し、ケーブルが引き抜けないように係止する係止部とを有し、
前記ボトムプレートは、車両のボデーに磁力で吸着される一対の永久磁石が取り付けられる磁石取付部を有する。」
そして、甲7発明において、カバーの取り付けは、ボトムプレートに設けられた永久磁石を車両のボデーに吸着させることによるものであり、また、アンテナは平面アンテナであって、甲第7号証には、相違点2及び相違点3のそれぞれに係る構成について記載又は示唆されているとは認められない。
そうすると、上記第5.1.(3)で述べたのと同様の理由により、甲1発明において、相違点2及び相違点3に係る構成とすることは当業者が容易になし得たものであるということはできない。

したがって、本件発明2、3の各発明は、甲第1号証に記載された発明、及び、甲第2?10号証に記載された先行技術及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。


第6.むすび

以上のとおり、本件発明1?3についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものではなく、同法第123条第1項第2号に該当しないから、請求人の主張する理由及び証拠方法によっては、本件特許を無効とすることはできない。
また、他に本件特許を無効とする理由を発見しない。

審判に関する費用については,特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により,請求人が負担すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2015-07-24 
結審通知日 2015-07-29 
審決日 2015-08-24 
出願番号 特願2008-136177(P2008-136177)
審決分類 P 1 113・ 121- Y (H01Q)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 米倉 秀明  
特許庁審判長 河口 雅英
特許庁審判官 山澤 宏
山本 章裕
登録日 2011-08-12 
登録番号 特許第4798721号(P4798721)
発明の名称 車両用ルーフアンテナ  
代理人 三宅 始  
代理人 松波 祥文  

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