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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1315145
審判番号 不服2014-23936  
総通号数 199 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2016-07-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2014-11-25 
確定日 2016-05-26 
事件の表示 特願2012-101564号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成25年11月7日出願公開、特開2013-226315号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯の概要
本願は、平成24年4月26日の出願であって、平成26年1月9日付けで拒絶の理由が通知され、同年3月24日に意見書及び手続補正書が提出されところ、同年8月18日付けで拒絶査定がなされ(発送日:同年8月26日)、それに対し、同年11月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に明細書及び特許請求の範囲に係る手続補正がなされたものである。

第2 平成26年11月25日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成26年11月25日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1?2のうち、請求項1を補正する内容を含んでおり、本件補正により、平成26年3月24日付けの手続補正書における請求項1について、
「各々を識別可能な複数種類の識別情報の変動表示を行ない、予め定められた特定表示結果が導出表示されたときに遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御する遊技機であって、
画像を表示する画像表示手段と、
前記画像表示手段の一部の領域で所定画像が表示されていることは視認可能であるが、当該所定画像の視認性を基準状態よりも低い視認困難状態に変化させる視認困難演出を実行する視認困難演出実行手段と、
通常表示態様、または、当該通常表示態様と一部が異なり当該通常表示態様よりも遊技者にとって有利な特典が付与される割合が高いことを示唆する特殊表示態様により前記所定画像を表示可能な予告演出実行手段と、
前記特殊表示態様による前記所定画像の表示と前記視認困難演出との同時発生を禁止する禁止手段とを備えることを特徴とする、遊技機。」

から、審判請求時に提出された手続補正書における
「各々を識別可能な複数種類の識別情報の変動表示を行ない、予め定められた特定表示結果が導出表示されたときに遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御する遊技機であって、
遊技者にとって有利な特典が付与されるか否かに基づき表示するか否かが決定される所定画像を含む画像を表示する画像表示手段と、
前記画像表示手段の一部の領域で前記所定画像が表示されていることは視認可能であるが、当該所定画像の視認性を基準状態よりも低い視認困難状態に変化させる視認困難演出を実行する視認困難演出実行手段と、
通常表示態様、または、当該通常表示態様と一部が異なり当該通常表示態様よりも前記特典が付与される割合が高いことを示唆する特殊表示態様により前記所定画像を表示可能な予告演出実行手段と、
前記特殊表示態様による前記所定画像の表示と前記視認困難演出との同時発生を禁止する禁止手段とを備えることを特徴とする、遊技機。」
に補正された(下線は、補正箇所を明示するために審決にて付した。)。

上記補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である画像表示手段に関して、表示する画像が「遊技者にとって有利な特典が付与されるか否かに基づき表示するか否かが決定される所定画像を含む画像」である点を限定したことを含むものであり、かつ、本件補正前の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

そして、本件補正は新規事項を追加するものではない。

そこで、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

2 独立特許要件について
(1)刊行物に記載された発明
原査定の拒絶理由において提示された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2006-167063号公報(以下「刊行物」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は審決にて付した。以下同じ。)。
ア 「【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の図柄情報を変動表示可能な複数種類の変動表示領域を有する画像表示手段と、
所定の判定条件が成立したことにもとづいて遊技者に利益を付与すべきか否かの判定を行う当落判定手段と、
該当落判定手段による判定結果にもとづいて前記複数種類の変動表示領域に前記複数種類の図柄情報を変動表示し、当該判定結果に応じた図柄情報を各々の変動表示領域に停止表示する変動表示制御手段と、
前記画像表示手段に前記複数種類の図柄情報とは異なる予告情報を表示する予告表示制御手段と、
前記当落判定手段により遊技者に利益を付与すべき判定がなされたことにもとづいて前記変動表示制御手段により特定表示態様を表示した後、遊技者に利益を付与する利益付与状態に制御する利益付与状態制御手段と、を備えた遊技機において、
前記予告表示制御手段は、前記画像表示手段における前記複数種類の変動表示領域と重なり合う重複領域に、前記予告情報を遊技者に視認可能な態様で表示することを特徴とする遊技機。」

イ 「【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類の図柄情報を変動表示可能な複数種類の変動表示領域を有する画像表示手段と、所定の判定条件が成立したことにもとづいて遊技者に利益を付与すべきか否かの判定を行う当落判定手段と、該当落判定手段による判定結果にもとづいて前記複数種類の変動表示領域に前記複数種類の図柄情報を変動表示し、当該判定結果に応じた図柄情報を各々の変動表示領域に停止表示する変動表示制御手段と、前記画像表示手段に前記複数種類の図柄情報とは異なる予告情報を表示する予告表示制御手段と、前記当落判定手段により遊技者に利益を付与すべき判定がなされたことにもとづいて前記変動表示制御手段により特定表示態様を表示した後、遊技者に利益を付与する利益付与状態に制御する利益付与状態制御手段と、を備えた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一般に、図柄表示装置を備えた遊技機の一例としてのパチンコ機は、図柄表示装置で特別図柄(図柄)を変動表示し、特別図柄の表示結果が大当り図柄となったときに大当り遊技状態を発生するようになっている。また、このようなパチンコ機には、特別図柄の表示結果が導出されるまでに、図柄表示装置に所定のキャラクタを表示することで、特別図柄の表示結果として大当り図柄が導出されるか否かを予告的に報知する予告演出を実行するものがある。予告演出として、最終的に変動表示を停止する図柄以外の図柄の停止タイミングにもとづいて、所定のキャラクタを図柄表示装置上から消失することで、図柄表示装置に注目させ、遊技の興趣を向上させるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002-18010号公報(図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、予告演出が大当り図柄の導出に関連して実行されるものであり、特別図柄の表示結果として大当り図柄が導出される場合には、所定のキャラクタが表示されることが多いが、一般に大当り図柄が導出される確率(大当り確率)が1/315程度であることから、通常遊技中に所定のキャラクタが頻繁に表示される訳ではなく、遊技者は所定のキャラクタではなく特別図柄の変動表示に注視していた。また、はずれ図柄が導出される場合には、所定のキャラクタが表示されることがほとんどなく、大当り図柄が導出される場合と同様に、遊技者は所定のキャラクタではなく特別図柄の変動表示に注視していた。
【0004】
また、大当り図柄が導出される場合のみならず、はずれ図柄が導出される場合にも、所定のキャラクタを頻繁に表示させるものがあった。しかしながら、はずれ図柄が導出される場合にも所定のキャラクタが頻繁に表示されると、所定のキャラクタが表示されても大当り図柄が導出されることがほとんどなく、遊技者が所定のキャラクタに注視する意味合いが薄れ、所定のキャラクタに注視する必要がなくなり、特別図柄の変動表示に注視せざるを得なかった。
【0005】
しかしながら、上記したパチンコ機においては、特別図柄の変動表示と所定のキャラクタとが図柄表示装置の異なる領域で表示されている。このため、特別図柄の変動表示に注視している遊技者にとっては、特別図柄の変動表示領域外に所定のキャラクタが表示されても、所定のキャラクタが特別図柄の変動表示を注視する妨げ(目障り)になったり、また、所定のキャラクタの表示を意識しないことがあった。従って、遊技者が長時間、遊技する場合には、所定のキャラクタが特別図柄の変動表示を注視する妨げとなることで、遊技に不快を感じたり、所定のキャラクタの表示を意識しないことで、遊技が単調になり、遊技の興趣が低下することがあった。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、予告演出が表示された場合でも、予告演出の表示を遊技者の意識できる視界に自然に入れることで、遊技の興趣の低下を抑制することができる遊技機を提供することにある。」

ウ 「【0051】
(解決手段15)
解決手段1乃至解決手段14のいずれかにおいて、前記画像表示手段に複数種類の態様を模した複数種類の演出画像を表示する演出表示制御手段と、前記複数種類の態様を模造した複数種類の演出部材と、該演出部材を遊技者に視認不可能な待機位置と遊技者に視認可能な出現位置とに駆動制御可能な演出部材駆動手段と、前記当落判定手段による判定結果に応じて、予め定められた順序で前記演出表示制御手段および/または前記演出部材駆動手段を制御する演出実行手段と、をさらに備え、前記演出表示制御手段は、前記複数種類の図柄情報および前記予告情報に優先させた状態で、前記複数種類の演出画像を表示し、前記演出部材駆動手段は、前記画像表示手段に表示される前記複数種類の図柄情報および前記予告情報の前方に、前記複数種類の演出部材を出現させる。
【0052】
本実施例では、複数種類の演出画像は、怪物くん、フランケン、ドラキュラ、オオカミ男を模したキャラクタ画像70?73であり、演出表示制御手段は、サブ統合基板111に搭載されるCPU111aにより発展型予告パターンをサブ情報出力処理(ステップS107)で第2電飾制御基板113に送信し、第2電飾制御基板113に搭載されるCPU113aによって液晶表示器116の表示領域42にて当該発展型予告パターンに応じた発展型予告演出のキャラクタ画像70?73を表示制御する部分である。複数種類の演出部材は、オオカミ男を模造したキャラクタ体154、ドラキュラを模造したキャラクタ体152、フランケンを模造したキャラクタ体150である。待機位置は、リアユニット142に内蔵された状態であり、出現位置は、表示領域42の前方に出現した状態であり、演出部材駆動手段は、サブ統合基板111に搭載されるCPU111aにより第1電飾制御基板112に駆動モータ150h、152h、153f、155の駆動信号を出力し、第1電飾制御基板112にて駆動信号が所定回入力されたときに駆動モータ150h、152h、153f、155に駆動信号を出力する部分である。予め定められた順序は、オオカミ男→ドラキュラ→フランケン→怪物くんの順序であり、演出実行手段は、サブ統合基板111に搭載されるCPU111aによるキャラクタ体150、152、154の駆動制御と、第2電飾制御基板113に搭載されるCPU113aによるキャラクタ画像70?73の表示制御と、により、オオカミ男→ドラキュラ→フランケン→怪物くんの順に遊技者に視認可能に表示または出現させる制御を実行する部分である。」

エ 「【0207】
次に、表示領域42で装飾図柄の変動を開始した後、全ての装飾図柄を停止表示するまでの間に行われる予告演出、及び、リーチ演出の流れについて図26を参照して説明する。図26は、予告演出及びリーチ演出の流れを示す説明図である。なお、予告演出及びリーチ演出では、第2電飾制御基板113に搭載されるROM113bに記憶されているキャラクタA(以下、これをオオカミ男という)、キャラクタB(以下、これをドラキュラという)、キャラクタC(以下、これをフランケンという)、キャラクタD(以下、これを怪物くんという)、キャラクタE(以下、これを怪子ちゃんという)を用いた画像表示(例えば、怪物くんを模したキャラクタ画像70、オオカミ男を模したキャラクタ画像71、ドラキュラを模したキャラクタ画像72、フランケンを模したキャラクタ画像73、怪子ちゃんを模したキャラクタ画像74)、ミニキャラクタA(以下、これをヒロシという)、ミニキャラクタB(以下、これをヒロシ姉という)、ミニキャラクタC(以下、これをオオカミ男(上述したキャラクタA)、ドラキュラ(上述したキャラクタB)、フランケン(上述したキャラクタC)を組み合わせた3人組という)、ミニキャラクタD(以下、これを怪子ちゃん(上述したキャラクタE)という)を用いた画像表示(例えば、ヒロシを表したミニキャラクタ画像90、ヒロシ姉を表したミニキャラクタ画像91、オオカミ男、ドラキュラ、フランケンを模した3人組のミニキャラクタ画像92、怪子ちゃんを模したミニキャラクタ画像93)、および、上述したキャラクタ体154(オオカミ男(上述したキャラクタA)を模造した部材)、キャラクタ体152(ドラキュラ(上述したキャラクタB)を模造した部材)、キャラクタ体150(フランケン(上述したキャラクタC)を模造した部材)、の駆動制御、により演出が行われる場合がある。
・・・
【0210】
図26に示すように、始動記憶数が0でないときに、特別図柄および装飾図柄の変動表示が開始可能(例えば、大当り遊技中でない状態、および、変動表示中でない状態)となることによって、液晶表示器116の表示領域42で装飾図柄の変動表示が開始される。装飾図柄の変動表示を開始するときには、予告演出を実行するか否かの判定がなされる。
【0211】
なお、予告演出とは、遊技者に大当り遊技状態になる可能性を示唆するための演出であり、実行される予告演出の種類に応じて大当り遊技状態となる期待度(大当り期待度:大当りとなるときに当該予告演出が実行される割合/大当りとなるとき、および、はずれとなるときに当該予告演出が実行される割合)が異なるように設定されている。一般的に、大当り遊技状態となるときには、予告演出が実行される割合が高くなるように制御されるため、予告演出が実行されることにより遊技者の期待感を高めることができる。また、予告演出の種類によって大当り期待度を把握することができるため、大当り期待度の高い予告演出が実行されたときには遊技者の期待感を高めることができ、大当り期待度の低い予告演出が実行されたときよりも大当り期待度の高い予告演出が実行されるときの方がより遊技者の期待感を高めることができる。
・・・
【0213】
予告演出を実行するか否かの判定では、まず、予告演出としてミニキャラ予告を実行するか否かの判定を行う。ミニキャラ予告とは、上述したミニキャラクタA?Dのそれぞれのキャラクタを、表示領域42における左装飾図柄80aと右装飾図柄80cとの変動表示領域の背面で、左装飾図柄80aと右装飾図柄80cとの変動表示領域よりも表示領域42に対する表示面積が狭く、また、後述する発展型予告等で画像表示されるキャラクタよりも大きさの小さい(表示領域42に対する表示面積の狭い)ミニキャラクタ(ミニキャラ)として出現させる演出である。ただし、後述する発展型予告等のようにオオカミ男(キャラクタA)、ドラキュラ(キャラクタB)、フランケン(キャラクタC)をキャラクタはとして単体で出現させることがなく、これらのキャラクタを組み合わせた3人組の態様で出現させる。そして、ヒロシ(ミニキャラクタA)、ヒロシ姉(ミニキャラクタB)、3人組(ミニキャラクタC)、怪子ちゃん(ミニキャラクタD)のいずれか、または、これらの組み合わせのミニキャラクタを画像表示制御により出現させる。
【0214】
また、上述したミニキャラ予告を実行するか否かに関わらず、予告演出として発展型予告を実行するか否かの判定を行う。発展型予告とは、上述したキャラクタA?キャラクタDのそれぞれのキャラクタを、画像表示制御と、キャラクタ体150、152、154を駆動制御と、のいずれか一方の制御により複数種類のキャラクタを順次視認可能に出現させる演出であり、この実施の形態では、オオカミ男→ドラキュラ→フランケン→怪物くんの順で出現させるように制御される。なお、画像表示制御により表示されたキャラクタはキャラクタ体の駆動制御により出現させないように制御され、キャラクタ体の駆動制御により出現させたキャラクタは画像表示制御により出現させないように制御される。例えば、オオカミ男を画像表示した場合には、オオカミ男を模したキャラクタ画像71の画像表示に次いでオオカミ男を模造したキャラクタ体154を駆動制御して出現させることはない。
【0215】
上述した発展型予告を実行する場合には、予告演出として激熱予告を実行するか否かの判定を行う。激熱予告とは、発展型予告の一部として実行され、発展型予告で画像表示されるキャラクタA?キャラクタDのいずれかのキャラクタを、通常の発展型予告で画像表示される服飾の配色とは異なり、白色をベースとした服飾の配色で出現させる演出である。ただし、この激熱予告でオオカミ男を出現させる場合には、服飾の配色を変更するのではなく、人間の姿からオオカミの姿に変身した後のオオカミ男のキャラクタを出現させる。このように、激熱予告が発展型予告の一部として実行されることにより、単に発展型予告が実行されるのみよりも、激熱予告が実行される可能性のある発展型予告にさらに注目させることができる。なお、激熱予告によるキャラクタは、通常の発展型予告で画像表示される服飾の配色とは異なり、白色をベースとした服飾の配色で出現させているが、キャラクタに装飾物をもたせた態様等、発展型予告によるキャラクタの態様との差異が遊技者にはっきりと認識できるものであればよい。
・・・
【0217】
また、上述した発展型予告を実行しない場合には、予告演出として、暗転画像に稲妻(雷)を走らせて雷光により装飾図柄の停止表示を浮かび上がらせる画像表示制御である稲妻フラッシュ予告、表示領域42にて装飾図柄の後方に表示される背景画像(例えば、後述する昼背景画像81、夜背景画像82)を変化(例えば、表示領域42に昼背景画像81を表示している場合には、夜背景画像82に変更)させる画像表示制御である背景変化予告、および、後述するスーパーリーチ発展演出に対応した4種類のキャラクタ(オオカミ男、ドラキュラ、フランケン、怪物くん)のいずれか、または、変動表示の結果、上述した大当り図柄となる(大当り確定)ときにのみ出現可能なキャラクタ(怪子ちゃん)がスポットライトを浴びながら登場する画像表示制御であるスポットライト予告、のいずれかを実行するか否かの判定を行う。これらの予告演出(稲妻フラッシュ予告、背景変化予告、スポットライト予告)を実行する場合には、表示領域42を暗転させる暗転画像を所定時間表示させるブラックアウト演出が2回行われる。
・・・
【0221】
また、ブラックアウト演出として表示領域42を暗転表示した後、稲妻フラッシュ予告、背景変化予告、および、スポットライト予告のいずれも行われない場合には、所定時間経過後に、スーパーリーチ分岐演出を経由した場合には行われることのない演出であって、上述したキャラクタ体150、152、154および、遮蔽部材164、166、168を駆動制御することにより実行される役物リーチ演出が行われることがある。なお、上述した発展型予告を実行した場合にも役物リーチ演出が行われる場合がある。」

オ 「【0256】
また、発展型予告パターン乱数は、上述した発展型予告を実行するか否かを判別するとともに、発展型予告パターンを決定するための乱数である。激熱予告パターン乱数は、上述した激熱予告を行うか否かを判別するのに用いられ、激熱予告の激熱予告パターンを決定するための乱数である。稲妻予告パターン乱数は、上述した稲妻予告演出を実行するか否かを判別するとともに、表示領域42に表示される稲妻予告演出の稲妻予告パターンを決定するための乱数である。ミニキャラ予告パターン乱数は、上述したミニキャラ予告を実行するか否かを判別するとともに、ミニキャラ予告のミニキャラ予告パターンを決定するための乱数である。音判定乱数は、変動表示中における音出力態様を決定するための乱数である。
・・・
【0258】
ステップS101でコマンドを受信したと判別したときは、後述する図柄設定処理(ステップS102)を行うとともに、予告選択処理(ステップS103)と図柄変動設定処理(ステップS104)と図柄変動中制御処理(ステップS105)と大当り表示処理(ステップS106)とサブ情報出力処理(ステップS107)とを順次実行する。予告選択処理(ステップS103)では、後述する発展型予告処理と激熱予告処理と稲妻予告処理とを実行するとともに、これらの処理で決定された予告演出パターンにもとづいて予告演出を実行するか否か、および、予告演出を実行する場合にはいずれの予告演出(予告演出パターン)を実行するかを決定する予告決定処理を実行する。」

カ「【0307】
また、装飾図柄の変動表示パターンとしてリーチ態様となる変動表示パターンのうち、大当り判定処理にて大当り判定乱数が当り値とならずにリーチ判定乱数が当り値となったときにのみ実行可能な変動表示パターン(変動番号3,5,7,・・・,21,32の変動表示パターン)が指定されたときには、上記した激熱予告パターン番号0または激熱予告パターン番号0,1の激熱予告パターンのみが選択可能であるが、大当り判定処理にて大当り判定乱数が当り値となったときにのみ実行可能な変動表示パターン(変動番号4,6,8,・・・,22,33の変動表示パターン)が指定されたときには、上記した激熱予告パターン2?4が選択可能となっている。換言すると、通常の発展型予告パターンで画像表示される服飾の配色とは異なるキャラクタ(ドラキュラ、フランケン、怪物くん)が表示されたときには、装飾図柄の変動表示の結果が大当り図柄となることを把握することができる。」

キ「【0410】
次に、稲妻予告演出の演出例について図58乃至図61を参照して説明する。図58は、稲妻予告演出の演出例1として、大当り判定の判定結果が大当りであり、主制御基板101で変動表示パターンとして変動番号33の「役物リーチ、当り」に決定されるとともに、サブ統合基板111で昼背景用稲妻予告テーブルから稲妻予告パターンとして稲妻予告パターン番号2(ブラックアウト2回)に決定された場合を示す。
【0411】
特別図柄表示器41で特別図柄の変動表示を開始すると、液晶表示器116の表示領域42においても左・中・右の装飾図柄80a?80cの変動表示を開始する(図58(A))。具体的には、表示領域42の中央付近には、中の装飾図柄80bが飛び跳ねているような表示態様で変動表示され、中の装飾図柄80bの両側方には、背景画像が視認可能な程度に半透明となった左・右の装飾図柄80a,80cが表示領域42の上方から下方に向かってリールが回転しているような表示態様で変動表示されている。また、表示領域42には、昼背景画像81が表示されるとともに、中の装飾図柄80bの下方(表示領域42の中央下部)には、キャラクタ画像(怪物くん)70が表示されている。
【0412】
次いで、1回目のブラックアウト演出として、遊技者に視認困難となるように、装飾図柄80a?80cの変動表示および昼背景画像81を表示制御している表示領域42を暗転させる暗転画像83が所定時間(例えば、1秒)表示される(図58(B))。このとき、遊技者は、複数の稲妻予告演出のうちいずれかの演出が開始されたことを認識することができ、大当り期待度の高い特別の演出(スポットライト予告から開始されるスーパーリーチ発展演出や役物リーチ演出等)が行われる期待感をもつことができる。その後、所定時間が経過することで、1回目のブラックアウト演出が行われる以前の内容を継続するように表示領域42を表示制御する(図58(C))。
【0413】
次いで、2回目のブラックアウト演出として、1回目のブラックアウト演出よりも遊技者に視認困難となるように、1回目のブラックアウト演出時の暗転よりも暗転度合いの高い暗転画像83が、1回目のブラックアウト演出時の演出時間よりも長い時間(例えば、2秒)表示される(図58(D))。このとき、遊技者は、少なくとも稲妻予告パターン番号1のブラックアウトガセ演出ではないことを認識することができ、また、稲妻予告パターン番号2の2回目のブラックアウトガセ演出が行われている可能性も残るが、1回目のブラックアウト演出時よりも大当り期待度の高い特別の演出(スポットライト予告から開始されるスーパーリーチ発展演出や役物リーチ演出等)が行われる期待感を、1回目のブラックアウト演出時よりも向上させることができる。すなわち、ブラックアウト演出が2回行われることにより、大当り期待度の高い特別の演出(スポットライト予告から開始されるスーパーリーチ発展演出や役物リーチ演出等)が行われる期待感を徐々に向上させることができる。その後、1回目のブラックアウト演出後と同様に、ブラックアウト演出が行われる以前の内容を継続するように表示領域42を表示制御する(図58(E))。」

ク 「【0419】
図60は、稲妻予告演出の演出例3として、主制御基板101で変動表示パターンとして変動番号4,6?10,12?16,18?22のいずれかに決定され、サブ統合基板111で昼背景用稲妻予告テーブルから稲妻予告パターンとして稲妻予告パターン番号5の稲妻フラッシュ演出に決定された場合を示す。なお、稲妻予告演出の演出例3についても演出例1と同様に、1回目のブラックアウト演出が行われている。
【0420】
1回目のブラックアウト演出の後、所定時間が経過することで、1回目のブラックアウト演出が行われる以前の内容を継続するように表示領域42を表示制御する(図60(A))。その後、1回目のブラックアウト演出よりも遊技者に視認困難となるように、1回目のブラックアウト演出時の暗転よりも暗転度合いの高い暗転画像83が、1回目のブラックアウト演出時の演出時間よりも長い時間(例えば、2秒)表示される(図60(B))。その後、液晶表示器116の表示領域42の上方に配置された演出ランプ44aが点滅・点灯するとともに、液晶表示器41の上方から暗転画像83に稲妻(雷)87を走らせる稲妻フラッシュ予告が行われることにより、稲妻87に照らされることで左装飾図柄80a(同図中には、「7」を例示)が暗転画像83に浮かび上がるように停止表示される(図60(C))。
【0421】
次いで、遊技者に視認不可能(視認できない)となるように、1回目および2回目のブラックアウト演出時の暗転よりも更に暗転度合いの高い暗転画像83が、2回目のブラックアウト演出時の演出時間と同程度の時間(例えば、2秒)表示される(図60(D))。このとき、左・中・右の装飾図柄80a?80cは、左装飾図柄80aが停止表示されているとともに中・右の装飾図柄80b,80cが変動表示されている状態で、表示領域42の右下部に通常(例えば、リーチ演出等が実行されていないとき)の装飾図柄の変動表示を実行しているときよりも小さく、遊技者にとって視認困難な程度に暗転表示されている。なお、この実施の形態では、1回目の稲妻フラッシュ予告により左装飾図柄80aが停止表示されることで、その後の暗転画像83においても左装飾図柄80aを継続して停止表示しているが、予告演出(この場合には、後述する2回目の稲妻フラッシュ予告)が終了するまでにリーチ態様が形成されればよく、1回目の稲妻フラッシュ予告で左装飾図柄80aを停止表示させずに、図60(D)において左装飾図柄80aが変動表示中であってもよい。
・・・
【0424】
図61は、稲妻予告演出の演出例4として、主制御基板101で変動表示パターンとして変動番号29,30のいずれかに決定されるとともに、サブ統合基板111で昼背景用稲妻予告テーブルから稲妻予告パターンとして稲妻予告パターン番号2のブラックアウト演出が2回に決定された場合を示す。なお、稲妻予告演出の演出例4についても演出例1と同様に、1回目のブラックアウト演出が行われている。
【0425】
1回目のブラックアウト演出の後、所定時間が経過することで、1回目のブラックアウト演出が行われる以前の内容を継続するように表示領域42を表示制御する(図61(A))。その後、1回目のブラックアウト演出よりも遊技者に視認困難となるように、1回目のブラックアウト演出時の暗転よりも暗転度合いの高い暗転画像83が、1回目のブラックアウト演出時の演出時間よりも長い時間(例えば、2秒)表示される(図61(B))。その後、液晶表示器116の表示領域42の中央下方に、スポットライト88を浴びながらキャラクタ(同図中には、キャラクタ画像(怪物くん)70を例示)が登場するスポットライト予告が行われる(図61(C))。このとき、遊技者は、スポットライト予告が行われたことから、大当り期待度の高いスーパーリーチ発展演出が行われることが確定し、大当りとなる期待感を向上させることができる。更に、キャラクタに応じたスーパーリーチ発展演出が行われることから、大当り期待度の高さを認識することができ、登場したキャラクタに応じて様々な期待感をもつことができる。なお、左・中・右の装飾図柄80a?80cは、表示領域42の右下部(スポットライト88で照らされていない部分)に通常(例えば、リーチ演出等が実行されていないとき)の装飾図柄の変動表示を実行しているときよりも小さく、遊技者にとって視認困難な程度に暗転表示されている。」

ケ 「【0530】
この場合、暗転表示手段により特典付与(例えば、大当り遊技や確率変動等)の可否に関わる情報が表示される全域が視認困難又は視認不可能となるような暗転画像を図柄表示装置に所定時間、表示されることにより、遊技者が特典付与の可否に関わる情報に注目することができなくなり、図柄表示装置に表示される特典付与の可否に関わる情報以外の他の演出を意識させることができる。従って、特典付与の可否に関わる情報以外の演出を意識させることで、遊技が単調となることがなく、遊技の興趣の低下を抑制することができる。」

コ 上記キの【0410】、【0411】の記載から、刊行物には、液晶表示器116の表示領域42が、稲妻予告パターンに応じた稲妻予告演出のキャラクタ画像(怪物くん)70を表示制御する部分であることが示されていると認められる。

サ 「1回目のブラックアウト演出」に関して、上記キの【0410】?【0412】には、「遊技者に視認困難となるように、装飾図柄80a?80cの変動表示および昼背景画像81を表示制御している表示領域42を暗転させる暗転画像83が所定時間(例えば、1秒)表示される(図58(B))」ことが記載されている。
この記載によると、「1回目のブラックアウト演出」は、表示領域42を暗転させる暗転画像83を所定時間表示することにより、遊技者に表示内容を視認困難とする演出であるといえる。
そして、【図58】の1回目のブラックアウト演出時における表示画像(【図58(B)】)には、遊技者が、キャラクタ画像(例えば、怪物くんを模したキャラクタ画像70)の視認性を通常時より低い視認困難とすることが図示されているものと認められる。
したがって、刊行物には、1回目のブラックアウト演出は、中の装飾図柄80bの下方(表示領域42の中央下部)にキャラクタ画像(例えば、怪物くんを模したキャラクタ画像70)を表示したままの状態で、装飾図柄80a?80cの変動表示および昼背景画像81を表示制御している表示領域42を暗転させるが、暗転度合が低いため、遊技者にキャラクタ画像(例えば、怪物くんを模したキャラクタ画像70)の視認性を通常時より低い視認困難とすることが示されていると認められる。

シ 上記エの【0207】、【0214】の記載事項、及び、【図38】、【図39】の図示内容によると、刊行物には、当落に応じて決定される発展型予告パターンに基づいて、怪物くんを模したキャラクタ画像70、オオカミ男を模したキャラクタ画像71、ドラキュラを模したキャラクタ画像72、及び、フランケンを模したキャラクタ画像73を用いた画像表示により発展型予告演出を行う場合があることが示されていると認められる。

ス 上記エの【0207】、【0217】の記載事項、及び、【図45】、【図46】の図示内容によると、刊行物には、当落に応じて決定される稲妻予告パターンに基づいて、怪物くんを模したキャラクタ画像70、オオカミ男を模したキャラクタ画像71、ドラキュラを模したキャラクタ画像72、及び、フランケンを模したキャラクタ画像73を用いた画像表示により稲妻予告演出を行う場合があることが示されていると認められる。

セ 上記ア?ケの記載事項、上記コ?スの認定事項から、刊行物には次の発明(以下「刊行物発明」という。)が記載されていると認められる。
「当落判定手段による判定結果にもとづいて複数種類の変動表示領域に複数種類の図柄情報を変動表示する変動表示制御手段と、
変動表示制御手段により特定表示態様を表示した後、遊技者に利益を付与する利益付与状態に制御する利益付与状態制御手段と
を備えた遊技機において、
装飾図柄の変動表示を開始するときには、遊技者に大当り遊技状態になる可能性を示唆するための予告演出(予告演出パターン)を実行するか否かの判定がなされ、
大当り遊技状態となるときには、予告演出が実行される割合が高くなるように制御されるものであり、
予告演出には、例えば、発展型予告、激熱予告、稲妻予告を含み、
発展型予告パターン乱数により、発展型予告演出を実行するか否かを判別すると共に、発展型予告パターンを決定し、
激熱予告パターン乱数により、激熱予告演出を実行するか否かを判別すると共に、激熱予告パターンを決定し、
稲妻予告パターン乱数により、稲妻予告演出を実行するか否かを判別すると共に、稲妻予告パターンを決定し、
発展型予告パターンに応じた発展型予告演出が表示制御され、あるいは、稲妻予告パターンに応じた稲妻予告演出が表示制御される液晶表示器116の表示領域42を備え、
当落に応じて決定される発展型予告パターンに基づいて、怪物くんを模したキャラクタ画像70、オオカミ男を模したキャラクタ画像71、ドラキュラを模したキャラクタ画像72、及び、フランケンを模したキャラクタ画像73を用いた画像表示により発展型予告演出を行う場合があり、
当落に応じて決定される稲妻予告パターンに基づいて、怪物くんを模したキャラクタ画像70、オオカミ男を模したキャラクタ画像71、ドラキュラを模したキャラクタ画像72、及び、フランケンを模したキャラクタ画像73を用いた画像表示により稲妻予告演出を行う場合があり、
発展型予告演出を実行する場合には、予告演出として激熱予告を実行するか否かの判定を行い、
激熱予告演出とは、発展型予告演出の一部として実行され、発展型予告演出で画像表示されるキャラクタ画像70?73で用いられるキャラクタ(怪物くん、オオカミ男、ドラキュラ、フランケン)のいずれかのキャラクタを、通常の発展型予告で画像表示される服飾の配色とは異なり、白色をベースとした服飾の配色で出現させる演出であり、
予告演出として、発展型予告演出を実行しない場合には、稲妻予告演出(稲妻フラッシュ予告、背景変化予告、スポットライト予告)を実行するか否かの判定を行い、
稲妻予告演出として稲妻予告パターン番号2のブラックアウト演出が2回に決定された演出例4(【図61】)の場合、
表示領域42には、昼背景画像81が表示されるとともに、中の装飾図柄80bの下方(表示領域42の中央下部)にキャラクタ画像(怪物くん)70が表示され、
1回目のブラックアウト演出は、中の装飾図柄80bの下方(表示領域42の中央下部)にキャラクタ画像(怪物くん)70を表示したままの状態で、装飾図柄80a?80cの変動表示および昼背景画像81を表示制御している表示領域42を暗転させるが、暗転度合が低いため、遊技者にキャラクタ画像(怪物くん)70の視認性を通常時より低い視認困難とする遊技機。」

(2)対比
本件補正発明と刊行物発明とを対比する。
ア 刊行物発明における「当落判定手段による判定結果にもとづいて複数種類の変動表示領域に複数種類の図柄情報を変動表示する」ことは、本件補正発明における「各々を識別可能な複数種類の識別情報の変動表示を行な」うことに相当する。

イ 刊行物発明における「変動表示制御手段により特定表示態様を表示した後、遊技者に利益を付与する利益付与状態に制御する」ことは、本件補正発明における「予め定められた特定表示結果が導出表示されたときに遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御する」ことに相当する。

ウ 刊行物発明における「発展型予告パターンに応じた発展型予告演出が表示制御され、あるいは、稲妻予告パターンに応じた稲妻予告演出が表示制御される液晶表示器116の表示領域42」と、
本件補正発明における「遊技者にとって有利な特典が付与されるか否かに基づき表示するか否かが決定される所定画像を含む画像を表示する画像表示手段」とを対比する。

刊行物発明における「発展型予告パターンに応じた発展型予告演出」、「稲妻予告パターンに応じた稲妻予告演出」は、それぞれの演出を、同じ「怪物くんを模したキャラクタ画像70、オオカミ男を模したキャラクタ画像71、ドラキュラを模したキャラクタ画像72、及び、フランケンを模したキャラクタ画像73」を用いた画像表示により行う場合があり、背景画像、装飾図柄等に加えて、これらキャラクタ画像を含む画像が液晶表示器116の表示領域42に表示されるものである。
そして、刊行物発明の「発展型予告演出」、「稲妻予告演出」において、「怪物くんを模したキャラクタ画像70、オオカミ男を模したキャラクタ画像71、ドラキュラを模したキャラクタ画像72、及び、フランケンを模したキャラクタ画像73」のうち、いずれの「キャラクタ画像」を用いるか(「キャラクタ画像」を用いない場合も含む。)は、当落に応じて決定されるものである。
したがって、刊行物発明の「発展型予告演出」、「稲妻予告演出」における「キャラクタ画像70?73」は、本件補正発明における「遊技者にとって有利な特典が付与されるか否かに基づき表示するか否かが決定される所定画像」に相当する。
また、刊行物発明における「液晶表示器116の表示領域42」は、本件補正発明における「画像表示手段」に相当する。

よって、刊行物発明における「発展型予告パターンに応じた発展型予告演出が表示制御され、あるいは、稲妻予告パターンに応じた稲妻予告演出が表示制御される液晶表示器116の表示領域42」は、本件補正発明における「遊技者にとって有利な特典が付与されるか否かに基づき表示するか否かが決定される所定画像を含む画像を表示する画像表示手段」に相当する。

エ 刊行物発明における「予告演出として、発展型予告演出を実行しない場合には、稲妻予告演出(稲妻フラッシュ予告、背景変化予告、スポットライト予告)を実行するか否かの判定を行う」ことについて検討する。
刊行物発明において、「激熱予告演出」は、「発展型予告演出の一部として実行され」るものであり、また、「稲妻予告演出」は、発展型予告演出を実行しない場合に行われ、「1回目のブラックアウト演出」を行うことを含むものである。
したがって、刊行物発明において、キャラクタを、白色をベースとした服飾の配色で出現させる「激熱予告演出」と、「1回目のブラックアウト演出」を行う「稲妻予告演出」とは、同時に実行されないといえる。
よって、刊行物発明における「予告演出として、発展型予告演出を実行しない場合には、稲妻予告演出(稲妻フラッシュ予告、背景変化予告、スポットライト予告)を実行するか否かの判定を行う」ことは、本件補正発明における「特殊表示態様による所定画像の表示と視認困難演出との同時発生を禁止する禁止手段」に相当する構成を備えることにより実施できるものである。

オ 刊行物発明における稲妻予告パターン番号2のブラックアウト演出が2回行われる演出例4における「1回目のブラックアウト演出」と、
本件補正発明における「画像表示手段の一部の領域で所定画像が表示されていることは視認可能であるが、当該所定画像の視認性を基準状態よりも低い視認困難状態に変化させる視認困難演出」とを対比する。

刊行物発明における稲妻予告パターン番号2の「1回目のブラックアウト演出は、中の装飾図柄80bの下方(表示領域42の中央下部)にキャラクタ画像(怪物くん)70を表示したままの状態で、装飾図柄80a?80cの変動表示および昼背景画像81を表示制御している表示領域42を暗転させるが、暗転度合が低いため、遊技者にキャラクタ画像(怪物くん)70の視認性を通常時より低い視認困難とする」演出である。
ここで、刊行物発明における「視認性を通常時より低い視認困難とする」ことは、本件補正発明における「視認可能であるが」、「視認性を基準状態よりも低い視認困難状態に変化させる」ことに相当する。
また、刊行物発明におけるキャラクタ画像(怪物くん)70が表示される「中の装飾図柄80bの下方(表示領域42の中央下部)」は、本件補正発明の「画像表示手段の一部の領域」に相当する。
さらに、刊行物発明は、稲妻予告演出の演出例4において登場するキャラクタ画像として、キャラクタ画像(怪物くん)70を例示しているが、稲妻予告演出において登場するキャラクタ画像は、上記ウにおいて検討したように、キャラクタ画像(怪物くん)70以外にも、オオカミ男を模したキャラクタ画像71、ドラキュラを模したキャラクタ画像72、及び、フランケンを模したキャラクタ画像73でもよく、これらのキャラクタ画像は、発展型予告演出において登場するキャラクタ画像と同じものである。したがって、刊行物発明における「1回目のブラックアウト演出」において登場する「キャラクタ画像」は、本件補正発明における「所定画像」に相当する。
そして、刊行物には、ブラックアウト演出を2回行う稲妻予告パターン以外に、ブラックアウト演出を1回行う稲妻予告パターン(稲妻予告パターン番号1)についても記載されている(【図47】を参照。)。

これらのことから、刊行物発明における「1回目のブラックアウト演出」は、本件補正発明における「画像表示手段の一部の領域で所定画像が表示されていることは視認可能であるが、当該所定画像の視認性を基準状態よりも低い視認困難状態に変化させる視認困難演出」に相当する。

カ 刊行物発明における「激熱予告演出とは、発展型予告演出の一部として実行され、発展型予告演出で画像表示されるキャラクタ画像70?73で用いられるキャラクタ(怪物くん、オオカミ男、ドラキュラ、フランケン)のいずれかのキャラクタを、通常の発展型予告で画像表示される服飾の配色とは異なり、白色をベースとした服飾の配色で出現させる演出であ」ることと、
本件補正発明における「通常表示態様、または、当該通常表示態様と一部が異なり当該通常表示態様よりも特典が付与される割合が高いことを示唆する特殊表示態様により所定画像を表示可能な予告演出実行手段」とを対比する。

刊行物発明において、「発展型予告演出で画像表示されるキャラクタ画像70?73」が、本件補正発明の「所定画像」に相当することは、上記ウにおいて検討したとおりである。
そして、刊行物発明における「通常の発展型予告で画像表示される服飾の配色」は、本件補正発明における「通常表示態様」に相当する。そうすると、刊行物発明における「発展型予告演出で画像表示されるキャラクタ画像70?73で用いられるキャラクタ(怪物くん、オオカミ男、ドラキュラ、フランケン)のいずれかのキャラクタ」は、「通常の発展型予告で画像表示される服飾の配色」で出現するものであるから、本件補正発明における「通常表示態様」により表示可能な「所定画像」に相当する。
また、刊行物発明における「発展型予告演出で画像表示されるキャラクタ画像70?73で用いられるキャラクタ(怪物くん、オオカミ男、ドラキュラ、フランケン)のいずれかのキャラクタ」は、「通常の発展型予告で画像表示される服飾の配色とは異なり、白色をベースとした服飾の配色で出現」するものであり、「通常表示態様」と同じキャラクタの形状ではあるが、服飾の配色という一部の態様を異ならせた態様で表示されるものである。そうすると、刊行物発明の「通常の発展型予告で画像表示される服飾の配色とは異なり、白色をベースとした服飾の配色」は、本件補正発明の「通常表示態様と一部が異な」る「特殊表示態様」に相当する。
さらに、刊行物発明において、激熱予告が通常遊技状態よりも大当り遊技状態となる可能性が高いことを予告する演出であることは、当業者にとって自明である。
したがって、刊行物発明における「発展型予告演出で画像表示されるキャラクタ画像70?73で用いられるキャラクタ(怪物くん、オオカミ男、ドラキュラ、フランケン)のいずれかのキャラクタ」は、本件補正発明における「通常表示態様と一部が異なり当該通常表示態様よりも特典が付与される割合が高いことを示唆する特殊表示態様により」表示可能な「所定画像」に相当する。
これらのことからみて、刊行物発明における「激熱予告演出」を一部に含む「発展型予告演出」を行うことは、本件補正発明における「通常表示態様、または、当該通常表示態様と一部が異なり当該通常表示態様よりも特典が付与される割合が高いことを示唆する特殊表示態様により所定画像を表示可能な予告演出実行手段」を備えることに相当する。

キ 上記ア?カから、本件補正発明と刊行物発明とは、
「各々を識別可能な複数種類の識別情報の変動表示を行ない、予め定められた特定表示結果が導出表示されたときに遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御する遊技機であって、
遊技者にとって有利な特典が付与されるか否かに基づき表示するか否かが決定される所定画像を含む画像を表示する画像表示手段と、
前記画像表示手段の一部の領域で前記所定画像が表示されていることは視認可能であるが、当該所定画像の視認性を基準状態よりも低い視認困難状態に変化させる視認困難演出を実行する視認困難演出実行手段と、
通常表示態様、または、当該通常表示態様と一部が異なり当該通常表示態様よりも前記特典が付与される割合が高いことを示唆する特殊表示態様により前記所定画像を表示可能な予告演出実行手段と、
前記特殊表示態様による前記所定画像の表示と前記視認困難演出との同時発生を禁止する禁止手段とを備えることを特徴とする、遊技機。」
の点で一致し、相違する点はない。

(3)当審の判断
ア 上記(2)において検討したとおり本件補正発明は、刊行物発明に一致するものであるから、本件補正発明は、刊行物発明と同一のものであり、刊行物1に記載された発明である。

イ 請求人の主張について
請求人は、平成26年11月25日付けの審判請求書において、
「本願発明は、遊技者にとって有利な特典が付与されるか否かに基づき表示する旨が決定されて「所定画像」が表示されたときには「視認困難演出」によって視認困難状態に変化させることがあるが、「特殊表示態様による所定画像」が表示されたときには「視認困難演出」との同時発生を禁止するものです。
これに対して、引用発明の「ブラックアウト演出」が視認困難状態に変化させる対象は怪物くんなどの「キャラクタ画像」であり、当該「キャラクタ画像」は、本願発明の「所定画像」のように、遊技者にとって有利な特典が付与されるか否かに基づき表示するか否かが決定されるものではありません。
仮に、発展型予告における「キャラクタ画像」を本願発明の「所定画像」に相当させ、「激熱予告」における「キャラクタ画像」を本願発明の「特殊表示態様による所定画像」に相当させたとしても、審査官殿が認定されるように、ブラックアウト演出は、「発展型予告とは異なる予告演出」であるため、発展型予告における「キャラクタ画像」の表示中にブラックアウト演出が実行されることはありません。
このように、引用文献1には、本願発明の「視認困難演出」が記載されていません。」(第7頁第5?20行。(A)?(B)は当審にて付与した。)と主張する。

まず、請求人の主張のうち、「キャラクタ画像」は、刊行物の【0052】(前記(2)ウを参照。)の記載のとおり、予告パターンに応じたものであるから、有利な特典が付与されるか否かに基づき表示するか否かが決定されるものである。
次に、刊行物発明では、「キャラクタ画像」は、発展型予告(激熱予告を含む)にも、稲妻予告(ブラックアウト演出を含む)にも出現するから、請求人が主張するように、「キャラクタ画像」の出現中に発展型予告と稲妻予告とが同時に実行されることがないからといって、刊行物発明が本件補正発明の「視認困難演出」を実行しないという理由にはならない。
したがって、請求人の「引用文献1には、本願発明の「視認困難演出」が記載されていません。」という主張を採用することはできない。

ウ 小括
上記ア及びイにおいて検討したとおりであるから、本件補正発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許出願の際独立して特許を受けることができない。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成26年3月24日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「各々を識別可能な複数種類の識別情報の変動表示を行ない、予め定められた特定表示結果が導出表示されたときに遊技者にとって有利な特定遊技状態に制御する遊技機であって、
画像を表示する画像表示手段と、
前記画像表示手段の一部の領域で所定画像が表示されていることは視認可能であるが、当該所定画像の視認性を基準状態よりも低い視認困難状態に変化させる視認困難演出を実行する視認困難演出実行手段と、
通常表示態様、または、当該通常表示態様と一部が異なり当該通常表示態様よりも遊技者にとって有利な特典が付与される割合が高いことを示唆する特殊表示態様により前記所定画像を表示可能な予告演出実行手段と、
前記特殊表示態様による前記所定画像の表示と前記視認困難演出との同時発生を禁止する禁止手段とを備えることを特徴とする、遊技機。」

2 刊行物
刊行物及びその記載事項、刊行物発明は、前記「第2 2」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、上記「第2 1補正の内容」において検討した本件補正発明から、画像表示手段に関して、表示する画像が「遊技者にとって有利な特典が付与されるか否かに基づき表示するか否かが決定される所定画像を含む画像」である点を省いたものである。
ここで、刊行物発明と本願発明とを対比する。
両者は、前記「第2 2(2)対比」において検討したと同様にして、一致するものであり、相違する点はない。
したがって、本願発明は、刊行物発明と同一のものである。

4 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。
したがって、本願は、拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2016-03-25 
結審通知日 2016-03-29 
審決日 2016-04-12 
出願番号 特願2012-101564(P2012-101564)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 尾崎 俊彦  
特許庁審判長 本郷 徹
特許庁審判官 関 博文
長崎 洋一
発明の名称 遊技機  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  
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